JP2004105051A - 部位特異的突然変異導入法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲノムDNAの代わりにcDNAを用いることにより1つの分子種で、多くの多様な突然変異を導入することを可能にし、細胞への部位特異的突然変異導入を飛躍的に簡便化する方法を提供する。
【解決手段】cDNAに部位特異的に突然変異を導入し、この変異cDNAをゲノムDNAの一部として用いてターゲティングベクターを構築してなるターゲティングベクター、ならびにこのターゲティングベクターを用いて相同組換えにより該突然変異を細胞に導入してなる細胞。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、cDNAを用いた細胞への部位特異的突然変異導入法に関する。
【0002】
【従来の技術】
部位特異的突然変異導入法は、DNAに予定された変異を部位特異的に導入するものであり、プロモーター等の特別なDNA配列の機能解明や酵素の活性部位などの探索、さらには人工的なタンパク誘導体の作成等のために重要な方法である。この部位特異的突然変異導入法においては、DNAの化学合成技術とDNA複製の酵素反応が巧みに組み合わされており、望みの部位を改変したDNAを任意に得ることができるので、広く利用されている。しかしながら、従来、ゲノムDNAを用いて遺伝子標的法により細胞への突然変異導入する場合、複数の突然変異を同時もしくは逐次に導入し、その遺伝子部位が離れているときには、異なったエクソンを含むゲノムDNA断片を用意し、それぞれのDNA断片に突然変異を導入しなければならないため、多大な時間を必要とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ゲノムDNAの代わりにcDNAを用いることにより1つの分子種で、多くの多様な突然変異を導入することを可能にし、細胞への部位特異的突然変異導入を飛躍的に簡便化する方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、cDNAに部位特異的に突然変異を導入し、この変異cDNAをゲノムDNAの一部として用いてターゲティングベクターを構築してなるターゲティングベクター;ならびにこのターゲティングベクターを用いて相同組換えにより該突然変異を細胞に導入してなる細胞、にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
本発明において、cDNAに部位特異的に突然変異を導入し、この変異cDNAをゲノムDNAの一部として用いてターゲティングベクターを構築してなるターゲティングベクターが作成される。cDNAに部位特異的に突然変異を導入するに際して、突然変異の種類は特に制限されず、欠失、挿入もしくは塩基置換のいずれであってもよい。さらに、部位も特に制限されない。
【0007】
本発明においては、このターゲティングベクターを用いて相同組換えにより該突然変異を真核細胞に導入し得る。そして、この細胞を用いて、変異を導入した変異タンパクを細胞内に産生させることもできる。このようにして産生された変異タンパクは常法により精製される。
【0008】
そして、精製された変異タンパクを動物に注射した後に、通常数週間後に血液を採取して抗血清から該変異タンパクに対する抗体を得ることができる。あるいは、精製された変異タンパクをマウスに注射した後に、通常数週間後に脾臓を採取しこの脾臓由来のリンパ球を用いて常法により該変異タンパクに対するモノクローナル抗体を得ることができる。本発明において突然変異が導入される細胞がマウスの胚幹(ES)細胞である場合、常法、たとえばモデル動物等の個体もしくは組織を作成し得る。さらに、細胞が体細胞である場合、クローン化技術を用いて個体もしくは組織を作成しうる。
【0009】
以下に、本発明方法により、G群色素性乾皮症原因遺伝子(XPG)の遺伝子をもつモデルマウスを作製する場合について説明する。すなわち、たとえばXPG cDNAに部位特異的変異を導入して、XPGの811番目のアミノ酸を指定するコドンを、ミスセンス変異もしくはナンセンス変異させ、得られた部位特異的変異導入XPG cDNAを用いてターゲティングベクターを構築し、ついでこのベクターをマウスのES細胞に導入し、この変異ES細胞からマウス個体を作製する方法である。このES細胞への導入はたとえばエレクトロポレーション法等により行われ、相同的組換えを起こしたES細胞クローンが選択される。この選択されたES細胞が目的とする組換え体かどうかはサザンブロッティング法等により確認しうる。このES細胞クローンを用いて生殖系列キメラマウスを作成し、野生型マウスと交配させヘテロ接合体マウスを得る。ついで、このヘテロ接合体マウス同士を交配させ、メンデルの法則により産生する目的とするマウスおよび野生型マウスが作製される。
【0010】
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)は、常染色体劣性遺伝様式をとる遺伝性疾患であり、日光に過敏性を示す。XP患者は、出生時には一見正常に見えるが、乳児期には日光に短時間さらされるだけで急性の皮膚炎症状を呈するので、異常に気がつくことになる。そして、幼児期になると、急性の皮膚炎症状はないが、日光露出部位の皮膚は乾燥、角化し色素が沈着する。さらに、これらの部位に正常人の数千倍の高頻度で皮膚がんを発症し、神経精神症状等の多面的な臨床症状を示す。
【0011】
XP患者が日光過敏性を示すことに対応して、患者由来細胞(XP細胞)は紫外線に高感受性を示し、DNAの損傷を修復する能力に欠損がある。DNA修復はすべての生物において認められる生体防御機能であり、いくつかの機構が知られている。XPはこのうちのとくにヌクレオチド除去修復機構の初期過程に欠損を示す。すなわち、DNA損傷を認識し、損傷部位の両側(5’および3’側)にニック(切れ目)を入れ、さらに損傷部位を含むDNA断片を取除く過程に欠損を示す。このように、XPではDNA損傷が修復されないために、何らかの機構により突然変異および細胞死を誘発し、高発がん性の原因となっていると考えられる。
【0012】
XPのDNA修復欠損には、全く修復できない重い欠損から、正常よりやや低下した軽い欠損までその程度に差異があり、それが臨床症状の重篤度と対応することがわかってきた。異なったXP患者由来の細胞同士を融合させ雑種細胞を形成させると、両者が互いの欠損を補完しあって正常な修復能を示すことがある。これは、両者で欠損している遺伝子が異なるために、雑種細胞において、一方の細胞由来の正常な遺伝子が他方の欠損した遺伝子の働きを補うためと考えられ、この2種の細胞は異なった相補性群に属するといわれる。そして、多くのXP細胞について相補性テストが行なわれ、A〜G群、およびバリアントと呼ばれる合計8つの遺伝的相補性群の存在が確認されており、少なくとも8つの異なる遺伝子がXPに関係し、ヌクレオチド除去修復の初期過程には多くの遺伝子が関与していることが明らかとなっている。
【0013】
以上のように、XP細胞は、紫外線により生じたDNA損傷を回復する機構、除去修復機構の初期過程に欠損があることが示されており、これらのXP原因遺伝子はヌクレオチド除去修復の初期過程において重要な働きをするタンパクをコードしていることが明らかにされてきた。このなかでXPGタンパクは、ヌクレオチド除去修復において損傷部位の3’側でニックを入れてDNA鎖を切断する構造特異的エンドヌクレアーゼとして機能していることがわかってきた。そしてさらに、XPGは塩基除去修復もしくは転写の伸長においても重要な役割を果たしており、この機能の欠損が成長阻害や早期老化・死亡を特徴とするコケイン症候群(CS)の併発の原因であるとの説が出された。
【0014】
XPGの811番目のアミノ酸を指定するコドンを、部位特異的突然変異によりミスセンス変異もしくはナンセンス変異させ、これらの変異を導入したマウスは以下のステップで作製される。
1.XPG cDNAへの部位特異的突然変異の導入
XPGの811番目のアミノ酸(アスパラギン酸)をアラニンあるいはストップコドンに置き換えるためにStratagene社のキットを使用して、試験管内突然変異導入法によりXPG cDNAの2431番目から2433番目の塩基をGATからGCC(アラニン)あるいはTAA(ストップ)に部位特異的に置き換えた。この変異部位はエクソン11に存在する。
2.部位特異的変異を導入したcDNAを用いた遺伝子ターゲティングベクターの構築
マウスXPGゲノムDNAからエクソン8の一部を含むHindIII (H)−PvuII(P)断片(H−P断片)と部位特異的突然変異を含む(コントロールとして正常XPG)cDNAのP−B(BamHI)断片を結合し、さらにその下流にポジティブ選択マーカーのネオマイシン耐性遺伝子(neo)およびXPGゲノムDNA(Spe−Sca)断片、さらにネガティブ選択マーカーのヘルペスシンプレックスウイルスのTK遺伝子を結合させた3種類のターゲティングベクターを構築した(図1中段ターゲティングベクター参照)。
3.マウスES細胞のXPG遺伝子への部位特異的変異の導入
このターゲティングベクターそれぞれをマウスのES細胞にエレクトロポレーション法を用いて導入した。薬剤G418入りの培地中でES細胞を培養し、ネオマイシン遺伝子が導入されてG418に耐性になった細胞クローンを選び出した。ターゲティングベクターDNAが相同組換えによって細胞のXPG
DNAと置き換わったクローンを選び出すため3’側の相同組み換えをPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法で,5’側の相同組み換えをサザンブロッティング法で確認した(図1下段の突然変異体対立遺伝子参照)。
4.XPG遺伝子に部位特異的変異を導入したマウスの作製
XPG遺伝子を個体レベルでの表現型を確認するため、これら3種類のES細胞を定法にしたがってマウス初期胚に微量注入し、さらにこれらの初期胚を偽妊娠させた仮親マウスに移植し生殖系列キメラマウスを得た。さらにそれぞれの変異をヘテロに持つ個体を掛け合わせて、それぞれの変異をホモに持つ胎児細胞を得た。これらの変異遺伝子が生体内で機能しているか否かを判定するため、それぞれの変異をホモに持つ細胞の紫外線感受性を調べた。XPG遺伝子の一部を正常XPG cDNA断片で置き換えた細胞は、正常細胞と同程度に紫外線抵抗性になることから、cDNA断片で置き換えたXPG遺伝子は正常に機能することがわかった。D811ストップコドン変異をホモに持つ細胞は紫外線に対して高感受性を示した。D811アラニン変異をホモに持つ細胞も、D811ストップコドン変異ほどではないが紫外線に対し高感受性を示した(図2参照)。このことからそれぞれの変異が細胞内で表現されていることが確認された。
5.上述の方法においては、XPG cDNAへの部位特異的突然変異の導入による方法を例示したが、cDNAの代わりにゲノムDNAに部位特異的突然変異を導入する常法によることもできる。
【0015】
XPGタンパクは上述のように、ヌクレオチド除去修復においてDNA損傷の3’側にニックを入れる構造特異的ヌクレア−ゼとして機能している。D811ストップコドン変異を持つXPGでは、損傷の3’側および5’ともにニックが入らない。そしてD811アラニン変異では、損傷の3’側にはニックは入らないが、5’にはニックが入る。すなわち、D811アラニン変異ではそれ自身の3’ヌクレア−ゼ活性は失っているが、5’ヌクレア−ゼのERCC(除去修復種間相補遺伝子)1/XPFタンパク複合体が働いて損傷部位の5’側にニックを入れるのをサポートできる。一方、D811ストップコドン変異では811番目のアミノ酸以後を欠失したために構造的に5’ヌクレア−ゼをサポートできず、5’ニッキング活性も失われると考えられる。
【0016】
【実施例】
実施例1
(1) ターゲティングベクター構築のためのマウスXPG(Xpg)遺伝子の単離
マウスXpg cDNA (Genomics 28, 59−65, 1995)をプローブとして用いてマウスES細胞D3ゲノムライブラリー(Mol. Cell. Biol. 19, 2366−2372, 1999)をスクリーニングし、12個のポジティブクローンを得た。Xpg遺伝子は15のエクソンからなるがこれらのクローンはエクソン3からエクソン15下流の及びエクソン15の領域をカバーしていた。
(2)Xpg cDNA への部位特異的突然変異の導入
STARATAGENE社のExSite PCR−Based Site−Directed Mutagenesis Kitを用いて部位特異的突然変異を導入した。変異を導入するため次のプライマーを用いた。
D811A変異プライマー:gccatctggctgtttagggccc(リン酸化)(配列番号1)
D811stop変異プライマー:taaatctggctgtttagggccc(リン酸化)(配列番号2)
リバースプライマー:actatcgtcagtaatcgttccaga (配列番号3)
1)D811A変異Xpgの作製
pSV2Xpg (1μg/μl)        2 μl
dNTPs (25 mM)          1 μl
D811A変異プライマー(75 ng/μl) 2 μl
リバースプライマー (75 ng/μl)   2 μl
dH2O             14.5 μl
10 x 変異誘発バッファー       2.5 μl
Exsite DNAポリメラーゼ (5 U/μl)   1 μl を混合し、以下のPCR反応を行った。
Figure 2004105051
PCR終了後、制限酵素Dpn 1を加え37℃で1時間インキュベートして、元のテンプレートDNA (pSV2Xpg)を分解した。
PCR産物1μl をアガロースゲル電気泳動にかけ、目的の変異を含む約7kbのバンドが有ることを確認して次のステップに進んだ。
Pfu DNAポリメラーゼ (2.5 U/μl)を0.5 μl加え、37℃で20分インキュベートし、PCR産物の3’末端を平滑化した。72℃で30分インキュベートしてポリメラーゼを失活させた後、100 μlの dH2O, 10 μl の10 x 変異誘発バッファー , 5 μl の10mM ATP, 10 μlの T4 DNA リガーゼ(4 U/μl)を加え、37℃で1時間インキュベートしてPCR産物の連結・閉環を行った。3 μlのDNA溶液を用いて大腸菌株XL1−Blueコンピテント細胞を形質転換し、50 μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で、37℃一夜培養した。形成されたコロニー60個からそれぞれプラスミドDNAを抽出し、制限酵素EcoRV消化により突然変異を確認した。オリジナルの配列は、EcoRVで消化されるが、突然変異が導入されるとEcoRV部位が消失するので消化されなくなる。1/10のコロニー由来のプラスミドに突然変異が導入されていた。突然変異部位を含むVspI−ApaI 0.27 kbの塩基配列を決定し二次的変異が導入されていないのを確認後、オリジナルのXpg cDNAのVspI−ApaIを取り除き、変異を有するVspI−ApaI断片と入れ替え、一カ所にのみ望みの変異を導入したXpg cDNAを得た。
【0017】
2) D811stop変異Xpgの作製
変異プライマーとしてD811stop変異プライマーを用い、D811A変異Xpgの作製と同様にして、D811stop変異Xpg cDNAを得た。
(3)位置特異的変異を導入した Xpg cDNA 断片を用いたターゲティングベクターの構築
ターゲティングベクターの構築を図1を用いて以下に説明する。
5’側の相同領域としてHindIII(H)−PstI(P)断片約3.8 kbのXpgゲノムDNAを用いた。5’相同領域の下流に変異を含むXpg cDNAのPstI(P)−BamHI(B)断片2.5 kbを連結し、さらにその下流にloxPで挟まれたPGK−1プロモーターとneo遺伝子(大阪大学、岡部勝博士より入手)をつなぎ、ポジティブセレクションマーカーとした。3’側の相同領域として、Xpg遺伝子のエクソン15の下流のSpeI−ScaI断片約1.9kbをneoの下流に連結した。3’相同領域の下流にはネガティブセレクションマーカーとして、ヘルペスシンプレックスウイルスのTK遺伝子(Mol. Cell. Biol.19, 2366−2372, 1999)をつなぎターゲティングベクターとした。D811A, D811stop及び正常Xpg cDNA断片を含む3種類のターゲティングベクターを得た。
(4)R1 細胞へのターゲティングベクターのエレクトロポレーション
R1細胞は129系マウス胚盤胞から樹立された胚性幹細胞(ES細胞)である(トロント、マウントサイナイ病院のA. Nagy博士より入手)。R1細胞はC57BL/6胎児由来線維芽細胞をフィーダーにし(5 x 10細胞/35mm培養皿)、ヒトLIFを添加(10ユニット/ml)し、20 %牛胎児血清、ヌクレオシド、非必須アミノ酸、2−メルカプトエタノールを含むダルベッコ改変培地で培養した。R1細胞 (10個)を100μlのPBS(+)に浮遊させ、HindIIIで線状化したターゲティングベクターを添加(50μg/mlとなるように)し、島津のソマティックハイブリダイザーSSH−10を用いてエレクトロポレーションした(Mol. Cell. Biol. 19, 2366−2372, 1999)。エレクトロポレーション後、24時間上記培養条件で培養し、その後200μg/mlのG418を含む培地と交換した。毎日G418培地を交換し、約7日間培養を続けた。
(5)相同組み換え体の同定
G418抵抗性のクローンを選択し、増殖させ、一部を凍結保存し、残りの細胞からDNAを抽出した。DNAをEcoRIで消化し、アガロースゲル電気泳動にかけ、5’側報道領域の外側にあるEcoRI(E)−HindIII(H) 0.9kb断片をプローブにして、サザンハイブリダイゼーションを行った。野生型の対立遺伝子では、8.3kbのバンドが認められ相同組み換え体では、8.3kbと5.5kbのバンドが認められた。このことから、対立遺伝子の一方がターゲティングベクターと5’相同領域で相同組み換えを起こしていることが確認された。Neo遺伝子領域にフォワードのプライマー(5’−gcgaaggggccaccaaagaacgg−3’) (配列番号4)を設定し、3’相同領域のScaIの下流でリバースのプライマー(5’−cagtcctggttgtagacacagtacc−3’) (配列番号5)を設定した。PCR条件、94℃ 2分 1サイクル、96℃ 25秒 64℃ 30秒 72℃ 5分 30サイクルで3’側相同領域での相同組み換え体では、約2.3kbのPCR産物が増幅され、ターゲティングベクターと対立遺伝子が3’側相同領域で相同組み換えを起こしていることが確認された。5’側及び3’側の両方で相同組み換えを起こしているクローンを選び出して、以後のキメラマウス作製に用いた。
(6)キメラマウス及び D811A,D811stop 変異導入 Xpg 変異マウスの作製
上記のような相同組み換え体R1細胞をC57BL/6系マウス(放射線医学総合研究所にて生産)胚盤胞に10−15個注入し、仮親子宮に移植した。D811A変異については、20個の胚を、D811stop変異については、60個の胚を、コントロールのXpg cDNAについては42個の胚を計6匹の仮親に移植して、それぞれ9, 18, 20匹の仔を得た。毛色から、それぞれ2匹, 7匹, 5匹がキメラマウスであった。キメラマウスの雄とC57BL/6雌とを交配し生殖系列のキメラが確認され、それぞれの変異の導入されたヘテロ接合体マウスを得た。ヘテロ接合体マウスの雄と雌を交配してそれぞれの変異をホモに持つホモ接合体マウスを得た。
(7)ホモ接合体マウス細胞の紫外線感受性
それぞれの変異をヘテロに持つヘテロ接合体の雄と雌を交配し、それぞれの変異をホモに持つ胎児細胞を得た(Mol. Cell. Biol. 19, 2366−2372, 1999)。これらの変異遺伝子が生体内で機能しているか否かを判定するため、それぞれの変異をホモに持つ細胞の紫外線感受性を調べた。Xpg遺伝子の一部を正常Xpg cDNA断片で置き換えた細胞は、正常細胞と同程度に紫外線抵抗性になることから、cDNA断片で置き換えたXpg遺伝子は正常に機能することがわかった。D811stop変異をホモに持つ細胞は紫外線に対して高感受性を示した。D811A変異をホモに持つ細胞も、D811stopほどではないが紫外線に対し高感受性を示した(図2)。このことからそれぞれの変異が細胞内で表現されていることが確認された。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、ゲノムDNAの代わりにcDNAを用いることにより1つの分子種で、多くの多様な突然変異を導入することを可能にし、細胞への部位特異的突然変異導入を飛躍的に簡便化する方法を提供しうる。
【0019】
【配列表】
Figure 2004105051
Figure 2004105051

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される3種類のターゲティングベクターならびに得られる突然変異体対立遺伝子の例を示す。
【図2】紫外線感受性を示す図。

Claims (12)

  1. cDNAに部位特異的に突然変異を導入し、この変異cDNAをゲノムDNAの一部として用いてターゲティングベクターを構築してなるターゲティングベクター。
  2. 突然変異が欠失、挿入もしくは塩基置換である請求項1記載のターゲティングベクター。
  3. 請求項1もしくは2記載のターゲティングベクターを用いて相同組換えにより該突然変異を細胞に導入してなる細胞。
  4. 請求項3記載の細胞を用いて、変異を導入した変異タンパクを細胞内に産生させる方法。
  5. 請求項4記載の産生した変異タンパクを精製する方法。
  6. 請求項5記載の精製された変異タンパクを動物に注射した後に、血液を採取して抗血清から該変異タンパクに対する抗体を得る抗体の産生方法。
  7. 請求項5記載の精製された変異タンパクをマウスに注射した後に、脾臓を採取しこの脾臓由来のリンパ球を用いて該変異タンパクに対するモノクローナル抗体を得る抗体の産生方法。
  8. 細胞が真核細胞である請求項3記載の細胞。
  9. 細胞がマウスの胚幹(ES)細胞である請求項3記載の細胞。
  10. 請求項9記載のマウスのES細胞を用いて個体もしくは組織を作製する方法。
  11. 細胞が体細胞である請求項3記載の細胞。
  12. 請求項11記載の体細胞を用いて個体もしくは組織を作製する方法。
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