JP2004104281A - 無線機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロック発生回路を内蔵したICからクロック信号ラインを介して他のICにクロック信号を供給する構成の無線機器において、クロック信号ラインから輻射されるクロック信号の高調波成分を低減させて、無線機器の特性劣化を解消する。
【解決手段】クロック発生回路11を内蔵したRF−IC(無線回路部集積回路)10のクロック出力端子13からBB−IC(ベースバンド処理集積回路)20のクロック入力端子21へクロック信号を供給するクロック信号ライン50にチップコンデンサ60の一端を接続し、チップコンデンサ60の他端をグランド(GND)に接続する。チップコンデンサ60の自己共振機能を利用し、クロック信号の高調波成分の中で無線機器の動作に悪影響を与える周波数帯の高調波成分を大きく減衰させることができる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基準クロック発生回路を他のIC(集積回路)と共用する回路構成の無線機器に関し、特に、クロック信号の高調波成分を低減させることで受信感度特性等の劣化を防止するようにした無線機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の無線機器の要部ブロック構成であって、具体的には無線LANカードの要部構成を示している。従来の無線機器100は、高周波回路部を構成するRF−IC(無線回路部集積回路)110と、ベースバンド処理回路を構成するBB−IC(ベースバンド処理集積回路)120とから構成されている。RF−IC110にはアンテナ130が接続されている。無線機器100は、例えば5GHz(ギガヘルツ)帯の周波数を利用して、データの送受信を行うことができるようになっている。
【0003】
RF−IC110は、基準クロックを発生するためのクロック発生回路111を内蔵している。クロック発生回路111には水晶振動子140が接続されている。クロック発生回路111で発生されたクロック信号は内部回路へ供給されるとともに、バッファ回路112を介してクロック出力端子113に出力される。
【0004】
RF−IC110のクロック出力端子113とBB−IC120のクロック入力端子121とはクロック信号ライン150で接続されている。BB−IC120は、RF−IC110側で発生したクロック信号の供給を受けて動作するようになっている。このようにクロック発生回路111を共用することで、回路規模及び部品点数の削減を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無線機器は、クロック信号ライン150を介してクロック信号を供給しているので、クロック信号ライン150からクロック信号の高調波成分が輻射される。無線チャンネルの使用周波数帯域内にクロック信号の高調波成分があると、無線信号の信号対雑音比(S/N)が低下し、受信データのエラー率が高くなり、データ転送速度が低下する等の通信品質の低下につながることがある。
【0006】
また、RF−IC110内の受信部(不図示)がスーパーヘテロダイン構成である場合、中間周波数帯域や影像(イメージ)周波数帯域内にクロック信号の高調波成分があると、信号対雑音比(S/N)が低下し、受信感度特性が劣化することがある。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、無線機器の動作に悪影響を与えるクロック信号の高調波成分を低減させることで受信感度特性等の劣化を防止するようにした無線機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、クロック発生回路を内蔵したICから他のICへクロックを供給するためのクロック信号ラインを備えた無線機器であって、クロック信号ラインと基準電位ライン(例えばグランド)との間にコンデンサが接続されていることを特徴とする無線機器によって達成される。
【0009】
クロック信号ラインと基準電位ライン(例えばグランド)との間にコンデンサを接続することで、クロック信号ラインから輻射されるクロック信号の高調波成分を低減させることができる。これにより、高調波成分によって無線機器の動作に悪影響が生ずることを低減できる。
【0010】
なお、チップコンデンサを用いることで、チップコンデンサの自己インダクタンスと容量とからなる直列共振回路の共振を利用して、特定の周波数帯域の高調波成分を大きく減衰させることができる。
【0011】
また、コンデンサの容量を選定することで、無線信号の受信に影響を与える周波数帯域の高調波成分を減衰させることができる。例えば、無線チャンネルの使用周波数帯域内の高調波成分を減衰させるようにコンデンサの容量を設定することで、送受信信号のS/Nを改善できる。受信部がヘテロダイン構成である場合には、中間周波数帯域内の高調波成分を減衰させるようにコンデンサの容量を設定し、また、影像周波数帯域内の高調波成分を減衰させるようコンデンサの容量を設定することで、受信感度特性の劣化を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による無線機器について図1乃至図4を用いて説明する。本実施の形態による無線機器の一例として無線LANカードを用い、図1はその要部ブロック構成を示している。
【0013】
図1に示す無線機器1は、高周波回路部を構成するRF−IC(無線回路部集積回路)10と、ベースバンド処理回路を構成するBB−IC(ベースバンド処理集積回路)20とから構成されている。RF−IC10にはアンテナ30が接続されている。無線機器1は、例えば5GHz(ギガヘルツ)帯の周波数を利用して、データの送受信を行うことができるようになっている。
【0014】
RF−IC10は、基準クロックを発生するためのクロック発生回路11を内蔵している。クロック発生回路11には水晶振動子40が接続されている。クロック発生回路11で発生されたクロック信号は内部回路へ供給されるとともに、バッファ回路12を介してクロック出力端子13に出力される。
【0015】
RF−IC10のクロック出力端子13とBB−IC20のクロック入力端子21とはクロック信号ライン50で接続されている。BB−IC20は、RF−IC10側で発生したクロック信号の供給を受けて動作するようになっている。
【0016】
クロック信号ライン50とグランド(GND)との間には、コンデンサ60が接続されている。コンデンサ60としては、チップコンデンサ(例えばチップセラミックコンデンサ)を用いることができる。
【0017】
なお、クロック信号ライン50と正極側電源(例えばVCC電源)との間にコンデンサ60を設けるようにしてもよい。また、クロック信号ライン50とグランド(GND)との間及びクロック信号ライン50と正極側電源(例えばVCC電源)との間にそれぞれコンデンサ60を接続するようにしてもよい。クロック信号ライン50には、高調波成分の発生を低減させるためのダンピング用の抵抗やフェライト製のビーズ等が接続されていてもよい。
【0018】
クロック信号ライン50とグランド(GND)または正極側電源(例えばVCC電源)との間にコンデンサ60を接続することで、クロック信号ライン50から輻射されるクロック信号の高調波成分を低減させることができる。これにより、高調波成分によって無線機器の動作に悪影響が生ずることを低減できる。
【0019】
図2はチップコンデンサの等価回路図である。図2に示すように、チップコンデンサは、高周波領域においては、コンデンサの端子形状や電極形状等によって決定される自己インダクタンスLと容量Cとの直列回路で等価することができる。自己インダクタンスLは、チップサイズによって主に決定される。このため、同一チップサイズであればコンデンサの容量値が異なっても、自己インダクタンスLはそれほど変化しない。
【0020】
クロック信号ライン50とグランド(GND)または正極側電源(例えばVCC電源)との間にチップコンデンサを接続することで、自己インダクタンスLと容量Cとの直列回路からなる直列共振回路を設けたことと等価となる。すなわち、上記自己インダクタンスLと容量Cとの直列回路からなる直列共振回路の共振周波数で減衰量が最大となるトラップ型フィルタが、クロック信号ライン50に接続されたことと等価になる。そして、チップコンデンサの容量値を適宜設定することによって、クロック信号の高調波成分の減衰量が大きくなる周波数範囲を調整することができる。
【0021】
したがって、上記共振周波数が無線チャンネルの使用周波数帯域となるようにコンデンサの容量値を設定することで、クロック信号の高調波成分の中で無線チャンネルの使用周波数帯域の高調波成分を大きく減衰させることができる。これにより、無線送受信信号のS/Nを改善することができる。
【0022】
また、受信部がスーパーヘテロダイン構成である場合には、上記共振周波数が中間周波数帯域となるようにコンデンサの容量値を設定することで、クロック信号の高調波成分の中で中間周波数帯域の高調波成分を大きく減衰させることができる。これにより、中間周波増幅段等にクロック信号の高調波成分が混入するのを防止し、良好な受信特性を確保することができる。同様に、上記共振周波数が影像(イメージ)周波数帯域となるようにコンデンサの容量値を設定することで、クロック信号の高調波成分の中で影像(イメージ)周波数帯域の高調波成分を大きく減衰させることができる。これにより、イメージ混信の発生を低減し、受信特性を良好なものとすることができる。
【0023】
図3は本実施の形態による無線機器の他の構成例を示している。図3に示す無線機器1Aは、クロック信号ライン50に高調波成分の発生を低減させるためのダンピング用の抵抗70を接続するとともに、クロック信号ライン50に容量値の異なる複数(2つ)のコンデンサ60,61がそれぞれ接続されている。各コンデンサ60,61の容量値を異ならせることで、クロック信号の高調波成分を広い周波数範囲に亘って減衰させることができる。
【0024】
図4は、図3に示す無線機器の変形例であって、減衰させたい高調波成分毎にコンデンサの容量を選定し、複数個のコンデンサを配置することを特徴としている。なお、図4では、RF−IC10及びBB−IC20の図示は省略している。図4(a)は、クロック信号ライン50での複数の高調波成分の発生を低減させるために、ダンピング用の抵抗71を接続するとともに、クロック信号ライン50に4つのコンデンサ62,63,64,65を接続した構成を示している。例えば、コンデンサ62,63には5GHz帯の高調波成分を減衰させるために所定のピコ・ファラッド(pF)単位の容量のコンデンサを選定し、コンデンサ64,65には2.5GHz帯の高調波成分を減衰させるために所定のpF単位の容量のコンデンサを選定する。この構成によれば、例えば5GHz帯の周波数を利用する無線機器と2.5GHz帯の周波数を利用する無線機器とを組み合わせた無線装置に対して、5GHzと2.5GHzの双方の高調波成分を減衰させることができる。また、図4(b)に示すように、ダンピング用の抵抗72,73を直列に接続するとともに、クロック信号ライン50に4つのコンデンサ66,67,68,69を接続した構成にしても同様の効果を得ることができる。
【0025】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では無線機器の一具体例としての無線LANカードを用いたが、本発明はそれに限らず、携帯電話機や近距離無線通信装置等の各種の無線機器に適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の無線機器は、クロック信号ラインと基準電位ライン(例えばグランド)との間にコンデンサを接続したので、クロック信号ラインから輻射されるクロック信号の高調波成分を低減させることができる。これにより、高調波成分によって無線機器の動作に悪影響が生ずることを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による無線機器としての無線LANカードの要部ブロック構成図である。
【図2】チップコンデンサの等価回路図である。
【図3】本発明の一実施の形態による無線機器の他の実施例を示す図である。
【図4】図3に示す実施例の変形例を示す図である。
【図5】従来の無線機器の要部ブロック構成図である。
【符号の説明】
1,1A 無線機器
10 RF−IC(無線回路部集積回路)
11 クロック発生回路
12 バッファ回路
13 クロック出力端子
20 BB−IC(ベースバンド処理集積回路)
21 クロック入力端子
30 アンテナ
40 水晶振動子
50 クロック信号ライン
60,61 コンデンサ
70 抵抗
C 容量
L 自己インダクタンス

Claims (7)

  1. クロック発生回路を内蔵したICから他のICへクロックを供給するためのクロック信号ラインを備えた無線機器であって、
    前記クロック信号ラインと基準電位ラインとの間にコンデンサが接続されていることを特徴とする無線機器。
  2. 請求項1記載の無線機器であって、
    前記コンデンサはチップコンデンサであることを特徴とする無線機器。
  3. 請求項1又は2に記載の無線機器であって、
    前記コンデンサの容量は、前記クロック信号の高調波成分の中で少なくとも無線信号の受信に影響を与える周波数帯域の高調波成分を減衰させるよう設定されていることを特徴とする無線機器。
  4. 請求項1又は2に記載の無線機器であって、
    前記コンデンサの容量は、前記クロック信号の高調波成分の中で少なくとも無線チャンネルの使用周波数帯域内の高調波成分を減衰させるよう設定されていることを特徴とする無線機器。
  5. 請求項1又は2に記載の無線機器であって、
    前記コンデンサの容量は、前記クロック信号の高調波成分の中で少なくとも中間周波数帯域内の高調波成分を減衰させるよう設定されていることを特徴とする無線機器。
  6. 請求項1又は2に記載の無線機器であって、
    前記コンデンサの容量は、前記クロック信号の高調波成分の中で少なくとも影像周波数帯域内の高調波成分を減衰させるよう設定されていることを特徴とする無線機器。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無線機器であって、
    減衰させたい高調波成分毎に前記コンデンサの容量を選定し、複数個の前記コンデンサを配置することを特徴とする無線機器。
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