JP2004103802A - 電界効果型トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度に集積化が可能であり、かつ、特性のばらつきの少ない電荷効果型トランジスタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】電界効果型トランジスタ101は、第1の電極7が設けられた基板2と、基板上に設けられた絶縁層6と、絶縁層6の表面から基板2側へ延び、少なくとも一部が第1の電極7に達するように設けられたナノホール8と、第1の電極7と電気的に接続するよう、ナノホール8内に設けられており、半導体特性を有するカーボンナノチューブ14と、ナノホール内に設けられたゲート電極9と、ナノホール内においてカーボンナノチューブ14とゲート電極9とに挟まれたゲート絶縁層12とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】電界効果型トランジスタ101は、第1の電極7が設けられた基板2と、基板上に設けられた絶縁層6と、絶縁層6の表面から基板2側へ延び、少なくとも一部が第1の電極7に達するように設けられたナノホール8と、第1の電極7と電気的に接続するよう、ナノホール8内に設けられており、半導体特性を有するカーボンナノチューブ14と、ナノホール内に設けられたゲート電極9と、ナノホール内においてカーボンナノチューブ14とゲート電極9とに挟まれたゲート絶縁層12とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブ(「CNT」と略す場合がある)は、六角の網目状に配列された炭素原子41からなるグラファイトシートを円筒状に丸めた構造を備えている。一層のグラファイトシートからなる単層カーボンナノチューブおよび複数のグラファイトシートからなる多層カーボンナノチューが知られている。単層カーボンナノチューブは一般に1〜2nmの直径を備え、多層カーボンナノチューブは数nmから数十nmの直径を備える。種々の長さのカーボンナノチューブが合成されており、数μmの長さを有するものも作製されている。
【0003】
カーボンナノチューブの電気的特性は、直径や六角網目状構造の螺旋の巻き方(カイラリティ)によって変化する。これまでに、金属と等しい電気的特性を有するものや、さまざまな大きさのバンドギャップを持ち、半導体特性を備えたものが合成されている。また、熱伝導性に優れるため、電子デバイスにカーボンナノチューブを用いた場合、安定な動作を示すことが期待されている。
【0004】
このようなカーボンナノチューブを用いて、電界効果トランジスタ(FET)を作製した結果が、例えば非特許文献2に報告されている。図23にこのトランジスタの構造を示す。この報告によれば、図23に示すように、絶縁層43が形成されたゲート電極基板42上にソース電極44およびドレイン電極45を設け、この上にカーボンナノチューブの束を広げて、偶然ソース電極44およびドレイン電極45にまたがったカーボンナノチューブ46がある部分をトランジスタとしている。
【0005】
しかしながら、この方法では、トランジスタの位置を制御することが不可能であり、このようなトランジスタを量産することは難しい。また、トランジスタの集積度を高めることも困難である。
【0006】
このような問題を克服する方法として、非特許文献3には、陽極酸化によるポーラスアルミナ48中のカーボンナノチューブ50を用いた電界効果型トランジスタが報告されている。非特許文献2によるトランジスタは、図24および図25に示すように、ナノホール49を有するアルミナ(酸化アルミニウム)48内に設けられたカーボンナノチューブ50を備える。カーボンナノチューブ50の一端はソース電極53に接続される。カーボンナノチューブ50の他端は、アルミナ48上に酸化シリコン膜51を介して形成されたドレイン電極52と接続される。ドレイン電極52上には、ゲート絶縁膜54を介してゲート電極55が形成される。このトランジスタは、ゲート電極55に印加する電圧によってカーボンナノチューブ50を介してソース電極53からドレイン電極52へ流れる電流を制御することができる。
【0007】
この方法によれば、アルミナ48のナノホール49内にカーボンナノチューブ50が形成されるため、ナノホール49の位置を制御することによって、カーボンナノチューブを用いたトランジスタの位置を調節することができる。また、トランジスタを高度に集積することも可能である。
【0008】
ナノホール49を有するアルミナ48は、非特許文献4において報告されているように、酸性電解質中でアルミニウムを陽極酸化することによって作製することができる。ナノホールの直径は数nmから数百nmであり、隣接するナノホールとの間隔は、数nmから数百nmである。このナノホールは、従来のリソグラフィー技術を用いることなく、自己組織化的に配列してアルミナ中に形成される。陽極酸化の条件を最適化することによって、ハニカム構造のアルミナを形成するもできる。
【0009】
ナノホールを有するアルミナを用いてカーボンナノチューブを配列し、トランジスタを形成する技術は、非特許文献5にも開示されている。また、非特許文献6は、ナノホールの底部に触媒金属を堆積することによりカーボンナノチューブを低温で形成することができると報告している。図24および図25に示すトランジスタもこの方法により作製されている。具体的には、以下の方法により、作製される。
【0010】
まず、アルミニウム板を酸性電解溶液(シュウ酸溶液)中で陽極酸化することにより、複数のナノホール49を有する酸化アルミナ48を形成する。ナノホール49の底部にのみ電解めっきにより触媒金属(コバルト)を堆積した後、一酸化炭素中で熱処理して触媒金属を活性化させる。次に、炭化水素ガス(アセチレン)を用いてナノホール49内にカーボンナノチューブ50を作製する。この時、選択的にカーボンナノチューブ50をナノホール49a内に形成するため、カーボンナノチューブ50を形成すべき部分以外は、酸化シリコン膜なのでマスクしておく。その後、ソース電極53、ドレイン電極52、ゲート絶縁膜54およびゲート電極55を形成するために、それぞれの電極材料や絶縁膜を堆積し、パターニングを行う。
【0011】
【非特許文献1】
「ネイチャー(Nature)」1991年、354巻、56頁
【非特許文献2】
「ネイチャー(Nature)」1998年、393巻、49頁
【非特許文献3】
「アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)」2001年、79巻、3696頁
【非特許文献4】
「ネイチャー(Nature)」1989年、337巻、149頁
【非特許文献5】
「ケミカル・マテリアル(Chemical Material)」1996年、8巻、2190頁
【非特許文献6】
「アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)」1999年、75巻、367頁
【非特許文献7】
「材料化学」2001年、38巻、262頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図24および図25に示すトランジスタでは、カーボンナノチューブの長さにばらつきが生じ易い。このため、ドレイン電極とカーボンナノチューブとの電気的接続を確実かつ均一に行うことができず、再現性および信頼性にかける。その結果、複数のトランジスタを集積化した場合、特性にばらつきが発生したり、正しく動作しないトランジスタが含まれるといった問題が生じる。
【0013】
また、カーボンナノチューブを形成するために、ナノホールの側面に広く触媒金属が堆積すると、触媒金属が導電層となり、ソース−ドレイン間が導通してしまう。このため、ナノホールの底部にのみ触媒金属が堆積するよう、ナノホールの直径はある程度大きく(たとえば20〜30nm)しなければならない。このことは、トランジスタの集積密度を高める上で妨げとなる。
【0014】
さらに、アルミニウム基板のみをカーボンナノチューブを配設するための鋳型として用いているため、プロセス上ハンドリングが可能な程度の厚みをアルミニウム基板は備えている必要がある。アルミニウム基板の厚さは、ナノホールの深さとなり、カーボンナノチューブの長さに対応するため、カーボンナノチューブの長さを十分短くすることができないという問題が生じる。
【0015】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決し、高密度に集積化が可能であり、かつ、特性のばらつきの少ない電荷効果型トランジスタおよびその製造方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界効果型トランジスタは、第1の電極が設けられた基板と、前記基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の表面から前記基板側へ延び、少なくとも一部が前記第1の電極に達するように設けられたナノホールと、前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ナノホール内に設けられており、半導体特性を有するカーボンナノチューブと、前記ナノホール内に設けられたゲート電極と、前記ナノホール内において前記カーボンナノチューブと前記ゲート電極とに挟まれたゲート絶縁層とを備えている。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記ナノホールは、前記第1の電極上において前記基板と垂直に形成されている。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記電界効果型トランジスタは、前記絶縁層の表面に支持されており前記カーボンナノチューブと電気的に接続された第2の電極を更に備える。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記第2の電極はグラファイトからなる。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記ゲート電極が前記ナノホールの側面に接するように設けられている。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記カーボンナノチューブが前記ナノホールの側面に接するように設けられている。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記絶縁層および前記ナノホールは、アルミニウムを主成分とする金属を陽極酸化することによって得られるナノホールを備えたアルミナである。
【0023】
また、本発明のトランジスタアレイは、前記電界効果型トランジスタを複数備え、前記複数の電界効果型トランジスタのナノホールは第1の方向および第2の方向に沿って二次元に配置されている。
【0024】
また、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法は、(a)基板上に第1の電極を形成する工程と、(b)複数のナノホールを有する絶縁層を、前記複数のナノホールの少なくとも1つが前記第1の電極上に位置するよう、前記基板上に形成する工程と、(c)半導体特性を有し、前記第1の電極と電気的に接続されたカーボンナノチューブと、ゲート電極と、前記カーボンナノチューブおよび前記ゲート電極に挟まれたゲート絶縁層とを前記少なくともひとつのナノホール内部に形成する工程とを包含する。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記工程(b)は、(b1)前記基板上にアルミニウム層を形成する工程と、(b2)前記アルミニウム層を陽極酸化することにより、前記絶縁層を形成する工程とを含む。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記工程(a)は、(a1)前記第1の電極の表面が凹部となるよう、前記第1の電極の周りに前記第1の電極よりも厚い絶縁層を形成する工程を更に含む。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記絶縁層に形成された複数のナノホールは、規則的に配列されている。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電極を形成する工程において、前記第1の電極は、前記基板上において互いに平行に延びるよう複数設けられ、前記複数の第1の電極の間隔と、前記複数のナノホールの配列間隔と一致するような条件で前記(b2)工程を行う。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c)は、(c1)前記ナノホール内にゲート電極を形成する工程と、(c2)前記ゲート電極の一部および前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、(c3)前記ナノホール内において、前記第1の電極の一部が前記ナノホール内において露出するよう、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、(c4)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ゲート絶縁層上にカーボンナノチューブを形成する工程とを含む。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c4)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c)は、(c11)前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、(c12)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、カーボンナノチューブを形成する工程と、(c13)前記ナノホール内において、前記カーボンナノチューブ上にゲート絶縁層を形成する工程と、(c14)前記ナノホール内において、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する工程とを含む。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c12)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の電界効果型トランジスタおよびトランジスタアレイの第1の実施形態を説明する。
【0034】
図1は本発明の電界効果型トランジスタ101の断面を模式的に示している。電界効果型トランジスタ101は、第1の電極7が設けられた基板2と、基板2に支持された絶縁層6とを含む。絶縁層6には、その表面6aから基板2へ向かって伸びるナノホール8が形成されており、ナノホール8の底部に設けられた孔11によって、ナノホール8の一部が第1の電極7に達している。また、ナノホール8は、基板2に対して実質的に垂直に形成されている。本願明細書において「ナノホール」とは、数nmから数百nmの直径を有する微細穴を意味する。
【0035】
後述するように、絶縁層6が設けられる下地として、第1の電極7の表面が窪んでいることが好ましい。このため、第1の電極7の周囲に第1の電極7よりも厚い絶縁層4を基板2上に形成している。また、ナノホール8は第1の電極7上において基板2と垂直に伸びるように形成されていることが好ましい。
【0036】
基板2は、絶縁性を備えていることが好ましく、例えば、ガラス基板、絶縁性シリコン基板などを基板2として用いることができる。第1の電極7は、半導体プロセスにおいてオーミック電極として用いられる種々の金属や、不純物がドープされたシリコンなどを用いて形成される。第1の電極7は単層である必要はなく、例えば、チタン/金からなる2層構造を備えていてもよい。絶縁層4は、酸化シリコンや窒化シリコンなど、半導体プロセスにおいて絶縁性膜として用いられる種々の材料から形成される。
【0037】
基板2の厚さは、任意に設定し得る。絶縁層6が、プロセス上、ハンドリングが可能な程度な厚さを有していない場合には、基板2の厚さは、例えば、数百μmであることが好ましい。このような厚さの基板2を用いることによって、電界効果型トランジスタ101を作製する際、基板が破損することがなく、また、従来の半導体製造装置を用い、従来の半導体製造プロセスを利用して電界効果型トランジスタ101を作製することができる。
【0038】
基板2として絶縁性のシリコン基板を用いる場合には、シリコン基板に不純物を導入して第1の電極7を形成することができる。また、第1の電極7が形成された領域以外に酸素イオンを注入して絶縁層4を形成することができる。その後、第1の電極7となる不純物の注入された領域と、絶縁層4となる酸素イオンの注入された領域とのエッチング特性の差異を利用して、第1の電極7となる不純物の注入された領域の表面が窪むように、選択的なエッチングを行ってもよい。
【0039】
ナノホール8の直径は、ナノホール8の内部に設けられるカーボンナノチューブ14の直径に依存している。絶縁層6に上述した寸法を備えるナノホール8が形成可能である限り、絶縁層6は、半導体装置に用いられる種々の絶縁材料のいずれかを用いて形成することができる。しかし、上述したような微細な直径と、直径に対して比較的深さの大きい穴を形成することは一般に難しい。このため、ナノホール8を有する絶縁層6として、アルミニウム層を陽極酸化することによって得られナノホールを備えたアルミナを用いることが好ましい。アルミニウム層は、アルミニウムを主成分としている限り、アルミニウム以外の添加元素を含んでいてもよい。アルミニウム層はスパッタリング法、真空蒸着法、化学気相堆積(CVD)法などによって形成できる。後述するように、陽極酸化の条件を適切に調節することによって、複数のナノホールが二次元に配列されたアルミナを形成することができ、電界効果型トランジスタ101が二次元に配列されたトランジスタアレイを作製することもできる。
【0040】
ナノホール8の内部には、孔11を介して第1の電極と電気的に接続されたカーボンナノチューブ14が設けられている。一方、ナノホール8の側面にはゲート電極9が設けられており、ゲート電極9がカーボンナノチューブ14と電気的に絶縁されるように、ゲート電極9とカーボンナノチューブ14との間にはゲート絶縁層12が設けられている。
【0041】
絶縁層6の表面6aにはゲート電極9に接続された配線10が設けられている。また、配線10を覆うようにゲート絶縁層12が絶縁層6の表面6aにも形成されている。カーボンナノチューブ14の一端は、絶縁層6の表面6a上に支持される第2の電極15に電気的に接続される。
【0042】
カーボンナノチューブ14は、電界効果型トランジスタ101の用途に適した半導体特性を備えている。カーボンナノチューブ14の半導体としての電気的特性は、その直径や六角網目状構造の螺旋の巻き方(カイラリティ)を変化させることのよって調整することができる。カーボンナノチューブの電気的特性とこれらの物理的構造との関係はよく研究されており、公知である。
【0043】
ゲート電極9およびゲート絶縁層12は、半導体装置に用いられる種々の導電材料および絶縁材料のいずれかを用いて形成することができる。例えば、ゲート電極9およびゲート絶縁層12として、不純物が添加された多結晶シリコンおよびシリコン酸化膜を好適に用いることができる。配線10は、ゲート電極9と同じ材料により、一体的に形成してもよいし、同じ材料あるいは異なる導電性材料を用いてゲート電極9とは別の工程により作製してもよい。
【0044】
また、第1の電極7と同様、第2の電極15は、半導体プロセスにおいてオーミック電極として用いられる種々の金属や、不純物がドープされたシリコンなどを用いて形成される。第1の電極7は単層である必要はなく、例えば、チタン/金からなる2層構造を備えていてもよい。また、カーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する際、ゲート絶縁層12上に同時に形成されるグラファイトを第2の電極15として用いてもよい。この場合には、カーボンナノチューブ14と第2の電極15とを確実かつ低い接触抵抗で電気的に接続することができるという利点がある。
【0045】
なお、第1の電極7および第2の電極15は、ドレイン電極およびソース電極として機能する。本実施形態では、第1の電極7をドレイン電極とし、第2の電極8をソース電極として用いるが、逆の組み合わせを用いてもよい。第1の電極7および第2の電極8はカーボンナノチューブ14とオーミック接合していることが好ましい。
【0046】
上述したように、カーボンナノチューブ14の電気的特性は、カーボンナノチューブ14の直径に依存している。このため、電界効果型トランジスタ101を設計する場合には、まず、カーボンナノチューブ14に求められる電気的特性を決定し、その特性を実現するために必要なカーボンナノチューブ14の直径を決定する。非特許文献7に報告されているように、カーボンナノチューブのエネルギーバンドギャップはカーボンナノチューブの直径に反比例することが知られている。カーボンナノチューブの直径は概ね0.7〜30nmの範囲にあり、対応するバンドギャップは1.85〜0.044eVである。
【0047】
次に、カーボンナノチューブ14が挿入されるナノホール8の直径を検討する。一般に、薄膜が1nm以上の厚さを有している場合、その薄膜には孔がなく、均一な連続膜となることが知られている。このため、ゲート電極9およびゲート絶縁層12は、1nm以上の厚さであることが好ましい。ナノホール8の直径は、カーボンナノチューブ14の直径にゲート電極9およびゲート絶縁層12の厚さを加えた値になる。
【0048】
後述するようにナノホール8をアルミニウム層の陽極酸化によって形成し、電界効果型トランジスタ101をアレイ状に複数配列する場合、ナノホール8の直径を任意に変化させることができない場合がある。このような場合には、ゲート電極9およびゲート絶縁層12の厚さを調整することによって、カーボンナノチューブ14の電気的特性および電界効果型トランジスタ101の配置を同時に満足させることができる。
【0049】
ナノホール8の深さは、電界効果型トランジスタ101におけるチャネル幅(ソース−ドレイン間距離)に関係しており、電界効果型トランジスタ101に要求される特性に応じて任意の値に調整しうる。ナノホール8をアルミニウム層の陽極酸化によって形成する場合には、アルミニウム層の厚さを変化させることによってナノホール8の深さを調整することができる。
【0050】
カーボンナノチューブ14の直径が上述の範囲にあり、電界効果型トランジスタ101をスイッチング素子として用いる場合、絶縁層6に形成されるナノホール8の直径は、例えば、5nm〜50nmであり、深さは、50nm〜500nmであることが好ましい。
【0051】
図2に示すように、本実施形態の電界効果型トランジスタ101は、典型的には、二次元に配列されたトランジスタアレイ111を構成している。トランジスタアレイ111において、各界効果型トランジスタ101の第1の電極7は第1の方向に隣接する電界効果型トランジスタ101の第1の電極7と接続されており、第1の電極7は第1の方向に伸びる配線を形成している。また、第2の電極15は、第2の方向に隣接する電界効果型トランジスタ101の第2の電極8と接続されており、第2の電極15は第2の方向に伸びる配線を形成している。また、ゲート電極9に接続された配線10も第3の方向隣接する電界効果型トランジスタ101の配線10と接続され、配線10は第3の方向に伸びる配線を形成している。第3の方向は第1の方向と同じであってもよい。図2では、第1の電極7、第2の電極15および配線10のいずれもが隣接する電界効果型トランジスタ101と接続されている。しかし、例えば、トランジスタアレイ111において、各電界効果型トランジスタ101の第1の電極7は独立させておき、表示素子や二次元検出素子を駆動するマトリクス基板を構成してもよい。
【0052】
次に、図1から図12を参照して、トランジスタアレイ111および電界効果型トランジスタ101の製造方法を説明する。図3に示すように、例えばガラスからなる基板2上にニオブからなる導電層1を形成し、フォトレジスト3を用いて導電層1をパターニングする。図4に示すように、導電層1をパターニングして第1の電極7を形成した後、フォトレジスト3によって覆われていない基板2の領域に絶縁層4を形成し、フォトレジスト3を除去する。図4において、第1の電極7は紙面の手前から奥に向かって延びている。また、第1の電極7は互いに平行となるよう複数基板2上に配列されている。
【0053】
絶縁層4を形成したあとの基板2の表面は、第1の電極7の部分において窪んでいるように第1の電極7よりも絶縁層4のほうが厚く形成されていることが好ましい。本実施形態では、厚さ150nmの導電層1と厚さ200nmの絶縁層4を形成することによって、第1の電極7の表面を窪ませている。
【0054】
シリコン基板を基板2として用いる場合には、たとえば図5に示すように、シリコンからなる基板2上に、第1の電極7となる領域を露出したパターンを有するフォトレジスト3’を形成する。フォトレジスト3’を用いて基板2に不純物を注入することによって、たとえば、n+シリコンからなる第1の電極7を基2の表面に形成する。次に図6に示すように、第1の電極7を覆うフォトレジスト3’’を形成し、フォトレジスト3’’をマスクとして基板2に酸素を注入する。あるいは、他の方法によって、基板2の露出した部分を表面酸化させてもよい。このようにして、絶縁層4を形成する。その後、フォトレジスト3’’を除去し、第1の電極7と絶縁層4との化学的性質の差異を利用して、第1の電極7の表面を選択的にエッチングし、第1の電極7の表面を絶縁層4に比べて窪ませる。
【0055】
図7に示すように、第1の電極7および絶縁層4を覆うように、基板2上に厚さ200nmのアルミニウム層5を形成する。形成したアルミニウム層5の表面は、下地の形状を反映するので、第1の電極7の部分において、凹部5’が形成される。
【0056】
次に基板2を酸性溶液に漬浸し、第1の電極7に電圧を印加しながら陽極酸化を行う。この時、アルミニウム層5の凹部5’が形成されている部分は、他の部分に比べて厚みが小さく、高い電圧が印加される。このため、ナノホールは第1の電極7上に選択的に形成される。複数のナノホール8をアレイ状に形成し、トランジスタアレイ111を作製する場合には、自己組織化的に形成されるアレイ状のナノホール8のピッチと複数の第1の電極7のピッチとを一致させ、各第1の電極7にナノホール8を形成する必要がある。このため、第1の電極7の間隔と陽極酸化の条件とを調整しておく。第1の電極7の電極間にトランジスタとして利用しないナノホール8が形成されていてもよい。本実施形態の場合、第1の電極7の電極間隔は、たとえば50nmに設定することができる。
【0057】
また、この場合、複数の電界効果型トランジスタ101を第1の電極7が伸びる方向に沿って形成する必要がある。隣接する複数の電界効果型トランジスタ101の間隔を調整するために、例えば、イオン注入などのよって、アルミニウム層5の凹部5’の底部に窪みを設けてもよい。窪みを設けることによって、凹部5’のなかでもさらに電界の高い部分が形成され、陽極酸化時におけるエッチングの開始点となる。
【0058】
図8に示すように、陽極酸化が進むと、アルミニウム層5が酸化され、アルミナからなる絶縁層6に変化するともに、ナノホール8が形成される。アルミニウム層5が完全に酸化されても、ナノホール8は第1の電極7には到達せずに、アルミナからなるバリア層6aがナノホール8の底部に形成される。得られたナノホールの直径は約30nmであり、深さは、約300nmである。
【0059】
次に図9に示すように、ナノホール8の内部および絶縁層6上に厚さ10nmの多結晶シリコンを堆積し、絶縁層6の上に形成された多結晶シリコンをパターニングすることによって、ゲート電極9および配線10を一体に形成する。その後、図10に示すようにナノホール8の底部に位置するゲート電極8の一部およびバリア層6aの一部を除去し、ナノホール8の底部に孔11を設ける。孔11によって、ナノホール8の一部は第1の電極7に達するようになり、第1の電極7の一部がナノホール8内において露出している。
【0060】
図11に示すように、次に厚さ3nmのゲート絶縁層12をナノホールの内部および絶縁層6上に形成する。ゲート絶縁層12としては、たとえば、CVD法による酸化シリコン膜を用いることができる。図11および図12に示すように、ナノホール8の底部に堆積したゲート絶縁層12の一部13を除去して、第1の電極7の一部をナノホール8内において露出させた後、直径4nmのカーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する。カーボンナノチューブ14を形成するために、ナノホール8内に触媒金属をあらかじめ堆積しておいてもよいし、触媒金属を堆積しなくてもよい。カーボンナノチューブ14は、公知の方法により形成される。
【0061】
カーボンナノチューブ14を形成する際、形成条件を適切に選ぶことによって、カーボンナノチューブ14の形成と同時に、ゲート絶縁層12上にグラファイトを形成することができる。このグラファイトは、カーボンナのチューブ14と連続して形成されるため、低い接触抵抗で、かつ確実に、カーボンナノチューブ14と電気的接続される。このため、ゲート絶縁層12上に形成されるグラファイトをパターニングして第2の電極14としてもよい。ゲート絶縁層12上に形成されるグラファイトを利用しない場合には、ゲート絶縁層12上多結晶シリコンや金属からなる導電膜を形成し、パターニングすることによって、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極14を形成してもよい。このようにして図1に示す電界効果型トランジスタ101および図2に示すトランジスタアレイ111が形成される。
【0062】
本実施形態によれば、基板2上に設けられた絶縁層6にナノホール8を形成し、ナノホール8内にカーボンナノチューブ14を配設している。このため、電界効果型トランジスタ101のチャネル幅を短くするために、絶縁層6の厚さを小さくすることによって、ナノホール8を浅くし、カーボンナノチューブ14を短くしても、基板2の厚さを調節することによって、電界効果型トランジスタ101を作製する基板全体をプロセス上ハンドリングが可能な程度な厚さにすることができる。その結果、従来の半導体製造技術を用いて、微細な電界効果型トランジスタおよびそれを用いたトランジスタアレイを作製することができる。
【0063】
また、電界効果型トランジスタ101において、ナノホール8は、チャネルとなるカーボンナノチューブ14の直径およびチャネル幅となるカーボンナノチューブ14の長さを規定する。このため、所望の寸法を備えたナノホール8を形成すれば、第1の電極7、ゲート電極9、カーボンナノチューブ14および第2の電極15はパターニングしなくても、所望の特性を備えた電界効果型トランジスタ101を得ることができる。
【0064】
特に、第2の電極15として、カーボンナノチューブ14の形成時に同時に形成されるグラファイト膜を用いれば、カーボンナノチューブ14と第2の電極15とを低接触抵抗でかつ確実に接続することができる。このため、電界効果型トランジスタ101を用いてトランジスタアレイを作製する場合に、各トランジスタ間の特性のばらつきを小さくすることができる。
【0065】
さらに、条件を適切に設定してアルミニウム層を陽極酸化することにより、寸法のそろったナノホール8が規則正しく配列した絶縁層6を用意することができる。この絶縁層6を用いることによって、電界効果型トランジスタ101が配列されたトランジスタアレイを作製することができる。上述した理由から、トランジスタの特性に影響するトランジスタの各部の寸法はナノホール8によって決定するため、各電界効果型トランジスタ101の特性をそろえることができる。また、第1の電極7、ゲート電極9に接続される配線10および第2の電極15をストライプ状にパターニングすることによって、容易にトランジスタアレイを作製することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、本発明の電界効果型トランジスタおよびトランジスタアレイの第2の実施形態を説明する。
【0067】
図13は本発明の電界効果型トランジスタ101の断面を模式的に示している。電界効果型トランジスタ102は、絶縁層6のナノホール8内において、チャネルとなるカーボンナノチューブ14がゲート電極9およびゲート絶縁層12の外側に形成されている点で第1の実施形態の電界効果型トランジスタ101と異なっている。
【0068】
具体的には、絶縁層6に設けられたナノホール8は第1の電極7に達しており、ナノホール8内には、ナノホール8の側面と接触し、第1の電極7と電気的に接続されたカーボンナノチューブ14が設けられている。絶縁層6上には、カーボンナノチューブ14と電気的に接続された第2の電極15が設けられている。
【0069】
ゲート絶縁層12は、ナノホール8内において、カーボンナノチューブ14の内側を覆うように形成されている。また、絶縁層6上では、ゲート絶縁層12は第2の電極15を覆うように設けられている。更に、ナノホール8内において、ゲート絶縁層12の内側にゲート電極9が設けられている。ゲート電極9の端部は、絶縁層6上においてゲート絶縁層12上に形成された配線10と電気的に接続されている。このように、カーボンナノチューブ14がナノホール8の側面と接しており、カーボンナノチューブ14とゲート電極9とによってゲート絶縁層12が挟まれている。
【0070】
第1の実施形態と同様、電界効果型トランジスタ102は、図14に示すように、二次元に配列されたトランジスタアレイ112を構成している。トランジスタアレイ112において、各界効果型トランジスタ102の第1の電極7は第1の方向に隣接する界効果型トランジスタ102の第1の電極7と接続されており、第1の電極7は第1の方向に伸びる配線を形成している。図14では、ゲート絶縁層12に覆われているため図示していないが、第2の電極15は、第2の方向隣接する電界効果型トランジスタ102の第2の電極8と接続されており、第2の電極15は第2の方向に伸びる配線を形成している。また、ゲート電極9に接続された配線10も第3の方向に隣接する電界効果型トランジスタ102の配線10と接続されて、配線10は第3の方向に伸びる配線を形成している。第3の方向は第1の方向と同じであってもよい。
【0071】
図13に示すように、電界効果型トランジスタ102において、カーボンナノチューブ14は、絶縁層6に設けられたナノホール8の側面と接している。このため、絶縁層6がアルミニウムの陽極酸化によって形成されたアルミナからなる場合、カーボンナノチューブ14はアルミナ上に形成される。このことは、カーボンナノチューブ14の形成に有利である。なぜなら、陽極酸化によるアルミナは、炭化水素の分解に対する触媒作用を備えているからである。このため、本実施形態の電界効果型トランジスタ102を作製する場合、コバルトなどの触媒金属をナノホール8内にあらためて堆積する必要はなく、カーボンナノチューブ14が形成される下地を触媒として用いることができる。また、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極15も絶縁層6と接するように形成されるので、カーボンナノチューブ14と同時に形成される絶縁層6上のグラファイトを第2の電極15として好適に用いることができる。
【0072】
上述したように、カーボンナノチューブ14は、絶縁層6に設けられたナノホール8の側面と接するように設けられる。このため、ナノホール8の直径は、所望の特性を備えたカーボンナノチューブ14の直径と実質的に一致していることが好ましい。また、カーボンナノチューブ14の直径が小さすぎる場合、カーボンナノチューブ14の内側にゲート絶縁層12およびゲート電極9を形成するのが困難になることもある。したがって、本実施形態では、カーボンナノチューブ14は、10nm以上の直径を備えていることが好ましい。
【0073】
次に、図13から図18を参照して、トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102の製造方法を説明する。トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102は、第1の実施形態と同じ材料を用いて作製する。図15に示すように、基板2上に導電層1を形成し、フォトレジスト3を用いて導電層1をパターニングする。図16に示すように、導電層1をパターニングして第1の電極7を形成した後、フォトレジスト3によって覆われていない基板2の領域に絶縁層4を形成し、フォトレジスト3を除去する。図16において、第1の電極7は紙面の手前から奥に向かって延びている。また、第1の電極7は互いに平行となるよう複数基板2上に配列されている。第1の実施形態と同様、絶縁層4を形成したあとの基板2の表面は、第1の電極7の部分において窪んでいる。第1の実施形態で説明したように、シリコン基板を基板2として用いてもよい。
【0074】
図17に示すように、第1の電極7および絶縁層4を覆うように、基板2上にアルミニウム層5を形成する。形成したアルミニウム層5の表面は、下地の形状を反映するので、第1の電極7の部分において、凹部5’が形成される。
【0075】
次に基板2を酸性溶液に漬浸し、第1の電極7に電圧を印加しながら陽極酸化を行う。この時、アルミニウム層5の凹部5’が形成されている部分は、他の部分に比べて厚みが小さく、高い電圧が印加される。このため、ナノホールは第1の電極7上に選択的に形成される。複数のナノホール8をアレイ状に形成し、トランジスタアレイ111を作製する場合には、自己組織化的に形成されるアレイ状のナノホール8のピッチと複数の第1の電極7のピッチとを一致させ、各第1の電極7にナノホール8を形成する必要がある。このため、第1の電極7の間隔と陽極酸化の条件とを調整しておく。また、第1の実施形態で説明したように、陽極酸化時におけるエッチングの開始点を導入するために、イオン注入などのよって、アルミニウム層5の凹部5’の底部に窪みを設けてもよい。
【0076】
図18に示すように、陽極酸化が進むと、アルミニウム層5が酸化され、アルミナからなる絶縁層6に変化するともに、ナノホール8が形成される。アルミニウム層5が完全に酸化されても、ナノホール8は第1の電極7には到達せずに、アルミナからなるバリア層6aがナノホール8の底部に形成される。
【0077】
次に図19に示すように、ナノホール8の底部にあるバリア層6aをエッチングにより除去し、第1の電極7をナノホール8内において露出させる。その後、図20に示すように、第1の電極7と電気的に接続したカーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する。上述したように、カーボンナノチューブ14を形成する際、絶縁層6を構成しているアルミナを触媒として用いることができる。また、カーボンナのチューブ14を形成する際、カーボンナのチューブ14の形成と同時に、ゲート絶縁層12上にグラファイトを形成することができる。このグラファイトをパターニングして第2の電極14としてもよい。グラファイトを利用しない場合には、絶縁層6上に多結晶シリコンや金属からなる導電膜を形成し、パターニングすることによって、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極14を形成してもよい。第2の電極15を形成した後の基板2の構造を図21に示す。
【0078】
次に図22に示すように、ナノホール8内および絶縁層6上において、カーボンナノチューブ14を覆うようにゲート絶縁層12を堆積する。その後、図13に示すように、ナノホール8内にゲート電極9を形成する。また、ゲート電極8に電気的に接続された配線10を形成する。第1の実施形態と同様、ゲート絶縁層12を覆うように多結晶シリコン膜を一体的に形成し、ゲート絶縁層12上においてパターニングすることによって、ゲート電極9および配線10を一体に形成してもよい。このようにして、トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102が完成する。
【0079】
本実施形態によれば、ナノホール8の側壁を構成しているアルミナがカーボンナノチューブ14を形成するための触媒として機能する。このため、コバルトなどの触媒金属をナノホール8の底部にのみ堆積する必要はなく、ナノホール8の直径を小さくし、電界効果型トランジスタ102の集積密度を高めることが可能となる。
【0080】
また、アルミナの触媒作用により、カーボンナノチューブ14の形成温度を低下させることができる。このため、電界効果型トランジスタ102を構成する各要素に種々の材料を選択することができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、高度に集積することが可能であり、特性のばらつきが少ない電界効果型トランジスタおよびそれを集積したトランジスタアレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界効果型トランジスタの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す電界効果型トランジスタが配列されたトランジスタアレイを示す斜視図である。
【図3】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図4】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図5】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図6】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図7】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図8】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図9】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図10】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図11】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図12】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の電界効果型トランジスタの第2の実施形態を示す断面図である。
【図14】図13に示す電界効果型トランジスタが配列されたトランジスタアレイを示す斜視図である。
【図15】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図16】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図17】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図18】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図19】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図20】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図21】図13に示すトランジスタの製造工程を示す斜視図である。
【図22】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図23】従来の電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。
【図24】従来の電界効果型トランジスタの構造を示す斜視図である。
【図25】図24に示す従来の電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電層
2 基板
3 フォトレジスト
4 絶縁層
5 アルミニウム層
6 絶縁層
7 第1の電極
8 ナノホール
9 ゲート電極
10 配線
11 孔
12 ゲート絶縁層
14 カーボンナノチューブ
15 第2の電極
101、102 電界効果型トランジスタ
111、112 トランジスタアレイ
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブ(「CNT」と略す場合がある)は、六角の網目状に配列された炭素原子41からなるグラファイトシートを円筒状に丸めた構造を備えている。一層のグラファイトシートからなる単層カーボンナノチューブおよび複数のグラファイトシートからなる多層カーボンナノチューが知られている。単層カーボンナノチューブは一般に1〜2nmの直径を備え、多層カーボンナノチューブは数nmから数十nmの直径を備える。種々の長さのカーボンナノチューブが合成されており、数μmの長さを有するものも作製されている。
【0003】
カーボンナノチューブの電気的特性は、直径や六角網目状構造の螺旋の巻き方(カイラリティ)によって変化する。これまでに、金属と等しい電気的特性を有するものや、さまざまな大きさのバンドギャップを持ち、半導体特性を備えたものが合成されている。また、熱伝導性に優れるため、電子デバイスにカーボンナノチューブを用いた場合、安定な動作を示すことが期待されている。
【0004】
このようなカーボンナノチューブを用いて、電界効果トランジスタ(FET)を作製した結果が、例えば非特許文献2に報告されている。図23にこのトランジスタの構造を示す。この報告によれば、図23に示すように、絶縁層43が形成されたゲート電極基板42上にソース電極44およびドレイン電極45を設け、この上にカーボンナノチューブの束を広げて、偶然ソース電極44およびドレイン電極45にまたがったカーボンナノチューブ46がある部分をトランジスタとしている。
【0005】
しかしながら、この方法では、トランジスタの位置を制御することが不可能であり、このようなトランジスタを量産することは難しい。また、トランジスタの集積度を高めることも困難である。
【0006】
このような問題を克服する方法として、非特許文献3には、陽極酸化によるポーラスアルミナ48中のカーボンナノチューブ50を用いた電界効果型トランジスタが報告されている。非特許文献2によるトランジスタは、図24および図25に示すように、ナノホール49を有するアルミナ(酸化アルミニウム)48内に設けられたカーボンナノチューブ50を備える。カーボンナノチューブ50の一端はソース電極53に接続される。カーボンナノチューブ50の他端は、アルミナ48上に酸化シリコン膜51を介して形成されたドレイン電極52と接続される。ドレイン電極52上には、ゲート絶縁膜54を介してゲート電極55が形成される。このトランジスタは、ゲート電極55に印加する電圧によってカーボンナノチューブ50を介してソース電極53からドレイン電極52へ流れる電流を制御することができる。
【0007】
この方法によれば、アルミナ48のナノホール49内にカーボンナノチューブ50が形成されるため、ナノホール49の位置を制御することによって、カーボンナノチューブを用いたトランジスタの位置を調節することができる。また、トランジスタを高度に集積することも可能である。
【0008】
ナノホール49を有するアルミナ48は、非特許文献4において報告されているように、酸性電解質中でアルミニウムを陽極酸化することによって作製することができる。ナノホールの直径は数nmから数百nmであり、隣接するナノホールとの間隔は、数nmから数百nmである。このナノホールは、従来のリソグラフィー技術を用いることなく、自己組織化的に配列してアルミナ中に形成される。陽極酸化の条件を最適化することによって、ハニカム構造のアルミナを形成するもできる。
【0009】
ナノホールを有するアルミナを用いてカーボンナノチューブを配列し、トランジスタを形成する技術は、非特許文献5にも開示されている。また、非特許文献6は、ナノホールの底部に触媒金属を堆積することによりカーボンナノチューブを低温で形成することができると報告している。図24および図25に示すトランジスタもこの方法により作製されている。具体的には、以下の方法により、作製される。
【0010】
まず、アルミニウム板を酸性電解溶液(シュウ酸溶液)中で陽極酸化することにより、複数のナノホール49を有する酸化アルミナ48を形成する。ナノホール49の底部にのみ電解めっきにより触媒金属(コバルト)を堆積した後、一酸化炭素中で熱処理して触媒金属を活性化させる。次に、炭化水素ガス(アセチレン)を用いてナノホール49内にカーボンナノチューブ50を作製する。この時、選択的にカーボンナノチューブ50をナノホール49a内に形成するため、カーボンナノチューブ50を形成すべき部分以外は、酸化シリコン膜なのでマスクしておく。その後、ソース電極53、ドレイン電極52、ゲート絶縁膜54およびゲート電極55を形成するために、それぞれの電極材料や絶縁膜を堆積し、パターニングを行う。
【0011】
【非特許文献1】
「ネイチャー(Nature)」1991年、354巻、56頁
【非特許文献2】
「ネイチャー(Nature)」1998年、393巻、49頁
【非特許文献3】
「アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)」2001年、79巻、3696頁
【非特許文献4】
「ネイチャー(Nature)」1989年、337巻、149頁
【非特許文献5】
「ケミカル・マテリアル(Chemical Material)」1996年、8巻、2190頁
【非特許文献6】
「アプライドフィジクスレターズ(Applied Physics Letters)」1999年、75巻、367頁
【非特許文献7】
「材料化学」2001年、38巻、262頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図24および図25に示すトランジスタでは、カーボンナノチューブの長さにばらつきが生じ易い。このため、ドレイン電極とカーボンナノチューブとの電気的接続を確実かつ均一に行うことができず、再現性および信頼性にかける。その結果、複数のトランジスタを集積化した場合、特性にばらつきが発生したり、正しく動作しないトランジスタが含まれるといった問題が生じる。
【0013】
また、カーボンナノチューブを形成するために、ナノホールの側面に広く触媒金属が堆積すると、触媒金属が導電層となり、ソース−ドレイン間が導通してしまう。このため、ナノホールの底部にのみ触媒金属が堆積するよう、ナノホールの直径はある程度大きく(たとえば20〜30nm)しなければならない。このことは、トランジスタの集積密度を高める上で妨げとなる。
【0014】
さらに、アルミニウム基板のみをカーボンナノチューブを配設するための鋳型として用いているため、プロセス上ハンドリングが可能な程度の厚みをアルミニウム基板は備えている必要がある。アルミニウム基板の厚さは、ナノホールの深さとなり、カーボンナノチューブの長さに対応するため、カーボンナノチューブの長さを十分短くすることができないという問題が生じる。
【0015】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決し、高密度に集積化が可能であり、かつ、特性のばらつきの少ない電荷効果型トランジスタおよびその製造方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界効果型トランジスタは、第1の電極が設けられた基板と、前記基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の表面から前記基板側へ延び、少なくとも一部が前記第1の電極に達するように設けられたナノホールと、前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ナノホール内に設けられており、半導体特性を有するカーボンナノチューブと、前記ナノホール内に設けられたゲート電極と、前記ナノホール内において前記カーボンナノチューブと前記ゲート電極とに挟まれたゲート絶縁層とを備えている。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記ナノホールは、前記第1の電極上において前記基板と垂直に形成されている。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記電界効果型トランジスタは、前記絶縁層の表面に支持されており前記カーボンナノチューブと電気的に接続された第2の電極を更に備える。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記第2の電極はグラファイトからなる。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記ゲート電極が前記ナノホールの側面に接するように設けられている。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記カーボンナノチューブが前記ナノホールの側面に接するように設けられている。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記絶縁層および前記ナノホールは、アルミニウムを主成分とする金属を陽極酸化することによって得られるナノホールを備えたアルミナである。
【0023】
また、本発明のトランジスタアレイは、前記電界効果型トランジスタを複数備え、前記複数の電界効果型トランジスタのナノホールは第1の方向および第2の方向に沿って二次元に配置されている。
【0024】
また、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法は、(a)基板上に第1の電極を形成する工程と、(b)複数のナノホールを有する絶縁層を、前記複数のナノホールの少なくとも1つが前記第1の電極上に位置するよう、前記基板上に形成する工程と、(c)半導体特性を有し、前記第1の電極と電気的に接続されたカーボンナノチューブと、ゲート電極と、前記カーボンナノチューブおよび前記ゲート電極に挟まれたゲート絶縁層とを前記少なくともひとつのナノホール内部に形成する工程とを包含する。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記工程(b)は、(b1)前記基板上にアルミニウム層を形成する工程と、(b2)前記アルミニウム層を陽極酸化することにより、前記絶縁層を形成する工程とを含む。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記工程(a)は、(a1)前記第1の電極の表面が凹部となるよう、前記第1の電極の周りに前記第1の電極よりも厚い絶縁層を形成する工程を更に含む。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記絶縁層に形成された複数のナノホールは、規則的に配列されている。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電極を形成する工程において、前記第1の電極は、前記基板上において互いに平行に延びるよう複数設けられ、前記複数の第1の電極の間隔と、前記複数のナノホールの配列間隔と一致するような条件で前記(b2)工程を行う。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c)は、(c1)前記ナノホール内にゲート電極を形成する工程と、(c2)前記ゲート電極の一部および前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、(c3)前記ナノホール内において、前記第1の電極の一部が前記ナノホール内において露出するよう、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、(c4)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ゲート絶縁層上にカーボンナノチューブを形成する工程とを含む。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c4)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c)は、(c11)前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、(c12)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、カーボンナノチューブを形成する工程と、(c13)前記ナノホール内において、前記カーボンナノチューブ上にゲート絶縁層を形成する工程と、(c14)前記ナノホール内において、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する工程とを含む。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記工程(c12)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の電界効果型トランジスタおよびトランジスタアレイの第1の実施形態を説明する。
【0034】
図1は本発明の電界効果型トランジスタ101の断面を模式的に示している。電界効果型トランジスタ101は、第1の電極7が設けられた基板2と、基板2に支持された絶縁層6とを含む。絶縁層6には、その表面6aから基板2へ向かって伸びるナノホール8が形成されており、ナノホール8の底部に設けられた孔11によって、ナノホール8の一部が第1の電極7に達している。また、ナノホール8は、基板2に対して実質的に垂直に形成されている。本願明細書において「ナノホール」とは、数nmから数百nmの直径を有する微細穴を意味する。
【0035】
後述するように、絶縁層6が設けられる下地として、第1の電極7の表面が窪んでいることが好ましい。このため、第1の電極7の周囲に第1の電極7よりも厚い絶縁層4を基板2上に形成している。また、ナノホール8は第1の電極7上において基板2と垂直に伸びるように形成されていることが好ましい。
【0036】
基板2は、絶縁性を備えていることが好ましく、例えば、ガラス基板、絶縁性シリコン基板などを基板2として用いることができる。第1の電極7は、半導体プロセスにおいてオーミック電極として用いられる種々の金属や、不純物がドープされたシリコンなどを用いて形成される。第1の電極7は単層である必要はなく、例えば、チタン/金からなる2層構造を備えていてもよい。絶縁層4は、酸化シリコンや窒化シリコンなど、半導体プロセスにおいて絶縁性膜として用いられる種々の材料から形成される。
【0037】
基板2の厚さは、任意に設定し得る。絶縁層6が、プロセス上、ハンドリングが可能な程度な厚さを有していない場合には、基板2の厚さは、例えば、数百μmであることが好ましい。このような厚さの基板2を用いることによって、電界効果型トランジスタ101を作製する際、基板が破損することがなく、また、従来の半導体製造装置を用い、従来の半導体製造プロセスを利用して電界効果型トランジスタ101を作製することができる。
【0038】
基板2として絶縁性のシリコン基板を用いる場合には、シリコン基板に不純物を導入して第1の電極7を形成することができる。また、第1の電極7が形成された領域以外に酸素イオンを注入して絶縁層4を形成することができる。その後、第1の電極7となる不純物の注入された領域と、絶縁層4となる酸素イオンの注入された領域とのエッチング特性の差異を利用して、第1の電極7となる不純物の注入された領域の表面が窪むように、選択的なエッチングを行ってもよい。
【0039】
ナノホール8の直径は、ナノホール8の内部に設けられるカーボンナノチューブ14の直径に依存している。絶縁層6に上述した寸法を備えるナノホール8が形成可能である限り、絶縁層6は、半導体装置に用いられる種々の絶縁材料のいずれかを用いて形成することができる。しかし、上述したような微細な直径と、直径に対して比較的深さの大きい穴を形成することは一般に難しい。このため、ナノホール8を有する絶縁層6として、アルミニウム層を陽極酸化することによって得られナノホールを備えたアルミナを用いることが好ましい。アルミニウム層は、アルミニウムを主成分としている限り、アルミニウム以外の添加元素を含んでいてもよい。アルミニウム層はスパッタリング法、真空蒸着法、化学気相堆積(CVD)法などによって形成できる。後述するように、陽極酸化の条件を適切に調節することによって、複数のナノホールが二次元に配列されたアルミナを形成することができ、電界効果型トランジスタ101が二次元に配列されたトランジスタアレイを作製することもできる。
【0040】
ナノホール8の内部には、孔11を介して第1の電極と電気的に接続されたカーボンナノチューブ14が設けられている。一方、ナノホール8の側面にはゲート電極9が設けられており、ゲート電極9がカーボンナノチューブ14と電気的に絶縁されるように、ゲート電極9とカーボンナノチューブ14との間にはゲート絶縁層12が設けられている。
【0041】
絶縁層6の表面6aにはゲート電極9に接続された配線10が設けられている。また、配線10を覆うようにゲート絶縁層12が絶縁層6の表面6aにも形成されている。カーボンナノチューブ14の一端は、絶縁層6の表面6a上に支持される第2の電極15に電気的に接続される。
【0042】
カーボンナノチューブ14は、電界効果型トランジスタ101の用途に適した半導体特性を備えている。カーボンナノチューブ14の半導体としての電気的特性は、その直径や六角網目状構造の螺旋の巻き方(カイラリティ)を変化させることのよって調整することができる。カーボンナノチューブの電気的特性とこれらの物理的構造との関係はよく研究されており、公知である。
【0043】
ゲート電極9およびゲート絶縁層12は、半導体装置に用いられる種々の導電材料および絶縁材料のいずれかを用いて形成することができる。例えば、ゲート電極9およびゲート絶縁層12として、不純物が添加された多結晶シリコンおよびシリコン酸化膜を好適に用いることができる。配線10は、ゲート電極9と同じ材料により、一体的に形成してもよいし、同じ材料あるいは異なる導電性材料を用いてゲート電極9とは別の工程により作製してもよい。
【0044】
また、第1の電極7と同様、第2の電極15は、半導体プロセスにおいてオーミック電極として用いられる種々の金属や、不純物がドープされたシリコンなどを用いて形成される。第1の電極7は単層である必要はなく、例えば、チタン/金からなる2層構造を備えていてもよい。また、カーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する際、ゲート絶縁層12上に同時に形成されるグラファイトを第2の電極15として用いてもよい。この場合には、カーボンナノチューブ14と第2の電極15とを確実かつ低い接触抵抗で電気的に接続することができるという利点がある。
【0045】
なお、第1の電極7および第2の電極15は、ドレイン電極およびソース電極として機能する。本実施形態では、第1の電極7をドレイン電極とし、第2の電極8をソース電極として用いるが、逆の組み合わせを用いてもよい。第1の電極7および第2の電極8はカーボンナノチューブ14とオーミック接合していることが好ましい。
【0046】
上述したように、カーボンナノチューブ14の電気的特性は、カーボンナノチューブ14の直径に依存している。このため、電界効果型トランジスタ101を設計する場合には、まず、カーボンナノチューブ14に求められる電気的特性を決定し、その特性を実現するために必要なカーボンナノチューブ14の直径を決定する。非特許文献7に報告されているように、カーボンナノチューブのエネルギーバンドギャップはカーボンナノチューブの直径に反比例することが知られている。カーボンナノチューブの直径は概ね0.7〜30nmの範囲にあり、対応するバンドギャップは1.85〜0.044eVである。
【0047】
次に、カーボンナノチューブ14が挿入されるナノホール8の直径を検討する。一般に、薄膜が1nm以上の厚さを有している場合、その薄膜には孔がなく、均一な連続膜となることが知られている。このため、ゲート電極9およびゲート絶縁層12は、1nm以上の厚さであることが好ましい。ナノホール8の直径は、カーボンナノチューブ14の直径にゲート電極9およびゲート絶縁層12の厚さを加えた値になる。
【0048】
後述するようにナノホール8をアルミニウム層の陽極酸化によって形成し、電界効果型トランジスタ101をアレイ状に複数配列する場合、ナノホール8の直径を任意に変化させることができない場合がある。このような場合には、ゲート電極9およびゲート絶縁層12の厚さを調整することによって、カーボンナノチューブ14の電気的特性および電界効果型トランジスタ101の配置を同時に満足させることができる。
【0049】
ナノホール8の深さは、電界効果型トランジスタ101におけるチャネル幅(ソース−ドレイン間距離)に関係しており、電界効果型トランジスタ101に要求される特性に応じて任意の値に調整しうる。ナノホール8をアルミニウム層の陽極酸化によって形成する場合には、アルミニウム層の厚さを変化させることによってナノホール8の深さを調整することができる。
【0050】
カーボンナノチューブ14の直径が上述の範囲にあり、電界効果型トランジスタ101をスイッチング素子として用いる場合、絶縁層6に形成されるナノホール8の直径は、例えば、5nm〜50nmであり、深さは、50nm〜500nmであることが好ましい。
【0051】
図2に示すように、本実施形態の電界効果型トランジスタ101は、典型的には、二次元に配列されたトランジスタアレイ111を構成している。トランジスタアレイ111において、各界効果型トランジスタ101の第1の電極7は第1の方向に隣接する電界効果型トランジスタ101の第1の電極7と接続されており、第1の電極7は第1の方向に伸びる配線を形成している。また、第2の電極15は、第2の方向に隣接する電界効果型トランジスタ101の第2の電極8と接続されており、第2の電極15は第2の方向に伸びる配線を形成している。また、ゲート電極9に接続された配線10も第3の方向隣接する電界効果型トランジスタ101の配線10と接続され、配線10は第3の方向に伸びる配線を形成している。第3の方向は第1の方向と同じであってもよい。図2では、第1の電極7、第2の電極15および配線10のいずれもが隣接する電界効果型トランジスタ101と接続されている。しかし、例えば、トランジスタアレイ111において、各電界効果型トランジスタ101の第1の電極7は独立させておき、表示素子や二次元検出素子を駆動するマトリクス基板を構成してもよい。
【0052】
次に、図1から図12を参照して、トランジスタアレイ111および電界効果型トランジスタ101の製造方法を説明する。図3に示すように、例えばガラスからなる基板2上にニオブからなる導電層1を形成し、フォトレジスト3を用いて導電層1をパターニングする。図4に示すように、導電層1をパターニングして第1の電極7を形成した後、フォトレジスト3によって覆われていない基板2の領域に絶縁層4を形成し、フォトレジスト3を除去する。図4において、第1の電極7は紙面の手前から奥に向かって延びている。また、第1の電極7は互いに平行となるよう複数基板2上に配列されている。
【0053】
絶縁層4を形成したあとの基板2の表面は、第1の電極7の部分において窪んでいるように第1の電極7よりも絶縁層4のほうが厚く形成されていることが好ましい。本実施形態では、厚さ150nmの導電層1と厚さ200nmの絶縁層4を形成することによって、第1の電極7の表面を窪ませている。
【0054】
シリコン基板を基板2として用いる場合には、たとえば図5に示すように、シリコンからなる基板2上に、第1の電極7となる領域を露出したパターンを有するフォトレジスト3’を形成する。フォトレジスト3’を用いて基板2に不純物を注入することによって、たとえば、n+シリコンからなる第1の電極7を基2の表面に形成する。次に図6に示すように、第1の電極7を覆うフォトレジスト3’’を形成し、フォトレジスト3’’をマスクとして基板2に酸素を注入する。あるいは、他の方法によって、基板2の露出した部分を表面酸化させてもよい。このようにして、絶縁層4を形成する。その後、フォトレジスト3’’を除去し、第1の電極7と絶縁層4との化学的性質の差異を利用して、第1の電極7の表面を選択的にエッチングし、第1の電極7の表面を絶縁層4に比べて窪ませる。
【0055】
図7に示すように、第1の電極7および絶縁層4を覆うように、基板2上に厚さ200nmのアルミニウム層5を形成する。形成したアルミニウム層5の表面は、下地の形状を反映するので、第1の電極7の部分において、凹部5’が形成される。
【0056】
次に基板2を酸性溶液に漬浸し、第1の電極7に電圧を印加しながら陽極酸化を行う。この時、アルミニウム層5の凹部5’が形成されている部分は、他の部分に比べて厚みが小さく、高い電圧が印加される。このため、ナノホールは第1の電極7上に選択的に形成される。複数のナノホール8をアレイ状に形成し、トランジスタアレイ111を作製する場合には、自己組織化的に形成されるアレイ状のナノホール8のピッチと複数の第1の電極7のピッチとを一致させ、各第1の電極7にナノホール8を形成する必要がある。このため、第1の電極7の間隔と陽極酸化の条件とを調整しておく。第1の電極7の電極間にトランジスタとして利用しないナノホール8が形成されていてもよい。本実施形態の場合、第1の電極7の電極間隔は、たとえば50nmに設定することができる。
【0057】
また、この場合、複数の電界効果型トランジスタ101を第1の電極7が伸びる方向に沿って形成する必要がある。隣接する複数の電界効果型トランジスタ101の間隔を調整するために、例えば、イオン注入などのよって、アルミニウム層5の凹部5’の底部に窪みを設けてもよい。窪みを設けることによって、凹部5’のなかでもさらに電界の高い部分が形成され、陽極酸化時におけるエッチングの開始点となる。
【0058】
図8に示すように、陽極酸化が進むと、アルミニウム層5が酸化され、アルミナからなる絶縁層6に変化するともに、ナノホール8が形成される。アルミニウム層5が完全に酸化されても、ナノホール8は第1の電極7には到達せずに、アルミナからなるバリア層6aがナノホール8の底部に形成される。得られたナノホールの直径は約30nmであり、深さは、約300nmである。
【0059】
次に図9に示すように、ナノホール8の内部および絶縁層6上に厚さ10nmの多結晶シリコンを堆積し、絶縁層6の上に形成された多結晶シリコンをパターニングすることによって、ゲート電極9および配線10を一体に形成する。その後、図10に示すようにナノホール8の底部に位置するゲート電極8の一部およびバリア層6aの一部を除去し、ナノホール8の底部に孔11を設ける。孔11によって、ナノホール8の一部は第1の電極7に達するようになり、第1の電極7の一部がナノホール8内において露出している。
【0060】
図11に示すように、次に厚さ3nmのゲート絶縁層12をナノホールの内部および絶縁層6上に形成する。ゲート絶縁層12としては、たとえば、CVD法による酸化シリコン膜を用いることができる。図11および図12に示すように、ナノホール8の底部に堆積したゲート絶縁層12の一部13を除去して、第1の電極7の一部をナノホール8内において露出させた後、直径4nmのカーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する。カーボンナノチューブ14を形成するために、ナノホール8内に触媒金属をあらかじめ堆積しておいてもよいし、触媒金属を堆積しなくてもよい。カーボンナノチューブ14は、公知の方法により形成される。
【0061】
カーボンナノチューブ14を形成する際、形成条件を適切に選ぶことによって、カーボンナノチューブ14の形成と同時に、ゲート絶縁層12上にグラファイトを形成することができる。このグラファイトは、カーボンナのチューブ14と連続して形成されるため、低い接触抵抗で、かつ確実に、カーボンナノチューブ14と電気的接続される。このため、ゲート絶縁層12上に形成されるグラファイトをパターニングして第2の電極14としてもよい。ゲート絶縁層12上に形成されるグラファイトを利用しない場合には、ゲート絶縁層12上多結晶シリコンや金属からなる導電膜を形成し、パターニングすることによって、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極14を形成してもよい。このようにして図1に示す電界効果型トランジスタ101および図2に示すトランジスタアレイ111が形成される。
【0062】
本実施形態によれば、基板2上に設けられた絶縁層6にナノホール8を形成し、ナノホール8内にカーボンナノチューブ14を配設している。このため、電界効果型トランジスタ101のチャネル幅を短くするために、絶縁層6の厚さを小さくすることによって、ナノホール8を浅くし、カーボンナノチューブ14を短くしても、基板2の厚さを調節することによって、電界効果型トランジスタ101を作製する基板全体をプロセス上ハンドリングが可能な程度な厚さにすることができる。その結果、従来の半導体製造技術を用いて、微細な電界効果型トランジスタおよびそれを用いたトランジスタアレイを作製することができる。
【0063】
また、電界効果型トランジスタ101において、ナノホール8は、チャネルとなるカーボンナノチューブ14の直径およびチャネル幅となるカーボンナノチューブ14の長さを規定する。このため、所望の寸法を備えたナノホール8を形成すれば、第1の電極7、ゲート電極9、カーボンナノチューブ14および第2の電極15はパターニングしなくても、所望の特性を備えた電界効果型トランジスタ101を得ることができる。
【0064】
特に、第2の電極15として、カーボンナノチューブ14の形成時に同時に形成されるグラファイト膜を用いれば、カーボンナノチューブ14と第2の電極15とを低接触抵抗でかつ確実に接続することができる。このため、電界効果型トランジスタ101を用いてトランジスタアレイを作製する場合に、各トランジスタ間の特性のばらつきを小さくすることができる。
【0065】
さらに、条件を適切に設定してアルミニウム層を陽極酸化することにより、寸法のそろったナノホール8が規則正しく配列した絶縁層6を用意することができる。この絶縁層6を用いることによって、電界効果型トランジスタ101が配列されたトランジスタアレイを作製することができる。上述した理由から、トランジスタの特性に影響するトランジスタの各部の寸法はナノホール8によって決定するため、各電界効果型トランジスタ101の特性をそろえることができる。また、第1の電極7、ゲート電極9に接続される配線10および第2の電極15をストライプ状にパターニングすることによって、容易にトランジスタアレイを作製することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、本発明の電界効果型トランジスタおよびトランジスタアレイの第2の実施形態を説明する。
【0067】
図13は本発明の電界効果型トランジスタ101の断面を模式的に示している。電界効果型トランジスタ102は、絶縁層6のナノホール8内において、チャネルとなるカーボンナノチューブ14がゲート電極9およびゲート絶縁層12の外側に形成されている点で第1の実施形態の電界効果型トランジスタ101と異なっている。
【0068】
具体的には、絶縁層6に設けられたナノホール8は第1の電極7に達しており、ナノホール8内には、ナノホール8の側面と接触し、第1の電極7と電気的に接続されたカーボンナノチューブ14が設けられている。絶縁層6上には、カーボンナノチューブ14と電気的に接続された第2の電極15が設けられている。
【0069】
ゲート絶縁層12は、ナノホール8内において、カーボンナノチューブ14の内側を覆うように形成されている。また、絶縁層6上では、ゲート絶縁層12は第2の電極15を覆うように設けられている。更に、ナノホール8内において、ゲート絶縁層12の内側にゲート電極9が設けられている。ゲート電極9の端部は、絶縁層6上においてゲート絶縁層12上に形成された配線10と電気的に接続されている。このように、カーボンナノチューブ14がナノホール8の側面と接しており、カーボンナノチューブ14とゲート電極9とによってゲート絶縁層12が挟まれている。
【0070】
第1の実施形態と同様、電界効果型トランジスタ102は、図14に示すように、二次元に配列されたトランジスタアレイ112を構成している。トランジスタアレイ112において、各界効果型トランジスタ102の第1の電極7は第1の方向に隣接する界効果型トランジスタ102の第1の電極7と接続されており、第1の電極7は第1の方向に伸びる配線を形成している。図14では、ゲート絶縁層12に覆われているため図示していないが、第2の電極15は、第2の方向隣接する電界効果型トランジスタ102の第2の電極8と接続されており、第2の電極15は第2の方向に伸びる配線を形成している。また、ゲート電極9に接続された配線10も第3の方向に隣接する電界効果型トランジスタ102の配線10と接続されて、配線10は第3の方向に伸びる配線を形成している。第3の方向は第1の方向と同じであってもよい。
【0071】
図13に示すように、電界効果型トランジスタ102において、カーボンナノチューブ14は、絶縁層6に設けられたナノホール8の側面と接している。このため、絶縁層6がアルミニウムの陽極酸化によって形成されたアルミナからなる場合、カーボンナノチューブ14はアルミナ上に形成される。このことは、カーボンナノチューブ14の形成に有利である。なぜなら、陽極酸化によるアルミナは、炭化水素の分解に対する触媒作用を備えているからである。このため、本実施形態の電界効果型トランジスタ102を作製する場合、コバルトなどの触媒金属をナノホール8内にあらためて堆積する必要はなく、カーボンナノチューブ14が形成される下地を触媒として用いることができる。また、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極15も絶縁層6と接するように形成されるので、カーボンナノチューブ14と同時に形成される絶縁層6上のグラファイトを第2の電極15として好適に用いることができる。
【0072】
上述したように、カーボンナノチューブ14は、絶縁層6に設けられたナノホール8の側面と接するように設けられる。このため、ナノホール8の直径は、所望の特性を備えたカーボンナノチューブ14の直径と実質的に一致していることが好ましい。また、カーボンナノチューブ14の直径が小さすぎる場合、カーボンナノチューブ14の内側にゲート絶縁層12およびゲート電極9を形成するのが困難になることもある。したがって、本実施形態では、カーボンナノチューブ14は、10nm以上の直径を備えていることが好ましい。
【0073】
次に、図13から図18を参照して、トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102の製造方法を説明する。トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102は、第1の実施形態と同じ材料を用いて作製する。図15に示すように、基板2上に導電層1を形成し、フォトレジスト3を用いて導電層1をパターニングする。図16に示すように、導電層1をパターニングして第1の電極7を形成した後、フォトレジスト3によって覆われていない基板2の領域に絶縁層4を形成し、フォトレジスト3を除去する。図16において、第1の電極7は紙面の手前から奥に向かって延びている。また、第1の電極7は互いに平行となるよう複数基板2上に配列されている。第1の実施形態と同様、絶縁層4を形成したあとの基板2の表面は、第1の電極7の部分において窪んでいる。第1の実施形態で説明したように、シリコン基板を基板2として用いてもよい。
【0074】
図17に示すように、第1の電極7および絶縁層4を覆うように、基板2上にアルミニウム層5を形成する。形成したアルミニウム層5の表面は、下地の形状を反映するので、第1の電極7の部分において、凹部5’が形成される。
【0075】
次に基板2を酸性溶液に漬浸し、第1の電極7に電圧を印加しながら陽極酸化を行う。この時、アルミニウム層5の凹部5’が形成されている部分は、他の部分に比べて厚みが小さく、高い電圧が印加される。このため、ナノホールは第1の電極7上に選択的に形成される。複数のナノホール8をアレイ状に形成し、トランジスタアレイ111を作製する場合には、自己組織化的に形成されるアレイ状のナノホール8のピッチと複数の第1の電極7のピッチとを一致させ、各第1の電極7にナノホール8を形成する必要がある。このため、第1の電極7の間隔と陽極酸化の条件とを調整しておく。また、第1の実施形態で説明したように、陽極酸化時におけるエッチングの開始点を導入するために、イオン注入などのよって、アルミニウム層5の凹部5’の底部に窪みを設けてもよい。
【0076】
図18に示すように、陽極酸化が進むと、アルミニウム層5が酸化され、アルミナからなる絶縁層6に変化するともに、ナノホール8が形成される。アルミニウム層5が完全に酸化されても、ナノホール8は第1の電極7には到達せずに、アルミナからなるバリア層6aがナノホール8の底部に形成される。
【0077】
次に図19に示すように、ナノホール8の底部にあるバリア層6aをエッチングにより除去し、第1の電極7をナノホール8内において露出させる。その後、図20に示すように、第1の電極7と電気的に接続したカーボンナノチューブ14をナノホール8内に形成する。上述したように、カーボンナノチューブ14を形成する際、絶縁層6を構成しているアルミナを触媒として用いることができる。また、カーボンナのチューブ14を形成する際、カーボンナのチューブ14の形成と同時に、ゲート絶縁層12上にグラファイトを形成することができる。このグラファイトをパターニングして第2の電極14としてもよい。グラファイトを利用しない場合には、絶縁層6上に多結晶シリコンや金属からなる導電膜を形成し、パターニングすることによって、カーボンナノチューブ14と電気的に接続される第2の電極14を形成してもよい。第2の電極15を形成した後の基板2の構造を図21に示す。
【0078】
次に図22に示すように、ナノホール8内および絶縁層6上において、カーボンナノチューブ14を覆うようにゲート絶縁層12を堆積する。その後、図13に示すように、ナノホール8内にゲート電極9を形成する。また、ゲート電極8に電気的に接続された配線10を形成する。第1の実施形態と同様、ゲート絶縁層12を覆うように多結晶シリコン膜を一体的に形成し、ゲート絶縁層12上においてパターニングすることによって、ゲート電極9および配線10を一体に形成してもよい。このようにして、トランジスタアレイ112および電界効果型トランジスタ102が完成する。
【0079】
本実施形態によれば、ナノホール8の側壁を構成しているアルミナがカーボンナノチューブ14を形成するための触媒として機能する。このため、コバルトなどの触媒金属をナノホール8の底部にのみ堆積する必要はなく、ナノホール8の直径を小さくし、電界効果型トランジスタ102の集積密度を高めることが可能となる。
【0080】
また、アルミナの触媒作用により、カーボンナノチューブ14の形成温度を低下させることができる。このため、電界効果型トランジスタ102を構成する各要素に種々の材料を選択することができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、高度に集積することが可能であり、特性のばらつきが少ない電界効果型トランジスタおよびそれを集積したトランジスタアレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界効果型トランジスタの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す電界効果型トランジスタが配列されたトランジスタアレイを示す斜視図である。
【図3】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図4】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図5】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図6】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図7】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図8】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図9】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図10】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図11】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図12】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の電界効果型トランジスタの第2の実施形態を示す断面図である。
【図14】図13に示す電界効果型トランジスタが配列されたトランジスタアレイを示す斜視図である。
【図15】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図16】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図17】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図18】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図19】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図20】図13に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図21】図13に示すトランジスタの製造工程を示す斜視図である。
【図22】図1に示すトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図23】従来の電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。
【図24】従来の電界効果型トランジスタの構造を示す斜視図である。
【図25】図24に示す従来の電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電層
2 基板
3 フォトレジスト
4 絶縁層
5 アルミニウム層
6 絶縁層
7 第1の電極
8 ナノホール
9 ゲート電極
10 配線
11 孔
12 ゲート絶縁層
14 カーボンナノチューブ
15 第2の電極
101、102 電界効果型トランジスタ
111、112 トランジスタアレイ
Claims (17)
- 第1の電極が設けられた基板と、
前記基板上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の表面から前記基板側へ延び、少なくとも一部が前記第1の電極に達するように設けられたナノホールと、
前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ナノホール内に設けられており、半導体特性を有するカーボンナノチューブと、
前記ナノホール内に設けられたゲート電極と、
前記ナノホール内において前記カーボンナノチューブと前記ゲート電極とに挟まれたゲート絶縁層と、
を備えた電界効果型トランジスタ。 - 前記ナノホールは、前記第1の電極上において前記基板と垂直に形成されている請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
- 前記絶縁層の表面に支持されており前記カーボンナノチューブと電気的に接続された第2の電極を更に備えた 請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
- 前記第2の電極がグラファイトからなる請求項3に記載の電界効果型トランジスタ。
- 前記ゲート電極が前記ナノホールの側面に接するように設けられている請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
- 前記カーボンナノチューブが前記ナノホールの側面に接するように設けられている請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
- 前記絶縁層および前記ナノホールは、アルミニウムを主成分とする金属を陽極酸化することによって得られるナノホールを備えたアルミナである請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
- 請求項7に記載の電界効果型トランジスタを複数備え、前記複数の電界効果型トランジスタのナノホールは第1の方向および第2の方向に沿って二次元に配置されているトランジスタアレイ。
- (a)基板上に第1の電極を形成する工程と、
(b)複数のナノホールを有する絶縁層を、前記複数のナノホールの少なくとも1つが前記第1の電極上に位置するよう、前記基板上に形成する工程と、
(c)半導体特性を有し、前記第1の電極と電気的に接続されたカーボンナノチューブと、ゲート電極と、前記カーボンナノチューブおよび前記ゲート電極に挟まれたゲート絶縁層とを前記少なくともひとつのナノホール内部に形成する工程と、
を包含する電界効果型トランジスタの製造方法。 - 前記工程(b)は、
(b1)前記基板上にアルミニウム層を形成する工程と、
(b2)前記アルミニウム層を陽極酸化することにより、前記絶縁層を形成する工程と、
を含む請求項9に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。 - 前記工程(a)は、
(a1)前記第1の電極の表面が凹部となるよう、前記第1の電極の周りに前記第1の電極よりも厚い絶縁層を形成する工程
を更に含む請求項10に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。 - 前記絶縁層に形成された複数のナノホールは、規則的に配列されている請求項11に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
- 前記第1の電極を形成する工程において、前記第1の電極は、前記基板上において互いに平行に延びるよう複数設けられ、前記複数の第1の電極の間隔と、前記複数のナノホールの配列間隔と一致するような条件で前記(b2)工程を行う請求項12に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
- 前記工程(c)は、
(c1)前記ナノホール内にゲート電極を形成する工程と、
(c2)前記ゲート電極の一部および前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、
(c3)前記ナノホール内において、前記第1の電極の一部が前記ナノホール内において露出するよう、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、
(c4)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、前記ゲート絶縁層上にカーボンナノチューブを形成する工程と、
を含む請求項9に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。 - 前記工程(c4)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む請求項14に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
- 前記工程(c)は、
(c11)前記ナノホールの底部にある前記絶縁層を除去し、前記第1の電極の一部を前記ナノホール内において露出する工程と、
(c12)前記ナノホール内において、前記第1の電極と電気的に接続するよう、カーボンナノチューブを形成する工程と、
(c13)前記ナノホール内において、前記カーボンナノチューブ上にゲート絶縁層を形成する工程と、
(c14)前記ナノホール内において、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、
を含む請求項9に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。 - 前記工程(c12)は、前記カーボンナノチューブに電気的に接続され、前記絶縁層に支持されたグラファイト層を形成し、前記グラファイト層をパターニングして第2の電極形成する工程を含む請求項16に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
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