JP2004101608A - 像加熱装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性層12を有する像加熱用回転体10と、固定支持され、像加熱用回転体10の外表面との間で形成した第1ニップ部Hより、像加熱用回転体表面を外部加熱する板状加熱ヒータ21と、像加熱用回転体10に圧接して第2ニップ部Nを形成する加圧部材30と、を有し、第2ニップ部Nに記録材Pを導入して挟持搬送させることで記録材上の画像を加熱する像加熱装置であり、板状加熱ヒータ21に供給する目標供給電力量を設定し、画像加熱時に少なくとも像加熱用回転体10が1周する範囲においては略一定の電力を加熱ヒータ21に供給することを特徴とする像加熱装置。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置において、作像プロセス部で記録材(転写材、印字用紙、感光紙、静電記録紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着トナー画像を永久固着画像として熱定着処理する加熱定着装置として用いて好適な像加熱装置に関するものである。
【0002】
また、この像加熱装置は、記録材上の未定着トナー画像を加熱して仮定着する装置、画像を担持した記録材を加熱して、つや等の表面性を改質する装置等としても使用できるものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式等を採用する画像形成装置に具備される像加熱装置としての加熱定着装置においては、未定着トナー像を担持した記録材を、互いに圧接して回転する加熱用回転体としての定着ローラと加圧部材としての加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより記録材上に永久画像として定着させる、いわゆる熱ローラ方式の加熱定着装置が広く用いられている。
【0004】
図9にその熱ローラ方式の加熱定着装置の概略構成を示す。定着ローラ40は、アルミニウムやステンレス製の中空芯金42の内部にハロゲンランプ等の加熱体41を設け、外表面にはトナーのオフセットを防止するためのフッ素樹脂等の離型性層43を備えたものである。定着ローラ表面の温度をサーミスタ等の温度検知手段44を用いて検知し、不図示の通電制御回路により温度検知手段44で検知される定着ローラ表面温度が一定になるように加熱体41への通電を制御している。
【0005】
また、加圧ローラ50は、芯金51の外部にシリコンゴム等より形成した弾性層、あるいはシリコンゴムを発泡してなるスポンジ弾性層52を形成し、さらにその外層には定着ローラ40と同様のフッ素樹脂等の離型性層53が形成されている。
【0006】
上記定着ローラ40と加圧ローラ50は所定の押圧力で相互圧接させて定着ニップ部Nを形成させてあり、また矢印の方向に回転駆動される。そして定着ニップ部Nに未定着トナー画像を形成担持させた記録材Pを導入して挟持搬送させて通過させることにより未定着トナー画像を記録材P上に熱と圧力で永久固着画像として定着させるものである。
【0007】
また、高速機あるいはカラートナーを用いた画像形成装置の場合、トナーの定着性を十分に満足し、定着ムラを防止するために、上記定着ローラ40の中空芯金42と離型性層43の間にシリコンゴム等の厚み2mm程度の弾性層を設けたものもあり、軟らかくなった定着ローラ表面で記録材上のトナーを包み込むことで、記録材およびトナーへの熱の伝搬効率を向上させている。
【0008】
しかしながら、近年の環境問題の一つとして消費電力の低減が強く望まれる一方で、市場ニーズからは高画質および高速での画像出力が望まれている。そこで、このような消費電力の低減と高速・高画質の要求に応えるために、上記の熱ローラ方式の加熱定着装置に対して種々の改善が試みられている。
【0009】
一つは、定着ローラ40の昇温時間を短縮し消費電力を小さくする目的で、図10のように加熱体46、54をそれぞれ内包する加熱用回転体47および55をそれぞれ弾性層45、52を有する定着ローラ40や加圧ローラ50の外表面に配置させ、外表面のみを加熱することで、低消費電力で熱効率の良い加熱定着装置の1例が特開平10−301417号公報、特開平11−073050号公報等に提案されている。
【0010】
このような定着ローラ40や加圧ローラ50の外表面に配置させる外部加熱用部材としては、接触状態にあるものと、非接触状態にあるものと大別されるが、接触式の方が熱の伝搬効率が高い。また、図10に示したように加熱体46、54を内包するタイプの加熱用回転体47、55の他に、中空芯金の内面にポリイミド等の有機樹脂やガラス等の絶縁層を介して通電発熱抵抗層を備えたヒートローラタイプのものもある。
【0011】
一方では、特にスタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた方法、詳しくはヒータ部と加圧ローラの間に熱容量の小さく薄肉のフィルムを介して記録材上のトナー像を定着するフィルム加熱方式による加熱定着方法の1例が特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980号公報等に提案されている。
【0012】
図11にフィルム加熱方式の1例の概略構成を示す。すなわち図において、60はフィルムアセンブリであり、アルミナ、チッ化アルミ等のセラミック基板上に通電発熱抵抗層が形成された加熱ヒータ61が耐熱性樹脂より形成されたステイホルダー62に固定され、このステイホルダー62にルーズに外嵌させたポリイミド等の耐熱性の薄肉フィルム63(以下、定着フィルムと記す)を有する。
【0013】
このフィルムアセンブリ60の加熱ヒータ61と加圧ローラ50とを定着フィルム63を挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させてある。
【0014】
定着フィルム63は、加圧ローラ50の矢印の方向の回転駆動力により、定着ニップ部Nにおいて加熱ヒータ61に密着・摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される。加熱ヒータ61の温度は、ヒータ背面に配置されたサーミスタ等の温度検知手段64により検知し、不図示の通電制御部へフィードバックされ、加熱ヒータ61が所定の一定温度(定着温度)になるように加熱、温調される。
【0015】
このようなフィルム加熱方式の加熱定着装置を用いたプリンター、複写機等の各種画像形成装置は、加熱効率の高さや立ち上がりの速さにより、待機中の予備加熱の不要化や、ウエイトタイムの短縮化など、従来の熱ローラ方式の加熱定着装置に比べて多くの利点を有している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各種従来方式の加熱定着装置は相互間の対比においては何れも一長一短を有しており、例えば、熱ローラ方式の加熱定着装置とフィルム加熱方式の加熱定着装置との対比で、高速性、耐久性等の点では、熱ローラ方式の加熱定着装置が優れている。
【0017】
熱ローラ方式の加熱定着装置でも、高速の画像形成装置に対応するためには、定着ローラは弾性層を有することが必要となってくるが、従来の弾性層を有する熱ローラ方式の加熱定着装置では、定着ローラの熱容量が大きく、熱伝導の悪い弾性層を介して内面からの伝熱により定着ローラ表面を所定温度に昇温させるために要する時間はフィルム加熱方式と比較すると圧倒的に長く、また定着ローラを所定温度に昇温させるために必要な電力が大きくなる。また、画像形成装置の電源をONしてからプリント開始可能になるまでのウエイトタイムが長くなり、さらにスタンバイ中もある程度定着ローラを加熱しておく必要があることから、消費電力が多くなるという点でも不利である。
【0018】
また、図10に示すように比較的熱容量の小さい加熱部材(ヒートローラ)によって外部から定着ローラ表面および加圧ローラ表面を加熱する方式では熱容量の大きい定着ローラの内面まで温める必要はなく、表面のみ昇温すれば良いため所定温度までの加熱時間の短縮や消費電力を低く抑えることが可能となる。しかし、それでもフィルム加熱方式と比較すると圧倒的に劣る。それはヒートローラの構成が図のように中空芯金内にハロゲンヒータを内包する構成の場合、定着ローラを温める前にヒートローラ自体を温めるために時間を要する。
【0019】
また、金属パイプの内面に絶縁層を介して発熱抵抗層を有する構成のヒートローラでは、前記ハロゲンヒータで昇温するタイプよりは早く立ち上がるがこのようなローラ形状の加熱部材では、定着ローラに熱を供給できるのは、ヒートローラと定着ローラで圧接して形成される加熱ニップ部においてのみ可能であり、ニップで接している部分以外は外気に熱を放出してしまうため熱の供給が非効率になってしまうと共に、フィルム加熱方式に比べやはり熱容量が大きく、スタンバイ中はある程度の加熱が必要になっていた。
【0020】
よって画像形成装置の記録材搬送速度が遅い場合は、定着ローラに供給すべき熱量が少なくてすむため、ローラ形状のヒートローラでも十分間に合うが、記録材搬送速度が速くなるとヒートローラの加熱ニップ以外から放出される熱がロスとなり定着ローラへの熱供給が間に合わなくなる。
【0021】
また、フィルム加熱方式や弾性層を具備しない定着ローラ(ハードローラ)方式の加熱定着装置の場合、被記録材上のトナー画像の定着性は被記録材の厚み、表面性に大きく左右されることが知られている。特に表面性の粗い記録材では定着性が著しく損なわれる。これは表面の凹凸が粗い記録材に未定着トナー像を加熱定着する場合、未定着トナー像と接触する加熱部材表面が硬いため記録材の凹部に熱が効率よく供給されない為である。このため、局所的に定着性が悪くなり、トナー画像表面ががさついてしまう。すなわち記録材上のトナー像の定着ムラが発生し、特に写真画像等のハーフトーン画像やカラー画像の場合にはがさついた画像になってしまう。このがさつきは定着性に不利な高速化によりさらに顕著になってくる。その結果、表面性の悪い記録材でも良好な定着性、高画質を得るためには定着加圧力を高くする、定着温度を高くする必要がある。
【0022】
しかしながら、定着圧力を高くする方法は加熱定着装置の駆動トルクが高くなり、装置コストが高くなりやすい。特にフィルム加熱方式の加熱定着装置にあっては、熱源としての加熱体に対して加熱用回転体であるフィルムが定着ニップ部で摺動するために回転トルクが大きくなりやすい為、加圧力を大きくすることが難しく、総圧で高々15kg程度が限界とされ、定着ニップ領域内の線圧は低めとされる。そのため、表面性の悪い記録材の定着性を良くするためには定着温度を高くせざるを得なくなる。
【0023】
しかしながら単に定着温度を高くした場合、薄い記録材や表面性の良い記録材に対しては過剰な熱量が供給されることになり、ホットオフセットが発生したり、紙のカール量が大となるような弊害が生じる。
【0024】
このため、高速化した画像形成装置で様々な記録材の定着性、画質を向上するためには、記録材の未定着トナー形成面と接触する加熱部材に弾性層を設ける必要があるが、前述したようにクイックスタート性を満足する加熱定着装置は今のところ実現していない。
【0025】
以上、従来の加熱定着装置では、スタンバイ中に電力を消費せず、プリント信号を受信してから未定着トナー像が形成された記録材を加熱定着するまでの時間(以下、ファーストプリントタイム)を十分に低減し、画像形成装置の高速化を達成すると共にハーフトーン画像やカラー画像を含む画像を高画質状態で加熱定着することが可能な加熱定着装置は実現しておらず、そのような加熱定着装置の開発が要望されている。
【0026】
本発明はその要望に応え得る像加熱装置を提供するものであり、立ち上がり時の昇温時間の短縮、消費電力の低減、さらには高速、高画質といったすべてにおいて優れた性能を達成し、クイックスタート性、定着均一性、高画質定着性を備えたオンデマンドタイプの像加熱装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
以上を鑑み、本発明においては、下記の構成を特徴とする像加熱装置および該像加熱装置を備えた画像形成装置を提供するものである。
【0028】
(1)弾性層を有する像加熱用回転体と、固定支持され、上記像加熱用回転体の外表面との間で形成した第1ニップ部より、像加熱用回転体表面を外部加熱する板状加熱ヒータと、上記像加熱用回転体に圧接して第2ニップ部を形成する加圧部材と、を有し、
上記第2ニップ部に記録材を導入して挟持搬送させることで記録材上の画像を加熱する像加熱装置であり、
上記板状加熱ヒータに供給する目標供給電力量を設定し、画像加熱時に少なくとも上記像加熱用回転体が1周する範囲においては略一定の電力を加熱ヒータに供給することを特徴とする像加熱装置。
【0029】
(2)第1ニップ部にシートを介在させ、該シートを間欠的に移動させて第1ニップ部におけるシート部分を更新する手段を有することを特徴とする前記(1)に記載の像加熱装置。
【0030】
(3)連続して記録材上の画像を加熱する場合、加熱ヒータへの供給電力量を記録材枚数に応じて徐々に小さく設定することを特徴とする前記(1)あるいは(2)に記載の像加熱装置。
【0031】
(4)像加熱用回転体表面の温度を検知する温度検知手段を有し、
像加熱用回転体表面検知温度が目標温度から所定量ずれた場合に、加熱ヒータへの目標供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記(1)から(3)の何れか1つに記載の像加熱装置。
【0032】
(5)加熱ヒータ背面に加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、
加熱ヒータ背面の検知温度が所定温度を越えた場合に、加熱ヒータへの目標供給電力量、像加熱用回転体表面温度の目標温度の少なくとも一方の値を下げることを特徴とする前記(1)から(4)の何れか1つに記載の像加熱装置。
【0033】
(6)像加熱用回転体表面の温度を検知する温度検知手段と、加熱ヒータ背面に加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段とを有し、
加熱ヒータへの通電を開始する前の像加熱用回転体表面温度、加熱ヒータ背面の温度、および加熱ヒータへの通電を開始してから記録材が第2ニップ部まで到達するまでの間の所定時間内の供給電力、所定電力供給時の像加熱用回転体表面昇温スピード、加熱ヒータ背面の温度上昇スピードの少なくとも1つの情報を元に加熱ヒータへの供給電力を決定することを特徴とする前記(1)から(5)の何れか1つに記載の像加熱装置。
【0034】
(7)像加熱用回転体の弾性層がスポンジゴムあるいは中空の充填材を含むことを特徴とする前記(1)から(6)の何れか1つに記載の像加熱装置。
【0035】
(8)記録材の面に未定着トナー画像を形成担持させる作像手段と、記録材の面に形成された未定着画像を永久画像として定着させる定着手段を有する画像形成装置において、定着手段が前記(1)から(7)の何れか1つに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0036】
(9)画像形成装置の一部に外気温検知手段を設け、該検知手段の検知温度に応じて像加熱装置の加熱ヒータへの供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記(8)に記載の画像形成装置。
【0037】
(10)画像形成装置に記録材の厚みを検知する厚み検知手段を有し、厚み検知手段によって検知された記録材の厚みに応じて像加熱装置の加熱ヒータへの供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記(8)あるいは(9)に記載の画像形成装置。
【0038】
〈作 用〉
1)像加熱用回転体を外部加熱する板状加熱ヒータとしては、通電により迅速に昇温する例えばプレート状のセラミックヒータ等の低熱容量の加熱ヒータを用いることが出来、また第1ニップ部にシートを介在させ、該シートを間欠的に移動させて第1ニップ部におけるシート部分を更新する手段を有する場合における該シートも薄肉で低熱容量の耐熱性樹脂製等のシートを用いることが出来、また加圧部材も低熱容量のものを用いることが出来て、第1ニップ部でのエネルギ密度を高くすることができ、像加熱用回転体表面を外部加熱方式にて急加熱することが可能であり、スタンバイ中に電力を消費せず、ファーストプリントタイム低減、消費電力の低減が達成される。
【0039】
3)また、像加熱用回転体が弾性を有するため、記録材上のトナー画像を包み込み効果で加熱することで加熱ムラ、定着ムラを低減し、高画質の画像出力を維持させることが出来る。
【0040】
4)第1ニップ部にシートを介在させ、該シートを間欠的に移動させて第1ニップ部におけるシート部分を更新する手段を有する場合には、第1ニップ部においてシートに付着したオフセットトナーや紙粉の塊が像加熱用回転体を介して第2ニップ部に持ち運ばれて記録材上に転写される前に、該シートをスライドさせることで、画像の劣化を防止することができる。
【0041】
5)また、加熱ヒータに供給する電力を、予め実験により代表的な記録材で求めた像加熱用回転体表面の温度を所定温度に保つための電力推移とし、供給目標電力と像加熱用回転体表面目標温度を設定し、供給目標電力によって加熱ヒータへの通電を行い、少なくとも像加熱用回転体が1周する間は略一定の電力供給を行う。また、像加熱用回転体表面温度が所定量ずれた場合には、供給電力量の補正を行う。
【0042】
以上により、像加熱用回転体表面温度リップルを抑え、第2ニップ部において記録材へ安定した熱の供給を行うことが可能になる。よって記録材の搬送方向の定着均一性、記録材の枚数毎の定着均一性を保つことができる。
【0043】
6)また、加熱ヒータ背面に加熱ヒータの温度を検知するための温度検知手段を設け、異常昇温した場合に、供給電力量、像加熱用回転体目標温度の少なくとも一方の値を下げることにより、未然に過昇温による部品の破損を防止する。
【0044】
6)また、外気温検知手段を設け、外気温を検出し、外気温に応じて加熱ヒータへの供給電力量、像加熱用回転体表面の目標温度の少なくとも一方に補正を加えることで、像加熱用回転体の温度を適正化し、より安定した記録材上の画像の加熱を実施できる。
【0045】
7)また、記録材の厚みを検知する手段を設け、搬送される記録材の厚みに応じて加熱ヒータへの供給電力量、像加熱用回転体表面の目標温度の少なくとも一方に補正を加えることで、記録材の厚みに合致した熱供給で加熱を行うことで、より安定した記録材上の画像の加熱を実施できる。
【0046】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
(1)画像形成装置例
図1は、画像形成装置の一例の構成模型図である。本例の画像形成装置は転写方式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンターである。
【0047】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
【0048】
感光ドラム1は矢印の時計方向に所定の周速度にて回転駆動され、その表面が帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
【0049】
次いで、その帯電面に対してレーザスキャナ3により画像情報の書き込み露光がなされる。すなわちレーザスキャナ3は画像情報の時系列電気デジタル画像信号に応じてON/OFF制御(変調制御)されたレーザビーム3aで回転感光ドラム1の一様帯電処理面を走査露光する。これにより感光ドラム1の一様帯電面の露光部電位が減衰して感光ドラム面に画像情報の静電潜像が形成される。
【0050】
この静電潜像は、現像装置4でトナー画像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0051】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。
【0052】
ここで感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置が合致するようにトップセンサ8にて記録材の先端を検知し、タイミングを合わせている。
【0053】
所定のタイミングで搬送された記録材Pは、感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送されて、感光ドラム1面側のトナー像の転写を受ける。
【0054】
このトナー像が転写された記録材Pは定着装置6へと搬送され、永久画像として定着される。
【0055】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1表面より除去される。
【0056】
(2)加熱定着装置6
図2は本実施例の加熱定着装置6の拡大模式図である。この加熱定着装置は、大別して、加熱用回転体としての、弾性層12を有する定着ローラ10と、この定着ローラ10に耐熱性シート(クリーニングシート)19を介して圧接して第1ニップ部である加熱ニップ部Hを形成し、定着ローラ10の外表面を耐熱性シート19を介して外部加熱昇温させる加熱部材20と、定着ローラ10と相互圧接して第2ニップ部である定着ニップ部Nを形成する加圧部材30と、からなる。
【0057】
定着ローラ10は長手方向端部から芯金11を介して不図示の回転駆動機構により、矢印の時計方向に回転駆動され、加熱ニップ部Hにおいて加熱部材20により所定の定着温度に外部加熱され、定着ローラ10と加圧部材30との圧接部である定着ニップ部Nに回り込む。その定着ニップ部Nに未定着トナー像を担持した記録材Pが耐熱性の定着入口ガイド15に沿って搬送導入され、挟持搬送される。記録材Pが定着ニップ部Nで挟持搬送されて行く過程で定着ローラ10の熱と定着ニップ部Nの加圧力で、未定着トナー像が記録材面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを出た記録材Pは定着ローラ10から分離され、定着排紙ガイド16に案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
【0058】
1)定着ローラ10
加熱用回転体である定着ローラ10は以下の部材から構成される。すなわち基本的には、アルミあるいは鉄製の芯金11の外面をブラスト処理等の表面粗し処理を行った後、外側にシリコンゴムより形成された弾性層(ソリッドゴム層)、あるいは断熱効果を持たせるためにシリコンゴムを発泡して形成された弾性層(スポンジゴム層)、あるいはシリコンゴム層内に中空のフィラーを分散させ、硬化物内に気体部分を持たせ、断熱作用を高めた弾性層(気泡ゴム層)12からなる。
【0059】
定着ローラ10は、熱容量が大きく、また熱伝導率が少しでも大きいと、外表面から受ける外部加熱部材20の熱を内部に吸収しやすく、定着ローラ10表面温度が上昇しにくくなるため、弾性層12はできるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10の立ち上がり時間に有利である。
【0060】
ここで、上記シリコンゴムのソリッドゴム層は熱伝導率が0.25〜0.29W/m・k、スポンジゴム、気泡ゴムは0.11〜0.16W/m・kであり、スポンジゴム、気泡ゴムはソリッドゴムの約半分の値を示す。
【0061】
また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05〜1.30、スポンジゴム、気泡ゴムが約0.75〜0.85である。
【0062】
従って、定着ローラ10の弾性層12の好ましい形態としては、熱伝導率が0.15W/m・k以下で、比重が0.85以下の断熱効果の高いスポンジゴムや気泡ゴム層の方が好ましい。
【0063】
また、定着ローラ10の外径は小さい方が熱容量を抑えられるが、小さすぎると加熱ニップ部Hの幅及び定着ニップ部Nの幅がかせぎにくくなるため適度な径が必要である。
【0064】
弾性層12の肉厚に関しても、薄すぎれば金属製の芯金11に熱が逃げるので適度な厚みが必要である。
【0065】
以上を考慮して本実施例では、適正な加熱ニップ部Hを形成でき、且つ熱容量を抑えるために、肉厚が4mmの気泡ゴムを用いて弾性層12を形成し、外径がφ20mmの定着ローラを使用した。
【0066】
なお、気泡ゴムによる弾性層12を形成するにあたり、使用する中空フィラーとしては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものであっても構わない。
【0067】
また、芯金11は従来例に記載しているような中空芯金でもよい。
【0068】
また、上記に述べた弾性層12の上にはパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂離型性層13を形成する。あるいは、GLSラテックスコーティングを施したものであっても良い。離型性層13はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコーティングしたものであってもどちらでもよい。
【0069】
また、定着ローラ10表面の温度を検知するためのサーミスタ、赤外温度素子等の温度検知手段14を加熱ニップ部Hよりも定着ローラ回転方向下流側に配置し、後述する加熱部材20の加熱ヒータの通電発熱抵抗層21bへの通電を制御することで、定着ローラ表面の温度を一定に保つ。
【0070】
2)加熱部材20
加熱部材20は、板状加熱ヒータ(加熱体)21と、この加熱ヒータを固定支持させた断熱ステイホルダー24とからなり、加熱ヒータ21を定着ローラ10側に対向させて耐熱性シート19を介して定着ローラ10の外面に圧接させて第1ニップ部としての加熱ニップ部Hを形成させた状態にして、定着ローラ10に対する所定位置に固定配置される。
【0071】
加熱ヒータ21を保持する断熱ステイホルダー24は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成され、熱伝導率が低いほど定着ローラ表面の加熱に際する熱効率が高くなる。よって樹脂層の中に中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等を内包してあっても良い。
【0072】
▲1▼.加熱ヒータ21
本実施例において、加熱部材20の加熱ヒータ21は、低熱容量、プレート状ヒータである。図3の(a)に本実施例における加熱ヒータ21の表面側の一部切り欠き平面模型図と、給電系のブロック回路図、(b)に同加熱ヒータ21の裏面(背面)側の平面模型図、(c)に(b)図のc−c線に沿う拡大横断面模型図を示した。
【0073】
21aは定着ローラ10の長手方向を長手とする細長、薄肉の加熱ヒータ基板であり、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板より形成されている。
【0074】
この加熱ヒータ基板21a表面には長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層21bをスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工し焼成することにより形成してある。
【0075】
また、21c・21cはヒータ基板21aの表面側両端部面にそれぞれ具備させた第1と第2の給電電極部であり、それぞれ上記通電発熱抵抗層21bのその側の端部と電気的に導通させてある。給電電極部21c・21cは、例えば、銀(Ag)等の導電材ペーストを所要パターンにスクリーン印刷等により塗工し、焼成することにより形成される。
【0076】
加熱ヒータ21の両端部にはそれぞれ給電回路の給電コネクタ22・22が嵌着され、給電回路から第1と第2の給電電極21c・21c間に電圧が印加されて通電発熱抵抗層21bが発熱することで加熱ヒータ21が全体的に迅速に昇温する。
【0077】
この加熱ヒータ21の定着ローラ10側には、熱効率を損なわない範囲で加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bを保護する保護層21dを設けてあっても良い。ただし、保護層21dの厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が好ましい。その例としては、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(CTEF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素樹脂層を単独ないしは混合して被覆するか、あるいはグラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等からなる乾性被膜潤滑剤、ガラスコート等の保護層が考えられる。
【0078】
また、加熱ヒータ21の基板21aとして熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、通電発熱抵抗層21bは基板21aに対して定着ローラ10と反対側に形成してあっても良い。
【0079】
加熱ヒータ21の定着ローラ10と反対側には、通電発熱抵抗層21bの発熱に応じて昇温したセラミック基板21aの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知手段23が配置されており、加熱ヒータ21を異常昇温を監視する目的で設けられている。
【0080】
また、加熱ヒータ21の背面に配置された温度検知手段23で加熱ヒータ21の温度をモニターし、その検知温度情報(ヒータ温度情報)がエンジン制御部(制御回路)100に入力される。エンジン制御部100は加熱ヒータ21が所定温度以上にならないように駆動回路(ドライバ)101を介して電源回路(交流電源)102を制御し、この電源回路102から加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの通電量を制御する。
【0081】
▲2▼.断熱ステイホルダー24
加熱ヒータ21を保持する断熱ステイホルダー24は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成され、熱伝導率が低いほど定着ローラ表面の加熱に際する熱効率が高くなる。よって樹脂層の中に中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等を内包してあっても良い。
【0082】
▲3▼.耐熱性シート19
加熱ヒータ21は耐熱性シート19を介して定着ローラ10に圧接させて第1ニップ部である加熱ニップ部Hを形成させてある。
【0083】
この耐熱性シート19は加熱ニップ部Hにおいて定着ローラ10との摺擦によってオフセットトナーが溜まり汚れた時にその汚れが定着ローラ10で第2ニップである定着ニップ部Nに持ち運ばれて記録材Pへ再度付着するのを防止するものである。
【0084】
耐熱性シート19は、テンションローラ17の長手方向に渡って巻き付けられており、加熱部材20の加熱ヒータ21と定着ローラ10の間を通って巻き取りローラ18に至り、巻き取りローラ18によって巻き取られる構成になっている。
【0085】
テンションローラ17および巻き取りローラ18はプリント中は回転せず、よって耐熱性シート19は定着ローラ10と摺擦された状態で固定されている。すなわち、停止状態の耐熱性シート19を介して加熱ヒータ21が定着ローラ10に圧接して加熱ニップ部Hが形成されており、回転駆動される定着ローラ10が加熱ニップ部Hにおいて耐熱性シート19に摺動しながら耐熱性シート19を介して加熱ヒータ21で加熱される。
【0086】
定着ニップ部Nに対する記録材Pの通紙により定着ローラ10の外面にオフセットしたトナーは定着ローラ10の回転で加熱ニップ部Hへ持ち運ばれて、停止状態にある耐熱性シート19に対する定着ローラ10の回転摺擦によってオフセットトナーが耐熱性シート19の面に拭い取られて溜まる。
【0087】
一定枚数の記録材を加熱定着した後に耐熱性シート19を所定量巻き取りローラ18によって巻き取ることで、定着ニップ部Nにおける耐熱性シート部分を更新して汚れた部分を加熱ニップ部Hから排出するのものである。
【0088】
耐熱性シート19は耐熱性、可撓性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、PFA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のシートで形成されており、加熱部材20の加熱ヒータ21からの熱を定着ローラ10に効率良く伝える部材として、厚みを25μm以下で形成されている。
【0089】
また、耐熱性シート19中にBN、アルミ、アルミナ、AlNのフィラー等、熱伝導性を向上する熱伝導フィラーを混入してあっても良い。
【0090】
また、該耐熱シート19の定着ローラ10側には摺動性の良好なPFA、PTFE、FEP等が薄膜で塗布された状態であっても良い。また、加熱ヒータ21と耐熱性シート19の間の接触熱抵抗を小さく抑えるため、加熱ヒータ21と耐熱シート19の接触面の表面粗さは小さい方が好ましい。
【0091】
また耐熱性シート19は、摺動回転せず固定された状態で使用するため、テンションローラ17と加熱ニップ部Hとの間で引っ張りのテンション負荷がかけられた状態となるため、引っ張り強度が満足される5μm以上の厚みで形成されていることが望ましい。よって加熱ヒータ21の熱を効率よく定着ローラ10に伝達し、強度的に満足するために5μm〜25μm程度の厚みのものがよい。
【0092】
なお、本実施例では耐熱性シート19により加熱ニップ部Hの汚れを除去する方法を示したが、汚れを除去する他の方法であっても構わない。
【0093】
3)加圧部材30
定着ローラ10との圧接で第2ニップ部としての定着ニップ部Nを形成させる加圧部材30は出来るだけ低熱容量化して加圧部材30側への奪熱量を低減化させるために、本実施例では薄肉フィルムを用いた加圧部材構成としてある。
【0094】
すなわち、加圧部材30は、摺動部材31を取り付けた断熱加圧ホルダー32に、耐熱性を有する円筒状(エンドレスベルト状)の薄肉フィルム33をルーズに外嵌させたものである。この加圧部材30を、その摺動部材31部分を定着ローラ10に対向させて断熱加圧ホルダー32を不図示の加圧手段によって定着ローラ10に対して加圧することで、摺動部材31と定着ローラ10との間にフィルム33を挟ませて定着ローラ10に該定着ローラの弾性層12の弾性に抗して圧接させることで定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。
【0095】
このような構成において、定着ローラ10が回転駆動されると、定着ニップ部Nにおいて定着ローラ10とフィルム33との摩擦力でフィルム33に回転力が作用してフィルム33の内面が定着ニップ部Nにおいて、摺動部材31面に密着して摺動しつつ断熱加圧ホルダー32の外回りを矢印の反時方向に従動回転する。
【0096】
フィルム33と摺動部材31の間には、摩擦抵抗を小さく抑えるためにグリス等の潤滑剤を少量介在させてある。上記グリスは熱伝導率が低く、フィルム33を介して定着ローラ10からの熱が摺動部材31および断熱加圧ホルダー32へ放熱されるのを防ぐことが望ましい。
【0097】
記録材Pは定着ニップ部Nの定着ローラ10とフィルム33との間にトナー像面を定着ローラ10側にして導入されて挟持搬送されることで定着ローラ10の熱で加熱される。
【0098】
薄肉フィルム33は、耐熱性、断熱性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、PFA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のフィルムである。フィルム厚みは、強度等を考慮し、20μm以上150μm未満が適当な範囲である。また、定着ローラ10上に付着したオフセットトナーが蓄積しないように、表層にはPFA、PTFE、FEP、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆してあっても良い。
【0099】
また、摺動部材31は、耐熱フェルト、マイカシート、セラミックシート、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK、ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂、PEEK等の耐熱性を有する樹脂シートより形成され、特に断熱性を有する部材が適している。
【0100】
またその表面に摩擦抵抗を低減するガラスコート、フッ素樹脂等の摺動層をコーティングしてあっても良い。
【0101】
摺動部材31を保持している断熱加圧ホルダー32は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成され、断熱性、摺動性を有する部材が適している。
【0102】
また、ここでは、摺動部材31と断熱加圧ホルダー32を別部材として扱っているが、それらを一体成型により形成し摺動部分に上記の摺動層をコーティングしても良く、よりコストダウンを図ることが可能である。
【0103】
(3)加熱ヒータ21への供給電力制御(通電量制御)
1)加熱ヒータ21(通電発熱抵抗層21b)への通電量(供給電力)はエンジン制御部100によりPI(比例・積分)制御に基づき、位相制御・波数制御等の周知の手段によりきめ細かく電力供給が行われ、同時にエンジン制御部100は位相角または波数情報を記憶しておくことで、通電電力量を知ることが可能となる。また、上記電源回路102として、インバータ制御された高周波の交流電源を供給するシステムにすることで、よりきめ細かな電力供給設定が可能になる。
【0104】
ここでPI制御は下記のような式に応じて供給電力量を決定する。
【0105】
W=A×(T0−T)+I
W1=(V0/V)2×W0
(単位は%でフル通電の時の電力量を100%とする)
Aは常数(例えば2)、T0は目標温度、Tは定着ローラ表面の温度検知手段14による検知温度で、この部分がP制御に相当する。Iは一定時間(例えば500msec)毎に定着ローラ表面温度をモニターした結果が目標温度に対して低ければ5%供給電力を増加し、逆に高ければ5%供給電力を減少させる。これがI制御に相当する。
【0106】
この結果得られたW(PI値)はPI制御によって得られる供給電力に相当する値となる。また画像形成装置がモニターした電源電圧Vと標準電圧V0(例えば100V)をそれぞれ印加した時の供給電力量(単位は%)をそれぞれW1、W0とすると両者の関係は各印加電圧の2乗の比となる。
【0107】
よって標準電圧V0印加時にW0の電力量が必要な場合に対しては、上記式により印加電圧Vの時の電力量W1を決定する。
【0108】
これによって決定されたW1に基づいて位相角または波数を決定し、所定の電力を加熱ヒータ21へ供給することで電源電圧が異なった状況でも標準電圧V0を印加した場合と同等の消費電力で加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへ通電することが可能になる。
【0109】
ここで電源電圧は電圧検出回路103によってモニターされ、その検出電圧情報がエンジン制御部100に入力される。
【0110】
または、電源電圧に降圧回路等を用いて所定の一定電圧を印加する手段を用いても良い。すなわち、画像形成装置の使用者によって電源電圧は異なっているが、所定の一定電圧が加熱ヒータに印加されるように所定の一定電圧を加熱ヒータに印加するようにし、その電圧に対してPI制御することによって電源電圧の違いよる供給電力の補正を行う必要はなくなる。
【0111】
2)ここで、加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの通電量制御方法についての詳細を図4の投入電力テーブルおよび図5の電力供給フローチャートを用いて説明する。
【0112】
本実施例で示した加熱定着装置6は、記録材Pを挟持搬送する定着ニップ部Nを直接加熱するシステムではなく、定着ローラ10の表面を定着ニップ部Nと別の加熱ニップ部Hで加熱昇温させるものであり、例えば加熱ヒータ21の背面に設けた温度検知手段23によって加熱ヒータ21を一定温度に保つように加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの通電を制御した場合には、定着ローラ10表面の温度リップルは大きなものとなってしまい、記録材P搬送方向に定着性のムラが発生してしまう。
【0113】
これは、定着ニップ部Nで定着ローラ10の表面から記録材Pへ熱が奪われ、定着ローラ10の冷えた部分が加熱ニップ部Hまで回転してきた後に耐熱性シート19、加熱ヒータ21を介して定着ローラ10の表面が冷やされたことを加熱ヒータ21の背面に配置してある温度検知手段23が検出し、それを基に加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの供給電力(PI値)を上げ始め、定着ローラ10表面の加熱を行うが、もはやこの時には加熱ヒータ21の背面に配置した温度検知手段21bへ冷えた状態を伝えた定着ローラ10表面は回転によって加熱ニップ部Hを抜けてしまっている。
【0114】
一方、過昇温した定着ローラ10表面が加熱ニップ部Hに到達後に加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの供給電力(PI値)を下げる場合も同様の現象が起こり、これにより定着ローラ10表面の温度リップルは大となってしまう。
【0115】
特に画像形成装置が高速化した場合には、この現象は顕著になり、記録材搬送方向の定着性のムラは許容できなくなってしまう。
【0116】
また、定着ローラ表面の温度を検知する温度検知手段14で検知される温度を所定温度に保つように加熱ヒータ21への通電を制御する場合、記録材Pが定着ニップ部Nに突入する前の状態では、安定した加熱が容易に可能であるが、記録材Pが定着ニップ部Nに突入し、定着ローラ10表面の温度が急激に低下したような場合、加熱ヒータ21への通電制御としてのPI制御のゲインが大きいと電力が急激に変化しやはり定着ローラ10の表面の温度リップルが大となってしまう。
【0117】
一方PI制御のゲインが小さいと、急激な定着ローラ10表面の温度低下を補う電力投入ができず、結果、定着ローラ10の表面の温度が所定温度まで上昇せず、定着不良を起こしてしまう。
【0118】
よってPI制御のゲインを適度な状態にしなくてはならないが、ユーザが使用する記録材は多岐に渡っており、これら全ての記録材に対して適正なPI制御のゲインを決定することは、困難である。
【0119】
以上のことから本実施例で示す加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの供給電力決定のアルゴリズムは、定着ローラ10の表面の温度リップルを抑え、定着ニップ部Nで安定した加熱定着を実施するものである。
【0120】
このため、本例では、記録材上の未定着トナー画像を加熱定着中は、加熱ヒータ21への供給電力を短いスパン、少なくとも定着ローラ10が加熱手段20に対し1周する範囲では略一定に保つように制御している。
【0121】
図4に各定着モードにおける供給電力の推移を示す。これは、実験によって各定着モードにおける代表紙種の各定着ローラ設定温度に対し必要とされる供給電力量を求めた結果である。
【0122】
図4において、横軸は加熱定着装置が室温状態に近い状態からプリントを開始した場合の通紙枚数、縦軸は加熱ヒータ21の通電発熱抵抗層21bへの供給電力を示す。
【0123】
各定着モードでは、通紙枚数に応じて長いスパンで徐々に加熱ヒータ21への供給電力を絞っている。これは、加熱定着装置全体の系が徐々に昇温し、定着ローラ10の表面の温度を維持するために必要な加熱ヒータ21への供給電力が減少するためである。
【0124】
よって、加熱定着装置全体の系がある程度昇温した状態からプリントを開始する場合には、加熱ヒータ21への供給電力を予め絞ることができる。本例では、後述するようにプリント信号受信後に記録材が加熱定着装置に到達するまでの加熱ヒータ21への供給電力量に応じて加熱定着装置の昇温状態を把握し、枚数カウンタを予めオフセットさせた枚数からスタートさせる。
【0125】
ここで、定着モードとはユーザが設定可能な定着ローラ設定温度であり、本例では
ハイモード(210℃)、
ノーマルモード(200℃)、
ローモード(190℃)、
を設定可能としてある。
【0126】
デフォルトはノーマルモードに設定されており、ユーザが使用する記録材の種類に応じて設定することができる。これは例えばユーザが使用する紙種が坪量で60〜200g/m2というように多岐にわたっているため、各坪量の紙種で加熱定着に必要な熱量に差があり、一つの定着モードでは完全に対応できないためである。
【0127】
本実施例では、ハイモードは坪量が135g/m2以上、ノーマルモードが坪量が60〜135g/m2、ローモードは坪量が60g/m2以下及びOHT用紙、コーティング用紙等の特殊用紙に対応した定着モード設定としている。
【0128】
図5(a)はエンジン制御部100が行う全体的な加熱ヒータ21への供給電力制御フローであり、まず画像形成装置がプリント信号を受信し(S1)、電源電圧を電圧検出回路103(図3)により検出し(S2)、ユーザが指定した前記定着モードを確認する(S3)。
【0129】
次に温度検知手段14で定着ローラ10表面の温度モニターを開始し、定着モードに対応した目標温度まで加熱ヒータ21への通電により定着ローラ10表面をPI制御によって加熱昇温させる(S4)。
【0130】
その後、定着ローラ10表面が目標温度T0に到達してからしばらくの間、目標温度T0を維持すべく、PI制御により加熱ヒータ21への通電を持続する。この時の供給電力Wsをモニターし(S5)、枚数カウンタNを設定する。
【0131】
本実施例では、ノーマルモード設定の場合で上記供給電力Wsが700W〜720Wの場合には、枚数カウンタを1枚目から、680W〜700Wの場合には、41枚目から、650W〜680Wの場合には、81枚目から650W以下の場合には141枚目からスタートさせている。
【0132】
ハイモード、ローモード設定の場合もそれぞれテーブルを設定しておくことで、同様の枚数設定が可能になる。
【0133】
以上により、枚数カウンタN、定着モードM、電源電圧の検出結果Vの情報から図4に示す加熱ヒータ21への供給電力量、およびヒータドライバ101(図3)により実際に加熱ヒータ21への通電を行う際の供給電力目標値Wt=PI値を決定する(S7)。
【0134】
決定された供給電力目標値に合わせた所定電力を記録材が定着ニップ部に突入した直後のタイミング(記録材先端が定着ニップ部で定着ローラ10と接した部分の定着ローラ10表面が加熱ニップ部に到達する前)で加熱ヒータ21に供給開始すし、記録材上の未定着トナー画像を加熱定着する(S8)。
【0135】
その後、プリントが継続される場合(S9)は、プリント枚数に応じて枚数カウンタNを増加(S10)させながら、図4に示す供給電力目標値Wtの電力を加熱ヒータに供給し続け、記録材上の未定着トナー画像を定着ニップ部Nで加熱定着する(S8)。
【0136】
継続プリントがなく、最後の記録材が定着ニップ部を抜けた後、加熱ヒータ21への通電をシャットダウンし(S11)、不図示の排紙トレイ上に最後の記録材が排紙された時点でプリントを終了する(S12)。
【0137】
3)以上が加熱ヒータ21への電力供給アルゴリズムであるが、被加熱材としての記録材は厚み、表面粗さ、吸湿量等のパラメータがあり、また記録材上のトナー量によっても必要電力は若干異なってくる。このため、定着ローラ10の表面が徐々に目標温度から離れて高くなりすぎたり、低くなりすぎたりすることがある。
【0138】
このため、本実施例では、供給電力補正手段を提供している。すなわち、図5(b)および(c)のフローにおいて、定着ローラ10の表面の温度検知手段14の検出温度が目標温度より5℃高くなったり、低くなったりしたときには、供給電力量をそれぞれ5%下げたり、上げたりすることで、定着ローラ表面の温度が異常に上がったり、下がったりしないように加熱ヒータ21への供給電力Wに補正を加える。
【0139】
また、加熱ヒータ21が異常に昇温して断熱ステイホルダー24や耐熱性シート19、給電用コネクタ22等の耐熱温度を越えないようにするため、図5(d)のフローに示すように危険を未然に防ぐ手段を提供する。
【0140】
すなわち、加熱ヒータ21の背面に配置した異常昇温検知用の温度検知手段23により常に加熱ヒータ21の温度をモニターし、各部材が耐え得る加熱ヒータ21の上限温度Tmaxを越えた場合には、加熱ヒータ21への供給電力を5%絞ると共に定着ローラ10の表面温度の目標温度を5℃下げる。
【0141】
ここで、加熱ヒータ21への目標供給電力、定着ローラ10表面の目標温度はどちらか一方を変更する方式であっても良い。あるいは、昇温の度合いが激しいとき(例えば上限温度Tmaxより20℃以上高い温度を検出した場合)は、異常昇温とみなし、加熱ヒータ21への通電をシャットダウンし、画像形成装置にエラー表示させる。
【0142】
(4)効果の確認
1)以上、本実施例では、記録材の未定着トナー像が形成された面を弾性層12を有する定着ローラ10により加熱定着を行うため、記録材の凹凸による定着ムラの影響を受けづらく、ハーフトーン画像、カラー画像に対しても包み込み効果により定着均一性が良好な加熱定着を実施することが可能であり、さらに、定着ローラ10の表面を熱容量の小さい加熱部材20により急激に加熱するため、クイックスタート性が良く、画像形成装置がプリント信号を受信してからでも十分に加熱定着可能な状態に定着ローラ10表面を所定の温度に加熱昇温することができ、オンデマンド性に優れた加熱定着装置を提供できる。
【0143】
2)また、上述したように定着ローラ10の表面温度が所定温度に維持されるように代表的な記録材を用いて実験で求めた加熱ヒータ21への供給電力推移にしたがって、加熱ヒータ21への目標供給電力量を決定し、記録材が定着ニップ部に突入する直後のタイミングに合わせて加熱ヒータ21へ目標供給電力を投入し、少なくとも定着ローラ1周分は略均一な電力を供給するため、定着ローラ10表面の温度リップルを小さく抑えることが可能になり、記録材搬送方向の定着ムラやプリント枚数毎の定着性バラツキを発生することなく、均一な加熱定着が可能となる。
【0144】
3)このことを確認するため、プロセススピード150mm/secで毎分24枚の紙をプリントするレーザビームプリンターを用いて加熱ヒータ21への電力供給の方法を本実施例による方式と、加熱ヒータ背面に設けたサーミスタで定着ローラ10表面を一定温度に保つ制御を行った場合とで比較を行った。
【0145】
比較の方法としては、記録材を連続して加熱定着した場合の定着ローラ10表面温度の推移を測定した。比較結果を図6に示す。
【0146】
図6のグラフにおいて、横軸は時間、縦軸は定着ローラ10表面の温度推移を示す。実線は加熱ヒータ裏面のサーミスタで加熱ヒータが一定温度になるように温度制御した場合、点線は本実施例で示したように供給電力量を決定し、定着ローラ1周分は固定供給電力で加熱した場合を示す。どちらの場合も定着ローラ表面の温度を200℃に保つように制御した場合である。
【0147】
図6の結果より、加熱ヒータ21の背面に配置したサーミスタで加熱ヒータ21の温度を一定温度に保つように温度制御した場合には、前述したように定着ローラ10表面の温度リップルが大きく、本実施例で示した方式では、定着ローラ10表面の温度リップルが小さく、安定した温度推移を示していることがわかる。また、加熱定着した画像を観察したところ、前者は記録材搬送方向および枚数毎に定着ムラやバラツキがあるのに対し、本実施例の方式では、ほとんど均一な定着性が得られた。
【0148】
なお、加熱定着装置の昇温状態を把握するために本実施例では、定着ローラ10の表面温度を目標温度T0で維持させているときの電力から推測し、枚数制御の設定枚数Nを設定する方式を示したが、プリント開始時の定着ローラ10表面の温度検知結果や、加熱ヒータ面背面の温度検知結果、加熱ヒータ21に一定電力を供給したときの定着ローラ10表面の温度上昇速度、加熱ヒータ21背面の温度検知手段により測定される温度上昇速度等を検知することで、加熱定着装置の昇温状態を検出し、プリント動作時に加熱ヒータ21に供給する電力量を決定する方法であっても良い。
【0149】
また、本実施例では加熱定着中の加熱ヒータ21への供給電力テーブルを用いて供給電力を決定したが、上記で示した加熱定着装置の昇温状態検出手段、印加電源電圧等の情報から、一意に決定する供給電力を印加する方式であっても良く、供給電力決定手段は本実施例に示した方式に限らず、他のどのような方法であっても良い。
【0150】
また、本実施例では、定着ローラ10の表面温度を一定に保つように加熱ヒータ21への目標供給電力を決定していたが、加熱定着される記録材の枚数に応じて定着ローラ10表面の目標温度を徐々に下げる設定にしても良い。
【0151】
〈実施例2〉
以下に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例では、画像形成装置が使用される環境に応じてより最適な加熱ヒータへの目標供給電力を投入する方法を提供する。
【0152】
本実施例に関する画像形成装置全体の構成を図7に示す。図7において前記実施例1で示した図1と同記号の部材に関しては、前記実施例1と同様であるため、説明を省く。また、本実施例における加熱定着装置の構成は前記実施例1で示した図2と同様であるため説明を省く。
【0153】
図7において、Fは画像形成装置の機内昇温を抑えるための冷却ファンであり、外気を画像形成装置内に取り込んで画像形成装置内の各部材の機内昇温を所定温度以下に抑える目的で配置されている。9は冷却ファンF近傍に配置された外気温検知のためのサーミスタ等の温度検知手段であり、冷却ファンFにより画像形成装置内に取り込まれる外気を直接当てることにより外気温に近い温度検出を可能にしている。
【0154】
記録材上に形成された未定着トナー画像を加熱定着する加熱定着装置においては、加熱定着装置へ突入する前の記録材の温度は、加熱ヒータ21(図2)へ投入する必要電力と大きな関係がある。
【0155】
すなわち、加熱定着装置の定着ニップ部に突入し、挟持搬送される記録材の温度が低い場合には、定着ニップ部において定着ローラ10表面からより多くの熱量が記録材に奪われる。一方記録材の温度が高い場合には、定着ローラ10表面から記録材に奪われる熱量が少なくなる。
【0156】
よってそれぞれの場合によって定着ローラ10表面の温度を目標温度に保つために必要な加熱ヒータ21への必要供給電力も異なってくる。
【0157】
以上のことから、本実施例では、外気温度検知手段9により測定された検知温度に応じて加熱ヒータ21への目標供給電力を補正する。詳しくは外気温が17℃以下の場合には、加熱ヒータへの目標供給電力を10%増加し、外気温が30℃以上の場合には、加熱ヒータへの目標供給電力を10%減少させる。
【0158】
また、定着ローラ10表面の目標温度を変更しても良い。例えば画像形成装置の外気温検知手段9により測定された検知温度に応じて、外気温が17℃以下の場合には、定着ローラ目標温度を+5℃変化させる。外気温が30℃以上の場合には、定着ローラ目標温度を−5℃変化させる。
【0159】
また、この場合には加熱ヒータ21への目標供給電力量も同様にシフトさせる必要があり、目標温度の変化に応じた供給電力量補正を行う必要がある。
【0160】
これは例えば、以下のように実験で求めた補正手段を用いて実施する。すなわち、表1に示すように定着ローラ10表面の目標温度変化に応じて、各定着モードで加熱ヒータへの供給電力量を補正する。表1中の供給電力補正の欄は単位は%である。
【0161】
【表1】
【0162】
以上により定着ローラ10の表面を加熱する加熱ヒータ21への供給電力量、あるいは定着ローラ10表面の目標温度を画像形成装置が使用される外気温に応じて、補正することで、外気温に近い温度の記録材が加熱定着装置の定着ニップ部の突入した際に、加熱ヒータ21への最適な電力を供給する。
【0163】
これにより記録材が外気温と同等に冷えていたり、暖まっていた場合であっても、適度な供給電力で加熱ヒータ21を加熱するため、定着ローラ10表面の温度を目標温度に安定させることが可能になり、安定した記録材上の未定着トナー画像の加熱定着を行うことができる。
【0164】
〈実施例3〉
以下に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例では、記録材の厚みに応じて加熱ヒータへ供給する電力量を補正することで、ユーザの手を煩わせずに最適な加熱定着を提供する。
【0165】
本実施例に関する画像形成装置全体の構成を図8(a)に示す。図8(a)において前記実施例2で示した図7と同記号の部材に関しては、前記実施例2と同様であるため、説明を省く。また、本実施例における加熱定着装置の構成は前記実施例1で示した図2と同様であるため説明を省く。
【0166】
70は紙の厚みを検知する紙厚センサーであり、記録材が搬送される転写位置より記録材搬送方向上流側に配置されている。
【0167】
紙厚センサー70の詳細を図8(b)に示す。本例では、一定ギャップを有する一対のローラ72(芯金71の外側に形成)・75(芯金74の外側に形成)間に記録材を通紙することにより、ギャップを形成している両端の突き当て部材73・73の浮き状態を検出することで紙厚を推定する。
【0168】
本例ではローラ72および75を導電性樹脂より形成し、導電性芯金71および74を各々電極として作用させ、記録材が通過していない状態のときは、導電性突き当て部材73・73をローラ75に当接回転することで、芯金71および74両者間の導通を確保している。
【0169】
ここで、記録材の搬送を開始し、突き当て部材73・73の間に記録材を通過させる。この時、記録材の厚みが薄い場合には、突き当て部材73・73が浮くことはなく、よって芯金71と74の導通は確保されるため、検出部で所定電位が検出される。
【0170】
これに対し、記録材の厚みが厚い場合には、突き当て部材73・73がローラ75から離間する。これにより、芯金71と74の導通は切れ、検出部76で検出される電位は0Vとなる。
【0171】
本例では、突き当て部材73・73によって各ローラ72および75の間のギャップを150μmとして設定した。よって紙厚検知は150μmより薄いか厚いかの2通りで区別される。
【0172】
一般に記録材の厚みが厚い場合には記録材の熱容量が大きくなるため、加熱定着装置の定着ニップ部で定着ローラから記録材与えられる熱量が大きくなる。よって前記実施例1で示した加熱定着装置でも同様に熱量が奪われやすくなるため、定着ローラ10の表面温度の低下は大きくなる。
【0173】
本実施例では、上記の紙厚センサー70を記録材搬送経路に設け、搬送される記録材の厚みを検知し、厚みが厚い場合には、加熱ヒータ21への供給電力を+20%とし、加熱ヒータ21への供給電力に補正を加え、同時に定着ローラ10の表面の目標温度を10℃upする。
【0174】
これにより、例えば紙の厚みが厚い記録材(坪量199g/m2、厚み180μm)が供給された場合には、定着ローラの10表面で奪われる熱量が大きくなることが予測されるので、加熱ヒータ21への目標供給電力を20%増加し、定着ローラ10の表面の温度を安定させる。
【0175】
以上、本実施例では、紙厚センサー70を画像形成装置の記録材搬送域に配置し、検知された紙厚に応じて加熱ヒータ21への供給電力を補正することで、定着ローラ10表面の温度を所定温度に保ち、安定した加熱定着を行う。
【0176】
また、記録材の厚みを自動的に検知し、自動的に適正な供給電力を加熱ヒータ21に供給することで、ユーザが紙厚に応じて定着モードをしていする必要がなくなり、ユーザビリティに富んだ画像形成装置が提供できる。
【0177】
〈その他〉
1)像加熱用回転体10はローラ体に限られず、例えば回動ベルト体等にすることもできる。
【0178】
2)像加熱用回転体10を加熱する外部加熱部材としての、固定保持される板状加熱ヒータ21は実施例の形態のものに限られるものではなく、例えば電磁誘導発熱部材等にすることもできる。
【0179】
3)加圧部材30も実施例の形態のものに限られるものではなく、弾性加圧ローラや弾性加圧ベルト等にすることも出来る。またこの加圧部材30も外部加熱部材あるいは内部加熱部材等の熱源で加熱する構成のものにすることもできる。
【0180】
4)本発明の像加熱装置は、実施例の加熱定着装置としてばかりでなく、記録材上の未定着トナー画像を加熱して仮定着する装置、画像を担持した記録材を加熱して、つや等の表面性を改質する装置等としても使用できるものである。
【0181】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、立ち上がり時の昇温時間の短縮、消費電力の低減、さらには高速、高画質といったすべてにおいて優れた性能を達成し、クイックスタート性、定着均一性、高画質定着性を備えたオンデマンドタイプの像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における画像形成装置の概略構成模式図
【図2】加熱定着装置部分の概略構成模式図
【図3】(a)は加熱ヒータ表面側の拡大図およびブロック図、(b)は加熱ヒータ裏面側の拡大図、(c)は加熱ヒータ横断面図
【図4】加熱ヒータへの供給電力量制御テーブル
【図5】加熱ヒータ供給電力量決定フローチャートと加熱ヒータ供給電力量補正フローチャート
【図6】定着ローラ表面温度推移を示すグラフ
【図7】実施例2における画像形成装置の概略構成模式図
【図8】(a)は実施例3における画像形成装置の概略構成模式図、(b)は紙厚センサーの構成図
【図9】従来例の加熱定着装置(熱ローラ方式)の概略構成模式図
【図10】従来例の加熱定着装置(外部加熱方式)の概略構成模式図
【図11】従来例の加熱定着装置(フィルム加熱方式)の概略構成模式図
【符号の説明】
10‥‥定着ローラ、17‥‥テンションローラ、18‥‥巻き取りローラ、19‥‥耐熱シート、20‥‥加熱部材、21‥‥プレート状加熱ヒータ、23‥‥温度検知手段、24‥‥断熱ステイホルダー、30‥‥加圧部材、31‥‥摺動部材、32‥‥断熱加圧ホルダー、33‥‥薄肉フィルム
Claims (10)
- 弾性層を有する像加熱用回転体と、固定支持され、上記像加熱用回転体の外表面との間で形成した第1ニップ部より、像加熱用回転体表面を外部加熱する板状加熱ヒータと、上記像加熱用回転体に圧接して第2ニップ部を形成する加圧部材と、を有し、
上記第2ニップ部に記録材を導入して挟持搬送させることで記録材上の画像を加熱する像加熱装置であり、
上記板状加熱ヒータに供給する目標供給電力量を設定し、画像加熱時に少なくとも上記像加熱用回転体が1周する範囲においては略一定の電力を加熱ヒータに供給することを特徴とする像加熱装置。 - 第1ニップ部にシートを介在させ、該シートを間欠的に移動させて第1ニップ部におけるシート部分を更新する手段を有することを特徴とする前記請求項1に記載の像加熱装置。
- 連続して記録材上の画像を加熱する場合、加熱ヒータへの供給電力量を記録材枚数に応じて徐々に小さく設定することを特徴とする前記請求項1あるいは2に記載の像加熱装置。
- 像加熱用回転体表面の温度を検知する温度検知手段を有し、
像加熱用回転体表面検知温度が目標温度から所定量ずれた場合に、加熱ヒータへの目標供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記請求項1から3の何れか1つに記載の像加熱装置。 - 加熱ヒータ背面に加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、
加熱ヒータ背面の検知温度が所定温度を越えた場合に、加熱ヒータへの目標供給電力量、像加熱用回転体表面温度の目標温度の少なくとも一方の値を下げることを特徴とする前記請求項1から4の何れか1つに記載の像加熱装置。 - 像加熱用回転体表面の温度を検知する温度検知手段と、加熱ヒータ背面に加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段とを有し、
加熱ヒータへの通電を開始する前の像加熱用回転体表面温度、加熱ヒータ背面の温度、および加熱ヒータへの通電を開始してから記録材が第2ニップ部まで到達するまでの間の所定時間内の供給電力、所定電力供給時の像加熱用回転体表面昇温スピード、加熱ヒータ背面の温度上昇スピードの少なくとも1つの情報を元に加熱ヒータへの供給電力を決定することを特徴とする前記請求項1から5の何れか1つに記載の像加熱装置。 - 像加熱用回転体の弾性層がスポンジゴムあるいは中空の充填材を含むことを特徴とする前記請求項1から6の何れか1つに記載の像加熱装置。
- 記録材の面に未定着トナー画像を形成担持させる作像手段と、記録材の面に形成された未定着画像を永久画像として定着させる定着手段を有する画像形成装置において、定着手段が前記請求項1から7の何れか1つに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
- 画像形成装置の一部に外気温検知手段を設け、該検知手段の検知温度に応じて像加熱装置の加熱ヒータへの供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記請求項8に記載の画像形成装置。
- 画像形成装置に記録材の厚みを検知する厚み検知手段を有し、厚み検知手段によって検知された記録材の厚みに応じて像加熱装置の加熱ヒータへの供給電力量に補正を加えることを特徴とする前記請求項8あるいは9に記載の画像形成装置。
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