JP2004101333A - 電気光学素子及びそれを用いた回路パターンの検出装置および検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路基板に交流電圧を印加したときに生じる電界を光の2次元分布として検出する電界分布検出装置において、該電界分布検出装置に使用する電気光学素子を構成する誘電体反射膜の絶縁破壊が生じにくい装置を提供すること。
【解決手段】電気光学素子に用いるBSO結晶が光電効果を示さない波長の光を電気光学素子に照射する方式の電界分布検出装置を提供する。BSO結晶が光電効果を示さない波長の光を得るためには、光源からの光を波長フィルタを介して照射するか、BSO結晶が光電効果を示さない波長のみを発する光源を使用する。
【選択図】図3
【解決手段】電気光学素子に用いるBSO結晶が光電効果を示さない波長の光を電気光学素子に照射する方式の電界分布検出装置を提供する。BSO結晶が光電効果を示さない波長の光を得るためには、光源からの光を波長フィルタを介して照射するか、BSO結晶が光電効果を示さない波長のみを発する光源を使用する。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路パターンの電圧分布を、光学的手段を用いて検出するための電気光学素子及び回路基板の回路パターンの電気的不良個所を接触、もしくは非接触で検出するための配線回路パターンの検出装置および検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回路基板の断線、短絡などを検査する方法としては、従来、スプリングプローブで専用治具を形成し、パッドへ一括接触して電気検査する方法がとられてきた。
しかし、近年パッド数の増加によって高価なスプリングプローブが多数必要となり、専用治具のコストが高騰している。また、パッドの高密度化によって、物理的に接触性を確保することが難しいことや、尖鋭なスプリングプローブを接触させることによるパッドの損傷も問題となっている。
【0003】
また、回路基板によっては、多数の回路基板を同一基板に同時に作製し、それらの回路パターンがショートしている例がある。この場合、パッドにスプリングプローブを接触させる方法では、断線や短絡の検査が出来ない。このような背景から、回路パターンの電圧分布を、非接触で検出する手法が望まれる。
【0004】
従来、回路パターンの電圧分布を電気光学効果を用いて計測する方法としては特許文献1に記載があり、非接触で、特定の位置の電界強度をEO(Electro−optical:電気光学)センサを用いて検出し、回路基板の半田接続状態を検査する。しかし、この方法では、EOセンサの先端部分の電界しか検出できず、回路パターンの電圧分布を求めるにはEOセンサをスキャンしていく必要がある。
【0005】
電圧分布を非接触で計測し、液晶ディスプレイの欠陥を電気検査する方法としては、特許文献2に記載があり、平行な光束を回路基板近傍に配置した電気光学素子に照射し、その反射光から回路パターンの電圧分布を二次元検出する方法がある。この方法では電気光学素子に液晶材料や電気光学結晶を用いているが、電気光学結晶を用いた場合、電気光学結晶は屈折率が高いため表面反射と裏面反射により干渉縞が生じ、電圧分布の画像が著しく劣化する。
【0006】
また、特許文献2に記載されている方法で、電気光学素子にBSO結晶を用いた場合、BSO結晶は500nmより短い波長の光に顕著な光導電性を有するので、電気光学素子の誘電体反射層に加わる容量性負荷が低下して、誘電体反射層に絶縁破壊が生じ易くなる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−72947号公報
【特許文献2】
特開平5−256794号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み考案されたもので、高集積化された回路パターンの電圧分布を光学的手段により精度良く検出する電気光学素子及びそれを用いた回路基板の短絡/断線を検査するための回路パターンの検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
そして、電気光学素子を構成する反射層が、絶縁破壊しにくい回路パターンの検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、少なくとも、透明基板と、透明電極膜と、接着剤層と、与えられた電界に応じて複屈折率が変化する電気光学結晶層と、を順次設けてある電気光学素子であって、少なくとも前記接着剤層の片面に、反射防止膜が設けられており、該反射防止膜が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射防止効果を有していることを特徴とする電気光学素子である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記電気光学素子が、さらに反射層を前記電気光学結晶層の透明基板がある側の反対側の面に有する構成であって、該反射層が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射効果を有していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、回路パターンが形成された回路基板の近傍に設けられる請求項1または2に記載の電気光学素子と、回路パターンに応じた電界を前記電気光学結晶層に与える電界発生回路と、前記電気光学素子に光を2次元的に入射させる光源と、前記電気光学素子に入射する光および前記電気光学素子から反射する光の偏光状態を変化させる偏光手段と、前記電気光学素子からの反射光を前記偏光手段を介して光強度分布として検出する検出器と、を具備することを特徴とする回路パターンの検出装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記光源は、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を照射するものであることを特徴とする請求項3に記載の回路パターンの検出装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記光源と前記電気光学素子の間にフィルタが設けられており、該フィルタは、前記光源から照射される光のうち、前記電気光学結晶層が光導電効果を示す波長をカットするものであることを特徴とする請求項3に記載の回路パターン検出装置である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、回路パターンに応じた電界を請求項1または2に記載の電気光学素子の電気光学結晶層に印加し、前記電気光学素子に偏光された光を2次元的に入射し、前記電気光学素子からの反射光を偏光させてから光強度分布として検出することを特徴とする回路パターンの検出方法である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を、前記電気光学素子に照射することを特徴とする請求項6に記載の回路パターンの検出方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき説明する。
図1は請求項1に記載の本発明の電気光学素子の一実施形態を示す模式構成断面図を、図2は請求項1に記載の本発明の電気光学素子の別の実施形態を示す模式構成断面図を、図3は請求項2に記載の本発明の電気光学素子を用いた回路パターンの検出装置の一実施形態示す概略図を、それぞれ示す。
【0018】
請求項1に記載の本発明の1実施形態の電気光学素子100は図1に示すように、透明基板(ガラス基板)21上に形成された透明導電膜31に、別途作製された反射防止膜51及び反射層71が形成された電気光学結晶層10を接着剤層41にて貼り合わせたもので、接着剤層41と電気光学結晶層10との間に反射防止膜51を設けたものである。
電気光学結晶層10には、光の進行方向に平行な電界に感度を有するBi12SiO20(BSO、ビスマス酸化シリコン)、GaAs(ガリウム砒素)、LiNbO3−55度カット、ZnSeなどが用いられる。電気光学結晶層10は、両面を光学研磨し、面内収差は1/4λ程度とすることが望ましい。電気光学結晶層10は薄い方が、後で述べる回路パターンの検出装置として用いた場合回路パターンと透明導電膜31の間で電界が広がらず、元の回路パターンの電圧分布に近い電界分布となる。よって回路パターンの電圧分布の形状に近い電界分布を検出するためには電気光学結晶層10は薄い方がよい。
【0019】
しかし、電気光学結晶層10が薄いと、電気光学素子100を回路基板の回路パターンと一定の間隔をおいて非接触にした場合、回路パターンと透明導電膜31間でのコンデンサ構造において、電気光学結晶層10に加わる電位差が小さくなる。そのため、電界の検出感度が小さくなり、また、加工が難しくなるという問題がある。電気光学結晶層10の厚さは、これらの要素のトレードオフとなり、本例では厚さ100μm〜500μmの電気光学結晶層10を用いている。
【0020】
電気光学素子100に入射した光は、電界による位相変調を受け、電気光学結晶層10の底面にて反射される。電気光学結晶層10は、屈折率が高いものが多く、反射率も高くなる。LiNbO3の場合、屈折率は2.2となり、この場合14%程度の反射率となる。そのため、電気光学結晶層10を光学研磨し、底面での反射光を検出してもよいが、反射層71を形成してもよい。反射層71は誘電体多層反射層を用い、材質としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2等がある。
【0021】
電気光学結晶層10は薄いため破損しやすく、透明導電膜31が形成された透明基板(ガラス基板)21へ接着剤層41を介して接着する。接着剤層41は、硬化収縮が大きい材質を用いると、電気光学結晶層10が薄いために応力が加わり、特にビスマス酸化シリコン(BSO)等の圧電性のある結晶の場合、光学特性が不均一となる恐れがある。そのため、接着剤層41には、エポキシ系などの硬化収縮の小さい材質を用いる。
【0022】
電気光学素子100は、屈折率の異なる材質の多層構造であり、多重反射による干渉が発生しやすい。特に接着剤層41と、屈折率の高い電気光学結晶層10の境界では、反射率が大きくなる。例示すると、接着剤層41は、エポキシ系の接着剤の場合で屈折率が1.56程度であり、電気光学結晶層10は、ビスマス酸化シリコン(BSO)の場合で屈折率が2.53であり屈折率差が大きい。そのため電気光学結晶層10の上面及び下面の反射による干渉縞が発生し、電界検出分布の画像を、著しく劣化させるという問題がある。
【0023】
本発明の請求項1の1実施形態では、電気光学結晶層10と接着剤層41との間に反射防止膜51を形成し、電気光学結晶層10の面での反射率を低くすることによって干渉縞を抑圧し、電界分布から得られた画像を良好に検出する。ここで反射防止膜51は、接着剤層41と電気光学結晶層10の屈折率を考慮して設計する必要があり、本例ではSiO2−TiO2の多層誘電体反射防止膜を用いた。
【0024】
請求項1に記載の本発明の別の1実施形態では、電気光学素子200は図2に示すように、透明基板(ガラス基板)21上に形成された透明導電膜31及び反射防止膜61に、別途作製された反射防止膜51及び反射層71が形成された電気光学結晶層10を接着剤層41にて貼り合わせたもので、透明導電膜31と接着剤層41及び接着剤層41と電気光学結晶層10との間にそれぞれ反射防止膜51及び反射防止膜61を設けたものである。
電気光学素子200においては、上記電気光学素子100の反射防止膜51に加えて、透明導電膜31と接着剤層41との間に反射防止膜61を設けて透明導電膜での多重反射を抑え、総合的に電気光学結晶層10での画質向上が図られている。
【0025】
屈折率は1.90の透明導電膜31と屈折率が1.48程度であるエポキシ系の接着剤層41との境界で反射を生じ、透明導電膜での多重反射を生じる。ここでの多重反射は、上記の請求項1の1実施形態で述べた電気光学結晶層10での画質を劣化させる干渉縞の原因と同じである。
【0026】
そこで、透明導電膜31と接着剤層41との屈折率差を考慮した反射防止膜61を形成する。電気光学結晶層10と接着剤層41との間にも反射防止膜51を形成しているため、電気光学素子200に光を照射した場合電気光学結晶層10面での多重反射を抑圧でき、電界分布を良好な画像として検出することができる。
なお、上記の説明においては、請求項1において、2つの実施形態について記載したが、同様に、透明導電膜と接着剤層の間にのみ反射防止膜を設ける形態でも、本願発明の課題を達成できる。
また、本願発明は、必要に応じて、接着剤層の両面以外(例えば、透明基板と透明電極層との間や、透明基板21の外側(電気光学結晶層10がある側とは反対側)の面。)にも反射防止膜を設けても良く、その形態も含むものとする。
【0027】
以下、請求項3〜7に記載の本発明の回路パターンの検出装置および回路パターンの検出方法について、実施の形態により説明する。
本発明の回路パターンの検出装置は図3に示すように、電界が加わると複屈折率が変化する電気光学結晶層10からなる電気光学素子100と、光源110と、ビームエキスパンダー91、偏光ビームスプリッター92及び光学レンズ93からなる光学系機構90と、回路パターン81を有する回路基板80と、回路基板の回路パターンから発生した電界によって変調を受けた反射光を光の強度変化として検出する光検出装置120とからなる。なお、検出した電界強度分布を比較判定するために解析装置130も設けることができる(図3においては、解析装置も具備した例を示している。)。そして、図示しない電界発生回路(直流電圧あるいは交流電圧を印加させる回路)も有する。回路基板80は電気光学素子100の近傍に配置される。このとき、電気光学素子100は回路基板80に接触させてもよいし、20μm程度の距離で非接触としてもよい。電気光学素子100の透明導電膜31はグランドに接地し、電圧が印加された回路パターン81と、透明導電膜31との間に電界を発生させる。
なお、回路パターンに印加する電圧についてであるが、回路パターンに直流電圧が印加されたとき、電気光学素子内には面方向への直流抵抗成分、特に電気光学素子の反射手段が有する直流抵抗成分により、回路基板の回路パターンの電圧分布が広がってしまい、電圧分布の変化に伴い電界強度分布も変化する。そのため、回路パターンには交流電圧を印加するのが望ましい。なぜなら、電気光学素子内の面方向へ形成される分布定数の直流抵抗成分による電圧分布の広がりを抑えて、電圧分布の変化に伴う電界強度分布の変化を防止したままの状態で、電界強度分布検出ができるからである。
また、別の形態として、回路パターン81を接地し、透明導電膜31に電圧を印加しても良い。
なお、回路パターンとしては、基板の表面に設けられた回路パターンだけではなく、基板の内部や基板の裏面に設けた回路パターンも対象としている。
(なお、波長フィルタ94については、後述する。)
【0028】
光源110から電気光学素子100へ照射される光はビームエキスパンダ91で2次元の光となる。光は偏光ビームスプリッタ92で偏光され、電気光学素子100へ照射される。電気光学素子100へ入射された光は、電気光学結晶層10の底面で反射されて、偏光ビームスプリッタ92に出射される。回路パターン81と透明導電膜31間に、回路パターン81の電圧分布によって電界分布が発生し、電気光学結晶層10は電界分布に応じて複屈折率が変化する。
【0029】
電気光学結晶層10の底面で反射された光は、電気光学結晶層10の複屈折率変化によって偏光面が変化する。電気光学素子10から出射された偏光面の変化した光は、偏光ビームスプリッタ92に入射し、このうち垂直に分岐した光は、電界分布に応じた光の強度分布をもつ。電界分布に応じた光の強度分布をもつ光を光学レンズ93で集光し、光検出装置120で検出することにより、回路パターンの電圧分布を光の強度分布として検出することができる。光検出装置120で検出した電圧分布を解析装置130で解析、処理することにより、回路基板80の回路パターン81の断線や短絡などの欠陥を検出することができる。
【0030】
この回路パターンの検出装置および検出方法では反射防止膜を設けた電気光学素子100を用いているので、電気光学結晶層10面の反射によって発生する干渉縞を防止でき、電気光学結晶層10と回路パターン81との間の電界分布を良好な画像として検出することができ、回路基板80の回路パターン81の断線や短絡などの欠陥を精度良く検出することができる。
【0031】
さらに、本願発明の実施形態について詳述する。
上記の実施形態に示した、電気光学素子100,200や、回路パターン検出方法・検出装置において、電気光学結晶層10が光導電効果を有する場合には、この光導電効果に対して対策が必要となる。
【0032】
例えば、電気光学結晶層10としてBSO結晶を用いた場合、BSO結晶は500nmより短い波長の光に顕著な光導電性を有するので、BSO結晶に500nmより短い波長の光を照射した場合、BSO結晶の抵抗値が低下して反射層71の容量性負荷に加わる電圧が増大し、反射層71に絶縁破壊が生じやすくなる。
【0033】
ここで、光源としてレーザー光を用いた場合、電気光学結晶層10が光導電効果を示さない波長を発するレーザーを使用すればよい。ただし、電気光学素子100,200にて干渉やスペックルなどが発生しやすくはなる。
【0034】
一方、光源として、ハロゲン光やメタハラ光等の白色光が、望ましいという事情もある。これは、光量が大きく、広帯域の波長特性をもつため電気光学素子100,200において干渉が発生しにくいからである。
この場合、光源から出射された白色光は波長フィルタ94で、電気光学結晶層10が光導電効果を示す波長成分をカットする。電気光学結晶層10がBSO結晶の場合、おおよそ500nm以下の波長の光はカットする。これにより、BSO結晶では光導電効果により抵抗値の低下は生じず、反射層71に交流電圧が印加されたときの絶縁破壊などの電気的な破壊を防ぐことができる。図3に、波長フィルタ94を用いる場合の本発明の検出装置の概要を示す。
【0035】
また、電気光学結晶層10としてBSO結晶を用いた場合、光源として、白色光を使用して、フィルター94を使用する代わりに、赤色や橙色のLED光源など、BSO結晶が光導電効果を示さない波長の光を用いることも可能である。この場合、電気光学素子100,200での干渉やスペックルの影響を少なくし、光導電効果の影響無く電圧分布を検出できる。
【0036】
また、電気光学素子100,200へ入射する光の波長を特定の波長にしたことに伴い、反射防止膜の反射防止加工を、電気光学素子100,200への入射光の波長に合わせることで、干渉を抑圧することが必要である。
【0037】
また、反射層71が反射しない波長の光が電気光学素子100,200へ入射すると、その波長の光は反射層71で反射されず透過してしまい、光検出装置120で、回路パターン81の画像が検出されてしまう。それによって、位置により電圧分布の検出感度が異なってしまう。そこで、反射層71の反射する波長帯域を、電気光学素子100,200への入射光の波長帯域全てを反射する特性とすることで、回路パターン81の電圧分布を、位置による感度のムラ無く検出できる。
【0038】
この上記の特定の波長において、反射防止となるようにすること、反射するようにすることについて、具体的な材料などについて示す。
具体的には、例えば、BSO結晶を用い、500nmより短い波長の光をカットした光を照射した場合、反射層71としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2などの誘電体反射層を使用することができる。この場合、各層の屈折率と膜厚を調整して、500nm以上の波長の光を反射するように設計する。また、同様に、反射防止膜51,61としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2などの多層誘電体反射防止膜を使用できる。この場合、500nm以上の波長の光の反射を防ぐように各層の屈折率と膜厚を調整すればよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターン検出装置および検出方法によれば、電気光学結晶層の光導電効果に伴う反射層の絶縁破壊を防ぐことができる。
また、絶縁破壊を防ぐために、光の波長を特定のものとするが、その際に、反射防止膜の反射防止加工や、反射層の反射加工を、その特定の波長と合わせることにより、電気光学素子の層間での干渉を少なくでき、回路パターン画像が検出されてしまうこと無くムラ無く、回路パターンの電圧分布を検出できる。
【0040】
従って、本発明の反射防止膜を設けた電気光学素子及びそれを用いた回路パターンの検出装置および検出方法によれば、高集積化された回路基板の回路パターンから発生する電界の強度分布を、電気光学効果を応用した方法で、干渉の影響を抑圧して精度良く検出し、電気検出できる。
【0041】
本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターンの検出装置および検出方法によれば、回路基板上に電気光学素子を配置するだけで、回路パターンの電界強度分布を検出できる。そのため、検出した電界強度分布と、良品の電界強度分布を比較、判定することにより、早い検出速度で、簡易な位置決め系で電気検出できる。
【0042】
近年、回路基板の高集積化により、スプリングプローブを接触させることが困難となり、回路パターンの外観を検査することで電気検査の代用とする場合も多い。その場合、外観検査では回路パターンのクラックなどを検出することができなかった。本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターンの検出装置によれば、回路パターンの電圧分布を、干渉縞を抑圧して、電気光学結晶層10と回路パターン81との間の電界の強度分布を良好な画像として検出するため、外観検査では検出できないクラック等の欠陥も検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学素子の一実施例を示す模式構成断面図である。
【図2】本発明の電気光学素子の他の実施例を示す模式構成断面図である。
【図3】本発明の電気光学素子を用いた回路パターンの検出装置の一実施例示す概略図である。
【符号の説明】
10……電気光学結晶層
21……透明基板(ガラス基板)
31……透明導電膜
41……接着剤層
51、61……反射防止膜
71……反射層
80……回路基板
81……回路パターン
90……光学系機構
91……ビームエキスパンダ
92……偏光ビームスプリッタ
93……光学レンズ
94……波長フィルタ
100、200……電気光学素子
110……光源
120……光検出装置
130……解析装置
【発明の属する技術分野】
本発明は回路パターンの電圧分布を、光学的手段を用いて検出するための電気光学素子及び回路基板の回路パターンの電気的不良個所を接触、もしくは非接触で検出するための配線回路パターンの検出装置および検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回路基板の断線、短絡などを検査する方法としては、従来、スプリングプローブで専用治具を形成し、パッドへ一括接触して電気検査する方法がとられてきた。
しかし、近年パッド数の増加によって高価なスプリングプローブが多数必要となり、専用治具のコストが高騰している。また、パッドの高密度化によって、物理的に接触性を確保することが難しいことや、尖鋭なスプリングプローブを接触させることによるパッドの損傷も問題となっている。
【0003】
また、回路基板によっては、多数の回路基板を同一基板に同時に作製し、それらの回路パターンがショートしている例がある。この場合、パッドにスプリングプローブを接触させる方法では、断線や短絡の検査が出来ない。このような背景から、回路パターンの電圧分布を、非接触で検出する手法が望まれる。
【0004】
従来、回路パターンの電圧分布を電気光学効果を用いて計測する方法としては特許文献1に記載があり、非接触で、特定の位置の電界強度をEO(Electro−optical:電気光学)センサを用いて検出し、回路基板の半田接続状態を検査する。しかし、この方法では、EOセンサの先端部分の電界しか検出できず、回路パターンの電圧分布を求めるにはEOセンサをスキャンしていく必要がある。
【0005】
電圧分布を非接触で計測し、液晶ディスプレイの欠陥を電気検査する方法としては、特許文献2に記載があり、平行な光束を回路基板近傍に配置した電気光学素子に照射し、その反射光から回路パターンの電圧分布を二次元検出する方法がある。この方法では電気光学素子に液晶材料や電気光学結晶を用いているが、電気光学結晶を用いた場合、電気光学結晶は屈折率が高いため表面反射と裏面反射により干渉縞が生じ、電圧分布の画像が著しく劣化する。
【0006】
また、特許文献2に記載されている方法で、電気光学素子にBSO結晶を用いた場合、BSO結晶は500nmより短い波長の光に顕著な光導電性を有するので、電気光学素子の誘電体反射層に加わる容量性負荷が低下して、誘電体反射層に絶縁破壊が生じ易くなる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−72947号公報
【特許文献2】
特開平5−256794号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み考案されたもので、高集積化された回路パターンの電圧分布を光学的手段により精度良く検出する電気光学素子及びそれを用いた回路基板の短絡/断線を検査するための回路パターンの検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
そして、電気光学素子を構成する反射層が、絶縁破壊しにくい回路パターンの検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、少なくとも、透明基板と、透明電極膜と、接着剤層と、与えられた電界に応じて複屈折率が変化する電気光学結晶層と、を順次設けてある電気光学素子であって、少なくとも前記接着剤層の片面に、反射防止膜が設けられており、該反射防止膜が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射防止効果を有していることを特徴とする電気光学素子である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記電気光学素子が、さらに反射層を前記電気光学結晶層の透明基板がある側の反対側の面に有する構成であって、該反射層が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射効果を有していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、回路パターンが形成された回路基板の近傍に設けられる請求項1または2に記載の電気光学素子と、回路パターンに応じた電界を前記電気光学結晶層に与える電界発生回路と、前記電気光学素子に光を2次元的に入射させる光源と、前記電気光学素子に入射する光および前記電気光学素子から反射する光の偏光状態を変化させる偏光手段と、前記電気光学素子からの反射光を前記偏光手段を介して光強度分布として検出する検出器と、を具備することを特徴とする回路パターンの検出装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記光源は、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を照射するものであることを特徴とする請求項3に記載の回路パターンの検出装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記光源と前記電気光学素子の間にフィルタが設けられており、該フィルタは、前記光源から照射される光のうち、前記電気光学結晶層が光導電効果を示す波長をカットするものであることを特徴とする請求項3に記載の回路パターン検出装置である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、回路パターンに応じた電界を請求項1または2に記載の電気光学素子の電気光学結晶層に印加し、前記電気光学素子に偏光された光を2次元的に入射し、前記電気光学素子からの反射光を偏光させてから光強度分布として検出することを特徴とする回路パターンの検出方法である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を、前記電気光学素子に照射することを特徴とする請求項6に記載の回路パターンの検出方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき説明する。
図1は請求項1に記載の本発明の電気光学素子の一実施形態を示す模式構成断面図を、図2は請求項1に記載の本発明の電気光学素子の別の実施形態を示す模式構成断面図を、図3は請求項2に記載の本発明の電気光学素子を用いた回路パターンの検出装置の一実施形態示す概略図を、それぞれ示す。
【0018】
請求項1に記載の本発明の1実施形態の電気光学素子100は図1に示すように、透明基板(ガラス基板)21上に形成された透明導電膜31に、別途作製された反射防止膜51及び反射層71が形成された電気光学結晶層10を接着剤層41にて貼り合わせたもので、接着剤層41と電気光学結晶層10との間に反射防止膜51を設けたものである。
電気光学結晶層10には、光の進行方向に平行な電界に感度を有するBi12SiO20(BSO、ビスマス酸化シリコン)、GaAs(ガリウム砒素)、LiNbO3−55度カット、ZnSeなどが用いられる。電気光学結晶層10は、両面を光学研磨し、面内収差は1/4λ程度とすることが望ましい。電気光学結晶層10は薄い方が、後で述べる回路パターンの検出装置として用いた場合回路パターンと透明導電膜31の間で電界が広がらず、元の回路パターンの電圧分布に近い電界分布となる。よって回路パターンの電圧分布の形状に近い電界分布を検出するためには電気光学結晶層10は薄い方がよい。
【0019】
しかし、電気光学結晶層10が薄いと、電気光学素子100を回路基板の回路パターンと一定の間隔をおいて非接触にした場合、回路パターンと透明導電膜31間でのコンデンサ構造において、電気光学結晶層10に加わる電位差が小さくなる。そのため、電界の検出感度が小さくなり、また、加工が難しくなるという問題がある。電気光学結晶層10の厚さは、これらの要素のトレードオフとなり、本例では厚さ100μm〜500μmの電気光学結晶層10を用いている。
【0020】
電気光学素子100に入射した光は、電界による位相変調を受け、電気光学結晶層10の底面にて反射される。電気光学結晶層10は、屈折率が高いものが多く、反射率も高くなる。LiNbO3の場合、屈折率は2.2となり、この場合14%程度の反射率となる。そのため、電気光学結晶層10を光学研磨し、底面での反射光を検出してもよいが、反射層71を形成してもよい。反射層71は誘電体多層反射層を用い、材質としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2等がある。
【0021】
電気光学結晶層10は薄いため破損しやすく、透明導電膜31が形成された透明基板(ガラス基板)21へ接着剤層41を介して接着する。接着剤層41は、硬化収縮が大きい材質を用いると、電気光学結晶層10が薄いために応力が加わり、特にビスマス酸化シリコン(BSO)等の圧電性のある結晶の場合、光学特性が不均一となる恐れがある。そのため、接着剤層41には、エポキシ系などの硬化収縮の小さい材質を用いる。
【0022】
電気光学素子100は、屈折率の異なる材質の多層構造であり、多重反射による干渉が発生しやすい。特に接着剤層41と、屈折率の高い電気光学結晶層10の境界では、反射率が大きくなる。例示すると、接着剤層41は、エポキシ系の接着剤の場合で屈折率が1.56程度であり、電気光学結晶層10は、ビスマス酸化シリコン(BSO)の場合で屈折率が2.53であり屈折率差が大きい。そのため電気光学結晶層10の上面及び下面の反射による干渉縞が発生し、電界検出分布の画像を、著しく劣化させるという問題がある。
【0023】
本発明の請求項1の1実施形態では、電気光学結晶層10と接着剤層41との間に反射防止膜51を形成し、電気光学結晶層10の面での反射率を低くすることによって干渉縞を抑圧し、電界分布から得られた画像を良好に検出する。ここで反射防止膜51は、接着剤層41と電気光学結晶層10の屈折率を考慮して設計する必要があり、本例ではSiO2−TiO2の多層誘電体反射防止膜を用いた。
【0024】
請求項1に記載の本発明の別の1実施形態では、電気光学素子200は図2に示すように、透明基板(ガラス基板)21上に形成された透明導電膜31及び反射防止膜61に、別途作製された反射防止膜51及び反射層71が形成された電気光学結晶層10を接着剤層41にて貼り合わせたもので、透明導電膜31と接着剤層41及び接着剤層41と電気光学結晶層10との間にそれぞれ反射防止膜51及び反射防止膜61を設けたものである。
電気光学素子200においては、上記電気光学素子100の反射防止膜51に加えて、透明導電膜31と接着剤層41との間に反射防止膜61を設けて透明導電膜での多重反射を抑え、総合的に電気光学結晶層10での画質向上が図られている。
【0025】
屈折率は1.90の透明導電膜31と屈折率が1.48程度であるエポキシ系の接着剤層41との境界で反射を生じ、透明導電膜での多重反射を生じる。ここでの多重反射は、上記の請求項1の1実施形態で述べた電気光学結晶層10での画質を劣化させる干渉縞の原因と同じである。
【0026】
そこで、透明導電膜31と接着剤層41との屈折率差を考慮した反射防止膜61を形成する。電気光学結晶層10と接着剤層41との間にも反射防止膜51を形成しているため、電気光学素子200に光を照射した場合電気光学結晶層10面での多重反射を抑圧でき、電界分布を良好な画像として検出することができる。
なお、上記の説明においては、請求項1において、2つの実施形態について記載したが、同様に、透明導電膜と接着剤層の間にのみ反射防止膜を設ける形態でも、本願発明の課題を達成できる。
また、本願発明は、必要に応じて、接着剤層の両面以外(例えば、透明基板と透明電極層との間や、透明基板21の外側(電気光学結晶層10がある側とは反対側)の面。)にも反射防止膜を設けても良く、その形態も含むものとする。
【0027】
以下、請求項3〜7に記載の本発明の回路パターンの検出装置および回路パターンの検出方法について、実施の形態により説明する。
本発明の回路パターンの検出装置は図3に示すように、電界が加わると複屈折率が変化する電気光学結晶層10からなる電気光学素子100と、光源110と、ビームエキスパンダー91、偏光ビームスプリッター92及び光学レンズ93からなる光学系機構90と、回路パターン81を有する回路基板80と、回路基板の回路パターンから発生した電界によって変調を受けた反射光を光の強度変化として検出する光検出装置120とからなる。なお、検出した電界強度分布を比較判定するために解析装置130も設けることができる(図3においては、解析装置も具備した例を示している。)。そして、図示しない電界発生回路(直流電圧あるいは交流電圧を印加させる回路)も有する。回路基板80は電気光学素子100の近傍に配置される。このとき、電気光学素子100は回路基板80に接触させてもよいし、20μm程度の距離で非接触としてもよい。電気光学素子100の透明導電膜31はグランドに接地し、電圧が印加された回路パターン81と、透明導電膜31との間に電界を発生させる。
なお、回路パターンに印加する電圧についてであるが、回路パターンに直流電圧が印加されたとき、電気光学素子内には面方向への直流抵抗成分、特に電気光学素子の反射手段が有する直流抵抗成分により、回路基板の回路パターンの電圧分布が広がってしまい、電圧分布の変化に伴い電界強度分布も変化する。そのため、回路パターンには交流電圧を印加するのが望ましい。なぜなら、電気光学素子内の面方向へ形成される分布定数の直流抵抗成分による電圧分布の広がりを抑えて、電圧分布の変化に伴う電界強度分布の変化を防止したままの状態で、電界強度分布検出ができるからである。
また、別の形態として、回路パターン81を接地し、透明導電膜31に電圧を印加しても良い。
なお、回路パターンとしては、基板の表面に設けられた回路パターンだけではなく、基板の内部や基板の裏面に設けた回路パターンも対象としている。
(なお、波長フィルタ94については、後述する。)
【0028】
光源110から電気光学素子100へ照射される光はビームエキスパンダ91で2次元の光となる。光は偏光ビームスプリッタ92で偏光され、電気光学素子100へ照射される。電気光学素子100へ入射された光は、電気光学結晶層10の底面で反射されて、偏光ビームスプリッタ92に出射される。回路パターン81と透明導電膜31間に、回路パターン81の電圧分布によって電界分布が発生し、電気光学結晶層10は電界分布に応じて複屈折率が変化する。
【0029】
電気光学結晶層10の底面で反射された光は、電気光学結晶層10の複屈折率変化によって偏光面が変化する。電気光学素子10から出射された偏光面の変化した光は、偏光ビームスプリッタ92に入射し、このうち垂直に分岐した光は、電界分布に応じた光の強度分布をもつ。電界分布に応じた光の強度分布をもつ光を光学レンズ93で集光し、光検出装置120で検出することにより、回路パターンの電圧分布を光の強度分布として検出することができる。光検出装置120で検出した電圧分布を解析装置130で解析、処理することにより、回路基板80の回路パターン81の断線や短絡などの欠陥を検出することができる。
【0030】
この回路パターンの検出装置および検出方法では反射防止膜を設けた電気光学素子100を用いているので、電気光学結晶層10面の反射によって発生する干渉縞を防止でき、電気光学結晶層10と回路パターン81との間の電界分布を良好な画像として検出することができ、回路基板80の回路パターン81の断線や短絡などの欠陥を精度良く検出することができる。
【0031】
さらに、本願発明の実施形態について詳述する。
上記の実施形態に示した、電気光学素子100,200や、回路パターン検出方法・検出装置において、電気光学結晶層10が光導電効果を有する場合には、この光導電効果に対して対策が必要となる。
【0032】
例えば、電気光学結晶層10としてBSO結晶を用いた場合、BSO結晶は500nmより短い波長の光に顕著な光導電性を有するので、BSO結晶に500nmより短い波長の光を照射した場合、BSO結晶の抵抗値が低下して反射層71の容量性負荷に加わる電圧が増大し、反射層71に絶縁破壊が生じやすくなる。
【0033】
ここで、光源としてレーザー光を用いた場合、電気光学結晶層10が光導電効果を示さない波長を発するレーザーを使用すればよい。ただし、電気光学素子100,200にて干渉やスペックルなどが発生しやすくはなる。
【0034】
一方、光源として、ハロゲン光やメタハラ光等の白色光が、望ましいという事情もある。これは、光量が大きく、広帯域の波長特性をもつため電気光学素子100,200において干渉が発生しにくいからである。
この場合、光源から出射された白色光は波長フィルタ94で、電気光学結晶層10が光導電効果を示す波長成分をカットする。電気光学結晶層10がBSO結晶の場合、おおよそ500nm以下の波長の光はカットする。これにより、BSO結晶では光導電効果により抵抗値の低下は生じず、反射層71に交流電圧が印加されたときの絶縁破壊などの電気的な破壊を防ぐことができる。図3に、波長フィルタ94を用いる場合の本発明の検出装置の概要を示す。
【0035】
また、電気光学結晶層10としてBSO結晶を用いた場合、光源として、白色光を使用して、フィルター94を使用する代わりに、赤色や橙色のLED光源など、BSO結晶が光導電効果を示さない波長の光を用いることも可能である。この場合、電気光学素子100,200での干渉やスペックルの影響を少なくし、光導電効果の影響無く電圧分布を検出できる。
【0036】
また、電気光学素子100,200へ入射する光の波長を特定の波長にしたことに伴い、反射防止膜の反射防止加工を、電気光学素子100,200への入射光の波長に合わせることで、干渉を抑圧することが必要である。
【0037】
また、反射層71が反射しない波長の光が電気光学素子100,200へ入射すると、その波長の光は反射層71で反射されず透過してしまい、光検出装置120で、回路パターン81の画像が検出されてしまう。それによって、位置により電圧分布の検出感度が異なってしまう。そこで、反射層71の反射する波長帯域を、電気光学素子100,200への入射光の波長帯域全てを反射する特性とすることで、回路パターン81の電圧分布を、位置による感度のムラ無く検出できる。
【0038】
この上記の特定の波長において、反射防止となるようにすること、反射するようにすることについて、具体的な材料などについて示す。
具体的には、例えば、BSO結晶を用い、500nmより短い波長の光をカットした光を照射した場合、反射層71としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2などの誘電体反射層を使用することができる。この場合、各層の屈折率と膜厚を調整して、500nm以上の波長の光を反射するように設計する。また、同様に、反射防止膜51,61としては、MgF2−TiO2、SiO2−TiO2などの多層誘電体反射防止膜を使用できる。この場合、500nm以上の波長の光の反射を防ぐように各層の屈折率と膜厚を調整すればよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターン検出装置および検出方法によれば、電気光学結晶層の光導電効果に伴う反射層の絶縁破壊を防ぐことができる。
また、絶縁破壊を防ぐために、光の波長を特定のものとするが、その際に、反射防止膜の反射防止加工や、反射層の反射加工を、その特定の波長と合わせることにより、電気光学素子の層間での干渉を少なくでき、回路パターン画像が検出されてしまうこと無くムラ無く、回路パターンの電圧分布を検出できる。
【0040】
従って、本発明の反射防止膜を設けた電気光学素子及びそれを用いた回路パターンの検出装置および検出方法によれば、高集積化された回路基板の回路パターンから発生する電界の強度分布を、電気光学効果を応用した方法で、干渉の影響を抑圧して精度良く検出し、電気検出できる。
【0041】
本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターンの検出装置および検出方法によれば、回路基板上に電気光学素子を配置するだけで、回路パターンの電界強度分布を検出できる。そのため、検出した電界強度分布と、良品の電界強度分布を比較、判定することにより、早い検出速度で、簡易な位置決め系で電気検出できる。
【0042】
近年、回路基板の高集積化により、スプリングプローブを接触させることが困難となり、回路パターンの外観を検査することで電気検査の代用とする場合も多い。その場合、外観検査では回路パターンのクラックなどを検出することができなかった。本発明の電気光学素子及それを用いた回路パターンの検出装置によれば、回路パターンの電圧分布を、干渉縞を抑圧して、電気光学結晶層10と回路パターン81との間の電界の強度分布を良好な画像として検出するため、外観検査では検出できないクラック等の欠陥も検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学素子の一実施例を示す模式構成断面図である。
【図2】本発明の電気光学素子の他の実施例を示す模式構成断面図である。
【図3】本発明の電気光学素子を用いた回路パターンの検出装置の一実施例示す概略図である。
【符号の説明】
10……電気光学結晶層
21……透明基板(ガラス基板)
31……透明導電膜
41……接着剤層
51、61……反射防止膜
71……反射層
80……回路基板
81……回路パターン
90……光学系機構
91……ビームエキスパンダ
92……偏光ビームスプリッタ
93……光学レンズ
94……波長フィルタ
100、200……電気光学素子
110……光源
120……光検出装置
130……解析装置
Claims (7)
- 少なくとも、透明基板と、透明電極膜と、接着剤層と、与えられた電界に応じて複屈折率が変化する電気光学結晶層と、を順次設けてある電気光学素子であって、
少なくとも前記接着剤層の片面に、反射防止膜が設けられており、
該反射防止膜が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射防止効果を有している
ことを特徴とする電気光学素子。 - 前記電気光学素子が、さらに反射層を前記電気光学結晶層の透明基板がある側の反対側の面に有する構成であって、
該反射層が、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない波長帯域において、反射効果を有していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。 - 回路パターンが形成された回路基板の近傍に設けられる請求項1または2に記載の電気光学素子と、
回路パターンに応じた電界を前記電気光学結晶層に与える電界発生回路と、
前記電気光学素子に光を2次元的に入射させる光源と、
前記電気光学素子に入射する光および前記電気光学素子から反射する光の偏光状態を変化させる偏光手段と、
前記電気光学素子からの反射光を前記偏光手段を介して光強度分布として検出する検出器と、
を具備することを特徴とする回路パターンの検出装置。 - 前記光源は、前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を照射するものであることを特徴とする請求項3に記載の回路パターンの検出装置。
- 前記光源と前記電気光学素子の間にフィルタが設けられており、
該フィルタは、前記光源から照射される光のうち、前記電気光学結晶層が光導電効果を示す波長をカットするものである
ことを特徴とする請求項3に記載の回路パターン検出装置。 - 回路パターンに応じた電界を請求項1または2に記載の電気光学素子の電気光学結晶層に印加し、
前記電気光学素子に偏光された光を2次元的に入射し、
前記電気光学素子からの反射光を偏光させてから光強度分布として検出することを特徴とする回路パターンの検出方法。 - 前記電気光学結晶層が光導電効果を示さない光を、前記電気光学素子に照射することを特徴とする請求項6に記載の回路パターンの検出方法。
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KR101904550B1 (ko) * | 2011-07-26 | 2018-10-04 | 포톤 다이나믹스, 인코포레이티드 | 전기 회로 검사 시스템 및 그 방법 |
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