JP2004100763A - 電磁駆動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえば内燃機関の機関バルブ等、弁体の開閉を電磁駆動するアーマチャについてその回転の抑止をより簡易な構成にて確実に行うことのできる電磁駆動弁装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の機関バルブとして配設された電磁駆動弁装置は、アーマチャ24とこれを上方および下方にそれぞれ吸引する電磁石22および23等がハウジング27内に収容されて構成されている。アーマチャ24はアーマチャステム29と一体に形成されており、これに支持されて電磁石22および23による吸引力に基づき往復動する。弁体21はアーマチャステム29に連結されて吸気ポート11を開閉する。アーマチャ24は、その平面形状が矩形に形成されている。そして、アーマチャ24の長手方向の端部近傍にはその往復動をガイドするガイドシャフト33が貫設されている。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関の機関バルブとして配設された電磁駆動弁装置は、アーマチャ24とこれを上方および下方にそれぞれ吸引する電磁石22および23等がハウジング27内に収容されて構成されている。アーマチャ24はアーマチャステム29と一体に形成されており、これに支持されて電磁石22および23による吸引力に基づき往復動する。弁体21はアーマチャステム29に連結されて吸気ポート11を開閉する。アーマチャ24は、その平面形状が矩形に形成されている。そして、アーマチャ24の長手方向の端部近傍にはその往復動をガイドするガイドシャフト33が貫設されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば内燃機関の機関バルブとして設けられて、電磁力によりそれらバルブを構成する弁体の開閉を行う電磁駆動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電磁駆動弁装置としては、たとえば特許文献1に記載されている装置が知られている。この電磁駆動弁装置は、内燃機関の機関バルブと一体に往復運動可能に設けられたアーマチャの変位端方向にそれぞれ電磁石が配設され、これら電磁石が交互に励磁されることに基づく、同アーマチャに発生する電磁吸引力を利用して上記機関バルブを構成する弁体の開閉を行う。
【0003】
ところで、こうした電磁駆動弁装置にあっては、内燃機関への取り付け形状の制約のなかで所望の動作性能に足る十分な電磁吸引力を確保するために、アーマチャと電磁石を構成するコアとは互いの対向面積をより大きくとることのできる形状にすることが望ましい。そのため、これらアーマチャおよびコアはその対向面の平面形状が矩形に形成されることが多い。
【0004】
また、上記電磁駆動弁装置においては通常、電磁石による電磁吸引力が作用していないときにアーマチャが両変位端の間の中立位置に静止するように、アーマチャを中立位置に向かって付勢するスプリングが配設されている。そして、このスプリングによる付勢力に抗した電磁吸引力が印加されてアーマチャの往復運動が実現される。
【0005】
ただし、こうした往復運動するアーマチャはその構造上、往復動作しながら回転することがある。なかでも、上述したように、スプリングにより中立位置に向けて付勢されるように構成されるアーマチャにあっては、その傾向が顕著なものとなる。そして、これらアーマチャが周辺に配設されているハウジング等の壁面に衝突や接触を繰り返すと、アーマチャに摩耗や変形を発生させたり電磁駆動弁装置の動作損失や騒音を増大させることがある。また、電磁駆動弁装置としての寿命に及ぼす影響も無視することができない。
【0006】
そこで従来、アーマチャの回転を抑制する技術が検討されている。たとえば、上述の特許文献1に記載された電磁駆動弁装置にあっては、アーマチャとハウジングとの間隙にシムを設けてこのシムにより両者の間隙を調整し、アーマチャの回転を抑制するようにしている。このシムを備えた電磁駆動弁装置によれば、アーマチャはハウジングと直接接触することなくシムと干渉してその回転が抑制されるようになる。
【0007】
ちなみに、こうした往復運動を行うアーマチャでは一般に、コアの対向面にアーマチャが均等に近接するとは限らない。すなわち、図9(a)にアーマチャとコアとの位置関係を概念的に示すように、アーマチャ101がコア102の対向面102aに対して傾斜して近接することがある。この場合、図9(a)に対応して図9(b)にアーマチャ101の挙動を示すように、アーマチャ101のうちのコア102により近接している部分(図の右側)の吸引力F1と、より離隔している部分(図の左側)の吸引力F2とを比較すると、吸引力F1の方がアーマチャ101に対して強く作用する。このため、アーマチャステム103にはこれをねじる向きに力のモーメントMが作用して、アーマチャステム103の円滑な作動を損ねてしまうおそれもある。また、同じく図9(a)に対応して図9(c)にアーマチャ101の挙動を示すように、アーマチャ101がコア102の対向面102aに均等に近接する場合であっても、その端部に作用する吸引力Fによりアーマチャは弾性変形する。
【0008】
なお、上記アーマチャの回転を抑制する技術が記載されている文献としては、特許文献1のほか、特許文献2などがある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−154884号公報
【特許文献2】
特開2001−355417号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記シムを備えてアーマチャの回転が抑制される電磁駆動弁装置においては、アーマチャの端部はハウジングとは衝突や接触をしないものの、シムとの干渉が回避されるわけではない。一般に、アーマチャはその材質として透磁率が大きくかつ保磁力が小さい軟質磁性材料が用いられることが多いため、アーマチャとシムとが互いに継続的に干渉することによりアーマチャがその干渉部位において摩耗したり変形したりすることが依然として懸念される。すなわち、アーマチャに隣接してシムが配設される構成にしたとしても、それをもってアーマチャとその周囲との干渉にかかる問題が根本的に解決されるわけではなく、電磁駆動弁装置としての所望の性能を長期的に安定して維持することは必ずしも容易ではない。
【0011】
なお、上記アーマチャの回転を抑制するために、アーマチャステムの断面形状が円形とは異なる形状に形成された電磁駆動弁装置も知られてはいる(たとえば特許文献2参照)。ただし、こうした電磁駆動弁装置にあっては通常、アーマチャステムとその摺動を支持する軸受との嵌合精度を出すことが困難であるという問題がある。そして、所望の嵌合精度が得られない場合には、先に図9(b)に示した力のモーメントMの影響を強く受けることになるため、電磁駆動弁装置としての長期的な信頼性の確保も困難なものとなる。
【0012】
また、上記平面形状が矩形のアーマチャを備えた電磁駆動弁装置に限らず、往復運動にともなう回転により周囲と干渉する他の平面形状のアーマチャを備えた電磁駆動弁装置にあっても、こうした実情はおおむね共通したものとなっている。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえば内燃機関の機関バルブ等、弁体の開閉を電磁駆動するアーマチャについてその回転の抑止をより簡易な構成にて確実に行うことのできる電磁駆動弁装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、前記アーマチャステムと平行に、かつ前記アーマチャを貫通して設けられて同アーマチャの往復動をガイドするガイドシャフトを備えることをその要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、上記アーマチャが、上記ハウジングに収容された電磁石との間に作用する電磁力に基づき、ガイドシャフトにガイドされてアーマチャステムとともに往復動するようになる。このため、アーマチャは、ガイドシャフトに支持されて往復動にともなうアーマチャステムを軸とする回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャがアーマチャステムを軸とした回転体形状でない場合にあっても、アーマチャとこれを収容するハウジングとの干渉を簡易な構成にて確実に回避することができるようになる。なおここで、アーマチャを貫通するとは、上記ガイドシャフトがアーマチャをその往復動方向に貫通して設けられていさえすればよく、ガイドシャフトがアーマチャを貫通する貫通面は、アーマチャに設けられた貫通孔であってもよいし、アーマチャ端部に設けられた貫通溝であってもよい。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャには、前記ガイドシャフトが貫通される貫通孔が設けられてなることをその要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、前記ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通して設けられるため、ガイドシャフトによってなされるアーマチャの往復動がより確実にガイドされるようになる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電磁駆動弁装置において、前記貫通孔には、前記ガイドシャフトとの摺動を補助するガイドブッシュが埋設されてなることをその要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、アーマチャとガイドシャフトとの摺動がガイドブッシュにより補助される。このため、アーマチャとして比較的軟質の材料が用いられる場合にあっても、アーマチャの変形を招くことなく両者による摺動がより円滑に行われるようになる。なおここで、アーマチャに埋設するガイドブッシュとしては、たとえばステンレス等、摺動に対して耐性が強く硬度の高い材質のものを用いてもよいし、摺動抵抗を低下させる樹脂等の材質のものを用いてもよい。また、ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通する場合に限らず、アーマチャに貫通溝が設けられてこれをガイドシャフトが貫通する構成にあっても、アーマチャとガイドシャフトとの摺動に際しての上記効果を得ることができるようになる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記貫通孔は、前記アーマチャの長手方向の端部近傍に配設されてなることをその要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、平面形状が略矩形状に形成されているアーマチャの長手方向の端部近傍に前記貫通孔が配設されるため、略矩形状のアーマチャについてその回転が抑止されてハウジングへの干渉が確実に回避されるようになる。また、ガイドシャフトをアーマチャの長手方向の端部近傍に配設することで、アーマチャが電磁石に近接する際にアーマチャに作用する電磁力を均等化させることができる。これにより、アーマチャに対する不均等な吸引力に起因してアーマチャステムに作用する力のモーメントを抑制することができるようになる。なお、ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通する場合に限らず、アーマチャの長手方向の端部に貫通溝が設けられてこれをガイドシャフトが貫通する構成にあっても、上記効果を得ることができるようになる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁駆動弁装置において、前記ガイドシャフトが非磁性材料により形成されてなることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、ガイドシャフトが電磁石のコアに固定される場合にあっても、同コアに発生する磁束およびその磁路に及ぼす影響を最小限に抑制することができるようになる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、前記アーマチャステムは、その軸方向に垂直な断面形状が少なくとも2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなし、同アーマチャステムを支持する軸受が、前記非回転図形と同一の軸受形状を有して同アーマチャステムを摺動可能に支持することをその要旨とする。
【0025】
上記構成によれば、軸方向に垂直な断面形状が少なくとも2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなすアーマチャステムに支持されて、上記アーマチャが上記ハウジングに収容された電磁石との間に作用する電磁力に基づき往復動するようになる。このため、アーマチャは、アーマチャステムに支持されて往復動にともなうアーマチャステムを軸とする回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャがアーマチャステムを軸とした回転体形状でない場合にあっても、アーマチャとこれを収容するハウジングとの干渉を簡易な構成にて確実に回避することができるようになる。また、アーマチャステムおよびその軸受の断面形状が円のみを組み合わせて得られる非回転図形をなすため、それらアーマチャステムおよび軸受の加工形成を容易なものとすることができるようになる。
【0026】
そして、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記アーマチャステムは、前記断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる図形をなすとともに、その図形の長手方向が前記アーマチャの長手方向となる向きに同アーマチャに一体形成されてなることをその要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、平面形状が略矩形状に形成されているアーマチャの長手方向が、断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる図形をなすアーマチャステムについてその図形の長手方向となる向きに一体形成される。このため、略矩形状のアーマチャの回転が抑止されてハウジングへの干渉が確実に回避されるようになる。また、アーマチャステムの断面形状を円ではない異形形状とすることでアーマチャステムの剛性が高められるため、アーマチャを電磁石に対して均等に近接させることができるようになる。これにより、アーマチャに対する不均等な吸引力に起因してアーマチャステムに作用する力のモーメントを抑制することができるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる電磁駆動弁装置を車両用内燃機関(エンジン)の機関バルブ(吸気弁および排気弁)に適用した第1の実施の形態について図1〜図3を使って説明する。
【0029】
図1は、電磁駆動弁装置として構成される吸気弁20および排気弁60を備えたエンジン10の断面構造を示している。
まず、吸気弁20および排気弁60の構成について説明する。なお、排気弁60は、その弁体が燃焼室14に通じる排気ポート12を開閉する点を除き、吸気弁20と同様の構成であるため、以下では、吸気弁20の構成についてのみを詳細に説明する。
【0030】
吸気弁20は、弁体21と、この弁体21を開閉駆動する一対の電磁石22および23と、これら電磁石22および23との間に作用する電磁力によって往復動するアーマチャ24と、このアーマチャ24を電磁石22および23の間の中立位置に付勢する一対のスプリング25および26等を有して構成される。そして、これらがハウジング27に収容されて、ボルト28によりシリンダヘッド13に固定されている。なお、このハウジング27内には矢印Xにて示す方向から潤滑油が供給されるとともに、矢印Yにて示す方向からその潤滑油が排油される構造となっており、各部が円滑に動作するようにしている。
【0031】
上記弁体21は、シリンダヘッド13によって往復動可能に支持された弁軸21aと、その弁軸21aの下端部に固定されて弁軸21aの往復動にともない燃焼室14に通じる吸気ポート11を開閉する傘部21bとを備えている。また、弁軸21aは、アーマチャ24に一体形成されてその往復動を支持するアーマチャステム29に連結されている。これにより、アーマチャ24の往復動作にともなって傘部21bによる吸気ポート11の開閉が行われる。
【0032】
そして、アーマチャステム29の上端部には、アッパリテーナ30が固定されている。このアッパリテーナ30とハウジング27との間には、上述したスプリングのうちのアッパスプリング25が配設されており、このアッパスプリング25によって弁体21は常時、開弁側に付勢されている。一方、アーマチャステム29の下端部には、ロアリテーナ31が固定されている。このロアリテーナ31とシリンダヘッド13との間には、同じく上述したスプリングのうちのロアスプリング26が配設されており、このロアスプリング26によって弁体21は常時、閉弁側に付勢されている。
【0033】
一方、上記電磁石22は、アッパコア22aとアッパコイル22bとを有して構成され、アッパコイル22bへの通電にともなって発生する電磁力によりアーマチャ24を上方に吸引して弁体21を閉弁させる。また、電磁石23は、ロアコア23aとロアコイル23bとを有して構成され、ロアコイル23bへの通電にともなって発生する電磁力によりアーマチャ24を下方に吸引して弁体21を開弁させる。
【0034】
つぎに、電磁石22とアーマチャ24、およびその周辺構成について、図2に示す斜視図を使って説明する。なお、図2においてはアーマチャ24の下方に配設される電磁石23等の図示を省略しているが、これらは基本的にアーマチャ24について上下対称な構成を有している。
【0035】
図2に示されるように、アッパコア22aおよびアーマチャ24は、これら相互の間に強い電磁力を作用させることができるように、その平面形状が互いの対向面積を大きくとることのできる矩形状に形成されている。これにより、エンジン10の外形寸法により配設空間が制限をうける場合にあっても、吸気弁20が機関バルブとして機能するに十分な電磁力が得られるようにしている。また、この平面形状が矩形のアッパコア22aには溝部32が形成されており、この溝部32にアッパコイル22bが埋入されて電磁石22が構成されている。
【0036】
ところで、本実施の形態の電磁駆動弁装置にあっては、アーマチャ24がその往復動にともなってアーマチャステム29を中心軸として回転しないように、ガイドシャフト33が配設されている。このガイドシャフトは、非磁性材料から形成されており、アッパコア22aおよびロアコア23aにその上下端が固定されている(図1参照)。そして、アーマチャ24の貫通孔35に埋設された円筒状のガイドブッシュ34を貫通してアーマチャ24を摺動可能に支持している。なお、このガイドブッシュ34はガイドシャフト33との継続的な摺動動作に耐えられるように、ステンレス等の硬度の高い材質により形成されている。
【0037】
図3は、アーマチャ24とアーマチャステム29、およびガイドブッシュ34の平面的な位置関係を、アッパコイル22bおよびハウジング27(ともに破線にて図示)とともに示す平面図である。図3に示されるように、アーマチャ24は、アーマチャステム29とガイドシャフト33とに支持されて、アーマチャステム29を中心軸とした回転が抑止されている。これにより、アーマチャ24はハウジング27との間隙を所定に保ちつつ動作し、ハウジング27との干渉が回避されている。
【0038】
なおこのとき、アーマチャ24を貫通するガイドシャフト33を設ける位置は、矩形状のアーマチャ24の長手方向の端部近傍としている。
このように、アーマチャ24がガイドシャフト33にガイドされつつアーマチャステム29の軸方向に往復動することにより、弁体21が吸気ポート11を開閉して吸気弁20が開閉駆動される。また、同様な構成を有する排気弁60についても上記と同様に動作して開閉駆動される。
【0039】
以上説明したように、この第1の実施の形態にかかる電磁駆動弁装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)アーマチャ24が、アーマチャステム29にくわえてガイドシャフト33にも支持されるため、同アーマチャ24の往復動にともなう回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャ24とハウジング27との干渉が回避されるようになる。
【0040】
(2)アーマチャ24とハウジング27との干渉が回避されるため、アーマチャ24の摩耗や変形、あるいは電磁駆動弁装置の動作損失や騒音が抑制されるようになる。
【0041】
(3)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の貫通孔35に埋設される円筒形のガイドブッシュ34を介してアーマチャ24の往復動をガイドするため、アーマチャ24の回転の抑止がより確実なものとなる。
【0042】
(4)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の貫通孔35に埋設される硬度の高いガイドブッシュ34の内周を摺動面としてアーマチャ24の往復動をガイドするため、耐摩耗性に優れた構成とすることができる。
【0043】
(5)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の長手方向の端部近傍を貫通するように設けられているため、アーマチャ24およびアーマチャステム29の往復動を軸方向に沿うより正確なものとすることができる。これにより、先の図9(a)に示したアーマチャのコアに対する傾斜動作が抑制され、図9(b)に示した力のモーメントMによる影響も低減されて、アーマチャに対して均等な電磁力を作用させることができるようになる。すなわち、アーマチャ24のアッパコア22aまたはロアコア23aに対する着座速度制御性が改善され、電磁駆動弁装置としての動作をより円滑化するとともにその長期信頼性の向上が図られるようになる。
【0044】
(6)ガイドシャフト33が非磁性材料から形成されているため、アッパコア22aおよびロアコア23a間を結合する磁路が形成されることがない。そのため、これらアッパコア22aに形成される磁路とロアコア23aに形成される磁路とが互いに干渉されず、それぞれに対応するコイルへの通電に基づいて所望の電磁力が発生されるようになる。これにより、機関バルブとしての開閉動作が的確に機能するようになる。
【0045】
(第2の実施の形態)
つぎに、本発明にかかる電磁駆動弁装置を車両用内燃機関(エンジン)の機関バルブ(吸気弁および排気弁)に適用した第2の実施の形態について図4および図5を使って説明する。なお、この第2の実施の形態においても、電磁駆動弁装置がエンジン10の機関バルブとして配設される基本的な構成は、先の第1の実施の形態と同様であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0046】
図4は、本実施の形態の電磁駆動弁装置として構成される吸気弁20および排気弁60を備えたエンジン10の断面構造を示している。この電磁駆動弁装置にあっては、ガイドシャフト33が設けられていない点、先の第1の実施の形態の電磁駆動弁装置と異なっている。また、アーマチャ24、アーマチャステム29、アッパコア22a、およびロアコア23aに代えて、アーマチャ44、アーマチャステム49、アッパコア42a、およびロアコア43aがそれぞれ採用されている。
【0047】
図5(a)および(b)は、この電磁駆動弁装置のアーマチャ44とアーマチャステム49とをそれぞれ拡大して示す斜視図および平面図である。図5(a)および(b)に示されるように、このアーマチャステム49は、軸方向に垂直な断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる非回転図形をなすように形成されている。また、このときのアーマチャ44に対するアーマチャステム49の取り付けは、上記非回転図形の長手方向がアーマチャ44の長手方向となる向きになされている。そして、アーマチャステム49は、アッパコア42aおよびロアコア43aに対して、上記非回転図形と同一の形状に形成された軸受により摺動可能に支持されている。
【0048】
このように、アーマチャ44が、断面形状が非回転図形をなすアーマチャステム49に回転を抑止されつつ軸方向に往復動作することにより、上記第1の実施の形態にて説明した弁体21が吸気ポート11を開閉して吸気弁20が開閉駆動される。また、同様な構成を有する排気弁60についても上記と同様に動作して開閉駆動される。
【0049】
以上説明したように、この第2の実施の形態にかかる電磁駆動弁装置によれば、先の第1の実施の形態に対応して以下のような効果を得ることができるようになる。
【0050】
(1’)軸方向に垂直な断面形状が、2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなすアーマチャステム49によってアーマチャ44が支持されている。また、アーマチャステム49はその断面形状と同一の軸受形状を有するアッパコア42aおよびロアコア43aにより支持されている。このため、同アーマチャ44の往復動にともなう回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャ44とハウジング27との干渉が回避されるようになる。
【0051】
(2’)アーマチャ44とハウジング27との干渉が回避されるため、アーマチャ44の摩耗や変形、あるいは電磁駆動弁装置の動作損失や騒音が抑制されるようになる。
【0052】
(5’)アーマチャステム49は、その軸方向に垂直な断面形状である非回転図形の長手方向がアーマチャ44の長手方向となる向きにアーマチャ44に一体形成されている。このため、先に図9(c)に示した吸引力Fに対してアーマチャ24およびアーマチャステム29の剛性がより強化されるようになる。これにより、電磁駆動弁装置としての動作をより円滑にするとともにその長期信頼性の向上が図られるようになる。
【0053】
(7)アーマチャステム49は、その軸方向に垂直な断面図形が純粋に円のみを組み合わせて得られる非回転図形をなす形状に形成されている。また、このアーマチャステム49の軸受となるアッパコア42aおよびロアコア43aの軸受形状がアーマチャステム49の断面と同一形状を有している。このため、アーマチャステム49、ならびにこれを摺動可能に支持するアッパコア42aおよびロアコア43aの加工、形成が容易となり、所望の嵌合精度を容易に得ることができるようになる。
【0054】
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1の実施の形態においては、平面形状が矩形に形成されたアーマチャ24の長手方向の端部近傍をガイドシャフト33が貫通する場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。たとえば、アーマチャの平面形状が矩形ではなく、図6(a)および(b)に斜視図および平面図をそれぞれ示すように、矩形にガイドシャフト33の貫通部38を付加した形状であってもよい。この場合、アーマチャ24aの矩形部分の磁路にガイドシャフト33が貫通しないため、その分の磁路の断面積を確保できてより大きな電磁力を作用させることができるようになる。なお、貫通部38はアーマチャ24aと同一材料にて一体形成されて磁路の一部を構成してもよいし、また矩形に形成されたアーマチャに対してガイドシャフト33を貫通することを目的として他の材料にて形成されて上記磁路を構成しなくてもよい。また、ガイドシャフト33がアーマチャを貫通する位置を、アーマチャの長手方向の端部近傍とする必要は必ずしもない。上記位置を、アーマチャの長手方向の端部近傍としない場合であっても上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0055】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフト33がアーマチャ24の貫通孔35を貫通して配設される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドシャフト33がアーマチャ24の貫通孔35ではなく、アーマチャの端部に設けられた貫通溝を貫通してアーマチャが摺動する構成であっても、その支持強度が十分得られる場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0056】
・上記第1の実施の形態においては、アーマチャ24の貫通孔35に埋設したガイドブッシュ34をガイドシャフト33が貫通している場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドブッシュ34が埋設されず、アーマチャ24と直接接触する構成であっても、アーマチャ24にその摺動動作に対する十分な強度と潤滑性とが備わっている場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。なお、ガイドブッシュ34としては、硬度の高い材料に限らず、樹脂等の硬度の低い材料を用いる場合であっても、上記摺動動作を円滑にして上記摺動動作に対する十分な耐摩耗性が確保されるものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0057】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフト33が非磁性材料から形成されている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドシャフトが非磁性材料から形成されていない構成であっても、ガイドシャフトによるアッパコア22aおよびロアコア23aに形成される磁束とその磁路に対しての影響が無視できる程度である場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0058】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフトが1本配設される場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。ガイドシャフトとアーマチャとの摺動抵抗、およびこの摺動動作によるエネルギー損失が問題とならない場合にあっては、2本以上のガイドシャフトを配設して各電磁駆動弁装置を構成してもよい。
【0059】
・上記第2の実施の形態においては、アーマチャステム49が、その軸方向に垂直な断面形状が2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなして形成され、これを支持する軸受がその非回転図形と同一の軸受形状を有して形成されている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記断面形状が、2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなす場合に限らず、3つ以上の円を組み合わせて得られる非回転図形をなす場合にあっても上記第2の実施の形態に準じた効果を得ることができる。たとえば、図7(a)および(b)に斜視図および平面図をそれぞれ示すように、アーマチャ54を支持するアーマチャステム59が、断面形状が3つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなす形状に形成されていてもよい。なお、これら非回転図形を構成する円は互いに同径であってもよいし、また異径のものが含まれていてもよい。要は、アーマチャステムが、その軸方向に垂直な断面形状が円のみを組み合わせて得られる加工容易な非回転図形をなすように形成されていさえすればよい。
【0060】
・上記各実施の形態においては、アーマチャ24にガイドシャフト33を貫設する場合、あるいは断面形状が円を組み合わせた非回転図形をなすように形成されたアーマチャステム49によりアーマチャ24が支持される場合についてそれぞれ説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。これらを組み合わせた構成、すなわち図8(a)および(b)にその斜視図および平面図をそれぞれ示すように、アーマチャ74を支持するアーマチャステム79が、その断面形状が円を組み合わせた非回転図形をなすように形成されるとともに、アーマチャ74にガイドシャフト33が貫設される構成としてもよい。
【0061】
・上記各実施の形態においては、アーマチャの平面形状が矩形である場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。アーマチャの平面形状が矩形である場合に限らず、非回転体形状のアーマチャがハウジングに収容されて互いに干渉する他の構成の電磁駆動弁装置にあっても、本発明を適用することができる。
【0062】
・上記各実施の形態においては、電磁駆動弁装置が車両用内燃機関の機関バルブである吸気弁20および排気弁60として適用される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。車両用内燃機関の機関バルブに限らず、非回転体形状のアーマチャをハウジングに収容して構成される他の電磁駆動弁装置にあっても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁駆動弁装置の第1の実施の形態について、その断面構造を示す図。
【図2】上記第1の実施の形態について、アーマチャとその周辺部を拡大して示す斜視図。
【図3】同第1の実施の形態について、アーマチャとその周辺部を拡大して示す平面図。
【図4】本発明にかかる電磁駆動弁装置の第2の実施の形態について、その断面構造を示す図。
【図5】上記第2の実施の形態について、アーマチャおよびアーマチャステムを示す斜視図および平面図。
【図6】上記第1の実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムをガイドシャフトとともに示す斜視図および平面図。
【図7】上記第2の実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムを示す斜視図および平面図。
【図8】上記各実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムをガイドシャフトとともに示す斜視図および平面図。
【図9】電磁駆動弁装置のアーマチャに作用する電磁力についての説明図。
【符号の説明】
10…エンジン、11…吸気ポート、12…排気ポート、13…シリンダヘッド、14…燃焼室、20…吸気弁、21…弁体、21a…弁軸、21b…傘部、22,23…電磁石、22a,42a…アッパコア、22b…アッパコイル、23a,43a…ロアコア、23b…ロアコイル、24,24a,44,54,74…アーマチャ、25…アッパスプリング、26…ロアスプリング、27…ハウジング、28…ボルト、29,49,59,79…アーマチャステム、30…アッパリテーナ、31…ロアリテーナ、32…溝部、33…ガイドシャフト、34…ガイドブッシュ、35…貫通孔、38…貫通部、60…排気弁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば内燃機関の機関バルブとして設けられて、電磁力によりそれらバルブを構成する弁体の開閉を行う電磁駆動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電磁駆動弁装置としては、たとえば特許文献1に記載されている装置が知られている。この電磁駆動弁装置は、内燃機関の機関バルブと一体に往復運動可能に設けられたアーマチャの変位端方向にそれぞれ電磁石が配設され、これら電磁石が交互に励磁されることに基づく、同アーマチャに発生する電磁吸引力を利用して上記機関バルブを構成する弁体の開閉を行う。
【0003】
ところで、こうした電磁駆動弁装置にあっては、内燃機関への取り付け形状の制約のなかで所望の動作性能に足る十分な電磁吸引力を確保するために、アーマチャと電磁石を構成するコアとは互いの対向面積をより大きくとることのできる形状にすることが望ましい。そのため、これらアーマチャおよびコアはその対向面の平面形状が矩形に形成されることが多い。
【0004】
また、上記電磁駆動弁装置においては通常、電磁石による電磁吸引力が作用していないときにアーマチャが両変位端の間の中立位置に静止するように、アーマチャを中立位置に向かって付勢するスプリングが配設されている。そして、このスプリングによる付勢力に抗した電磁吸引力が印加されてアーマチャの往復運動が実現される。
【0005】
ただし、こうした往復運動するアーマチャはその構造上、往復動作しながら回転することがある。なかでも、上述したように、スプリングにより中立位置に向けて付勢されるように構成されるアーマチャにあっては、その傾向が顕著なものとなる。そして、これらアーマチャが周辺に配設されているハウジング等の壁面に衝突や接触を繰り返すと、アーマチャに摩耗や変形を発生させたり電磁駆動弁装置の動作損失や騒音を増大させることがある。また、電磁駆動弁装置としての寿命に及ぼす影響も無視することができない。
【0006】
そこで従来、アーマチャの回転を抑制する技術が検討されている。たとえば、上述の特許文献1に記載された電磁駆動弁装置にあっては、アーマチャとハウジングとの間隙にシムを設けてこのシムにより両者の間隙を調整し、アーマチャの回転を抑制するようにしている。このシムを備えた電磁駆動弁装置によれば、アーマチャはハウジングと直接接触することなくシムと干渉してその回転が抑制されるようになる。
【0007】
ちなみに、こうした往復運動を行うアーマチャでは一般に、コアの対向面にアーマチャが均等に近接するとは限らない。すなわち、図9(a)にアーマチャとコアとの位置関係を概念的に示すように、アーマチャ101がコア102の対向面102aに対して傾斜して近接することがある。この場合、図9(a)に対応して図9(b)にアーマチャ101の挙動を示すように、アーマチャ101のうちのコア102により近接している部分(図の右側)の吸引力F1と、より離隔している部分(図の左側)の吸引力F2とを比較すると、吸引力F1の方がアーマチャ101に対して強く作用する。このため、アーマチャステム103にはこれをねじる向きに力のモーメントMが作用して、アーマチャステム103の円滑な作動を損ねてしまうおそれもある。また、同じく図9(a)に対応して図9(c)にアーマチャ101の挙動を示すように、アーマチャ101がコア102の対向面102aに均等に近接する場合であっても、その端部に作用する吸引力Fによりアーマチャは弾性変形する。
【0008】
なお、上記アーマチャの回転を抑制する技術が記載されている文献としては、特許文献1のほか、特許文献2などがある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−154884号公報
【特許文献2】
特開2001−355417号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記シムを備えてアーマチャの回転が抑制される電磁駆動弁装置においては、アーマチャの端部はハウジングとは衝突や接触をしないものの、シムとの干渉が回避されるわけではない。一般に、アーマチャはその材質として透磁率が大きくかつ保磁力が小さい軟質磁性材料が用いられることが多いため、アーマチャとシムとが互いに継続的に干渉することによりアーマチャがその干渉部位において摩耗したり変形したりすることが依然として懸念される。すなわち、アーマチャに隣接してシムが配設される構成にしたとしても、それをもってアーマチャとその周囲との干渉にかかる問題が根本的に解決されるわけではなく、電磁駆動弁装置としての所望の性能を長期的に安定して維持することは必ずしも容易ではない。
【0011】
なお、上記アーマチャの回転を抑制するために、アーマチャステムの断面形状が円形とは異なる形状に形成された電磁駆動弁装置も知られてはいる(たとえば特許文献2参照)。ただし、こうした電磁駆動弁装置にあっては通常、アーマチャステムとその摺動を支持する軸受との嵌合精度を出すことが困難であるという問題がある。そして、所望の嵌合精度が得られない場合には、先に図9(b)に示した力のモーメントMの影響を強く受けることになるため、電磁駆動弁装置としての長期的な信頼性の確保も困難なものとなる。
【0012】
また、上記平面形状が矩形のアーマチャを備えた電磁駆動弁装置に限らず、往復運動にともなう回転により周囲と干渉する他の平面形状のアーマチャを備えた電磁駆動弁装置にあっても、こうした実情はおおむね共通したものとなっている。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえば内燃機関の機関バルブ等、弁体の開閉を電磁駆動するアーマチャについてその回転の抑止をより簡易な構成にて確実に行うことのできる電磁駆動弁装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、前記アーマチャステムと平行に、かつ前記アーマチャを貫通して設けられて同アーマチャの往復動をガイドするガイドシャフトを備えることをその要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、上記アーマチャが、上記ハウジングに収容された電磁石との間に作用する電磁力に基づき、ガイドシャフトにガイドされてアーマチャステムとともに往復動するようになる。このため、アーマチャは、ガイドシャフトに支持されて往復動にともなうアーマチャステムを軸とする回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャがアーマチャステムを軸とした回転体形状でない場合にあっても、アーマチャとこれを収容するハウジングとの干渉を簡易な構成にて確実に回避することができるようになる。なおここで、アーマチャを貫通するとは、上記ガイドシャフトがアーマチャをその往復動方向に貫通して設けられていさえすればよく、ガイドシャフトがアーマチャを貫通する貫通面は、アーマチャに設けられた貫通孔であってもよいし、アーマチャ端部に設けられた貫通溝であってもよい。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャには、前記ガイドシャフトが貫通される貫通孔が設けられてなることをその要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、前記ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通して設けられるため、ガイドシャフトによってなされるアーマチャの往復動がより確実にガイドされるようになる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電磁駆動弁装置において、前記貫通孔には、前記ガイドシャフトとの摺動を補助するガイドブッシュが埋設されてなることをその要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、アーマチャとガイドシャフトとの摺動がガイドブッシュにより補助される。このため、アーマチャとして比較的軟質の材料が用いられる場合にあっても、アーマチャの変形を招くことなく両者による摺動がより円滑に行われるようになる。なおここで、アーマチャに埋設するガイドブッシュとしては、たとえばステンレス等、摺動に対して耐性が強く硬度の高い材質のものを用いてもよいし、摺動抵抗を低下させる樹脂等の材質のものを用いてもよい。また、ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通する場合に限らず、アーマチャに貫通溝が設けられてこれをガイドシャフトが貫通する構成にあっても、アーマチャとガイドシャフトとの摺動に際しての上記効果を得ることができるようになる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記貫通孔は、前記アーマチャの長手方向の端部近傍に配設されてなることをその要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、平面形状が略矩形状に形成されているアーマチャの長手方向の端部近傍に前記貫通孔が配設されるため、略矩形状のアーマチャについてその回転が抑止されてハウジングへの干渉が確実に回避されるようになる。また、ガイドシャフトをアーマチャの長手方向の端部近傍に配設することで、アーマチャが電磁石に近接する際にアーマチャに作用する電磁力を均等化させることができる。これにより、アーマチャに対する不均等な吸引力に起因してアーマチャステムに作用する力のモーメントを抑制することができるようになる。なお、ガイドシャフトがアーマチャの貫通孔を貫通する場合に限らず、アーマチャの長手方向の端部に貫通溝が設けられてこれをガイドシャフトが貫通する構成にあっても、上記効果を得ることができるようになる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁駆動弁装置において、前記ガイドシャフトが非磁性材料により形成されてなることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、ガイドシャフトが電磁石のコアに固定される場合にあっても、同コアに発生する磁束およびその磁路に及ぼす影響を最小限に抑制することができるようになる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、前記アーマチャステムは、その軸方向に垂直な断面形状が少なくとも2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなし、同アーマチャステムを支持する軸受が、前記非回転図形と同一の軸受形状を有して同アーマチャステムを摺動可能に支持することをその要旨とする。
【0025】
上記構成によれば、軸方向に垂直な断面形状が少なくとも2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなすアーマチャステムに支持されて、上記アーマチャが上記ハウジングに収容された電磁石との間に作用する電磁力に基づき往復動するようになる。このため、アーマチャは、アーマチャステムに支持されて往復動にともなうアーマチャステムを軸とする回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャがアーマチャステムを軸とした回転体形状でない場合にあっても、アーマチャとこれを収容するハウジングとの干渉を簡易な構成にて確実に回避することができるようになる。また、アーマチャステムおよびその軸受の断面形状が円のみを組み合わせて得られる非回転図形をなすため、それらアーマチャステムおよび軸受の加工形成を容易なものとすることができるようになる。
【0026】
そして、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電磁駆動弁装置において、前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記アーマチャステムは、前記断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる図形をなすとともに、その図形の長手方向が前記アーマチャの長手方向となる向きに同アーマチャに一体形成されてなることをその要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、平面形状が略矩形状に形成されているアーマチャの長手方向が、断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる図形をなすアーマチャステムについてその図形の長手方向となる向きに一体形成される。このため、略矩形状のアーマチャの回転が抑止されてハウジングへの干渉が確実に回避されるようになる。また、アーマチャステムの断面形状を円ではない異形形状とすることでアーマチャステムの剛性が高められるため、アーマチャを電磁石に対して均等に近接させることができるようになる。これにより、アーマチャに対する不均等な吸引力に起因してアーマチャステムに作用する力のモーメントを抑制することができるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる電磁駆動弁装置を車両用内燃機関(エンジン)の機関バルブ(吸気弁および排気弁)に適用した第1の実施の形態について図1〜図3を使って説明する。
【0029】
図1は、電磁駆動弁装置として構成される吸気弁20および排気弁60を備えたエンジン10の断面構造を示している。
まず、吸気弁20および排気弁60の構成について説明する。なお、排気弁60は、その弁体が燃焼室14に通じる排気ポート12を開閉する点を除き、吸気弁20と同様の構成であるため、以下では、吸気弁20の構成についてのみを詳細に説明する。
【0030】
吸気弁20は、弁体21と、この弁体21を開閉駆動する一対の電磁石22および23と、これら電磁石22および23との間に作用する電磁力によって往復動するアーマチャ24と、このアーマチャ24を電磁石22および23の間の中立位置に付勢する一対のスプリング25および26等を有して構成される。そして、これらがハウジング27に収容されて、ボルト28によりシリンダヘッド13に固定されている。なお、このハウジング27内には矢印Xにて示す方向から潤滑油が供給されるとともに、矢印Yにて示す方向からその潤滑油が排油される構造となっており、各部が円滑に動作するようにしている。
【0031】
上記弁体21は、シリンダヘッド13によって往復動可能に支持された弁軸21aと、その弁軸21aの下端部に固定されて弁軸21aの往復動にともない燃焼室14に通じる吸気ポート11を開閉する傘部21bとを備えている。また、弁軸21aは、アーマチャ24に一体形成されてその往復動を支持するアーマチャステム29に連結されている。これにより、アーマチャ24の往復動作にともなって傘部21bによる吸気ポート11の開閉が行われる。
【0032】
そして、アーマチャステム29の上端部には、アッパリテーナ30が固定されている。このアッパリテーナ30とハウジング27との間には、上述したスプリングのうちのアッパスプリング25が配設されており、このアッパスプリング25によって弁体21は常時、開弁側に付勢されている。一方、アーマチャステム29の下端部には、ロアリテーナ31が固定されている。このロアリテーナ31とシリンダヘッド13との間には、同じく上述したスプリングのうちのロアスプリング26が配設されており、このロアスプリング26によって弁体21は常時、閉弁側に付勢されている。
【0033】
一方、上記電磁石22は、アッパコア22aとアッパコイル22bとを有して構成され、アッパコイル22bへの通電にともなって発生する電磁力によりアーマチャ24を上方に吸引して弁体21を閉弁させる。また、電磁石23は、ロアコア23aとロアコイル23bとを有して構成され、ロアコイル23bへの通電にともなって発生する電磁力によりアーマチャ24を下方に吸引して弁体21を開弁させる。
【0034】
つぎに、電磁石22とアーマチャ24、およびその周辺構成について、図2に示す斜視図を使って説明する。なお、図2においてはアーマチャ24の下方に配設される電磁石23等の図示を省略しているが、これらは基本的にアーマチャ24について上下対称な構成を有している。
【0035】
図2に示されるように、アッパコア22aおよびアーマチャ24は、これら相互の間に強い電磁力を作用させることができるように、その平面形状が互いの対向面積を大きくとることのできる矩形状に形成されている。これにより、エンジン10の外形寸法により配設空間が制限をうける場合にあっても、吸気弁20が機関バルブとして機能するに十分な電磁力が得られるようにしている。また、この平面形状が矩形のアッパコア22aには溝部32が形成されており、この溝部32にアッパコイル22bが埋入されて電磁石22が構成されている。
【0036】
ところで、本実施の形態の電磁駆動弁装置にあっては、アーマチャ24がその往復動にともなってアーマチャステム29を中心軸として回転しないように、ガイドシャフト33が配設されている。このガイドシャフトは、非磁性材料から形成されており、アッパコア22aおよびロアコア23aにその上下端が固定されている(図1参照)。そして、アーマチャ24の貫通孔35に埋設された円筒状のガイドブッシュ34を貫通してアーマチャ24を摺動可能に支持している。なお、このガイドブッシュ34はガイドシャフト33との継続的な摺動動作に耐えられるように、ステンレス等の硬度の高い材質により形成されている。
【0037】
図3は、アーマチャ24とアーマチャステム29、およびガイドブッシュ34の平面的な位置関係を、アッパコイル22bおよびハウジング27(ともに破線にて図示)とともに示す平面図である。図3に示されるように、アーマチャ24は、アーマチャステム29とガイドシャフト33とに支持されて、アーマチャステム29を中心軸とした回転が抑止されている。これにより、アーマチャ24はハウジング27との間隙を所定に保ちつつ動作し、ハウジング27との干渉が回避されている。
【0038】
なおこのとき、アーマチャ24を貫通するガイドシャフト33を設ける位置は、矩形状のアーマチャ24の長手方向の端部近傍としている。
このように、アーマチャ24がガイドシャフト33にガイドされつつアーマチャステム29の軸方向に往復動することにより、弁体21が吸気ポート11を開閉して吸気弁20が開閉駆動される。また、同様な構成を有する排気弁60についても上記と同様に動作して開閉駆動される。
【0039】
以上説明したように、この第1の実施の形態にかかる電磁駆動弁装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)アーマチャ24が、アーマチャステム29にくわえてガイドシャフト33にも支持されるため、同アーマチャ24の往復動にともなう回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャ24とハウジング27との干渉が回避されるようになる。
【0040】
(2)アーマチャ24とハウジング27との干渉が回避されるため、アーマチャ24の摩耗や変形、あるいは電磁駆動弁装置の動作損失や騒音が抑制されるようになる。
【0041】
(3)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の貫通孔35に埋設される円筒形のガイドブッシュ34を介してアーマチャ24の往復動をガイドするため、アーマチャ24の回転の抑止がより確実なものとなる。
【0042】
(4)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の貫通孔35に埋設される硬度の高いガイドブッシュ34の内周を摺動面としてアーマチャ24の往復動をガイドするため、耐摩耗性に優れた構成とすることができる。
【0043】
(5)ガイドシャフト33が、アーマチャ24の長手方向の端部近傍を貫通するように設けられているため、アーマチャ24およびアーマチャステム29の往復動を軸方向に沿うより正確なものとすることができる。これにより、先の図9(a)に示したアーマチャのコアに対する傾斜動作が抑制され、図9(b)に示した力のモーメントMによる影響も低減されて、アーマチャに対して均等な電磁力を作用させることができるようになる。すなわち、アーマチャ24のアッパコア22aまたはロアコア23aに対する着座速度制御性が改善され、電磁駆動弁装置としての動作をより円滑化するとともにその長期信頼性の向上が図られるようになる。
【0044】
(6)ガイドシャフト33が非磁性材料から形成されているため、アッパコア22aおよびロアコア23a間を結合する磁路が形成されることがない。そのため、これらアッパコア22aに形成される磁路とロアコア23aに形成される磁路とが互いに干渉されず、それぞれに対応するコイルへの通電に基づいて所望の電磁力が発生されるようになる。これにより、機関バルブとしての開閉動作が的確に機能するようになる。
【0045】
(第2の実施の形態)
つぎに、本発明にかかる電磁駆動弁装置を車両用内燃機関(エンジン)の機関バルブ(吸気弁および排気弁)に適用した第2の実施の形態について図4および図5を使って説明する。なお、この第2の実施の形態においても、電磁駆動弁装置がエンジン10の機関バルブとして配設される基本的な構成は、先の第1の実施の形態と同様であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0046】
図4は、本実施の形態の電磁駆動弁装置として構成される吸気弁20および排気弁60を備えたエンジン10の断面構造を示している。この電磁駆動弁装置にあっては、ガイドシャフト33が設けられていない点、先の第1の実施の形態の電磁駆動弁装置と異なっている。また、アーマチャ24、アーマチャステム29、アッパコア22a、およびロアコア23aに代えて、アーマチャ44、アーマチャステム49、アッパコア42a、およびロアコア43aがそれぞれ採用されている。
【0047】
図5(a)および(b)は、この電磁駆動弁装置のアーマチャ44とアーマチャステム49とをそれぞれ拡大して示す斜視図および平面図である。図5(a)および(b)に示されるように、このアーマチャステム49は、軸方向に垂直な断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる非回転図形をなすように形成されている。また、このときのアーマチャ44に対するアーマチャステム49の取り付けは、上記非回転図形の長手方向がアーマチャ44の長手方向となる向きになされている。そして、アーマチャステム49は、アッパコア42aおよびロアコア43aに対して、上記非回転図形と同一の形状に形成された軸受により摺動可能に支持されている。
【0048】
このように、アーマチャ44が、断面形状が非回転図形をなすアーマチャステム49に回転を抑止されつつ軸方向に往復動作することにより、上記第1の実施の形態にて説明した弁体21が吸気ポート11を開閉して吸気弁20が開閉駆動される。また、同様な構成を有する排気弁60についても上記と同様に動作して開閉駆動される。
【0049】
以上説明したように、この第2の実施の形態にかかる電磁駆動弁装置によれば、先の第1の実施の形態に対応して以下のような効果を得ることができるようになる。
【0050】
(1’)軸方向に垂直な断面形状が、2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなすアーマチャステム49によってアーマチャ44が支持されている。また、アーマチャステム49はその断面形状と同一の軸受形状を有するアッパコア42aおよびロアコア43aにより支持されている。このため、同アーマチャ44の往復動にともなう回転が抑止されるようになる。これにより、アーマチャ44とハウジング27との干渉が回避されるようになる。
【0051】
(2’)アーマチャ44とハウジング27との干渉が回避されるため、アーマチャ44の摩耗や変形、あるいは電磁駆動弁装置の動作損失や騒音が抑制されるようになる。
【0052】
(5’)アーマチャステム49は、その軸方向に垂直な断面形状である非回転図形の長手方向がアーマチャ44の長手方向となる向きにアーマチャ44に一体形成されている。このため、先に図9(c)に示した吸引力Fに対してアーマチャ24およびアーマチャステム29の剛性がより強化されるようになる。これにより、電磁駆動弁装置としての動作をより円滑にするとともにその長期信頼性の向上が図られるようになる。
【0053】
(7)アーマチャステム49は、その軸方向に垂直な断面図形が純粋に円のみを組み合わせて得られる非回転図形をなす形状に形成されている。また、このアーマチャステム49の軸受となるアッパコア42aおよびロアコア43aの軸受形状がアーマチャステム49の断面と同一形状を有している。このため、アーマチャステム49、ならびにこれを摺動可能に支持するアッパコア42aおよびロアコア43aの加工、形成が容易となり、所望の嵌合精度を容易に得ることができるようになる。
【0054】
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1の実施の形態においては、平面形状が矩形に形成されたアーマチャ24の長手方向の端部近傍をガイドシャフト33が貫通する場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。たとえば、アーマチャの平面形状が矩形ではなく、図6(a)および(b)に斜視図および平面図をそれぞれ示すように、矩形にガイドシャフト33の貫通部38を付加した形状であってもよい。この場合、アーマチャ24aの矩形部分の磁路にガイドシャフト33が貫通しないため、その分の磁路の断面積を確保できてより大きな電磁力を作用させることができるようになる。なお、貫通部38はアーマチャ24aと同一材料にて一体形成されて磁路の一部を構成してもよいし、また矩形に形成されたアーマチャに対してガイドシャフト33を貫通することを目的として他の材料にて形成されて上記磁路を構成しなくてもよい。また、ガイドシャフト33がアーマチャを貫通する位置を、アーマチャの長手方向の端部近傍とする必要は必ずしもない。上記位置を、アーマチャの長手方向の端部近傍としない場合であっても上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0055】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフト33がアーマチャ24の貫通孔35を貫通して配設される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドシャフト33がアーマチャ24の貫通孔35ではなく、アーマチャの端部に設けられた貫通溝を貫通してアーマチャが摺動する構成であっても、その支持強度が十分得られる場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0056】
・上記第1の実施の形態においては、アーマチャ24の貫通孔35に埋設したガイドブッシュ34をガイドシャフト33が貫通している場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドブッシュ34が埋設されず、アーマチャ24と直接接触する構成であっても、アーマチャ24にその摺動動作に対する十分な強度と潤滑性とが備わっている場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。なお、ガイドブッシュ34としては、硬度の高い材料に限らず、樹脂等の硬度の低い材料を用いる場合であっても、上記摺動動作を円滑にして上記摺動動作に対する十分な耐摩耗性が確保されるものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0057】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフト33が非磁性材料から形成されている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。ガイドシャフトが非磁性材料から形成されていない構成であっても、ガイドシャフトによるアッパコア22aおよびロアコア23aに形成される磁束とその磁路に対しての影響が無視できる程度である場合にあっては、上記第1の実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0058】
・上記第1の実施の形態においては、ガイドシャフトが1本配設される場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。ガイドシャフトとアーマチャとの摺動抵抗、およびこの摺動動作によるエネルギー損失が問題とならない場合にあっては、2本以上のガイドシャフトを配設して各電磁駆動弁装置を構成してもよい。
【0059】
・上記第2の実施の形態においては、アーマチャステム49が、その軸方向に垂直な断面形状が2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなして形成され、これを支持する軸受がその非回転図形と同一の軸受形状を有して形成されている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記断面形状が、2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなす場合に限らず、3つ以上の円を組み合わせて得られる非回転図形をなす場合にあっても上記第2の実施の形態に準じた効果を得ることができる。たとえば、図7(a)および(b)に斜視図および平面図をそれぞれ示すように、アーマチャ54を支持するアーマチャステム59が、断面形状が3つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなす形状に形成されていてもよい。なお、これら非回転図形を構成する円は互いに同径であってもよいし、また異径のものが含まれていてもよい。要は、アーマチャステムが、その軸方向に垂直な断面形状が円のみを組み合わせて得られる加工容易な非回転図形をなすように形成されていさえすればよい。
【0060】
・上記各実施の形態においては、アーマチャ24にガイドシャフト33を貫設する場合、あるいは断面形状が円を組み合わせた非回転図形をなすように形成されたアーマチャステム49によりアーマチャ24が支持される場合についてそれぞれ説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。これらを組み合わせた構成、すなわち図8(a)および(b)にその斜視図および平面図をそれぞれ示すように、アーマチャ74を支持するアーマチャステム79が、その断面形状が円を組み合わせた非回転図形をなすように形成されるとともに、アーマチャ74にガイドシャフト33が貫設される構成としてもよい。
【0061】
・上記各実施の形態においては、アーマチャの平面形状が矩形である場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。アーマチャの平面形状が矩形である場合に限らず、非回転体形状のアーマチャがハウジングに収容されて互いに干渉する他の構成の電磁駆動弁装置にあっても、本発明を適用することができる。
【0062】
・上記各実施の形態においては、電磁駆動弁装置が車両用内燃機関の機関バルブである吸気弁20および排気弁60として適用される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。車両用内燃機関の機関バルブに限らず、非回転体形状のアーマチャをハウジングに収容して構成される他の電磁駆動弁装置にあっても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁駆動弁装置の第1の実施の形態について、その断面構造を示す図。
【図2】上記第1の実施の形態について、アーマチャとその周辺部を拡大して示す斜視図。
【図3】同第1の実施の形態について、アーマチャとその周辺部を拡大して示す平面図。
【図4】本発明にかかる電磁駆動弁装置の第2の実施の形態について、その断面構造を示す図。
【図5】上記第2の実施の形態について、アーマチャおよびアーマチャステムを示す斜視図および平面図。
【図6】上記第1の実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムをガイドシャフトとともに示す斜視図および平面図。
【図7】上記第2の実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムを示す斜視図および平面図。
【図8】上記各実施の形態の変形例について、アーマチャおよびアーマチャステムをガイドシャフトとともに示す斜視図および平面図。
【図9】電磁駆動弁装置のアーマチャに作用する電磁力についての説明図。
【符号の説明】
10…エンジン、11…吸気ポート、12…排気ポート、13…シリンダヘッド、14…燃焼室、20…吸気弁、21…弁体、21a…弁軸、21b…傘部、22,23…電磁石、22a,42a…アッパコア、22b…アッパコイル、23a,43a…ロアコア、23b…ロアコイル、24,24a,44,54,74…アーマチャ、25…アッパスプリング、26…ロアスプリング、27…ハウジング、28…ボルト、29,49,59,79…アーマチャステム、30…アッパリテーナ、31…ロアリテーナ、32…溝部、33…ガイドシャフト、34…ガイドブッシュ、35…貫通孔、38…貫通部、60…排気弁。
Claims (7)
- ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、
前記アーマチャステムと平行に、かつ前記アーマチャを貫通して設けられて同アーマチャの往復動をガイドするガイドシャフトを備える
ことを特徴とする電磁駆動弁装置。 - 前記アーマチャには、前記ガイドシャフトが貫通される貫通孔が設けられてなる
請求項1に記載の電磁駆動弁装置。 - 前記貫通孔には、前記ガイドシャフトとの摺動を補助するガイドブッシュが埋設されてなる
請求項2に記載の電磁駆動弁装置。 - 前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記貫通孔は、前記アーマチャの長手方向の端部近傍に配設されてなる
請求項2または3に記載の電磁駆動弁装置。 - 前記ガイドシャフトが非磁性材料により形成されてなる
請求項1〜4のいずれかに記載の電磁駆動弁装置。 - ハウジングに収容されたアーマチャがこれと一体に形成されたアーマチャステムとともに往復動可能に支持され、同じくハウジングに収容された電磁石と前記アーマチャとの間に作用する電磁力に基づき前記アーマチャステムに連結された弁体を開閉駆動する電磁駆動弁装置において、
前記アーマチャステムは、その軸方向に垂直な断面形状が少なくとも2つの円を組み合わせて得られる非回転図形をなし、同アーマチャステムを支持する軸受が、前記非回転図形と同一の軸受形状を有して同アーマチャステムを摺動可能に支持する
ことを特徴とする電磁駆動弁装置。 - 前記アーマチャはその平面形状が略矩形状に形成されてなり、前記アーマチャステムは、前記断面形状が2つの円の一部を互いに重ね合わせて得られる図形をなすとともに、その図形の長手方向が前記アーマチャの長手方向となる向きに同アーマチャに一体形成されてなる
請求項6に記載の電磁駆動弁装置。
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JP2002261369A JP2004100763A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 電磁駆動弁装置 |
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JP2002261369A JP2004100763A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 電磁駆動弁装置 |
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JP2002261369A Pending JP2004100763A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 電磁駆動弁装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004100763A (ja) |
-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002261369A patent/JP2004100763A/ja active Pending
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