JP2004099792A - 粘着剤組成物及び粘着シート類 - Google Patents
粘着剤組成物及び粘着シート類 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004099792A JP2004099792A JP2002265337A JP2002265337A JP2004099792A JP 2004099792 A JP2004099792 A JP 2004099792A JP 2002265337 A JP2002265337 A JP 2002265337A JP 2002265337 A JP2002265337 A JP 2002265337A JP 2004099792 A JP2004099792 A JP 2004099792A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure
- sensitive adhesive
- polyester
- component
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
【解決手段】粘着剤組成物は、樹脂成分の主成分として、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステルを含有することを特徴とする。ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が10重量%以上であり、ガラス転移温度が−10℃以下であり、且つ23℃での貯蔵弾性率が1×106Pa以下であることが好ましい。
また、粘着シート類は、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有していることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系の粘着剤組成物及び粘着シート類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル系樹脂は、電気絶縁性や機械的特性に優れ、繊維、フィルム、いわゆる「ペットボトル」、電機部品や自動車部品に至るまで幅広い用途で用いられている。またポリエステル系樹脂は、接着性にも優れており、繊維の接着、自動車内装材の固定、プリント配線基盤の接着用のホットメルト接着剤としても利用されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
【0003】
ホットメルト接着剤は、加熱により軟化して被着体に濡れ、熱が除去されることにより固化して接着機能を発現するタイプの接着剤である。従って、ポリエステル系樹脂は、ホットメルト接着剤として用いられるためには、室温(23℃)よりもかなり高い融点(軟化点)を有し、室温付近では硬いという性質を有していなければならない。そのため、ホットメルト接着剤を使用する際には、熱を加える作業や熱を加えるための装置が必要であり、その結果、コスト高になる問題を有している。また、耐熱性のない材料には適用が困難となる問題もあり、被着体(接着させる材料)にも制約が生じる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−263749号公報
【特許文献2】
特開2002−194314号公報
【特許文献3】
特開平6−145634号公報
【特許文献4】
特開平11−21340号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、前述のような問題を解決するために、比較的低温の条件で軟化するタイプのホットメルト接着剤が開発されているが、該ホットメルト接着剤は軟化点が低いため、ホットメルト接着剤自身が耐熱性に劣る問題を有しており、そのため、適用する用途が限定されていた。また、前記耐熱性の問題を解決するため接着剤を塗布した後、紫外線照射などで後架橋を行い、耐熱性を向上させる手法も考えられているが、この手法についても後架橋の作業が伴うため、結局コスト高になってしまう問題が生じる。そのため、熱・紫外線を加える作業や、熱・紫外線を加えるための装置を必要とせず、室温(23℃)下において僅かな圧力を加えることで接着する感圧型接着剤(粘着剤)が望まれている。
【0006】
一般的に、粘着剤は、例えば、D.Satas,Adhesive Age,31(9),28(1988)などに記述されているように、室温での貯蔵弾性率(G´)が1×105Pa程度またはそれ以下である。なお、室温での貯蔵弾性率(G´)が1×106Paを超えると、粘着剤が硬くなりすぎて、粘着性(タックのあるベタベタした状態)が消失する傾向がある。ポリエステルを粘着剤として用いる場合、優れた粘着性を有していることが求められており、ポリエステルの物性として柔軟性が重要となっている。そのため、ポリエステルの構造としては、例えば、特開平11−21340号公報に記載されているような、側鎖に炭化水素基を有する脂肪族ジオール成分から得られるガラス転移温度が低いポリエステルが有効であると言える。
【0007】
しかしながら、このような脂肪族ジオール成分から得られるポリエステルは、一般的に、機械的強度が弱く(低く)、そのため、粘着に関するJISの定義「水、溶剤、熱などを使用せず、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけ接着することができ、また、凝集力と弾性を持っているので強く接着する反面、硬い平滑面から剥がすこともできる。」で示される粘着剤としての他の必要要素である凝集力に劣っている。そこで、機械的強度を補うため、イソシアネートなどの架橋剤による架橋処理が必要であり、特開平11−21340号公報等においても、架橋剤を用いた架橋処理が施されている。
【0008】
ところが、機械的強度と柔軟性とを両立するための(又は耐熱性と粘着性とを両立するための)架橋剤量の調整は難しく、機械的強度(又は耐熱性)を優先させて架橋剤量を増やすと柔軟性(又は粘着性)が乏しくなり、特に粗面に対する粘着性に劣ったものとなる。また、逆に、柔軟性(又は粘着性)を向上させるために、架橋剤量を減少させると、機械的強度(又は耐熱性)が乏しくなり、リワーク性が求められる用途や、耐熱性・耐久性が求められる電気製品の部品固定、自動車部品の固定などの用途には不適なものとなる。このように、ポリエステルを粘着剤として用いる場合、耐熱性や耐久性も求められており、優れた機械的強度を有していることが重要である。
【0009】
従って、本発明の目的は、機械的強度と柔軟性とが優れたレベルで両立された粘着剤組成物及び粘着シート類を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐熱性と粘着性とが優れたレベルで両立された粘着剤組成物及び粘着シート類を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、炭化水素基を含有する側鎖を有する脂肪族ジオール成分を用いて得られる、ガラス転移温度が低く柔軟性を有しているポリエステルの主鎖中に、シクロヘキサン構造部(シクロヘキシル基など)を導入すると、柔軟性(又は粘着性)を維持した状態で、機械的強度(又は耐熱性)を高めることができることを見出し、さらに、この特定のポリエステルを粘着剤のベースポリマーとして用いることにより、また、このベースポリマーをさらに架橋させることによって、新規な感圧性接着剤(粘着剤)が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、樹脂成分の主成分として、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステルを含有することを特徴とする粘着剤組成物を提供する。
【0012】
このような粘着剤組成物としては、ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が10重量%以上であり、ガラス転移温度が−10℃以下であり、且つ23℃での貯蔵弾性率が1×106Pa以下であることが好ましい。
【0013】
本発明は、また、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有していることを特徴とする粘着シート類を提供する。
【0014】
なお、本明細書において記述している貯蔵弾性率(G´)とは、せん断貯蔵弾性率のことを意味している。貯蔵弾性率(G´)の測定方法としては特に制限されないが、公知乃至慣用の動的粘弾性特性測定方法を採用することができる。具体的には、動的粘弾性測定装置としては、レオメトリック社製の商品名「ARES」を用いることができる。また、測定条件としては、温度は23℃であり、測定周波数:1Hz、サンプル厚さ(粘着剤層の厚さ):約1.0mm、プレート:直径7.9mmのパラレルプレートの治具の条件を採用することができる。なお、貯蔵弾性率(G´)は、材料が弾性的にエネルギーを貯蔵する能力に関係している。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着剤組成物は、樹脂成分の主成分として、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステル(「ポリエステル(A)」と称する場合がある)を含有している。このようなポリエステル(A)としては、側鎖として炭化水素基を含有する基を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステル系樹脂であれば特に制限されない。また、側鎖としての炭化水素基を含有する基の含有割合や、主鎖中のシクロヘキサン構造部の含有割合は特に制限されず、粘着性、柔軟性、耐熱性や機械的強度などの各種特性に応じて適宜選択することができる。ポリエステル(A)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0016】
ポリエステル(A)において、側鎖としての炭化水素基を含有する基(「炭化水素含有基」と称する場合がある)としては、炭化水素基を含有している基であれば特に制限されない。従って、炭化水素含有基としては、炭化水素基のみから構成されている基であってもよく、2価の有機基を介して炭化水素基が結合している形態の炭化水素含有基(例えば、炭化水素−オキシ基、炭化水素−オキシカルボニル基など)であってもよい。炭化水素含有基としては、炭化水素基のみから構成されている基(すなわち、炭化水素基)を好適に用いることができる。ポリエステル(A)は、通常、炭化水素含有基を分子中に複数有している。このような複数の炭化水素含有基としては、1種のみの基が用いられていてもよく、2種以上の基が用いられていてもよい。
【0017】
前記炭化水素基としては、アルキル基などの脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)などの脂環式炭化水素基、アリール基(例えば、フェニル基やナフチル基等)などの芳香族炭化水素基のいずれであってもよいが、好ましくは脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基を好適に用いることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
【0018】
また、主鎖中のシクロヘキサン構造部としては、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基が挙げられる。該シクロヘキシレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭化水素基などが挙げられる。
【0019】
ポリエステル(A)の主鎖におけるシクロヘキサン構造部の含有割合としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル(A)に対して5〜50重量%(好ましくは10〜40重量%)程度の範囲から選択することができる。ポリエステル(A)中のシクロヘキサン構造部の含有割合が5重量%未満であると、機械的強度や耐熱性が低下し易く、一方、50重量%を超えるとポリエステル(A)が硬くなって柔軟性や粘着性が低下し易い。
【0020】
なお、炭化水素含有基の含有割合としては、前記シクロヘキサン構造部の含有割合などに応じて適宜選択することができる。この際、ポリエステル(A)又はその架橋構造体のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下、好ましくは−20℃以下(通常−100℃まで)になるように、及び/又は、23℃において透明且つ液状のポリエステル(A)が得られるように、炭化水素含有基の含有割合を適宜調整することが好ましい。
【0021】
ポリエステル(A)の数平均分子量は、5,000以上であれば特に制限されないが、その上限は、通常60,000程度である。従って、ポリエステル(A)の数平均分子量としては、例えば、5,000〜60,000程度の範囲から選択することができ、好ましくは10,000〜50,000、さらに好ましくは12,000〜40,000である。ポリエステル(A)の数平均分子量が5,000未満であると、粘着剤としての機械的強度が低下し、また、リワーク性や耐熱性が低下し、一方、高すぎる(60,000を超える)と、ポリエステルの粘度が高くなり、粘着シートの形成が困難となる。
【0022】
ポリエステル(A)は、ポリオール成分と、ポリカルボン酸成分とのエステル化反応により得られる。このようなポリオール成分とポリカルボン酸成分との組み合わせとしては、例えば、(1)一方の成分が炭化水素含有基を有する成分を含有し、他方の成分がシクロヘキサン構造部を有する成分を含有する組み合わせ、(2)一方の成分が炭化水素含有基を有する成分とシクロヘキサン構造部を有する成分とを含有し、他方の成分が炭化水素含有基を有する成分及びシクロヘキサン構造部を有する成分を含有しない組み合わせ、(3)一方の成分が炭化水素含有基を有する成分とシクロヘキサン構造部を有する成分とを含有し、他方の成分が炭化水素含有基を有する成分及び/又はシクロヘキサン構造部を有する成分を含有する組み合わせ、(4)一方又は両方の成分が炭化水素含有基およびシクロヘキサン構造部を有する成分を含有する組み合わせ、(5)一方の成分が炭化水素含有基およびシクロヘキサン構造部を有する成分を含有し、他方の成分が炭化水素含有基を有する成分及び/又はシクロヘキサン構造部を有する成分を含有する組み合わせなどが挙げられる。本発明では、これらの組み合わせの中でも、(1)〜(3)の組み合わせ(特に、(1)の組み合わせ)が好適である。
【0023】
ポリオール成分やポリカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
炭化水素含有基を有するポリオール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、ダイマージオール等の炭化水素含有基を有するジオール成分などが挙げられる。
【0025】
炭化水素含有基を有するポリカルボン酸成分として、例えば、メチルコハク酸、エチルコハク酸、2,2−ジメチルアジピン酸、2,3−ジメチルアジピン酸、2,4−ジメチルアジピン酸、3,3−ジメチルアジピン酸、ダイマー酸等の炭化水素含有基を有するジカルボン酸成分などが挙げられる。また、炭化水素含有基を有するポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸の誘導体を用いることもできる。
【0026】
シクロヘキサン構造部を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジエタノール、1,2−シクロヘキサンジエタノール、1,3−シクロヘキサンジエタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等のシクロヘキサン構造部を有するジオール成分などが挙げられる。
【0027】
シクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサン二酢酸、1,3−シクロヘキサン二酢酸、1,4−シクロヘキサン二酢酸等のシクロヘキサン構造部を有するジカルボン酸成分などが挙げられる。また、シクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸の誘導体を用いることもできる。
【0028】
このように、シクロヘキサン構造部を有するポリオール成分やポリカルボン酸成分としては、複数のヒドロキシル基又はカルボキシル基の間を構成する構造部として、シクロヘキサン構造部を有していることが重要である。
【0029】
炭化水素含有基およびシクロヘキサン構造部を有するポリオール成分としては、例えば、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。また、炭化水素含有基およびシクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分としては、例えば、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。なお、炭化水素含有基およびシクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸の誘導体を用いることもできる。
【0030】
ポリオール成分およびポリカルボン酸成分としては、前述のように、炭化水素含有基を有するポリオール成分及び/又は炭化水素含有基を有するポリカルボン酸成分と、シクロヘキサン構造部を有するポリオール成分及び/又はシクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分とを用い、この際、炭化水素含有基を有する成分およびシクロヘキサン構造部を有する成分を用いることが好ましい。なお、前述のように、シクロヘキサン構造を有するポリオール成分及び/又はシクロヘキサン構造を有するポリカルボン酸成分の使用量は、ポリエステル(A)中のシクロヘキサン構造の含有量が5〜50重量%(好ましくは10〜40重量%)となるように適宜調整して用いることができる。また、炭化水素含有基を有するポリオール成分及び/又は炭化水素含有基を有するポリカルボン酸成分の使用量は、前述のように、ポリエステル(A)中のシクロヘキサン構造の含有量に応じて最適値が変化するため特に限定しないが、例えば、ポリエステル(A)又はその架橋構造体のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下(好ましくは−20℃以下)になるように、及び/又は、23℃において透明且つ液状のポリエステル(A)が得られるような範囲から適宜選択することができる。
【0031】
また、ポリオール成分やポリカルボン酸成分としては、必要に応じて、炭化水素含有基及び/又はシクロヘキサン構造部を有するポリオール成分(「他のポリオール成分」と称する場合がある)や、炭化水素含有基及び/又はシクロヘキサン構造部を有するポリカルボン酸成分以外のポリカルボン酸成分(「他のポリカルボン酸成分」と称する場合がある)も用いることができる。なお、この際、ポリエステル(A)の耐熱特性、粘着性等を保持可能な範囲で(例えば、ポリエステル(A)又はその架橋構造体のガラス転移温度を−10℃以下に調整できる範囲で)、他のポリオール成分や他のポリカルボン酸成分を用いることが重要である。
【0032】
他のポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等の直鎖状の脂肪族ジオール成分などが挙げられる。
【0033】
他のポリカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン酸、1,14−テトラデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸成分;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分などが挙げられる。また、他のポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸の誘導体を用いることもできる。
【0034】
他のポリオール成分及び他のポリカルボン酸成分の使用量は、例えば、ポリオール成分及びポリカルボン酸成分全量に対して0〜80重量%の範囲から選択することができる。
【0035】
なお、ポリオール成分としては、容易に目的とする分子量のポリマーを得るために、市販のポリエステルジオール成分、ポリエーテルジオール成分、ポリカプロラクトンジオール成分、ポリカーボネートジオール成分などを用いることも可能である。具体的には、ポリエステルジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、オクタデカンジオール等のジオール成分と、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン酸、1,14−テトラデカン二酸やこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどのジカルボン酸成分又はその誘導体とを、単独若しくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどが挙げられ、市販品としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とのポリエステルジオールである商品名「クラレポリオールP−510」、「クラレポリオールP−1010」、「クラレポリオールP−2010」、「クラレポリオールP−3010」、「クラレポリオールP−5010」[以上、(株)クラレ製]などが挙げられる。
【0036】
ポリエーテルジオール成分としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等が挙げられ、市販品としては、例えば、プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルジオールである商品名「アデカポリエーテルP−400」、「アデカポリエーテルP−1000」、「アデカポリエーテルP−2000」、「アデカポリエーテルP−3000」[以上、旭電化工業(株)製]などが挙げられる。
【0037】
ポリカプロラクトンジオール成分としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられ、市販品としては、例えば、商品名「プラクセルL205AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL220PL」、「プラクセルL230AL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0038】
ポリカーボネートジオール成分としては、例えば、プロピレンカーボネートジオール、ヘキサメチレンカーボネートジオール、3−メチルペンテンカーボネートジオール等のカーボネートジオールや、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール等の多価アルコールとジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネートとの脱アルコール反応等で得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられ、市販品としては、例えば、商品名「PLACCEL CD205」、「PLACCEL CD210」、「PLACCEL CD220」、「PLACCEL CD205PL」、「PLACCEL CD210PL」、「PLACCEL CD220PL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0039】
なお、得られるポリエステルの機械的強度を増すために(又は、耐熱性の向上のために)、3官能以上のポリオール成分や多価カルボン酸成分を少量(例えば10重量%以下)添加することもできる。3価以上の多価ポリオール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコールなどが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸などが挙げられ、また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを用いることも可能である。
【0040】
ポリエステル(A)は、このようなポリオール成分やポリカルボン酸成分を用い、常法に従い適宜の触媒などを用いてエステル化反応させることにより得ることができる。この反応に際し、ポリオール成分とポリカルボン酸成分とは、当モル反応とするのが望ましいが、エステル化反応を促進させるために、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。
【0041】
このような粘着剤組成物では、ポリエステル(A)を架橋することにより、接着剤としての機能を効果的に発現させることができる。ポリエステル(A)を架橋する架橋処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル(A)中の水酸基および/またはカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物(例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物等の架橋剤など)を添加して架橋させる方法、いわゆる架橋剤を用いる方法を好適に採用することができる。架橋剤としては、前述のように、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などが挙げられるが、中でも、ポリイソシアネート化合物を特に好ましく用いることができる。架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
架橋剤としてのポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業(株)製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。
【0043】
架橋剤の使用量は、架橋すべきポリエステル(A)の分子量とのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途などによって適宜選択される。架橋剤の使用量としては、一般的には、ポリエステル(A)100重量部に対して0.5重量部以上である。架橋剤としては、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が10重量%以上(好ましくは20重量%以上)となるような使用量で用いることが好ましい。なお、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶成分の詳細については、後述する。このように、本発明では、機械的強度と柔軟性とを両立するために(又は、耐熱性と粘着性とを両立するために)、架橋剤の使用量を厳密に調整する必要がなく、容易にポリエステル(A)の架橋処理を行うことができる。
【0044】
また、実質的な架橋剤として、電子線硬化性化合物(多官能モノマー)を用いることができる。該多官能モノマーは、1分子中に複数個の不飽和結合を有する化合物であり、電子線などにより架橋反応を生じさせることが可能である。このような多官能モノマーとしては、(メタ)アクリレート系多官能モノマーを好適に用いることができる。該(メタ)アクリレート系多官能モノマーには、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。多官能モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
前記多官能モノマーの使用量は、架橋剤と同様に、架橋すべきポリエステル(A)とのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途などによって適宜選択される。多官能モノマーの使用量は、一般的には、ポリエステル(A)100重量部に対して1重量部以上であり、この割合で用いて電子線にて架橋させることにより、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶成分の割合を10重量%以上(好ましくは20重量%以上)とすることができる。
【0046】
このように、ポリエステル(A)の架橋により粘着剤としての機能を良好とするためには、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶成分の割合(溶剤不溶分)としては、10重量%以上(好ましくは20重量%以上)であることが望ましい。ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が10重量%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。なお、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が70重量%を超えると、ポリエステル(A)の架橋体の柔軟性が損なわれ、粘着性が低下し易くなるため、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分の上限としては、70重量%(好ましくは60重量%)が望ましい。
【0047】
なお、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶成分における溶剤(溶剤不溶分を測定する際に用いる溶剤)としては、使用目的などに応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;メチルエチルケトンなどのケトン;エチレングリコールなどのグリコール;プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルなどを用いることができる。
【0048】
また、ポリエステル(A)又は、ポリエステル(A)の架橋処理後のガラス転移温度は、−10℃以下(例えば、−100〜−10℃、好ましくは−20℃以下)であることが好ましい。ポリエステル(A)又は、ポリエステル(A)の架橋処理後のガラス転移温度が−10℃を超えると、ポリエステル又はその架橋構造体が硬くなって柔軟性が低下し、粘着性が低下する。なお、該ガラス転移温度としては、通常、ポリエステル(A)の架橋処理後の架橋構造体におけるガラス転移温度を採用する場合が多い。
【0049】
さらにまた、ポリエステルの架橋処理後の貯蔵弾性率(23℃)は、特に制限されないが、例えば、1×106Pa以下(好ましくは5×105Pa以下)であることが望ましい。ポリエステルの架橋処理後の貯蔵弾性率(23℃)が1×106Paを超えると、粘着剤が硬くなり、粘着性が低下する場合がある。なお、ポリエステルの架橋処理後の貯蔵弾性率(23℃)が1×104Paより低いと、粘着剤の凝集力が不足し、十分な耐熱性が得られ難くなるため、ポリエステルの架橋処理後の貯蔵弾性率(23℃)の下限としては、1×104Pa(好ましくは5×104Pa)が望ましい。
【0050】
本発明の粘着剤組成物は、上記のようなポリエステル(A)を樹脂成分の主成分として含有している。具体的には、ポリエステル(A)の割合は、例えば、樹脂成分全量に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90〜100重量%)である。なお、樹脂成分としては、本発明の作用・効果を損なわない範囲で、ポリエステル(A)以外の樹脂成分(例えば、ポリエステル(A)以外のポリエステルや、他の熱可塑性樹脂など)を含有していてもよい。また、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の樹脂成分として慣用的に用いられている樹脂を用いることもできる。
【0051】
また、粘着剤組成物には、前記樹脂成分(ポリエステル(A)など)に加え、従来公知の各種粘着付与剤や、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状物、箔状物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤などの従来公知の各種添加剤を任意に配合できる。なお、粘着剤付与剤の併用により、粘着性と耐熱性とのバランス(又は、機械的強度と柔軟性とのバランス)を良好にすることができる場合もある。
【0052】
本発明の粘着シート類は、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有している。該粘着剤層は、支持体上に形成されていてもよく、支持体上に形成されていなくてもよい。粘着剤層を支持体上に形成する際には、支持体の片面又は両面に形成することができる。粘着シート類としては、支持体と、該支持体の片面又は両面に形成された、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層とを有するものが好ましい。粘着剤層が支持体上に形成されている場合、粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが通常1μm〜200μm程度となるように塗着して、乾燥することにより粘着剤層を形成することができる。なお、ポリエステル(A)の架橋処理は、粘着シート類の製造工程中またはその工程後に適宜行うことができる。また、粘着剤組成物の塗着(塗布)に際しては、慣用の塗布方法を採用することができる。
【0053】
前記粘着剤層は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。また、粘着剤層が支持体の片面に形成されている粘着シート類では、支持体の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、該剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。このような剥離ライナーや、支持体の剥離処理面を利用して、シート状に段重ねしたり、ロール状に巻回して、シート状やテープ状の形態の粘着シート類を作製することができる。
【0054】
粘着剤層の厚み(乾燥後の厚み)は、前述のように、通常1〜200μmの範囲から選択されるが、好ましくは5〜180μm、さらに好ましくは10〜150μm程度である。
【0055】
粘着シート類において、支持体(基材)の材料としては、特に制限されず、公知の粘着シート類(粘着テープなど)で用いられている支持体の材料を用いることができる。支持体の材料としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、和紙等の紙;レーヨン、ガラス、ポリエステルなどからなる単独又は混紡などの織布や不織布等の布;セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル等のプラスチックからなるプラスチックフィルム;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等からなる発泡体シート;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体などが挙げられる。支持体としては、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料を好適に用いることができる。支持体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。支持体は単層であってもよく、複層であってもよい。
【0056】
支持体の厚みは特に制限されず、例えば、1〜100μm、好ましくは10〜50μm程度の範囲から選択することができる。
【0057】
本発明の粘着剤組成物は、樹脂成分の主成分として、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステルを含有しているので、該粘着剤組成物による粘着剤層は、熱を負荷しなくても粘着性を発揮でき、優れた機械的強度を有しているとともに、優れた柔軟性を有している。すなわち、本発明の粘着シート類は、機械的強度と柔軟性とを優れたレベルで両立している。
【0058】
また、前記粘着剤組成物による粘着剤層は、優れた耐熱性を発揮できるとともに、良好な粘着性を保持することができる。このように、粘着シート類は、粘着性のみならず耐熱性も良好であり、耐熱性や耐久性を要する用途(電気製品や自動車部品等の部品固定の用途など)でも有効に利用することができる。
【0059】
しかも、厳密な調整を要する架橋処理や、後架橋を行わなくても、優れた機械的強度および柔軟性(又は、耐熱性及び粘着性)を発揮することができ、容易に且つ優れた再現性で粘着剤組成物および該粘着剤組成物による粘着シート類を調製することができる。
【0060】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によりなんら制限を受けるものではない。
【0061】
(実施例1)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、3−メチル−1,5−ペンタンジオール:55g、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:55.6KOH mg/g]:82g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:80g、無水コハク酸:4.2g、触媒としてジブチルチンオキサイド(以下、「DBTO」と称する場合がある):250mgを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約18時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が19%であり、数平均分子量が51000である透明液状のポリエステルが得られた。
【0062】
得られたポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈し、ポリエステル含有液を調製した。このポリエステル含有液に、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートHL」)を、ポリエステル100重量部(固形分)に対して4重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物をアプリケーターを用いて、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で5日間のエージングを行い接着力および耐熱性測定用の粘着テープを作製した。また、同様にして、前記粘着剤組成物を、シリコーン処理による剥離処理されたPETフィルム上に、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成して、溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープを作製した。
【0063】
(実施例2)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、3−メチル−1,5−ペンタンジオール:85.8g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:120g、触媒としてDBTO:350mgを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約17時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が32%、数平均分子量が39000である透明液状のポリエステルが得られた。
【0064】
得られたポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈し、ポリエステル含有液を調製した。このポリエステル含有液に、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートHL」)を、ポリエステル100重量部(固形分)に対して4重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いること以外は、実施例1と同様にして、接着力および耐熱性測定用の粘着テープ、および溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープを作製した。
【0065】
(実施例3)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、3−メチル−1,5−ペンタンジオール:41g、ポリカーボネートジオール[ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD220PL」;水酸基価:55.1KOH mg/g]:50g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:60g、無水コハク酸2.5g、触媒としてDBTO:190mgを仕込み、反応水排出溶剤として少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約13時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が20%であり、数平均分子量が38000である透明液状のポリエステルが得られた。
【0066】
得られたポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈し、ポリエステル含有液を調製した。このポリエステル含有液に、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートHL」)を、ポリエステル100重量部(固形分)に対して3重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いること以外は、実施例1と同様にして、接着力および耐熱性測定用の粘着テープ、および溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープを作製した。
【0067】
(実施例4)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、1,4−シクロヘキサンジメタノール:50g、側鎖にメチル基を有するポリカーボネートジオール[ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD220PL」;水酸基価:55.1KOH mg/g]:50g、トリメチロールプロパン:4.9g、セバシン酸:82g、触媒としてDBTO:120mgを仕込み、反応水排出溶剤として少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約13時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が16%であり、数平均分子量が45000である透明液状のポリエステルが得られた。
【0068】
得られたポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈し、ポリエステル含有液を調製した。このポリエステル含有液に、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートHL」)を、ポリエステル100重量部(固形分)に対して2.5重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いること以外は、実施例1と同様にして、接着力および耐熱性測定用の粘着テープ、および溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープを作製した。
【0069】
(比較例1)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:55.6KOH mg/g]:200g、無水コハク酸:10.1g、触媒としてDBTO:25mgを仕込み、反応水排出溶剤として少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約15時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が0%、数平均分子量が95000である透明液状のポリエステルが得られた。
【0070】
得られたポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈し、ポリエステル含有液を調製した。このポリエステル含有液に、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートHL」)を、ポリエステル100重量部(固形分)に対して5重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いること以外は、実施例1と同様にして、接着力および耐熱性測定用の粘着テープ、および溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープを作製した。
【0071】
(比較例2)
四つ口セパラブルフラスコに撹拌機、温度計および水分離管を付し、1,4−シクロヘキサンジメタノール:120g、無水コハク酸:83g、触媒としてDBTO:410mgを仕込み、反応水排出溶剤として少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。さらに約28時間反応を続けたところ、シクロヘキサン構造部の含量が36%であり、数平均分子量が35000である白色固形状のポリエステルが得られた。このポリエステルは結晶性を有しており、粘着テープは作製できなかった。
【0072】
(評価試験)
実施例1〜4および比較例1で得られた粘着テープ(接着力および耐熱性測定用の粘着テープ、溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率測定用の粘着テープ)について、以下の方法により、接着力、耐熱性、溶剤不溶分、ガラス転移温度、貯蔵弾性率の測定又は評価を行った。なお、その結果は、表1に示した。
【0073】
(貯蔵弾性率の測定方法)
レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用い、サンプル厚さ:約1.0mm(50μmの粘着剤層を積層して作製)、直径:7.9mmのパラレルプレートの治具により、周波数:1Hz、測定温度:23℃で測定した。
【0074】
(ガラス転移温度の測定方法)
レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用い、サンプル厚さ:約1.0mm(50μmの粘着剤層を積層して作製)、直径:7.9mmのパラレルプレートの治具により、周波数:1Hzで測定し、tanδ(損失弾性率と貯蔵弾性率との比)のピーク値となる温度を、そのサンプルのガラス転移温度(Tg)とした。
【0075】
(溶剤不溶分の測定方法)
粘着剤を約0.1gサンプリングして精秤し、約50mlのトルエン中に室温(約23℃)で5日間浸漬した後、溶剤不溶成分を取出し、130℃中で1時間乾燥して、固形分を秤量し、以下の式[Xは溶剤不溶分(重量%)、Yは溶剤不溶成分を乾燥した後の重量(g)、Zはサンプリングした粘着剤の重量(g)である]により、溶剤不溶分(重量%)を算出する。
X(重量%)=(Y/Z)×100
【0076】
(粘着力の測定方法)
幅20mmで且つ長さ150mmの粘着テープを被着体としてのアルミニウム板(アルミ板)およびポリカーボネート板(PC板)に、2kgローラー1往復の条件で貼り付け、貼付30分経過後、雰囲気温度:23℃にて、剥離速度:300mm/分の条件で、180°剥離粘着力(N/20mm)を測定した。
【0077】
(耐熱性の評価方法)
粘着テープを被着体としてのベークライト板に貼り付け、雰囲気温度80℃で、垂直方向に500g/cm2の荷重を与え、落下するまでの保持時間(分)を測定し、耐熱性を評価した。
【0078】
【表1】
【0079】
上記の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4に係る粘着シート類(粘着テープ等)は、粘着性および耐熱性が優れていることが確認された。従って、実施例1〜4に係る粘着剤組成物を用いると、粘着性と耐熱性とを優れたレベルで両立可能であることが確認された。そのため、本発明の粘着剤組成物による粘着シート類は、機械的強度および柔軟性が優れていると言える。
【0080】
【発明の効果】
本発明の粘着シート類における粘着剤層は、機械的強度と柔軟性とを両立している。また、耐熱性および粘着性が優れている。従って、耐熱性や耐久性が求められる用途でも、粘着剤として有効に使用することができる。
Claims (3)
- 樹脂成分の主成分として、炭化水素基を含有する側鎖を有し、主鎖中にシクロヘキサン構造部を有し、且つ数平均分子量が5,000以上であるポリエステルを含有することを特徴とする粘着剤組成物。
- ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が10重量%以上であり、ガラス転移温度が−10℃以下であり、且つ23℃での貯蔵弾性率が1×106Pa以下である請求項1記載の粘着剤組成物。
- 請求項1又は2記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有していることを特徴とする粘着シート類。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002265337A JP4212321B2 (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | 粘着剤組成物及び粘着シート類 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002265337A JP4212321B2 (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | 粘着剤組成物及び粘着シート類 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004099792A true JP2004099792A (ja) | 2004-04-02 |
JP4212321B2 JP4212321B2 (ja) | 2009-01-21 |
Family
ID=32264503
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002265337A Expired - Fee Related JP4212321B2 (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | 粘着剤組成物及び粘着シート類 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4212321B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097365A1 (ja) | 2006-02-23 | 2007-08-30 | Lintec Corporation | 粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート |
JP2011162770A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-08-25 | Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd | 活性エネルギー線硬化型接着剤 |
JP2012107153A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-07 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | ポリエステル系粘着剤組成物、およびポリエステル系粘着剤、ならびにそれを用いてなる粘着シート |
JP2019172810A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | 東洋紡株式会社 | 共重合ポリエステル樹脂およびこれを含む粘着剤組成物 |
-
2002
- 2002-09-11 JP JP2002265337A patent/JP4212321B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097365A1 (ja) | 2006-02-23 | 2007-08-30 | Lintec Corporation | 粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート |
US8809454B2 (en) | 2006-02-23 | 2014-08-19 | Lintec Corporation | Pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet using the same |
JP2011162770A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-08-25 | Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd | 活性エネルギー線硬化型接着剤 |
JP2012107153A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-07 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | ポリエステル系粘着剤組成物、およびポリエステル系粘着剤、ならびにそれを用いてなる粘着シート |
JP2019172810A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | 東洋紡株式会社 | 共重合ポリエステル樹脂およびこれを含む粘着剤組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4212321B2 (ja) | 2009-01-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4828695B2 (ja) | 粘着剤組成物とその粘着シート | |
EP2520630B1 (en) | Polyester adhesive composition | |
JP5615140B2 (ja) | ポリエステル系粘着剤組成物、およびポリエステル系粘着剤、ならびにそれを用いてなる粘着シート | |
EP2508581B1 (en) | Adhesive sheet | |
WO1996028519A1 (fr) | Composition adhesive autocollante et feuilles adhesives autocollantes a base de cette composition et agents de scellement, feuilles de renforcement et feuilles adhesives autocollantes destinees a l'impression | |
JP3090221B2 (ja) | ポリエステル系粘着剤 | |
EP3029121A2 (en) | Surface protective pressure-sensitive adhesive sheet | |
JP4863666B2 (ja) | ポリエステル系樹脂を含有してなる粘着剤および粘着シート | |
JPWO2011055827A1 (ja) | 粘着剤組成物 | |
JPH09310059A (ja) | 粘着剤組成物とその粘着シ―ト類 | |
JPH1192720A (ja) | 両面粘着シ―ト類 | |
EP2826834B1 (en) | Adhesive composition and adhesive sheet | |
JP2019059892A (ja) | 粘接着剤層、粘接着シートおよび樹脂組成物 | |
JP4212321B2 (ja) | 粘着剤組成物及び粘着シート類 | |
JP4162286B2 (ja) | 粘着剤組成物とその粘着シ―ト類 | |
JP6955768B2 (ja) | 接着剤組成物 | |
JP5627280B2 (ja) | ポリエステルシートの製造方法 | |
JP2009013201A (ja) | 感圧式接着剤組成物及びその利用 | |
JP4044627B2 (ja) | 粘着シート類 | |
WO2021117826A1 (ja) | 粘着テープ | |
JP4731052B2 (ja) | 剥離ライナーを有さない両面粘着シート | |
JP2023024126A (ja) | ポリエステル系樹脂組成物、粘着剤組成物、粘着剤、粘着シートおよび積層体、並びにポリエステル系樹脂(a)およびその製法 | |
JP2002180023A (ja) | 粘着剤組成物とその粘着シート | |
JP2004315591A (ja) | 粘着テープ | |
CN115038766A (zh) | 粘合带 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041108 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080206 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080219 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080414 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080701 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081028 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081028 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141107 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |