JP2004315591A - 粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】結束時に手指や物品への付着を防止でき、高い自着性を有し、寸法精度のよい手切れ性を有し、耐熱性、耐候性が優れた粘着テープを提供する。
【解決手段】粘着テープは、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有し、且つ前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているとともに、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】粘着テープは、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有し、且つ前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているとともに、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープに関し、さらに詳細には、室温で非粘着乃至微粘着(タックフリー)でありながら、強固な自着性を有しており、さらに寸法精度のよい手切れ性を有し、また耐候性や耐熱性が良好である粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生野菜、生花、レトルト食品パック、チューブ、ケーブル等の各種物品を結束するための粘着テープとして、粘着面同士の接着力が強い、すなわち、高い自着性を有する粘着剤層を基材の片面に設けた結束用粘着テープが提案されている。このような結束用粘着テープに用いられる自着性のある粘着剤層における粘着剤としては、例えば、天然ゴムや合成ゴムなどに粘着付与剤、軟化剤等を配合した粘着剤が知られている(特許文献1〜特許文献2参照)。しかし、このような天然ゴムや合成ゴムを用いた粘着剤(ゴム系粘着剤)は、耐候性や耐熱性に劣るため、工業材料のように屋外で使用される用途や、長期信頼性が必要とされる用途には使用されていない。
【0003】
また、前述のようなゴム系粘着剤は、タック(粘着性)を有しているため、結束の前後で、粘着テープが手指、物品などに付着するという問題もあった。そこで、この問題を改善するため、粘着剤として、ポリウレタン系粘着剤やポリエステル系粘着剤を使用したものが各種開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、従来の結束用粘着テープでは、粘着剤層によるタック性の改善については考慮されているが、耐熱性については考慮されていない。
【0004】
一方、結束用粘着テープに用いられている基材としては、結束が解けないように、耐水性や強度に優れたプラスチックフィルムが広く使用されており、例えば、ポリエステルフィルムなどが使用されている(特許文献3参照)。従って、結束用粘着テープを手で切るのは困難であり、結束時や結束を解く時に結束用粘着テープを切断する際には、ハサミやナイフなどの切断工具が用いられている。しかしながら、切断工具を用いると、特に結束を解く時に、結束物を傷つける可能性がある。また、切断工具を用意し使用するという作業の煩雑さが伴われるため、容易に手で切断できる結束用粘着テープが望まれていた。そこで、最近では、基材に加工を施し、手切れ性を改善した結束用粘着テープも開示されている(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭54−96539号公報
【特許文献2】
特開昭56−26968号公報
【特許文献3】
特開2001−316646号公報
【特許文献4】
特開2001−354923号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような従来の結束用粘着テープ(特開2001−354923号公報に記載されている結束用粘着テープ)では、基材としてポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルム等のような裂け易いフィルムの端部のみにスリット加工が施されており、そのため、手で切断した時の裂け方が不均一であり、例えば、切り口が斜めになったり、ギザギザになったりして、見栄えが悪くなる問題がある。しかも、この結束用粘着テープで使用されている粘着剤は、ゴム系粘着剤であり、耐熱性や耐候性が低く、さらには、結束の前後で、粘着テープが、作業を行っている人の手指や、結束する物品などに付着するという問題が改善されていない。このように、いまだに、結束する作業(結束作業)と、結束を解く作業(結束解除作業)とのいずれの作業でも、簡便に行うことができ、さらに、耐熱性や耐候性に優れる結束用粘着テープは存在していない。
【0007】
従って、本発明の目的は、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、高い自着性を有しており、また寸法精度のよい手切れ性を有しており、さらにまた耐熱性および耐候性が優れている粘着テープを提供することにある。
本発明の他の目的は、結束作業および結束解除作業における作業性を向上させることができ、また屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に結束用粘着テープとして適用できる粘着テープを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、支持基材として表面に凹凸形状を有するプラスチックフィルムを用いるとともに、粘着剤層を構成する粘着剤として特定の粘着剤組成物を用い、さらに支持基材の表面に凹凸形状を有する粘着テープの応力と歪みとの関係に関する物性を規定することにより、強固な自着性を有し、また優れた耐熱性および耐候性を有しており、結束用粘着テープとして用いた場合、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、寸法精度のよい手切れ性で切断することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有し、且つ前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているとともに、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴とする粘着テープである。ことが好ましい。
【0010】
前記粘着テープにおいて、ポリエステルにおけるポリカーボネート構造部が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
【化2】
(式中、Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す)
【0011】
また、前記ポリエステルは、架橋処理されており、粘着剤層における粘着剤の溶剤不溶分は1重量%以上30重量%未満であり、且つ粘着剤層の自着力(温度23℃、剥離速度300mm/分でのT型剥離力)は、9N/10mm以上であることが好ましい。
【0012】
前記粘着テープは、伸度50%以下での最大応力が11N/10mm以上であることが好ましい。また、プラスチックフィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープは、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴としている。また、本発明の粘着テープとしては、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有しており、前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有し、且つ前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されていることが重要である。本発明の粘着テープは、上記構成を有しているので、優れた手切れ性を有している。そのため、ハサミやナイフ等の切断工具を用いて粘着テープを切断しなくてもよく、手により容易に且つ安全に、しかも寸法精度よく切断することができる。また、長手方向に対して垂直方向に延びている凹凸部の形状に応じた裂け方で、手で容易に切断することができるので、手で切断する際の裂け方をコントロールすることができ、手で切断時の裂け方の見栄えを良好とすることができる。従って、結束解除作業時に、切断工具により被着体を傷つけることを防止することができ、粘着テープの切断時の作業性を大きく向上できる。
【0014】
しかも、粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているので、室温(20〜25℃、特に23℃)では、非粘着乃至微粘着(タックフリー)でありながら、強固な自着性を有している。そのため、結束時には、手指や物品への付着を防止しつつ、高い自着性により強固に結束させることができる。
【0015】
従って、本発明の粘着テープを用いると、結束作業および結束解除作業のいずれの作業も、簡便に行うことができる。
【0016】
さらに、粘着剤層は、前記粘着剤組成物により形成されているので、耐熱性や耐候性が優れており(特に、ポリエステルが、架橋処理されており、粘着剤層における粘着剤の溶剤不溶分が1重量%以上30重量%未満であると、耐熱性や耐候性がより一層優れており)、良好な結束状態を長期間にわたり保持することができる。従って、屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に用いることができる。
【0017】
以下に、本発明の粘着テープを、必要に応じて応力−歪み曲線を用いて、具体的に説明する。図1は、本発明の粘着テープに関する応力−歪み曲線の一例を示すグラフである。この応力−歪み曲線では、縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である。図1に係る応力−歪み曲線では、引張伸度が0から50%程度の間で大きくなるにつれて、急激に応力が上昇し、その後、引張伸度の増加とともに、応力は徐々に減少し、引張伸度が150%程度で、粘着テープが破断している。このように、本発明では、(1)伸度50%以下での最大応力が、破断時の応力よりも大きいこと、(2)破断時の伸度が100〜300%であることが重要である。
【0018】
なお、図1に係る応力−歪み曲線では、伸度が50%以下の範囲で、応力が顕著なピークを有しているが、顕著なピークを有していなくてもよい。また、図1に係る応力−歪み曲線では、応力は、ピーク(又は最大値)となった後は、伸度の増加とともに徐々に減少しているが、ほぼ一定の値を維持していてもよい。
【0019】
本発明では、伸度50%以下での最大応力としては、破断時の応力よりも大きければ、伸度50%以下での最大応力と、破断時の応力との差や比は特に制限されない。伸度50%以下での最大応力と破断時の応力との差としては、例えば、[(伸度50%以下での最大応力)−(破断時の応力)]=0.1N/10mm以上(例えば、0.1〜7N/10mm、好ましくは0.5〜5N/10mm、さらに好ましくは1〜3N/10mm)であることが望ましい。なお、伸度50%以下での最大応力としては、破断時の応力よりも小さければ、手切れ性が低下する。
【0020】
また、伸度50%以下での最大応力の大きさ(絶対値)としては、特に制限されないが、例えば、11N/10mm以上(例えば、11〜25N/10mm、好ましくは12〜25N/10mm、さらに好ましくは13〜25N/10mm)であることが望ましい。伸度50%以下での最大応力の大きさが11N/10mm未満であると、強度が求められる重量物などを結束した場合に、粘着テープが切れやすくなる。このように、粘着テープの強度と、手切れ性との観点から、粘着テープにおける伸度50%以下での最大応力の大きさは、11N/10mm以上であることが重要である。
【0021】
さらにまた、破断時の伸度は、100〜300%(好ましくは100〜250%、さらに好ましくは120〜250%、特に150〜200%)である。破断時の伸度が、300%を超えると手切れ性が低下し、一方、100%未満であると強度が求められる重量物などを結束した場合に、粘着テープが切れる可能性がある。
【0022】
本発明において、粘着テープの応力−歪み曲線は、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの粘着テープを、チャック間距離50mm、引張速度1000mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定することにより得られる。なお、破断応力としては、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力とする。また、破断伸度としては、同様に、一部より亀裂が生じた時点の伸度とする。
【0023】
本発明の粘着テープは、前述のように、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有している。また、前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有している。さらにまた、前記粘着剤層は、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されている。粘着テープは、前記構成を有するとともに、前記物性を満足することができるものであれば、支持基材としてのプラスチックフィルムの組成などは特に限定されない。
【0024】
支持基材としてのプラスチックフィルムの素材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の他、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。プラスチックフィルムの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
プラスチックフィルムの素材としては、ポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、なかでも、片面のみに粘着剤層を有する粘着テープとした際に、支持基材の背面に背面処理を施さなくても粘着テープを巻回させることができるので、ポリエチレン系樹脂が好適である。また、プラスチックフィルムの素材としてポリエチレン系樹脂を用いることにより、粘着テープの応力−歪みの物性を制御しやすくなる。
【0026】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0027】
プラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレン系樹脂のなかでも、特に高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを組み合わせた混合樹脂(混合物)が好適である。すなわち、オレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含んでいることが特に好ましい。このような混合樹脂において、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの割合としては、例えば、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン(重量比)=10〜90/90〜10(好ましくは20〜50/80〜50)の範囲から選択することができる。なお、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.940(g/cm3)以上0.970(g/cm3)以下であるものが好ましく、特に0.950(g/cm3)以上0.965(g/cm3)以下であるものが好ましい。一方、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.880(g/cm3)以上0.930(g/cm3)未満であるものが好ましく、特に0.910(g/cm3)以上0.929(g/cm3)以下であるものが好ましい。なお、これらの密度は、JIS K7112に準拠して測定された値である。
【0028】
プラスチックフィルム中には、各種添加剤[例えば、充填剤(無機系充填剤や有機系充填剤など)、顔料、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤など]が含まれていてもよい。
【0029】
本発明では、支持基材としてのプラスチックフィルムの片面には、幅方向(長手方向に対して垂直方向)に延びた形状の凹凸部が形成されている。この凹凸部の形状としては、特に制限されず、例えば、円錐形状、三角錐形状、四角錐形状、半球状、円柱状、三角柱状、四角柱状などが挙げられる。
【0030】
前記凹凸部は、プラスチックフィルムの幅方向(長手方向に対して垂直方向)に延びたように形成されていれば、どのような状態であってもよい。例えば、凹部の形状が円錐形状、三角錐形状、四角錐形状や半球状の場合、円錐形状、三角錐形状、四角錐形状や半球状の凹部が幅方向に複数形成されて、これらの全体として、幅方向に延びた形状の凹部となっている。また、凹部の形状が円柱状、三角柱状や四角柱状の場合、円柱状、三角柱状や四角柱状の凹部自体が、幅方向に延びた形状となっている。このように、凹凸部は、1つのみで幅方向に延びた形状を有していてもよく、複数が組み合わされたものとして幅方向に延びた形状を有していてもよい。
【0031】
本発明では、凹凸部は、直線状、曲線状(例えば、千鳥状、波状など)に配列していることが好ましく、例えば、図2で示されるように、幅方向に、直線状の凹部が形成された形状が挙げられる。図2は、本発明の粘着テープを構成するプラスチックフィルムの構造の一例を部分的に示す概略図であり、図2(a)は上面から見た平面図、図2(b)は断面図である。図2では、長尺帯状のプラスチックシートの幅方向に、直線状で且つ断面が四角柱状の凹部が施されている。なお、図2において、1はプラスチックフィルム、2は凹部、dは凹部2の幅、Lは凹部2のピッチ間隔、hは凹部2の深さ、Xはプラスチックフィルム1の長手方向、Yはプラスチックフィルム1の幅方向である。
【0032】
凹凸部の大きさ(寸法)としては、特に制限されないが、例えば、凹部の深さ(h)は、0.02〜0.15mm(好ましくは0.04〜0.12mm)程度である。凹部の深さが0.02mm未満であると、粘着テープの手切れ性が低下する場合がある。
【0033】
また、凹部の幅(d)としては、特に制限されず、例えば、0.01〜0.5mm(好ましくは0.01〜0.2mm)程度の範囲から選択することができる。
【0034】
さらにまた、凹部のピッチ間隔(L)としては、特に制限されず、例えば、0.5〜5mm(好ましくは0.6〜1.4mm)程度の範囲から選択することができる。
【0035】
凹凸部の形成方法としては、例えば、溶融状態の樹脂を、凹凸彫刻を施した成形ロールなどに押し当てて、凹凸形状を転写する方法や、プラスチックフィルムを形成後、凹凸形状を有するロールなどを押し当てて形成する方法などが挙げられ、目的とする凹凸部の形状に応じて公知乃至慣用の方法から適宜選択することができる。
【0036】
プラスチックフィルムの表面(片面又は両面)には、コロナ放電処理、下塗り処理、背面処理などの各種の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0037】
プラスチックフィルムの厚み(総厚)としては、特に制限されず、例えば、20〜500μm(好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは70〜150μm)程度の範囲から選択することができる。なお、支持基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。
【0038】
このようなプラスチックフィルムからなる支持基材の少なくとも片面には、粘着剤層が形成されており、該粘着剤層を構成する粘着剤としては、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物が用いられている。この粘着剤組成物中の樹脂成分において、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステル(以下、「カーボネート系ポリエステル」と称する場合がある)としては、分子中に少なくともポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上のポリエステルであれば特に制限されない。また、カーボネート系ポリエステルにおいて、ポリカーボネート構造部の含有割合は特に制限されず、粘着性などに応じて適宜選択することができる。カーボネート系ポリエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
本発明では、カーボネート系ポリエステルにおいて、ポリカーボネート構造部としては、下記式(1)
【化3】
(式中、Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す)
で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
【0040】
なお、前記式(1)において、繰り返し単位の繰り返し度合いは、特に制限されず、目的とするカーボネート系ポリエステルの種類などに応じて適宜選択することができる。
【0041】
式(1)において、Rは、炭素数2〜20の2価の炭化水素基であり、該2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状の2価の炭化水素基であってもよい。
【0042】
Rの2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリレン基などが挙げられ、アルキレン基を好適に用いることができる。Rとしては、アルキレン基が好ましく、アルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン(プロピレン)、メチルエチレン(イソプロピレン)、テトラメチレン(ブチレン)、ヘキサメチレン、3−メチル(ペンタメチレン)、オクタメチレン基などの炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を好適に用いることができる。なお、シクロアルキレン基としては、1,4−シクロヘキシレン基などが挙げられ、アリレン基としては、1,4−フェニレン基などが挙げられる。
【0043】
このようなカーボネート系ポリエステルは、例えば、(ポリ)カーボネートジオール及び/又は(ポリ)カーボネートジカルボン酸を少なくとも用いた縮合反応により得ることができる。より具体的には、カーボネート系ポリエステルとしては、例えば、(ポリ)カーボネートジオールを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルや、(ポリ)カーボネートジカルボン酸を少なくとも含むジカルボン酸成分と、ジオール成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルなどが挙げられる。
【0044】
本発明では、カーボネート系ポリエステルとしては、特に、(ポリ)カーボネートジオールを少なくとも含むジオール成分とジカルボン酸成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルが好適である。(ポリ)カーボネートジオールとしては、例えば、(ポリ)トリメチレンカーボネートジオール、(ポリ)ヘキサメチレンカーボネートジオール、(ポリ)3−メチル(ペンタメチレン)カーボネートジオールや、これらの共重合物などが挙げられる。また、(ポリ)カーボネートジオールとしては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどの多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートとの脱アルコール反応等で得られるポリカーボネートジオールも用いることができる。ジオール成分又は(ポリ)カーボネートジオールは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、(ポリ)カーボネートジオールが、ポリカーボネートジオールである場合、その重合度は特に制限されない。
【0045】
(ポリ)カーボネートジオールの市販品としては、例えば、商品名「PLACCEL CD205」、商品名「PLACCEL CD210」、商品名「PLACCEL CD220」、商品名「PLACCEL CD205PL」、商品名「PLACCEL CD210PL」、商品名「PLACCEL CD220PL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0046】
ジオール成分としては、(ポリ)カーボネートジオールのほか、必要により、他のジオール成分を用いる(併用する)ことも可能である。このようなジオール成分としては、芳香族ジオール成分も用いることができるが、脂肪族ジオール成分や脂環族ジオール成分(特に脂肪族ジオール成分)を好適に用いることができる。このような併用する他のジオール成分も単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
具体的には、ジオール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、ダイマージオール等の側鎖(特に、炭化水素基含有側鎖)を有する脂肪族ジオール成分;エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等の直鎖状の脂肪族ジオール成分;1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール成分などが挙げられる。
【0048】
(ポリ)カーボネートジオールとしては、その使用量は、ジオール成分全量に対して30重量%以上(好ましくは50重量%以上)であることが望ましい。(ポリ)カーボネートジオールの割合が、ジオール成分全量に対して30重量%未満であると、機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。
【0049】
なお、ポリオール成分としては、容易に目的とする分子量のポリマーを得るために、市販のポリエステルジオール成分、ポリエーテルジオール成分、ポリカプロラクトンジオール成分等のポリマー形態のジオール成分(特に、脂肪族系ポリマー形態のジオール成分)などを用いることも可能である。具体的には、ポリエステルジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等のジオール成分と、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸やこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどのジカルボン酸成分又はその誘導体とを、単独若しくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどが挙げられ、市販品としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とのポリエステルジオールである商品名「クラレポリオールP−510」、「クラレポリオールP−1010」、「クラレポリオールP−2010」、「クラレポリオールP−3010」、「クラレポリオールP−5010」[以上、(株)クラレ製]などが挙げられる。
【0050】
ポリエーテルジオール成分としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等が挙げられ、市販品としては、例えば、プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルジオールである商品名「アデカポリエーテルP−400」、「アデカポリエーテルP−1000」、「アデカポリエーテルP−2000」、「アデカポリエーテルP−3000」[以上、旭電化工業(株)製]などが挙げられる。
【0051】
ポリカプロラクトンジオール成分としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられ、市販品としては、例えば、商品名「プラクセルL205AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL220PL」、「プラクセルL230AL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0052】
また、ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸などが挙げられる、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を好適に用いることができる。また、ジカルボン酸成分としては、これらの反応性誘導体も用いることができる。ジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0053】
具体的には、ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;これらの反応性誘導体(酸無水物、低級アルキルエステル等)などが挙げられる。
【0054】
なお、得られるカーボネート系ポリエステルの機械的強度を増すために(又は、耐熱性の向上のために)、3官能以上のポリオール成分や多価カルボン酸成分を少量(例えば10重量%以下)添加することもできる。3価以上の多価ポリオール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコールなどが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸などが挙げられ、また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを用いることも可能である。
【0055】
カーボネート系ポリエステルとしては、(ポリ)カーボネートジオールを必須成分として含むジオール成分と、炭素数2〜20の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸又はその反応性誘導体を必須成分として含むジカルボン酸成分とによるカーボネート系ポリエステルが好適である。
【0056】
カーボネート系ポリエステルは、常法に従い適宜の触媒などを用いてエステル化反応させることにより得ることができる。この反応に際し、ジオール成分とジカルボン酸成分とは、当モル反応とするのが望ましいが、エステル化反応を促進させるために、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。
【0057】
前記触媒としては、一般的な縮合反応に使用される触媒を用いることができ、具体的には、テトラ−n−ブチルチタネート、ジ−n−ブチルチンオキシド、三酸化アンチモンなどの金属化合物などが挙げられる。
【0058】
本発明では、カーボネート系ポリエステルは、凝集力等の観点から、その重量平均分子量が、3万以上(好ましくは5万以上)である。なお、カーボネート系ポリエステルの分子量の上限は特に制限されないが、通常、その重量平均分子量は30万以下(好ましくは10万以下)である。カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量が3万未満であると、凝集力が低下して、耐熱性が低下する。一方、カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量が30万を超えると、粘着テープの製造の際に、粘着剤の粘度が高粘度となり、粘着テープの形成が困難になる場合がある。なお、カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC装置として、GPC装置商品名「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で求めることができる。
GPCの測定条件
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:サンプルカラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKguardcolumn SuperHZ−H」(1本)+東ソー株式会社製の商品名「TSKgel SuperHZM−H」(2本);リファレンスカラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKgel SuperH−RC」(1本)
・検出器:示差屈折計
【0059】
本発明では、カーボネート系ポリエステルを適宜架橋することにより、より一層、耐熱性や耐候性が優れた粘着剤とすることができる。カーボネート系ポリエステルを架橋する際の架橋方法は、特に制限されず任意でよいが、例えば、カーボネート系ポリエステルに含まれるヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を添加して反応させる、いわゆる架橋剤を用いる方法が好適に用いられる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などが挙げられるが、中でもポリイソシアネート化合物が好ましい。架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0060】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などがあり、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0061】
架橋剤の使用量は、架橋すべきカーボネート系ポリエステルとのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的などにより適宜選択される。架橋剤を使用する際は、その使用量は、特に制限されないが、一般的には、カーボネート系ポリエステル100重量部に対し、0.5〜10重量部程度であることが好ましい。
【0062】
また、実質的な架橋剤として、電子線硬化性化合物(多官能モノマー)を用いることができる。該電子線硬化性化合物は、1分子中に複数個の不飽和結合を有する化合物であり、電子線などにより架橋反応を生じさせることが可能である。このような電子線硬化性化合物としては、(メタ)アクリレート系多官能モノマーを好適に用いることができる。該(メタ)アクリレート系多官能モノマーには、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。
【0063】
電子線硬化性化合物(多官能モノマー)の使用量は、前記ポリイソシアネート化合物等の架橋剤と同様に、架橋すべきカーボネート系ポリエステルとのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的などにより適宜選択することができ、電子線硬化性化合物を使用する場合には、一般的には、カーボネート系ポリエステル100重量部に対し、1重量部以上(例えば、1〜20重量部程度)であることが好ましい。
【0064】
本発明では、カーボネート系ポリエステルの架橋により粘着剤としての機能を良好とするためには、カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合(溶剤不溶分)としては、1〜30重量%(好ましくは2〜25重量、さらに好ましくは5〜20重量%)であることが望ましい。すなわち、架橋剤の使用量としては、カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が、1〜30重量%となるような使用量で用いられていることが重要である。カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶分が1重量%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。なお、カーボネート系の架橋処理後の溶剤不溶分が30重量%を超えると、粘着剤層の自着性が低下する。
【0065】
なお、架橋処理後の粘着剤の溶剤不溶分における溶剤(溶剤不溶分を測定する際に用いる溶剤)としては、使用目的などに応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;メチルエチルケトンなどのケトン;エチレングリコールなどのグリコール;プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルなどが挙げられる。
【0066】
本発明において、粘着剤組成物は、樹脂成分の主成分としてカーボネート系ポリエステルを含有している。具体的には、カーボネート系ポリエステルの割合は、例えば、樹脂成分全量に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90〜100重量%)である。
【0067】
なお、粘着剤組成物の樹脂成分としては、カーボネート系ポリエステルとともに、他のポリエステル系粘着剤(すなわち、ポリカーボネート構造部を有さないポリエステル)や、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の樹脂成分として慣用的に用いられている樹脂を用いることができる。
【0068】
本発明における粘着剤組成物には、前記樹脂成分(カーボネート系ポリエステルなど)に加え、従来公知の各種粘着付与剤や、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状物、箔状物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤などの従来公知の各種添加剤を任意に配合できる。
【0069】
本発明の粘着テープは、優れた自着力を有している。具体的には、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成された粘着剤層の自着力(T型剥離力;温度23℃、剥離速度300mm/分)としては、例えば、9N/10mm以上(9〜100N/10mm)、好ましくは10N/10mm以上(10〜100N/10mm)、さらに好ましくは12N/10mm以上(12〜50N/10mm)とすることができる。該自着力(温度23℃、剥離速度300mm/分でのT型剥離力)は、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成された粘着剤層同士を貼り合わせ、雰囲気温度23℃にて、幅10mm、T型剥離、剥離速度300mm/分の条件で剥離した際の粘着力(又は剥離力)を測定することにより、求めることができる。
【0070】
なお、上記の自着力は、粘着剤組成物におけるカーボネート系ポリエステルの種類や架橋剤等の添加剤の種類及び量などを適宜選択して、架橋の程度および溶剤不溶分の程度などをも調整することにより、目的とする大きさにコントロールすることができる。
【0071】
粘着剤層は、支持基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)に粘着剤を直接塗布して、乾燥・硬化する方法や、セパレータ上に粘着剤を塗布し、乾燥・硬化して、上記支持基材に、セパレータ上の粘着剤を転写する方法などにより、片面に凹凸部を有する支持基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を形成することができる。なお、カーボネート系ポリエステルなどの樹脂成分の架橋処理は、粘着テープの製造工程中またはその工程後に適宜行うことができる。
【0072】
また、粘着剤組成物の塗着(塗布)に際しては、慣用の塗布方法を採用することができる。具体的には、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどの慣用のコーターを用いて、粘着剤を塗工することができる。
【0073】
なお、支持基材の片面に粘着剤層を形成する場合、粘着剤層は、支持基材上の凹凸部が形成されていない面に形成してもよく、支持基材上の凹凸部が形成されている面に形成してもよい。本発明では、粘着剤層は、支持基材上の凹凸部が形成されていない面に形成することが好ましく、この場合、支持基材の凹凸部が形成されている面は、ロール状に巻回した粘着テープの剥離面とすることができる。
【0074】
また、支持基材の両面に粘着剤層を形成する場合、支持基材の両面に形成されている粘着剤層は、同一の粘着剤により形成されていてもよく、異なる粘着剤により形成されていてもよい。なお、異なる粘着剤により形成されている場合、いずれか一方の側の粘着剤層が、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成されていれば、他方の側の粘着剤層は、異なる種類のカーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成されていてもよく、他の粘着剤(カーボネート系ポリエステル以外のポリエステルによるポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤など)により形成されていてもよい。
【0075】
粘着剤層の厚み(乾燥後の厚み)としては、特に制限されないが、例えば、1〜200μm(好ましくは5〜180μm、さらに好ましくは10〜150μm)程度の範囲から選択することができる。
【0076】
本発明の粘着テープは、ロール状に巻回した粘着テープとして利用することができる。なお、粘着テープは、支持基材の片面(特に、凹凸部が形成されていない面)のみに粘着剤層を有する粘着テープであってもよく、支持基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。また、粘着剤層の表面は、セパレータにより保護されていてもよく、支持基材の背面処理面により保護されていてもよい。粘着テープを結束用粘着テープとして用いる場合、粘着テープは、通常、支持基材の片面(特に、凹凸部が形成されていない面)のみに粘着剤層が形成された構成を有している。
【0077】
【発明の効果】
本発明の粘着テープによれば、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、高い自着性を有しており、また寸法精度のよい手切れ性を有しており、さらにまた耐熱性および耐候性が優れている。そのため、本発明の粘着テープを用いると、結束作業および結束解除作業における作業性を向上させることができ、また屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に結束用粘着テープとして用いることができる。すなわち、本発明の粘着テープは、作業性と接着の信頼性とを兼ね備えた結束用粘着テープとして好適に用いることができる。
【0078】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、部は重量部を意味する。
(ポリエステルの調製例1)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]200g、無水コハク酸10gを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約9時間反応を続けて、重量平均分子量60,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液A」と称する場合がある)とした。
【0079】
(ポリエステルの調製例2)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]100g、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:56.8KOH mg/g]100g、セバシン酸20.6g、触媒としてジブチル錫オキサイド(DBTO)50mgを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約18時間反応を続けて、重量平均分子量72,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液B」と称する場合がある)とした。
【0080】
(ポリエステルの調製例3)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]200g、セバシン酸19.9gを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約8時間反応を続けて、重量平均分子量20,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度60重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液C」と称する場合がある)とした。
【0081】
(ポリエステルの調製例4)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:56.8KOH mg/g]200g、セバシン酸20.9g、触媒としてジブチル錫オキサイド(DBTO)58mgを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約20時間反応を続けて、重量平均分子量95,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液D」と称する場合がある)とした。
【0082】
また、使用材料として、下記の材料を用いた。
(使用材料)
・低密度ポリエチレン(「LDPE」と称する場合がある)
(1)商品名「スミカセンG201」(住友化学社製;密度0.919g/cm3;「LDPE−1」と称する場合がある)
(2)商品名「スミカセンG401」(住友化学社製;密度0.926g/cm3;「LDPE−2」と称する場合がある)
(3)商品名「スミカセンF102−0」(住友化学社製;密度0.922g/cm3;「LDPE−3」と称する場合がある)
(4)商品名「スミカセンF218−0」(住友化学社製;密度0.919g/cm3;「LDPE−4」と称する場合がある)
・高密度ポリエチレン(「HDPE」と称する場合がある)
(1)商品名「ハイゼックス2200J」(三井化学社製;密度0.964g/cm3;「HDPE−1」と称する場合がある)
(2)商品名「ハイゼックス5000SF」(三井化学社製;密度0.956g/cm3;「HDPE−2」と称する場合がある)
【0083】
(支持基材の作製例)
各材料を、表1に示す割合でドライブレンドし、混合樹脂組成物を調製し、該混合樹脂組成物をダイス温度260℃で押出し成形機を用いて押出してプラスチックフィルムを作製し、該プラスチックフィルムを凹凸彫刻を施したロールに押し当てることにより、総厚0.100mm、凹部(溝)の深さ0.040mm、凹部の幅0.200mm、凹凸部のピッチ間隔(凹部のピッチ間隔)1.000mmの図1で示されるようなプラスチックフィルム(テープ基材)を作製した。このテープ基材(支持基材)の片面(凹部が形成されていない面)に、コロナ放電処理を施して、それぞれ、実施例や比較例で用いる支持基材(それぞれ、「基材A〜G」と称する場合がある)とした。
【0084】
【表1】
【0085】
(実施例1)
ポリエステルの調製例1により得られたポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤として4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名「ミリオネートMT」日本ポリウレタン工業株式会社製)を1.5重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、基材Aのコロナ放電処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で5日間エージングを行い、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製した。
【0086】
また、同様にして、前記粘着剤組成物を、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)上に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0087】
(実施例2)
ポリエステルの調製例1により得られたポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤として4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名「ミリオネートMT」日本ポリウレタン工業株式会社製)を1.5重量部(固形分)、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]を0.5重量部添加し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、基材Bのコロナ放電処理面に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成して、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、PETフィルム上にも塗布して、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0088】
(実施例3)
ポリマー溶液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物および基材Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0089】
(比較例1)
ポリマー溶液Aを、基材Aのコロナ放電処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で5日間エージングを行い、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製した。
【0090】
また、同様にして、ポリマー溶液Aを、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)上に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0091】
(比較例2)
ポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]を3重量部(固形分)添加したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0092】
(比較例3)
ポリマー溶液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0093】
(比較例4)
ポリマー溶液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0094】
(比較例5)
支持基材として、厚さ25μmのポリエステル製フィルム(表面に凹凸部が形成されておらず、平滑な表面を有している)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0095】
(比較例6)
粘着剤組成物として、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー[商品名「カリフレックスTR1117」シェル化学(株)製]100重量部、フェノール系老化防止剤1重量部を、トルエンで固形分濃度50重量%に希釈した溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0096】
(比較例7)
支持基材として、基材Dを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0097】
(比較例8)
支持基材として、基材Eを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0098】
(比較例9)
支持基材として、基材Fを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0099】
(比較例10)
支持基材として、基材Gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0100】
(評価方法)
実施例1〜3および比較例1〜10で得られた粘着テープ(引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープ、溶剤不溶分の測定用のサンプル)について、以下の方法により、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性、溶剤不溶分の測定又は評価を行った。なお、その結果は、表2〜4に示した。
【0101】
(引張特性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅10mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、雰囲気温度23℃(室温)で且つ65%RHの条件下、チャック間距離50mm、引張速度1000mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定した。なお、破断応力は、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力とする。また、破断伸度は、同様に、一部より亀裂が生じた時点の伸度とする。
【0102】
(溶剤不溶分の評価方法)
溶剤不溶分の測定用のサンプルにおける粘着剤層の粘着剤を約0.1gサンプリングして精秤し、約50mlのトルエン中に室温(約23℃)で5日間浸漬した後、溶剤不溶成分を取出し、130℃中で1時間乾燥して、固形分を秤量し、以下の式[Xは溶剤不溶分(重量%)、Yは溶剤不溶成分を乾燥した後の重量(g)、Zはサンプリングした粘着剤の重量(g)である]により、溶剤不溶分(重量%)を算出した。
X(重量%)=(Y/Z)×100
【0103】
(手切れ性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、雰囲気温度23℃にて、素手で長手方向に対して垂直な方向に切断し、これを計5回行って、計5回の手切れ性試験を行った。この5回の手切れ性試験で、5回のうち5回すべてで容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断された場合を「○」とし、5回のうち4回で容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断された場合を「△」とし、5回のうち、容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断できたのが3回以下の場合を「×」として評価した。
【0104】
(タックの評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープにおける粘着面に、室温(23℃)において、親指を短時間(1秒程度)押し付けた後、引き離し、そのときに感じる親指面への抵抗感により、タックのあり・なしを評価した。
【0105】
(自着力の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅10mm、長さ150mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、中央部で折り返し、粘着面同士を2kgローラーを用いて貼り合わせ、雰囲気温度23℃(室温)、貼付け20分経過後、剥離速度300mm/minの条件にて、T型剥離力を測定した。
【0106】
(耐熱性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、ステンレス板(SUS304)に2kgローラーを用いて貼り合わせ、雰囲気温度80℃中で7日間放置した後、手で剥離したときに、ステンレス板の表面の汚染程度を目視にて観測し、下記の評価基準により評価した。
耐熱性の評価基準
○:ステンレス板の表面に、糊残りは全くない。
△:ステンレス板の表面に、一部糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%未満である)。
×:ステンレス板の表面に、かなり糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%以上である)。
【0107】
(耐候性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、ステンレス板(SUS304)に2kgローラーを用いて貼り合わせ、屋外(南向き、最高温度は30℃程度)に30日間暴露させた後、手で剥離したときに、ステンレス板の表面の汚染程度を目視にて観測し、下記の評価基準により評価した。
耐熱性の評価基準
○:ステンレス板の表面に、糊残りは全くない。
△:ステンレス板の表面に、一部糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%未満である)。
×:ステンレス板の表面に、かなり糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%以上である)。
【0108】
なお、表2〜4において、自着力(N/10mm)、耐熱性、耐候性に関する「基材破断」とは、剥離の途中で、粘着テープが基材と共に破断してしまう状態を意味している。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
表2〜4より明らかなように、実施例1〜3に係る粘着テープは、いずれも、室温でタックフリー(非粘着乃至微粘着)でありながら、良好な自着力を有しており、しかも、耐熱性、耐候性に優れ、さらに、手切れ性も優れていることが確認された。
【0113】
一方、比較例に係る粘着テープでは、例えば、比較例5、7〜9に係る粘着テープは手切れ性に劣り、比較例1、3、4、6に係る粘着テープはタックがあり(タックフリーではなく)、比較例1〜4、10に係る粘着テープは自着性に劣り、比較例1、3、4、6、9、10に係る粘着テープは耐熱性や耐候性に劣っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に関する粘着テープについての応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図2】本発明の粘着テープを構成するプラスチックフィルムの構造の一例を部分的に示す概略図であり、図2(a)は上面から見た平面図、図2(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルム
2 凹部
d 凹部2の幅
L 凹部2のピッチ間隔
h 凹部2の深さ
X プラスチックフィルム1の長手方向
Y プラスチックフィルム1の幅方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープに関し、さらに詳細には、室温で非粘着乃至微粘着(タックフリー)でありながら、強固な自着性を有しており、さらに寸法精度のよい手切れ性を有し、また耐候性や耐熱性が良好である粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生野菜、生花、レトルト食品パック、チューブ、ケーブル等の各種物品を結束するための粘着テープとして、粘着面同士の接着力が強い、すなわち、高い自着性を有する粘着剤層を基材の片面に設けた結束用粘着テープが提案されている。このような結束用粘着テープに用いられる自着性のある粘着剤層における粘着剤としては、例えば、天然ゴムや合成ゴムなどに粘着付与剤、軟化剤等を配合した粘着剤が知られている(特許文献1〜特許文献2参照)。しかし、このような天然ゴムや合成ゴムを用いた粘着剤(ゴム系粘着剤)は、耐候性や耐熱性に劣るため、工業材料のように屋外で使用される用途や、長期信頼性が必要とされる用途には使用されていない。
【0003】
また、前述のようなゴム系粘着剤は、タック(粘着性)を有しているため、結束の前後で、粘着テープが手指、物品などに付着するという問題もあった。そこで、この問題を改善するため、粘着剤として、ポリウレタン系粘着剤やポリエステル系粘着剤を使用したものが各種開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、従来の結束用粘着テープでは、粘着剤層によるタック性の改善については考慮されているが、耐熱性については考慮されていない。
【0004】
一方、結束用粘着テープに用いられている基材としては、結束が解けないように、耐水性や強度に優れたプラスチックフィルムが広く使用されており、例えば、ポリエステルフィルムなどが使用されている(特許文献3参照)。従って、結束用粘着テープを手で切るのは困難であり、結束時や結束を解く時に結束用粘着テープを切断する際には、ハサミやナイフなどの切断工具が用いられている。しかしながら、切断工具を用いると、特に結束を解く時に、結束物を傷つける可能性がある。また、切断工具を用意し使用するという作業の煩雑さが伴われるため、容易に手で切断できる結束用粘着テープが望まれていた。そこで、最近では、基材に加工を施し、手切れ性を改善した結束用粘着テープも開示されている(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭54−96539号公報
【特許文献2】
特開昭56−26968号公報
【特許文献3】
特開2001−316646号公報
【特許文献4】
特開2001−354923号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような従来の結束用粘着テープ(特開2001−354923号公報に記載されている結束用粘着テープ)では、基材としてポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルム等のような裂け易いフィルムの端部のみにスリット加工が施されており、そのため、手で切断した時の裂け方が不均一であり、例えば、切り口が斜めになったり、ギザギザになったりして、見栄えが悪くなる問題がある。しかも、この結束用粘着テープで使用されている粘着剤は、ゴム系粘着剤であり、耐熱性や耐候性が低く、さらには、結束の前後で、粘着テープが、作業を行っている人の手指や、結束する物品などに付着するという問題が改善されていない。このように、いまだに、結束する作業(結束作業)と、結束を解く作業(結束解除作業)とのいずれの作業でも、簡便に行うことができ、さらに、耐熱性や耐候性に優れる結束用粘着テープは存在していない。
【0007】
従って、本発明の目的は、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、高い自着性を有しており、また寸法精度のよい手切れ性を有しており、さらにまた耐熱性および耐候性が優れている粘着テープを提供することにある。
本発明の他の目的は、結束作業および結束解除作業における作業性を向上させることができ、また屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に結束用粘着テープとして適用できる粘着テープを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、支持基材として表面に凹凸形状を有するプラスチックフィルムを用いるとともに、粘着剤層を構成する粘着剤として特定の粘着剤組成物を用い、さらに支持基材の表面に凹凸形状を有する粘着テープの応力と歪みとの関係に関する物性を規定することにより、強固な自着性を有し、また優れた耐熱性および耐候性を有しており、結束用粘着テープとして用いた場合、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、寸法精度のよい手切れ性で切断することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有し、且つ前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているとともに、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴とする粘着テープである。ことが好ましい。
【0010】
前記粘着テープにおいて、ポリエステルにおけるポリカーボネート構造部が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
【化2】
(式中、Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す)
【0011】
また、前記ポリエステルは、架橋処理されており、粘着剤層における粘着剤の溶剤不溶分は1重量%以上30重量%未満であり、且つ粘着剤層の自着力(温度23℃、剥離速度300mm/分でのT型剥離力)は、9N/10mm以上であることが好ましい。
【0012】
前記粘着テープは、伸度50%以下での最大応力が11N/10mm以上であることが好ましい。また、プラスチックフィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープは、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴としている。また、本発明の粘着テープとしては、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有しており、前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有し、且つ前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されていることが重要である。本発明の粘着テープは、上記構成を有しているので、優れた手切れ性を有している。そのため、ハサミやナイフ等の切断工具を用いて粘着テープを切断しなくてもよく、手により容易に且つ安全に、しかも寸法精度よく切断することができる。また、長手方向に対して垂直方向に延びている凹凸部の形状に応じた裂け方で、手で容易に切断することができるので、手で切断する際の裂け方をコントロールすることができ、手で切断時の裂け方の見栄えを良好とすることができる。従って、結束解除作業時に、切断工具により被着体を傷つけることを防止することができ、粘着テープの切断時の作業性を大きく向上できる。
【0014】
しかも、粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているので、室温(20〜25℃、特に23℃)では、非粘着乃至微粘着(タックフリー)でありながら、強固な自着性を有している。そのため、結束時には、手指や物品への付着を防止しつつ、高い自着性により強固に結束させることができる。
【0015】
従って、本発明の粘着テープを用いると、結束作業および結束解除作業のいずれの作業も、簡便に行うことができる。
【0016】
さらに、粘着剤層は、前記粘着剤組成物により形成されているので、耐熱性や耐候性が優れており(特に、ポリエステルが、架橋処理されており、粘着剤層における粘着剤の溶剤不溶分が1重量%以上30重量%未満であると、耐熱性や耐候性がより一層優れており)、良好な結束状態を長期間にわたり保持することができる。従って、屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に用いることができる。
【0017】
以下に、本発明の粘着テープを、必要に応じて応力−歪み曲線を用いて、具体的に説明する。図1は、本発明の粘着テープに関する応力−歪み曲線の一例を示すグラフである。この応力−歪み曲線では、縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である。図1に係る応力−歪み曲線では、引張伸度が0から50%程度の間で大きくなるにつれて、急激に応力が上昇し、その後、引張伸度の増加とともに、応力は徐々に減少し、引張伸度が150%程度で、粘着テープが破断している。このように、本発明では、(1)伸度50%以下での最大応力が、破断時の応力よりも大きいこと、(2)破断時の伸度が100〜300%であることが重要である。
【0018】
なお、図1に係る応力−歪み曲線では、伸度が50%以下の範囲で、応力が顕著なピークを有しているが、顕著なピークを有していなくてもよい。また、図1に係る応力−歪み曲線では、応力は、ピーク(又は最大値)となった後は、伸度の増加とともに徐々に減少しているが、ほぼ一定の値を維持していてもよい。
【0019】
本発明では、伸度50%以下での最大応力としては、破断時の応力よりも大きければ、伸度50%以下での最大応力と、破断時の応力との差や比は特に制限されない。伸度50%以下での最大応力と破断時の応力との差としては、例えば、[(伸度50%以下での最大応力)−(破断時の応力)]=0.1N/10mm以上(例えば、0.1〜7N/10mm、好ましくは0.5〜5N/10mm、さらに好ましくは1〜3N/10mm)であることが望ましい。なお、伸度50%以下での最大応力としては、破断時の応力よりも小さければ、手切れ性が低下する。
【0020】
また、伸度50%以下での最大応力の大きさ(絶対値)としては、特に制限されないが、例えば、11N/10mm以上(例えば、11〜25N/10mm、好ましくは12〜25N/10mm、さらに好ましくは13〜25N/10mm)であることが望ましい。伸度50%以下での最大応力の大きさが11N/10mm未満であると、強度が求められる重量物などを結束した場合に、粘着テープが切れやすくなる。このように、粘着テープの強度と、手切れ性との観点から、粘着テープにおける伸度50%以下での最大応力の大きさは、11N/10mm以上であることが重要である。
【0021】
さらにまた、破断時の伸度は、100〜300%(好ましくは100〜250%、さらに好ましくは120〜250%、特に150〜200%)である。破断時の伸度が、300%を超えると手切れ性が低下し、一方、100%未満であると強度が求められる重量物などを結束した場合に、粘着テープが切れる可能性がある。
【0022】
本発明において、粘着テープの応力−歪み曲線は、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの粘着テープを、チャック間距離50mm、引張速度1000mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定することにより得られる。なお、破断応力としては、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力とする。また、破断伸度としては、同様に、一部より亀裂が生じた時点の伸度とする。
【0023】
本発明の粘着テープは、前述のように、プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有している。また、前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有している。さらにまた、前記粘着剤層は、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されている。粘着テープは、前記構成を有するとともに、前記物性を満足することができるものであれば、支持基材としてのプラスチックフィルムの組成などは特に限定されない。
【0024】
支持基材としてのプラスチックフィルムの素材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の他、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。プラスチックフィルムの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
プラスチックフィルムの素材としては、ポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、なかでも、片面のみに粘着剤層を有する粘着テープとした際に、支持基材の背面に背面処理を施さなくても粘着テープを巻回させることができるので、ポリエチレン系樹脂が好適である。また、プラスチックフィルムの素材としてポリエチレン系樹脂を用いることにより、粘着テープの応力−歪みの物性を制御しやすくなる。
【0026】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0027】
プラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレン系樹脂のなかでも、特に高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを組み合わせた混合樹脂(混合物)が好適である。すなわち、オレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含んでいることが特に好ましい。このような混合樹脂において、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの割合としては、例えば、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン(重量比)=10〜90/90〜10(好ましくは20〜50/80〜50)の範囲から選択することができる。なお、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.940(g/cm3)以上0.970(g/cm3)以下であるものが好ましく、特に0.950(g/cm3)以上0.965(g/cm3)以下であるものが好ましい。一方、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.880(g/cm3)以上0.930(g/cm3)未満であるものが好ましく、特に0.910(g/cm3)以上0.929(g/cm3)以下であるものが好ましい。なお、これらの密度は、JIS K7112に準拠して測定された値である。
【0028】
プラスチックフィルム中には、各種添加剤[例えば、充填剤(無機系充填剤や有機系充填剤など)、顔料、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤など]が含まれていてもよい。
【0029】
本発明では、支持基材としてのプラスチックフィルムの片面には、幅方向(長手方向に対して垂直方向)に延びた形状の凹凸部が形成されている。この凹凸部の形状としては、特に制限されず、例えば、円錐形状、三角錐形状、四角錐形状、半球状、円柱状、三角柱状、四角柱状などが挙げられる。
【0030】
前記凹凸部は、プラスチックフィルムの幅方向(長手方向に対して垂直方向)に延びたように形成されていれば、どのような状態であってもよい。例えば、凹部の形状が円錐形状、三角錐形状、四角錐形状や半球状の場合、円錐形状、三角錐形状、四角錐形状や半球状の凹部が幅方向に複数形成されて、これらの全体として、幅方向に延びた形状の凹部となっている。また、凹部の形状が円柱状、三角柱状や四角柱状の場合、円柱状、三角柱状や四角柱状の凹部自体が、幅方向に延びた形状となっている。このように、凹凸部は、1つのみで幅方向に延びた形状を有していてもよく、複数が組み合わされたものとして幅方向に延びた形状を有していてもよい。
【0031】
本発明では、凹凸部は、直線状、曲線状(例えば、千鳥状、波状など)に配列していることが好ましく、例えば、図2で示されるように、幅方向に、直線状の凹部が形成された形状が挙げられる。図2は、本発明の粘着テープを構成するプラスチックフィルムの構造の一例を部分的に示す概略図であり、図2(a)は上面から見た平面図、図2(b)は断面図である。図2では、長尺帯状のプラスチックシートの幅方向に、直線状で且つ断面が四角柱状の凹部が施されている。なお、図2において、1はプラスチックフィルム、2は凹部、dは凹部2の幅、Lは凹部2のピッチ間隔、hは凹部2の深さ、Xはプラスチックフィルム1の長手方向、Yはプラスチックフィルム1の幅方向である。
【0032】
凹凸部の大きさ(寸法)としては、特に制限されないが、例えば、凹部の深さ(h)は、0.02〜0.15mm(好ましくは0.04〜0.12mm)程度である。凹部の深さが0.02mm未満であると、粘着テープの手切れ性が低下する場合がある。
【0033】
また、凹部の幅(d)としては、特に制限されず、例えば、0.01〜0.5mm(好ましくは0.01〜0.2mm)程度の範囲から選択することができる。
【0034】
さらにまた、凹部のピッチ間隔(L)としては、特に制限されず、例えば、0.5〜5mm(好ましくは0.6〜1.4mm)程度の範囲から選択することができる。
【0035】
凹凸部の形成方法としては、例えば、溶融状態の樹脂を、凹凸彫刻を施した成形ロールなどに押し当てて、凹凸形状を転写する方法や、プラスチックフィルムを形成後、凹凸形状を有するロールなどを押し当てて形成する方法などが挙げられ、目的とする凹凸部の形状に応じて公知乃至慣用の方法から適宜選択することができる。
【0036】
プラスチックフィルムの表面(片面又は両面)には、コロナ放電処理、下塗り処理、背面処理などの各種の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0037】
プラスチックフィルムの厚み(総厚)としては、特に制限されず、例えば、20〜500μm(好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは70〜150μm)程度の範囲から選択することができる。なお、支持基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。
【0038】
このようなプラスチックフィルムからなる支持基材の少なくとも片面には、粘着剤層が形成されており、該粘着剤層を構成する粘着剤としては、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物が用いられている。この粘着剤組成物中の樹脂成分において、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステル(以下、「カーボネート系ポリエステル」と称する場合がある)としては、分子中に少なくともポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上のポリエステルであれば特に制限されない。また、カーボネート系ポリエステルにおいて、ポリカーボネート構造部の含有割合は特に制限されず、粘着性などに応じて適宜選択することができる。カーボネート系ポリエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
本発明では、カーボネート系ポリエステルにおいて、ポリカーボネート構造部としては、下記式(1)
【化3】
(式中、Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す)
で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
【0040】
なお、前記式(1)において、繰り返し単位の繰り返し度合いは、特に制限されず、目的とするカーボネート系ポリエステルの種類などに応じて適宜選択することができる。
【0041】
式(1)において、Rは、炭素数2〜20の2価の炭化水素基であり、該2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状の2価の炭化水素基であってもよい。
【0042】
Rの2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリレン基などが挙げられ、アルキレン基を好適に用いることができる。Rとしては、アルキレン基が好ましく、アルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン(プロピレン)、メチルエチレン(イソプロピレン)、テトラメチレン(ブチレン)、ヘキサメチレン、3−メチル(ペンタメチレン)、オクタメチレン基などの炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を好適に用いることができる。なお、シクロアルキレン基としては、1,4−シクロヘキシレン基などが挙げられ、アリレン基としては、1,4−フェニレン基などが挙げられる。
【0043】
このようなカーボネート系ポリエステルは、例えば、(ポリ)カーボネートジオール及び/又は(ポリ)カーボネートジカルボン酸を少なくとも用いた縮合反応により得ることができる。より具体的には、カーボネート系ポリエステルとしては、例えば、(ポリ)カーボネートジオールを少なくとも含むジオール成分と、ジカルボン酸成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルや、(ポリ)カーボネートジカルボン酸を少なくとも含むジカルボン酸成分と、ジオール成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルなどが挙げられる。
【0044】
本発明では、カーボネート系ポリエステルとしては、特に、(ポリ)カーボネートジオールを少なくとも含むジオール成分とジカルボン酸成分とから合成されるカーボネート系ポリエステルが好適である。(ポリ)カーボネートジオールとしては、例えば、(ポリ)トリメチレンカーボネートジオール、(ポリ)ヘキサメチレンカーボネートジオール、(ポリ)3−メチル(ペンタメチレン)カーボネートジオールや、これらの共重合物などが挙げられる。また、(ポリ)カーボネートジオールとしては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどの多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートとの脱アルコール反応等で得られるポリカーボネートジオールも用いることができる。ジオール成分又は(ポリ)カーボネートジオールは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、(ポリ)カーボネートジオールが、ポリカーボネートジオールである場合、その重合度は特に制限されない。
【0045】
(ポリ)カーボネートジオールの市販品としては、例えば、商品名「PLACCEL CD205」、商品名「PLACCEL CD210」、商品名「PLACCEL CD220」、商品名「PLACCEL CD205PL」、商品名「PLACCEL CD210PL」、商品名「PLACCEL CD220PL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0046】
ジオール成分としては、(ポリ)カーボネートジオールのほか、必要により、他のジオール成分を用いる(併用する)ことも可能である。このようなジオール成分としては、芳香族ジオール成分も用いることができるが、脂肪族ジオール成分や脂環族ジオール成分(特に脂肪族ジオール成分)を好適に用いることができる。このような併用する他のジオール成分も単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
具体的には、ジオール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、ダイマージオール等の側鎖(特に、炭化水素基含有側鎖)を有する脂肪族ジオール成分;エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等の直鎖状の脂肪族ジオール成分;1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール成分などが挙げられる。
【0048】
(ポリ)カーボネートジオールとしては、その使用量は、ジオール成分全量に対して30重量%以上(好ましくは50重量%以上)であることが望ましい。(ポリ)カーボネートジオールの割合が、ジオール成分全量に対して30重量%未満であると、機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。
【0049】
なお、ポリオール成分としては、容易に目的とする分子量のポリマーを得るために、市販のポリエステルジオール成分、ポリエーテルジオール成分、ポリカプロラクトンジオール成分等のポリマー形態のジオール成分(特に、脂肪族系ポリマー形態のジオール成分)などを用いることも可能である。具体的には、ポリエステルジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等のジオール成分と、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸やこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどのジカルボン酸成分又はその誘導体とを、単独若しくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどが挙げられ、市販品としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とのポリエステルジオールである商品名「クラレポリオールP−510」、「クラレポリオールP−1010」、「クラレポリオールP−2010」、「クラレポリオールP−3010」、「クラレポリオールP−5010」[以上、(株)クラレ製]などが挙げられる。
【0050】
ポリエーテルジオール成分としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等が挙げられ、市販品としては、例えば、プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルジオールである商品名「アデカポリエーテルP−400」、「アデカポリエーテルP−1000」、「アデカポリエーテルP−2000」、「アデカポリエーテルP−3000」[以上、旭電化工業(株)製]などが挙げられる。
【0051】
ポリカプロラクトンジオール成分としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられ、市販品としては、例えば、商品名「プラクセルL205AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL220PL」、「プラクセルL230AL」[以上、ダイセル化学工業(株)製]などが挙げられる。
【0052】
また、ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸などが挙げられる、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を好適に用いることができる。また、ジカルボン酸成分としては、これらの反応性誘導体も用いることができる。ジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0053】
具体的には、ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;これらの反応性誘導体(酸無水物、低級アルキルエステル等)などが挙げられる。
【0054】
なお、得られるカーボネート系ポリエステルの機械的強度を増すために(又は、耐熱性の向上のために)、3官能以上のポリオール成分や多価カルボン酸成分を少量(例えば10重量%以下)添加することもできる。3価以上の多価ポリオール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコールなどが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸などが挙げられ、また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを用いることも可能である。
【0055】
カーボネート系ポリエステルとしては、(ポリ)カーボネートジオールを必須成分として含むジオール成分と、炭素数2〜20の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸又はその反応性誘導体を必須成分として含むジカルボン酸成分とによるカーボネート系ポリエステルが好適である。
【0056】
カーボネート系ポリエステルは、常法に従い適宜の触媒などを用いてエステル化反応させることにより得ることができる。この反応に際し、ジオール成分とジカルボン酸成分とは、当モル反応とするのが望ましいが、エステル化反応を促進させるために、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。
【0057】
前記触媒としては、一般的な縮合反応に使用される触媒を用いることができ、具体的には、テトラ−n−ブチルチタネート、ジ−n−ブチルチンオキシド、三酸化アンチモンなどの金属化合物などが挙げられる。
【0058】
本発明では、カーボネート系ポリエステルは、凝集力等の観点から、その重量平均分子量が、3万以上(好ましくは5万以上)である。なお、カーボネート系ポリエステルの分子量の上限は特に制限されないが、通常、その重量平均分子量は30万以下(好ましくは10万以下)である。カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量が3万未満であると、凝集力が低下して、耐熱性が低下する。一方、カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量が30万を超えると、粘着テープの製造の際に、粘着剤の粘度が高粘度となり、粘着テープの形成が困難になる場合がある。なお、カーボネート系ポリエステルの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC装置として、GPC装置商品名「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で求めることができる。
GPCの測定条件
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:サンプルカラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKguardcolumn SuperHZ−H」(1本)+東ソー株式会社製の商品名「TSKgel SuperHZM−H」(2本);リファレンスカラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKgel SuperH−RC」(1本)
・検出器:示差屈折計
【0059】
本発明では、カーボネート系ポリエステルを適宜架橋することにより、より一層、耐熱性や耐候性が優れた粘着剤とすることができる。カーボネート系ポリエステルを架橋する際の架橋方法は、特に制限されず任意でよいが、例えば、カーボネート系ポリエステルに含まれるヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を添加して反応させる、いわゆる架橋剤を用いる方法が好適に用いられる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などが挙げられるが、中でもポリイソシアネート化合物が好ましい。架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0060】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などがあり、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0061】
架橋剤の使用量は、架橋すべきカーボネート系ポリエステルとのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的などにより適宜選択される。架橋剤を使用する際は、その使用量は、特に制限されないが、一般的には、カーボネート系ポリエステル100重量部に対し、0.5〜10重量部程度であることが好ましい。
【0062】
また、実質的な架橋剤として、電子線硬化性化合物(多官能モノマー)を用いることができる。該電子線硬化性化合物は、1分子中に複数個の不飽和結合を有する化合物であり、電子線などにより架橋反応を生じさせることが可能である。このような電子線硬化性化合物としては、(メタ)アクリレート系多官能モノマーを好適に用いることができる。該(メタ)アクリレート系多官能モノマーには、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。
【0063】
電子線硬化性化合物(多官能モノマー)の使用量は、前記ポリイソシアネート化合物等の架橋剤と同様に、架橋すべきカーボネート系ポリエステルとのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的などにより適宜選択することができ、電子線硬化性化合物を使用する場合には、一般的には、カーボネート系ポリエステル100重量部に対し、1重量部以上(例えば、1〜20重量部程度)であることが好ましい。
【0064】
本発明では、カーボネート系ポリエステルの架橋により粘着剤としての機能を良好とするためには、カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合(溶剤不溶分)としては、1〜30重量%(好ましくは2〜25重量、さらに好ましくは5〜20重量%)であることが望ましい。すなわち、架橋剤の使用量としては、カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶成分の割合が、1〜30重量%となるような使用量で用いられていることが重要である。カーボネート系ポリエステルの架橋処理後の溶剤不溶分が1重量%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。なお、カーボネート系の架橋処理後の溶剤不溶分が30重量%を超えると、粘着剤層の自着性が低下する。
【0065】
なお、架橋処理後の粘着剤の溶剤不溶分における溶剤(溶剤不溶分を測定する際に用いる溶剤)としては、使用目的などに応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;酢酸エチルなどのエステル;メチルエチルケトンなどのケトン;エチレングリコールなどのグリコール;プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルなどが挙げられる。
【0066】
本発明において、粘着剤組成物は、樹脂成分の主成分としてカーボネート系ポリエステルを含有している。具体的には、カーボネート系ポリエステルの割合は、例えば、樹脂成分全量に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90〜100重量%)である。
【0067】
なお、粘着剤組成物の樹脂成分としては、カーボネート系ポリエステルとともに、他のポリエステル系粘着剤(すなわち、ポリカーボネート構造部を有さないポリエステル)や、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の樹脂成分として慣用的に用いられている樹脂を用いることができる。
【0068】
本発明における粘着剤組成物には、前記樹脂成分(カーボネート系ポリエステルなど)に加え、従来公知の各種粘着付与剤や、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状物、箔状物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤などの従来公知の各種添加剤を任意に配合できる。
【0069】
本発明の粘着テープは、優れた自着力を有している。具体的には、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成された粘着剤層の自着力(T型剥離力;温度23℃、剥離速度300mm/分)としては、例えば、9N/10mm以上(9〜100N/10mm)、好ましくは10N/10mm以上(10〜100N/10mm)、さらに好ましくは12N/10mm以上(12〜50N/10mm)とすることができる。該自着力(温度23℃、剥離速度300mm/分でのT型剥離力)は、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成された粘着剤層同士を貼り合わせ、雰囲気温度23℃にて、幅10mm、T型剥離、剥離速度300mm/分の条件で剥離した際の粘着力(又は剥離力)を測定することにより、求めることができる。
【0070】
なお、上記の自着力は、粘着剤組成物におけるカーボネート系ポリエステルの種類や架橋剤等の添加剤の種類及び量などを適宜選択して、架橋の程度および溶剤不溶分の程度などをも調整することにより、目的とする大きさにコントロールすることができる。
【0071】
粘着剤層は、支持基材の少なくとも一方の面(片面又は両面)に粘着剤を直接塗布して、乾燥・硬化する方法や、セパレータ上に粘着剤を塗布し、乾燥・硬化して、上記支持基材に、セパレータ上の粘着剤を転写する方法などにより、片面に凹凸部を有する支持基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を形成することができる。なお、カーボネート系ポリエステルなどの樹脂成分の架橋処理は、粘着テープの製造工程中またはその工程後に適宜行うことができる。
【0072】
また、粘着剤組成物の塗着(塗布)に際しては、慣用の塗布方法を採用することができる。具体的には、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどの慣用のコーターを用いて、粘着剤を塗工することができる。
【0073】
なお、支持基材の片面に粘着剤層を形成する場合、粘着剤層は、支持基材上の凹凸部が形成されていない面に形成してもよく、支持基材上の凹凸部が形成されている面に形成してもよい。本発明では、粘着剤層は、支持基材上の凹凸部が形成されていない面に形成することが好ましく、この場合、支持基材の凹凸部が形成されている面は、ロール状に巻回した粘着テープの剥離面とすることができる。
【0074】
また、支持基材の両面に粘着剤層を形成する場合、支持基材の両面に形成されている粘着剤層は、同一の粘着剤により形成されていてもよく、異なる粘着剤により形成されていてもよい。なお、異なる粘着剤により形成されている場合、いずれか一方の側の粘着剤層が、カーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成されていれば、他方の側の粘着剤層は、異なる種類のカーボネート系ポリエステルによる粘着剤により形成されていてもよく、他の粘着剤(カーボネート系ポリエステル以外のポリエステルによるポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤など)により形成されていてもよい。
【0075】
粘着剤層の厚み(乾燥後の厚み)としては、特に制限されないが、例えば、1〜200μm(好ましくは5〜180μm、さらに好ましくは10〜150μm)程度の範囲から選択することができる。
【0076】
本発明の粘着テープは、ロール状に巻回した粘着テープとして利用することができる。なお、粘着テープは、支持基材の片面(特に、凹凸部が形成されていない面)のみに粘着剤層を有する粘着テープであってもよく、支持基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。また、粘着剤層の表面は、セパレータにより保護されていてもよく、支持基材の背面処理面により保護されていてもよい。粘着テープを結束用粘着テープとして用いる場合、粘着テープは、通常、支持基材の片面(特に、凹凸部が形成されていない面)のみに粘着剤層が形成された構成を有している。
【0077】
【発明の効果】
本発明の粘着テープによれば、結束時における手指や物品への付着を防止することができるとともに、高い自着性を有しており、また寸法精度のよい手切れ性を有しており、さらにまた耐熱性および耐候性が優れている。そのため、本発明の粘着テープを用いると、結束作業および結束解除作業における作業性を向上させることができ、また屋外での使用用途や長期信頼性が重要な用途でも好適に結束用粘着テープとして用いることができる。すなわち、本発明の粘着テープは、作業性と接着の信頼性とを兼ね備えた結束用粘着テープとして好適に用いることができる。
【0078】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、部は重量部を意味する。
(ポリエステルの調製例1)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]200g、無水コハク酸10gを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約9時間反応を続けて、重量平均分子量60,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液A」と称する場合がある)とした。
【0079】
(ポリエステルの調製例2)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]100g、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:56.8KOH mg/g]100g、セバシン酸20.6g、触媒としてジブチル錫オキサイド(DBTO)50mgを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約18時間反応を続けて、重量平均分子量72,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液B」と称する場合がある)とした。
【0080】
(ポリエステルの調製例3)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール[商品名「PLACCEL CD220PL」ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:55.1KOHmg/g]200g、セバシン酸19.9gを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約8時間反応を続けて、重量平均分子量20,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度60重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液C」と称する場合がある)とした。
【0081】
(ポリエステルの調製例4)
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリエステルポリオール[(株)クラレ製の「クラレポリオールP−2010」;水酸基価:56.8KOH mg/g]200g、セバシン酸20.9g、触媒としてジブチル錫オキサイド(DBTO)58mgを仕込み、反応副生成物排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約20時間反応を続けて、重量平均分子量95,000となる透明液状のポリエステルを得た。このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈しポリマー溶液(「ポリマー溶液D」と称する場合がある)とした。
【0082】
また、使用材料として、下記の材料を用いた。
(使用材料)
・低密度ポリエチレン(「LDPE」と称する場合がある)
(1)商品名「スミカセンG201」(住友化学社製;密度0.919g/cm3;「LDPE−1」と称する場合がある)
(2)商品名「スミカセンG401」(住友化学社製;密度0.926g/cm3;「LDPE−2」と称する場合がある)
(3)商品名「スミカセンF102−0」(住友化学社製;密度0.922g/cm3;「LDPE−3」と称する場合がある)
(4)商品名「スミカセンF218−0」(住友化学社製;密度0.919g/cm3;「LDPE−4」と称する場合がある)
・高密度ポリエチレン(「HDPE」と称する場合がある)
(1)商品名「ハイゼックス2200J」(三井化学社製;密度0.964g/cm3;「HDPE−1」と称する場合がある)
(2)商品名「ハイゼックス5000SF」(三井化学社製;密度0.956g/cm3;「HDPE−2」と称する場合がある)
【0083】
(支持基材の作製例)
各材料を、表1に示す割合でドライブレンドし、混合樹脂組成物を調製し、該混合樹脂組成物をダイス温度260℃で押出し成形機を用いて押出してプラスチックフィルムを作製し、該プラスチックフィルムを凹凸彫刻を施したロールに押し当てることにより、総厚0.100mm、凹部(溝)の深さ0.040mm、凹部の幅0.200mm、凹凸部のピッチ間隔(凹部のピッチ間隔)1.000mmの図1で示されるようなプラスチックフィルム(テープ基材)を作製した。このテープ基材(支持基材)の片面(凹部が形成されていない面)に、コロナ放電処理を施して、それぞれ、実施例や比較例で用いる支持基材(それぞれ、「基材A〜G」と称する場合がある)とした。
【0084】
【表1】
【0085】
(実施例1)
ポリエステルの調製例1により得られたポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤として4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名「ミリオネートMT」日本ポリウレタン工業株式会社製)を1.5重量部(固形分)添加し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、基材Aのコロナ放電処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で5日間エージングを行い、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製した。
【0086】
また、同様にして、前記粘着剤組成物を、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)上に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0087】
(実施例2)
ポリエステルの調製例1により得られたポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤として4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名「ミリオネートMT」日本ポリウレタン工業株式会社製)を1.5重量部(固形分)、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]を0.5重量部添加し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、基材Bのコロナ放電処理面に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成して、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、PETフィルム上にも塗布して、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0088】
(実施例3)
ポリマー溶液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物および基材Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0089】
(比較例1)
ポリマー溶液Aを、基材Aのコロナ放電処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で5日間エージングを行い、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製した。
【0090】
また、同様にして、ポリマー溶液Aを、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)上に塗布し、乾燥後の厚さが50μmの粘着剤層を形成し、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0091】
(比較例2)
ポリマー溶液A:100重量部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]を3重量部(固形分)添加したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0092】
(比較例3)
ポリマー溶液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0093】
(比較例4)
ポリマー溶液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、さらに、該粘着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0094】
(比較例5)
支持基材として、厚さ25μmのポリエステル製フィルム(表面に凹凸部が形成されておらず、平滑な表面を有している)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0095】
(比較例6)
粘着剤組成物として、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー[商品名「カリフレックスTR1117」シェル化学(株)製]100重量部、フェノール系老化防止剤1重量部を、トルエンで固形分濃度50重量%に希釈した溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0096】
(比較例7)
支持基材として、基材Dを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0097】
(比較例8)
支持基材として、基材Eを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0098】
(比較例9)
支持基材として、基材Fを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0099】
(比較例10)
支持基材として、基材Gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを作製するとともに、溶剤不溶分の測定用のサンプルを作製した。
【0100】
(評価方法)
実施例1〜3および比較例1〜10で得られた粘着テープ(引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープ、溶剤不溶分の測定用のサンプル)について、以下の方法により、引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性、溶剤不溶分の測定又は評価を行った。なお、その結果は、表2〜4に示した。
【0101】
(引張特性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅10mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、雰囲気温度23℃(室温)で且つ65%RHの条件下、チャック間距離50mm、引張速度1000mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定した。なお、破断応力は、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力とする。また、破断伸度は、同様に、一部より亀裂が生じた時点の伸度とする。
【0102】
(溶剤不溶分の評価方法)
溶剤不溶分の測定用のサンプルにおける粘着剤層の粘着剤を約0.1gサンプリングして精秤し、約50mlのトルエン中に室温(約23℃)で5日間浸漬した後、溶剤不溶成分を取出し、130℃中で1時間乾燥して、固形分を秤量し、以下の式[Xは溶剤不溶分(重量%)、Yは溶剤不溶成分を乾燥した後の重量(g)、Zはサンプリングした粘着剤の重量(g)である]により、溶剤不溶分(重量%)を算出した。
X(重量%)=(Y/Z)×100
【0103】
(手切れ性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、雰囲気温度23℃にて、素手で長手方向に対して垂直な方向に切断し、これを計5回行って、計5回の手切れ性試験を行った。この5回の手切れ性試験で、5回のうち5回すべてで容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断された場合を「○」とし、5回のうち4回で容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断された場合を「△」とし、5回のうち、容易に且つ切断方向が長手方向に対して垂直な方向に綺麗に切断できたのが3回以下の場合を「×」として評価した。
【0104】
(タックの評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープにおける粘着面に、室温(23℃)において、親指を短時間(1秒程度)押し付けた後、引き離し、そのときに感じる親指面への抵抗感により、タックのあり・なしを評価した。
【0105】
(自着力の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅10mm、長さ150mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、中央部で折り返し、粘着面同士を2kgローラーを用いて貼り合わせ、雰囲気温度23℃(室温)、貼付け20分経過後、剥離速度300mm/minの条件にて、T型剥離力を測定した。
【0106】
(耐熱性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、ステンレス板(SUS304)に2kgローラーを用いて貼り合わせ、雰囲気温度80℃中で7日間放置した後、手で剥離したときに、ステンレス板の表面の汚染程度を目視にて観測し、下記の評価基準により評価した。
耐熱性の評価基準
○:ステンレス板の表面に、糊残りは全くない。
△:ステンレス板の表面に、一部糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%未満である)。
×:ステンレス板の表面に、かなり糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%以上である)。
【0107】
(耐候性の評価方法)
引張特性、手切れ性、タック、自着力、耐熱性、耐光性の測定用の粘着テープを幅20mm、長さ100mmの大きさにカットして試験片を作製した。該試験片を、ステンレス板(SUS304)に2kgローラーを用いて貼り合わせ、屋外(南向き、最高温度は30℃程度)に30日間暴露させた後、手で剥離したときに、ステンレス板の表面の汚染程度を目視にて観測し、下記の評価基準により評価した。
耐熱性の評価基準
○:ステンレス板の表面に、糊残りは全くない。
△:ステンレス板の表面に、一部糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%未満である)。
×:ステンレス板の表面に、かなり糊残りがある(粘着面の全面積に対して、糊残りがある面積の面積比が5%以上である)。
【0108】
なお、表2〜4において、自着力(N/10mm)、耐熱性、耐候性に関する「基材破断」とは、剥離の途中で、粘着テープが基材と共に破断してしまう状態を意味している。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
表2〜4より明らかなように、実施例1〜3に係る粘着テープは、いずれも、室温でタックフリー(非粘着乃至微粘着)でありながら、良好な自着力を有しており、しかも、耐熱性、耐候性に優れ、さらに、手切れ性も優れていることが確認された。
【0113】
一方、比較例に係る粘着テープでは、例えば、比較例5、7〜9に係る粘着テープは手切れ性に劣り、比較例1、3、4、6に係る粘着テープはタックがあり(タックフリーではなく)、比較例1〜4、10に係る粘着テープは自着性に劣り、比較例1、3、4、6、9、10に係る粘着テープは耐熱性や耐候性に劣っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に関する粘着テープについての応力−歪み曲線を示すグラフである。
【図2】本発明の粘着テープを構成するプラスチックフィルムの構造の一例を部分的に示す概略図であり、図2(a)は上面から見た平面図、図2(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルム
2 凹部
d 凹部2の幅
L 凹部2のピッチ間隔
h 凹部2の深さ
X プラスチックフィルム1の長手方向
Y プラスチックフィルム1の幅方向
Claims (5)
- プラスチックフィルムからなる支持基材と、該支持基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有し、且つ前記支持基材の片面に、長手方向に対して垂直方向に延びた形状の凹凸部を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が、ポリカーボネート構造部を有し且つ重量平均分子量が30,000以上であるポリエステルを主成分とする樹脂成分を含有している粘着剤組成物から形成されているとともに、伸度50%以下での最大応力が破断時の応力よりも大きく、且つ破断時の伸度が100〜300%であることを特徴とする粘着テープ。
- ポリエステルが、架橋処理されており、粘着剤層における粘着剤の溶剤不溶分が1重量%以上30重量%未満であり、且つ粘着剤層の自着力(温度23℃、剥離速度300mm/分でのT型剥離力)が、9N/10mm以上である請求項1又は2記載の粘着テープ。
- 伸度50%以下での最大応力が11N/10mm以上である請求項1〜3の何れかの項に記載の粘着テープ。
- プラスチックフィルムが、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムである請求項1〜4の何れかの項に記載の粘着テープ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008162945A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Kao Corp | 毛髪化粧料 |
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