JP2005154782A - 粘着シート類 - Google Patents

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泰之 徳永
Masahiko Ando
雅彦 安藤
Takeshi Yamanaka
剛 山中
Waka Hikosaka
和香 彦坂
Makoto Kojima
誠 小島
Shinichi Kono
真一 河野
Hiroaki Masuko
浩明 益子
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Abstract


【課題】 室温付近で高弾性で非粘着ないし低粘着(タックフリー)でありながら、すぐれた接着性を示す、したがって接着作業性と接着性との両立を図れる、また耐久性や耐熱性などにもすぐれる粘着シート類を提供する。


【解決手段】 粘着剤組成物からなる層を有し、室温における貯蔵弾性率〔G′〕が2×106 dyne/cm2 以上、室温における接着力が1Kg/20mm幅以上である粘着シート類、また−30℃における貯蔵弾性率〔G′〕が3×107 dyne/cm2 以下である上記構成の粘着シート類、さらに80℃における貯蔵弾性率〔G′〕が1×106 dyne/cm2 以上である上記構成の粘着シート類。


【選択図】なし

Description

本発明は、室温で非粘着ないし低粘着(タックフリー)の粘着剤組成物をシート状やテープ状などの形態とした粘着シート類に関する。

通常、粘着剤は、室温での貯蔵弾性率〔G′〕が1×106 dyne/cm2 程度またはそれ以下である(非特許文献1参照)。室温での貯蔵弾性率が高くなると、粘着剤が硬くなりすぎて、接着しなくなる。これは、食品用ラツプフィルムのように、視覚的(光学的)に密着していても接着性を示さないように、接着の過程で粘着剤と被着体とのミクロな接触が十分に行われないためである。
D.Satas,Adhesive Age,31(9),28(1988)
しかし、従来の粘着剤は、タックのあるベタベタした状態で、柔らかさを有するため、速やかに接着するものの、目的以外の場所に軽く接触させただけでも簡単に剥がせず、位置修正が困難であった。また、粘着シート類の切断、打ち抜きなどの加工では、加工用の刃が粘着剤で汚染される問題もあった。

これらの問題を解消するため、粘着剤の貯蔵弾性率を高くすると、既述のように、タックとともに接着性も低下し、加熱処理などの接着補助手段をとらなければ、被着体への接着が難しい。このように、従来では、接着作業性の低下などを防止できる高弾性で非粘着ないし低粘着(タックフリー)であって、そのうえ接着性にすぐれた粘着剤は、見い出されていない。

本発明の目的は、このような事情に鑑み、室温付近で高弾性でタックフリーでありながら、すぐれた接着性を示す、したがって、接着作業性と接着性との両立を図れる粘着シート類を提供することにある。また、別の目的は、耐久性や耐熱性などにすぐれる上記粘着シート類を提供すること、さらに耐熱性や耐候性などの耐久性に加えて、自着性にもすぐれる上記粘着シート類を提供することにある。

本発明の別の目的は、様々な被着体に対して良好な接着性を示し、かつクリープ特性や長期の耐久性にすぐれた上記粘着シート類を提供すること、また高温域での耐クリープ性と接着性を満足し、かつ低温での耐衝撃性にもすぐれた上記粘着シート類を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、シリコーン処理を施していない剥離ライナーを用い、シリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などに適した上記粘着シート類、とくに上記ライナーの剥離性にすぐれ、かつ良好な接着力を示す上記粘着シート類を提供することにある。

また、本発明は、剥離ライナーを用いることなくロール状に巻回することが可能であり、実質的にシリコーン化合物を含まない粘着シート類として、コンピュータ機器などの用途に適した粘着シート類を提供することをひとつの目的としている。

本発明者らは、粘着剤構成用のポリマーを選択し、またこのポリマーを架橋するなどすると、室温での貯蔵弾性率と接着力が特定の値となる粘着シート類が得られ、これは高弾性でタックフリーでありながら良好な接着性を発揮すること、またそのポリマーの溶剤不溶分を特定すると、耐熱性や耐候性などの耐久性に加え、自着性にもすぐれる粘着シート類が得られることを見い出した。

本発明は、このような知見を基にして、完成されたものであり、粘着剤組成物からなる層を有し、室温での貯蔵弾性率〔G′〕が2×106 dyne/cm2 以上、室温での接着力が1Kg/20mm幅以上である粘着シート類に係るものである。

また、本発明は、−30℃での貯蔵弾性率〔G′〕が3×107 dyne/cm2 以下である上記構成の粘着シート類と、80℃での貯蔵弾性率〔G′〕が1×106 dyne/cm2 以上である上記構成の粘着シート類とに係るものである。

なお、上記の貯蔵弾性率〔G′〕は、レオメトリツク社製の動的粘弾性測定装置RDS−IIを使用し、サンプル厚さ約1.5mm、直径7.9mmのパラレルプレートの治具により、周波数1Hzで測定される値を意味する。

また、上記の接着力は、粘着テープを、被着体としてのアクリル板(ポリメチルメタクリレート)に貼り付けて、雰囲気温度23℃、貼付時間30分、剥離速度300mm/分の条件で測定される180°剥離接着力を意味する。

さらに、粘着剤組成物をシート状、テープ状の形態とした粘着シート類、つまり粘着剤組成物からなる層を有する粘着シート類では、通常粘着面に剥離ライナーが貼り合わされるが、本発明者らは、この剥離ライナーとして、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどからなるシリコーン処理を施していない剥離ライナーを使用できる、つまり、上記粘着剤組成物の特性によつて上記ライナーの剥離性にすぐれ、かつ良好な接着力を示す粘着シート類が得られること、したがって、シリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などに適した粘着シート類を提供できることを見い出した。

すなわち、本発明は、上記粘着剤組成物からなる層を有し、その粘着面にシリコーン処理を施していない剥離ライナーが貼り合わされてなる粘着シート類、中でも、上記のシリコーン処理を施していない剥離ライナーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィン系フィルム、あるいは表面が上記同様のポリオレフィンにより加工されたフィルムであり、この剥離ライナーの剥離力が200g/50mm幅以下である粘着シート類を提供することができる。

また、本発明者らは、上記粘着剤組成物を基材の片面に設けるにあたり、基材の少なくとも背面側をポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで構成すると、粘着剤組成物からなる層と基材背面との剥離性が良好で、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回することが可能な粘着シート類が得られることを見い出した。

すなわち、この粘着シート類によると、剥離ライナーを持たず、しかも基材背面にシリコーン剥離処理を施す必要がないため、シリコーン化合物を実質的に含まない粘着シート類として、シリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などに用いることができるものである。

このように、本発明では、高弾性でタックフリーでありながら、接着力が大きい、接着作業性と接着性との両立を図れる、また耐熱性にすぐれて、物品の保持性、固定性などにもすぐれる粘着シート類を提供できる。とくに、ベースポリマーとしてポリカーボネート構造を有するポリマーを用い、これを架橋剤などにて架橋処理することにより、耐熱性や耐久性などの特性に格段にすぐれた上記粘着シート類を提供でき、新規構成の粘着剤製品として各種分野でのより一層の展開を図ることができる。また、ポリカーボネート構造を持つポリマーを適度に架橋処理することで、耐熱性や耐久性などの特性に加えて、すぐれた自着性を発揮する上記粘着シート類を提供できる。

さらに、本発明では、ポリカーボネート構造を持つポリマーを用いた上記粘着剤組成物からなる層に対して、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどからなるシリコーン処理を施していない剥離ライナーを用いることにより、シリコーンを含有せずに良好な剥離性を有し、かつ大きな接着力を示す粘着シート類を提供することができ、このものは、電子関連機器での用途、とくにシリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などの用途に適した粘着シート類として非常に有利に使用することができる。

また、本発明では、基材の片面に、ポリカーボネート構造を持つポリマーを用いた粘着剤組成物からなる層を設けるとともに、この基材の少なくとも背面側をポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで構成させることにより、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回することが可能な粘着シート類を提供することができ、このものは、剥離ライナーを持たない、また基材背面側をシリコーン化合物で剥離処理する必要のない、シリコーン化合物を実質的に含まない粘着シート類として、電子関連機器での用途、とくにシリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などの用途に適した粘着シート類として有利に使用することができる。

本発明の粘着剤組成物では、室温での貯蔵弾性率〔G′〕が2×106 dyne/cm2 以上、好ましくは3×106 dyne/cm2 以上、とくに好ましくは5×106 dyne/cm2 以上で、通常5×107 dyne/cm2 以下のものであり、粘着剤としての高いタックを示さず、したがって数秒程度の短時間ではほとんど接着しない。このため、短時間であれば、一度剥がして、再度使用することが可能で、被着体を損傷することなく、貼り合わせ位置が修正可能である。また、短時間では接着しないため、粘着シート類としたものでは、切断時に加工用の刃に粘着剤が付かず、刃を汚染することがない。

また、本発明の粘着剤組成物は、上記高弾性でタックフリーでありながら、室温での接着力が1Kg/20mm幅以上、好ましくは1.5Kg/20mm幅以上で、通常10Kg/20mm幅以下となるものであり、加熱処理などの繁雑な工程を要することなく高い接着力を発揮するというユニークでかつ有用な特性を備えており、この特性によつて、従来の粘着剤組成物では困難であった接着作業性と接着性との両立を図れるというすぐれた効果が奏される。

このような粘着剤組成物において、さらに−30℃での貯蔵弾性率〔G′〕が3×107 dyne/cm2 以下、好ましくは2×107 dyne/cm2 以下で、通常5×106 dyne/cm2 以上であるのがよく、この場合、低温時の耐衝撃性にすぐれるという効果が得られる。また、80℃での貯蔵弾性率〔G′〕が1×106 dyne/cm2 以上、好ましくは3×106 dyne/cm2 以上で、通常5×107 dyne/cm2 以下であるのがよく、この場合、80℃という高温でも高い凝集力を発揮し、接着力、保持力ともにすぐれた特性が得られる。

本発明の粘着剤組成物は、上記の貯蔵弾性率〔G′〕および上記の接着力を有する限り、組成上の限定はとくにないが、一般には、粘着剤構成用のポリマーにポリイソシアネート化合物などの架橋剤を加えて架橋処理し、上記ポリマーの選択と架橋処理の程度などによつて前記の貯蔵弾性率〔G′〕および接着力に設定したものが、好ましく用いられる。ここで、粘着剤構成用のポリマーとしては、ポリカーボネート構造を持つポリマーとして、つぎの式;

−(O−R−O−C)n



(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)

で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。

このポリマーには、ポリカーボネートジオール(またはその誘導体)とジカルボン酸(またはその誘導体)とから合成されるポリエステル、ポリカーボネートジカルボン酸とジオールとから合成されるポリエステル、ポリカーボネートジオールとジイソシアネートとから合成されるポリウレタンなどがあり、その中でも、とくにポリカーボネートジオールとジカルボン酸とから合成されるポリエステルが好ましい。この種のポリエステルは、ポリカーボネートジオールを必須としたジオール成分と炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸を必須としたジカルボン酸成分とから合成される、重量平均分子量が1万以上、好ましくは3万以上、とくに好ましくは5万以上(通常、30万まで)のものである。

ここで用いられるポリカーボネートジオールは、つぎの式;

−(O−R−O−C)n



(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)

で表わされる繰り返し単位を有するジオールで、数平均分子量としては、400以上、好ましくは900以上(通常1万まで)であるのがよい。

このようなポリカーボネートジオールとしては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(3−メチルペンテンカーボネート)ジオール、ポリプロピレンカーボネートジオールなど、それらの混合物またはそれらの共重合物などがある。市販品としては、ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD205PL」、「同CD208PL」、「同CD210PL」、「同CD220PL」、「同CD205HL」、「同CD208HL」、「同CD210HL」、「同CD220HL」などが挙げられる。

ジオール成分としては、上記のポリカーボネートジオールのほか、必要により、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、オクタデカンジオールなどの直鎖状のジオールや分枝状のジオールなどの成分を併用してもよい。これらの他のジオールは、ジオール成分全体の50重量%以下、好ましくは30重量%以下の使用量とするのがよい。また、ポリマーを高分子量化するために、3官能以上のポリオール成分を少量添加してもよい。

また、ジカルボン酸成分は、炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格としたもので、上記の炭化水素基が直鎖状のものでも分枝状のものであってもよい。具体的には、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリツク酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどが挙げられる。

ジカルボン酸成分としては、上記の炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸をこれ単独で用いるのが望ましいが、場合により、このジカルボン酸とともに、芳香族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸を、適宜混合して使用してもよい。これら芳香族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸の使用量としては、ジカルボン酸成分全体の50重量%以下、とくに好ましくは30重量%以下の少量であるのがよい。また、合成されるポリエステルを高分子量化するなどの目的で、3官能またはそれ以上の多価カルボン酸成分を少量添加することもできる。

ポリエステルは、上記のジオール成分とジカルボン酸成分とを、常法にしたがい、無触媒または適宜の触媒などを用いて、エステル化反応させることにより、得られる。その際、ジオール成分とジカルボン酸成分とは、等モル反応が望ましいが、エステル化反応を促進するため、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。

このようにして得られるポリエステルは、前記分子量を有していることが望ましい。これは、分子量があまり低いと、高度に架橋した粘着剤は架橋密度が高くなり、非常に硬い性質を有したり、逆に架橋密度を低く設定しようとすると、未架橋成分の分子量が低いため、耐熱性などの面で好ましくないためである。

本発明では、通常、このようなポリエステルをはじめとするポリカーボネート構造を持つポリマーを適宜の手段で架橋処理して、室温での貯蔵弾性率〔G′〕および接着力が前記範囲となる粘着剤組成物とする。架橋手段は任意でよいが、架橋剤としてポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド化合物などの多官能性化合物を用い、これと上記ポリマー(中に含まれる水酸基やカルボキシル基)とを反応させて架橋する方法が一般的である。多官能性化合物としては、とくにポリイソシアネート化合物が好ましい。

ポリイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフエニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などがある。そのほか、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートL」〕、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕なども用いられる。

これらの多官能性化合物は、単独でまたは2種以上の混合系で用いられる。使用量は、架橋するポリマーとのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的によつて適宜選択される。一般には、ポリカーボネート構造を持つポリマー100重量部あたり、0.5重量部以上、好ましくは1〜5重量部程度配合して、架橋処理するのがよい。これにより、上記ポリマーの溶剤不溶分が10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%となる粘着剤組成物が得られる。ポリマーの溶剤不溶分が小さすぎると、粘着剤の凝集力が不足して、十分な弾性率や耐熱性,耐久性が得られない。

他の架橋手段として、ポリマーに架橋剤として多官能モノマーを配合し、これを電子線などで架橋させる方法がある。多官能モノマーには、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどがある。これらの多官能モノマーの使用量は、電子線などで架橋したのちのポリマーの溶剤不溶分が前記同様の値となるように、前記のポリマー100重量部あたり、多官能モノマーが1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部となるようにするのがよい。

本発明の粘着剤組成物は、ベースポリマーとして上記のポリカーボネート構造を持つポリマーを使用し、これを通常上記のような手段で架橋構造化したものであるが、この組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤を配合してもよく、また無機または有機の充てん剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状物、箔状物、老化防止剤、可塑剤などの各種の添加剤を任意に含ませることができる。

本発明の粘着剤組成物は、高弾性率を有して室温でタックフリーでありながら高い接着力を示すが、さらにポリマーの架橋処理にて溶剤不溶分を1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲に設定したとき、耐熱性や耐候性などの耐久性に加えて、すぐれた自着性を発揮するものとなる。すなわち、本発明では、自着力が2.0Kg/20mm幅以上、好ましくは2.5〜10Kg/20mm幅となる粘着剤組成物を提供することができる。ここで、上記ポリマーの溶剤不溶分が1重量%未満となると、耐熱性や耐候性などの耐久性に劣り、また30重量%を超えると、上記のような高い自着力が得られにくい。

なお、従来より、生野菜、生花などの結束用に、自着性のある粘着剤として、天然ゴム、合成ゴムなどに粘着付与剤、軟化剤などを配合してなるものが知られている(特開昭54−96539号、同56−26968号などの公報)。これらの粘着剤は、耐候性や耐熱性に劣るため、工業材料のように屋外で使用されるような用途、長期の信頼性を必要とされる用途には使用されることがなかつた。また、これらの粘着剤は、タック(粘着性)を有しているため、結束の前後で手指、物品などに付着するといつた問題もあった。これに対し、上記本発明の粘着剤組成物では、このような問題を生じることがない。

また、本発明においては、ポリカーボネート構造を持つポリマーとともに、ガラス転移温度が−10℃以下のアクリル系重合体を、上記ポリマーとの合計量中10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の割合で用いることにより、前記の特性に加えて、様々な被着体に対し良好な接着性を示すとともに、クリープ特性や長期の耐久性にすぐれた粘着剤組成物を得ることができる。

従来、粘着付与剤を含まないアクリル系感圧接着剤は、プラスチツクへの接着性に乏しく、一方、粘着付与剤を含んだアクリル系ないし天然ゴム系感圧接着剤は、プラスチツクへの接着性は比較的良いが、クリープ特性や長期の耐久性に劣る問題があった。ところが、上記本発明の粘着剤組成物では、このような問題が回避されて、様々な被着体、とくにポリカーボネートやアクリル樹脂などのプラスチツクに対する接着性にすぐれ、しかもクリープ特性や長期の耐久性にすぐれた粘着剤を提供することが可能となる。

ここで使用するアクリル系重合体は、炭素数が4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを50〜100重量%含有する単量体の重合体であって、ガラス転移温度が−10℃以下、とくに−15℃以下(通常−90℃程度まで)となるものが好ましく用いられる。ガラス転移温度が−10℃より高くなると、初期接着力に劣り、好ましくない。炭素数が4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、ラウリル基、イソミリスチル基などのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。

このようなアクリル系重合体を併用する場合、通常、このアクリル系重合体と前記のポリカーボネート構造を持つポリマーとを別々に合成したのち、両者を溶液状または塊状で混合することにより、粘着剤組成物が調製される。しかし、場合により、一方の重合体中で他方を重合させるという方法で調製してもよいし、両者を同時に重合するといつた方法で調製してもよい。

これらの調製方法において、上記アクリル系重合体の使用量は、ポリカーボネート構造を持つポリマーとの合計量中に占める割合が前記範囲内となるようにする。上記アクリル系重合体が10重量%未満では、初期接着性が低くなり、90重量%を超えると、プラスチツクに対する接着性が低くなる。また、上記アクリル系重合体とポリカーボネート構造を持つポリマーとは、その一方または両方が前記方法にて架橋処理されるが、ポリマー全体の溶剤不溶分が10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、さらに好ましくは20〜80重量%の範囲となるようにするのがよい。溶剤不溶分が低いと、クリープ特性や長期の耐久性に劣り、また高すぎると、初期接着性に劣り、いずれも好ましくない。

さらに、本発明においては、ポリカーボネート構造を持つポリマーとともに、軟化点80℃以上の樹脂を、上記ポリマーとの合計量中10〜50重量%、好ましくは13〜45重量%、より好ましくは15〜35重量%の割合で用いることにより、前記の特性に加えて、高温域での耐クリープ性と接着性を満足し、かつ低温での耐衝撃性にもすぐれた粘着剤組成物を得ることができる。

従来、特公昭56−13040号公報に記載のように、粘着剤組成物に熱溶融性樹脂を添加したものは知られている。これは、100℃以上の加熱処理を必要とする熱硬化タイプのものに比べ、処理作業が簡便で、被着体に耐熱性を必要としないなどの利点があるが、反面、高温域での耐クリープ性と接着性を両立しがたいという問題がある。また、特公平2−50146号公報には、ガラス転移温度の高い重合体を側鎖に有するアクリル系のグラフトポリマーに熱溶融性樹脂を添加したものが知られている。これは、高温域での耐クリープ性と接着性を満足するが、低温での耐衝撃性に劣る問題がある。ところが、上記本発明の粘着剤組成物にはこのような問題がなく、高温域での耐クリープ性と接着性を満足し、かつ低温での耐衝撃性にもすぐれる熱時粘着剤組成物を提供できる。

ここで使用する樹脂は、軟化点が80℃以上、好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上で、通常150℃以下のものである。軟化点が80℃より低くなると、耐クリープ性、高温での接着力が低下するため、好ましくない。樹脂の種類としては、テルペン系、ロジン系、アルキルフェノール系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、クマロン−インデン系、芳香族石油系、脂肪族石油系などが挙げられる。この種の樹脂は、ポリカーボネート構造を持つポリマーとの合計量中に占める割合が10重量%未満では、剪断接着力が低下し、50重量%を超えると、低温での耐衝撃性に劣る。また、この樹脂を含む架橋処理後の溶剤不溶分は10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは20〜80重量%の範囲にあるのがよい。溶剤不溶分が低すぎると耐久性に劣り、高すぎると接着性に劣り、いずれも好ましくない。

本発明の粘着シート類は、上記種々の構成の粘着剤組成物をシート状やテープ状の形態としたもの、つまり、上記構成の粘着剤組成物からなる層を少なくとも有するものであって、これには、まず、剥離ライナー上に上記の粘着剤組成物からなる層を乾燥後の厚さが通常10〜150μm程度となるように塗着して、その上に必要によりさらに上記の剥離ライナーを貼り合わせてなる、いわゆる基材レスの両面粘着シート類が含まれる。この場合、粘着特性の改良のために、他の粘着剤組成物を利用して多層構造化してもよい。

また、より一般的な粘着シート類として、ポリエステルフィルムなどのプラスチツクフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料、金属箔などからなる基材を用い、これら基材の片面または両面に上記の粘着剤組成物からなる層を乾燥後の厚さが通常片面で10〜150μm程度となるように塗着して、粘着剤層を基材に担持させ、その粘着面に剥離ライナーを貼り合わせてなる、基材付きの片面または両面粘着シート類とすることができる。この場合、粘着特性の改良のために、他の粘着剤組成物を利用して多層構造化してもよい。なお、このような基材付きの粘着シート類および前記の基材レスの両面粘着シート類において、ポリカーボネート構造を持つポリマーなどの架橋処理は、上記した粘着シート類の製造工程中またはその工程後に適宜施すことができる。

本発明では、このような粘着シート類において、粘着面に貼り合わせる剥離ライナーとしてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどからなるシリコーン処理を施していない剥離ライナーを使用することが可能である。

つまり、このような剥離ライナーを使用したときでも、このライナーの剥離力が200g/50mm幅以下、好ましくは100g/50mm幅以下、さらに好ましくは50g/50mm幅以下(通常1g/50mm幅まで)となる非常に良好な剥離性が得られ、しかも前記した良好な接着力を維持させることができる。

アクリル系やゴム系粘着剤では、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどを剥離ライナーとすると、剥離力が500g/50mm幅以上となつて、剥離作業性の低下をきたすため、シリコーン処理剥離ライナーの使用が不可避であった。

本発明では、シリコーン処理を施していない剥離ライナーを用いて、その剥離力を200g/50mm幅以下に設定できるので、上記ライナーの除去が容易であり、通常使用されるシリコーン処理剥離ライナーの粘着テープ製品と同様の取り扱いが可能である。このため、シリコーン処理剥離ライナーから上記剥離ライナーへの変更に伴う装置、作業手順などの変更も不要である。

このように、本発明の粘着シート類においては、剥離ライナーにポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどを用いることにより、シリコーンを全く含まない粘着シート類の製造が可能であり、その結果、シリコーンの含有が問題となりやすいコンピュータ機器などに適した粘着シート類を提供できる。また、剥離ライナーがポリエチレン、ポリプロピレンといつた単純なフィルム材料である場合には、近年、とくに問題となつているプラスチツクのリサイクル性にすぐれるという効果も得ることができる。

本発明に用いられるシリコーン処理を施していない剥離ライナーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(ブロックまたはランダム共重合体)またはこれらの混合物からなるポリオレフィン系フィルム、あるいは表面が上記同様のポリオレフィン、つまりポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(ブロックまたはランダム共重合体)またはこれらの混合物にて加工されたフィルムが挙げられる。後者の表面が加工されたフィルムとしては、たとえば、紙類や他のフィルムと上記ポリオレフィン系フィルムとの積層物などが含まれる。

一方、本発明では、このような剥離ライナーを用いない粘着シート類として、基材の片面に前記構成の粘着剤組成物からなる層を前記同様の厚さに設け、この基材の少なくとも背面側をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(ブロックまたはランダム共重合体)またはこれらの混合物からなるポリオレフィンで構成した粘着シート類を得ることもできる。

この種の粘着シート類は、基材背面側をシリコーン処理していないことを特徴としたものであるが、粘着剤組成物からなる層と基材背面との剥離性が良好で、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回することが可能である。このように、剥離ライナーを持たず、また基材背面をシリコーン化合物で剥離処理する必要がないことから、シリコーン化合物を実質的に含まない粘着シート類として、コンピュータ機器などに有利に使用できる。なお、粘着剤組成物からなる層と基材との投錨性が確保できる限り、基材の背面側だけでなく、基材全体が上記同様のポリオレフィンで構成されていてもよい。

つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。以下、部とあるのは重量基準である。また、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。

実施例1−1
攪拌機、温度計および水分離管を付した四つ口のセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD210PL、水酸基価115KOHmg/g〕250g(水酸基:0.512当量)、セバシン酸51.8g(酸基:0.512当量)、触媒としてのジブチルチンオキサイド(以下、DBTOという)127mgを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約24時間反応を続けて、重量平均分子量が55,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートHL〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物とした。これを、アプリケータにより、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)の上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

実施例1−2
攪拌機、温度計および水分離管を付した四つ口のセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL、水酸基価56.1KOHmg/g〕250g(水酸基:0.25当量)、アゼライン酸23.5g(酸基:0.25当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約25時間反応を続けて、重量平均分子量が78,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートL〕1.5部(固形分)を添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケータにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

実施例1−3
架橋剤として、コロネートLに代えて、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートHL〕2.5部(固形分)を添加するようにした以外は、実施例1−2と同様にして、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

実施例1−4
攪拌機、温度計および水分離管を付した四つ口のセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL、水酸基価56.1KOHmg/g〕250g(水酸基:0.25当量)、セバシン酸12.6gとアゼライン酸11.8g(酸基合計:0.25当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約25時間反応を続けて、重量平均分子量が75,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートHL〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケータにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

比較例1−1
攪拌機および温度計を付した反応容器に、アクリル酸n−ブチル95部、アクリル酸5部、トルエン150部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素ガス雰囲気中、60℃で約7時間溶液重合して、ポリマー溶液を得た。このポリマー100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートL〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケータにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

比較例1−2
攪拌機および温度計を付した反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル80部、アクリル酸20部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバガイギー社製)0.6部を入れ、十分に窒素ガス置換したのち、高圧水銀ランプにより、約100mj/cm2 の照射量で紫外線を照射した。この照射により得られた粘稠物に対し、内部架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート1部を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケータにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に、厚さが50μmとなるように塗布した。その後、酸素による重合阻害をなくすため、PET剥離ライナーでカバーし、高圧水銀ランプにより、約1,400mj/cm2 の照射量で紫外線を照射して、粘着剤層を形成し、粘着テープを作製した。また、上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用として、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤層を形成した。

上記の実施例1−(1〜4)および比較例1−(1,2)の各粘着テープについて、−30℃、室温(23℃)および80℃における各貯蔵弾性率と、室温(23℃)における接着力(180°剥離粘着力)を、以下の方法により調べた。これらの測定結果は、表1に示されるとおりであった。

<貯蔵弾性率>
貯蔵弾性率〔G′〕は、粘着剤組成物の剪断貯蔵弾性率を指し、外部から加えられたエネルギーをひずみエネルギーとして貯蔵する弾性成分というべきものであるが、この貯蔵弾性率〔G′〕の測定は、レオメトリツク社製の動的粘弾性測定装置RDS−IIを使用し、サンプル厚さ約1.5mm、直径7.9mmのパラレルプレートの治具により、周波数1Hzで測定するという方式で行った。

<接着力>
粘着テープを、被着体としてのアクリル板(ポリメチルメタクリレート)に貼り付けて、雰囲気温度23℃、貼付時間30分、剥離速度300mm/分の条件で180°剥離接着力を測定した。

表1
┌──────┬───────────────────────┬─────┐
│ │ 貯蔵弾性率〔G′〕 (dyne/cm2 ) │接着力 │
│ ├───────┬───────┬───────┤(kg/20│
│ │ −30℃ │ 23℃ │ 80℃ │ mm幅) │
├──────┼───────┼───────┼───────┼─────┤
│実施例1−1│1.5×107 │7.1×106 │3.7×106 │ 1.6 │
│ │ │ │ │ │
│実施例1−2│1.6×107 │9.6×106 │5.1×106 │ 2.1 │
│ │ │ │ │ │
│実施例1−3│1.8×107 │1.5×107 │1.1×107 │ 1.8 │
│ │ │ │ │ │
│実施例1−4│1.8×107 │1.2×107 │9.1×106 │ 2.0 │
├──────┼───────┼───────┼───────┼─────┤
│比較例1−1│5.2×107 │1.1×106 │3.4×105 │ 1.3 │
│ │ │ │ │ │
│比較例1−2│1.9×109 │2.6×107 │7.9×105 │ 0.4 │
└──────┴───────┴───────┴───────┴─────┘

つぎに、上記の実施例1−(1〜4)および比較例1−(1,2)の各粘着テープについて、以下の要領にて、室温(23℃)での拇指タックと、耐熱性(80℃)を測定した。これらの結果は、下記の表2に示されるとおりであった。

<拇指タックの測定>
室温(23℃)において、粘着テープ表面に親指を触れ、短時間(1秒程度)の押し付け後、引き離し、その時の親指面に感じる抵抗で評価した。

<耐熱性の測定>
粘着テープを被着体としてのベークライト板に貼り付け、雰囲気温度80℃で垂直方向に500g/2cm2 の荷重を与え、落下するまでの保持時間(分)の測定を行った。

表2
┌──────┬─────────┬──────────┐
│ │ 拇指タック │ 耐 熱 性 │
│ │ │ (保持時間:分) │
├──────┼─────────┼──────────┤
│実施例1−1│ な し │ >120 │
│ │ │ │
│実施例1−2│ な し │ >120 │
│ │ │ │
│実施例1−3│ な し │ >120 │
│ │ │ │
│実施例1−4│ な し │ >120 │
├──────┼─────────┼──────────┤
│比較例1−1│ あ り │ >120 │
│ │ │ │
│比較例1−2│ な し │ >120 │
└──────┴─────────┴──────────┘

上記の表1および表2の結果から、本発明の実施例1−(1〜4)の各粘着テープは、比較例1−(1〜2)の粘着テープに比べて、高弾性でタックフリーでありながら接着力が大きく、耐熱性の面でも満足できることがわかる。

実施例2−1
攪拌機、温度計、水分離管を付した四つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD210PL、水酸基価115.0KOHmg/g〕200g(水酸基:0.41当量)、無水コハク酸20.51g(酸基:0.41当量)、触媒としてのDBTOを102mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約27時間反応を続けて、重量平均分子量56,000のポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートHL〕1.5部(固形分)を添加し、粘着剤組成物を調製した。これを、アプリケータにより厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例2−2
攪拌機、温度計、水分離管を付した四つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD210PL、水酸基価115.0KOHmg/g〕250g(水酸基:0.512当量)、アジピン酸37.44g(酸基:0.512当量)、触媒としてのDBTOを127mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、重量平均分子量58,000のポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートL〕1.5部(固形分)を添加し、粘着剤組成物を調製した。これを、アプリケータにより厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例2−3
攪拌機、温度計、水分離管を付した四つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL、水酸基価56.1KOHmg/g〕250g(水酸基:0.25当量)、セバシン酸25.28g(酸基:0.25当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約25時間反応を続けて、重量平均分子量72,000のポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製のコロネートHL〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物を調製した。これを、アプリケータにより厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらにアフターキュアーとして50℃の雰囲気中で5日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例2−4
実施例2−3で得たポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート3部(固形分)を添加し、粘着剤組成物を調製した。

これを、アプリケータにより厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成し、さらに電子線を6Mrad照射して、粘着テープを作製した。

上記の実施例2−(1〜4)の各粘着テープについて、ポリエステルの溶剤不溶分、接着力および耐熱性の測定を行った。これらの測定結果は、後記の表3に示されるとおりであった。なお、溶剤不溶分および接着力は下記の方法により、耐熱性は前記の方法により測定した。

<溶剤不溶分の測定>
粘着テープより約0.1gの粘着剤をサンプリングし、精秤した。これを、約50mlのトルエン中に室温で5日間浸漬したのち、溶剤不溶分を取り出して、130℃中で約1時間乾燥したのち、秤量した。

溶剤不溶分〔X〕(重量%)を、以下の式により算出した。

浸漬・乾燥後の重量(g)
X(%) = ────────────── ×100
サンプルの重量 (g)

<接着力の測定>
粘着テープを、被着体としてのポリカーボネート板、アクリル板(ポリメチルメタクリレート)に貼り付け、雰囲気温度23℃、貼り付け時間30分、剥離速度300mm/分の条件で、180°剥離接着力を測定した。




表3
┌──────┬─────┬───────────────┬─────┐
│ │溶剤不溶分│ 接着力(kg/20mm幅) │保持時間 │
│ │ ├─────────┬─────┤ │
│ │(重量%)│ポリカーボネート板│アクリル板│ (分) │
├──────┼─────┼─────────┼─────┼─────┤
│実施例2−1│ 25 │ 2.8 │ 2.3 │120以上│
│ │ │ │ │ │
│実施例2−2│ 33 │ 3.0 │ 2.5 │120以上│
│ │ │ │ │ │
│実施例2−3│ 65 │ 2.8 │ 1.9 │120以上│
│ │ │ │ │ │
│実施例2−4│ 41 │ 2.2 │ 1.8 │120以上│
└──────┴─────┴─────────┴─────┴─────┘

上記の表3の結果から明らかなように、本発明の実施例2−(1〜4)の粘着剤組成物を用いた各粘着テープは、いずれも、良好な接着力を有しているとともに、さらに耐熱性の面でも格段にすぐれていることがわかる。

実施例3−1
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕200.0g(水酸基:0.410当量)、無水コハク酸20.51g(酸基:0.410当量)、触媒としてのDBTOを102mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、重量平均分子量65,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対して、架橋剤としてジフエニルメタンジイソシアネート〔日本ポリウレタン(株)製の「ミリオネートMT」〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物の溶液とした。この溶液を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例3−2
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.512当量)、アジピン酸37.44g(酸基:0.512当量)、触媒としてのDBTOを127mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約35時間反応を続けて、重量平均分子量80,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてジフエニルメタンジイソシアネート1部(固形分)、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕0.5部(固形分)を添加し、粘着剤組成物の溶液とした。この溶液を、アプリケーターにより厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらにアフターキュアーとして、50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例3−3
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.250当量)、セバシン酸25.28g(酸基:0.250当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のキシレンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、重量平均分子量90,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対して、架橋剤としてジフエニルメタンジイソシアネート0.8部(固形分)、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕0.2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物の溶液とした。この溶液を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、アフターキュアーとして、50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

実施例3−4
実施例3−3で得たポリエステル100部(固形分)に対して、実質的な架橋剤として1,6ヘキサンジオールジアクリレート3部を添加し、粘着剤組成物の溶液とした。この溶液を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、電子線を3Mard照射し、粘着テープを作製した。

参考例3−1
実施例3−3で得たポリエステル100部(固形分)に、実質的な架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕2部(固形分)を添加し、粘着剤組成物の溶液とした。この粘着剤組成物の溶液を、アプリケーターにより厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらにアフターキュアーとして、50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

比較例3−1
実施例3−3で得たポリエステル溶液を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

比較例3−2
スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(シエル化学社製の「カリフレックスTR1107」)100部、石油系樹脂50部、フェノール系老化防止剤1部を、トルエン150部に溶解し、粘着剤組成物の溶液とした。この溶液を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、100℃で3分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに50℃雰囲気中で2日間のエージングを行い、粘着テープを作製した。

上記の実施例3−(1〜4)、参考例3−1および比較例3−(1,2)の各粘着テープにつき、溶剤不溶分、自着力、耐熱性および耐候性の測定を行った。結果は、表4に示されるとおりであった。なお、溶剤不溶分の測定は前記の方法にて、また自着力、耐熱性および耐候性の測定は下記の方法で行った。

<自着力の測定>
幅20mm、長さ150mmの粘着テープを、その中央部で粘着面同士を2Kgローラーで貼り合わせ、雰囲気温度23℃、貼り付け20分後、剥離速度300mm/分の条件で、剥離力を測定した。

<耐熱性の測定>
粘着テープを被着体としてのステンレス板(SUS304)に貼り付け、雰囲気温度80℃に7日間静置したのち、手で剥離し、汚染の有無を確認した。

評価基準は、○:糊残りなし、△:一部に糊残り(面積比5%未満)、×:糊残りあり(面積比5%以上)、とした。

<耐候性の測定>
粘着テープを被着体としてのステンレス板(SUS304)に貼り付け、屋外(南向き、30℃)に30日間暴露したのち、手で剥離し、汚染の有無を確認した。

評価基準は、○:糊残りなし、△:一部に糊残り(面積比5%未満)、×:糊残りあり(面積比5%以上)、とした。

表4
┌──────┬─────┬────────┬───┬───┐
│ │溶剤不溶分│ 自着力 │耐熱性│耐候性│
│ │(重量%)│(kg/20mm幅)│ │ │
├──────┼─────┼────────┼───┼───┤
│実施例3−1│ 10 │ 5.5 │ ○ │ ○ │
│ │ │ │ │ │
│実施例3−2│ 12 │ 5.2 │ ○ │ ○ │
│ │ │ │ │ │
│実施例3−3│ 8 │ 4.8 │ ○ │ ○ │
│ │ │ │ │ │
│実施例3−4│ 5 │ 4.2 │ ○ │ ○ │
├──────┼─────┼────────┼───┼───┤
│参考例3−1│ 40 │ 1.5 │ ○ │ ○ │
├──────┼─────┼────────┼───┼───┤
│比較例3−1│ 0 │ 1.9 │ × │ × │
│ │ │ │ │ │
│比較例3−2│ 0 │ 1.6 │ × │ × │
└──────┴─────┴────────┴───┴───┘

上記の表4から明らかなように、本発明の粘着剤組成物を用いた実施例3−(1〜4)の粘着テープは、室温でタックフリーでありながら、良好な自着力を示しており、しかも耐熱性および耐候性にすぐれて良好な耐久性を示すものであることがわかる。

これに対し、参考例3−1、比較例3−(1,2)の粘着テープは、自着力に劣るか、耐熱性や耐候性などの耐久性に劣つている。

実施例4−1
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた反応容器に、酢酸エチル50部およびトルエン50部を溶媒として、アクリル酸2−エチルヘキシル80部、アクリル酸n−ブチル12部、アクリル酸8部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素気流中で重合し、ガラス転移温度が−43℃で、重量平均分子量が60万であるアクリル系重合体Aの溶液を得た。

これとは別に、温度計、撹拌装置、水分離管を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオールとして、ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL(水酸基価56.1KOHmg/g)100部、セバシン酸10.1部と、触媒としてのDBTOを0.025部入れ、反応水排出溶剤としてのトルエンの存在下、撹拌しながら180℃に昇温した。しばらくすると、水の流出分離が認められた。約24時間反応を行うことにより、重量平均分子量が6万であるポリエステル系重合体Bの溶液を得た。

上記のアクリル系重合体Aの溶液と上記のポリエステル系重合体Bの溶液を、アクリル系重合体A80部あたりポリエステル系重合体B20部となるように、混合し、これにさらにトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。つぎに、この粘着剤組成物の溶液を、厚さが38μmのポリエステルフィルムの片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥して、粘着テープを作製した。また、剥離処理を施したポリエステルフィルムの片面に、上記と同様に塗布して、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

実施例4−2
実施例4−1で得たアクリル系重合体Aの溶液とポリエステル系重合体Bの溶液とを、アクリル系重合体A50部あたりポリエステル系重合体B50部となるように混合し、これにさらにトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。この溶液を用いて、以下実施例4−1と同様にして、粘着テープを作製した。また、実施例4−1と同様にして、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

実施例4−3
実施例4−1で得たアクリル系重合体Aの溶液とポリエステル系重合体Bの溶液とを、アクリル系重合体A20部あたりポリエステル系重合体B80部となるように混合し、これにさらにトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。この溶液を用いて、以下実施例4−1と同様にして、粘着テープを作製した。また、実施例4−1と同様にして、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

実施例4−4
実施例4−1で得たポリエステル系重合体Bの溶液をセパレータ上に塗布し、80℃で1時間乾燥して、ポリエステル系重合体Bの固形分を得た。この固形分40部を、アクリル酸2−エチルヘキシル48部、アクリロイルモルホリン12部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.06部からなる単量体混合物(この混合物の共重合体のガラス転移温度は−40℃)に溶解し、これにさらに2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.1部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合した。

この混合液を、厚さが38μmのポリエステルフィルムの片面に、紫外線照射後の厚さが50μmとなるように塗布したのち、紫外線を照射して、上記の単量体混合物を重合し、硬化させることにより、粘着テープを作製した。また、剥離処理を施したポリエステルフィルムの片面に上記と同様に塗布し、紫外線を照射して、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

参考例4−1
実施例4−1で得たポリエステル系重合体Bの溶液に、ポリエステル系重合体B100部あたりトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。この溶液を用いて、以下実施例4−1と同様にして、粘着テープを作製した。また、実施例4−1と同様にして、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

比較例4−1
実施例4−1で得たアクリル系重合体Aの溶液に、アクリル系重合体A100部あたりトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。この溶液を用いて、以下実施例4−1と同様にして、粘着テープを作製した。また、実施例4−1と同様にして、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

比較例4−2
実施例4−1で得たアクリル系重合体Aの溶液に、アクリル系重合体A80部あたり、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL、水酸基価56.1KOHmg/g〕20部およびトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、粘着剤組成物の溶液を調製した。この粘着剤組成物の溶液を用いて、以下実施例4−1と同様にして、粘着テープを作製した。また、実施例4−1と同様にして、溶剤不溶分測定用のサンプルを作製した。

上記の実施例4−(1〜4)、参考例4−1および比較例4−(1,2)で作製した各粘着テープについて、接着力および保持力を、下記の方法で測定した。この測定結果を、前記の方法で測定した粘着剤組成物の溶剤不溶分とともに、下記の表5に示した。

なお、同表中、溶剤不溶分の欄における「X1 」は溶剤としてトルエンを使用し、また「X2 」は溶剤として酢酸エチルを使用したときの測定結果であり、酢酸エチルの場合、この溶剤中に室温で3日間浸漬したのち、100℃で2時間乾燥して秤量し、算出したものである。

<接着力>
20mm×100mmの粘着テープを、被着体に2Kgのロ―ラを1往復させる方法で圧着し、23℃で20分および70℃で48時間放置後、23℃,65%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分で、180度剥離接着力を測定した。

なお、被着体としては、ポリカーボネート板、ポリアクリル板、ステンレス板(SUS430BA)を使用した。表5中、「A」はポリカーボネート板、「B」はアクリル樹脂板、「C」はステンレス板である。

<保持力>
幅10mmの粘着テープを、フェノール樹脂板に対し10mm×20mmの接着面積で貼り付け、20分経過後80℃に20分放置したのち、フェノール樹脂板を垂下し、接着テープの自由端に500gの均一荷重を負荷して、80℃での粘着テープの落下時間(分)と、120分後のずれ距離(mm)を測定した。

表5
┌──────┬─────┬───────────┬─────────┐
│ │溶剤不溶分│ 接着力 │ 保持力 │
│ │(重量%)│ (g/20mm幅) ├────┬────┤
│ ├──┬──┼───┬───┬───┤ 時間 │ずれ距離│
│ │X1 │X2 │ A │ B │ C │ (分)│ (mm)│
├──────┼──┼──┼───┼───┼───┼────┼────┤
│実施例4−1│56│57│ 1,520│ 1,450│ 1,180│ >120 │ 1 │
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例4−2│55│55│ 1,800│ 1,560│ 1,100│ >120 │ 1 │
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例4−3│53│52│ 1,920│ 1,720│ 1,060│ >120 │ 1 │
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│実施例4−4│64│65│ 1,820│ 1,650│ 1,250│ >120 │ 0.5以下│
├──────┼──┼──┼───┼───┼───┼────┼────┤
│参考例4−1│54│55│ 2,260│ 1,900│ 620│ >120 │ 1.5│
├──────┼──┼──┼───┼───┼───┼────┼────┤
│比較例4−1│60│60│ 1,150│ 1,280│ 1,160│ >120 │ 0.5以下│
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│比較例4−2│25│25│ 1,200│ 1,320│ 1,250│ 5 │ − │
└──────┴──┴──┴───┴───┴───┴────┴────┘

上記の表5より、実施例4−(1〜4)の接着テープは、様々な被着体、とくにポリカーボネート、アクリル樹脂などのプラスチツクに対し大きな接着力を有し、また保持力が大きく耐久性にすぐれていることが明らかである。

実施例5−1
温度計、撹拌機および水分離管を備えた反応容器に、ポリカーボネートジオールとして、ダイセル化学工業(株)製のPLACCEL CD220PL(水酸基価56.1KOHmg/g)100部、セバシン酸10.1部、ジブチル錫オキシド0.025部を入れ、反応水排出溶剤としてのトルエンの存在下、撹拌しながら180℃に昇温した。しばらくすると、水の流出分離が認められた。約24時間反応を続けることにより、重量平均分子量が6万であるポリエステル系重合体の溶液を得た。

このポリエステル系重合体の溶液に、その固形分100部あたり、軟化点が115℃のテルペンフェノール樹脂30部と、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、熱時粘着剤組成物の溶液を調製した。つぎに、この熱時粘着剤組成物の溶液を、厚さが38μmのポリエステルフィルムの片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥して、保持力測定用の粘着テープを作製した。また、剥離処理を施したポリエステルフィルムの片面に、上記と同様に塗布して、剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

実施例5−2
軟化点が115℃のテルペンフェノール樹脂30部に代えて、軟化点が145℃のロジンフェノール樹脂20部を用いた以外は、実施例5−1と同様にして、熱時粘着剤組成物の溶液を調製し、またこの溶液を用いて保持力測定用と剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

実施例5−3
軟化点が115℃のテルペンフェノール樹脂30部に代えて、軟化点が120℃のクマロン−インデン樹脂50部を用いた以外は、実施例5−1と同様にして、熱時粘着剤組成物の溶液を調製し、またこの溶液を用いて保持力測定用と剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

参考例5−1
実施例5−1で得たポリエステル系重合体の溶液に、その固形分100部あたり、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、熱時粘着剤組成物の溶液を調製した。

つぎに、この熱時粘着剤組成物の溶液を用いて、実施例5−1と同様にして、保持力測定用と剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

参考例5−2
軟化点が115℃のテルペンフェノール樹脂30部に代えて、軟化点が50℃のテルペンフェノール樹脂30部を用いた以外は、実施例5−1と同様にして、熱時粘着剤組成物の溶液を調製し、またこの溶液を用いて保持力測定用と剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

比較例5−1
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル50部およびトルエン50部を溶媒として、アクリル酸2−エチルヘキシル50部、アクリル酸n−ブチル45部、アクリル酸4.9部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素ガス気流中で重合処理することにより、重量平均分子量が70万であるアクリル系重合体の溶液を得た。

このアクリル系重合体の溶液に、その固形分100部あたり、軟化点が115℃のテルペンフェノール樹脂30部と、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物2部を添加,混合して、熱時粘着剤組成物の溶液を調製した。つぎに、この溶液を用いて、実施例5−1と同様にして、保持力測定用と剪断接着力および耐衝撃性測定用の粘着テープを作製した。

上記の実施例5−(1〜3)、参考例5−(1,2)および比較例5−1で作製した各粘着テープについて、保持力と剪断接着力および耐衝撃性を、下記の方法で測定した。これらの結果は、後記の表6に示されるとおりであった。

<保持力>
幅10mmの粘着テープを、フェノール樹脂板に対し10mm×20mmの接着面積で120℃,5Kg/cm2 ,1分の条件で貼り付け、20分経過後80℃に20分放置したのち、フェノール樹脂板を垂下し、粘着テープの自由端に500gの均一荷重を負荷して、80℃での粘着テープの落下時間(分)を測定した。

<剪断接着力>
10mm×10mmの粘着テープを、0.5mm×20mm×100mmのアルミニウム板と2.0mm×20mm×100mmのPC板との間に貼り合わせ、120℃,5Kg/cm2 ,2分の条件で接着し、2時間放置後、その剪断に要する力を、引張速度10mm/分の条件で、常温(23℃,65%RH)および高温(80℃)の雰囲気下で、それぞれ測定した。

<耐衝撃性>
10mm×10mmの接着テープを、2mm×60mm×60mmのPC板と0.5mm×50mm×50mmのSUS304板との間に貼り合わせ、120℃,5Kg/cm2 ,1分の条件で接着し、2時間放置後、0℃で80cmの高さからコンクリート上に落下させ、破壊に要するまでの回数を測定した。






表6
┌──────┬─────┬───────────┬────┐
│ │ 保持力 │剪断接着力(kg/cm2 )│耐衝撃性│
│ │ ├─────┬─────┤ │
│ │ (分) │ 23℃ │ 80℃ │ (回)│
├──────┼─────┼─────┼─────┼────┤
│実施例5−1│ >120│ 32 │ 10 │ >10│
│ │ │ │ │ │
│実施例5−2│ >120│ 35 │ 12 │ >10│
│ │ │ │ │ │
│実施例5−3│ >120│ 27 │ 8 │ >10│
├──────┼─────┼─────┼─────┼────┤
│参考例5−1│ >120│ 22 │ 5 │ >10│
│ │ │ │ │ │
│参考例5−2│ 50│ 25 │ 2 │ >10│
├──────┼─────┼─────┼─────┼────┤
│比較例5−1│ >120│ 28 │ 3 │ 2│
└──────┴─────┴─────┴─────┴────┘

上記の表6より、実施例5−(1〜3)の各粘着テープは、高温(80℃)での保持力(耐クリープ性)と常温および高温での剪断接着力を満足し、かつ低温(0℃)での耐衝撃性にもすぐれていることが明らかである。

実施例6−1
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕200.0g(水酸基:0.41当量)、無水コハク酸20.51g(酸基:0.41当量)、触媒としてのDBTOを102mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約27時間反応を続け、重量平均分子量が56,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を1.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルムの上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

実施例6−2
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.51当量)、セバシン酸51.8g(酸基:0.51当量)、触媒としてのDBTOを127mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、重量平均分子量が60,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対して、架橋剤として、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが40μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

実施例6−3
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.25当量)、セバシン酸26.8g(酸基:0.26当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約31時間反応を続けて、重量平均分子量が74,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが40μmのポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

実施例6−4
実施例6−3のポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を2.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが60μmのポリエチレンフィルム上に塗布し、80℃で10分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、基材レスの両面粘着タイプの粘着シートを作製した。

実施例6−5
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.25当量)、セバシン酸25.0g(酸基:0.25当量)、触媒としてのチタニウムテトライソプロポキシドを70mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約24時間反応を続けて、重量平均分子量が59,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

実施例6−6
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕155.4gとポリカプロラクトンジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL 220PL」、水酸基価:55.9KOHmg/g〕84.1g(水酸基合計:0.24当量)、無水コハク酸12.1g(酸基:0.24当量)、触媒としてのDBTOを59mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約20時間反応を続けて、重量平均分子量が37,000となるポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を3.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

実施例6−7
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカーボネートジオール〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕218.1gとオクタンジオール24.2g(水酸基合計:0.55当量)、無水コハク酸27.9g(酸基:0.56当量)、触媒としてのDBTOを60mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約22時間反応を続けて、重量平均分子量が24,000のポリエステルを得た。

このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHL」〕を3.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

比較例6−1
アクリル酸ブチル92部とアクリル酸8部とのモノマー混合物を使用し、このモノマー混合物にトルエン150部とアゾビスイソブチロニトリル0.1部とを添加した混合溶液を、窒素雰囲気中、60℃で約7時間溶液重合して、ポリマー溶液を得た。このポリマー100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートL」〕を2.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、120℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが40μmのポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

比較例6−2
天然ゴム100部、脂肪族系石油樹脂(軟化点100℃)100部、軟化剤(ポリブテン)20部をトルエン150部に溶解し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネートL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケーターにより、厚さが38μmのPETフィルム上に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着面に厚さが60μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて、粘着シートを作製した。

上記の実施例6−(1〜7)および比較例6−(1,2)の各粘着シートについて、下記の方法により、剥離ライナーの剥離力および接着力の測定を行った。結果は、後記の表7に示されるとおりであった。

<剥離力の測定>
雰囲気温度23℃にて、粘着シートから剥離ライナーをインストロン型引張試験機により剥離速度300mm/分の条件で剥離し、剥離角度180度で剥離力を測定した。

<接着力の測定>
粘着シートから剥離ライナーを剥がし、アルミニウム板に貼り付け、雰囲気温度23℃、貼付時間30分、剥離速度300mm/分の条件で、180度剥離粘着力を測定した。なお、実施例6−4については基材を持つていないため、厚さが38μmのPETフィルムを裏打ちして測定した。

表7
┌──────┬──────────┬──────────┐
│ │ 剥 離 力 │ 接 着 力 │
│ │ (g/50mm幅) │ (g/20mm幅) │
├──────┼──────────┼──────────┤
│実施例6−1│ 15 │ 1,500 │
│ │ │ │
│実施例6−2│ 20 │ 1,300 │
│ │ │ │
│実施例6−3│ 45 │ 1,100 │
│ │ │ │
│実施例6−4│ 15 │ 1,100 │
│ │ │ │
│実施例6−5│ 9 │ 2,200 │
│ │ │ │
│実施例6−6│ 10 │ 2,300 │
│ │ │ │
│実施例6−7│ 17 │ 1,600 │
├──────┼──────────┼──────────┤
│比較例6−1│ 900 │ 1,100 │
│ │ │ │
│比較例6−2│ 800 │ 1,300 │
└──────┴──────────┴──────────┘

上記の表7の結果から明らかなように、本発明の実施例6−(1〜7)の各粘着シートは、いずれも、シリコーン処理を施していない剥離ライナーを用いているにもかかわらず、剥離作業に支障をきたすことのない小さい剥離力を示すとともに、実用上望まれる大きな接着力を有していることがわかる。

Claims (8)

  1. 粘着剤組成物からなる層を有し、室温での貯蔵弾性率〔G′〕が2×106 dyne/cm2 以上、室温での接着力が1Kg/20mm幅以上である粘着シート類。

  2. −30℃での貯蔵弾性率〔G′〕が3×107 dyne/cm2 以下である請求項1に記載の粘着シート類。

  3. 80℃での貯蔵弾性率〔G′〕が1×106 dyne/cm2 以上である請求項1に記載の粘着シート類。

  4. 基材の片面または両面に粘着剤組成物からなる層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート類。

  5. 粘着面にシリコーン処理を施していない剥離ライナーが貼り合わされている請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート類。

  6. シリコーン処理を施していない剥離ライナーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィン系フイルム、あるいは表面が上記同様のポリオレフィンにより加工されたフイルムであり、この剥離ライナーの剥離力が200g/50mm幅以下である請求項5に記載の粘着シート類。

  7. 基材の片面に粘着剤組成物からなる層を有し、この基材の背面側がシリコーン処理されておらず、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回してなる請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート類。

  8. 基材の片面に粘着剤組成物からなる層を有し、基材の少なくとも背面側をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィンで構成して、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回してなる請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート類。
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JP2010221366A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Toyo Ink Mfg Co Ltd 研磨材固定用両面感圧接着シート
JP2014221864A (ja) * 2013-05-13 2014-11-27 積水化学工業株式会社 電子機器用粘着シート

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