JP2004099651A - 制振接着剤用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)酸無水物基を有する液状イソプレン100質量部と、(B)アミン系潜在性硬化剤1〜4質量部と、(C)酸化防止剤0.5〜5質量部と、(D)アクリル化合物0.5〜5質量部とを含有する、制振接着剤用ゴム組成物。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振接着剤用ゴム組成物に関し、特に油面鋼板(表面に油が付着している鋼板)に使用される、振動吸収能と耐熱老化性に優れる制振接着剤用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、騒音振動問題が社会問題化しつつあり、環境改善の対策が強く望まれている。そこで、例えば、自動車のエンジン回り、懸架系、駆動系、操向系等、床材等の各種部材または部品等には、遮音制振性等を保つため、制振接着剤が用いられている。
【0003】
この制振接着剤は、振動を発生する部位に接着して発生する振動を抑制すること、または周囲に振動を伝導させないことが要求される。そのため、発生する振動の周波数に応じて、その振動を有効に抑制できることが求められる。また、使用される用途によっては、広い温度領域で振動を抑制することも要求される。さらに、振動環境下での強い接着力の維持が求められ、油面接着性(表面に油が付着している鋼板を被接着対象にした接着性)や耐温水接着性、耐熱接着性が要求されることもある。
【0004】
このような特性を満たす構造用接着剤として、エポキシ樹脂と、アクリロニトリルブタジエン共重合体と、メタアクリレートと、有機過酸化物と、エポキシ樹脂硬化剤とを用いた制振材用の樹脂組成物が知られている(特許文献1参照。)。
【0005】
このような制振材用の樹脂組成物の振動吸収能は、粘弾性率tanδで表され、粘弾性率tanδは粘性項と弾性項との比(粘性項/弾性項)で表される。この場合、粘弾性率tanδが大きいほど振動吸収能は高く、従って粘性項≫弾性項であることが望ましい。
【0006】
ところが、従来の制振材用のエポキシ樹脂系接着剤は、高接着力を有することから高弾性であり、従って弾性項が大きい。そこで、粘弾性率tanδを大にするためには、粘性項を十分に大きくしなければならないが、エポキシ樹脂系接着剤に高接着力を維持させなければならないこととのバランス上、限界がある。その結果、従来の制振材用のエポキシ樹脂系接着剤は、全体的にtanδが低く、制振材として不充分なものであり、広い温度領域において、高い制振機能を有する接着性に優れた制振接着剤が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−294329号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決できるゴム組成物として、本発明者らは、液状イソプレンゴムと、過酸化物を液状イソプレンゴム1モルに対し1.3〜1.8モルと、接着性付与化合物および/または密着性付与化合物を液状イソプレンゴム100重量部に対し1重量部〜20重量部とを含有するゴム組成物であって、該組成物の硬化物の物性が、−20〜80℃の温度下で、G≦1MPa、tanδ≧0.3、かつ下記関係式(1);
log(tanδ)≧(0.24)logG−0.67 (1)
(式中、tanδは硬化物の粘弾性率、Gは硬化物の弾性率)
を満たす、高い制振性能を有することを特徴とする制振接着ゴム組成物を提供した(特許文献2参照。)。
【0009】
しかし、例えば、材料等の最適化、製造工程の短縮化、効率改善等により、耐熱老化性に十分満足できるゴム組成物が要求されるが、上記ゴム組成物は、酸化防止剤を配合しても、十分満足できる耐熱老化性を発揮し得ない場合がある。
特に、上記の技術革新等により、ゴム組成物に要求される物性、特徴等が高度化する現状においては、該ゴム組成物の高接着性と広い温度領域における高制振性能を保持したまま、耐熱老化性の更なる改善が求められていた。
【0010】
本発明は、接着性に優れ、広い温度領域における高い制振性を有し、かつ、耐熱老化性に優れる制振接着剤用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【特許文献2】特開2002−47467号公報
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、ゴム組成物の架橋システム(系)を、液状イソプレンに導入した酸無水物基とアミノ基(アミン系潜在性硬化剤)との酸無水物基開環反応システムにすると、酸化防止剤を含有させても架橋システムに影響を与えず、良好な架橋硬化性および十分な耐熱老化性を発揮することを知見した。
また、本発明者らは、該組成物にアクリル化合物を含有させると、油面鋼板に対する接着性に優れることを知見し、さらに、これらを含有するゴム組成物が、広い温度領域において、高い制振性を有することを知見した。
【0013】
本発明は、上記知見を基になされたものである。
すなわち、本発明は、(A)酸無水物基を有する液状イソプレン100質量部と、(B)アミン系潜在性硬化剤1〜4質量部と、(C)酸化防止剤0.5〜5質量部と、(D)アクリル化合物0.5〜5質量部とを含有する、制振接着剤用ゴム組成物(以下、「本発明のゴム組成物」という。)である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、酸無水物基を有する液状イソプレン(A)を含有する。
酸無水物基を有する液状イソプレン(A)(以下、「イソプレン(A)」という場合がある。)は、例えば、後記する式(1)のように、酸無水物基(例えば、無水マレイン酸)のエチレン性不飽和結合部分がイソプレン骨格と反応して得られる、環状酸無水物基を有する液状イソプレンである。
該イソプレン(A)は、その主鎖末端および側鎖に、酸無水物基以外の官能基を有していてもよいが、酸無水物基のみを有しているのが好ましい。
【0015】
酸無水物の変性量は、良好な架橋硬化性と広い温度領域における高い制振性をバランスよく両立できる点で、液状イソプレンを構成するイソプレンモノマー100mol%に対して、0.7〜0.9mol%である。
【0016】
イソプレン(A)の重量平均分子量は、液状であれば特に限定されず、本発明のゴム組成物の使用目的、該組成物に要求される物性に応じて適宜選択することができる。
具体的には、イソプレン(A)重量平均分子量が、10,000〜100,000であるのが好ましく、取り扱い性(加工性)および硬化物の硬度等の点で20,000〜50,000程度が特に好ましい。
【0017】
該イソプレン(A)は、例えば、液状イソプレンを酸無水物で(グラフト)変性して得られる。
【0018】
イソプレン(A)の製造に用いられる液状イソプレンとしては、イソプレンを、リチウム系開始剤、あるいはチタン系触媒等により溶液重合して製造されるものを挙げることができる。液状イソプレンとしては、いずれの重合触媒を用いて製造した液状イソプレンを用いてもよい。液状イソプレンとしては、加工性、硬化物の硬度等の観点から、重量平均分子量20,000〜50,000のものが好ましい。
また、天然ゴムの主鎖をニトロベンゼン存在下で紫外線照射により切断して得られるイソプレン系液状ゴム(分子量約10,000)を、本発明の目的を損なわない範囲で、液状イソプレンとともに用いてもよい。
【0019】
イソプレン(A)の製造に用いられる酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、製造条件が穏やかで操作が容易であるため、無水マレイン酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸が好ましい。
【0020】
イソプレン(A)は、具体的には、液状イソプレンと酸無水物とを混合し、必要により触媒を添加し、温度140℃で20時間加熱することにより得られる。
上記変性条件は、特に限定されず、通常行われる条件を任意に選択することができる。
【0021】
また、イソプレン(A)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、LIR−403(クラレ社製)、LIR−410A(クラレ社試作品)等の無水マレイン酸変性イソプレンゴム等を挙げることができる。
【0022】
本発明においては、上記イソプレン(A)を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。この場合の混合比は、組成物が用いられる用途、組成物に要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
【0023】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、上記イソプレン(A)とともに液状イソプレンを用いることもできる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、アミン系潜在性硬化剤(B)を含有する。
アミン系潜在性硬化剤(B)の活性化温度は、硬化物の発泡を抑える観点から、イソプレン(A)の硬化温度よりも低い温度であることが好ましく、また本発明のゴム組成物の貯蔵安定性を良好に保つ点で、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
【0025】
本発明において使用することのできるアミン系潜在性硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン;n−ヘキシルアミン、モノエチルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン等のアミンと三フッ化ホウ素との化合物である三フッ化ホウ素−アミン錯体;エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等のアミンと五フッ化リン、五フッ化アンチモンとの化合物である五フッ化リン−アミン錯体、五フッ化アンチモン−アミン錯体;ブトキシボロキシン−ブチルアミン錯体;臭化亜鉛−p−フェニレンジアミン錯体;ジシアンジアミドまたはo−トリルビグアニド、α−2,5−ジメチルビグアニド、α,ω−ジフェニルビグアニド、5−ヒドロキシナフチル−1−ビグアニド等のジシアンジアミドの誘導体;コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド等の酸ヒドラジド;ジアミノマレオニトリルまたはその誘導体;メラミンまたはジアリルメラミン等のメラミンの誘導体;カルボン酸エステルとジメチルヒドラジンとエポキシ化合物により合成されるアミンイミド類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペリジン等のジアミンとセバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸との塩;2,4,4−トリメチル−2,4,7−トリヒドロキシフラバン等のポリアミンとN,N´−ジメチル1,3−プロパンジアミン等のポリヒドロキシフェノールとの塩;ポリアミンのフェニルホスホン酸塩;ポリアミンのフェニルリン酸塩;2−ヘプタデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2−メチルイミダゾリル−(1)〕−エチル−S−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウム・クロライド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウム・クロライド等のイミダゾール類、2,4−ジアミノ−6−〔2´メチルイミダゾリル−(1´)〕−エチル−5−トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名2MAOK、四国化成社製等)、マイクロカプセル型アミン(商品名ノバキュアーHX3722、旭化成社製等)、アデカハードナー2014FG等を挙げることができる。
【0026】
この中でも、アデカハードナー2014FG等が好ましい。
上記アミン系潜在性硬化剤(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
アミン系潜在性硬化剤(B)の含有率は、イソプレン(A)100質量部に対して、1〜4質量部であり、好ましくは1.5〜3.5質量部、特に好ましくは2〜3質量部である。
【0028】
本発明のゴム組成物は、酸化防止剤(C)を含有する。
本発明で用いる酸化防止剤(C)は、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各化合物が挙げられる。
【0029】
酸化防止剤(C)としては、具体的には、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、スチレン化フェノール(SP)、エチレン−ビス(オキシエチレン)−ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](イルガノックス245)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシシアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、亜リン酸トリフェニルが挙げられる。
【0030】
この中でも、エチレン−ビス(オキシエチレン)−ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](イルガノックス245)が好ましい。
【0031】
上記酸化防止剤は、単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0032】
酸化防止剤(C)の含有率は、イソプレン(A)100質量部に対して、0.5〜5質量部であり、好ましくは1〜4質量部、特に好ましくは2〜3質量部である。
【0033】
本発明のゴム組成物は、アクリル化合物(D)を含有する。
アクリル化合物(D)は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系モノマー、またはこれらの1種もしくは2種以上が重合したオリゴマー等が挙げられる。
このアクリル化合物(D)の具体例として、ポリエステルアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0034】
この中でも、ポリエステルアクリレートが好ましい。
上記アクリル化合物(D)は、単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0035】
アクリル化合物(D)の含有率は、イソプレン(A)100質量部に対して、0.5〜5質量部であり、好ましくは1〜4質量部、特に好ましくは2〜3質量部である。
【0036】
本発明のゴム組成物は、上記成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、接着性付与剤(密着性付与剤)、垂れ止め剤、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、溶剤等を含有することができる。
【0037】
充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化カルシウムをはじめとして、各種形状の無機質充填剤および有機質充填剤を用いることができる。
無機質充填剤としては、例えば、ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
有機質充填剤としては、例えば、架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル、尿素樹脂等のバルン状(球状)・中空状・コアシェル型充填剤;カーボン繊維、合成繊維、天然繊維等の繊維状充填剤;木粉、竹粉、ヤシ殻粉、コルク粉、パルプ粉等の粉末状充填剤が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
可塑剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等が挙げられる。
【0039】
接着性付与剤(密着性付与剤)としては、ゴム組成物に、一般に配合される接着性付与化合物、密着性付与化合物が利用可能である。
接着性付与化合物としては、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系接着促進剤、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、含窒素(メタ)アクリレート等の油面接着促進剤等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0040】
密着性付与化合物としては、例えば、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂およびそのロジン変性体、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、ポリブテン、水素添加ロジンおよびその加工品、パインタール等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物には、これらの接着性付与化合物、または密着性付与化合物の双方を含有してもよく、また、いずれか一方のみを含有してもよい。
【0041】
特に、優れた接着性、あるいは密着性を付与することから、接着性付与化合物あるいは密着性付与化合物として、例えばエポキシ基含有化合物を用いるのが好ましい。
このようなエポキシ基含有化合物としては、エポキシ樹脂系接着剤の成分として用いられる一分子中に平均一個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物が挙げられる。
【0042】
垂れ止め剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。市販品を利用することもでき、例えば、楠本化成社製のディスパロンが挙げられる。
【0043】
顔料としては、無機顔料と有機顔料のいずれも用いることができる。
無機顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
【0045】
本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは、上述の各成分(A)〜(D)、必要に応じて上記添加剤等を減圧下または窒素雰囲気下に、混合ミキサー等の攪拌装置を用いて充分混練し、均一に分散させてゴム組成物とし、密封容器に保存される。
【0046】
本発明のゴム組成物の硬化条件は、使用する上記成分によって適宜決めることができ、特に限定されないが、160℃〜200℃の温度で、15分〜60分で硬化できるのが好ましい。
本発明のゴム組成物の硬化方法としては、特に限定されない。
例えば、自動車製造ラインで本発明のゴム組成物を用いる場合には、本発明のゴム組成物を、フレーム部材等のフランジに塗布し、車体の電着塗装過程で、その焼付乾燥熱により硬化させることが例示され、このようにするとフランジ間の隙間を埋めつつ接着させることが可能である。
【0047】
本発明のゴム組成物の接着対象物としては、特に制限されない。
例えば、自動車の車体構成部材、具体的には、例えば、自動車のエンジン回り、懸架系、駆動系、操向系等、床材等の各種部材または部品を形成する油面鋼板等を挙げることができる。
【0048】
本発明のゴム組成物は、架橋システムを液状イソプレンに導入した酸無水物基とアミノ基(アミン系潜在性硬化剤)との酸無水物基開環反応システムにすることにより、酸化防止剤を含有しても該架橋システムを阻害することがないため、良好な架橋硬化性および十分な耐熱老化性を発揮できる。
また、本発明のゴム組成物は、酸無水物基を有する液状イソプレンゴムを主ポリマーとして使用しているため、脱脂していない油面鋼板をそのまま接着させても高い接着性および制振性を有する。特に、アクリル化合物を含有するため、上記液状イソプレンゴムによる油面鋼板への接着力が補強され、より高い接着性を有する。
本発明のゴム組成物は、上記構成をなすため、接着性に優れ、広い温度領域で高い制振性を有するものである。このため、制振接着剤、例えば、車両鋼板用制振接着剤として、好適に使用される。
【0049】
なお、本発明のゴム組成物は、一液型ゴム組成物を対象としているが、組成物の使用に際し、本発明のゴム組成物を二液型ゴム組成物として使用することも可能である。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0051】
<ゴム組成物の製造>
(実施例1〜3および比較例1〜7)
以下に示される材料を第1表に示される量比(質量部)で、常温、減圧下にて、高粘度用混合攪拌機により攪拌混合し、各ゴム組成物を得た。
【0052】
実施例および比較例で用いた各成分(A)〜(D)、および各種添加剤等を以下に示す。
以下の式(1)に示す酸無水物基を有する液状イソプレン(A):LIR−403(クラレ社製、重量平均分子量25,000、変性量は上記範囲を満たす。)液状イソプレン:LIR−30(クラレ社製、重量平均分子量29000)
アミン系潜在性硬化剤(B):アデカハードナー2014FG(旭電化工業(株)製)
酸化防止剤(C):イルガノックス245(チバスペシャリティーケミカル社製)
アクリル化合物(D):ポリエステルアクリレート(アロニックスM8030、東亜合成社製)
過酸化物:ジクミルパーオキサイド(パークミルD40、日本油脂社製)
可塑剤:パラフィン系プロセスオイル(PS−32、出光石油化学社製)
垂れ止め剤:ヒュームドシリカ(レオロシールQS102S、トクヤマ社製)
充填剤:炭酸カルシウム(スノーライトTS、丸尾カルシウム(株)製)
【0053】
【化1】
【0054】
得られた各ゴム組成物について、硬化状態(表面および内部)を確認し、また、制振性(tanδ)、剪断接着力(初期接着性および耐熱接着性)を下記の方法で測定し、評価した。その結果を第1表に示す。
なお、制振性試験および剪断接着力試験において、第1表中「−」は、得られたゴム組成物が硬化しにくくまたは硬化せず、測定できなかったことを表す。
【0055】
<硬化状態(表面)試験>
得られた各ゴム組成物を180℃で30分加熱し、硬化させた。硬化物の表面を、触診(手)により、確認し評価した。
評価は、表面が硬化しべたつきがなかった場合を「○」、少しべたついた場合(粘着性を感ずる程度で実用レベルではまったく問題ない場合)を「△」、べたついた場合を「×」、硬化しなかった場合を「××」の4段階で行った。
【0056】
<硬化状態(内部)試験>
上記と同様の条件で硬化させ、硬化物を切断し、その内部(切断表面)を触診(手)により、確認し評価した。
評価は、上記と同様に4段階で行った。
【0057】
<制振性(tanδ)試験>
離型PETシートに試料を適量吐出し厚さ2mmのスペーサーを挟んで離型PETシートでサンドイッチして180℃に加熱したプレス成形機で30分間プレスすることで架橋・成形して厚さ2mmのシート状硬化物を得た。これを直径25mmの円形に成形し粘弾性測定装置(RDA2、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)を用いて−50〜100℃の温度範囲で昇温速度5℃/min、strain0.5%、荷重50g、10Hzの条件で測定することで、−20℃、20℃、80℃の粘弾性率tanδを測定した。
tanδは、0.25以上であればよく、好ましくは0.30以上であれば、高い制振性を有するといえる。
【0058】
<剪断接着力(初期接着力および耐熱接着力)試験>
剪断接着力試験を、JIS8030に準じて行った。試験片は防錆油を塗布した25mm×75mm×1.0mmの鋼板を用いて、試料を25mm×25mm×1mmになるように塗布し、180℃30分にて加熱硬化させた試験片を以下の条件下で各接着力を測定した。引張速度は50mm/分にて行った。
【0059】
初期接着力:20℃、55%RHの条件下で1日間放置後。
耐熱接着力:120℃の条件下で4週間放置後。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明により、接着性に優れ、広い温度領域における高い制振性を有し、かつ、耐熱老化性に優れる制振接着剤用ゴム組成物を提供できる。
Claims (1)
- (A)酸無水物基を有する液状イソプレン 100質量部と、
(B)アミン系潜在性硬化剤 1〜4質量部と、
(C)酸化防止剤 0.5〜5質量部と、
(D)アクリル化合物 0.5〜5質量部と、
を含有する、制振接着剤用ゴム組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002259821A JP4133134B2 (ja) | 2002-09-05 | 2002-09-05 | 制振接着剤用ゴム組成物 |
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