JP2004098726A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置において、車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置(33)と、目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングでナビゲーション装置(33)から提供される誘導経路の道路環境に基づいて目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成する手段(16)と、この目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量を演算する手段(16)と、目的地までの道路環境を使用せずに車両を目的地まで制御する場合の予測燃料消費量を演算する手段(16)と、これら2つの予測燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する手段(33e)とを備える。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンとモータの複数の駆動源により走行するハイブリッド車両の制御装置、特に、ナビゲーション装置を備え、このナビゲーション装置に運転者が目的地を入力すると、ナビゲーション装置が目的地までの最適な走行経路を探索してディスプレイ上に表示し、その最適な走行経路に沿って運転者を誘導するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ナビゲーション装置により探索された走行経路(誘導経路)における渋滞情報・標高情報・車線数などの道路環境を、同じくナビゲーション装置から入手し、その道路環境に応じてバッテリヘの充放電量を計画すると共に、その充放電計画に沿ってエンジンとモータの運転点を決定するようにしたハイブリッド車両の制御装置が提案されている(特開2001−298805号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のハイブリッド車両の制御装置では、誘導経路における燃料消費量を最小限に抑制しながら、メインバッテリのSOCが目標値となるようにエンジンとモータを制御している。すなわち、運転者が目的地をナビゲーション装置に入力し、ナビゲーション装置により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を制御するとき、目的地までの燃料消費量を抑制できる。
【0004】
しかしながら、上記従来のハイブリッド車両の制御装置では、ナビゲーション装置に目的地が入力されていない場合には、目的地までの最適な走行経路を探索し得ず、従って有効な充放電計画を作成できないため目的地までの燃料消費量を抑制できない。すなわち、誘導経路に従って車両を制御する場合と、目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を制御する場合とを比較し、誘導経路に従って車両を制御する場合にはどのくらい燃料消費量が少なくて済むのか、あるいは目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を制御する場合にはどのくらい燃料消費量が多くなるのか、といった具体的な情報が運転者に知らされれば、運転者は燃料消費量の低減や悪化の各効果を実感することが可能となるので、運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また運転者にナビゲーション装置への目的地の入力を促すことにもなるのであるが、こうした燃料消費量の具体的な情報は運転者に知らせるようになっておらず、ナビゲーション装置への目的地の入力を運転者に対して促す方法がなかった。
【0005】
そこで本発明は、ナビゲーション装置に目的地を入力し、ナビゲーション装置により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を制御する場合の燃料消費量の低減効果や、目的地をナビゲーション装置に入力しないで車両を制御する場合の燃料消費量の悪化効果をそれぞれ運転者に提示し、これにより運転者への良燃費意識を高めることに貢献すると共に、運転者に対してナビゲーション装置への目的地の入力を促すことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングでナビゲーション装置から提供される誘導経路の道路環境に基づいて目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成する将来充放電計画作成手段と、この目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量を演算する第1予測燃料消費量演算手段と、目的地までの道路環境を使用せずに車両を目的地まで制御する場合の予測燃料消費量を演算する第2予測燃料消費量演算手段と、これら2つの予測燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車輌の位置を地図上に特定し、車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する予測燃料消費量演算手段と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を現在地まで制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、これら2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段とを備える。
【0008】
第3の発明は、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する第1予測燃料消費量演算手段と、ナビゲーション装置から提供される誘導経路の道路環境に基づいて現在地から目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成する将来充放電計画作成手段と、この現在地から目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量を演算する第2予測燃料消費量演算手段と、現在地から目的地までの道路環境を使用せずに車両を現在地から目的地まで制御する場合の予測燃料消費量を演算する第3予測燃料消費量演算手段と、現在地までの実際の燃料消費量及び現在地から目的地までの予測燃料消費量の和と、現在地までの予測燃料消費量及び現在から目的地までの予測燃料消費量の和との2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段とを備える。
【0009】
第4の発明は、エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する予測燃料消費量演算手段と、車両が目的地に到達したとき、これら2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段とを備える。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングで、これより先目的地まで誘導経路に従って車両を制御した場合の予測燃料消費量と、目的地を入力することなく目的地まで車両を制御した場合の予測燃料消費量との差異の情報を運転者に提示するので、誘導経路に従って目的地までの車両の制御を開始する前に運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また運転者に対してナビゲーション装置への目的地の入力を促すことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、現在地まで誘導経路に従って車両を制御したと仮定した場合の予測燃料消費量と、目的地を入力することなく現在地まで車両を制御してきた場合の実際の燃料消費量との差異の情報を運転者に提示するので、運転者がナビゲーション装置への目的地を入力していない場合においても、運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また運転者にナビゲーション装置への目的地の入力を促すことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、現在地まで誘導経路に従って車両を制御してきた場合の実際の燃料消費量及びこれから先目的地までも誘導経路に従って車両を制御した場合の予測燃料消費量の和と、ナビゲーション装置に目的地を入力することなく現在地まで車両を制御したと仮定した場合の予測燃料消費量及びこれから先もナビゲーション装置に目的地を入力することなく目的地まで車両を制御した場合の予測燃料消費量の和との2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示するので、運転者が誘導経路に従って車両を運転している途中においても、運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また、運転者にナビゲーション装置への目的地の入力を促すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、2つの燃料消費量の差異の情報を、車両が目的地に到達した時点で提示するので、2つの燃料消費量の差異の情報を誘導経路走行1回ごとの値として提示できる。また、誘導経路の道路環境違いによる2つの燃料消費量の差異も運転者に情報提供できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に一実施形態の構成を示す。図において、太い実線は機械力の伝達経路を示し、太い破線は電力線を示す。また、細い実線は制御線を示し、二重線は油圧系統を示す。
【0016】
このハイブリッド車両のパワートレインは、モータ1、エンジン2、クラッチ3、モータ4、無段変速機5、減速装置6、差動装置7および駆動輪8から構成される。エンジン2とモータ4との間にはクラッチ3が介装され、モータ1の出力軸、エンジン2の出力軸およびクラッチ3の入力軸が互いに連結されると共に、クラッチ3の出力軸、モータ4の出力軸および無段変速機5の入力軸が互いに連結される。
【0017】
クラッチ3の締結時にはエンジン2とモータ4が車両の推進源となり、クラッチ3の解放時にはモータ4のみが車両の推進源となる。エンジン2とモータ4のいずれか一方または両方の駆動力は、無段変速機5、減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8へと伝達される。無段変速機5には油圧装置9からの圧油が供給され、この圧油によりベルトのクランプと潤滑とが達成される。油圧装置9のオイルポンプ(図示しない)はモータ10により駆動される。
【0018】
モータ1、4、10は三相同期電動機または三相誘導電動機などの交流機であり、モータ1は主としてエンジン2の始動と発電に用いられ、モータ4は主として車両の推進と制動とに用いられる。モータ10は油圧装置9のオイルポンプ駆動用である。モータ1、4、10には交流機に限らず直流電動機を用いることもできる。クラッチ3の締結時に、モータ1を車両の推進と制動に用いることもでき、モータ4をエンジン2の始動や発電に用いることもできる。
【0019】
クラッチ3はパウダークラッチであり、伝達トルクを調節することができる。このクラッチ3には乾式単板クラッチや湿式多板クラッチを用いることもできる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。
【0020】
モータ1、4、10はそれぞれ対応するインバータ11、12、13により駆動される。モータ1、4、10に直流電動機を用いる場合には、インバータの代わりにDC/DCコンバータを用いる。インバータ11〜13は共通のDCリンク14を介してメインバッテリ15に接続されており、メインバッテリ15の直流充電電力を交流電力に変換してモータ1、4、10へと供給すると共に、モータ1、4の交流発電電力を直流電力に変換してメインバッテリ15を充電する。インバータ11〜13は互いにDCリンク14を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力をメインバッテリ15を介さずに直接、力行運転中のモータへ供給することができる。メインバッテリ15には、リチウム・イオン電池、ニッケル・水素電池、鉛電池などの各種電池や、電機二重層キャパシタいわゆるパワーキャパシタを用いることができる。
【0021】
車両コントローラ16はマイクロコンピュータとメモリなどの周辺部品から構成され、モータ1、4、10の回転速度や出力トルク、エンジン2の回転速度や出力トルク、クラッチ3の締結と解放、無段変速機5の変速比などを制御する。
【0022】
車両コントローラ16には、図2に示すように、キースイッチ20、ブレーキスイッチ21、アクセルセンサ22、車速センサ23、バッテリ温度センサ24、バッテリSOC検出装置25、エンジン回転速度センサ26、スロットルセンサ27などが接続されている。
【0023】
イグニッションキースイッチ20は車両のキーがON位置またはSTART位置に設定されるとオン(閉路)する。ブレーキスイッチ21はブレーキペダル(図示しない)の踏み込み状態を検出し、アクセルセンサ22はアクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度」と呼ぶ。)を検出する。車速センサ23は車両の走行速度を検出し、バッテリ温度センサ24はメインバッテリ15の温度を検出する。また、バッテリSOC検出装置25はメインバッテリ15の充電状態(SOC:State Of Charge)を検出し、エンジン回転速度センサ26はエンジン2の回転速度を検出する。さらに、スロットルセンサ27はエンジン2のスロットルバルブ開度を検出する。
【0024】
車両コントローラ16にはまた、エンジン2の燃料噴射装置30、点火装置31、スロットル制御装置32、ナビゲーション装置33などが接続される。コントローラ16は燃料噴射装置30を制御してエンジン2への燃料の供給と停止および燃料噴射量の調節を行うと共に、点火装置31を制御してエンジン2の点火を行い、スロットル制御装置32を制御してエンジン2の発生するトルクを調節する。
【0025】
ナビゲーション装置33は、GPS受信機33aにより現在地および走行経路を検出する衛星航法装置あるいはジャイロコンパスなどにより現在地および走行経路を検出する自立航法装置といった航法装置33b、VICSなどの交通情報や道路情報を受信する路車間通信装置33c、道路地図のデータベース33d、ディスプレイ33e、目的地入力パネル33f、マイクロコンピュータのソフトウエアにより実現される経路探索機能33gなどを備え、パネル33fより運転者が目的地を入力すると、経路探索機能33gでは目的地までの最適経路を探索してディスプレイ33e上に表示し、最適経路に沿って運転者を誘導する。
【0026】
ナビゲーション装置33はまた、経路分割機能33h、道路環境検出機能33iおよび目標SOC設定機能33jを備え、これらの機能もマイクロコンピュータのソフトウエアにより実現される。経路分割機能33hは上記経路探索機能33gにより探索された目的地までの最適経路(誘導経路)を分割する。道路環境検出機能33iは、分割区間の道路曲率半径、道路勾配、交差点・トンネル・踏切などの有無、制限速度などの規制情報、市街路・山岳路などの地域情報などを検出する。目標SOC設定機能33jは、目的地におけるメインバッテリ15の目標SOC(t SOC)を設定する。
【0027】
車両コントローラー16には、走行条件予測機能16a、SOC換算効率指標演算機能16bおよびエンジン/モータ運転点演算機能16cを備え、これらの機能はマイクロコンピュータのソフトウエアにより実現されている。
【0028】
これら予測機能の行う予測方法、演算機能の行う演算方法としては、特開2001−298805号公報に記載されている方法を用いる。ここで、当該公報に記載の予測方法、演算方法について簡単に説明する。
【0029】
まず、走行条件予測機能16aでは、目的地までの経路(誘導経路)を複数の区間に区分し、各区間の道路環境(道路種別やVICSからの渋滞情報など)に基づいて各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)を演算する。
【0030】
SOC換算効率指標演算機能16bでは、これら各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)に基づいて、目的地までの消費燃料を抑制できるSOC換算効率指標SOCcを演算する。ナビゲーション装置33において目的地が設定されていない場合にはメインバッテリ15のSOCをSOC換算効率指標SOCcとして用いる。なお、両者を切換える際にはSOCcが連続的に切換わるように時間変化率に制約を課すことが望ましい。
【0031】
エンジン/モータ運転点演算機能16cでは、SOC換算効率指標演算機能16bで演算されたSOC換算効率指標SOCcと、走行条件予測機能16aで演算された予測車速p vsp(t)及び予測制駆動力指令値p tTd(t)とに基づいて、燃料利用効率の良いエンジン2およびモータ1,4の運転点(この運転点を簡単に「エンジン/モータ運転点」ともいう。)を仮に決定する。具体的にはSOC換算効率指標SOCcが大きいときには、バッテリ15充電時の燃料の利用効率が高くなるような場合にだけ充電を行うようにエンジン/モータ運転点を決定し、反対にSOC換算効率指標SOCcが小さいときにはバッテリ充電時の燃料の利用効率が低い場合でも充電を行うようにエンジン/モータ運転点を決定する。次に、各分割区間のエンジン2及びモータ1,4の仮運転点と現在のSOC(d SOC)とに基づいて目的地におけるSOCを予測し、目的地における予測SOCが目的地における目標SOC(t SOC)と略一致するまでSOC換算効率指標SOCcを収束させる。そして、車速検出値d vspとアクセル開度検出値とに基づいて予め設定した制駆動力指令値マップを検索することにより制駆動力指令値を演算し、車速検出値d vsp、この制駆動力指令値の演算値d tTd及びSOC換算効率指標の収束値SOCc jに基づいてエンジン2およびモータ1,4の最終的な運転点を決定する。
【0032】
なお、クラッチ3の締結/開放の決定法やそれらの決定に基づいてエンジン2、モータ1、4、変速機5などを制御する方法についても当該公報に記載されている方法を用いればよく、ここでは説明を省略する。
【0033】
本実施形態では、このようにSOC換算効率指標SOCcを導入し、ナビゲーション装置33により検出された道路環境に基づいて誘導経路の各分割区間毎の予測車速p vsp(t)及び予測制駆動力指令値p tTd(t)を演算し、目的地での目標SOCを達成するために燃料利用効率の良いエンジン/モータ運転点を仮に決定することで、目的地までの車速検出値d vspと制駆動力指令値の演算値d tTdとがそれぞれ予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)と一致するときには、目的地までの燃料消費量を最小限に抑制することができる。
【0034】
また、実際にエンジン/モータ運転点を決定し走行するときには、予測車速pvsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)に代えて、車速検出値d vspと制駆動力指令値の演算値d tTdを用いて正式な運転点を演算するので、予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)が実際値からずれたときでも、燃料利用効率の悪い運転点が選択されるようなことがなく、予測がずれたときでも燃料消費量の低減効果を維持できる。
【0035】
当該公報にはまた、車速と制駆動力指令値とをきめ細かく予測してSOCcを演算する方法以外にも、道路環境に対応した走行パターンを種々のSOC換算効率指標で走行した場合の単位走行距離あたりのSOC変化量データを予めメモリに記憶しておき、それらを用いることでより少ない演算量でSOCcを演算する方法なども示されており、それを用いても良い。
【0036】
さて、本実施形態では、このように走行条件予測機能16a、SOC換算効率指標演算機能16bおよびエンジン/モータ運転点演算機能16cを備えているものを前提として、車両コントローラ16に、マイクロコンピュータのソフトウエアにより実現される燃費効果演算機能16dを追加して設け、この燃費効果演算機能16dにより、ナビゲーション装置33において目的地が設定され、誘導経路の道路環境に基づいて車両の制御が行なわれる場合の燃費効果を演算させ、その演算結果を、ナビゲーション装置33に送信してナビゲーション装置33によりディスプレイ33e(情報提示手段)上に表示させる。
【0037】
燃費効果演算機能16dには、燃費効果の演算に必要となる2つの同一の車両モデルと、2つのコントローラモデルとを図3に示すように有する。
【0038】
2つの車両モデルの働きそのものは両者で同じであるので、一方の車両モデルMAで代表して説明すると、車両モデルMAは、単位時間当たり燃料消費量演算機能41A、積算機能42A、単位時間当たりSOC変化量演算機能43A、積算機能44Aからなっている。単位時間当たり燃料消費量演算機能41Aでは車速vsp m(t)と制駆動力指令値tTd m(t)とSOC換算効率指標SOCcの3つのパラメータに基づいて所定のマップを検索することにより単位時間当たりの燃料消費量fuel m1(t)[cc/s]を演算する。積算機能42Aは初期設定が可能であり、初期設定値に対して単位時間毎に、単位時間当たり燃料消費量演算機能41Aからの単位時間当たり燃料消費量fuel m1(t)を積算することで、所定時間経過後の燃料消費量積算値tfuel m1(t)を算出する。
【0039】
同様にして、単位時間当たりSOC変化量演算機能43Aでは車速vsp m(t)と制駆動力指令値tTd m(t)とSOC換算効率指標SOCcの3つのパラメータに基づいて所定のマップを検索することにより単位時間当たりSOC変化量dSOC m1(t)[%/s]を演算する。積算機能44Aも初期設定が可能であり、初期設定値に対して単位時間毎に、単位時間当たりSOC変化量演算機能43Aからの単位時間当たりSOC変化量dSOC m1(t)を積算することで、所定時間経過後のSOC変化量積算値を所定時間経過後の車両モデルMAのバッテリSOCであるSOC m1(t)として算出する。
【0040】
車両モデルMAには、ナビゲーション装置33により受信した道路環境に基づいてSOC換算効率指標SOCcを演算するコントローラモデルCAが接続されており、コントローラモデルCAによって演算されるSOC換算効率指標SOCc、車速vsp m(t)及び制駆動力指令値tTd m(t)によって車両モデルMAの出力である燃料消費量積算値と車両モデルMAのバッテリSOCとが更新される。
【0041】
一方、車両モデルMNに接続されるコントローラモデルCNは、上記のコントローラモデルCAと異なり、積算機能44Nからの車両モデルMNのバッテリSOCをそのままSOC換算効率指標SOCcとするものであり、このSOC換算効率指標SOCc、車速vsp m(t)及び制駆動力指令値tTd m(t)によって車両モデルMNの出力である燃料消費量積算値と車両モデルMNのバッテリSOCとが更新される。
【0042】
燃費効果演算機能16dでは、こうした図3に示す2つの車両モデルを用いてシミュレーションすることで燃費効果を演算する。この燃費効果の演算を図4、図5のフローチャートに従って詳述する。
【0043】
本フローチャートは所定時間毎(例えば1sec毎)に実行する。
【0044】
まずS501でナビゲーション装置33により目的地までの経路が探索された直後であるか否かをみる。すなわち、運転者がナビゲーション装置33の目的地設定パネル33fより目的地を入力すると、この入力を受けてナビゲーション装置33の誘導経路探索機能33gが目的地までの誘導経路を探索するので、ナビゲーション装置33により目的地までの経路が探索された直後(つまり経路誘導開始時点)である場合にS502〜S507の処理に進む。
【0045】
S502では、ナビゲーション装置33から受信する、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境に基づいてSOC換算効率指標SOCcを演算する。上記公報に記載の方法で前述したように、誘導経路を探索した地点より目的地までの経路を複数の区間に区分し、各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)を、道路環境検出機能により検出される道路環境に基づいて演算した上で、目的地までの消費燃料を抑制できるSOC換算効率指標SOCcを算出する。
【0046】
すぐ後のS503、S504で後述する車両モデルを用いたシミュレーションに先立って、このSOC換算効率指標SOCcの演算はコントローラモデルCAで実行し、後述するシミュレーション中、コントローラモデルCAよりSOC換算効率指標SOCc(定数)を出力させる。
【0047】
S503では、誘導経路を探索した地点より先、目的地まで誘導経路に従って車両を制御した場合の目的地までの予測燃料消費量p fuel m1[cc]を演算する。
【0048】
この予測燃料消費量p fuel m1の演算は、図3に示す車両モデルMAにおいて一方の積算機能42Aをゼロに初期化し、他方の積算機能44Aを現在のバッテリSOC(d SOC)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して各区間ごとの予測車速p vsp(t)、予測制駆動力指令値p tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、またS502で演算されたSOC換算効率指標SOCcを入力し、車両モデルMAをt=0(現在時刻)からt=tf(目的地到達時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0049】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m1(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m1(tf)を、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いて車両を制御した場合の、誘導経路を探索した地点より目的地までの予測燃料消費量p fuel m1として、またt=tfでの車両モデルMAのバッテリSOC(単位時間当たりSOC変化量dSOC m1(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値)であるSOC m1(tf)を、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いて車両を制御した場合の目的地での予測SOC(p SOC m1)として設定する。
【0050】
S504では、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の、誘導経路を探索した地点より目的地までの予測燃料消費量p fuel m2[cc]を演算する。
【0051】
この予測燃料消費量p fuel m2の演算は、図3に示すもう一つの車両モデルMNにおいて一方の積算機能42Nをゼロに初期化し、他方の積算機能44Nを現在のバッテリSOC(d SOC)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して各区間ごとの予測車速p vsp(t)、予測制駆動力指令値p tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTdm(t)として、また車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(t)をSOCcとして入力し、車両モデルMNをt=0(現在時刻)からt=tf(目的地到達時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0052】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m2(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m2(tf)を、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の、誘導経路を探索した地点より目的地までの予測燃料消費量p fuel m2として、またt=tfでの車両モデルMNのバッテリSOC(単位時間当たりSOC変化量dSOC m2(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値)であるSOC m2(tf)を、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の目的地での予測SOC(p SOC m2)として設定する。
【0053】
S505では、S503、S504で求めた2つの予測燃料消費量の差に基づいて、誘導経路を探索した地点より目的地までの道路環境を用いて車両を制御する場合の燃費効果(予測値)EFFpを次式により算出する。
【0054】
EFFp[%]
={(p fuel m2−p fuel m1)/p fuel m2}
×100 …(1)
上記公報に記載の方法で前述したように、ナビゲーション装置33に目的地を入力し、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を制御する場合に、目的地までの実際値である車速検出値d vspと制駆動力指令値の演算値d tTdとがそれぞれ予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)とに一致するとき、目的地までの燃料消費量を最小限に抑制することができ、また予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)とが実際値からずれたときでも、燃料利用効率の悪い運転点が選択されるようなことがなく、燃料消費量の低減効果を維持できるので、(1)式右辺の一方の予測燃料消費量p fuel m2のほうが(1)式右辺の他方の予測燃料消費量p fuel m1より大きくなり、従って(1)式左辺の燃費効果EFFpはプラスの値を採る。
【0055】
S506では、このように演算した燃費効果EFFpをナビゲーション装置33に送信する。ナビゲーション装置33は、この値を受信するとその値をディスプレイ33e上に表示し運転者に対して情報提供を行なう。
【0056】
上記(1)式の燃費効果EFFpは、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を制御した場合に、目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を制御した場合よりどれだけの燃費向上効果が得られそうであるかを示す値である。この燃費効果EFFpの表示例としては図6のような方法がある。すなわち、図6では右側に燃費向上効果1%ごとにニコニコ顔マークを1つ表示するものとしており、図6の場合では燃費向上効果が2.5%あることを示している。言い換えると、現時点では誘導経路に従った車両の走行を開始したばかりであり、これから先、目的地まで誘導経路に従って車両を制御したときには、目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を制御する場合より、燃費向上効果が2.5%生じるであろうことを意味している。
【0057】
なお、図6において経路誘導開始地点は旗が示す八景島シーパラダイス、目的地は別の旗が示す本厚木市の東名高速道路入口であり、ナビゲーション装置33では国道1号線を誘導経路として探索し、目的地到達時刻tfを1時間40分と予測している。
【0058】
S507では、後述するS524、S525での操作に備えるために変数r fuel m1 z,r fuel m2 zをゼロに初期化する(車両出荷時はともにゼロに設定しておく)。
【0059】
また、後述するS514での操作に備えるために変数SOC hに現在のバッテリSOC(d SOC)を代入し、後述する車両実車速r vsp(t)と実制駆動力指令値r tTd(t)も全てゼロに初期化する。なお、車両実車速r vsp(t)と実制駆動力指令値r tTd(t)はそれぞれ前述の公報で説明した車速検出値d vspと制駆動力指令値d tTdの演算値と同じものである。
【0060】
一方、目的地までの誘導経路が探索された直後でない場合にはS501よりS510に進みナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両が制御されている(経路誘導中)か否かをみる。経路誘導中でない場合(つまり目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を制御している場合)にはS511に進み、車両走行中の実際の道路環境をナビゲーション装置33から受信し、当該道路環境を一定時間(例えば1秒程度)ごとにメモリに格納していく。同時に、車両実車速r vsp(t)と実制駆動力指令値r tTd(t)も同じタイミングでメモリに格納していく。
【0061】
S512では、燃費効果を提示するタイミングであるか否かを判定する。この判定は次の条件が成立しているかどうかを1つずつチェックすることにより行い、いずれかの条件が成立しているときに燃費効果を提示するタイミングであると判断してS513〜S518に進み、これに対していずれの条件も成立していないときには燃費効果を提示するタイミングでないので今回の処理をそのまま終了する。
【0062】
▲1▼経路誘導中でない走行状態が一定時間(例えば1時間程度)継続した。
【0063】
▲2▼経路誘導中でない走行状態が一定距離(例えば20km程度)継続した。
【0064】
▲3▼給油口が開けられている。
【0065】
▲4▼車両が起動された。
【0066】
上記▲1▼の条件の成立、不成立は車両走行開始からの経過時間を計測するタイマにより、上記▲2▼の条件成立、不成立は車両走行開始からの走行距離を積算するカウンタにより判定すればよい。上記▲3▼の条件の成立、不成立は給油口の開閉を検出するセンサからの信号により判定すればよい。上記▲4▼の条件の成立、不成立はキースイッチ20とエンジン回転速度センサ26からの信号により判定すればよい。
【0067】
S513では、ナビゲーション装置33から受信した現在地までの道路環境に基づいてSOC換算効率指標SOCcを演算する。すなわち、S502と同じアルゴリズムにより、現在地までの経路を複数の区間に区分し、各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)を、S511でメモリに格納した道路環境に基づいて演算した上で、現在地までの消費燃料を抑制できるSOCcを算出する。
【0068】
このとき、目標SOC(t SOC)としては、現在のバッテリSOC(d SOC)とする。すぐ後のS514、S515で後述する車両モデルを用いたシミュレーションに先立って、このSOC換算効率指標SOCcの演算はコントローラモデルCAで実行し、後述するシミュレーション中、コントローラモデルCAよりSOCc(定数)を出力させる。
【0069】
S514では、現在地を目的地とみなし、この目的地までの道路環境に基づいて車両を制御したと仮定した場合の予測燃料消費量h fuel m1[cc]を演算する。
【0070】
この予測燃料消費量h fuel m1の演算は、図3に示す車両モデルMAにおいて一方の積算機能42Aをゼロに初期化し、他方の積算機能44Aを変数SOC h(S507、S516、S526で設定している。車両出荷時は、車両出荷時のバッテリSOCに設定)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して、S511でメモリに格納した車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、またS513で演算されたSOCcを入力し、車両モデルMAをt=0(前回にS514、S524あるいはS503を実行した時刻)からt=tf(現在時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0071】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m1(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m1(tf)を、現在地を目的地とみなし、現在地までの道路環境に基づいて車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量h fuel m1として、またt=tfでの車両モデルMAのバッテリSOCであるSOC m1(tf)を、現在地を目的地とみなし、現在地までの道路環境に基づいて車両を制御したと仮定した場合の現在地での予測SOC(h SOC m1)として設定する。
【0072】
S515では、現在地までの実際の燃料消費量h fuel m2[cc]を演算する。
【0073】
この燃料消費量h fuel m2の演算は、図3に示すもう一つの車両モデルMNにおいて一方の積算機能42Nをゼロに初期化し、他方の積算機能44NをバッテリSOC hに初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対してS511でメモリに格納した車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、また車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(t)をSOCcとして入力し、車両モデルMNをt=0(前回にS515あるいはS525あるいはS504を実行した時刻)からt=tf(現在時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0074】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m2(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m2(tf)を、現在地までの実際の燃料消費量h fuel m2として、またt=tfでの車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(tf)を現在地での予測SOC(h SOC m2)として設定する。
【0075】
S516では、現在のバッテリSOC(d SOC)を変数SOC hに保存し、メモリに格納した道路環境および車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)を総て消去し、時刻t=0に初期化する。
【0076】
そして、S517では、S514、S515で求めた2つの燃料消費量の差に基づいて、現在地を目的地とみなし、現在地までの道路環境に基づいて車両を制御したと仮定した場合の燃費効果(予測値)EFFhを次式により算出する。
【0077】
EFFh[%]
={(h fuel m2−h fuel m1)/h fuel m2}
×100 …(2)
現在地を目的地と仮定して誘導経路に従い車両を制御したほうが、燃料消費量を抑制できるので、(2)式右辺の予測燃料消費量h fuel m1のほうが(2)式右辺の実燃料消費量h fuel m2より小さくなり、従って(2)式左辺の燃費効果EFFhはプラスの値を採る。
【0078】
S518では、このように演算した燃費効果EFFhをナビゲーション装置33に送信する。ナビゲーション装置33は、この値を受信するとその値をディスプレイ33e上に表示し運転者に対して情報提供を行なう。
【0079】
上記(2)式の燃費効果EFFhは、目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を現在地まで制御した場合に、現在地を目的地とみなしナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を現在地まで制御したと仮定した場合よりどれだけの燃費悪化となるかを示す値である。このときの燃費(悪化)効果EFFhの表示例としては、図7のような方法がある。図7では、燃費損(目的地を入力していた場合に比べて損したと想定される場合に「損」と呼ぶ。)1%ごとに悲しみ顔マークを1つ表示するものとしており、図6の場合では燃費損が1.5%あったことを示している。すなわち、誘導経路に従って車両を制御していないので、現在地まで誘導経路に従って車両を制御する場合よりも既に燃費損が1.5%あったことを意味している。
【0080】
これに対して経路誘導中である場合には、図4のS510より図5のS521に進みS511と同様の操作を実行する。すなわち、車両走行中の道路環境をナビゲーション装置33から受信し、これを一定時間(例えば1秒程度)ごとにメモリに格納していく。同時に、車両実車速r vsp(t)と実制駆動力指令値r tTd(t)も同じタイミングでメモリに格納していく。
【0081】
S522では、燃費効果を提示するタイミングであるか否かを判定する。この判定はS512の操作と同様である。すなわち、次の条件が成立しているかどうかを1つずつチェックすることにより行い、いずれかの条件が成立しているときに燃費効果を提示するタイミングであると判断しS523〜S526に進み、いずれの条件も成立していないとき燃費効果を提示するタイミングでないのでそのまま本ルーチンを終了する。
【0082】
▲5▼経路誘導される走行状態が一定時間(例えば1時間程度)継続した。
【0083】
▲6▼経路誘導される走行状態が一定距離(例えば20km程度)継続した。
【0084】
▲7▼給油口が開けられている。
【0085】
▲8▼車両が起動された。
【0086】
S523では、ナビゲーション装置33から受信した現在地までの道路環境に基づいてSOC換算効率指標SOCcを演算する。すなわち、S502と同じアルゴリズムにより、現在地までの経路を複数の区間に区分し、各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)をS521でメモリに格納した現在地までの道路環境に基づいて演算した上で、現在地までの消費燃料を抑制できるSOCcを算出する。
【0087】
このとき、目標SOC(t SOC)としては、現在のバッテリSOC(d SOC)とする。すぐ後のS524、S525で後述する車両モデルを用いたシミュレーションに先立って、このSOC換算効率指標SOCcの演算はコントローラモデルCAで実行し、後述するシミュレーション中、コントローラモデルCAはSよりSOCc(定数)を出力させる。
【0088】
S524では、現在地までの道路環境に基づいて車両を制御した場合の現在地までの実際の燃料消費量r fuel m1[cc]を演算する。
【0089】
この実燃料消費量の演算r fuel m1は、図3に示す車両モデルMAにおいて一方の積算機能42Aをゼロに初期化し、他方の積算機能44Aを変数SOC h(S507、S516、S526で設定している。車両出荷時は、車両出荷時のSOC値に設定)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して、S521でメモリに格納した車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTdm(t)として、またS523で演算されたSOCcを入力し、車両モデルMAをt=0(前回にS514、S524あるいはS503を実行した時刻)からt=tf(現在時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0090】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m1(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m1(tf)と変数r fuel m1 zとの和を、現在地までの道路環境に基づいて車両を制御した場合の現在地までの実際の燃料消費量r fuel m1として、またt=tfでの車両モデルMAのバッテリSOCであるSOC m1(tf)を、現在地までの道路環境をに基づいて車両を制御した場合の現在地での予測SOC(r SOC m1)として設定する。
【0091】
ここで、上記の変数r fuel m1 zは実燃料消費量を表す変数r fuel m1の前回値である。このため、変数r fuel m1の値は経路誘導開始時点でゼロであったものが(S507参照)、経路誘導中に燃費効果の提示タイミングとなるたびに増えてゆく。
【0092】
S525では、現在地までの道路環境を用いないで車両を制御したと仮定した場合の、現在地までの予測燃料消費量r fuel m2[cc]を演算する。
【0093】
この予測燃料消費量r fuel m2の演算は、図3に示すもう一つの車両モデルMNにおいて一方の積算機能42Nをゼロに初期化し、他方の積算機能44Nを変数SOC hに初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対してS521でメモリに格納した車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、また車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(t)をSOCcとして入力とし、車両モデルMNをt=0(前回にS515、S525あるいはS504を実行した時刻)からt=tf(現在時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0094】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m2(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m2(tf)と変数r fuel m2 zとの和を、現在地までの道路環境を用いないで車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量r fuel m2として、また、t=tfでの車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(tf)を現在地までの道路環境を用いないと車両を制御したと仮定した場合の現在地での予測SOC(r SOC m2)として設定する。
【0095】
上記の変数r fuel m2 zは予測燃料消費量を表す変数r fuel m2の前回値である。このため、変数r fuel m2の値についても経路誘導開始時点でゼロであったものが(S507参照)、経路誘導中に燃費効果の提示タイミングとなるたびに増えてゆく。
【0096】
S526では、現在のバッテリSOC(d SOC)を変数SOC hとして保存し、メモリに格納した道路環境および車両実車速r vsp(t)、実制駆動力指令値r tTd(t)を総て消去し、時刻t=0に初期化する。また、S524で演算した変数r fuel m1の値を前回値を表す変数r fuel m1zとして、S525で演算した変数r fuel m2の値を前回値を表す変数r fuel m2 zとしてメモリに保存する。
【0097】
S527では、ナビゲーション装置33から受信される情報をもとに車両が目的地に到達しているか否かをみる。車両が目的地に到達しているか否かの判定については、たとえば、ナビゲーション装置33から受信される目的地の緯度、経度と、ナビゲーション装置33から受信される現在地の緯度、経度の情報に基づいて、車両が目的地を中心とする所定の距離(例えば約200m)の範囲内にあれば車両が目的地に到達していると、また車両が所定の距離の範囲内になければ車両が目的地に到達してないと判定すればよい。
【0098】
車両が目的地に到達している場合にはS528に進み、現在地(=目的地)までの道路環境を用いて車両を制御し終えた場合の燃費効果(予測値)EFFtを次式により算出する。
【0099】
EFFt[%]
={(r fue1 m2−r fuel m1)/r fuel m2}
×100 …(3)
ナビゲーション装置33に目的地を入力し、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従い車両を制御したほうが、燃料消費量を抑制できるので、(3)式右辺の予測燃料消費量r fuel m2のほうが(3)式右辺の実燃料消費量r fuel m1より大きくなり、従って(3)式左辺の燃費効果EFFtはプラスの値を採る。
【0100】
S529では、このように演算した燃費効果EFFtをナビゲーション装置33に送信する。ナビゲーション装置33は、この値を受信するとその値をディスプレイ上に表示し運転者へ情報提供を行なう。
【0101】
上記(3)式の燃費効果EFFtは、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を目的地まで制御し場合に、目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を目的地まで制御した場合よりどれだけの燃費向上効果が得られたかを示す値である。この燃費効果EFFtの表示例としては、図8のような方法がある。すなわち、図8では誘導区間全体での燃費向上効果1%ごとにニコニコ顔マークを1つ表示するものとしており、図8の場合では誘導区間全体で燃費向上効果が2.5%であったことを示している。言い換えると、目的地まで誘導経路に従って車両を制御し終えたので、目的地を設定することなく走行する車両を目的地まで制御し終えたと仮定した場合より、燃費向上効果がトータルで2.5%あったことを意味している。
【0102】
一方、経路誘導中にあるものの車両がまだ目的地に到達していない場合にはS527よりS530に進み、ナビゲーション装置33から受信する現在地から目的地までの道路環境に基づいてSOC換算効率指標SOCcを演算する。すなわち、誘導経路のうち現在地から目的地までの経路を複数の区間に区分し、各区間ごとの予測車速p vsp(t)と予測制駆動力指令値p tTd(t)を、S521でメモリに格納した道路環境に基づいて演算した上で、目的地までの消費燃料を抑制できるSOCcを算出する。すぐ後のS531、S532で後述する車両モデルを用いたシミュレーションに先立って、このSOC換算効率指標SOCcの演算はコントローラモデルCAで実し、後述するシミュレーション中、コントローラモデルCAよりSOCc(定数)を出力させる。
【0103】
S531では、現在地より先、目的地まで誘導経路に従って車両を制御した場合の現在地から目的地までの予測燃料消費量p fuel m1[cc]を演算する。
【0104】
この予測燃料消費量の演算は、S503と同様である。すなわち、図3に示す車両モデルMAにおいて一方の積算機能42Aをゼロに初期化し、他方の積算機能44Aを現在のバッテリSOC(d SOC)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して各区間ごとの予測車速p vsp(t)、予測制駆動力指令値p tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、またS530で演算されたSOC換算効率指標SOCcを入力し、車両モデルMAをt=0(現在時刻)からt=tf(目的地到達時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0105】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m1(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m1(tf)を、現在地から目的地までの道路環境を用いて車両を制御した場合の、現在地から目的地までの予測燃料消費量p fuel m1として、またt=tfでの車両モデルMAのバッテリSOCであるSOC m1(tf)を、現在地から目的地までの道路環境を用いて車両を制御した場合の目的地での予測SOC(p SOC m1)として設定する。
【0106】
S532では、現在地から目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の現在地から目的地までの予測燃料消費量p fuel m2[cc]を演算する。
【0107】
この予測燃料消費量p fuel m2の演算は、S504と同様である。すなわち、図3に示すもう一つの車両モデルMNにおいて一方の積算機能42Nをゼロに初期化し、他方の積算機能44Nを現在のバッテリSOC(d SOC)に初期化した上で、2つの演算機能41A、43Aに対して各区間ごとの予測車速p vsp(t)、予測制駆動力指令値p tTd(t)をそれぞれ車速vsp m(t)、制動駆動力指示値tTd m(t)として、また車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(t)をSOCcとして入力し、車両モデルMNをt=0(現在時刻)からt=tf(目的地到達時刻)までシミュレーションすることで実現する。
【0108】
そして、単位時間当たり燃料消費量fuel m2(t)の、t=0よりt=tfまでの積算値tfuel m2(tf)を、現在地から目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の現在地から目的地までの予測燃料消費量pfuel m2として、またt=tfでの車両モデルMNのバッテリSOCであるSOC m2(tf)を、現在地から目的地までの道路環境を用いないで車両を制御した場合の目的地での予測SOC(p SOC m2)として設定する。
【0109】
S533では、S524、S525で求めた現在地までの燃料消費量の差と、S531、S532で求めた現在地から目的地までの予測燃料消費量の差とに基づいて、つまり現在地まで道路環境を用いて車両を制御したが、これから先も目的地まで道路環境を用いて車両を制御する場合の燃費効果(予測値)EFFtを次式により算出する。
【0110】
EFFt[%]
=〔{(p fuel m2−p fuel m1)
+(r fuel m2−r fuel m1)}
/(p fuel m2+r fuel m2)〕
×100 …(4)
ナビゲーション装置33に目的地を入力し、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従い車両を制御したほうが、燃料消費量を抑制できるので、(4)式右辺の予測燃料消費量r fuel m2のほうが(4)式右辺の実燃料消費量r fuel m1より大きくなりかつ(4)式右辺の予測燃料消費量p fuel m2のほうも(4)式右辺の予測燃料消費量p fuel m1より大きくなる。従って(4)式左辺の燃費効果EFFtはプラスの値を採る。
【0111】
S529では、このように演算した燃費効果EFFtをナビゲーション装置33に送信する。ナビゲーション装置33は、この値を受信するとその値をディスプレイ上に表示し運転者へ情報提供を行なう。
【0112】
上記(4)式の燃費効果EFFtは、ナビゲーション装置33により指示される目的地までの誘導経路に従って車両を現在地まで制御し、この先も誘導経路に従って目的地まで車両を制御した場合に、目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を現在地まで制御し、この先も目的地をナビゲーション装置33に入力することなく車両を目的地まで制御した場合よりどれだけの燃費向上効果が得られるかを示す値である。この燃費効果EFFpの表示例としては、図9のような方法がある。すなわち、図9では燃費向上効果1%ごとにニコニコ顔マークを1つ表示するものとしており、図9の場合では燃費向上効果が2%であることを示している。言い換えると、図9においてポインタが示す位置(現在地)まで誘導経路に従って車両を制御しているが、これから先も図9において旗が示す左上の位置(目的地)まで誘導経路に従って車両を制御すれば、目的地を設定することなく目的地まで車両を制御する場合より、燃費向上効果がトータルで2%生じるであろうことを意味している。
【0113】
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
【0114】
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングでナビゲーション装置33から提供される誘導経路の道路環境に基づいて目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成し(図4S502)、この目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量と、目的地までの道路環境を使用せずに車両を目的地まで制御する場合の予測燃料消費量とをそれぞれ演算し(図4S503、504)、これら2つの予測燃料消費量から燃費効果EFFp(2つの予測燃料消費量の差異に相当)を演算し(図4S505)、この燃費効果EFFpをディスプレイ33e上に提示するようにしたので、誘導経路に従って目的地までの車両の制御を開始する前に運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また運転者に対してナビゲーション装置33への目的地の入力を促すことができる。
【0115】
本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、ナビゲーション装置33から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成し(図4S512)、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を現在地まで制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量とをそれぞれ演算し(図4S513、514)、これら2つの予測燃料消費量から燃費効果EFFh(2つの予測燃料消費量の差異に相当)を演算し(図4S517)、この燃費効果EFFhをディスプレイ33e上に提示するようにしたので、運転者がナビゲーション装置33への目的地を入力していない場合においても、運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また運転者にナビゲーション装置33への目的地の入力を促すことができる。
【0116】
本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、ナビゲーション装置33から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成し(図5S523)、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量とを演算し(図5S524、525)、またナビゲーション装置33から提供される誘導経路の道路環境に基づいて現在地から目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成し(図5S530)、この現在地から目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量と、現在地から目的地までの道路環境を使用せずに車両を現在地から目的地まで制御する場合の予測燃料消費量とを演算し(図5S531、532)、現在地までの実際の燃料消費量及び現在地から目的地までの予測燃料消費量の和と、現在地までの予測燃料消費量及び現在から目的地までの予測燃料消費量の和との2つの燃料消費量から燃費効果EFFt(2つの予測燃料消費量の差異に相当)を演算し(図5S533)、この燃費効果EFFtをディスプレイ33e上に提示するようにしたので、運転者が誘導経路に従って車両を運転している途中においても、運転者への良燃費意識を高めることに貢献でき、また、運転者にナビゲーション装置33への目的地の入力を促すことができる。
【0117】
本実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、ナビゲーション装置33から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成し(図5S523)、この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量と、現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量とをそれぞれ演算し(図5S524、525)、車両が目的地に到達したとき、これら2つの予測燃料消費量から燃費効果EFFt(2つの予測燃料消費量の差異に相当)を演算し(図5S527、S528)、この燃費効果EFFtをディスプレイ33e上に提示するようにしたので、2つの燃料消費量の差異の情報を誘導経路走行1回ごとの値として提示できる。また、誘導経路の道路環境違いによる2つの燃料消費量の差異も運転者に情報提供できる。
【0118】
車両を使用する多くの状況の中で、給油時は一般的に燃料消費量に運転者の意識が向かい易い状況である。本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、このような状況で2つの燃料消費量の差異の情報をディスプレイ33e上に提示するので、運転者にナビゲーション装置33への目的地の入力をより効果的に促すことができる。
【0119】
ナビゲーション装置33に目的地を入力するタイミングとしては車両が走り出す前、つまり車両を起動した時点(イグニッションキースイッチ20をONにしたあと)が適切な場合が多い。本実施形態(請求項6に記載の発明)によれば、そのような場合に2つの燃料消費量の差異の情報をディスプレイ33e上に提示するので、運転者に対してナビゲーション装置33への目的地の入力をより効果的に促すことができる。また、既に目的地を入力して誘導経路上にある場合(途中休憩して車両を再起動した時など)にも運転者に2つの燃料消費量の差異の途中経過を提示できる。
【0120】
本実施形態(請求項7に記載の発明)にれば、車両走行状態が一定時間または一定距離継続する毎に(つまり定期的に)2つの燃料消費量の差異の情報をディスプレイ33e上に提示するので、運転者に対してナビゲーション装置33への目的地の入力をより効果的に促すことができる。
【0121】
実施形態では、燃費効果を相対値[%]で表したが、これに限定されるものでなく、2つの燃料消費量の差をそのまま表す等の方法をとっても良い。その場合、上記(1)式〜(4)式を次のように変更すればよい。
【0122】
EFFp[cc]=(p fuel m2−p fuel m1)…(5)
EFFh[cc]=(h fuel m2−h fuel m1)…(6)
EFFt[cc]=(r fuel m2−r fuel m1)…(7)
EFFt[cc]=(p fuel m2−p fuel m1)+(r fuel m2−r fuel m1)…(8)
また、実施形態によれば、2つの車両モデルMA、MNを用いたシミュレーションを行う際に、両者でメインバッテリ15のバッテリSOC(d SOC)が異なるために、2つの燃料消費量を単純に比較しただけでは優劣が判断しにくい状況が起こり得る。そのような場合の対応として、代表的な走行をした際の燃料消費量[cc]とSOC増加量[%](蓄電増加量)との関係を実験的に取得しておき、その関係をもって、2つの車両モデルMA、MNにおけるSOC増加量の違いを燃料消費量に置き換えた補正を行えばよい。例えば2つの車両モデルMA、MNにおけるSOC増加量の違い5%分を燃料消費量20[cc]と置き換えることで、2つの車両モデルMA、MNにおけるSOC増加量の違いによる燃料消費量の違いを補正する。この補正は、2つの車両モデルMA、MNにおけるSOC増加量の違い、つまりp SOC m1−p SOC m2に応じて(1)式の直前で、h SOC m1−h SOC m2に応じて(2)式の直前で、r SOC m1−r SOC m2に応じて(3)式の直前であるいはp SOC m1−p SOC m2及びr SOC m1−r SOC m2に応じて(4)式の直前で実行するとよい。
【0123】
また、実施形態では、クラッチ3の締結によりパラレル・ハイブリッド走行を実現するとともに、クラッチ3の開放によりシリーズ・ハイブリッド走行も行う車両への適用例を示したが、パラレル・ハイブリッド走行のみ、またはシリーズ・ハイブリッド走行のみを行う車両へも同様に適用できる。
【0124】
さらに、実施形態では無段変速機を例に上げて説明したが、変速機は無段変速機に限定されず、有段変速機でもよい。また、変速機の配置も上述した実施形態に限定されない。
【0125】
さらにまた、本願発明は、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動などのすべての駆動方式の車両に適用することができ、エンジンで前輪を駆動し、モータで後輪を駆動する形態などのすべての駆動源形態の車両に適用することができる。
【0126】
実施形態では、全て車両に搭載の装置で実現する方法を示したが、これに限られるものではない。例えば、ナビゲーション装置33が有する道路地図のデータベースを車両外の通信基地局に有すると共に、車両が必要に応じてその道路地図の情報をダウンロードして使用する形態でも構わない。
【0127】
また、図3に示す車両モデルやコントローラモデルを車両外の通信基地局に有させたり、図4、図5のフローチャートで行う処理を車両外の通信基地局で実行させたりするようにしても構わない。その場合、車両からは、車両の特性(演算機能41A、43A、41N、43Nが用いる各マップの内容など)を特定するID番号・現在地情報・起動信号・給油口開閉信号などを通信基地局に送信し、基地局では保有する道路情報やID番号に応じた車両の特性をもとに燃費効果を演算したうえで車両に送信する。そして、車両は受信結果をナビゲーション装置33のディスプレイ33e上に表示する。
【0128】
実施形態では、燃費効果の表示例を図6、図7、図8、図9に示したが、表示の形態はもちろん、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のハイブリッド車両の概略構成図。
【図2】制御システム図。
【図3】車両モデルの説明図。
【図4】燃費効果の演算を説明するためのフローチャート。
【図5】燃費効果の演算を説明するためのフローチャート。
【図6】燃費効果の第1表示例を示す図。
【図7】燃費効果の第2表示例を示す図。
【図8】燃費効果の第3表示例を示す図。
【図9】燃費効果の第4表示例を示す図。
【符号の説明】
1 モータ
2 エンジン
4 モータ
8 駆動輪
11〜13 インバータ
15 メインバッテリ
16 車両コントローラ
16a 走行条件予測機能
16b SOC換算効率指標演算機能(充放電計画作成手段)
16c エンジン/モータ動作点演算機能
16d 燃費効果演算機能
33 ナビゲーション装置
33e ディプレイ(情報提示手段)
33f 目的地入力パネル
33g 誘導経路探索機能
33h 経路分割機能
33i 道路環境検出機能
33j 目標SOC設定機能
Claims (16)
- エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、
目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングでナビゲーション装置から提供される誘導経路の道路環境に基づいて目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成する将来充放電計画作成手段と、
この目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量を演算する第1予測燃料消費量演算手段と、
目的地までの道路環境を使用せずに車両を目的地まで制御する場合の予測燃料消費量を演算する第2予測燃料消費量演算手段と、
これら2つの予測燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
車輌の位置を地図上に特定し、車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、
ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、
この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する予測燃料消費量演算手段と、
現在地までの道路環境を使用せずに車両を現在地まで制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、
これら2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、
ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、
この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、
現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する第1予測燃料消費量演算手段と、
ナビゲーション装置から提供される誘導経路の道路環境に基づいて現在地から目的地までの将来のバッテリの充放電計画を作成する将来充放電計画作成手段と、
この現在地から目的地までの将来の充放電計画に基づいて車両を制御する場合の予測燃料消費量を演算する第2予測燃料消費量演算手段と、
現在地から目的地までの道路環境を使用せずに車両を現在地から目的地まで制御する場合の予測燃料消費量を演算する第3予測燃料消費量演算手段と、
現在地までの実際の燃料消費量及び現在地から目的地までの予測燃料消費量の和と、現在地までの予測燃料消費量及び現在から目的地までの予測燃料消費量の和との2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - エンジンとモータのいずれか一方または両方を制駆動力源とし、モータとの間で電力の授受を行なうバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
車両の位置を地図上に特定し、目的地までの車両の誘導経路を指示するナビゲーション装置と、
ナビゲーション装置から提供される過去に車両が走行した経路の道路環境に基づいて、現在地までの過去のバッテリの充放電計画を作成する過去充放電計画作成手段と、
この現在地までの過去の充放電計画に基づいて車両を制御してきた場合の現在地までの実際の燃料消費量を演算する実燃料消費量演算手段と、
現在地までの道路環境を使用せずに車両を制御したと仮定した場合の現在地までの予測燃料消費量を演算する予測燃料消費量演算手段と、
車両が目的地に到達したとき、これら2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示する情報提示手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 情報提示手段が2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示するのは、給油時であることを特徴とする請求項2または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 情報提示手段が2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示するのは、車両を起動した時点であることを特徴とする請求項2または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 情報提示手段が2つの燃料消費量の差異の情報を運転者に提示するのは、車両走行状態が一定時間または一定距離継続する毎であることを特徴とする請求項2または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 2つの予測燃料消費量の差異に代えて燃費効果を演算することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 燃費効果は、目的地までの車両の誘導経路を指示したタイミングより先、その誘導経路に従って車両を目的地まで制御した場合を、目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を目的地まで制御した場合と比較してどれだけの燃費向上効果が得られそうであるかを示す値であることを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 2つの予測燃料消費量の差異に代えて燃費効果を演算することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 燃費効果は、目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を現在地まで制御した場合を、現在地を目的地とみなし誘導経路に従って車両を現在地まで制御したと仮定した場合と比較してどれだけの燃費損となるかを示す値であることを特徴とする請求項10に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 2つの予測燃料消費量の差異に代えて燃費効果を演算することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 燃費効果は、誘導経路に従って車両を現在地まで制御し、この先も誘導経路に従って目的地まで車両を制御した場合を、目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を現在地まで制御し、この先も目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を目的地まで制御した場合と比較してどれだけの燃費向上効果が得られるかを示す値であることを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 2つの予測燃料消費量の差異に代えて燃費効果を演算することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 燃費効果は、誘導経路に従って車両を目的地まで制御した場合を、目的地をナビゲーション装置に入力することなく車両を目的地まで制御した場合と比較してどれだけの燃費向上効果が得られたかを示す値であることを特徴とする請求項14に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 充電計画作成手段による目的地までのバッテリの充放電計画の作成は、バッテリ充填時の燃料の利用効率を表す指標を演算することであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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