JP2004098352A - 表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法は、内面に沿って表皮材を配置した第1成形型と、多数の透孔が壁面に設けられた第2成形型との間に形成された成形空間部に充填された発泡粒子を加熱し、融着させることによって該表皮材が表面に積層された表皮材付き発泡粒子成形体を製造する方法であり、該第2成形型の壁面に設けられた透孔からスチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内の発泡粒子を加熱しておこし状物となし、次いで、成形空間部内のスチームを排出した後、該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡粒子成形体の表面に表皮材を一体化してなる表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
第1成形型と第2成形型とから形成される成形型の内部空間に発泡粒子を充填した後、スチームを用いて発泡粒子を加熱融着させる成形方法が広く知られている。
【0003】
上記成形方法により得られる発泡粒子成形体は、発泡粒子が相互に融着したもので、その表面には発泡粒子の凹凸が表れており、美感に欠けるものである。この点を改善するために、発泡粒子成形体の表面に表皮材を積層一体化することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0004】
しかしながら、上記表皮材を積層一体化する従来法の場合、得られる成形体における発泡粒子相互の融着が不十分な上に、表皮材と発泡粒子との融着も不十分なため、成形体全体でも機械的強度の点で劣っていた。
【0005】
従って、発泡粒子相互の融着強度、及び表皮材と発泡粒子との融着強度が優れており、成形体全体としても機械的強度が優れている表皮材付き発泡粒子成形体の製造法の開発が期待されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−171921号公報
【特許文献2】
特開平6−891号公報
【特許文献3】
特開平6−210753号公報
【特許文献4】
特開平11−333960号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発泡粒子成形体の表面に表皮材を積層一体化する表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法において、発泡粒子相互の融着強度、及び表皮材と発泡粒子との融着強度が優れており、成形体全体としても機械的強度が優れている表皮材付き発泡粒子成形体を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば以下に説明する表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法が提供される。
[1]内面に沿って表皮材を配置した第1成形型と、多数の透孔が壁面に設けられた第2成形型との間に形成された成形空間部に充填された発泡粒子を加熱し、融着させることによって該表皮材が表面に積層された表皮材付き発泡粒子成形体を製造する方法において、該第2成形型の壁面に設けられた透孔からスチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内の発泡粒子を加熱しておこし状物となし、次いで、成形空間部内のスチームを排出した後、該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱することを特徴とする表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法。
[2]該発泡粒子がポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子である前記[1]に記載の表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法を図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の実施に用いる発泡成形装置の一例を示す概略図である。
図1において、1は第1成形型、2は第2成形型、3は仕切板、4は成形用上箱、5は成形用下箱、6は真空吸引孔、7は真空吸引管、8は上箱チャンバー、11、11(2)は透孔、12は下箱チャンバー、13は発泡粒子供給管(以下、単に「供給管」という)をそれぞれ示す。Xは表皮材、Yは発泡粒子、Zは成形空間部をそれぞれ示す。
【0010】
第1成形型1は、発泡粒子成形体の外観形状を形成するためのもので、その内面に表皮材Xが配置される。
【0011】
第2成形型2の壁面にスチームが透過し得る多数の透孔11、11(2)が設けられている。この透孔11、11(2)の直径は、発泡粒子Yが通過しない程度の寸法であり、通常、0.3〜1mm、好ましくは0.5〜0.7mm程度である。
【0012】
仕切板3は、第2成形型2の背面に位置する下箱チャンバー12を、2つの隔てられた空間、即ち、空間Aと空間Bとに仕切るものである。
【0013】
本発明において、第2成形型の背面に位置するチャンバー内を少なくとも2つの隔てられた空間に仕切ることが好ましく、工程が複雑にならない等の生産性の点から2つの隔てられた空間Aと空間Bに仕切ることがより好ましい。
【0014】
発泡粒子を充填するには、供給管13のバルブ(図示せず)を開くと、空気が供給管13から第1成形型1と第2成形型2との間に形成された成形空間部Zに流れ、発泡粒子Yは空気流とともに、成形空間部Zに充填される。その後、供給管13のバルブが閉鎖され、供給管内のピストン(図示せず)の先端が第2成形型の表面を塞ぐ。
【0015】
前記成形空間部Zに充填する発泡粒子Yの量は、該発泡粒子Yが成形されたときに、所定密度(所定発泡倍率)の発泡粒子成形体となるように定める。
尚、発泡粒子Yは、発泡粒子をつぶして金型内に充填する、いわゆる圧縮充填法によって充填することもできる。
【0016】
本発明方法においては、該第2成形型の壁面に設けられた透孔11、11(2)からスチームを成形空間部Zに導入することにより、該成形空間部Z内の発泡粒子を加熱しておこし状物となし(以下、単に「予備加熱工程」ともいう)、次いで成形空間部内のスチームを排出した後(以下、単に「スチーム排出工程」ともいう)、該第2成形型2の壁面に設けられた透孔11、11(2)から再度スチームを成形空間部Zに導入すること(以下、単に「本加熱工程」ともいう)により、該成形空間部Z内のおこし状物を加熱する。
【0017】
かかる本発明の製造方法によれば、スチームが成形空間部内に均一に行き渡るので、発泡粒子と表皮材との融着性、発泡粒子相互の融着性に優れる表皮材付き発泡粒子成形体が得られる。また、成形サイクルを短縮することができ、スチームの使用量も少なくすることができるので、コストダウンも達成される。
【0018】
本発明方法のように、予備加熱工程において発泡粒子を加熱しておこし状物にしないと、表皮材と発泡粒子との融着性がよい表皮付き発泡粒子成形体を得るのに後工程での時間がかかり成形サイクルが長くなる虞がある。一方、おこし状物を通り越して発泡粒子どうしが融着して隙間がなくなるまで加熱すると、次工程で再度スチームを成形空間部に導入する際、スチームの通りが阻害されるので、見かけ上は成形されていても、発泡粒子相互、発泡粒子と表皮材との融着性が悪く、実用に耐えることができない発泡粒子成形体となる虞がある。
【0019】
本発明方法でいうおこし状物とは、予備加熱工程の後工程において成形空間部内のスチームを排出した後、再度スチーム加熱を行なうことなく充分に冷却してから発泡粒子を金型から取り出した場合、おこし状物を形成する発泡粒子間に連続する空隙が存在している状態を意味する。より具体的には、予備加熱工程の後工程において成形空間部内のスチームを排出した後、再度スチーム加熱を行なうことなく充分に冷却してから発泡粒子を金型から取り出し、大気圧下、60℃、相対湿度50%の条件で48時間乾燥させ、次いで、大気圧下、23℃相対湿度50%の条件で48時間放置した後、表皮材側を下側に向けて置き、おこし状物の上面に10℃の水100mlを10秒かけて静かに流し、流し終えてから20秒以内に、おこし状物の下方に位置する表皮材のおこし状物側表面にその水の少なくとも一部が浸透して到達するような空隙が発泡粒子間に形成されて発泡粒子同士が融着されている状態であることを、おこし状物という。
【0020】
前述した予備加熱工程において、発泡粒子Y相互をおこし状物とするには、第2成形型2の壁面に設けられた全ての透孔11及び11(2)からスチームを成形空間部Zに導入して、成形空間部Zに充填された発泡粒子Yを、該発泡粒子Yが加熱融着しておこし状物となるように成形空間部の圧力を高めればよい。このとき、発泡粒子Y相互が融着する温度まで圧力が高まる時間が4秒以下となるように加熱することが好ましい。4秒を超えるとおこし状物にすることが難しく、成形サイクルも長くなる虞がある。かかる観点からは3秒以下であることが好ましく、その下限は概ね1秒である。
【0021】
予備加熱工程における具体的な操作の一例を説明する。
まず、図1で示す空間A及び空間Bに連通するスチーム導入管14のバルブ15、及び空間Bに連通するスチーム導入管20のバルブ21を開いた状態にし、その他のバルブ、即ち、バルブ17、バルブ19及びバルブ23、バルブ25を閉じた状態にして、スチーム導入管14のバルブ15及びスチーム導入管20のバルブ21を通じてスチームを空間A及び空間B内に導入する。
【0022】
このようにスチームを空間A及び空間B内に導入すると、空間A及び空間Bに面する第2成形型2の壁面に透設されている多数の透孔11、11(2)を通して、スチームが空間A及び空間Bに面する成形空間部Z内に入るので、発泡粒子Yの表面と表皮材Xが予熱される。
【0023】
予備加熱工程において成形空間部にスチームを導入する場合、一部の透孔からスチームを導入しても全ての透孔からスチームを導入しても構わないが、短時間で発泡粒子と融着する表皮材の表面を予熱することができるという点から、全ての透孔から成形空間部にスチームを導入することが好ましい。
【0024】
本発明方法においては、予備加熱工程の後、スチーム排気工程を行なう。該排気工程においては、前記成形空間部内のスチームが排気されるので、次の本加熱工程の際にスチームが効率よく成形空間部内に行き渡る。その結果、次の本加熱工程における発泡粒子相互の融着と発泡粒子と表皮材との融着が短時間ですみ、成形サイクルが短縮されるので、スチームの使用量が少なくなり、コストダウンが可能になる。
【0025】
具体的なスチーム排気工程は、例えば前記予備加熱工程において閉じていたドレン排出管18のバルブ19及びドレン排出管24のバルブ25のみを開くことにより行なわれる。なお、スチーム排気工程においては、成形空間部のスチームを全て排出しても、または一部排出しても構わない。
【0026】
本発明方法においてはスチーム排気工程の後、本加熱工程を行なう。本加熱工程においては、第2成形型2の壁面に設けられた透孔11、11(2)から再度スチームを成形空間部Zに導入することにより、該成形空間部Z内のおこし状物を加熱する。この結果、加熱された発泡粒子相互の融着強度を高めることができ、発泡粒子と表皮材との融着強度を高めることができる。
【0027】
上記本加熱工程後、成形体を充分に冷却してから金型から取り出す。得られた表皮付き発泡粒子成形体は、発泡粒子同士が融着されており、前記予備加熱工程においておこし状物に形成した際の発泡粒子間に存在した、連続する空隙がなくなっていることが好ましい。具体的には、本加熱工程後充分に冷却してから成形体を金型から取り出し、大気圧下、60℃、相対湿度50%の条件で48時間乾燥させ、次いで、大気圧下、23℃相対湿度50%の条件で48時間放置した後、表皮材側を下側に向けて置き、発泡粒子成形体が露出している側の上面に10℃の水100mlを10秒かけて静かに流し、流し終えてから60秒後であっても、発泡粒子成形体の下方に位置する発泡粒子成形体の表面にその水の一部が浸透して到達するような空隙が発泡粒子間に形成されておらず発泡粒子同士が融着されていることが好ましい。
【0028】
本加熱工程としては、例えば、該成形空間部に対するスチームの導入位置を変化させて少なくとも2回に分けてスチームを導入する加熱工程や、全ての透孔から成形空間部にスチームを導入する加熱工程が挙げられる。中でも該成形空間部に対するスチームの導入位置を変化させて少なくとも2回に分けてスチームを導入する加熱工程を採用すると、発泡粒子成形体の形状が複雑な場合や厚みが厚い場合であっても、スチームを導入する透孔11、11(2)を替えることにより、成形空間部Z内に存在する発泡粒子Yを効率よく加熱融着させることができる。
【0029】
上記成形空間部に対するスチームの導入位置を変化させる本加熱工程の好ましい態様としては、第一の本加熱工程と該第一の本加熱工程とは別の本加熱工程を含む工程が挙げられる。ここでいう第一の本加熱工程(以下、単に「工程P」という)は、第2成形型の背面に位置するチャンバー内を複数の隔てられた空間に仕切り、該チャンバー内に形成された第一の空間にスチームを導入し、該スチームを第一の空間に面する第2成形型の壁面に設けられている第一の透孔から成形空間部に導入し、該成形空間部に導入されたスチームを、チャンバー内に形成された前記第一の空間とは別の第二の空間に面する第2成形型の壁面に設けられている第二の透孔から第二の空間に排出させることによって行われる。第一の本加熱工程とは別の本加熱工程(以下、単に「工程Q」という)は、第一の本加熱工程とは逆に、前記第二の空間に面する第2成形型の壁面に設けられている第二の透孔から第二の空間にスチームを導入し、該スチームを前記第一の空間に面する第1成形型の壁面に設けられている第一の透孔から第一の空間に排出させることによって行われる。このように工程Pと工程Qとからなる本加熱工程を行うと、発泡粒子相互の融着と発泡粒子と表皮材との融着が向上するので好ましい。
【0030】
前記本加熱工程の工程Pと工程Qを実施するための一例を図1に基づいて説明する。
先ず、スチーム導入管20のバルブ21を通じて空間B内にスチームを導入し、ここから空間Bに面する第2成形型2の壁面に透設されている多数の透孔11(2)を通して成形空間部Zにスチームを導入し、該スチームを成形空間部Zを図面において左方向に流通させた後、空間Aに面する第2成形型2の壁面に透設されている多数の透孔11を通して空間Aにスチームを排出する。その際、バルブ25、23、19、17及び15は閉の状態にする。
【0031】
次いで、スチーム導入管14のバルブ15を通じてスチームを空間A内に導入し、ここから空間Aに面する第2成形型2の壁面に透設されている多数の透孔11を通して成形空間部Zにスチームを導入し、該スチームを成形空間部Zを図面において右方向に流通させた後、空間Bに面する第2成形型2の壁面に透設されている多数の透孔11(2)を通して空間B内に排出する、その際、バルブ25、23、19、17及び21は閉じた状態にする。
【0032】
このように、加熱工程の工程Pと工程Qを行うことにより、成形空間部Zの発泡粒子9を加熱成形に適した状態に均一に加熱することができる。なお、このように加熱工程の工程Pと工程Qを行う場合、スチームを一方の空間B又はAに導入すると共に他方の空間A又はBを減圧すると、発泡粒子を均一に加熱することができるので好ましい。
【0033】
本発明方法の本加熱工程において、成形空間部に対するスチームの導入位置を変化させた前記工程Pと工程Qからなる加熱工程を行なった後、チャンバー内に形成された全ての空間にスチーム導入管14、20のバルブ15と21を開けてスチームを導入し、該スチームを全ての空間に面する第2成形型の壁面に設けられている透孔から成形空間部に導入する本加熱工程(以下、単に「工程G」)を行なうことが好ましい。このように加熱を行うと、成形空間部の発泡粒子はより好ましく加熱融着され、発泡粒子が隙間もなく相互に融着した発泡粒子成形体を得ることができる。
【0034】
前記工程Gを実施するための具体例を図1に基づいて説明する。
ドレン排出管のバルブ19、冷却水導入管のバルブ17及びドレン排出管のバルブ25、冷却水導入管22のバルブ23を閉じた状態に保持し、スチーム導入管14のバルブ15及びスチーム導入管20のバルブ21を開いた状態に保持して、スチームを、スチーム導入管14及び20を通してそれぞれ空間A及びB内に導入する。このように操作すると空間A及び空間B、即ち全ての空間に面する第2成形型2の壁面に設けられている透孔11、透孔11(2)からスチームを成形空間部Zに導入することができる。
【0035】
前記本加熱工程において用いるスチームの温度は、発泡粒子が融着する温度であり、具体的には発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂のビカット軟化温度Tvに対して(Tv+0℃)〜(Tv+50℃)が好ましく、(Tv+0℃)〜(Tv+40℃)がより好ましい。空間A及びB内のスチームの圧力は、0.098〜0.441MPa(G)が好ましく、0.196〜0.392MPa(G)がより好ましい。加熱時間は、通常、3〜20秒が好ましく、5〜15秒がより好ましい。
【0036】
本加熱工程が終了後、発泡粒子成形体を冷却してから、第1成形型1と第2成形型2を開き、余分な表皮材を取り除いて表皮材付き発泡粒子成形体を回収し、必要に応じて40〜80℃、3〜24時間の養生、乾燥を行なうことが好ましい。
【0037】
本発明の方法により得られる表皮材付き発泡粒子成形体は、前記のように、予備加熱工程、スチーム排気工程、本加熱工程を含む製造方法であることから、発泡粒子相互の融着強度及び発泡粒子と表皮材との融着強度に優れ、発泡粒子成形体全体の機械強度が従来の表皮材付き発泡粒子成形体に比べて大幅に向上している。
【0038】
また、本加熱工程において工程Gを実施すると、発泡粒子相互の融着強度及び発泡粒子と表皮材との融着強度を更に向上させることができる。
【0039】
予備加熱工程の前に必要に応じて空気を排気する工程(以下、単に「空気排気工程」という)を含ませることもできる。具体的には、スチーム導入管14、20のバルブ15と21、ドレン排出管18、24のバルブ19と25を開けて成形空間部Zの発泡粒子相互の空気を排気する空気排気工程が例示される。
【0040】
本発明の表皮材付き発泡粒子成形体の形状は、成形型の形状を変化させることによって任意の形状とすることができる。
【0041】
以上、本発明方法について図1に基づいて説明したが、本発明方法はこれに限定するものではなく、各種の変更を加えることが可能である。例えば、第2成形型の背面に位置するチャンバー内に配設された仕切板3は、1つに限られず、複数、例えば2つの仕切板によって3つに隔てられた空間にすることができる。この場合には、チャンバー内に、空間Aと空間Bとの間に空間Cが形成される。このような3つの空間の場合、その中間の空間Cにスチームを導入し、成形空間部Z内を流通させた後、第2成形型2の空間Aに面する第2成形型の透孔Aから空間A内に排出させ、かつ空間Bに面する第2成形型の透孔Bから空間B内に排出させる。もちろん、この場合にも、その空間Cには、開閉バルブを有するスチーム導入管を連結させる。
【0042】
さらに、成形空間部Zに対するスチームの導入方法は、スチームを、第2成形型の壁面に透設された透孔を介して複数回にわたって導入し、かつその導入毎に異なった透孔を通じて行うことのできる方法であればよく、必ずしも仕切板を用いてチャンバー内を複数の空間に仕切る必要はない。例えば、スチームの成形空間部Zへの導入は、スチーム供給管の先端部を平面板形状ないし曲面板形状にして、その先端部を直接第2成形型の壁面に直接接触させる方法等によっても実施することができる。
【0043】
本発明の方法は、第2成形型の壁面の透孔からスチームを導入することによって製品となる表皮材の表面に直接スチームを接触させずに高品質の表皮材付き発泡粒子成形体を得ることができる。従って、例えば表皮材の表面が不織布の場合、毛倒れが発生せず、樹脂シートの場合、表面が凹凸状となることもない。
【0044】
尚、前記においては、第2成形型の透孔からスチームを導入する加熱工程について説明してきたが、必要に応じてスチームを上箱チャンバー8に導入し、該スチームを第1成形型の透孔から成形空間部に導入してもかまわない。
【0045】
以下、本発明方法で用いられる発泡粒子について説明する。
前記発泡粒子は、その内部にガス(炭化水素ガス、ハロゲン化炭化水素ガス等の有機ガスや、炭酸ガス、窒素、空気等の無機ガス)を含有する熱可塑性樹脂発泡粒子であって、加熱により軟化するものである。このようなものとしては、従来公知の各種のものを用いることができる。該発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0046】
上記発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の中でも、緩衝性、圧縮歪回復性に優れているという点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。該ポリオレフィン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、その他、ポリブテン、ポリペンテン及びそれらの混合物が挙げられる。また、これらの他に、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のオレフィン系モノマーと、これらのオレフィン系モノマーと共重合し得るスチレン等のモノマーとの共重合体を使用することもできる。これらの中でも圧縮強度や耐熱性に優れるポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0047】
本発明方法においては、上記ポリオレフィン系樹脂を過酸化物や放射線により架橋したものを用いても、無架橋のまま用いても良いが、生産工程が簡易で、リサイクルの可能な無架橋のものが好ましい。
【0048】
本発明方法で用いる発泡粒子は、例えば、次のような従来公知の方法で製造することができる。
まず、熱可塑性樹脂を押出機を用いてストランド状に押出し、水中を通して冷却してからカットし樹脂粒子とする。なお、この場合、熱可塑性樹脂には、充填剤、安定剤、補強剤、顔料、滑剤等各種の慣用添加剤を含有させてもよい。次に、該樹脂粒子を、例えば密閉された耐圧容器中で水と撹拌しながら、無機ガス系発泡剤又は/及び揮発性有機発泡剤を含侵させ、加圧下で所定の発泡温度まで加熱した後、低圧域に放出する等の方法で得ることができる。
【0049】
本発明方法で用いる発泡粒子の見掛け密度は、通常、0.015〜0.450g/cm3、好ましくは0.030〜0.300g/cm3である。見掛け密度が0.015g/cm3未満の場合は、得られる発泡成形体の強度が弱くなる虞がある。一方、見掛け密度が0.450g/cm3を超える場合は、得られる発泡成形体が発泡体の特徴である軽量性に欠ける虞がある。
また、その平均粒径は、1〜7mm、好ましくは1〜5mmである。
【0050】
なお、前記見掛け密度は、以下のようにして測定されたものである。
発泡粒子群1000個をサンプリングし、温度60℃、相対湿度15%の条件で、24時間乾燥した後、温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置した。次に、このサンプルの重量:W(g)を測定し、次いでサンプルをメスシリンダー内の23℃のエタノール中に沈め、エタノールの水位上昇分よりサンプルの真の体積:L(cm3)を測定し、下記(1)式により求めた。
【0051】
【数1】
発泡粒子の見掛け密度(g/cm3)=W÷L (1)
【0052】
本発明方法において用いる発泡粒子Yの高温側吸熱ピークの熱量は、発泡粒子Yを成形するに際し、得られる発泡成形体の機械的強度を高めるために5〜60J/gであることが得られる発泡成形体の発泡粒子間に隙間が生じ、その隙間が表皮材表面に跡となって転写されたりしないことや表皮付き発泡成形体の機械的物性、特に圧縮強度を高くすることができる観点から望ましい。発泡粒子Yの基材樹脂がプロピレン単独重合体の場合、上記高温ピークの熱量は、得られる表皮付き発泡成形体の圧縮強度を高いものとする観点から15J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましい。一方、成形温度の低減効果を低くする観点から60J/g以下が好ましく、55J/g以下がより好ましい。また、発泡粒子Yの基材樹脂がプロピレン−エチレンランダム共重合体の場合、上記高温ピークの熱量は、得られる表皮付き発泡成形体の圧縮強度を高いものとする観点から5J/g以上が好ましく、10J/g以上がより好ましい。一方、その上限は、得られる表皮付き発泡成形体の発泡粒子間に隙間が生じ、その隙間が表皮材表面に跡となって転写されたりしないようにする観点から30J/g以下が好ましく、20J/g以下がより好ましい。
【0053】
前記発泡粒子の高温側吸熱ピークとは、特開2002−53692号公報で「高温ピーク熱量」と表現されているものと同じものであり、特開昭61−4738号や特開平8−259724号で説明されている「二次結晶」がポリプロピレン系樹脂発泡粒子に存在することにより前記DSC曲線上に現れるものである。従って、発泡粒子の製造過程で二次結晶化が行なわれなかった場合には、得られる発泡粒子にはその高温側吸熱ピークは現れない。また高温側吸熱ピークが現れる発泡粒子であっても、例えばその後に高温側吸熱ピークの融解終了温度以上の温度まで昇温して発泡粒子を溶融させると、二次結晶が消滅するので、それを測定用の試料にしても高温側吸熱ピークは現れない。発泡粒子の高温側吸熱ピークの融解熱量の大きさの調節方法は、前記公知文献に記載されている通りである。高温側吸熱ピークが現れる発泡粒子は発泡成形体の製造に際し、不良品発生率が低く、得られる発泡成形体の機械的強度が高くなる傾向がある。
【0054】
次に、本発明方法において用いる表皮材について説明する。
本発明で用いる表皮材を目的とする形状とするには、単層シート、多層シートを加熱軟化させ金型にて成形するいわゆるシート成形法や、粉末樹脂を金型にまぶして加熱成形するいわゆるスラッシュ成形法や、射出成形法等が用いられる。これらの中でも生産性と経済性に優れるシート成形法が好ましい。
【0055】
上記シート成形法としては、例えば、雄型及び/又は雌型からなる金型を使用して真空成形や圧空成形、更にこれらの応用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた成形方法等が挙げられる。
【0056】
上記シート成形法で用いるシートは、従来公知の各種の単層又は多層のシートが用いられる。該単層のシートとしては、例えば、織布、編布、不織布等の繊維布、発泡樹脂、非発泡樹脂等の樹脂が挙げられる。該単層のシートの基材樹脂としては、前記発泡粒子について説明した熱可塑性樹脂等が挙げられる。その中でも特に、発泡粒子と融着可能な熱可塑性樹脂からなるシートが好ましい。また、このシートの発泡粒子と融着する側の面(内側面)は、融着しやすいように粗面化することが好ましい。
【0057】
表皮材として多層のシートを使用する場合、該多層シートを構成する層の数は、2〜6、好ましくは2〜3である。該多層シートの具体例としては、例えば、外側層がオレフィン系熱可塑性エラストマーからなり、内側層(発泡粒子が融着する層)が架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体からなるシートや、外側面がポリ塩化ビニルからなり、内側層が架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体からなる多層シート、外側層が繊維布(織布、編布、不織布等)からなり、内側層が樹脂(非発泡樹脂、発泡樹脂、特に、クッション性が優れる点から架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体等)からなる多層シート、外側面が天然、合成レザー体又はオレフィン系熱可塑性エラストマーからなり、内側層が成形した表皮材の保形性の点から非発泡樹脂からなり、その中間層がクッション層(発泡樹脂や繊維体等)からなる多層シート、前記した単層シートの一方の面に発泡粒子と接着する接着層をあらかじめ付設した多層シート等を挙げることができる。内側層は発泡粒子と融着可能な樹脂で構成することが好ましい。
【0058】
尚、本発明方法で用いるシート状の表皮材、即ち単層シート又は多層シートの表面には、シボ模様等が転写されていると外観がより美麗になるので好ましい。該シボ模様は、予め転写してもシート状の表皮材を成形する際に転写しても構わない。
【0059】
発泡粒子と融着可能な単層のシート又は多層シートを使用しているにもかかわらず、上箱チャンバー8内にスチームを導入しても単層のシート又は多層シートと発泡粒子とが融着しにくい場合に、本発明の方法は特に有効である。
【0060】
本発明で用いる表皮材は、その発泡粒子成形体の表面を被覆して該成形体の表面の美感を向上させるために用いるものなので、発泡粒子成形体の表面との融着性が向上する様に、発泡粒子成形体の表面形状(表面形状を決める第1成形型の内面形状)に対応した形状に成形することが必要である。
【0061】
シート成形で用いられる単層シートの厚みは0.5〜5mm、好ましくは0.5〜3mmである。また、多層シートの厚みは、1〜7mm、好ましくは1〜5mmである。
【0062】
本発明方法において、表皮材付き発泡粒子成形体を製造する場合、予めシート成形された表皮材を用いて発泡粒子を加熱成形すると同時に表皮材と発泡粒子を融着させる方法や、1つの金型で表皮材のシート成形を行なってから、発泡粒子を充填し加熱成形すると同時に表皮材と発泡粒子を融着する方法が挙げられる。これらの中でも、生産性の点から後者の1つの金型でシート成形と発泡粒子成形体を加熱成形する方法が好ましい。
【0063】
本発明方法により得られる表皮材付き発泡粒子成形体は、バンパー、ドアトリム、インストパネル等の自動車部材、箱材、電子機器、パレット等に好適に用いられる。
【0064】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0065】
実施例1
図1に示した装置を用いて表皮材付き発泡粒子成形体を製造した。
見掛け密度が0.180g/cm3(発泡倍率:5倍)、内圧0MPa(G)の空気を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子(プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン成分2.4重量%、融点146℃、高温ピーク熱量9.3J/g、平均粒径:4mm)を用いた。該発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂のビカット軟化温度は132℃である。
【0066】
また、表面側層がオレフィン系熱可塑性エラストマー、厚さ0.7mmからなり、中間層が架橋ポリプロピレン系樹脂発泡シート(東レ(株)社製、商品名「トーレペフAP67」、発泡倍率20倍、厚さ2.5mm)、内面側層(発泡粒子と融着する側の層)がオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる3層シート(全厚:3.6mm)を、表皮材として用いた。
【0067】
シート状の表皮材を四角形の枠に支持して、上下の加熱ヒーターによりシート状の表皮材を加熱した。加熱時間は90秒、表皮材にサーモラベルを貼り、表皮材の表面温度を測定した。その結果、第一成形型の内面に沿って配置される側の表面温度は、170℃、発泡粒子と融着する表皮材の表面温度は、125℃であった。続いて、図1に示す装置を用いて成形用上箱4と成形用下箱5とを型締めして第一成形型1と第一成形型2を約100℃に加熱し、成形用上箱4と成形用下箱5とを開けて成形用上箱4と成形用下箱5との間隔を160mmとして、前記支持されたシート状の表皮材を第一成形型1と第二成形型2とのほぼ中間に設置した。次に第二成形型2より0.20MPa(G)のスチームでシートを3.5秒間加熱し軟化させ、成形用上箱4と成形用下箱5とを型締めすると同時に、真空吸引管8を介して第一成形型1の背面に位置する上箱チャンバー8を7秒間吸引して表皮材Xを成形し、第一成形型1の内面に表皮材を配置した。
【0068】
次に、成形用上箱4と成形用下箱5を開いて成形用上箱4と成形用下箱5との間隔を3.5mmとして、以下に示す量の発泡粒子Yを充填した。次に、下記の主要操作条件で表皮材付き発泡粒子成形体を製造した。
【0069】
尚、実施例1について工程ごとのスチーム導入管のバルブの開閉を表1に示した(実施例2〜4、比較例1〜4についても同様にバルブの開閉を表1に示した。)。表中15と19は、図1の符号と同じで、空間Aのスチーム導入管のバルブの15、ドレン排出管のバルブ19をそれぞれ示す。表中21と25は、図1の符号と同じで、空間Bのスチーム導入管のバルブの21、ドレン排出管のバルブ25をそれぞれ示し、×はバルブが閉じていることを示し、●はバルブが開いていることを意味する。また、表皮材の加熱条件、表皮材と発泡粒子成形体との複合条件を表2に示した(実施例2〜4、比較例1〜4についても同様に表皮材の加熱条件、表皮材と発泡粒子成形体との複合条件を表1に示した。)。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
(1)発泡粒子Yの充填量:
成形空間部Zの全容積に対して65vol%(35vol%は発泡粒子間の空隙である。)
【0073】
(2)予備加熱工程(該第2成形型の壁面に設けられた透孔からスチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部の発泡粒子を加熱しておこし状物となす工程)
(i)スチーム温度:150℃
(ii)空間A内の圧力:0.372MPa(G)
(iv)空間B内の圧力:0.372MPa(G)
(v)加熱時間:2秒
【0074】
(3)スチーム排気工程(成形空間部のスチームを排出した工程)
(i)排気時間:2秒
(ii)空間A内の圧力:0MPa(G)
(iv)空間B内の圧力:0MPa(G)
【0075】
(4)本加熱工程の工程P(該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱する工程)
(i)スチーム温度 :150℃
(ii)空間A内の圧力:0.372MPa(G)
(iii)加熱時間:4秒
【0076】
(5)本加熱工程の工程Q(該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱する工程)
(i)スチーム温度 :150℃
(ii)空間B内の圧力:0.372MPa(G)
(iii)加熱時間:4秒
【0077】
(6)本加熱工程の工程G(該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱する工程)
(i)スチーム温度:150℃
(ii)空間A及びBの圧力:0.372MPa(G)
(iv)加熱時間:4秒
【0078】
前記本加熱後、ドレン排出管のバルブ19と25及び水冷水導入管のバルブ17と23を開けて70秒間水冷を行なった後、ドレン排出管のバルブを開けて真空吸引装置(図示せず)により成形空間部Zを真空吸引した。第1成形型4の形状に対応する外観形状を有する表面に表皮材が積層接着された発泡粒子成形体が得られた。この成形体においては、その表面部の発泡粒子間には隙間は見られず、その表面部及び内部における発泡粒子相互の融着は良好であり、かつ発泡粒子成形体表面上の表皮材とその発泡粒子(発泡粒子成形体の表面)との融着も良好であり、成形体は全体的にすぐれた機械的強度を有するものであった。
なお、前述した(5)本加熱工程の工程Q及び(6)本加熱工程の工程Gでは既におこし状物の間隙が存在しない成形体となっているが、便宜上おこし状物という。
【0079】
実施例2
本加熱工程の工程Gを除いた以外は、実施例1と同様に表皮材付き発泡粒子成形体を製造した。
得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、表面部及び内部における発泡粒子相互の融着は良好で、かつ発泡粒子成形体表面上のその表皮材と発泡粒子との融着は良好であった。
【0080】
実施例3
予備加熱工程の前にスチームのバルブ15及び21を開け、ドレン排出管18及び24のバルブ19及び25を開けて空気排気工程を行なった以外は実施例1と同様に実験を行った。
得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、その表面部及び内部における発泡粒子相互の融着が良好で、かつ発泡粒子成形体表面上の表皮材とその発泡粒子との融着も良好であった。
【0081】
実施例4
本加熱工程の工程Gを除いた他は実施例3と同様に行った。
得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、その表面部及び内部における発泡粒子相互の融着が良好で、かつ発泡粒子成形体表面上の表皮材とその発泡粒子との融着も良好であった。
【0082】
なお、実施例1〜4の各々と同じ条件で加熱成形した場合において、おこし状物が形成されていることを次のように確認した。即ち、(2)予備加熱工程直後に成形空間部内のスチームを排出した後、再度スチーム加熱を行なうことなく充分に冷却してから成形体を金型から取り出し、大気圧下、60℃、相対湿度50%の条件で48時間乾燥させ、次いで、大気圧下、23℃相対湿度50%の条件で48時間放置した後、表皮材側を下側に向けて置き、おこし状物の上面に10℃の水100mlを10秒かけて静かに流し、流し終えてから20秒以内に、おこし状物の下方に位置する表皮材のおこし状物側表面にその水のほとんどが浸透して到達していた。このように、おこし状物は、空隙が発泡粒子間に形成されて発泡粒子同士が融着されている状態であった。
【0083】
また、実施例1〜4で得られた各々の表皮付き発泡粒子成形体について、おこし状物の空隙が塞がれていることを次のように確認した。即ち、本加熱工程後充分に冷却してから成形体を金型から取り出し、大気圧下、60℃、相対湿度50%の条件で48時間乾燥させ、次いで、大気圧下、23℃相対湿度50%の条件で48時間放置した後、表皮材側を下側に向けて置き、発泡粒子成形体が露出している側の上面に10℃の水100mlを10秒かけて静かに流し、流し終えてから60秒後であっても、発泡粒子成形体の下方に位置する発泡粒子成形体の表面にその水の一部も浸透して到達しなかった。このように、得られた表皮付き発泡粒子成形体は、空隙が発泡粒子間に形成されておらず発泡粒子同士が融着されている状態であった。
【0084】
比較例1
(2)の予備加熱工程、(3)のスチーム排気工程、(4)の工程P及び(5)の工程Qを省略し、空気排気工程と本加熱工程の工程Gのみを行った以外は、実施例3と同様に行った。
【0085】
得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、該成形体の表面は融着していたが、内部は発泡粒子相互の融着が不十分であった。また、表皮材と発泡粒子成形体表面との融着も不十分で、表皮材を上方に引張ると剥離することが確認された。
【0086】
比較例2
(3)のスチーム排気工程と(6)工程Gを省略した以外は、実施例3と同様に実験を行った。
その結果、比較例1と同様に、得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、成形体の表面は融着していたが、内部は発泡粒子相互の融着が不十分であった。また、表皮材と発泡粒子成形体表面との融着も不十分で、表皮材を上方に引張ると剥離することが確認された。
【0087】
比較例3
実施例3において、(2)の予備加熱工程と(3)のスチーム排気工程を省略した以外は、実施例3と同様に実験を行った。
その結果、得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、表皮材と発泡粒子成形体表面との融着が不十分であった。
【0088】
比較例4
実施例3において、(2)の予備加熱工程と(3)のスチーム排気工程及び(6)本加熱工程の工程Gを省略した以外は、実施例3と同様に実験を行った。
その結果、得られた表皮材付き発泡粒子成形体は、表皮材と発泡粒子成形体表面との融着が不十分であった。
【0089】
実施例1〜4、及び比較例1〜4において得られた表皮材付き発泡粒子成形体について、外観、二次発泡性、及び剥離強度を次の基準で評価した結果を表2に示した。
【0090】
<外観の評価>
表皮付き発泡粒子成形体の発泡粒子相互の間隙による表面外観を、表皮材側において次の基準で評価した。
表面凹凸がない・・・・・・○
表面に凹凸がある・・・・・×
【0091】
<二次発泡性の評価>
表皮付き発泡粒子成形体の発泡粒子成形体が露出している側の表面外観について次の基準で評価した。
発泡粒子相互の間隙がなく表面凹凸がない・・・・・・・・・・・○
発泡粒子相互の間隙が少なく表面の部分的に凹凸がある・・・・・△
発泡粒子相互の間隙が多く表面の全体的に凹凸がある・・・・・・×
【0092】
<剥離強度の評価>
得られた表皮付き発泡粒子成形体より表皮材を含むサンプルサイズ厚さ(mm)×幅25(mm)×長さ200(mm)の試験片を切り取り、サンプルの表皮材の一端を付かんでサンプルから試験速度200mm/minで90°剥離強度の測定を行なった。得られた応力より最小と最大を測定しその値の平均値を剥離強度とし、1つの表皮付き発泡粒子成形体よりN数を3としてその相加平均値を表2に示す剥離強度とし、該剥離強度の強さに応じて次の基準で評価した。
4.90N/25mm以上・・・・・・・・・・・○
4.90N/25mm未満3.90N/25mm以上・・・・△
3.90N/25mm未満・・・・・・・・・・・・×
【0093】
【発明の効果】
本発明の製造方法においては、該第2成形型の壁面に設けられた透孔からスチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内の発泡粒子を加熱しておこし状物となし、次いで、成形空間部のスチームを排出した後、該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱するので、スチームが成形空間部に均一に行き渡り、発泡粒子と表皮材との融着性、発泡粒子相互の融着性に優れる表皮材付き発泡粒子成形体が得られる。
【0094】
特に、発泡粒子をおこし状物としてから、再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱するので、成形サイクルを短縮することができ、スチームの使用量も少なくすることができ、コストダウンも達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する場合に用いられる発泡成形装置の一例についての概略図を示す。
【符号の説明】
1 第1成形型
2 第2成形型
3 仕切板
4 成形用上箱
5 成形用下箱
15、21、19、25、17、23 開閉バルブ
16、22 冷却水導入管
14、20 スチーム導入管
18、24 ドレン排出管
X 表皮材
Y 発泡粒子
Z 成形空間部
Claims (2)
- 内面に沿って表皮材を配置した第1成形型と、多数の透孔が壁面に設けられた第2成形型との間に形成された成形空間部に充填された発泡粒子を加熱し、融着させることによって該表皮材が表面に積層された表皮材付き発泡粒子成形体を製造する方法において、該第2成形型の壁面に設けられた透孔からスチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内の発泡粒子を加熱しておこし状物となし、次いで、成形空間部内のスチームを排出した後、該第2成形型の壁面に設けられた透孔から再度スチームを成形空間部に導入することにより、該成形空間部内のおこし状物を加熱することを特徴とする表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法。
- 該発泡粒子がポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子である請求項1に記載の表皮材付き発泡粒子成形体の製造方法。
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