JP2004098236A - セラミックス製プレート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックス製プレート1の周側面4を研削し、ブラシ洗浄および超音波洗浄などの工程を経る。その後、セラミックス製プレート1の周縁面取り部3および周側面4を算術平均粗さ0.42μm以下に研磨、または樹脂2を50μm〜500μmでほぼ均一な厚さに被覆する。これにより、プレート周縁面取り部3または周側面4からの発塵を防止し、スクラッチを発生させずにウェーハを鏡面研磨することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェーハ製造工程の一つである、ウェーハ鏡面研磨工程において、ウェーハを貼り付けて使用するセラミックス製プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体用基板として用いるウェーハを製造する工程において、加工歪層がなく汚れもないウェーハ表面を得るために鏡面に研磨する工程がある。このウェーハを鏡面研磨する工程では、プレートにウェーハを貼り付け、そのプレートはウェーハが貼り付けられた面を下にして研磨機に取付けられる。研磨機には、取付けたプレートと対向する位置に、研磨布を貼り付けた定盤がある。
【0003】
ウェーハを貼り付けるプレートには、セラミックスが多用されている。セラミックスは、高剛性、低熱膨張率などの特性を有し、高精度の平面形状加工が可能で、金属汚染を防止できるため、ウェーハを貼り付けて使用するプレートとして好適な材料である。一般にセラミックス製プレートとして、SiC(炭化ケイ素)あるいはAl2O3(アルミナ)を主成分とするものが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
プレートを定盤に押し付け、ウェーハと研磨布の間に砥液を供給しながら定盤を回転させることにより、プレートも定盤と同じ方向に回転してウェーハの片面を均一に鏡面研磨する。このとき、プレートの周縁部と研磨布が接触する。また、研磨機の種類によっては、定盤の上面にありプレートと同様に回転している樹脂ローラとプレートの周側面が接触する。
【0005】
従来、プレートの周縁部は面取りおよび研磨されていたが、プレートの周側面は、所定の寸法に研削しただけの表面を有し、凹凸が大きい。表面粗さ形状測定機サーフコム130A((株)東京精密製)を用い、JIS B 0601(1994)により測定長さ4mm、カットオフ値0.8mmで測定すると、算術平均粗さ(Ra)が0.53μmより大きくなっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−320415号公報(第2、5〜6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
低靭性硬質材料であるセラミックスを主成分とするプレートの周縁部または周側面が、研磨布または樹脂ローラなどと接触する状態にさらされると、プレートの周縁部または周側面の表層にクラックが生じ、一部が脱落して発塵する。また、プレート周側面を研削加工したときに生じた破砕層から、一部が脱落して発塵する。これらにより、ウェーハ表面と研磨布の間に脱落したセラミックスが入り込み、ウェーハ表面にスクラッチを発生させる問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、ウェーハを鏡面研磨する工程において、プレート周縁部または周側面からの発塵を防止し、ウェーハ表面にスクラッチを発生させずに研磨することができるセラミックス製プレートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のセラミックス製プレートは、ウェーハを鏡面研磨する工程に用い、ウェーハを貼り付けて使用するセラミックス製プレートであって、プレート周側面が樹脂により被覆されていることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のセラミックス製プレートは、ウェーハを鏡面研磨する工程に用い、ウェーハを貼り付けて使用するセラミックス製プレートであって、プレート周側面の算術平均粗さ(Ra)がO.42μm以下であることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセラミックス製プレートの実施形態について説明する。
【0012】
本発明に係るセラミックス製プレートは、セラミックス粉末を秤量、混合して成形する。成形後、乾燥などにより硬化させ、目的の形状となるように加工する。その後、2000℃以上で焼成してプレートを得る。さらに、得られたプレートをマシニングセンタなどにより加工して直径230mm〜700mm、厚さ10mm〜20mmの円板状の常圧焼結セラミックス製プレート1を得る。加工時には、プレート1の周縁部は面取りおよび研磨を、周側面は研削を行なう。
【0013】
加工によりプレート1の表層に付着した粉塵を、ブラシ洗浄や超音波洗浄などにより除去する。プレート1の周側面に研磨布を押し当て、両者の間に遊離砥粒を介在させて研磨する。遊離砥粒の粒度を小さくすると研磨後の算術平均粗さが小さくなり、遊離砥粒の粒度を大きくすると研磨後の算術平均粗さが大きくなる。所望の表面粗さに研磨後、再び表層に付着した粉塵をブラシ洗浄や超音波洗浄などにより除去し、周側面が研磨されたセラミックス製プレートを得る。
【0014】
もう一つの好適な実施の形態は、樹脂2をプレート1の周縁面取り部3および周側面4に被覆することである。被覆の方法を具体的に述べると、周縁面取り部3および周側面4以外をアルミ箔などの薄い金属板で覆い、露出している周縁面取り部3および周側面4に樹脂粉末をスプレーガンなどで塗布する。その後、焼成により樹脂粉末を溶融させ、膜状に被覆させる。これを、数回繰返して所望の厚さに被覆した樹脂2を得る。
【0015】
樹脂2として好ましい材料は、エポキシ樹脂、PTFE樹脂、PPS樹脂などがある。これらは、ウェーハを鏡面研磨する際に使用するアルカリ溶液である研磨液に対し耐食性があり、耐熱性や耐磨耗性にも優れている。被覆する樹脂2の好ましい厚さは、50μm〜500μmである。被覆した樹脂2の厚さは、プレートの周縁面取り部3および周側面4の全体にわたりほぼ均一になるようにすることが好ましい。
【0016】
被覆した樹脂2の厚さが50μm未満の場合、継続使用することにより樹脂2が磨耗し、樹脂2の厚さが薄い部分からプレート1が露出する。また、樹脂2の厚さが500μm以上の場合、ウェーハを鏡面研磨する際にプレート1および樹脂2が加熱されるが、プレート1と樹脂2の熱膨張係数が異なるため界面に内部応力が発生して樹脂2がプレート1から剥がれる。
【0017】
さらに、樹脂2は周縁面取り部3からプレート1のウェーハ貼り付け面の外周部に被覆されてもよい。ウェーハ貼り付け面の外周部にも樹脂2が被覆されていると、樹脂2がプレート1から剥がれ難く、かつ製造が容易となる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
【0019】
[実施例1]
直径450mm、厚さ15mmとした常圧焼結炭化ケイ素製プレート(以下、SiCプレートと記す。)および常圧焼結アルミナ製プレート(以下、Al2O3プレートと記す。)を各々4つ得た。これらのプレートについて、ブラシ洗浄および超音波洗浄を行なった。その後、研磨条件を適宜変化させてプレート周側面を研磨した。研磨後の表面状態は表面粗さ形状測定機サーフコム130A((株)東京精密製)を用い、JIS B 0601(1994)により規定された測定条件、測定長さ4mm、カットオフ値0.8mmで測定した。
【0020】
SiCプレートは、各プレー卜周側面の算術平均粗さ(Ra)が0.11μm,0.14μm、0.16μmおよび0.17μmのものを得た。同様に、Al2O3プレートは、各プレート周側面の算術平均粗さ(Ra)が0.10μm、0.11μm、0.13μmおよび0.16μmのものを得た。
【0021】
これらについて、6インチのシリコンウェーハを5枚づつ貼り付けて、ウェーハの鏡面研磨を行い、研磨終了時に、シリコンウェーハの表面に生じていたスクラッチ(粉塵による引っかき傷)の発生量を比較した。スクラッチの確認にはサーフスキャン(ADE社製WIS900)を用いた。各プレートのスクラッチの発生量を表1に示す。本発明の実施の形態であるプレート周側面を研磨したプレートでは、シリコンウェーハの表面にスクラッチは発生しなかった。
【0022】
【表1】
[実施例2]
直径450mm、厚さ15mmとしたSiCプレートおよびAl2O3プレートを各々2つ準備した。これらのプレートについて、ブラシ洗浄および超音波洗浄を行なった。その後、プレートの周縁部および周側面にPTFE樹脂を被覆した。PTFE樹脂の厚さが100μmおよび500μmのものをSiCプレートおよびAl2O3プレートを各々1つ得た。
【0023】
これらについて、実施例1と同様にスクラッチの発生量を比較した。各プレートのスクラッチの発生量を表2に示す。樹脂で被覆したプレートでは、いずれもシリコンウェーハの表面にスクラッチは発生しなかった。
【0024】
【表2】
[実施例3]
実施例1と同一形状・同一組成のSiCプレートの周側面を、プレートの側面を回転する樹脂製ローラに48時聞摺り合わせて、プレート周側面の凹凸を除去した。これにより得た4つのSiCプレートは、周側面の算術平均粗さ(Ra)が0.30μm,0.35μm,0.37μm、0.42μmであった。
【0025】
これらについて、実施例1と同様にスクラッチの発生量を比較した。各プレートのスクラッチの発生量を表3に示す。いずれもシリコンウェーハの表面にスクラッチは発生しなかった。
【0026】
【表3】
[比較例]
比較例として、従来の周側面の表面が研削面のままであり、周側面の算術平均粗さ(Ra)がO.53μm、0.55μm、0.58μmおよびO.63μmの常温焼結炭化ケイ素製プレート(以下、従来プレートと記す。)を準備した。これらについて、実施例と同様にスクラッチの発生量を比較した。
【0027】
各プレートの周側面の表面粗さおよびスクラッチの発生量を表4に示す。従来プレートでは、20枚中6枚のシリコンウェーハにスクラッチが発生していた。
【0028】
本発明の実施の形態のセラミックス製プレートによれば、ウェーハを鏡面研磨する工程において、プレート周縁部または周側面からの発塵を防止し、ウェーハ表面にスクラッチを発生させずに半導体基板用のウェーハを鏡面研磨することができる。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、プレートからの発塵を防止し、ウェーハ表面にスクラッチを発生させずにウェーハを鏡面研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるセラミックス製プレートの周側部の部分断面図。
【符号の説明】
1 プレート本体
2 樹脂層
3 周縁面取り部
4 周側面
5 ウェーハ
Claims (3)
- ウェーハを鏡面研磨する工程に用い、ウェーハを貼り付けて使用するセラミックス製プレートにおいて、
プレート周側面の算術平均粗さが0.42μm以下であることを特徴とするセラミックス製プレート。 - ウェーハを鏡面研磨する工程に用い、ウェーハを貼り付けて使用するセラミックス製プレートにおいて、
プレート周側面が樹脂により被覆されていることを特徴とするセラミックス製プレート。 - 前記樹脂が厚さ50μm至乃500μmであることを特徴とする請求項2記載のセラミックス製プレート。
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