JP2004098171A - サブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法 - Google Patents

サブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚鋼板を高能率な大入熱すみ肉溶接する場合に、良好な溶接金属部靱性と作業性が得られるサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法を提案する。
【解決手段】 一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al23:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する焼成型フラックスとする。
【選択図】  なし

Description

 本発明は、厚鋼板のすみ肉溶接に用いて好適なサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法に関し、特にビルドHと呼ばれる溶接H形鋼の高能率すみ肉溶接に適用した場合に、優れた靱性と作業性を発揮しうる技術に関する。
 近年、ビルの高層化に伴い、これに使用される鋼材の厚さも次第に増加する傾向にある。例えば、柱として使用される、いわゆるボックス柱では100mm厚さのものもあり、また、梁として使用されるビルトHと言われる溶接H形鋼の鋼板厚さも同様に厚くなってきている。こうした鋼板の厚肉化にともない、これを溶接するためには多大の時間が必要となり、溶接能率を向上させることが大きな課題として浮上してきた。
 ところで、厚鋼板の高能率溶接についてはこれまでにも多くの方法が提案されており、特許文献1、特許文献2には高能率すみ肉溶接の技術が提案されている。前記特許文献1には、成分とかさ比重を規制した焼成型フラックスと所定の成分のワイヤを用いて、開先加工なしでウエブ厚が16〜60mmの厚肉T型の組み立て鋼材を2電極サブマージアークすみ肉溶接する方法が開示されている。また、特許文献2には、厚鋼板でも1パス施工が可能な大入熱サブマージアーク溶接において、良好な溶接作業性(スラグ剥離性とビード形状)を有するフラックスが開示されている。
特公平8−9099号公報 特開平8−99191号公報
 しかしながら、これらの従来方法では、大入熱の溶接で得られる溶接金属の靱性が鋼板によっては十分に得られない(例えば、120 kJ/cmの入熱量で vE0:27 J以下)という問題あることが明らかとなってきた。そこで、本発明は上記問題の解決を目的とし、厚鋼板を高能率な大入熱すみ肉溶接した場合に、良好な溶接金属部靱性が得られるサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法を提案することにある。具体的には、ウエブ材として16〜60mmの厚鋼板を用いて、入熱量120 kJ/cmの大入熱溶接を行ったとき、vE0:27 J以上が得られるサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法を提案することを目的とする。
 発明者らは、上掲の課題を解決すべく、各種の調査および実験、検討を重ねた結果、厚鋼板を効率のよい大入熱すみ肉溶接して得られた溶接金属の靱性値は、溶接金属の微細組織、ひいては溶接金属に生成する島状マルテンサイトの影響を受けること、靱性劣化の要因となる微細組織の粗大化を抑制し、島状マルテンサイトの生成を抑制するような溶接材料を用いれば、靱性を大幅に改善できることを知見した。本発明は、上記知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
(1) 一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al23:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
(2) 一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al23:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらにTiO2:5%以下、B23:0.1〜1.5%のうちの少なくとも1種を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
 本発明によれば、極めて高い吸収エネルギーが得られ、しかも作業性が優れているので、高能率なサブマージアークすみ肉溶接が可能になる。したがって、本発明によれば、高能率で品質のよい溶接H形鋼を安価に製造できるようになる。
 以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。発明者等は、厚鋼板の大入熱すみ肉サブマージアーク溶接によって得られる溶接金属の靱性について詳細に調べたところ、鋼板が特定の成分としてTiを含んでいないときに溶接金属の組織が粗大化して低靱性となること、また低靱性の溶接金属には島状マルテンサイトが生成していることを知見した。そして、大入熱サブマージアーク溶接した溶接金属の靱性を安定的に向上させるには、フラックスの成分組成だけでなく、その配合原料にも配慮することが重要であり、かかるフラックスと適正な溶接ワイヤとを組み合わせて溶接することが肝要であることを見いだしたのである。次に、本発明を上記要旨構成の範囲に限定した理由について説明する。
SiO2:20〜60%
 SiO2は、ビード幅を広げビード表面を平滑にする効果があるので、ビード外観を良好に保つための基本造滓剤として添加する。SiO2量が20%未満ではその効果が少ない。一方、60%を超えて多量に含まれると粘性が高くなりすぎてかえってビード外観が乱れやすくなる。よって、SiO2量は20〜60%の範囲とする。
MgO:10〜40%
 MgOは、スラグの融点を上昇させ、大入熱溶接時の作業性を改善するとともにフラックスの塩基度を高めて、溶接金属の酸素量を低減して靱性を向上させるのに有効な成分である。MgO含有量が10%未満では十分な効果が得られず、一方、40%を超えると融点が上昇し過ぎてビード外観が劣化する傾向が現れる。このため、MgOは10〜40%の範囲で含有させる。
Al23:5〜25%
 Al23は、スラグの粘性を調整する上で重要な成分であるが、5%未満の含有量ではこれらの効果に乏しく、一方25%を超えて含有させると融点が上昇しすぎてビード形状の劣化を招く。よって、Al23含有量は5〜25%の範囲とする。
CaF2:1〜10%
 CaF2は、スラグの流動性を調整する上で重要な成分である。CaF2含有量が1%未満ではその効果に乏しく、一方、10%を超えるとスラグが流動し易くなるため、CaF2の量は1〜10%の範囲とする。
CaO:2〜20%
 CaOは、MgOと同様に、生成スラグの融点を上昇させるとともに、フラックスの塩基度を高める成分として必要である。なお、CaOはフラックス中にCaCO3として存在させると、溶接時のガス源としても有効に働くため好ましい。CaO含有量が2%未満ではその効果に乏しく、一方20%を超えるとスラグの流動性が阻害されてビード形状が劣化する。このため、フラックス中にはCaO換算(CaF2のCaは除いて換算)で2〜20%の範囲で含有させる。
MnO:2〜20%、原料中の一酸化マンガン:2〜20%
 Mn酸化物は、スラグの粘性及び凝固温度を調整するために必要な成分である。また、このMn酸化物(フラックス中MnOに換算して表す成分)をフラックス原料中に添加するときに、一酸化マンガンとしてとして添加することが、大入熱すみ肉溶接の靱性を改善する上で極めて重要な役割を果たす。従来、フラックス原料に添加されるMn酸化物としては、一酸化マンガン(MnO)、二酸化マンガン(MnO2)、四酸化三マンガン(Mn34)などの種々の形態で配合されていた。通常、フラックス原料は、配合、混合された後、水ガラスなどの結合剤とともに混練され、造粒後、400〜600℃で焼成される。この一連の工程をへて製造したフラックスにおいて、原料として添加した一酸化マンガンは酸化されて一部は四酸化三マンガンとなるものの、その多くは添加した原料のままの形態でフラックス中に存在すると考えられる。
 ここで本発明のように、フラックス中のMn酸化物原料として一酸化マンガンを使用すると、二酸化マンガン、四酸化三マンガンなどの一酸化マンガン以外の酸化物を原料とした場合に比べ、大入熱のすみ肉溶接金属の靱性が大きく改善される。すなわち、二酸化マンガン、四酸化三マンガンなどの一酸化マンガン以外の酸化物を原料とした場合には、溶接金属組織が粗大化し、島状マルテンサイトを生成しやすいが、一酸化マンガンを原料として用いると、溶接金属が微細となり、島状マルテンサイトの形成も抑制され、良好な靭性が得られる。また、大入熱のすみ肉溶接時に、一酸化マンガン以外の前記酸化物を原料として製造したフラックスでは、ポックマークの発生頻度が増加するのに対して、一酸化マンガンを原料として用いればこの問題も解決できるという利点もある。
 フラックス原料中に一酸化マンガンを配合すると、上述したような効果が得られる。このような効果は原料中での一酸化マンガンの量を2〜20%とすることにより得られる。また、この原料を配合して製造したフラックス中のMn酸化物量は、MnOに換算して2〜20%とすることも必要である。というのは、MnO換算でのMn酸化物量が2%未満ではフラックスの軟化温度の低下が不十分となり、一方20%を超えると、溶接スラグ表面にポックマークが発生し、溶接スラグが脆くなりスラグの剥離性が低下するなどの溶接作業性が低下するからである。
CO2:2〜20%
 CO2ガスは、CaCO3などの金属炭酸塩の形で添加し、溶接時の溶接金属中への水素の侵入を低下させるために有効である。ガス量がCO2換算で2%未満ではCO2によるシールド効果に乏しく、一方20%を超えるとビード形状の劣化を招くので、CO2換算のガス量は2〜20%の範囲とする。
原料中の金属粉:2〜10%
 上記スラグ構成成分に加え、脱酸剤、合金元素としての役割を果たす金属粉を2〜10%添加する必要がある。金属粉の添加量が2%未満では溶接金属の靱性を確保することが難しいだけでなく、ポックマークが発生しやすくなる。一方、10%を超えて添加すると酸素量が低くなりすぎて焼きが入る(アシキュラーフェライト主体の組織が、ベイナイトもしくはマルテンサイト主体の組織となる)ため、かえって靱性を低下する。従って、金属粉の含有量は2〜10%の範囲とする。金属粉としては、鉄粉、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロモリブデン、Ti、フェロチタン(以下、Fe−Tiと記す)などが使用される。このうち、TiあるいはFe−Tiを合計量で0.2%以上添加すると、溶接金属中にTiを含有させることができ、一酸化マンガンの添加靱性向上の効果を一層高めることができる。この場合、TiあるいはFe−Tiの合計量が0.5%を超えると、溶接スラグの剥離不良が発生し、溶接作業性を低下させるので、TiあるいはFe−Tiを添加する場合には、0.5%以下の範囲とするのが望ましい。また、フェロモリブデンを用いると、溶接金属中にMoを含有させることができ、靱性向上の効果を一層高めることができる。
 上記成分のほかに、必要に応じて、TiO2:5%以下、B23:0.1〜1.5%のうちの1種以上を添加することができる。TiO2は、靱性を改善する効果を有している。TiO2は、アーク安定性を高めるという効果もある。原料中に一酸化マンガンを含有させたうえで、TiO2を添加、好ましくは1%以上添加することにより、さらなる靱性向上が期待される。ただし、5%を超えて添加すると、スラグ剥離性が低下するので、5%以下の範囲で添加する。B23も、溶接中の還元反応により、Bが溶接金属中に移行して溶接金属の靱性改善に寄与する。このような効果は0.1%未満では得られず、1.5%を超えて添加すると溶接金属の凝固割れを助長する。よって、B23は0.1〜1.5%の範囲で添加する。
製造方法
 上述した組成となるようにフラックス原料粉を配合して、結合剤と共に混練したのち、造粒し、焼成する。造粒法はとくに限定しないが、転動式造粒機、押し出し式造粒機などを用いるのが好ましい。造粒したのち、ダスト除去、粗大粒の解砕などの整粒処理を行って、粒子径を2.5mm以下の大きさの粒子にするのが望ましい。なお、結合剤(バインダ)としては、ポリビニルアルコールなどの水溶液、水ガラスが好適である。なかでも、従来から用いられているSiO2とNa2Oのモル比:1〜5の珪酸ソーダ(水ガラス)で十分である。また、使用量はフラックス原料1kgあたり100〜300cc程度でよい。また、造粒後の焼成は400〜650℃の温度で行うのが好ましい。というのは、焼成温度が400℃に満たないと、結合剤(バインダ)より持ち込まれる水分の乾燥が不十分となり、溶接金属中の拡散性水素の増加を招き、一方、焼成温度が650℃を超えると、フラックス中の炭酸塩が分解し、CO2によるシールド効果が得られなくなるからである。焼成はロータリーキルン、定置式バッチ炉、ベルト式焼成炉などを用いて行う。
 上述した成分組成に調整して製造したフラックスを用いてサブマージアーク溶接を行えば、良好な溶接部靱性を確保できる。さらにこの溶接部靱性は、所定の溶接ワイヤと組み合せて溶接することにより、一層向上させることが可能になり、極めて良好な特性が得られるようになる。サブマージアーク溶接に用いる溶接ワイヤの成分組成は以下のものが好適である。溶接ワイヤのCは、溶接割れの抑制のために低減することが必要である。すなわち、溶接割れは溶接金属中のC量に最も影響を受け、とりわけ大入熱のすみ肉溶接では、溶接金属のC量は厚鋼板のC量の影響を受けやすくなる。このような観点から、溶接ワイヤのC量は、極力低減し、0.08%以下としておくことが好ましい。
 溶接ワイヤ中のSi量は、Siが島状マルテンサイトの生成を助長する元素であることから、0.15%以下とする。溶接ワイヤ中のMn量は、溶接ワイヤ中酸素量の調整および溶接金属の脱酸効果と強度確保のため、1.20〜2.50%とする必要がある。1.20%未満では脱酸不足になりやすく、低C量溶接金属での強度が確保しにくくなる。一方、2.5%を超えると強度が高すぎて硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。従って、ワイヤ中のMn量は1.20〜2.50%とする。なお、好ましいMn量は1.70〜2.30%である。溶接ワイヤ中のTiは、スラグ剥離性を劣化させることなく溶接金属の靱性改善をはかるのに有用であり、0.03〜0.13%を含有することが必要である。0.03%未満の含有では溶接金属の靱性は改善しにくく、0.13%を超えて含有すると強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。また、Moは靱性の向上に効果的であるが、0.3%を超えて含有すると、強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなるため、溶接ワイヤに含有させる場合は0.3%以下とする。
 ワイヤ径については、4.0mm未満のワイヤではアークが細く、ビード幅が出にくくなり、また、溶込み底部の形状が鋭くなってスラグ巻き込み等の欠陥も発生しやすくなる。一方、6.4mmを超えるとワイヤの剛性が大きすぎて、溶接機のワイヤ送給装置に負荷がかかり過ぎる。よってワイヤ径は、4.0〜6.4mmとする。
 つぎに、サブマージアーク溶接方法について説明する。2電極法で溶接するとき、先行極(L極)、後行極(T極)の電流比(IT/IL)は0.65〜1.00とする必要がある。すなわち、IT/ILが0.65より小さい場合には、先行極によって生じたスラグを後行極で浮上させ得なくなり、結果的にスラグ巻き込みが発生しやすくなる。一方、IT/ILが1.00より大きくなると、後行極自身の電流が大きいため、後行極によりスラグ巻き込みが発生する。したがって、電流比IT/ILを0.65〜1.00とする。また、先行極に3〜15°の後退角を、後行極に3〜20°の前進角を設けることにより溶込みが深く、外観の良好な溶接部が得られるので、電極角度は上記のように設定するのが望ましい。さらに、溶込みを確保する上で、フランジ角度は水平面から40〜70°として溶接することが必要である。
 上記のような条件で開先加工を行わないで溶接するためには、厚鋼板の厚みを16〜60mmの範囲とするのがよい。完全溶込み法で溶接できる板厚範囲はウエブ板厚が16〜36mmまでである。というのは、ウエブ厚が36mm超で完全溶込みを指向して溶接すると、溶込みが深くなりすぎ、幅の狭いビードとなって高温割れが起こりやすく、また、母材希釈量が大きくなって高温割れが生じやすくなるからである。したがって、ウエブ厚が16〜36mmの板厚範囲では完全溶込み、36mm超〜60mmの板厚範囲では部分溶込み(両側ビードの溶込みがウエブ厚の1/3以上)とする。なお、ウエブ厚16mm未満では、従来法でも開先加工なしで完全溶け込みが得られ、60mm超では、開先加工が必要となるので、開先加工なしで本発明のようなサブマージアークすみ肉溶接を行うのに適する板厚は16〜60mmとなる。
 以上説明した、フラックス、溶接ワイヤ、溶接方法でサブマージアーク溶接して得られる、溶接金属の成分組成は以下の範囲とすることが望ましい。
C:0.13%以下
 溶接金属中のC量が0.13%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のC量は0.13%以下で極力低減するのがよい。
Si:0.70%以下
 Siは、島状マルテンサイトの生成を助長し、靱性の低下をもたらす元素である。このような悪影響は0.70%を超えると顕著にあらわれるので、溶接金属中のSi含有量は0.70%以下とする。
Mn:1.80%以下
 溶接金属中のMn量が1.80%を超えると、低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のMn量は1.80%以下とする。
Ti:0.005〜0.020%
 溶接金属中のTi量が0.005%未満の含有では、溶接金属の靱性が改善しにくく、一方、0.020%を超えて含有すると、強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のTi量は0.005〜0.020%とする。
B:0.0030%以下
 溶接金属中のBは、溶接金属の靱性を改善するが、その含有量が0.0030%を超えると溶接金属の凝固割れを助長する。よって、溶接金属中のB量は0.0030%以下とする。
Mo:0.050〜0.250%
 溶接金属中のMoは、溶接金属靱性のさらなる改善に寄与する元素であるので、必要に応じて、溶接ワイヤ及び/又はフラックスから添加して含有させる。このような効果は、0.050%以上のMo含有により得られるが、0.250%を超えて含有すると強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のMo量は0.050〜0.250%とする。
 表1に示す組成で、板厚40mmのSN490B鋼板をT型に組み、すみ肉溶接を行った。T型に組み立てた部材のフランジ部が水平面となす角度を60°として溶接した。このとき用いたフラックス、溶接ワイヤの成分組成をそれぞれ表2、表3に、また溶接条件を表4に示す。用いたフラックスは、表2に示すMn酸化物および金属粉を原料の一部として配合して、SiO2とNa2Oのモル比が4の結合剤(水ガラス)とともに混練し、造粒したのち、500℃×15minで焼成して、粒子径1.5mm以下としたものである。なお、表2に示すフラックス成分は、CaF2およびCaOについては、フラックス中のFを分析してCaF2として換算し、残りの全てのCaをCaOとして換算したものである。また、フラックス中の全てのSiはSiO2として換算し、同様に、Mg、Al、Tiなども、それぞれMgO、Al23、TiO2として換算したものである。また、ガス量としてのCO2量はフラックス中のC量を分析し、CO2量に換算したものである。
 得られた溶接金属の化学成分を表5に、溶接結果を表6に示す。表6から明らかなように、発明例(No.1、5)では吸収エネルギーが27J以上という良好な値が得られ、溶接作業性も良好であった。これに対し、成分組成が本発明範囲を外れたフラックスで溶接した比較例(No.2、3、4)では、吸収エネルギーが低く、そのうえポックマークに対する手直しが必要となり、作業性が劣る場合もあった。
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 表7に示す組成で、板厚25mmのSN490B鋼板をT型に組み、すみ肉溶接を行った。T型に組み立てた部材のフランジ部が水平面となす角度を60°として溶接した。このとき用いたフラックス、溶接ワイヤの成分組成をそれぞれ表8、表9に、また溶接条件を表10に示す。用いたフラックスは、SiO2とNa2Oのモル比が2の水ガラスを用いたことを除き、実施例1と同様にして製造したものである。得られた溶接金属の化学成分を表11に、溶接結果を表12に示す。表12から明らかなように、発明例(No.6、7、10〜13)では、ワイヤBとの組み合わせで吸収エネルギーが27J以上という良好な値が得られ、溶接作業性も良好であった。なかでも、フラックス中にTiO2、B23あるいはFe-Ti、Fe-Mo等の金属粉を適量添加した場合(No.7、9〜12)には、より高い吸収エネルギーが得られた。また、ワイヤCと組み合わせた発明例では、vE0:47J以上というさらに高い吸収エネルギーが得られた。これに対し、成分組成が本発明範囲を外れたフラックスで溶接した比較例(No.8)では、スラグの剥離性が悪く、作業性が極めて劣っていた。
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Claims (2)

  1. 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al23:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
  2. 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al22:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらにTiO2:5%以下、B23:0.1〜1.5%のうちの少なくとも1種を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
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