JP2004098171A - サブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する焼成型フラックスとする。
【選択図】 なし
Description
ところで、厚鋼板の高能率溶接についてはこれまでにも多くの方法が提案されており、特許文献1、特許文献2には高能率すみ肉溶接の技術が提案されている。前記特許文献1には、成分とかさ比重を規制した焼成型フラックスと所定の成分のワイヤを用いて、開先加工なしでウエブ厚が16〜60mmの厚肉T型の組み立て鋼材を2電極サブマージアークすみ肉溶接する方法が開示されている。また、特許文献2には、厚鋼板でも1パス施工が可能な大入熱サブマージアーク溶接において、良好な溶接作業性(スラグ剥離性とビード形状)を有するフラックスが開示されている。
SiO2は、ビード幅を広げビード表面を平滑にする効果があるので、ビード外観を良好に保つための基本造滓剤として添加する。SiO2量が20%未満ではその効果が少ない。一方、60%を超えて多量に含まれると粘性が高くなりすぎてかえってビード外観が乱れやすくなる。よって、SiO2量は20〜60%の範囲とする。
MgOは、スラグの融点を上昇させ、大入熱溶接時の作業性を改善するとともにフラックスの塩基度を高めて、溶接金属の酸素量を低減して靱性を向上させるのに有効な成分である。MgO含有量が10%未満では十分な効果が得られず、一方、40%を超えると融点が上昇し過ぎてビード外観が劣化する傾向が現れる。このため、MgOは10〜40%の範囲で含有させる。
Al2O3は、スラグの粘性を調整する上で重要な成分であるが、5%未満の含有量ではこれらの効果に乏しく、一方25%を超えて含有させると融点が上昇しすぎてビード形状の劣化を招く。よって、Al2O3含有量は5〜25%の範囲とする。
CaF2は、スラグの流動性を調整する上で重要な成分である。CaF2含有量が1%未満ではその効果に乏しく、一方、10%を超えるとスラグが流動し易くなるため、CaF2の量は1〜10%の範囲とする。
CaOは、MgOと同様に、生成スラグの融点を上昇させるとともに、フラックスの塩基度を高める成分として必要である。なお、CaOはフラックス中にCaCO3として存在させると、溶接時のガス源としても有効に働くため好ましい。CaO含有量が2%未満ではその効果に乏しく、一方20%を超えるとスラグの流動性が阻害されてビード形状が劣化する。このため、フラックス中にはCaO換算(CaF2のCaは除いて換算)で2〜20%の範囲で含有させる。
Mn酸化物は、スラグの粘性及び凝固温度を調整するために必要な成分である。また、このMn酸化物(フラックス中MnOに換算して表す成分)をフラックス原料中に添加するときに、一酸化マンガンとしてとして添加することが、大入熱すみ肉溶接の靱性を改善する上で極めて重要な役割を果たす。従来、フラックス原料に添加されるMn酸化物としては、一酸化マンガン(MnO)、二酸化マンガン(MnO2)、四酸化三マンガン(Mn3O4)などの種々の形態で配合されていた。通常、フラックス原料は、配合、混合された後、水ガラスなどの結合剤とともに混練され、造粒後、400〜600℃で焼成される。この一連の工程をへて製造したフラックスにおいて、原料として添加した一酸化マンガンは酸化されて一部は四酸化三マンガンとなるものの、その多くは添加した原料のままの形態でフラックス中に存在すると考えられる。
CO2ガスは、CaCO3などの金属炭酸塩の形で添加し、溶接時の溶接金属中への水素の侵入を低下させるために有効である。ガス量がCO2換算で2%未満ではCO2によるシールド効果に乏しく、一方20%を超えるとビード形状の劣化を招くので、CO2換算のガス量は2〜20%の範囲とする。
上記スラグ構成成分に加え、脱酸剤、合金元素としての役割を果たす金属粉を2〜10%添加する必要がある。金属粉の添加量が2%未満では溶接金属の靱性を確保することが難しいだけでなく、ポックマークが発生しやすくなる。一方、10%を超えて添加すると酸素量が低くなりすぎて焼きが入る(アシキュラーフェライト主体の組織が、ベイナイトもしくはマルテンサイト主体の組織となる)ため、かえって靱性を低下する。従って、金属粉の含有量は2〜10%の範囲とする。金属粉としては、鉄粉、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロモリブデン、Ti、フェロチタン(以下、Fe−Tiと記す)などが使用される。このうち、TiあるいはFe−Tiを合計量で0.2%以上添加すると、溶接金属中にTiを含有させることができ、一酸化マンガンの添加靱性向上の効果を一層高めることができる。この場合、TiあるいはFe−Tiの合計量が0.5%を超えると、溶接スラグの剥離不良が発生し、溶接作業性を低下させるので、TiあるいはFe−Tiを添加する場合には、0.5%以下の範囲とするのが望ましい。また、フェロモリブデンを用いると、溶接金属中にMoを含有させることができ、靱性向上の効果を一層高めることができる。
上述した組成となるようにフラックス原料粉を配合して、結合剤と共に混練したのち、造粒し、焼成する。造粒法はとくに限定しないが、転動式造粒機、押し出し式造粒機などを用いるのが好ましい。造粒したのち、ダスト除去、粗大粒の解砕などの整粒処理を行って、粒子径を2.5mm以下の大きさの粒子にするのが望ましい。なお、結合剤(バインダ)としては、ポリビニルアルコールなどの水溶液、水ガラスが好適である。なかでも、従来から用いられているSiO2とNa2Oのモル比:1〜5の珪酸ソーダ(水ガラス)で十分である。また、使用量はフラックス原料1kgあたり100〜300cc程度でよい。また、造粒後の焼成は400〜650℃の温度で行うのが好ましい。というのは、焼成温度が400℃に満たないと、結合剤(バインダ)より持ち込まれる水分の乾燥が不十分となり、溶接金属中の拡散性水素の増加を招き、一方、焼成温度が650℃を超えると、フラックス中の炭酸塩が分解し、CO2によるシールド効果が得られなくなるからである。焼成はロータリーキルン、定置式バッチ炉、ベルト式焼成炉などを用いて行う。
C:0.13%以下
溶接金属中のC量が0.13%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のC量は0.13%以下で極力低減するのがよい。
Si:0.70%以下
Siは、島状マルテンサイトの生成を助長し、靱性の低下をもたらす元素である。このような悪影響は0.70%を超えると顕著にあらわれるので、溶接金属中のSi含有量は0.70%以下とする。
Mn:1.80%以下
溶接金属中のMn量が1.80%を超えると、低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のMn量は1.80%以下とする。
溶接金属中のTi量が0.005%未満の含有では、溶接金属の靱性が改善しにくく、一方、0.020%を超えて含有すると、強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のTi量は0.005〜0.020%とする。
B:0.0030%以下
溶接金属中のBは、溶接金属の靱性を改善するが、その含有量が0.0030%を超えると溶接金属の凝固割れを助長する。よって、溶接金属中のB量は0.0030%以下とする。
Mo:0.050〜0.250%
溶接金属中のMoは、溶接金属靱性のさらなる改善に寄与する元素であるので、必要に応じて、溶接ワイヤ及び/又はフラックスから添加して含有させる。このような効果は、0.050%以上のMo含有により得られるが、0.250%を超えて含有すると強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中のMo量は0.050〜0.250%とする。
Claims (2)
- 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
- 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O2:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらにTiO2:5%以下、B2O3:0.1〜1.5%のうちの少なくとも1種を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
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