JP2004098153A - プレス成形方法とプレス機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナーパンチ31をアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25の下端位置よりも下方に突出させた状態でダイ内を下降させかつインナーパンチ先端成形面33でリフター上の素材を押圧しつつ有底筒状半製品をプレス成形する前記半製品成形工程と、リフターが下板に突き当ってインナーパンチが下降不能に位置拘束された後にアウターパンチを下降させつつ底稜エッジ成形部をインナーパンチ外側周面と有底筒状半製品内側周面との間に押込みつつ底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とを、この順で実施する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイ内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品を成形する半製品成形工程と、有底筒状半製品の底部の稜線部位に底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とを含むプレス成形方法およびこの方法を実施するためのプレス機械に関する。
【0002】
【従来技術】
図7(A1),(A2)に示す底付き円筒形状の有底筒状製品Wgrや、同図(B1),(B2)に示す底付き角筒形状の有底筒状製品Wgsのプレス成形(例えば、絞り成形,シゴキ成形)において、その底部Wbの稜線部位Wimの形状を小さくしたいとの要求がある。かかるエッジ(底稜エッジ)の形状としては、小さな円弧部(小曲部Re)や直角エッジ(小角部Rs)である。
【0003】
しかし、1工程で絞り(および/またはシゴキ)成形から底稜エッジ成形までを行うと、プレス成形力が素材(半製品)の特定的な1箇所に集中するので、ネッキングや割れが生じてしまう。そこで、図8に示す如く複数工程(工程分割方法)で実施されているのが実状である。
【0004】
すなわち、図8(A)に示す如く、パンチ(図示省略)の下端部に比較的に大きな円弧部を形成し、図示しないダイ内でのパンチ下降運動により素材(ブランク)から底部Wbの稜線部位Wimの形状が大きな円弧形状(例えば、外側に凸となる半径10mmの円弧部Rlを有する。)の有底筒状半製品Whを成形する半製品成形工程と、下端部に小さな円弧部(または、エッジのまま)を有するパンチを用いて、有底筒状半製品Whの稜線部位Wimに図8(B)に示す小さな円弧形状(例えば、半径1mm以下の小曲部Reを有する。)の底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とを、この順で実施している。稜線部位Wimに素材(ブランク…Wh)の板厚(例えば、3mm)以下の円弧部(Re)を形成する場合も同様であった。
【0005】
かかる有底筒状製品の生産に係るプレス成形方法乃至プレス機械(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)が、具体的に、提案されている。
【0006】
上記文献1に係る有底筒状部品の製造方法は、板状素材に絞り加工を施し、筒状部の長さが有底筒状部品よりも長くかつその筒状部と低部とのコーナー部の半径が有底筒状部品よりも大きい有底筒形状の中間品を製造する工程と、有底筒状部品の開口側端面を除く外周面の形状に対応する形状の成形面を有するダイス内に中間品を底部側から嵌入するとともに、有底筒状部品の内周面および開口側端面の形状に対応する形状の成形面を有するポンチを中間品およびダイスに嵌入して、その中間品に鍛造加工を施し、中間品の筒状部を軸方向に押圧して余肉をコーナー部側へ流動させることにより目的とする形状に成形する形状出し工程とを有する。
【0007】
また、上記文献2に係るカップ状部材の角出し成形方法は、予めカップ状に成形された中間品の縦壁をダイとパンチでしごき加工し、隅部内周近傍の縦壁に肉溜まりを形成させ、肉溜まりをパンチで押圧して肉溜まりの肉を隅部外周の角部に移動させることによって隅部外周の角出しを行うものである。
【0008】
このように、いずれの方法も工程分割方式であるから、底稜エッジ成形工程でのパンチの中間品[半製品(Wh)]への導入円滑化のために、底稜エッジ成形パンチの先端稜線部分に若干の円弧形状をもたせている。したがって、底稜エッジ成形時の稜線部位Wimへの素材ボリューム不足が生じるので、素材ボリューム補充工程[つぶし成形(ヒットホーム成形)等]を追加しているのが一般的である。
【0009】
なお、マグネシウム合金のような温間成形製品の場合には、工程間での金型温度ムラや、半製品搬送中の半製品温度低下等による半製品温度変化が大きいので、上記の工程分割方式でさえ殆ど実用化されていない。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−210389号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開平9−327749号公報(第2頁、図1〜2)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここに、従来プレス成形方法(プレス機械)では、小さな底稜エッジ(Re,Rs)を成形するためには2工程以上を必要とするので、金型費用や工数の増加を招く。これでは、一段のコスト低減化要求に応えられない。また、底稜エッジ成形パンチの先端稜線部分の円弧形状化に起因するつぶし成形のために、プレス荷重が高荷重化する不利があった。さらに、半製品熱膨張量が大きく変化するマグネシウム合金の場合には、工程の半製品パイロットが不安定であるために、底稜エッジ成形が至難であるという問題もある。
【0012】
本発明の目的は、1工程で小さな底稜エッジを有する有底筒状製品を成形可能なプレス成形方法およびこのプレス成形方法を実施することができるプレス機械を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パンチを構成するとともにスライド昇降方向で相対移動変位可能なインナーパンチとアウターパンチとの各パンチ肩部(2点)で素材にプレス形成力を加えつつ有底筒状半製品を成形(半製品成形工程の実行)し、引続きインナーパンチ(パンチ肩部)を停止させたままアウターパンチのパンチ肩部で半製品成形工程実行中に形成されたテーパー部を底部稜線部位(補充部)へ移動補充しつつ底部エッジを成形(底稜エッジ成形工程の実行)するまでを1工程で行うことで小さな底稜エッジを形成可能にしたものである。
【0014】
すなわち、請求項1の発明は、ダイ内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品を成形する半製品成形工程と、有底筒状半製品の底部の稜線部位に底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とを含むプレス成形方法であって、前記半製品成形工程が、前記パンチの一部を構成するインナーパンチをこのインナーパンチを被嵌するアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態で前記ダイ内を下降させかつインナーパンチの先端成形面でリフター上の前記素材を押圧しつつ前記有底筒状半製品をプレス成形する工程とされ、前記底稜エッジ成形工程が、下降するリフターが下ダイセットの下板に突き当ってインナーパンチが下降不能に位置拘束された後にアウターパンチを下降させつつ底稜エッジ成形部をインナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間に押込みつつ底稜エッジを成形する工程とされたプレス成形方法である。
【0015】
かかる発明に係るプレス成形方法では、インナーパンチをアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態でダイ内を下降させる。素材(半製品)を載置するリフターも下降する。インナーパンチの先端成形面がリフター上の素材を押圧しつつダイ内形状に応じた例えば円筒形状の有底筒状半製品をプレス成形することができる。半製品の側壁面から底部へ向う部位は傾斜(縮径)する立下り形状のテーパー部になる。この半製品成形工程におけるプレス成形力は、インナーパンチのパンチ肩部とアウターパンチのパンチ肩部との2個所に分散されて素材(半製品)に加えられる。したがって、従来例の場合(1つのパンチ下端肩部から加える。)のように底部付近にネックや割れが発生することが少ない。
【0016】
下降するリフターが下ダイセットの下板に突き当ってインナーパンチが下降不能に位置拘束された後に、つまりは胴付き後に、アウターパンチを下降させる。すると、アウターパンチの一部である底稜エッジ成形部がインナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間に押込まれる。この過程で、半製品の側壁面から底部へ向う傾斜(縮径)部位の素材(テーパー部)が、有底筒状半製品の底部稜線部位になる補充部に充填されることになる。すなわち、パンチ(スライド)を上下方向に1往復させる1工程で小さな底稜エッジ[例えば、板厚が0.6mmの素材で半径(R)が0.5mm以下の曲り形状]を有する有底筒状製品を成形することができる。
【0017】
また、請求項2の発明は、ダイ内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品を成形可能かつ有底筒状半製品の底部の稜線部位に底稜エッジを成形可能なプレス機械であって、前記ダイの成形空間内に、前記パンチからプレス成形力が付与されない場合は下板側の押上バネの付勢力で上限位置に保持可能かつ該プレス成形力が付与された場合には該押上バネの付勢力に抗して位置下降可能に形成されたリフターを設け、前記パンチを、スライド側に取付けられかつ下方部にスカート形状の底稜エッジ成形部を有するアウターパンチと,底稜エッジ成形部内で上下方向移動可能に連結部を介してアウターパンチに連結されたインナーパンチとから形成し、連結部が、アウターパンチの中空部内で上下方向移動可能に装着された鍔部と,一端部が鍔部に固定されかつ他端部がインナーパンチに固定された連結部材と,鍔部をアウターパンチの下限位置拘束面に向って押下げる押下バネとを含み、プレス成形中は該押上バネの付勢力に抗してインナーパンチの先端成形面をアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態に保持可能かつインナーパンチがリフターを介して下板に当接された位置拘束状態ではアウターパンチの底稜エッジ成形部をインナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間への押込下降運動を許容可能に形成されたプレス機械である。
【0018】
この発明に係るプレス機械では、ダイの成形空間内のリフターは、パンチからプレス成形力が付与されていないので、下板側の押上バネの付勢力で上限位置に保持されている。ここで、素材がダイに供給され、その後にスライド下降運動によってパンチが下降されプレス成形が開始される。プレス成形中は、押上バネの付勢力に抗してインナーパンチの先端成形面がアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態に保持されているので、インナーパンチの先端成形面がリフター上の素材を押圧しつつダイ内形状に応じた例えば円筒形状の有底筒状半製品をプレス成形することができる。
【0019】
リフターは、プレス成形力が付与されると、半製品の底部を下側から保持した状態でかつ押上バネの付勢力に抗して位置下降する。半製品の側壁面から底部へ向う部位の傾斜(縮径)する立下り形状のテーパー部になる。この半製品成形工程におけるプレス成形力は、インナーパンチのパンチ肩部とアウターパンチと一体の底稜エッジ成形部(パンチ肩部)の2個所に分散されて素材(半製品)に加えられる。したがって、従来例の場合(1つのパンチ肩部から加える。)のように底部付近にネックや割れが発生することが少ない。
【0020】
下降するリフターが下ダイセットの下板に突き当ってインナーパンチが下降不能に位置拘束された後に、つまりは胴付き後に、パンチがさらに下降されると、インナーパンチは、連結部を介して底稜エッジ成形部内で、見掛け上、押下バネの付勢力に抗しつつ上方向へ向って移動する。
【0021】
すなわち、アウターパンチの一部である底稜エッジ成形部が、インナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間に押込まれる。この過程で、半製品の側壁面から底部へ向う傾斜(縮径)部位の素材(テーパー部)が、有底筒状半製品の底部稜線部位(補充部)に移動充填されることになる。
【0022】
プレス成形後に、スライドが上昇するとともにパンチが上昇すると、押上バネによりリフターが上方に突き上げられる。これにより、有底筒状製品をダイからノックアウトすることができる。
【0023】
したがって、請求項1の発明の場合と同様に、1工程で小さな底稜エッジ[例えば、板厚が0.6mmの素材で半径(R)が0.5mm以下の曲り形状]を有する有底筒状製品を成形することができるとともに、小型軽量で低コストで、取扱いも簡単である。
【0024】
また、請求項3の発明は、前記先端成形面の前記底稜エッジ成形部の下端位置からの突出量が、底稜エッジ成形部の板厚以上とされたプレス機械である。
【0025】
この発明に係るプレス機械では、インナーパンチ先端成形面のアウターパンチ底稜エッジ成形部の下端位置からの突出量が底稜エッジ成形部の板厚よりも小さいと、プレス成形力の殆どが底稜エッジ成形部のパンチ肩部に集中し易くなるので、従来例の場合(パンチ肩部の1箇所に集中)に近付く傾向になる。突出量がゼロであれば、従来例の場合と同様に割れ等が発生してしまう。
【0026】
かくして、インナーパンチ先端成形面のアウターパンチ底稜エッジ成形部の下端位置からの突出量を底稜エッジ成形部の板厚以上にしておけば、請求項2の発明の場合と同様な作用効果を奏することができることに加え、さらに小さな底稜エッジを一段と確実かつ安定して成形することができる。
【0027】
さらに、請求項4の発明は、前記底稜エッジ成形部の板厚が、前記素材の板厚以上とされたプレス機械である。
この発明に係るプレス機械では、底稜エッジ成形部の板厚が素材の板厚よりも小さい場合は、底稜エッジへの素材補充量が少なく底稜エッジの形状が不完全となる虞が強い。また、素材の種類等によっては円滑な底稜エッジ成形ができない。ここに、底稜エッジ成形部の板厚を素材の板厚以上とすれば、請求項2および請求項3の各発明の場合と同様な作用効果を奏することができることに加え、さらに底稜エッジへの素材補充量を増大できるので一段と小さな底稜エッジを形成できるとともに、素材の種類・剛性等に対する適応性が広くかつ確実な底稜エッジ成形を担保できる。
【0028】
さらにまた、請求項5の発明は、前記底稜エッジ成形部の外側から内側に向って窪むランド部を形成され、このランド部の窪み量が前記素材板厚の90%以下とされたプレス機械である。
【0029】
この発明に係るプレス機械では、有底筒状製品の生産では絞り工程とともにシゴキ工程あるいは絞り・シゴキ工程が採られる。ここに、底稜エッジ成形部の外側に内側に向って窪むランド部の窪み量が素材板厚の90%を超えると、半製品状態で側壁面が破断する虞がある。かくして、底稜エッジ成形部の外側から内側に向って窪むランド部の窪み量を素材板厚の90%以下としておけば、請求項2から請求項4まで各発明の場合と同様な作用効果を奏することができることに加え、さらにランド部により素材の肉を更に底稜エッジ部に押込むことができるとともに、アウターパンチと素材間の滑りを減少させられるから底稜エッジ部の小径化を促進できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
本プレス成形方法を実施するに好適なプレス機械10の基本的構成は下記するものとされ、さらに図1〜図4に示す如く、ダイ51の成形空間51K内にパンチ20(31)からプレス成形力が付与されない場合は上限位置に保持可能かつプレス成形力が付与された場合には位置下降可能に形成されたリフター55を設け、パンチ20を底稜エッジ成形部25を有するアウターパンチ21と,底稜エッジ成形部25(被嵌部26)内で上下方向移動可能に連結部40を介してアウターパンチ21に連結されたインナーパンチ31とから形成し、プレス成形中はインナーパンチ31の先端成形面33をアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25の下端位置よりも下方に突出させた状態に保持可能かつインナーパンチ31がリフター55を介して下板53に当接された位置拘束状態ではアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25をインナーパンチ31の外側周面34と有底筒状半製品Whの内側周面Winとの間への押込下降運動を許容可能に形成されている。
【0032】
このプレス機械10の基本的構成は、ダイ51内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品Whを成形可能かつ有底筒状半製品Whの底部Wbの稜線部位つまり底部稜線部位Wimに底稜エッジ(Re,Rs)を成形可能である。
【0033】
図1において、パンチ20の一部を構成するアウターパンチ21は、ボルト16でスライド15側に取付けられた本体21と、この本体21の下方部に一体に設けられた底稜エッジ成形部25とから形成されている。なお、有底筒状製品Wg(半製品Wh)は、図7(A1),(A2)に示す場合と同様な円筒形状とされている。
【0034】
本体21内には円筒形状で大径の中空部23Hと小径の貫通部24Hとが連通状態に設けられ、縮径部に上向き端面である下限位置拘束面24Uが形成されている。本体21の下端面24Dは底稜エッジ成形部25が囲む被嵌部26に臨む。
【0035】
下限位置拘束面24Uは、インナーパンチ31(本体32)の下限位置を拘束するものであるが、結果として突出量Sを規制する。この突出量Sは、長さの異なるカラー43の交換により変更調整することができる。
【0036】
底稜エッジ成形部25は、スカート形状とされ、図3に示す外側周面25Oは本体21の外径(例えば、68.8mm)でかつ内側周面25Iの内径は下端面24Dの外径(例えば、65.4mm)と等しい。この実施の形態では、底稜エッジ成形部25の長さはTlで、板厚(例えば、1.7mm)はTeである。
【0037】
この底稜エッジ成形部25の下端部つまりパンチ肩部25Kの形状は、この実施の形態では製品(Wg)の内容積増大化を企図して図4に示す角形状とされているが、円滑接触化等の観点から円弧形状としてもよい。但し、円弧形状とした場合には製品内容積が小さくなる傾向になるから、有底筒状製品Wgの最終使用目的を勘案して採否を決めるべきである。
【0038】
パンチ20の他の一部を構成するインナーパンチ31(本体32)は、アウターパンチ21の底稜エッジ成形部25で囲まれた空間(被嵌部26)内で上下方向移動可能に連結部40を介してアウターパンチ21に連結されている。インナーパンチ31(本体32の外側周面34)の外径は、底稜エッジ成形部25の内側周面25Iの内径にほぼ等しい。
【0039】
このインナーパンチ31(本体32)のパンチ肩部32Kの形状は、この実施の形態では板厚減少化により窪み等の発生がない製品(Wg)外観重視の点から図4に示す角形状とされているが、円弧形状としてもよい。但し、円弧形状とした場合には、当該パンチ肩部32Kと触れていた部分の板厚減少が残り易いから、製品外観に窪み等が生じる虞がある。したがって、有底筒状製品Wgの最終使用目的(筐体として外観重視)を勘案して採否を決めるべきである。
【0040】
連結部40は、アウターパンチ21の中空部23H内で上下方向移動可能に装着された鍔部41と,一端部が鍔部41に固定されかつ他端部がインナーパンチ31(32)に固定された連結部材(ボルト42)と,鍔部41をアウターパンチ21の下限位置拘束面24Uに向って押下げる押下バネ45とを含み、アウターパンチ21とインナーパンチ31とを上下方向相対変位可能に連結する。
【0041】
鍔部(下端面)41とインナーパンチ32(上端面)との距離は、カラー43の長さ寸法で決まる。インナーパンチ32(先端成形面33)の底稜エッジ成形部25(下端)からの突出量Sを設定する。この突出量Sは、底稜エッジ成形部25のパンチ肩部25Kとインナーパンチ32のパンチ肩部32Kの上下方向距離である。
【0042】
押下バネ45の付勢力(押下力)は、スライド15側から加えられるプレス成形力の反力と押上バネ56の押上力との合計値を超える大きさ(強さ)に選択されている。
【0043】
下ダイセット50は、ダイ51と下板53とから形成され、ダイ51の成形空間51K内にはリフター55が上下方向移動可能に装着されている。下板53の穴53Hには、押上バネ56が植設されている。
【0044】
この押上バネ56の付勢力(押上力)は、本来目的上、プレス成形後の有底筒状製品Wgをダイ51から上方に突出(ノックアウト)することができればよい。プレス成形中は、有底筒状半製品Whの底部Wbを図2(A)に示すように下側から支えることができる。
【0045】
詳しくは、成形空間51K内にパンチ20(31)からプレス成形力が付与されない場合は下板53側の押上バネ56の付勢力でリフター55を上限位置に保持可能かつプレス成形力が付与された場合には押上バネ56の付勢力に抗してリフター55を位置下降可能である。
【0046】
すなわち、プレス成形中は押上バネ56の付勢力に抗してインナーパンチ31の先端成形面33をアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25の下端位置よりも下方に突出させた状態に保持でき、インナーパンチ31がリフター55を介して下板53に当接された位置拘束状態ではアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25をインナーパンチ31の外側周面34と有底筒状半製品Whの内側周面Winとの間へ押込むための下降運動を許容する。
【0047】
かかる構成の実施の形態では、ダイ51の成形空間51K内に装着されたリフター55は、パンチ20(インナーパンチ31…先端成形面33)からのプレス成形力が付与されていないので、下板53側の押上バネ56の付勢力で上限位置に保持されている。ここで、素材がダイ51に供給され、その後にスライド15の下降運動によってパンチ20が下降されてプレス成形が開始される(図2を参照)。
【0048】
このプレス成形中は、押上バネ56の付勢力に抗してインナーパンチ31の先端成形面33が、アウターパンチ21(底稜エッジ成形部25)の下端位置よりも下方に図1の突出量Sだけ突出させた状態に保持されているので、先端成形面33がリフター55上の素材(Wh)を押圧しつつダイ(51)内形状に応じた円筒形状の有底筒状半製品[図4(A)を参照]をプレス成形することができる。
【0049】
この際のリフター55は、図2(A)に示す如く、プレス成形力が付与されてから半製品Whの底部Wbを下側から保持した状態でかつ押上バネ56の付勢力に抗しつつ位置下降する。半製品Whの側壁面から底部Wbへ向う部位は、図4(A)に示すように傾斜(縮径)する立下り形状のテーパー部Wtになる。
【0050】
詳しくは、成形途中における半製品Whの各パンチ肩部25K,32Kに接する部位の板厚tは減少し、特にパンチ肩部32Kに接する部位の板厚tは著しく減少している。
【0051】
ここに、インナーパンチ31(32)の突出量Sがアウターパンチ21の側壁部板厚[底稜エッジ形成部25の板厚Te]より少ない場合はパンチ肩部25Kに接する部位の板厚減少量の方が多いが、インナーパンチ31(32)の突出量Sが大きくなるにしたがってテーパー部Wtの傾斜が大きくなるから、パンチ肩部32Kに接する部位の板厚減少量の方が多くなる。ここで生じた板厚減少分は、後記の通り、胴付き後に解消される。
【0052】
このように半製品成形工程におけるプレス成形力は、インナーパンチ31(本体32)のパンチ肩部32Kとアウターパンチ21(底稜エッジ成形部25)のパンチ肩部25Kとの2個所に分散されて素材(半製品Wh,Wt)に加えられるから、従来例の場合(1つのパンチ肩部から加える。)のように底部稜線部位WIin付近にネックや割れが発生することが少なくなる。
【0053】
下降するリフター55が、図2(B)に示す如く、下ダイセット50の下板53に突き当ってインナーパンチ31(本体32)が下降不能に位置拘束された後に、つまりは胴付き後に、スライド15の下降運動によりパンチ20がさらに下降されると、インナーパンチ31は、連結部40を介して底稜エッジ成形部25(26)内で、見掛け上、押下バネ45の付勢力に抗しつつ上方向へ向って移動する。
【0054】
すなわち、アウターパンチ21の一部である底稜エッジ成形部25が、図4(A)に示すように、インナーパンチ31(本体32)の外側周面34と有底筒状半製品Whの内側周面Winとの間に押込まれる。つまり、底稜エッジ成形部25の下端面がインナーパンチ31(本体32)の先端成形面33と同じ高さとなるまで下降する。この過程で、半製品Whの側壁面から底部Wbへ向う傾斜(縮径)部位(テーパー部Wt)の素材(Wh)が、いずれ有底筒状製品Wgの底部稜線部位Wimとなる補充部Wvに移動しつつ充填されることになる。
【0055】
かくして、パンチ20(スライド15)を上下方向に1往復させる1工程で小さな底稜エッジ(小曲部Reまたは小角部Rs)[例えば、板厚保0.6mmの素材で半径(Re)が0.5mm以下の曲り形状]を有する図4(B)の有底筒状製品Wgを成形することができる。
【0056】
しかも、テーパー部Wtの補充部Wv(底部稜線部位Wim)への移動により底稜エッジを形成するので、製品Wgの内容積を増大することができるとともに、半製品Wh(製品Wg)に高応力の潰し加工をする必要がないからプレス成形力の低減化にも有効である。
【0057】
ここにおいて、インナーパンチ先端成形面33のアウターパンチ底稜エッジ成形部25の下端位置からの突出量Sが底稜エッジ成形部25の板厚Teよりも小さいと、プレス成形力の殆どが底稜エッジ成形部25のパンチ肩部25Kに集中(板厚減少)してしまいかつテーパー部Wtのボリューム不足になることから、底稜エッジ成形の不足を招く。
【0058】
かくして、小さな底稜エッジを一段と確実かつ安定して成形することができるようにするには、突出量Sを底稜エッジ成形部25の板厚Te(例えば、1.7mm)以上とするのが好ましい。
【0059】
反対に、底稜エッジ成形部25の板厚Te(図3を参照)が素材(半製品Wh)の板厚tよりも小さい場合は、図5に示すように、補充部Wvへの素材補充量が少なく底稜エッジの形状が不完全となる虞が強い。また、素材(Wh)の種類等によっては円滑な底稜エッジ成形ができない。したがって、補充部Wvへの素材補充量を増大させて一段と小さな底稜エッジを形成でき、しかも素材の種類・剛性等に対する適応性を広くかつ確実で安定した底稜エッジ成形(プレス運転)を担保できるようにするためには、底稜エッジ成形部25の板厚Teを図3に示す如く素材(半製品Wh)の板厚t以上とするのが好ましい。
【0060】
プレス成形後に、スライド(15)上昇とともにパンチ20が上昇すると、押上バネ56によりリフター55が上方に突き上げられる。これにより、有底筒状製品Wgをダイ51からノックアウトすることができる。
【0061】
なお、プレス成形終了時に、アウターパンチ21(25)の下端部がインナーパンチ31(32)の下端部(33)よりも下方に突出す状態まで、ヒットホーム成形の場合と同様な成形を行っても構わない。しかし、底稜エッジ成形部25の応力が増大するので、その板厚Teおよび長さTlの各値との関係をよく吟味して決定すべきである。
【0062】
ここに、アウターパンチ21の底稜エッジ形成部25の板厚Teが1.7mmで、底稜エッジ形成部25のパンチ肩部25Kおよびインナーパンチ(本体32)31のパンチ肩部32Kが共に角エッジ(R無し)とされたプレス機械10を用い、パンチ20(21,31)および下ダイセット50(51)の温度をともに300℃、素材の加熱方法は金型(51)内加熱方式で加熱時間は3secとし、スライド15の成形速度を1mm/secとした条件下で、板厚tが0.6mmの素材(マグネシウムAZ31)から図7(B1),(B2)に示した場合と同じ形状の有底筒状製品Wgsを成形した実施例を(表1)を参照して説明する。
【表1】
【0063】
なお、表1中の実施例(番号)1,2,3,4,5は突出量Sの大きさの順とした。実施例番号6は第2の実施の形態における実施例を示す。
【0064】
因みに、パンチ20(21,31)および下ダイセット50(51)の形状は、図7(A1),(A2)に示した場合と同じ形状の有底筒状製品Wgrを成形可能な形状としても、同様な結果(記載省略)を得られた。
【0065】
(実施例3,4)
突出量Sを底稜エッジ形成部25の板厚Teと同じ1.7mmとした実施例3では、素材(半製品Wh)の絞り成形力をインナーパンチ31(本体32)のパンチ肩部32Kとアウターパンチ21(底稜エッジ成形部25)のパンチ肩部25Kとの両方で受け持つことができるために素材破断が生じないから、曲率半径が素材板厚t(=0.6mm)より小さい0.5mmの小曲部Re(小さな底稜エッジ)を良好に形成できた。
【0066】
同様に、突出量Sを底稜エッジ形成部25の板厚Te(=1.7mm)より大きな2.3mmとした実施例4では、実施例3の場合よりもテーパー部Wtのボリュームが増大するので、一段と小さな0.3mmの小曲部Re(底稜エッジ)を良好に形成できた。したがって、インナーパンチ先端成形面33のアウターパンチ底稜エッジ成形部25の下端位置からの突出量Sが底稜エッジ成形部25の板厚(Te)以上であることが望ましいと理解される。
【0067】
(実施例5)
実施例3,4に照らし、突出量Sを一段と大きな2.9mm(板厚Te=1.7mmの1.7倍)とした場合(実施例5)においては、絞り成形力をインナーパンチ31(本体32…パンチ肩部32K)が受け持つ割合が高くなるので、パンチ肩部32K相当部分に割れが発生したために成形不可と判定した。したがって、実施例4の突出量Sが2.3mm(板厚Te=1.7mmの1.35倍)との関係から考察すれば、突出量Sを底稜エッジ成形部25の板厚(Te)以上とするといっても、上記条件(素材が0.6mmのマグネシウムAZ31等々)下では、実質的に、板厚Teの1.5倍以下とすることが妥当であると解される。
【0068】
(実施例1,2)
突出量Sを底稜エッジ形成部25の板厚Te(=1.7mm)の約58%である1.0mmにした実施例2では、絞り成形力を受け持つパンチ20(21,31)はアウターパンチ21の方が多いためにそのパンチ肩部25Kにより半製品Whにネッキングが生じかつテーパー部Wtのボリュームも不足するために曲率半径がやや大きな0.6〜0.8mmの小曲部Re(底稜エッジ)となったがネック発生のために製品Wgとは認められない。また、突出量Sをゼロとした場合(実施例1)には、従来例の場合と同様に割れが発生してしまうので成形不可と判定した。
【0069】
しかして、この第1の実施の形態によれば、インナーパンチ31(32…33)をアウターパンチ21の底稜エッジ成形部25の下端位置よりも下方に突出させた状態でダイ51内を下降させかつインナーパンチ31の先端成形面33でリフター55上の素材を押圧しつつ有底筒状半製品Whをプレス成形する半製品成形工程と、リフター55が下ダイセット50の下板53に突き当ってインナーパンチ31が下降不能に位置拘束された後にアウターパンチ21を下降させつつ底稜エッジ成形部25をインナーパンチ外側周面34と有底筒状半製品内側周面Winとの間に押込みつつ底稜エッジ(Re)を成形する底稜エッジ成形工程とを1工程で可能としたプレス成形方法であるから、1工程で小さな底稜エッジ(Re)を有する有底筒状製品Wgを成形することができる。
【0070】
また、このプレス成形方法を実施するためのプレス機械10が、ダイ51の成形空間(51K)内に押上バネ56で上方付勢されたリフター55が装着された下ダイセット50(ダイ51,下板53)と、スライド15側に取付けられかつ下方部にスカート形状の底稜エッジ成形部25を有するアウターパンチ21と、底稜エッジ成形部(25…26)内で上下方向移動可能なインナーパンチ31とから形成されたパンチ20と、 鍔部41と連結部材(ボルト42)と押下バネ45とを含みプレス成形中は押上バネ56の付勢力に抗してインナーパンチ先端成形面33をアウターパンチ底稜エッジ成形部25の下端位置よりも下方に設定量(S)だけ突出させた状態に保持可能かつインナーパンチ31がリフター55を介して下板53に当接された位置拘束状態では底稜エッジ成形部25をインナーパンチ31の外側周面34と有底筒状半製品Whの内側周面Winとの間への押込下降運動を許容可能に形成された連結部40から形成されるので、プレス成形力の軽減化を図れるとともに、小型軽量で低コストで、取扱いも簡単である。
【0071】
しかも、小さな底稜エッジ(Re,Rs)を成形するためには2工程以上を必要としていた従来プレス成形方法(プレス機械)の場合に比較して、金型費用や工数を大幅に減少できる。したがって、一段のコスト低減化に応えらる。
【0072】
また、半製品Whの成形後に底稜エッジ成形部25を降下させつつテーパー部Wtを補充部Wv(底部稜線部位Wim)へ移動補充しつつ底稜エッジ(Re)を形成するので、製品Wgの内容積を増大することができる。底部外観重視の製品生産を安定して行える。
【0073】
また、従来プレス成形方法(プレス機械)の場合における底稜エッジ成形パンチの先端稜線部分の円弧形状化に起因するつぶし成形をする必要がないので、プレス荷重の軽荷重化を達成できる。
【0074】
さらに、1工程でプレス成形するので、半製品熱膨張量が大きく変化するマグネシウム合金の場合でも、複数工程による従来プレス成形方法(プレス機械)の問題点(半製品パイロットが不安定である等。)を一掃化できるから、底稜エッジ成形を容易かつ確実に行える。
【0075】
(第2の実施の形態)
この第2の実施の形態は、基本的構成・機能が第1の実施の形態の場合(図1,図2,図4)と同様とされるが、アウターパンチ21の底稜エッジ成形部25に図6に示すランド部27を設け、半製品成形工程において絞り成形と同時的にシゴキ成形を実行可能な構造としてある。
【0076】
つまり、第1の実施の形態では、底稜エッジ成形のために補充部Wv(底部稜線部位Wim)へ移動補充させる素材のボリューム調整をインナーパンチ31(32)の突出量Sの大小によって行うものと形成されていたが、この第2の実施の形態では底稜エッジ形成部25に設けたランド部27のシゴキ作用(加工)を利用してボリューム調整可能に形成してある。もとより、突出量Sによる調整方法と組合せても実施することができる。
【0077】
すなわち、図6に示す如く、底稜エッジ成形部25の外側から内側に向って窪むランド部27を形成し、このランド部27の窪み量(tr)を素材板厚t(例えば、0.6mm)の90%(0.54mm)以下とする。
【0078】
つまり、底稜エッジ成形部25の外側から内側に向って窪むランド部27の窪み量(tr)が素材板厚tの90%を超えると、シゴキ成形後の半製品(Wh)状態で破損する虞がある。かくして、ランド部27の窪み量(tr)を素材板厚t(0.6)の90%(0.54mm)以下としておけば、ランド部27により素材の肉を更に底稜エッジ部に押込むことができるとともに、アウターパンチと素材間の滑りを減少させられるから底稜エッジ部の小径化を促進できる。
【0079】
ここに、表1の実施例6の場合(突出量Sは2.3mmである。)では、底稜エッジ成形部25の板厚差を約0.2mm(=1.7−0.54)として素材(半製品Wh)に33%のシゴキ加工が施されるので、アウターパンチ21(25)と半製品Whとの間の滑りを減少させることができる。したがって、実施例6の場合は、同じ突出量S(=2.3mm)であるランド部無しの実施例4の場合に比較して、より一段と小さな底稜エッジ(Re=0.2mm)を形成することができる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、インナーパンチをアウターパンチ(底稜エッジ成形部)よりも下方に突出させた状態で下降させてインナーパンチ先端成形面で素材を押圧しつつ有底筒状半製品をプレス成形する半製品成形工程と、インナーパンチが下降不能に位置拘束された後にアウターパンチを下降させつつ底稜エッジ成形部をインナーパンチ外側周面と有底筒状半製品内側周面との間に押込みつつ底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とからなるプレス成形方法であるから、パンチ(スライド)を上下方向に1往復させる1工程で小さな底稜エッジを有する有底筒状製品を成形することができる。しかも、2工程以上を必要としていた従来プレス成形方法(プレス機械)の場合に比較して、金型費用や工数を大幅に減少できるので一段のコスト低減化に応えられる。また、製品Wgの内容積を増大することができ、つぶし成形をする必要がないのでプレス荷重の軽荷重化を達成できる。さらに、半製品熱膨張量が大きく変化するマグネシウム合金の素材でも容易かつ確実に底稜エッジ成形を行える。
【0081】
また、請求項2の発明によれば、底稜エッジ成形部を有するアウターパンチと,底稜エッジ成形部内で上下方向移動可能に連結部(鍔部と連結部材と押下バネとを含む。)を介してアウターパンチに連結されたインナーパンチとからパンチを形成し、プレス成形中はインナーパンチ先端成形面をアウターパンチ底稜エッジ成形部よりも下方に突出させた状態に保持可能かつインナーパンチが位置拘束状態ではアウターパンチ底稜エッジ成形部をインナーパンチ外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間への押込下降運動を許容可能に形成されたプレス機械であるから、請求項1の発明の場合と同様な効果を奏することができるとともに、小型軽量かつ低コストで、取扱いが簡単である。
【0082】
また、請求項3の発明によれば、インナーパンチ先端成形面のアウターパンチ底稜エッジ成形部(下端位置)からの突出量が底稜エッジ成形部の板厚以上に形成されているので、請求項2の発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらに小さな底稜エッジを一段と確実かつ安定して成形することができる。
【0083】
さらに、請求項4の発明によれば、底稜エッジ成形部の板厚が素材板厚以上に形成されているので、請求項2および請求項3の各発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらに底稜エッジへの素材補充量を増大できるから一段と小さな底稜エッジを形成できるとともに、素材の種類・剛性等に対する適応性が広くかつ確実な底稜エッジ成形を担保できる。
【0084】
さらにまた、請求項5の発明によれば、底稜エッジ成形部の外側に内側に向って窪むランド部を形成されかつランド部の窪み量が素材板厚の90%以下に形成されているので、請求項2から請求項4まで各発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらにランド部により素材の肉を更に底稜エッジ部に押込むことができるとともに、アウターパンチと素材間の滑りを減少させられるから底稜エッジ部の小径化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第1の実施の形態)に係るプレス機械(主に、スライド側のパンチ構造)を説明するための縦断面図である。
【図2】同じく、パンチと下ダイセットとの相対位置(動作)関係を説明するための縦断面図で、(A)はプレス成形中で、(B)は胴付き後の状態を示すある。
【図3】同じく、アウターパンチとその底稜エッジ成形部とを説明するための図である。
【図4】同じく、成形工程と半製品および製品形態とを説明するため図で、(A)は半製品成形途中の状態を示し、(B)は製品成形終了後の状態を示す。
【図5】同じく、底稜エッジ成形部の板厚が素材板厚よりも小さい場合の状態を説明するための図である。
【図6】本発明(第2の実施の形態)に係る底稜エッジ成形部(ランド部を有する。)を説明するための図である。
【図7】有底筒状半製品を説明する図で、(A)は中空円筒形状製品で(A1)が平面図,(A2)が縦断面図、(B)は中空角形状製品で(B1)が平面図,(B2)が縦断面図である。
【図8】従来プレス成形方法を説明するための図で、(A)に半製品成形工程を、(B)に底稜エッジ成形工程を示す。
【符号の説明】
10 プレス機械
15 スライド
20 パンチ
21 アウターパンチ
24U 下限位置拘束面
25 底稜エッジ形成部
25K パンチ肩部
Te 板厚
27 ランド部
Tr 窪み量
31 インナーパンチ
32K パンチ肩部
33 先端成形面
S 突出量
34 外側周面
40 連結部
41 鍔部
42 ボルト(連結部材)
43 カラー
45 押下バネ
50 下ダイセット
51 ダイ
51K 成形空間
53 下板
55 リフター
56 押上バネ
Wh 有底筒状半製品(素材)
t 板厚(素材板厚)
Win 内側周面
Wb 底部
Wim 底部稜線部位
Wt テーパー部
Wv 補充部
Wg 有底筒状製品
Re 小曲部(底稜エッジ)
Rs 小角部(底稜エッジ)
Claims (5)
- ダイ内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品を成形する半製品成形工程と、有底筒状半製品の底部の稜線部位に底稜エッジを成形する底稜エッジ成形工程とを含むプレス成形方法であって、
前記半製品成形工程が、前記パンチの一部を構成するインナーパンチをこのインナーパンチを被嵌するアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態で前記ダイ内を下降させかつインナーパンチの先端成形面でリフター上の前記素材を押圧しつつ前記有底筒状半製品をプレス成形する工程とされ、
前記底稜エッジ成形工程が、下降するリフターが下ダイセットの下板に突き当ってインナーパンチが下降不能に位置拘束された後にアウターパンチを下降させつつ底稜エッジ成形部をインナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間に押込みつつ底稜エッジを成形する工程とされている、プレス成形方法。 - ダイ内でのパンチ下降運動により有底筒状半製品を成形可能かつ有底筒状半製品の底部の稜線部位に底稜エッジを成形可能なプレス機械であって、
前記ダイの成形空間内に、前記パンチからプレス成形力が付与されない場合は下板側の押上バネの付勢力で上限位置に保持可能かつ該プレス成形力が付与された場合には該押上バネの付勢力に抗して位置下降可能に形成されたリフターを設け、
前記パンチを、スライド側に取付けられかつ下方部にスカート形状の底稜エッジ成形部を有するアウターパンチと,底稜エッジ成形部内で上下方向移動可能に連結部を介してアウターパンチに連結されたインナーパンチとから形成し、
連結部が、アウターパンチの中空部内で上下方向移動可能に装着された鍔部と,一端部が鍔部に固定されかつ他端部がインナーパンチに固定された連結部材と,鍔部をアウターパンチの下限位置拘束面に向って押下げる押下バネとを含み、プレス成形中は該押上バネの付勢力に抗してインナーパンチの先端成形面をアウターパンチの底稜エッジ成形部の下端位置よりも下方に突出させた状態に保持可能かつインナーパンチがリフターを介して下板に当接された位置拘束状態ではアウターパンチの底稜エッジ成形部をインナーパンチの外側周面と有底筒状半製品の内側周面との間への押込下降運動を許容可能に形成されている、プレス機械。 - 前記先端成形面の前記底稜エッジ成形部の下端位置からの突出量が、底稜エッジ成形部の板厚以上である、請求項2記載のプレス機械。
- 前記底稜エッジ成形部の板厚が、前記素材の板厚以上である請求項2または請求項3記載のプレス機械。
- 前記底稜エッジ成形部の外側から内側に向って窪むランド部が形成され、このランド部の窪み量が前記素材板厚の90%以下である、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載されたプレス機械。
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