JP2004097951A - 排水処理システム - Google Patents

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Mineo Ikematsu
池松 峰男
Masahiro Izeki
井関 正博
Takeshi Rakuma
樂間 毅
Daizo Takaoka
高岡 大造
Toru Kawabata
川畑 透
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Abstract

【課題】一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水中の硝酸イオンを効率的に亜硝酸イオンに還元し、窒素化合物の除去を促進することができる排水処理システムを提供する。
【解決手段】電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理装置1において、アノードを構成する電極5を、導電体であって電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する電極6を、導電体であって硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものとし、なおかつ、当該カソードを構成する電極6は、当該電極6の設置スペースを拡大せずにその表面積を拡張可能なものを用い、アノードを構成する電極5の表面積よりもカソードを構成する電極6の表面積を大きくした。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有機態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、アンモニア態窒素などの窒素化合物を含む排水の排水処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、川や湖の富栄養化の原因の1つに窒素化合物の存在があることは周知である。また、この窒素化合物は、一般家庭の生活排水中や工場排水中に多く存在するが、浄化処理が困難なものであり、有効な対策がとれないのが現状である。一般には、生物的処理が行われているが、先ずアンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換する硝化工程と、硝酸態窒素を窒素ガスに変換する脱窒工程の2つの工程により行われるため、2つの反応槽が必要となると共に、処理時間が遅いため、処理効率が低くなる問題があった。
【0003】
また、該生物的処理では、硝化細菌及び脱窒素細菌を保有するために大容量の嫌気槽が必要となり、設備建設コストの高騰、装置設置面積の拡大を招く問題があった。更に、該硝化細菌及び脱窒素細菌は、周囲の温度環境、その他、被処理水中に含まれる成分などに著しく影響されるため、特に温度が低くなる冬場になると、活動が低下して脱窒素作用が低下し、処理効率が不安定となる問題もあった。
【0004】
そこで、上記技術的課題を解決するために、従来の被処理水の電気分解法では、アノードに例えば、白金を用い、被処理水に電流を流してアンモニア、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を窒素ガスにまで処理していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭54−16844号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電解による窒素化合物の処理方法では、アノードを構成する電極の被処理水に浸漬された部分の表面積は、カソードを構成する電極の被処理水に浸漬された部分の表面積と同等程度のものであったため、カソードにおける硝酸態窒素としての硝酸イオンから亜硝酸イオンへの還元反応がアノードにおける亜硝酸イオンから硝酸イオンへの酸化反応により抑制されてしまう問題があった。
【0007】
これにより、窒素化合物の除去処理能力が低くなり、実際に生活排水や工場排水の処理において、窒素化合物を処理することは困難であった。また、硝酸態窒素は窒素ガスになり難く、低濃度の硝酸イオンの除去は難しいため、水中の窒素成分として残留し、除去できないという問題もある。
【0008】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水中の硝酸イオンを効率的に亜硝酸イオン及びアンモニア(アンモニウムイオン)に還元し、窒素化合物の除去を促進することができる排水処理システムを提唱することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1の発明の排水処理システムは、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するものであって、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものであって、当該他方の電極の設置スペースを拡大せずにその表面積を拡張可能なものを用い、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明の排水処理システムは、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するものであって、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、多孔質のものを用い、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明の排水処理システムは、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するものであって、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、表面に凹凸のあるものを用い、アノードを構成する一方の電極の表面積よりもカソードを構成する他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明の排水処理システムは、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するものであって、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものを用いると共に、一方の電極を囲繞するかたちで他方の電極を設置することにより、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明の排水処理システムは、請求項4の発明において、カソードを構成する他方の電極を複数の升目或いは円柱、若しくは、ハニカム形状とし、当該カソードを構成する他方の電極にて仕切られる各区画にそれぞれアノードを構成する一方の電極を挿入したことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明の排水処理システムは、請求項5の発明において、アノードを構成する一方の電極を球状、多角形状、円柱状、若しくは、多角柱状としたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明の排水処理システムは、請求項4、請求項5又は請求項6の発明において、カソードを構成する他方の電極を多孔質としたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明の排水処理システムは、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を含む導電体、又は当該周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を被覆した導電体とすることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明の排水処理システムは、請求項8の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、鉄を含む導電体、若しくは当該鉄を被覆した導電体とすると共に、電極の極性を切り換えて電気化学的手法により被処理水中のリン化合物を処理することを特徴とする。
【0018】
請求項1の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものであって、当該他方の電極の設置スペースを拡大せずにその表面積を拡張可能なものを用い、一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしているので、所定の設置スペースにおけるカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張することができるようになり、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0019】
これにより、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0020】
また、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。これによって、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上する。
【0021】
請求項2の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、多孔質のものを用い、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしているので、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応を生じるカソードを構成する他方の電極の表面積を容易に拡張することができ、簡易な構成にて、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができるようになる。そのため、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0022】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0023】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項2の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上される。
【0024】
請求項3の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中に窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、表面に凹凸のあるものを用い、アノードを構成する一方の電極の表面積よりもカソードを構成する他方の電極の表面積を大きくしたため、これによっても、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応を生じるカソードを構成する他方の電極の表面積を容易に拡張することができ、簡易な構成にて、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0025】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0026】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項3の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上される。
【0027】
請求項4の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものを用いると共に、一方の電極を囲繞するかたちで他方の電極を設置することにより、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしているので、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0028】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0029】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項4の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上する。
【0030】
また、カソードを構成する他方の電極は、アノードを構成する一方の電極を囲繞するかたちで設置することにより、容易にカソードの表面積をアノードの表面積より大きく形成することができ、簡易な構造にて本発明を実現することができるようになる。
【0031】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、カソードを構成する他方の電極を複数の升目或いは円柱、若しくは、ハニカム形状とし、当該カソードを構成する他方の電極にて仕切られる各区画にそれぞれアノードを構成する一方の電極を挿入したので、アノードを構成する一方の電極の表面積に対するカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張しつつ、他方の電極に対し、一方の電極を対向させることができ、被処理水の電解効率を向上させることができるようになる。そのため、より一層、窒素化合物の処理効率を向上させることができるようになる。
【0032】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明において、アノードを構成する一方の電極を球状、多角形状、円柱状、若しくは、多角柱状としたので、アノードを構成する一方の電極に対して、カソードを構成する他方の電極をより一層均一に対向させることができ、より一層被処理水の電解効率を向上させることができるようになる。
【0033】
請求項7の発明によれば、請求項4、請求項5又は請求項6の発明において、カソードを構成する他方の電極を多孔質としたので、上記各発明における効果に加えて、容易にカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張することができ、より一層簡易な構成にて、本発明を実現することができるようになる。
【0034】
請求項8の発明によれば、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を含む導電体、又は当該周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を被覆した導電体としたので、カソードを構成する他方の電極側で、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を容易に生起することができ、容易に本発明を実現することができるようになる。
【0035】
請求項9の発明によれば、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、鉄を含む導電体、若しくは当該鉄を被覆した導電体とすると共に、電極の極性を切り換えて電気化学的手法により被処理水中のリン化合物を処理するので、カソードを構成する他方の電極において被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオン及びアンモニア(アンモニウムイオン)への還元反応が促進され、還元反応に要する時間を短縮し、且つ、低濃度の硝酸イオンも処理することができるようになる。
【0036】
また、当該電極の極性を切り換えて電気化学的手法により被処理水中のリン化合物を処理するため、アノードとなる他方の電極より被処理水中に鉄(II)イオンを溶出させ、被処理水中で鉄(III)イオンにまで酸化された当該鉄(III)イオンと被処理水中のリン化合物としてのリン酸イオンを化学的に反応させ、リン酸鉄として沈殿処理することができるようになる。
【0037】
これにより、被処理水中のリン化合物も処理することができるようになるものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。先ず、図1を用いて本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の排水処理システムを実現するための排水処理装置1の概要を示す説明図である。この実施例における排水処理装置1は、内部に図示しない被処理水としての排水の流入口と流出口を有する処理室4を構成する処理槽2と、該処理室4内の被処理水中に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された一対の電極、即ちアノードを構成する電極5とカソードを構成する電極6と、該電極5、6間に通電するための図示しない電源及び該電源を制御するための制御装置などから構成されている。尚、処理槽2内には内部を撹拌するための撹拌手段を設けても良い。
【0039】
カソードを構成する電極6は、当該電極5、6間に通電された際に、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものとして、本実施例では、周期表第VIII族として、鉄(Fe)により構成されているものとする。尚、これ以外に周期表第VIII族を被覆した導電体として、鉄を被覆した導電体(鉄を含む導電体)又は、周期表の第Ib族又は第IIb族、若しくは、当該周期表の第Ib族又は第IIb族を被覆した導電体として、例えば銅(Cu)又は銅を被覆した導電体であっても良いものとする。アノードを構成する電極5は、当該電極5、6間に通電された際に、次亜塩素酸などの次亜ハロゲン酸、又はオゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能な導電体として、例えば白金(Pt)又は白金とイリジウム(Ir)の混合物などの貴金属電極、又は、これらを被覆した不溶性の導電体から構成されている。
【0040】
またこれ以外に、次亜塩素酸などの次亜ハロゲン酸、又はオゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能な導電体として、例えばセラミックス系導電体、又は、セラミックス系導電体を被覆した不溶性の導電体、若しくは、ステンレス、又はステンレスを被覆した不溶性の導電体、若しくは、炭素系導電体、又は、炭素系導電体を被覆した不溶性の導電体であってもよいものとする。この場合、当該導電体を低コストで構成することができるようになる。特に、セラミックス系導電体等やステンレス等の導電体を用いた場合には、耐久性も向上させることができるようになる。尚、この実施例では白金を用いる。
【0041】
また、カソードを構成する電極6は、当該カソードを構成する電極6の設置スペースを拡大せずに、その表面積を拡張可能なものとして、本実施例では多孔質(ポーラス)形状のものを用いる。また、アノードを構成する電極5の表面積よりもカソードを構成する電極6の表面積を大きくするため、アノードを構成する電極5は、例えばワイヤーなどの線条部材により構成する。
【0042】
以上の構成により、処理槽2内の処理室4に硝酸イオン及び亜硝酸イオンなどの窒素化合物を含む被処理水を貯留し、前記制御装置により電源をONとし、電極5に正電位を印加する。これにより、電極5はアノードとなり、電極6はカソードとなる。
【0043】
係る電位の印加により、カソードを構成する電極6側では、アノードを構成する電極5側において生成された電子が供給され、被処理水中に含まれる窒素化合物としての硝酸イオンが亜硝酸イオンに還元される(反応A)。更に、亜硝酸イオンに還元された硝酸イオンは、カソードを構成する電極6側において、電子が供給され、アンモニア(アンモニウムイオン)まで還元される(反応B)。以下に、反応A及び反応Bを示す。
反応A NO +HO+2e→NO +2OH
反応B NO +5HO+6e→NH(aq)+7OH
【0044】
ここで、カソードを構成する電極6において硝酸イオンを還元することで生成された亜硝酸イオンが、アノードを構成する電極5側に移動すると、アノードを構成する電極5において酸化反応が生じ、亜硝酸イオンが硝酸イオンに酸化されてしまう(反応C)。
反応C NO +HO→NO +2H+2e
【0045】
係る酸化反応が生じると電極6における硝酸イオンの還元反応に対して電極5で亜硝酸イオンの酸化反応が生じてしまうため、窒素処理効率が低下するが、この実施例では、電極6は、多孔質形状とされていることにより、簡易な構成にて、限られた設置スペースに対するカソードを構成する電極6の表面積を拡張することができ、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができる。これにより、カソードを構成する電極6において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0046】
これに対し、アノードを構成する電極5は、カソードを構成する電極6の相対表面積よりも小さくするため、ワイヤーなどにより構成されていることから、被処理水中の亜硝酸イオンとの接触確率を低減させることができる。これにより、アノードを構成する電極5において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応(反応C)を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができる。また、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0047】
これにより、硝酸イオンをアンモニア(アンモニウムイオン)まで還元する窒素処理能力が改善される。
【0048】
一方、アノードを構成する白金電極5側では、被処理水中に含有されるハロゲン化物イオンとしての塩化物イオンが電子を放出して塩素を生成する。そして、この塩素は水に溶解して次亜塩素酸を生成する。このとき、同時にオゾン、若しくは、活性酸素も生成される。
【0049】
ここで、被処理水中に含まれる塩化物イオン濃度が低い場合には、被処理水中に、例えば塩化物イオンや、ヨウ化物イオンや、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンや、これらハロゲン化物イオンを含む化合物、例えば、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどを添加してもよい。即ち、被処理水の塩化カリウムの塩化物イオンを例えば10ppm以上40000ppm以下とする。
【0050】
このような被処理水中に本来含まれる塩化物イオンや上述の如く添加した塩化カリウムは、アノードを構成する電極5において酸化され、塩素を生成し(反応D。塩化カリウムの場合で示す)、生成された塩素は、被処理水中で水と反応し、次亜塩素酸を生成する(反応E)。そして、生成された次亜塩素酸は、上述の反応Bで被処理水中に生成されたアンモニア(アンモニウムイオン)と反応し、複数の化学変化を経た後、窒素ガスに変換される(反応F)。以下、反応D乃至反応Fを示す。
反応D KCl→K+Cl
2Cl→Cl+2e
反応E Cl+HO→HClO+HCl
反応F NH+HClO→NHCl+H
NHCl+HClO→NHCl+H
NHCl+NHCl→N↑+3HCl
【0051】
また、被処理水中のアンモニア(アンモニウムイオン)は、アノードを構成する電極5側で発生するオゾン、若しくは、活性酸素と反応Gに示す如く反応し、これによっても窒素ガスに脱窒処理される。
反応G 2NH(aq)+3(O)→N↑+3H
【0052】
これにより、被処理水中の窒素化合物としての硝酸イオンや亜硝酸イオン及びアンモニアなどを同一の処理槽2内において効率的に処理することができるようになる。そのため、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上される。
【0053】
ここで、カソードとなる電極6の表面積がアノードとなる電極5の表面積が大きければ、被処理水中の硝酸イオンや亜硝酸イオンの還元反応を促進することができる例として、図2を示す。図2に示される実験結果は、カソードとなる電極6に表面積35cmの板状の鉄電極を使用し、アノードとなる電極5を表面積0.5cmとした白金線とした場合と、表面積35cmとした白金・イリジウム系の板状電極とした場合における被処理水中の硝酸態窒素濃度を示している。この実験では100mMのKClと10mMのKNOの被処理水としての混合溶液に、電極5、6間に0.5Aを5時間流し、定電流電解を行った。
【0054】
図2中における白丸は白金線、黒丸は白金・イリジウム系の板状電極をアノードとして1時間毎に硝酸態窒素(NO )濃度を測定した結果を示しているが、この図からも明らかなように板状の白金・イリジウム系の電極及び白金線の電極をどちらの電極をアノードとして用いても、処理特性を示していることが分かる。但し、アノードとして白金線を用いた場合と白金・イリジウム系の板状電極を用いた場合では、処理特性に大きな違いがみられる。即ち、白金線の電極をアノードとして用いた場合、1時間を経過したころから硝酸態窒素の濃度が排水基準の100ppm以下となっており、5時間を経過した時点では、硝酸態窒素の濃度は、20ppm以下にまで処理されていることが分かった。これに対し、板状の白金、イリジウム系の電極をアノードとして用いた場合には、3時間を経過した時点で、硝酸態窒素の濃度は、80ppm以下にまで処理されているが、5時間経過した時点での硝酸態窒素の濃度は、70ppmをやや下回った程度にまでしか処理されていないことが分かった。
【0055】
上記より、カソードを構成する電極6の被処理水中に浸漬される表面積を、アノードを構成する電極5の被処理水中に浸漬される表面積よりも大きくすることにより、被処理水中の硝酸態窒素の処理特性が高いことが分かる。
【0056】
これにより、カソードを構成する電極6の表面積をアノードを構成する電極5の表面積よりも大きくすることにより、カソードを構成する電極6における被処理水中の硝酸態窒素の亜硝酸態窒素及びアンモニアへの還元反応が促進され、還元反応に要する時間を短縮することができるようになる。また、低濃度の硝酸イオンも処理することができるようになる。
【0057】
このような窒素化合物の処理(窒素処理ステップ)の終了後、本実施例では、制御装置は各電極5、6に印加する電位の極性を切り換える(図1の右側。リン処理ステップ。尚、極性切り換え後も被処理水中では上記窒素処理反応が継続している)。これにより、電極5はカソード、電極6はアノードを構成することになる。これにより、被処理水は電気化学的手法としての電解処理が行われ、アノードを構成する電極6は、上述の如く鉄を含む導電体にて構成されていることから、電極6より鉄(II)イオンが被処理水中に溶出して、被処理水中において鉄(III)イオンにまで酸化される。
【0058】
生成された鉄(III)イオンは、反応Hに示す如く脱リン反応により、被処理水中のリン酸イオンと凝集沈殿し、水に難溶性のリン酸鉄を生成する。
反応H Fe3++PO 3−→FePO
これにより、被処理水中に含有されたリン化合物としてのリン酸イオンをリン酸鉄として沈殿処理することができる。
【0059】
また、電子の供給のために被処理水中に鉄(II)イオンの状態で溶出し、電極上或いは被処理水中で酸化された鉄(III)イオンの一部は、この場合にカソードを構成する電極5側において、再度電子が供給され、鉄(II)イオンに還元されて再びアノードを構成する電極6側において酸化される。
【0060】
尚、鉄(II)イオンを含有した被処理水を電解することにより、被処理水中に含有される硝酸イオンをアンモニウムイオンにまで還元処理する技術については、既に、1999年3月16日から3月18日に渡って開催された第33回日本水環境学会において配布された日本水環境学会年会講演集の「電気化学反応を用いた無機窒素化合物処理技術の開発」において開示されている。
【0061】
また、前記窒素処理ステップにおいてカソードを構成する電極6の表面に成長するスケール(CaCO、Mg(OH)等)は、このリン処理ステップで電極6がアノードとなることにより表面から落とされる。これにより、電極6の電解性能を高く維持できるようになる。
【0062】
尚、本実施例では、電極6は、上述の如く鉄を含む導電体にて構成されているため、上述の如く窒素化合物の処理(窒素処理ステップ)の終了後、各電極5、6に印加する電位の極性を切り換え、リン処理ステップを実行しているが、電極6が鉄若しくは、鉄を含む導電体以外の導電体により構成されている場合には、リン処理ステップは、実行しないものとする。
【0063】
尚、上記実施例以外に、第2の実施例として、アノードを構成する電極5の表面積よりもカソードを構成する電極6の表面積を大きくする手段として、カソードを構成する電極6の表面に凹凸のあるものを用いてもよい。かかる場合においても、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応を生じるカソードを構成する電極6の表面積を容易に拡張することができ、簡易な構成にて、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができる。
【0064】
これにより、アノードを構成する電極5側において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制しつつ、カソードを構成する電極6側において生じる硝酸イオンから亜硝酸イオンへ、若しくは亜硝酸イオンからアンモニアへの還元反応を促進することができる。そのため、被処理水中の窒素化合物を効率的に除去することができるようになり、排水処理システム自体の窒素化合物の処理能力を向上することができる。
【0065】
また、上記各実施例以外に、第3の実施例としてアノードを構成する電極5の表面積よりもカソードを構成する電極6の表面積を大きくする手段として、アノードを構成する電極5を囲繞するかたちでカソードを構成する電極6を設置することによっても上記と同様の効果を奏することができる。
【0066】
また、第3の実施例において、カソードを構成する電極6を図2に示す如く複数の升目を有する角柱により形成し、当該升目により区画形成される各区画に極細に形成された複数の線条により構成される電極5を挿入し、各アノードを構成する電極5を囲繞するかたちでカソードを構成する電極6を設置してもよい。尚、図2は、電極5、6をカソードを構成する電極6の升目の横断面図を示す。
【0067】
これにより、カソードを構成する電極6の表面積全体に対し、アノードを構成する電極5を対向させることができるようになり、カソードを構成する電極6の表面積を拡張しつつ、被処理水の電解効率を向上させることができ、より一層効率的に、被処理水中の窒素化合物の除去を行うことができるようになる。
【0068】
また、これ以外に、カソードを構成する電極6を図3に示す如く複数の円柱により形成し、各円柱内にそれぞれ極細に形成された複数の線条により構成される電極5を挿入し、各アノードを構成する電極5を囲繞するかたちでカソードを構成する電極6を設置してもよい。
【0069】
これにより、アノードを構成する各電極5に対して、カソードを構成する電極6の表面積を均一に対向させることができ、上記実施例に加えて、より一層被処理水の電解効率を向上させることができるようになる。
【0070】
また、更にこれ以外に、カソードを構成する電極6を図4に示す如く、例えば各区画が断面略六角形(多角柱)を呈するハニカム形状とし、当該電極6内に仕切られる各区画にそれぞれ極細に形成された複数の線条により構成される電極5を挿入し、各アノードを構成する電極5を囲繞するかたちでカソードを構成する電極6を設置してもよい。
【0071】
これにより、カソードを構成する電極6の表面積を効率的に拡張しつつ、被処理水の電解効率を向上させることができ、より一層効率的に、被処理水中の窒素化合物の除去を行うことができるようになる。
【0072】
尚、上記各第3の実施例において、カソードを構成する電極6に形成される各区画に挿入される電極5は、形成される区画の断面形状に対応して角柱、又は、円柱、若しくは、六角柱(多角柱)としてもよい。また、これ以外に、電極5は球状に形成されていてもよい。これにより、より一層電解効率が向上し、効率的に被処理水中の窒素化合物の除去を行うことができるようになる。
【0073】
更にまた、上記各第3の実施例において、当該カソードを構成する電極6は、多孔質のものを使用して、各区画を形成してもよい。これにより、更にカソードを構成する電極6の表面積を拡張することができ、効率的な窒素化合物の処理を行うことができるようになる。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものであって、当該他方の電極の設置スペースを拡大せずにその表面積を拡張可能なものを用い、一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしているので、所定の設置スペースにおけるカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張することができるようになり、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0075】
これにより、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0076】
また、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。これによって、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上する。
【0077】
請求項2の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、多孔質のものを用い、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしているので、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応を生じるカソードを構成する他方の電極の表面積を容易に拡張することができ、簡易な構成にて、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができるようになる。そのため、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0078】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0079】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項2の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上される。
【0080】
請求項3の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中に窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、表面に凹凸のあるものを用い、アノードを構成する一方の電極の表面積よりもカソードを構成する他方の電極の表面積を大きくしたため、これによっても、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応を生じるカソードを構成する他方の電極の表面積を容易に拡張することができ、簡易な構成にて、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0081】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0082】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項3の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上される。
【0083】
請求項4の発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムにおいて、アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものを用いると共に、一方の電極を囲繞するかたちで他方の電極を設置することにより、一方の電極の表面積よりも他方の電極の表面積を大きくしているので、被処理水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとの接触確率を増大させることができ、カソードを構成する他方の電極において生じる硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応速度及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応速度を加速させることができるようになる。
【0084】
これにより、係る発明によっても、アノードを構成する一方の電極において生じる亜硝酸イオンの硝酸イオンへの酸化反応を著しく抑制することができ、被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元反応及び亜硝酸イオンのアンモニアへの還元反応に要する時間を短縮することができ、又、低濃度の硝酸イオン及び亜硝酸イオンをも処理することができるようになる。
【0085】
更にまた、カソードを構成する他方の電極において亜硝酸イオンの還元反応によって生じるアンモニアは、アノードを構成する一方の電極で生じる次亜ハロゲン酸等の物質と脱窒反応をすることになるので、効果的に硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの窒素化合物の窒素成分を除去することができるようになる。そのため、請求項4の発明によっても、一般家庭や工場等から排出される窒素化合物を含む被処理水から効率的に窒素化合物を除去することができるようになり、窒素化合物の処理能力が向上する。
【0086】
また、カソードを構成する他方の電極は、アノードを構成する一方の電極を囲繞するかたちで設置することにより、容易にカソードの表面積をアノードの表面積より大きく形成することができ、簡易な構造にて本発明を実現することができるようになる。
【0087】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、カソードを構成する他方の電極を複数の升目或いは円柱、若しくは、ハニカム形状とし、当該カソードを構成する他方の電極にて仕切られる各区画にそれぞれアノードを構成する一方の電極を挿入したので、アノードを構成する一方の電極の表面積に対するカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張しつつ、他方の電極に対し、一方の電極を対向させることができ、被処理水の電解効率を向上させることができるようになる。そのため、より一層、窒素化合物の処理効率を向上させることができるようになる。
【0088】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明において、アノードを構成する一方の電極を球状、多角形状、円柱状、若しくは、多角柱状としたので、アノードを構成する一方の電極に対して、カソードを構成する他方の電極をより一層均一に対向させることができ、より一層被処理水の電解効率を向上させることができるようになる。
【0089】
請求項7の発明によれば、請求項4、請求項5又は請求項6の発明において、カソードを構成する他方の電極を多孔質としたので、上記各発明における効果に加えて、容易にカソードを構成する他方の電極の表面積を拡張することができ、より一層簡易な構成にて、本発明を実現することができるようになる。
【0090】
請求項8の発明によれば、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を含む導電体、又は当該周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を被覆した導電体としたので、カソードを構成する他方の電極側で、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を容易に生起することができ、容易に本発明を実現することができるようになる。
【0091】
請求項9の発明によれば、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明において、カソードを構成する他方の電極の材料を、鉄を含む導電体、若しくは当該鉄を被覆した導電体とすると共に、電極の極性を切り換えて電気化学的手法により被処理水中のリン化合物を処理するので、カソードを構成する他方の電極において被処理水中の硝酸イオンの亜硝酸イオン及びアンモニア(アンモニウムイオン)への還元反応が促進され、還元反応に要する時間を短縮し、且つ、低濃度の硝酸イオンも処理することができるようになる。
【0092】
また、当該電極の極性を切り換えて電気化学的手法により被処理水中のリン化合物を処理するため、アノードとなる他方の電極より被処理水中に鉄(II)イオンを溶出させ、被処理水中で鉄(III)イオンにまで酸化された当該鉄(III)イオンと被処理水中のリン化合物としてのリン酸イオンを化学的に反応させ、リン酸鉄として沈殿処理することができるようになる。
【0093】
これにより、被処理水中のリン化合物も処理することができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水処理システムの第1の実施例の概要を示す説明図である。
【図2】図1の装置において処理される硝酸イオン(NO )の濃度変化を示す図である。
【図3】第3の実施例における電極の断面図である。
【図4】第3の実施例における電極の断面図である。
【図5】第3の実施例における電極の断面図である。
【符号の説明】
1 排水処理装置
2 処理槽
4 排水処理室
5、6 電極

Claims (9)

  1. 電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムであって、
    アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、
    カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものであって、当該他方の電極の設置スペースを拡大せずにその表面積を拡張可能なものを用い、一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする排水処理システム。
  2. 電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムであって、
    アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、
    カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、多孔質のものを用い、前記一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする排水処理システム。
  3. 電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムであって、
    アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、
    カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起し、且つ、表面に凹凸のあるものを用い、前記一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする排水処理システム。
  4. 電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する排水処理システムであって、
    アノードを構成する一方の電極の材料を、電気化学的手法により次亜ハロゲン酸、又は、オゾン、若しくは、活性酸素を発生させることが可能なものとし、
    カソードを構成する他方の電極の材料を、硝酸イオン、又は亜硝酸イオンの還元反応を生起するものを用いると共に、前記一方の電極を囲繞するかたちで前記他方の電極を設置することにより、前記一方の電極の表面積よりも前記他方の電極の表面積を大きくしたことを特徴とする排水処理システム。
  5. 前記カソードを構成する他方の電極を複数の升目或いは円柱、若しくは、ハニカム形状とし、当該カソードを構成する他方の電極にて仕切られる各区画にそれぞれ前記アノードを構成する一方の電極を挿入したことを特徴とする請求項4の排水処理システム。
  6. 前記アノードを構成する一方の電極を球状、多角形状、円柱状、若しくは、多角柱状としたことを特徴とする請求項5の排水処理システム。
  7. 前記カソードを構成する他方の電極を多孔質としたことを特徴とする請求項4、請求項5又は請求項6の排水処理システム。
  8. 前記カソードを構成する他方の電極の材料を、周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を含む導電体、又は当該周期表第Ib族又は第IIb族又は第VIII族を被覆した導電体とすることを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の排水処理システム。
  9. 前記カソードを構成する他方の電極の材料を、鉄を含む導電体、若しくは当該鉄を被覆した導電体とすると共に、
    前記電極の極性を切り換えて電気化学的手法により前記被処理水中のリン化合物を処理することを特徴とする請求項8の排水処理システム。
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