JP2004097101A - ポテトサラダ及びポテトサラダの油漏出防止方法 - Google Patents
ポテトサラダ及びポテトサラダの油漏出防止方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ポテトサラダにアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有させることにより、ポテトサラダの保存中に生じる酸性水中油型乳化食品の乳化破壊による油の漏出を防ぎ、とりわけ、吸水力が強い収穫後2ヵ月以内のジャガイモを原料とする場合であっても効果的に油漏出を防止することができる風味および食感の良好なポテトサラダを提供する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存後においても外観及び食感の良好なポテトサラダに関する。
【0002】
【従来の技術】
マヨネーズやドレッシング等の酸性水中油型乳化食品を用いた代表的な食品としてサラダがある。サラダは、使用する主な食材により、ポテトサラダ、野菜サラダ、パスタサラダ、タマゴサラダ、フルーツサラダ等に分けられ、酸性水中油型乳化食品を用いたサラダは、一般的に食材と酸性水中油型乳化食品とを和えて製する。
【0003】
これらのサラダの中でポテトサラダは、その主な原料であるジャガイモが澱粉質であるため吸水性が顕著である。すなわち、一般にポテトサラダは、ジャガイモを茹処理して皮むきしこれにマヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品を和えて製するが、製した直後は、ポテトサラダ中の酸性水中油型乳化食品はしっとりとした良好な状態を呈している。しかし経時的に酸性水中油型乳化食品中の水分がジャガイモに吸収され、僅か半日程度で酸性水中油型乳化食品が、脱水による乳化の破壊により分離してしまう。この場合、ポテトサラダは、その表面に分離した油が漏出してギラついた外観となり、酷い場合には、漏出した油がポテトサラダから滴り落ちるような状態となり、商品価値が失われるという問題があった。
このポテトサラダの「油漏出」の問題は、原料として使用するジャガイモが収穫後2ヵ月以内のいわゆる「新ジャガ」の場合に顕著である。「新ジャガ」は、収穫後長期保存されたものに比べて澱粉含量が多く、また澱粉粒の膜が柔軟であるため吸水力が強いからである。
【0004】
したがって、スーパーマーケット、惣菜屋等の小売店で販売される工業的に大量生産されるポテトサラダにおいては、加熱処理したジャガイモの表面に酢水をスプレーして水分を補充した後に水中油型乳化食品と和えるか、または、あらかじめ水中油型乳化食品を水で希釈してジャガイモと和える等の手段が採用されている。
しかし、上記のように水分を別途補充して製したポテトサラダは、水っぽく糊のようにベタついた食感を呈し、美味しくないという問題がある。
【0005】
また、ポテトサラダの「油漏出」の問題を解決すべくなされた先行技術としては、特許文献1(特開平8−112075)がある。この先行技術は、特定の高融点油脂を用いた酸性水中油型乳化脂に、必要に応じてリゾホスファチド、α化変性澱粉又はキサンタンガム等の多糖類を添加してサラダ用酸性ペースト状水中油型乳化脂を製し、このサラダ用酸性ペースト状水中油型乳化脂を茹でたパスタやポテトに和えることにより油漏出のないサラダを得るものである。
しかし、この特許文献1に記載された技術は、油漏出の防止効果が十分でなく、また、高融点油脂等を用いた特殊な水中油型乳化脂を使用するものであり、一般に市販されているマヨネーズ等を使用することができないため、高コストであるという問題がある。
【0006】
また、ポテトサラダ等の油漏出を解決するものではないが、「離水」を解決する先行技術として、特許文献2(特開昭58−198263)及び特許文献3(特開平11−196764)がある。
「離水」とは、生野菜等の水分の多い原料を用いてサラダ等を製した場合に、浸透圧の作用により時間の経過とともに原料から水分が滲出し、サラダ等がべちゃべちゃになってしまう現象である。特許文献2は、マッシュ状加熱ポテト(加熱したジャガイモの擂り潰し物)と天然ガム質を用いることにより、ポテトサラダ等の離水を防ぐ技術であり、特許文献3は、酢酸ナトリウム、グリシン、キサンタンガム、並びにガム類を用いて和え物の離水を防ぐ技術である。
【0007】
しかし、これら特許文献2及び3の先行技術は油漏出の問題を解決するものではなく、また、離水は浸透圧により水分が漏出する現象であるのに対し、本発明の解決課題である油漏出は、ジャガイモの吸水力により酸性水中油型乳化食品の乳化が破壊されて生ずる現象であるため、その発生原因および結果が異なる。
すなわち、ポテトサラダの油漏出を防ぐためには、ジャガイモの吸水力に抗して水中油型乳化食品の乳化の破壊を抑制する必要があるところ、特許文献2及び3の技術は生野菜等の原料からの水分滲出を防ぐものであるから、油漏出の防止にそのまま転用できる技術ではない。
【0008】
【特許文献1】特開平8−112075
【特許文献2】特開昭58−198263
【特許文献3】特開平11−196764
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、ポテトサラダの保存中に生じる酸性水中油型乳化食品の乳化破壊による油の漏出を防ぎ、とりわけ、吸水力が強い収穫後約2ヵ月以内の「新ジャガ」を原料とする場合であっても効果的に油漏出を防止することができ、さらに、風味および食感の良好なポテトサラダを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(1) アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有するポテトサラダ、
(2) アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンをポテトサラダ全体に対して0.4%以上含有する上記(1)記載のポテトサラダ、
(3) 収穫後2ヵ月以内のジャガイモを原料として使用した上記(1)又は(2)のポテトサラダ
(4) アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを原料として使用するポテトサラダの油漏出方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」は特に断りのない限り「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明においてポテトサラダとは、蒸煮処理、茹処理、或いは電子レンジ加熱等により加熱処理したジャガイモを、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品で和えて製したサラダである。
本発明のポテトサラダは、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有させてあることにより、保存後においても酸性水中油型乳化食品の脱水分離による油漏出がほとんどなく、良好な食感を維持し得るものであり、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの含有量は、ポテトサラダ全体に対して0.4以上であることが好ましい。含有量を0.4%以上とすることにより、より効果的に油漏出を防止することができるからである。尚、上限については特に規定するものではないが、10%以下であることが好ましい。それは、さらに多く含有させても油漏出防止の観点からはさほど効果が向上しないため経済的ではないからである。
【0012】
本発明のポテトサラダの原料として用いることができるジャガイモは、その品種等は特に制限されず、例えば、男爵薯、キタアカリ、メークイン、マチルダ、トヨシロ、とうや、さやか、アイノアカ、レッドムーン、レッドアンデス等の一般にポテトサラダの原料として採用され得るものであればいずれも使用可能である。特に、キタアカリ、マチルダ、トヨシロのような澱粉含量(澱粉価)が比較的高い品種では、ポテトサラダを製した際にジャガイモの吸水力が強く一般に油漏出を起こし易いため、本発明の実施により油漏出防止の効果が顕著に現れる。また、ジャガイモの澱粉含量は、収穫直後が最も高く保存中に除々に低下する。そのため、一般に収穫後2ヵ月以内のジャガイモを用いて製したポテトサラダは、ジャガイモの吸水力が強く油漏出を起こし易いが、本発明によれば容易に油漏出を防ぐことができるものである。
【0013】
本発明のポテトサラダにおいては、食味を良好にするために、ポテトサラダ全体に対する酸性水中油型乳化食品の含有量を25〜60%程度にすることが好ましく、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、通常のポテトサラダに用いられる各種原料や具材を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、きゅうり、にんじん、玉ねぎ、レタス、とうもろこし、ハム、茹で卵等の具材、食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料、並びに、酢酸ソーダ、グリシン、ポリリジン、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料あるいは静菌剤等が挙げられる。
【0014】
本発明においてアラビアガムとは、アラビアゴムとも称され、主にマメ科植物アカシア属の樹木から採取することができる水溶性、低粘性の酸性ヘテロ多糖である。一般的には分子量2×105〜3×105程度であり、L−アラビノース、D−ガラクト−ス、D−グルクロンサン、L−ラムノース等から構成されている。このアラビアガムを水等の溶媒に溶解後、濾過・殺菌等の処理を施し乾燥したスプレードライ品(例:商品名「アラビックコールSS」、三栄薬品貿易(株)製)等のアラビアガムの加工品が市販されているので、これらを用いると扱い易く好ましい。
尚、「アラビックコールSS」は、スーダン産アラビアガムを濾過・殺菌等の処理を施し乾燥したスプレードライ品であり、その平均分子量は約2×105〜2.5×105である。また、10%水溶液の粘度は約10mPa・sと低く、食物繊維含量は85%以上である。
【0015】
また、アラビノガラクタンとは、カラマツなどの針葉樹、サトウカエデなどの樹液から採取した水溶性で低粘性のヘテロ多糖である。L−アラビノース、D−ガラクトース等から構成されており、一般に、平均分子量は7.2×104〜9.2×104程度であり、また、粘度は40%水溶液でも約40mPa・sと低粘度である。市販されている商品(例:商品名「ファイバーエイド」、米国ラレックス社製)があるので、これらを用いると扱い易く好ましい。
【0016】
次に、本発明のポテトサラダの製造方法としては、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを加えること以外は常法によればよく、例えばジャガイモを皮付きのまま或いは皮を剥いた後に、茹処理、蒸処理、電子レンジ加熱等によりやわらかくなるまで加熱処理し、皮付きのものは皮を剥いた後に、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタン、必要に応じその他の具材、調味料等と混合する方法が挙げられる。また、得られたポテトサラダは、必要に応じて容器に充填密封し、60〜90℃の湯浴等で加熱殺菌してもよい。
【0017】
ここで、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンをポテトサラダに含有させる方法としては、あらかじめマヨネーズ、ドレッシング等の酸性水中油型乳化食品にアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを添加しておき、この酸性水中油型乳化食品を加熱処理したジャガイモに和える方法、また、酸性水中油型乳化食品と加熱処理したジャガイモを和える際に、別途アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを添加する方法等があるがこれらに限られるものではない。
【0018】
あらかじめアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを添加した酸性水中油型乳化食品を製し、これを加熱処理済みのジャガイモに和えてポテトサラダを製する場合においては、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの酸性水中油型乳化食品全体に対する含有量は1%以上が好ましい。含有量を1%以上とすることにより、この酸性水中油型乳化食品を用いて製したポテトサラダは、保存後においても油漏出し難く、さらに製造直後のしっとりとした食感を維持することが出来る。
【0019】
尚、上記のとおり、ポテトサラダの油漏出をより効果的に防ぐためには、ポテトサラダ全体に対するアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの含有量が0.4%以上となるように調整することが好ましい。したがって、例えばアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの含有量が少ない酸性水中油型乳化食品を用いてポテトサラダを製する場合には、酸性水中油型乳化食品を多めに添加し、一方、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの含有量が多い酸性水中油型乳化食品を用いてポテトサラダを製する場合には、酸性水中油型乳化食品の添加量を少なくして、ポテトサラダ全体に対するアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの含有量を調整すればよい。
【0020】
酸性水中油型乳化食品には、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンの他に本発明の効果を損なわない範囲で、通常の酸性水中油型乳化食品に用いられている各種原料を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の何らかの処理を施した化工澱粉等の澱粉類、食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料等が挙げられる。
【0021】
次に、上記酸性水中油型乳化食品の製造方法としては、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを一原料として含有させる以外は一般のマヨネーズやドレッシング等の水中油型乳化食品の常法に則り製造すればよく、例えば、アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有し均一にした水相原料と油相原料とをミキサー等で粗乳化し、次いでコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等で仕上げ乳化をした後、ボトル容器やガラス容器等に充填密封する方法が挙げられる。
【0022】
【作用】
本発明のポテトサラダにおいて、如何なる理由により酸性水中油型乳化食品中の水分がジャガイモに移行し難いかは必ずしも明らかではないが、本発明のポテトサラダに加えるアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンには高分子の水溶性食物繊維が多く含まれていることから、これらが酸性水中油型乳化食品中の水分と水素結合して自由水を減らし、また、高分子であるためジャガイモに吸収され難く、酸性水中油型乳化食品中に止まってジャガイモの外表面に付着し、ジャガイモの吸水力に抗して水分を保持するものと考えられる。その結果、酸性水中油型乳化食品の乳化破壊を防ぐことができ、ポテトサラダの油漏出を効果的に抑制できるものと推測される。
また、アラビアガム及びアラビノガラクタンは、無味無臭に近く、水溶液にした場合の粘度が低いため、ポテトサラダの風味や食感に及ぼす影響が少なく、美味しいポテトサラダを製することができるものである。
次に、本発明を実施例及び試験例に基づきさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【実施例1】
[マヨネーズ様食品▲1▼]
卵黄6.0部、卵白7.0部、食酢(酸度9%)5.0部、アラビアガム[アラビックコールSS(商品名)、三栄薬品貿易(株)製]7.0部、砂糖1.5部、食塩1.5部、グルタミン酸ナトリウム0.2部、からし粉0.2部、清水5.0部をミキサーで均一とした後、サラダ油66.6部を注加して粗乳化させ、次いでコロイドミルで仕上げ乳化を行ないマヨネーズ様の酸性水中油型乳化食品(以下「マヨネーズ様食品▲1▼」と称する。)を製した。
尚、得られたマヨネーズ様食品▲1▼中のアラビアガムの含有量は、マヨネーズ様食品▲1▼全体に対して7.0%である。
【0024】
[ポテトサラダ▲1▼]
収穫後約1ヵ月のジャガイモ(品種:トヨシロ)を皮剥きした後95℃で60分間蒸煮し、蒸煮処理済みのジャガイモを得た。次に、この蒸煮処理済みジャガイモ58部、上記マヨネーズ様食品▲1▼40部、砂糖1.4部、食塩0.3部、グルタミン酸ナトリウム0.3部を混合してポテトサラダ▲1▼を製した。
尚、得られたポテトサラダ▲1▼全体に対するマヨネーズ様食品▲1▼の含有量は40%であり、また、ポテトサラダ▲1▼全体に対するアラビアガムの含有量は2.8%である。
このポテトサラダ▲1▼は外観及び食感が良好であり、1〜7日間冷蔵保管後においてもほとんど油漏出することなくしっとりとした状態を保っており、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0025】
【実施例2】
[マヨネーズ様食品▲2▼]
実施例1のマヨネーズ様食品▲1▼において、アラビアガムの代わりにアラビノガラクタン[ファイバーエイド(商品名)、米国ラレックス社製]7.0部を使用した以外はマヨネーズ様食品▲1▼と同配合、同製法によりマヨネーズ様食品▲2▼を製した。
尚、得られたマヨネーズ様食品▲2▼中のアラビノガラクタン含有量は、マヨネーズ様食品▲2▼全体に対して7.0%である。
【0026】
[ポテトサラダ▲2▼]
実施例1のポテトサラダ▲1▼において、マヨネーズ様食品▲1▼の代わりにマヨネーズ様食品▲2▼40部を用いた以外はポテトサラダ▲1▼と同配合、同製法によりポテトサラダ▲2▼を製した。
尚、得られたポテトサラダ▲2▼全体に対するマヨネーズ様食品▲2▼の含有量は40%であり、また、ポテトサラダ▲2▼全体に対するアラビノガラクタンの含有量は2.8%である。
このポテトサラダ▲2▼は外観及び食感が良好であり、1〜7日間冷蔵保管後においてもほとんど油漏出することなくしっとりとした状態を保っており、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0027】
【実施例3】
[ポテトサラダ▲3▼]
アラビアガム(実施例1と同じもの)3.0部を清水5.0部に溶解してアラビアガム水溶液を製し、この水溶液8.0部を、実施例1のポテトサラダ▲1▼と同様にして得た蒸煮処理済みジャガイモ55.0部に均一に噴霧した後、市販のキユーピーマヨネーズ[キユーピー(株)製]35.0部、砂糖1.4部、食塩0.3部、グルタミン酸ナトリウム0.3部を加えて混合し、ポテトサラダ▲3▼を製した。この得られたポテトサラダ▲3▼全体に対するアラビアガムの含有量は3.0%である。
得られたポテトサラダ▲3▼は、外観及び食感が良好であり、1〜7日間冷蔵保存後においても油漏出がほとんど見られずしっとりした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0028】
【実施例4】
[ポテトサラダ▲4▼]
実施例3のポテトサラダ▲3▼において、アラビアガムに代えてアラビノガラクタン(実施例2と同じもの)3.0部を使用した以外は同じ配合および製法でポテトサラダ▲4▼を製した。
得られたポテトサラダ▲4▼は、外観及び食感が良好であり、1〜7日間冷蔵保存後においても油漏出がほとんど見られずしっとりした状態を保っており、また、製造直後と同程度の良好な食感であった。
【0029】
【試験例1】
実施例1のマヨネーズ様食品▲1▼において、アラビアガムの代わりに下記a〜fの各種多糖類を各7.0部ずつ使用して6種類のマヨネーズ様食品を製した。
次いで、実施例1のポテトサラダ▲1▼において、マヨネーズ食品▲1▼の代わりに上記6種類のマヨネーズ様食品各40部を使用して、表1に示すA〜Fの6種類のポテトサラダ(対照品)を製した。
得られたA〜Fの各ポテトサラダ全体に対するa〜fの各多糖類の含有量は2.8%である。
[試験に使用した多糖類]
a.非還元分岐デキストリン(DE約2〜5)、商品名「パインデックス♯100」、松谷化学工業(株)製
b.非還元分岐デキストリン(DE約8)、商品名「パインデックス♯1」、松谷化学工業(株)製
c.還元直鎖デキストリン(DE約15)、商品名「エスイー100」、日研化学(株)製
d.非還元分岐デキストリン(DE約25)、商品名「パインデックス♯3」、松谷化学工業(株)製
e.グアーガム分解物、商品名「タナファイバー」、田辺製薬(株)製
f.還元直鎖オリゴ糖(DE約70)、商品名「エスイー600」、日研化学(株)製
【0030】
実施例1及び2で得られたポテトサラダ▲1▼及び▲2▼(発明品)と、上記ポテトサラダA〜F(対照品)を、各々700gずつ10メッシュの金網上に載置し、24時間冷蔵(約10℃)保管して金網から下方に滴下したサラダ油の量を測定した。測定結果は表1に示すとおりである。
【0031】
【表1】
【0032】
表1より、アラビアガム又はアラビノガラクタンを含有するポテトサラダ▲1▼又は▲2▼は、製造後24時間経過しても油漏出が生じていないが、他の多糖類を含有するポテトサラダA〜Fは、程度の差こそあるものの全て油漏出が生じていることが理解される。
【0033】
【試験例2】
実施例1のマヨネーズ様食品▲1▼において、使用原料のアラビアガム7.0部を、0、0.5、1.0、4.0、10.0部に各々変更し、それ以外はマヨネーズ様食品▲1▼と同配合、同製法でアラビアガムの含有量の異なる5種類のマヨネーズ様食品を製した。この際、マヨネーズ様食品の全体質量が変わらないように清水で補正を行った。
次いで、実施例1のポテトサラダ▲1▼において、マヨネーズ食品▲1▼の代わりに上記5種類のマヨネーズ様食品各40部を使用して、アラビアガム含有量の異なるア〜オの5種類のポテトサラダを製した。
実施例1で得られたポテトサラダ▲1▼と上記ポテトサラダア〜オを、各々700gずつ10メッシュの金網上に載置し、24時間冷蔵(約10℃)保管して金網から下方に滴下したサラダ油の量を測定した。測定結果は表2に示すとおりである。
【0034】
【表2】
【0035】
表2より、アラビアガムを0.4%以上含有するポテトサラダ▲1▼及びウ〜オは、製造後24時間経過しても油漏出が生じておらず、0.2%含有するイでは僅かに油漏出が生じており、また、アラビアガムを全く含有していないアは多量の油が漏出したことが理解される。
尚、アラビアガムに変えてアラビノガラクタンを用いて同様の試験を行ったところ、略同様の結果が得られた。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ポテトサラダにアラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有させることにより、ポテトサラダの保存中に生じる酸性水中油型乳化食品の乳化破壊による油の漏出を防ぎ、とりわけ、吸水力が強い収穫後2ヵ月以内のジャガイモを原料とする場合であっても効果的に油漏出を防止することができ、さらに、風味および食感の良好なポテトサラダを提供することができる。
また、アラビアガム及びアラビノガラクタンは、無味無臭に近く水溶液にした場合の粘度が低いため、ポテトサラダの風味や食感に及ぼす影響が少なく、美味しいポテトサラダを製することができるものである。
Claims (4)
- アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを含有するポテトサラダ。
- アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンをポテトサラダ全体に対して0.4%以上含有する請求項1記載のポテトサラダ。
- 収穫後2ヵ月以内のジャガイモを原料として使用した請求項1又は2記載のポテトサラダ。
- アラビアガム及び/又はアラビノガラクタンを原料として使用するポテトサラダの油漏出防止方法。
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