JP2004095928A - 多層プリント基板 - Google Patents

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酒井 浩志
Seiichiro Hiramatsu
平松 晟弌郎
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Abstract

【課題】放熱効率の向上を可能とする安価な構造を備えた多層プリント基板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる絶縁基材23と導体パターン22とを交互に積層した多層プリント基板1において、一部の領域における絶縁基材23と導体パターン22を、積層面に沿って分離して分離部(フレキシブルプリント基板部APの一部または全部)を形成し、この分離部APを積層方向に沿って立設されるように、分離部APの終端部APaにて屈曲させている。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント基板に関し、特に多層プリント基板の放熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、電子回路部品等の高密度実装化に伴って、電子部品の発熱に対する冷却方法が重要な技術のひとつとなっている。一般に従来技術では、熱伝導性の良い放熱フィン等の放熱板を、FET等の発熱素子を搭載するプリント基板に取付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によるプリント基板の放熱構造では、別部材としての放熱板を準備した後、プリント基板に実装するため、放熱板付きのプリント基板の製造に係わるコストの増加要因となって、安価に製造することが難しい。また、放熱手法として、プリント基板の一部を外部放熱板に熱結合させるものもある。しかしながら、この手法では、放熱効率およびコスト的に不利である。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、放熱効率の向上を可能とする安価な構造を備えた多層プリント基板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材と導体パターンとを交互に積層した多層プリント基板において、一部の領域における絶縁基材と導体パターンを、積層面に沿って分離して分離部を形成し、この分離部を積層方向に沿って立設されるように、分離部の終端部にて屈曲させた。
【0006】
これにより、安価な放熱構造として、一部の領域における絶縁基材と導体パターンを、積層面に沿って分離して分離部を形成し、この分離部を積層方向に沿って立設させるように、分離部の終端部にて屈曲させることで、露出した積層面つまり内層の面積分、放熱面積を拡大させることが可能である。したがって、多層プリント基板の底面積が同一である場合において、多層プリント基板の放熱のための表面積拡大が図れる。
【0007】
したがって、多層プリント基板の放熱性の向上が図れる。しかも、別部材を用いて実装することなく、安価に放熱性の向上が図れる。
【0008】
本発明の請求項2によると、分離部は、絶縁基材が樹脂フィルムから形成されており、屈曲性を有するフレキシブルプリント基板部を構成している。
【0009】
これにより、分離部は、絶縁基材が樹脂フィルムから形成されており、屈曲性を有するフレキシブルプリント基板部を形成することが可能である。
【0010】
本発明の請求項3によると、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内にその導体パターンを積層する層数が増減可能な多層プリント基板において、少なくとも一部の領域から積層方向に分離して立設するように一体延出されたフレキシブルプリント基板部を備えている。
【0011】
これにより、安価な放熱構造として、多層プリント基板の少なくとも一部の領域から積層方向に分離して一体延出するフレキシブルプリント基板部を、同一基板によって形成することが可能である。さらに、このフレキシブルプリント基板部は、多層プリント基板から積層方向に分離して立設するように一体延出するので、多層プリント基板の表面積拡大が図れる。
【0012】
したがって、多層プリント基板の放熱性の向上が図れる。しかも、別部材を用いて実装することなく、安価に放熱性の向上が図れる。
【0013】
本発明の請求項4によると、フレキシブルプリント基板部は、積層された導体パターンのうち、少なくとも一つの導体パターンは、グランドパターンに形成されている。
【0014】
これにより、多層プリント基板を構成する導体パターンを利用して、放熱層とすることが可能である。さらに、その放熱層として、比較的広く配置される、つまり放熱面積が広いグランドパターンに起因して、放熱性の向上が確実に図れる。
【0015】
本発明の請求項5によると、フレキシブルプリント基板部と、このフレキシブルプリント基板部が積層面に沿って分離して形成された残存領域との間には、フレキシブルプリント基板部の付根部である終端部を除き、フレキシブルプリント基板部の外周を囲うように、スリットが設けられている。
【0016】
これにより、フレキシブルプリント基板部の形成予定領域に沿って、連続的なスリットを形成することが可能である。
【0017】
例えば、電気回路としての素子等を実装する前状態の多層プリント基板において、多層化成形する段階で、切り込み等によるスリットの成形が可能である。さらに、多層化成形すなわち加熱、加圧によって成形する場合において、スリットが形成される領域における基板強度は低下するため、多層化成形した後に、僅かな応力を加えるだけで、スリットの形成領域全体にわたって、スリットを形成することが可能である。
【0018】
本発明の請求項6によると、フレキシブルプリント基板部と、残存領域との間には、離型材を介在させて、絶縁基材を積層するとともに、その離型材が配置された深さまでスリットが形成されている。
【0019】
これにより、多層プリント基板の製造工程において、プリント基板を多層化成形する際、多層プリント基板の一部を、積層方向に分離して一体延出するいわゆる分離領域つまり分離部を同時成形させたい場合、分離領域と残存領域との間における、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材同士が溶着することを防止することが可能である。さらに、多層化成形した後に、多層プリント基板からフレキシブルプリント基板部を一体延出させる際、分離領域つまりフレキシブルプリント基板部を容易に引き出すことが可能である。
【0020】
本発明の請求項7によると、フレキシブルプリント基板部には、フレキシブルプリント基板部内の異なる層からなる絶縁基材同士の間に、第2の離型材を介在させている。
【0021】
これにより、フレキシブルプリント基板部内を、さらに積層方向に分離させて、放熱表面積をさらに拡大させることが可能である。なお、フレキシブルプリント部の内層つまり分離部を、その内層の積層面に沿ってさらに分離し、フレキブルプリント基板部に一体延出された分離部を形成することが可能である。
【0022】
本発明の請求項8によると、離型材と、第2の離型材の間に挟まれる絶縁基材には、スリットが形成されている。
【0023】
離型材と第2の離型材の間つまり離型材同士に挟まれる絶縁基材であっても、離型材を傷つけることなく、その絶縁基材にスリットを形成することが可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多層プリント基板を、具体化した実施の形態を図に従って説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1中の放熱構造部であるフレキシブルプリント基板部を屈曲する前の多層プリント基板の状態を示す斜視図である。図3は、図1の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。図8は、本実施形態に係わる製造方法の要部を製造工程で示す工程別断面図であって、図8(a)および図8(b)はそれぞれの製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。
【0026】
図1および図2に示すように、本発明の多層プリント基板1は、ICや半導体素子等の電子部品(図示せず)が実装されるマザーボード部MBと、このマザーボード部MBの一部から積層方向に分離可能に延出され、屈曲部を有するフレキシブルプリント基板部APとを含んで構成されている。なお、このフレキシブルプリント基板部(以下、放熱構造部と呼ぶ)APは、多層プリント基板1に実装される発熱性素子としてのFETなどの半導体素子等の電子部品70の動作によって発生する熱を、多層プリント基板1の外部へ放熱させる。
【0027】
このマザーボード部MBと放熱構造部APは、同一基板から一体的に形成されている。マザーボード部MBと放熱構造部APは、図1および図8の製造工程上の状態図で示すように、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材23と、絶縁基材23の表面に配設され、配線金属材料からなる導体パターン22を備えている。なお、少なくとも放熱構造部APが可撓性を有するように、絶縁基材は、樹脂フィルムから形成されていることが望ましい。以下、本実施形態で使用する絶縁基材23を、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムとして説明する。さらになお、マザーボード部MBおよび放熱構造部APは、同一の多層プリント基板1、つまり同一基板1の基板領域内に形成されるものであるから、樹脂フィルム23を介して複数の導体パターン22が積層される構造であってもよい。樹脂フィルム23を用いるので、例えば導体パターン22を銅箔等によって形成することで、樹脂フィルム23、導体パターン22が積層されて形成される多層プリント基板であっても、可撓性を有することが可能である。
【0028】
なお、ここで、屈曲部を有するフレキシブルプリント基板部APは、多層プリント基板1の一部の領域における樹脂フィルム23と導体パターン22を、積層面に沿って分離して分離部を形成し、この分離部を積層方向に沿って立設されるように、終端部にて屈曲させた分離部を備えている。この分離部の屈曲された終端部が屈曲部である。また、この分離部は、フレキシブルプリント基板部APの一部を構成する(フレキシブルプリント基板部APの内層を積層面に沿って分離し、フレキシブルプリント基板部APに一体延出された分離部を備えた他の実施形態の多層プリント基板については、第2の実施形態(図9参照)および第3の実施形態(図11参照)にて後述する)。さらになお、多層プリント基板1の本体つまりマザーボード部MBもしくはフレキシブルプリント基板部APから一体延出される分離部の終端部は、後述のフレキシブルプリント基板部APの付根部APaである。さらになお、多層プリント基板1の本体部であるマザーボード部MBは、フレキシブルプリント基板部APが積層面に沿って分離することで、残存領域MBaが形成される。
【0029】
さらになお、同一基板によって形成されるマザーボード部MBおよび放熱構造部APでは、基板領域内において、導体パターン22を積層する層数が増減可能な構造であることが好ましい(なお、この特徴を持たせる製造方法については、比較例の多層プリント基板(図4参照)、およびその製造方法(図5から図7)を参照)。この特徴を利用して、同一基板の一部つまりマザーボード部MBの一部から、積層方向に分離可能に延出されるアース接続構造部APが形成可能である。
【0030】
なお、マザーボード部MBと放熱構造部APを有する多層プリント基板1の製造方法については後述する。
【0031】
さらになお、本実施形態では、放熱構造部APにおける導体パターン22を積層する層数はマザーボード部MBの層数に比べて少ない。その結果、放熱構造部APは、図1および図3に示すように、マザーボード部MBの一部から延出している。これにより、多層プリント基板1つまりマザーボード部MBから、放熱するために別部材を用いることなく、マザーボード部MBと一体的に形成された放熱構造部APによって、容易に放熱構造を形成することが可能である。詳しくは、図2の素子等を実装する前の多層プリント基板1の状態から、放熱構造部(フレキシブルプリント基板部)APを、図1に示すように、マザーボードMBに対して略直角に屈曲させることで、多層プリント基板1の底面積つまりマザーボードMBの面積を増やすことなく、多層プリント基板1の表面積を拡大することが可能である。これにより、多層プリント基板1は、発熱性素子等の動作によって生じた熱を、増加した放熱構造部APの表面積を利用して放熱することが可能である。したがって、別部材の放熱板等を実装することなく、多層プリント基板1の放熱効率の向上が図れる。
【0032】
なお、本実施形態では放熱構造部APに屈曲部を形成する手法として、マザーボードMBに対して略略直角に屈曲させるものとして説明したが、屈曲部を形成することで結果的に多層プリント基板1の表面積の拡大が図れればよく、屈曲させるのに、略直角に屈曲させる場合に限らず、鈍角、あるいは鋭角に屈曲させる場合でも、いずれでもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、多層プリント基板1を構成する導体パターン22、つまり放熱構造部AP内に形成された導体パターン22を利用して、放熱層とすることが可能である。これにより、樹脂材料からなる絶縁基材23に比べて比較的熱伝導性の良い金属材料からなる導体パターン23による熱伝導を有効に利用することが可能である。
【0034】
さらになお、本実施形態では、この放熱構造部APは、図1および図3に示すように、その積層された導体パターン22のうち、少なくとも一つ(本実施例の図3では、一つ)の導体パターン22は、グランドパターン22gに形成されている。これにより、放熱構造部APには、導体パターン22の一つの層に、グランドパターン22gを形成することが可能である。その結果、多層プリント基板1に生じた熱を外部へ逃がす放熱層としての導体パターン22として、グランドパターン22gに起因して、比較的広く配置される、つまり放熱面積を広く配置することが可能である。従って、放熱構造部APにグランドパターン22gが形成されていることで、放熱構造部APつまり多層プリント基板1の放熱性の向上が確実に図れる。
【0035】
なお、放熱構造部APに形成されるグランドパターン22gは、同一基板から一体的に形成されることから、マザーボード部MB内のグランドパターンに接続されていることは言うまでもない。
【0036】
さらになお、本実施形態では、図3および図8に示すように、放熱構造部APとマザーボード部MBとの間には、マザーボード部MBの一部から延出された放熱構造部APの付根部APaを除き、放熱構造部APの延在方向の外周部を囲うように、スリット30が設けられていることが望ましい。これにより、多層プリント基板1を成形する段階において、アース接地構造部APの形成予定領域に沿って、連続的なスリット30を形成することが可能である。
【0037】
なお、後述の比較例(図7参照)の製造方法で説明するように、多層プリント基板1を製造する際、2個取り等のワーク成形する場合には、切り出し加工する側の多層プリント基板の側面には、スリット30が不要である(比較例では、図7参照)。
【0038】
なお、このスリット30を多層プリント基板1の製造工程、特に多層化成形する際に形成する製造方法の詳細については後述する。
【0039】
なお、本実施形態では、図1および図2に示すように、マザーボードMBの裏面側に半導体素子等を実装するとともに、マザーボードMBの表面側に放熱構造部APを配置する。これにより、図1および図2に示すように、多層プリント基板1すなわちマザーボードMBの実装面としての裏面の高密度実装を図るともに、表面の全面に複数の放熱構造部APを配置することが可能である。
【0040】
なお、本実施形態では、マザーボードMBの表面側の略全部に放熱構造部APを配置する構成で説明したが、マザーボードMBの少なくとも一部(例えば、表面側の一部)に放熱構造部APを配置する構成であってもよい。この構成によっても、従来に比べて、放熱板等の別部材を実装することなく、放熱性の向上を可能とする構造を備えた多層プリント基板を提供できる。
【0041】
(本発明の多層プリント基板1に係わる製造方法の説明)
以下、本発明の多層プリント基板1の製造方法について、以下説明する。なお、説明の便宜上、比較例として、同一基板によって形成されるマザーボード部MBおよび放熱構造部APでは、基板領域内において、導体パターン22を積層する層数を増減させる構造を有する多層プリント基板の製造方法を参照しながら説明する。
【0042】
なお、便宜上、図4に示す多層プリント基板を、図5(g)に示すように、基板領域内で積層数において、マザーボード部MBに対応する7層構造のリジット基板領域101a、および屈曲性を有する3層構造のフレキ基板領域101bで表す。また、製品としての多層プリント基板に対して、その製品を製造する製造工程中のワークを区別して、製造工程中は多様な形態を有する多層基板100(詳しくは、リジッド−フレキプリント基板101)として説明する。
【0043】
(比較例の製造方法の説明)
比較例では、図4に示すように、マザーボード部MBと一体的に形成される放熱構造部APにおいて、上述の実施形態で説明したフレキシブルプリント基板部APaが、マザーボード部MBの側面の中央から延出している。図4は、比較例の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。この構成においても、上述の実施形態と同様な効果を得ることが可能である。
【0044】
詳しくは、図4に示すように、フレキシブルプリント基板部APaは、例えば3層の樹脂フィルム23を積層されている。この3層に積層された樹脂フィルム23のうち、図4に示すように、第1層の樹脂フィルム23(1)と第2層の樹脂フィルム23(2)との間には、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(1−2)が、所定のインダクタンスを有する配線導体パターン22sに形成されている。さらに、第2層の樹脂フィルム23(2)と第3層の樹脂フィルム23(3)との間には、同様に、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(2−3)が、グランドパターン22gに形成されている。なお、放熱構造部APとしては、少なくとも一つの層にグランドパターン22gが形成されていればよい。
【0045】
なお、積層される導体パターン22間は、電気回路を構成するため、必要に応じて、樹脂フィルム23に設けられたビアホール24中の一体化した導電性組成物51によって相互を電気的に接続されていてもよい(図4参照)。
【0046】
ここで、比較例の製造方法について以下、図5、図6、および図7に従って説明する。図5は、比較例の製造方法を製造工程で示す工程別断面図であって、図5(a)から図5(h)は各種製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。図6は、比較例に係わる製造工程において、切り出し工程後の多層回路基板の状態を示す断面図である。図7は、比較例に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後の多層回路基板の状態を示す平面図である。
【0047】
図5(a)において、21は樹脂フィルム23の片面に貼着された導体箔(本例では厚さ18μmの銅箔)をエッチングによりパターン形成した導体パターン22を有する片面導体パターンフィルムである。比較例では、樹脂フィルム23としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる厚さ25〜75μmの熱可塑性樹脂フィルムを用いている。
【0048】
図5(a)に示すように、導体パターン22の形成が完了すると、次に、図5(b)に示すように、片面導体パターンフィルム21の導体パターン22が形成された面と対向する面に保護フィルム81を、ラミネータ等を用いて貼着する。この保護フィルム81は、樹脂層と、この樹脂層の貼着面側にコーティングされた粘着剤層とからなる。粘着剤層を形成する粘着剤は、アクリレート樹脂を主成分とする所謂紫外線硬化型の粘着剤であり、紫外線が照射されると架橋反応が進行し、粘着力が低下する特性を有するものである。
【0049】
図5(b)に示すように、保護フィルム81の貼着が完了すると、次に、図5(c)に示すように、保護フィルム81側から炭酸ガスレーザを照射して、樹脂フィルム23に導体パターン22を底面とする有底ビアホールであるビアホール24を形成する。導体パターン22のビアホール24の底面となる部位は、導体パターン22の層間接続時に電極となる部位である。なお、ビアホールの形成は、炭酸ガスレーザの出力と照射時間等を調整することで、導体パターン22に穴を開けないようにしている。このとき、図5(b)に示すように、保護フィルム81にも、ビアホール24と略同径の開口81aが形成される。
【0050】
ビアホール24の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザ等が使用可能である。レーザ以外のドリル加工等のビアホール形成方法も可能であるが、レーザビームで穴あけ加工すると、微細な径で穴開けができ、導体パターン22にダメージを与えることが少ないため好ましい。
【0051】
図5(c)に示すように、ビアホール24の形成が完了すると、次に、図5(d)に示すように、ビアホール24内に層間接続材料である導電ペースト50を充填する。導電ペースト50は、平均粒径5μm、比表面積0.5m/gの錫粒子300gと、平均粒径1μm、比表面積1.2m/gの銀粒子300gとに、有機溶剤であるテルピネオール60gを加え、これをミキサーによって混練し、ペースト化したものである。
【0052】
導電ペースト50は、スクリーン印刷機により、保護フィルム81の開口81a側から片面導体パターンフィルム21のビアホール24内に印刷充填される。ビアホール24内への導電ペースト50の充填は、本実施形態ではスクリーン印刷機を用いたが、確実に充填ができるのであれば、ディスペンサ等を用いる他の方法も可能である。
【0053】
ビアホール24内への導電ペースト50の充填が完了すると、図5(e)に示すように、樹脂フィルム23の所望の位置にスリット30を形成する。このスリット30は、後に説明する多層基板100において、その基板の厚さを薄くしてフレキ基板101bとして機能する部位を多層基板100に形成するためのものである。スリット30は、例えばレーザを樹脂フィルム23に照射することによって形成することができる。また、ドリルルーターや打ち抜き加工等によってスリット30を形成しても良い。
【0054】
スリット30の幅は、1mm以下、より好ましくは樹脂フィルム23の厚さ以下に形成することが望ましい。樹脂フィルム23は、後に詳しく説明するが、複数枚積層された状態で、加熱・加圧される。この加熱・加圧時に、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が軟化して流動するが、そのときにスリット30の幅が大きいと、熱可塑性樹脂がスリット30を塞ぐように流動するため、熱可塑性樹脂の流動量が大きくなる傾向がある。この場合、樹脂フィルム23上に形成した導体パターン22の位置ずれが発生する可能性が高くなるので、スリット30の幅は狭く形成することが好ましいのである。
【0055】
スリット30を形成した後、紫外線ランプ(図示せず)によって保護フィルム81側から紫外線を照射する。これにより、保護フィルム81の粘着剤層が硬化され、粘着剤層の粘着力が低下する。
【0056】
保護フィルム81への紫外線照射が完了すると、片面導体パターンフィルム21から保護フィルム81を剥離除去する。これにより、図5(f)に示すように、樹脂フィルム23の所望の位置にスリット30が形成され、かつビアホール24内に導電ペースト50を充填した片面導体パターンフィルム21が得られる。
【0057】
次に、図5(g)に示すように、片面導体パターンフィルム21を複数枚(本実施形態では7枚)積層する。このとき、例えば下方側の2枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を下側として、上方側の5枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を上側として積層する。
【0058】
すなわち、下側の1枚目の層と上側の5枚目の層からなる2枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成されていない面同士を向かい合わせて積層する。また、残りの5枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成された面と導体パターン22が形成されていない面とが向かい合うように積層する。
【0059】
また、複数枚の片面導体パターンフィルム21が積層される際、多層基板100から除去すべき除去領域40の下面となる片面導体パターンフィルム21aと、多層基板100の一部として残され領域(残存領域)の表面となる片面導体パターンフィルム21bとの間に、除去領域40の大きさに対応した離型シート45が配置される。
【0060】
この離型シート45は、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が加熱・加圧された場合であっても、軟化した熱可塑性樹脂との接着性に乏しい性質を持つ材料から構成される。例えば、離型シート45は、ポリイミド、テフロン(登録商標)等の樹脂フィルムや、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔から構成することができる。
【0061】
また、除去領域40の対向する2つの側面には、樹脂フィルム23に形成されたスリット30が位置している(図7参照)。すなわち、スリット30は、除去領域40を持つ複数枚の樹脂フィルム23の同じ位置に形成されることにより、全体として、片面導体パターンフィルム21,21a,21bの積層体の表面から離型シート45が配置された深さ位置まで連続的に形成されている。
【0062】
図5(g)に示すように片面導体パターンフィルム21,21a,21bを積層したら、この積層体の上下両面から真空加熱プレス機の加熱プレス板により加熱しながら加圧する。比較例では、250〜350℃の温度に加熱しつつ、1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧した。これにより、図5(h)に示すように、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bが相互に接着される。すなわち、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bの樹脂フィルム23が熱融着して一体化される。さらに、加熱及び加圧により、ビアホール24内の導電ペースト50が焼結して一体化した導電性組成物51となり、隣接する導体パターン22間を層間接続した多層基板100が得られる。
【0063】
ここで、導体パターン22の層間接続のメカニズムを簡単に説明する。ビアホール24内に充填された導電ペースト50は、錫粒子と銀粒子とが混合された状態にある。そして、このペースト50が250〜350℃に加熱されると、錫粒子の融点は232℃であり、銀粒子の融点は961℃であるため、錫粒子は融解し、銀粒子の外周を覆うように付着する。さらに加熱が継続すると、融解した錫は、銀粒子の表面から拡散を始め、錫と銀との合金(融点480℃)を形成する。このとき、導電ペースト50には1〜10MPaの圧力が加えられているため、錫と銀との合金形成に伴い、ビアホール24内には、焼結により一体化した合金からなる導電性組成物51が形成される。
【0064】
ビアホール24内で導電性組成物51が形成されているとき、この導電性組成物51は加圧されているため、導体パターン22のビアホール24の底部を構成している導体パターン22に圧接される。これにより、導電性組成物51中の錫成分と、導体パターン22を構成する銅箔の銅成分とが相互に固相拡散し、導電性組成物51と導体パターン22との界面に固相拡散層を形成して電気的に接続する。
【0065】
このようにして多層基板100が形成されると、次に多層基板100から製品として使用する製品領域を切り出す切り出し工程が行なわれる。この切り出し加工について図7を用いて説明する。
【0066】
図7は、複数枚の片面導体パターンフィルム21,21a,21bを溶着して形成した多層基板100の平面図である。図7において、一点鎖線60で囲まれる領域が製品領域であり、多層基板100の複数箇所(図7では2箇所)に製品領域60が設けられる。この製品領域60の切り出しは、例えばドリルルーターを多層基板100の表面から積層方向に挿入し、製品領域60の外縁に沿ってドリルルーターを移動することにより行なわれる。あるいは、打ち抜き加工等によって、製品領域60を多層基板100から切り出すこともできる。
【0067】
このとき、上述したスリット30は、製品領域60の幅と同等以上の長さで、製品領域60の幅方向に沿って形成されている。そして、このスリット30の長手方向の両端部が、製品領域60が切り出される側面(切り出し面)に達するように、除去領域40の対向する2つの側面に沿って配置されている。また、除去領域40の底面と多層基板の製品領域60の一部として残る残存領域との間には離型シート45が介在している。このため、切り出し工程が行なわれると、除去領域40の4つの側面は、スリット30及び製品領域60の切り出し面によって囲まれるため、周囲から分離された状態となる。さらに、除去領域40の底面は、離型シート45によって製品領域60とは分離されている。従って、多層基板100から製品領域60を切り出すことによって、同時に、除去領域40を製品領域60から取り除くことが可能になる。
【0068】
離型シート45は、図7に示されるように、多層基板100において隣接する製品領域60の除去領域40をそれぞれカバーする大きさに形成されている。このため、一枚の離型シート45を片面導体パターンフィルム21a、21b間に積層するだけで、複数の製品領域60の除去領域40を分離することができる。
【0069】
なお、スリット30は、樹脂フィルム23の外縁に達する前に終端しているので、樹脂フィルム23が単層状態のときに、スリット30の形成によって樹脂フィルム23の一部が分離してしまうことはない。
【0070】
このように、多層基板100から製品領域60を切り出すとともに、除去領域40を除去することにより、最終的にリジッド−フレキプリント基板101が完成する。このリジッド−フレキプリント基板101は、図6に示すように、基板領域に応じて、高密度実装等に利用可能なリジッド基板として機能する7層構造のリジッド基板領域101aと、屈曲性を持つ3層構造のフレキ基板領域101bとを有するものである。なお、図7に示すリジッド−フレキプリント基板101において、フレキ基板領域101bの外周端部(図4中の右側)を切除することで、比較例の放熱構造部APの端部APgを形成することが可能である。
【0071】
なお、図5(h)及び図7には、除去領域40の対向する2つの側面に沿ってスリット30が形成された様子が示されているが、実際には、樹脂フィルム23に形成されたスリット30は、加熱・加圧時に、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が軟化して流動するため、その開口領域が小さくなったり、時には塞がれたりする。しかしながら、たとえスリット30が塞がれた場合であっても、熱可塑性樹脂の場合、一度スリット30を形成した部分は、機械的な物性が低下しており、比較的僅かな応力を加えることによって、簡単にスリット30を塞いでいる樹脂部分同士を引き離すことができる。結晶性の熱可塑性樹脂であれば、この傾向は一層顕著になる。比較例において適用したポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂は結晶性であり、その他にも、液晶ポリマーなども結晶性の熱可塑性樹脂である。
【0072】
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などの非結晶性の熱可塑性樹脂であっても、延伸により配向を付けた樹脂材料であれば、結晶性の熱可塑性樹脂と同様の性質を示す。すなわち、スリット30を形成することにより、その配向が破壊され、その後、スリット30が塞がれても、そのスリット30を塞ぐ樹脂部同士は、一定の向きに配向されたものではない。従って、その樹脂部同士は、僅かな応力で引き離すことができる。
【0073】
上述の比較例の製造方法によれば、除去領域40は、加熱・加圧工程後に行なわれる切り出し工程の際に、製品領域60から取り除かれるので、加熱・加圧工程の対象となる片面導体パターンフィルム21の積層体の表面の位置は、全面に渡ってほぼ同一の位置にある。従って、加熱プレス板によって、積層体全体に対して、加熱及び加圧をほぼ均一に行なうことが容易になる。このため、各樹脂フィルム23の接着強度の安定化、導体パターン22の位置ずれの防止、層間接続の信頼性の向上等を図ることができる。
【0074】
上述の比較例においては、離型シート45を用いることによって、除去領域40と多層基板の残存領域とを分離した。しかしながら、この離型シート45を片面導体パターンフィルム21a、21b間に挿入することにより、離型シート45の厚さ分だけ、除去領域40の厚さが、除去領域40の周囲の積層体の厚さよりも厚くなってしまう場合がある。この場合、離型シート45の厚さは20μm程度に形成することができるため、その厚さの違いは僅かではあるが、加熱・加圧工程において加熱プレス板によって均一な加圧及び加熱を行なうためには、積層体の全体に渡って厚さが同じであることが好ましい。
【0075】
このように、離型シート45を積層体の一部に積層した場合であっても、積層体の厚さを全体に渡って等しくするためには、離型シート45を積層した除去領域40において、離型シート45の厚さを相殺できる分だけ、導体パターン22を取り除くことが有効である。
【0076】
上述の比較例に係わる製造方法では、片面導体パターンフィルムの樹脂フィルムにスリットを形成する際に、そのスリットの形成領域に渡って、連続的な切り込みをいれることによってスリットを形成した。しかしながら、例えばスリットの形成予定領域に沿って、樹脂フィルムに間欠的に切り込みをいれることによってスリットを形成することもできる。いずれの場合にも、スリットの形成領域における基板強度は低下するため、加熱・加圧工程により多層基板を構成した後に、僅かな応力を加えるだけで、スリットの形成領域全体に渡って多層基板にスリットを形成することができる。
【0077】
また、上記比較例において、銅箔をエッチング処理することにより導体パターンを形成するものであったが、絶縁基材への導電ペーストパターン印刷等により導体パターンを形成するものであってもよい。また、導電ペーストをパターン印刷することにより導体パターンを形成する場合には、ビアホール内への導電ペースト充填を同時に行なうものであってもよい。
【0078】
また、上記比較例において、絶縁基材である樹脂フィルムとしてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂フィルムを用いたが、これに限らず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂に非導電性フィラを充填したフィルムであってもよいし、他の材質の熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。加熱プレスにより接着が可能であり、後工程である半田付け工程等で必要な耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルムであれば好適に用いることができる。
【0079】
また、上記比較例において、層間接続材料として、銀合金の金属粒子を含有する導電ペーストを用いたが、他の金属粒子を含有する導電ペーストであってもよいし、半田ボール等の金属ボールを用いてもよい。
【0080】
さらに、上記比較例では、片面導体パターンフィルム21から多層基板を形成する実施例について説明したが、両面導体パターンフィルムを用いて多層基板を構成しても良い。例えば、複数の両面導体パターンフィルムを用意し、それらを、層間接続材料がビアホールに充填されたフィルムを介して積層しても良いし、1枚の両面導体パターンフィルムの両面にそれぞれ片面導体パターンフィルムを積層しても良い。
【0081】
(本実施形態に係わる製造方法の要部の説明)
ここで、本発明の多層プリント基板1の製造方法、特にアース接続構造部(フレキシブルプリント基板部)APの形成予定領域に沿って形成するスリット30、およびアース接続構造部APの切り出し後の形成方法について、以下、図3、図8、および図5から図7に従って説明する。なお、以下の実施形態においては、上記比較例と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0082】
本実施形態では、比較例で説明した製造工程中のワークとしての多層基板100において、除去領域40の形成予定領域の対向する2つの側面に沿って形成されるスリット30を、図8に示すように、付根部APaに相当する側を除き、形成予定領域101cの延在方向の外周に沿って形成される連続的スリット30、あるいは付根部APaに対向する外周側に形成される間欠的スリット30とする。なお、比較例では、多層基板100の領域内の上下側両方に除去領域40を設けたが、本実施形態では、図8(b)に示すように、上側のみとし、その除去領域40は多層基板100から除去されるのではなく、分離されるものである。さらになお、その形成予定領域101cはフレキ領域でもある。
【0083】
図8(a)に示される多層基板100は、比較例において説明した図5(a)から図5(g)と同様の工程により形成することが可能である。
【0084】
図8(a)において、離型シート45は、その一辺が多層基板100の端面まで達しておらず、端面から所定距離は離れた位置で終端している。さらに、多層基板100の幅方向に対しても、離型シート45は、同様に、多層基板100の端面まで達しておらず、端面から所定距離は離れた位置で終端している。この離型シート45が終端した位置において、多層基板100の表面から離型シート45に達する深さまでスリット30が形成されている。これにより、図9(a)に示す多層基板100(詳しくは、残存領域101b)から、離型シート45によって、分離領域101cが分離可能となる(図8(b)参照)。
【0085】
このようにして多層基板100が形成されると、図3で示すように、離型シート45を剥がし、分離領域40つまりフレキシブルプリント基板部APの付根部APaに、熱を加えて曲げる。これにより、多層プリント基板1から積層方向に分離可能に延出する放熱構造部APを形成することができる(図1参照)。
【0086】
なお、本実施形態では、放熱構造部APの屈曲形状を成形する方法として、熱を加えることで成形したが、可撓性を有するフレキシブルプリント基板部の特徴を利用して、単に折り曲げることによって屈曲した形状にする手法等を用いてもよい。
【0087】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0088】
第2の実施形態では、図9および図10に示すように、第1の実施形態で説明した放熱構造部APにおいて、さらに放熱構造部AP内部も積層方向に分離可能な構造とする。なお、マザーボードMBの表面側に放熱構造部APを形成するのは、第1の実施形態と同じである。図9は、本実施形態の多層プリント基板の放熱構造に係わる構成を示す斜視図である。図10は、図9の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。
【0089】
図10に示すように、多層プリント基板の製造工程において、放熱構造部(フレキシブルプリント基板部)APの領域内に積層される樹脂フィルム23のうちの内部側の隣り合う樹脂フィルム23間に、離型シート46を介在させるように配置する。これにより、放熱構造部AP内をさらに積層方向に分離させて、図9のように、放熱表面積をさらに拡大させることが可能である。したがって、多層プリント基板1の放熱構造として、第1の実施形態に比べて、さらに効率的な放熱が可能である。
【0090】
なお、この離型シート46は、上記第1の実施形態で説明した離型シート45と同じ材料を用いる。なお、このとき、離型シート46は、放熱構造部APの領域内を所望の分離領域の大きさをカバーする大きさであればよい。
【0091】
なお、放熱構造部APの領域内の隣り合う樹脂フィルム23とは、放熱構造部AP内の異なる層からなる樹脂フィルム23同士であれば、放熱構造部AP内のいずれの層の樹脂フィルム23とその層に隣り合う樹脂フィルム23であってもよい。
【0092】
さらになお、本実施形態では、図10に示すように、離型シート45と、離型シート46の間に挟まれる樹脂フィルム23には、スリット30が形成されている。離型シート45、46に挟まれる樹脂フィルム23であっても、離型シート45、46を傷つけることなく、その樹脂フィルム23に形成することが可能である。したがって、放熱構造部APの多層分離化が可能となるので、効率的な放熱面積の拡大が図れる。
【0093】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第2の実施形態で説明した内部が分離可能な放熱構造部APにおいて、マザーボードMBの表面側を2層分離化された放熱構造部APに代えて、図11および図12に示すように、マザーボードMBの内部を2層分離化された放熱構造部APとする。図11は、実施形態の多層プリント基板の放熱構造に係わる構成を示す斜視図である。図12は、図11の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。
【0094】
図11および図12に示すように、マザーボードMBは、上側の上部マザーボード部MB1と、下側の下部マザーボード部MB2からなる。放熱構造部APは、上部マザーボード部MB1と下部マザーボード部MB2の間に延在している。
【0095】
本発明の特徴とするスリット30は、図5(g)の片面導体パターンフィルム21を積層する段階で形成されるので、加熱、加圧よる成形前に形成することが可能である。詳しくは、多層化成形すなわち加熱、加圧によって基板成形する場合において、スリット30が形成される領域における基板強度は低下するため、多層化形成した後に、僅かな応力を加えるだけで、マザーボードMBの残存領域MBaから放熱構造部APを分離するスリット30が形成される。したがって、図12において、上部マザーボード部MB1と下部マザーボード部MB2に、矢印方向に引き離すように応力を加えるだけで、上部マザーボード部MB1と下部マザーボード部MB2の間に、放熱構造部APを形成することが可能である。
【0096】
これにより、多層プリント基板1に放熱構造を一体的に形成することができるとともに、多層プリント基板1の両面に素子を実装することが可能である。
【0097】
さらになお、本実施形態では、多層プリント基板1の両面(表面、裏面)に放熱構造部APを配置しないので、両面に実装する素子の高密度実装化が図れる。
【0098】
なお、上記第1、第2の実施形態において、多層プリント基板1の裏面に素子を実装し、表面の全面に複数の放熱構造部APを配置する構成で説明したが、表面の一部に放熱構造部APを配置する構成であってもよい。このとき、表面の一部を除く他部には、素子を実装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1中の放熱構造部であるフレキシブルプリント基板部を屈曲する前の多層プリント基板の状態を示す斜視図である。
【図3】図1の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態に係わる製造方法の要部を説明するための比較例の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4の比較例の製造方法を製造工程で示す工程別断面図であって、図5(a)から図5(h)は各種製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。
【図6】図4の比較例に係わる製造工程において、切り出し工程後の多層回路基板の状態を示す断面図である。
【図7】図4の比較例に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後の多層回路基板の状態を示す平面図である。
【図8】第1の実施形態に係わる製造方法の要部を製造工程で示す工程別断面図であって、図8(a)および図8(b)はそれぞれの製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。
【図9】第2の実施形態の多層プリント基板の放熱構造に係わる構成を示す斜視図である。
【図10】図9の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。
【図11】第3の実施形態の多層プリント基板の放熱構造に係わる構成を示す斜視図である。
【図12】図11の多層回路基板の放熱構造に係わる製造上の多層化構造を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 多層プリント基板
MB マザーボード部(多層プリント基板1の本体部)
MBa 残存領域
AP 放熱構造部(フレキシブルプリント基板部)
APa 付根部(終端部)
APg 端部
21、21a、21b 片面導体パターンフィルム
22 導体パターン
22g グランドパターン
23 樹脂フィルム
24 ビアホール
30 スリット
40 分離領域(除去領域)
45、46 離型シート(離型材)、離型シート(第2の離型材)
51 層間組成物(導電性組成物)
60 製品領域
70 素子
100 (製造工程中の)多層基板
101、101a、101b、101c (製造工程中の)リジッド−フレキプリント基板、リジッド基板領域、フレキ基板領域、フレキ基板領域(分離領域)

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂からなる絶縁基材と導体パターンとを交互に積層した多層プリント基板において、
    一部の領域における前記絶縁基材と前記導体パターンを、積層面に沿って分離して分離部を形成し、当該分離部を積層方向に沿って立設されるように、前記分離部の終端部にて屈曲させたことを特徴とする多層プリント基板。
  2. 前記分離部は、前記絶縁基材が樹脂フィルムから形成されており、屈曲性を有するフレキシブルプリント基板部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント基板。
  3. 熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内に前記導体パターンを積層する層数が増減可能な多層プリント基板において、
    少なくとも一部の領域から積層方向に分離して立設するように一体延出されたフレキシブルプリント基板部を備えていることを特徴とする多層プリント基板。
  4. 前記フレキシブルプリント基板部は、積層された前記導体パターンのうち、少なくとも一つの前記導体パターンは、グランドパターンに形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の多層プリント基板。
  5. 前記フレキシブルプリント基板部と、前記フレキシブルプリント基板部が積層面に沿って分離して形成された残存領域との間には、前記フレキシブルプリント基板部の付根部である終端部を除き、前記フレキシブルプリント基板部の外周を囲うように、スリットが設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の多層プリント基板。
  6. 前記フレキシブルプリント基板部と、前記残存領域との間には、離型材を介在させて、前記絶縁基材を積層するとともに、前記離型材が配置された深さまで前記スリットが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の多層プリント基板。
  7. 前記フレキシブルプリント基板部には、前記フレキシブルプリント基板部内の異なる層からなる前記絶縁基材同士の間に、第2の離型材を介在させていることを特徴とする請求項6に記載の多層プリント基板。
  8. 前記離型材と、前記第2の離型材の間に挟まれる前記絶縁基材には、前記スリットが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の多層プリント基板。
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