JP2004095660A - 受光素子及びエンコーダ - Google Patents
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Abstract
【課題】透過格子と受光格子とを一体化しつつも光学的性能と構造強度との双方を高めることの可能な構成の受光素子、及び高性能化可能な構成のエンコーダを提供することを目的とする。
【解決手段】所定波長域の光に感応する受光領域(ED)を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部(GD)と、その所定波長域の光を透過する透過領域(EV)を格子状に配置した透過格子部(G)とを、その所定波長域の光に対し透明な透明基板(11)上に設ける。透明基板(11)を使用しているので、仮に、半導体層に透過領域として開口(10a)が設けられたとしても、その構造強度は高い。また、仮に、半導体層を十分な薄さにまで薄化して透過格子部の光学的性能を高めたとしても、その構造強度は保たれる。また、この受光素子(10)を使用したエンコーダは、高性能化される。
【選択図】 図3
【解決手段】所定波長域の光に感応する受光領域(ED)を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部(GD)と、その所定波長域の光を透過する透過領域(EV)を格子状に配置した透過格子部(G)とを、その所定波長域の光に対し透明な透明基板(11)上に設ける。透明基板(11)を使用しているので、仮に、半導体層に透過領域として開口(10a)が設けられたとしても、その構造強度は高い。また、仮に、半導体層を十分な薄さにまで薄化して透過格子部の光学的性能を高めたとしても、その構造強度は保たれる。また、この受光素子(10)を使用したエンコーダは、高性能化される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3枚格子の理論に基づく光学式のエンコーダ(本明細書では、単に「エンコーダ」という。)に使用される受光素子、特に、透過格子と受光格子とを一体化した受光素子、及びそのエンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
3枚格子の理論に基づくエンコーダが提案されている。
3枚格子の理論とその変位測定への応用については、「グレーティングの像形成解析と変位計測へのITSの応用」(SPIE、第136巻、光学の計量学への応用に関する第1回欧州会議(1977)、第325−332頁)(”ANALYSIS OF GRATING IMAGING AND ITS APPLICATIONTO DISPLACEMENT METROLOGY”,SPIE Vol.136 1st European Congress on OpticsApplied to Metrology (1977), pp.325〜332)において報告されている。
【0003】
また、特開2000−321097号公報(図2、図3等)には、そのエンコーダの小型化及び位置合わせの簡略化を目的とし、エンコーダを構成する3要素(反射格子、透過格子、受光格子)のうち透過格子と受光格子とを一体化した受光素子が提案されている(なお、本明細書では、透過領域及び非透過領域を格子状に配置した光学素子を「透過格子」、受光領域及び非受光領域を格子状に配置した光学素子を「受光格子」と称している。)。
【0004】
図20は、受光格子と透過格子とを一体化した受光素子の従来例を説明する図である。図20(a)は、その受光素子の平面図、図20(b)は、図20(a)中の線分I−I’における断面図である。
受光素子100は、半導体基板上に、受光格子GDと透過格子Gの双方を半導体プロセスにて形成したものである。
【0005】
このうち、透過格子Gの形成は、次のように行われるのが一般的である。
先ず、半導体基板の一方の面の側(図20(b)では下側)からウエットエッチングを施し、透過格子Gに相当する領域の全体を薄化する。次いで、他方の面の側(図20(b)では上側)からドライエッチングを施し、透過格子Gの透過領域として開口100aを形成する。
【0006】
一般に、ドライエッチングの処理は、複数のウエハに同時に施せないことなどから手間がかかるとされているが、このようにウエットエッチングと組み合わせれば、ドライエッチングによる処理量を低減できるので、プロセス時間の増大は、抑えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体基板をたとえ透過格子Gの領域だけでも薄化すると、受光素子100の構造強度は弱くなる。
【0008】
このため、半導体プロセスの最終工程(洗浄、乾燥工程、ダイシングなどの工程)などにおいて、受光素子100は破損される危険性が高く、歩留まり低下の要因になっている。また、エンコーダに使用した際にも、何らかの方法で保護しなければ、受光素子100は破損又は故障する可能性が高い。
一方、仮に、プロセス時間の増大を許容してドライエッチングによる処理量を増やし、受光素子100の構造強度を高めたとしても、その場合は開口100aが深くなることを許容せざるを得ないので、透過格子としての光学的性能が低下する。
【0009】
なお、光学性能が低下する理由は、十分な光量の光を入射させても、開口100aが深すぎると、その開口100aの側面などにおいて乱反射する光線(迷光)が増え、透過格子Gを完全に透過できる光線が減少するからである。
そのような受光素子100を使用したエンコーダでは、光量が無駄になりノイズが増えるので、信号のS/Nが低下する。
【0010】
そこで本発明は、透過格子と受光格子とを一体化しつつも光学的性能と構造強度との双方を高めることの可能な構成の受光素子、及び高性能化可能な構成のエンコーダを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の受光素子は、所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを、その所定波長域の光に対し透明な透明基板上に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の受光素子は、請求項1に記載の受光素子において、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層に、開口を格子状に設けてなることを特徴とする。
請求項3に記載の受光素子は、請求項2に記載の受光素子において、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層又は前記透明基板上に、遮光膜を格子状に設けてなることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の受光素子は、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域の反入射側に、前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の受光素子は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の受光素子は、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域は、その入射側を前記透明基板とは反対側に向けて前記半導体層に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の受光素子は、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域は、その入射側を前記透明基板の側に向けて前記半導体層に形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の受光素子は、請求項7に記載の受光素子において、前記透明基板の前記半導体層側の面には、前記受光領域で生起した信号の読出経路の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の受光素子は、所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを有し、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層に、遮光膜を格子状に設けてなることを特徴とする。
請求項10に記載の受光素子は、請求項9に記載の受光素子において、前記受光領域の反入射側に、前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の受光素子は、請求項9又は請求項10に記載の受光素子において、前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることを特徴とする。
請求項12に記載のエンコーダは、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の受光素子と、前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載のエンコーダは、請求項9〜請求項11の何れか一項に記載の受光素子と、前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1、図2、図3、図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明の受光素子、及びそれを利用した本発明のエンコーダの実施形態である。
【0020】
図1は、本実施形態(及び後述する第2実施形態)のエンコーダの構成図である。ここでは、このエンコーダがリニアエンコーダであるとして説明する(なお、本発明は、回転量を検出するロータリーエンコーダ、移動量を検出するリニアエンコーダの何れにも適用可能である。)。
本実施形態のエンコーダには、受光素子10、反射格子(リニアスケール)103、光源104、回路部105などが備えられる。受光素子10は、透過格子と受光格子とを一体化したものである。
【0021】
反射格子103は、移動量を検出するべき方向B1(図1では、上下方向)に移動可能に構成されている。受光素子10は、その反射格子103から反射された光を受けて信号を出力する。
また、回路部105は、受光素子10及び光源104を駆動制御すると共に、受光素子10から出力される信号を処理し、受光素子10の移動量を示す信号に変換する。
【0022】
図2は、本実施形態の受光素子10の平面図である。
受光素子10は、受光格子GDと透過格子Gとを有する。受光格子GDは、受光領域ED及び非受光領域(符号無し)を格子状に配置し、透過格子Gは、透過領域EV及び非透過領域EOを格子状に配置している。両者の格子の方向は一致しており、前記した反射格子103の移動方向B1は、各単位格子の長手方向に交差する方向である。
【0023】
なお、受光格子GDと透過格子Gとの配置関係については、図2に示すもの(重複せずに並べたもの)に限らず、例えば、両者を重複させて、受光格子GDの非受光領域を透過格子Gの透過領域EVとし、受光格子GDの受光領域EDを、透過格子Gの非透過領域EOとすることもできる(特開2000−321097号公報等を参照。)。
【0024】
図3は、図2中の線分II−II’における断面図である。なお、断面の横方向の各位置の長さについては、描画スペースの都合上、適宜拡縮してある。また、図2中、線分II−II’は、透過格子Gの非透過領域EOを横切っていないが、受光格子GDと透過格子Gとの間隙の断面がその非透過領域EOと同じ断面をしているので、図3では、その間隙に、非透過領域EOの符号「EO」を付与し、その間隙と透過領域EVとからなる領域に、透過格子の符号「G」を付与した。
【0025】
さて、本実施形態の受光素子10の特徴は、受光格子GDと透過格子Gとを、透明基板11上に形成した点にある。
ここで、透明基板11は、例えば光学ガラス基板など、光源104(図1参照)の出射光に対し十分な透過率を有すると共に、受光素子10の強度を高めるべく十分な強度を有した基板である。
【0026】
受光格子GDの受光領域EDは、透明基板11上に形成された半導体層12に、受光部13を設けてなる(エンコーダの光源104の波長は、この受光部13において検出可能な波長である。)。
なお、半導体層12には、その他、受光部13にて生成した信号を外部へ読み出すため回路なども形成される(後述)。
【0027】
一方、透過格子Gの透過領域EVは、その半導体層12に開口10aを設けてなる。また、透過格子Gの非透過領域EOは、開口10aの設けられていない領域からなる。
この受光素子10は、エンコーダへの適用時、透明基板11の側を光源104に向け、半導体層12の側を反射格子103に向けて配置される。
【0028】
エンコーダの光源104(図1参照)からこの受光素子10に投光された光は、透明基板11に入射した後、透過格子Gの透過領域EVを透過し、反射格子103(図1参照)に入射する。反射格子103(図1参照)にて反射して戻った光は、受光格子GDの受光領域EDに入射して信号電荷に変換される。
以上、本実施形態の受光素子10は、透過格子Gと受光格子GDとを共通の透明基板11上に形成しているので、受光格子GDの形成される半導体層12に対し開口10aが設けられているにも拘わらず、その構造強度は高い。
【0029】
また、仮に、半導体層12を十分な薄さにまで薄化して透過格子Gの光学的性能を高めたとしても、その構造強度は保たれる。
また、このような受光素子10を使用したことにより、本実施形態のエンコーダ(図1参照)は、光学的性能、構造強度の双方の点で高性能化される。
なお、本実施形態の受光素子10においては、受光領域EDへの入射光路及び/又は、透過格子Gの透過領域EVへの入射光路に相当する媒質界面に、必要な光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図3では下面)に、反射防止膜(不図示)が形成されていることが好ましい。
【0030】
また、反射防止膜を、射出経路側にも形成すれば、射出側の界面で反射して基板側に戻る光が低減されるので、さらに好ましい。
また、本実施形態の受光素子10においては、受光部13に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図3では下面)において、透過領域EV以外の領域に、遮光膜40a(点線部)が形成されていることが好ましい。
【0031】
(製造方法)
本実施形態の受光素子10の製造方法は、例えば、以下のとおりである。
図4は、本実施形態の受光素子10の製造方法を示す断面図(図3と同じ箇所の断面図)である。
先ず、上記した透明基板11上に、N型単結晶シリコンなどの半導体層12(以下、N型単結晶シリコンとする。)を形成する(図4(a))。
【0032】
次に、その半導体層12上において、受光格子GDの受光領域ED(受光部13)の形成されるべき領域に対し、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層13’を形成する。また、電位をとるための層として、半導体層12と同じ導電型(N型)の不純物拡散層14を適切な箇所に形成する(図4(b))。
【0033】
なお、不純物拡散層13’、14の形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術によりレジストをパターニングした後、イオン注入装置によりそれぞれの導電型の不純物を注入し、熱拡散などによりそれら不純物を活性化すればよい。なお、図4において符号15は、半導体層12の表面を酸化して形成する酸化膜(シリコン酸化膜)である。
【0034】
次に、不純物拡散層13’、不純物拡散層14と外部との電気的な接続をとるため、酸化膜15に対しコンタクトホールを形成し、さらに金属配線16を形成する。さらに、その上に、絶縁膜17を形成する(図4(c))。
なお、コンタクトホールの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0035】
また、金属配線16の形成は、蒸着装置やスパッタリング装置などで金属を成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。また、絶縁膜17の形成は、気相成長法などにより行われる。
【0036】
次に、絶縁膜17の側から、透過格子Gの透過領域EVの形成されるべき領域における、絶縁膜17、酸化膜15、及び半導体層12に対し、開口10aを形成する(図4(d))。
なお、開口10aの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0037】
また、必要に応じて、透明基板11の半導体層12とは反対の面のうち、透過領域EV以外の領域に、遮光膜40a(点線部)を形成する。
なお、遮光膜40aの形成は、金属薄膜などをスパッタリング法や蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。
【0038】
[第2実施形態]
図1、図5、図6、図7を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明の受光素子、及びそれを利用した本発明のエンコーダの実施形態である。なお、ここでは、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0039】
図1に示すように、本実施形態のエンコーダでは、第1実施形態のエンコーダにおいて、受光素子10に代えて本実施形態の受光素子20が使用される。また、本実施形態のエンコーダに使用される光源204の波長は、その受光素子20に適応するよう設定されている(後述)。
図5は、本実施形態の受光素子20の平面図である。
【0040】
本実施形態の受光素子20は、第1実施形態の受光素子10と透過格子Gの部分において異なる。
図6は、図5中の線分III−III’における断面図である。なお、断面の横方向の各位置の長さについては、描画スペースの都合上、適宜拡縮してある。また、図5中、線分III−III’は、透過格子Gの非透過領域EOを横切っていないが、受光格子GDと透過格子Gとの間隙の断面がその非透過領域EOと同じ断面をしているので、図6では、その間隙に、非透過領域EOの符号「EO」を付与し、その間隙と透過領域EVとからなる領域に、透過格子の符号「G」を付与した。
【0041】
本実施形態の透過格子Gの非透過領域EOは、半導体層12上に(例えば、半導体層12上の金属配線16と同一層に)遮光膜20aを設けてなる。また、透過格子Gの透過領域EVは、半導体層12上に遮光膜20aの設けられていない領域からなる。
なお、図5に示すように、遮光膜20aは、透過格子Gと受光格子GDとの間隙にも形成される(因みにこれは、受光格子GDへの迷光の浸入を防ぐためである。)。
【0042】
さらに、本実施形態のエンコーダの光源204(図1参照)の波長は、この受光素子20の透過領域EVを透過可能であり、かつ、受光素子20の非透過領域EOを透過せず、かつ、受光領域EDの受光部13において検出可能であるような光の波長に設定される。
例えば、半導体層12、透明基板11などに対し、上述した各材料が使用されるのであれば、光源204の波長は、例えば、近赤外域の波長に設定するとよい。
【0043】
このように、開口を設ける代わりに遮光膜20aを利用すれば、光源波長の最適化が必要となるものの、半導体層12の厚さを保つことができるので、第1実施形態の受光素子10よりもさらに受光素子20の構造強度は高まる。
また、本実施形態の受光素子20については、半導体層12に開口を設けないので、透明基板11を省略することも可能である。その場合、第1実施形態の受光素子10と比較すると構造強度が弱まるものの、開口を設けていない分だけ、少なくとも従来の受光素子100(図20参照)よりは、構造強度を高くすることができる。
【0044】
なお、本実施形態の受光素子20においても、迷光を抑えるための遮光膜40a(点線部)を形成してもよい。
また、本実施形態の受光素子20においては、その遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
(製造方法)
本実施形態の受光素子20の製造方法と第1実施形態の受光素子10の製造方法(図4参照)との相違点は、以下のとおりである。
【0045】
図7は、本実施形態の受光素子20の製造方法を示す断面図(図6と同じ箇所の断面図)である。
本実施形態の製造方法では、開口(図4(d)参照)を形成する代わりに、遮光膜20aを形成する。
遮光膜20aの機能は、金属配線16と同じ材料で得られるので、金属配線16を形成する工程において、その金属配線16と同時に遮光膜20aを形成するとよい(図7(c))。
【0046】
なお、本実施形態の製造方法においても、必要に応じて遮光膜40aを形成する。
また、その遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
[第3実施形態]
図8を参照して本発明の第3実施形態について説明する。
【0047】
本実施形態は、第1実施形態の受光素子10及び第2実施形態の受光素子20の変形例である。なお、ここでは、第1実施形態の受光素子10又は第2実施形態の受光素子20との相違点についてのみ説明する。
図8は、本実施形態の受光素子30,30’を示す図である。
【0048】
図8(a)に示す受光素子30は、第1実施形態の受光素子10の変形例であり、図8(b)に示す受光素子30’は、第2実施形態の受光素子20の変形例である(図8(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
図8(a)に示すように、本実施形態の受光素子30は、受光素子10の半導体層(以下、N型とする。)12において、受光部13の反入射側の領域(例えば、半導体層12の最も透明基板11寄り)に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30a(請求項における吸収層に対応する。)を形成したものである。
【0049】
この不純物拡散層30aは、迷光を吸収し、受光部13への迷光の浸入を防ぐ光学膜としての機能を有する。
また、その半導体層12には、不純物拡散層30aが迷光を吸収することで発生した電荷(ノイズ)を外部へ放出するための放出用経路30b(後述)も形成されている。
【0050】
なお、迷光吸収の機能を高めるため、不純物拡散層30aの形成領域は、受光部13の反入射側の領域だけでなく、受光格子GDの全域、及び透過格子Gの非透過領域EO、受光格子GDと透過格子Gとの間隙などにまで、十分に拡大されることが好ましい(但し、透過領域EVについては、光を透過させる必要があるため、不純物拡散層30aを形成しない。)。
【0051】
一方、図8(b)に示すように、本実施形態の受光素子30’は、受光素子20の半導体層(以下、N型とする。)12において、受光部13の反入射側の領域(例えば、半導体層12の最も透明基板11寄り)に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30a(請求項における吸収層に対応する。)を形成したものである。
【0052】
また、その半導体層12には、不純物拡散層30aが迷光を吸収することで発生した電荷(ノイズ)を外部へ放出するための放出用経路30b(後述)も形成されている。
なお、迷光吸収の機能を高めるため、不純物拡散層30aの形成領域は、受光部13の反入射側の領域だけでなく、受光格子GDの全域、及び透過格子Gの非透過領域EO、受光格子GDと透過格子Gとの間隙などにまで、十分に拡大されることが好ましい(但し、透過領域EVについては、光を透過させる必要があるため、不純物拡散層30aを形成しない。)。
【0053】
また、本実施形態の受光素子30’においては、不純物拡散層30aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
このような受光素子30、30’は、迷光の影響を極めて小さく抑えられるので、光学的性能が高い。よって、この受光素子30,30’によれば、エンコーダの性能を、さらに高めることができる。
【0054】
(製造方法)
本実施形態の受光素子30’の製造方法は、例えば、以下のとおりである(なお、受光素子30の製造方法は、以下の製造方法に、第1実施形態の受光素子10の製造方法を適用すればよいだけなので、説明を省略する。)。
図9、図10は、本実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【0055】
先ず、N型単結晶シリコンなどの半導体基板12’上に(以下、N型単結晶シリコンとする。)、放出用経路30bの一部として、その半導体基板12’とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30b−1を形成する(図9(a))。
さらに、半導体基板12’上に、半導体基板12’とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30aを形成する(図9(b))。
【0056】
なお、不純物拡散層30b−1、不純物拡散層30aの形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術によりレジストをそれぞれ適当なパターンにパターニングした後、イオン注入装置により不純物を注入し、熱拡散などによりその不純物を活性化すればよい。
さらに、透明基板11を用意すると共に、半導体基板12’のうち不純物拡散層30aの形成された側の面と、透明基板11の表面とを接合する(図9(c))。
【0057】
なお、両者の接合には、例えば、次の3つの方法の何れかが適用できる。第1に、陽極接合法である。第2に、高温の酸素雰囲気や高温水蒸気雰囲気中での直接接合である。第3に、希フッ酸などの酸により両者の接合面の少なくとも一方を溶解してから、両者の接合面を接触させる方法である。接合に際しては、適当な圧力で両者を加圧することが望ましい。
【0058】
次に、必要に応じて半導体基板12’を薄化し、十分な光学的性能を得るために適当な厚さの半導体層12を形成する(図9(d))。
なお、薄化には、例えば、グラインダー装置や研磨装置を使用することができる。
さらに、半導体層12の表面に、酸化膜(シリコン酸化膜)15を形成する(図10(e))。
【0059】
なお、酸化膜15の形成は、半導体層12の表面に熱酸化法を施すことなどして行われる。
さらに、第2実施形態の図7(b)の工程と同様に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、半導体層12と同じ導電型(N型)の不純物拡散層14(電位をとるための層)を形成する。
【0060】
その際、放出用経路30bの一部として、不純物拡散層30b−1に連続する不純物拡散層30b−2(P型)を形成する(図10(f))。
さらに、第2実施形態の図7(c)の工程と同様に、不純物拡散層層13’、不純物拡散層14と外部との電気的な接続をとるため、コンタクトホール及び金属配線16を形成する。
【0061】
その際、放出用経路30bの一部として、不純物拡散層30b−2と外部との電気的な接続をとるためのコンタクトホール及び金属配線30b−3についても、同時に形成する(図10(g))。
さらに、第2実施形態の図7(d)の工程と同様に、絶縁膜17を形成する(図10(h))。
【0062】
なお、本実施形態の製造方法においては、不純物拡散層30aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
[各実施形態の補足]
なお、上記各実施形態で説明した受光素子10,20,30,30’については、エンコーダに搭載される際に、図11に示すようなプリント基板などの基板P上に実装されてもよい(なお、各受光素子は、透明基板11の側の面を基板Pに当接させている)。
【0063】
この基板Pには、受光素子10,20,30,30’の透過格子Gに対向する領域(少なくとも透過領域EVに対向する領域)に、開口Paが設けられ、透過領域EVに入射すべき光が妨げられないようになっている。
また、各実施形態で説明した受光素子10,20,30,30’については、図12示すように、自発光式の受光素子に変形することもできる。
【0064】
この自発光式の受光素子は、プリント基板などの基板P’の上に形成される(なお、各受光素子は、透明基板11の側の面を基板P’に当接させている。)。
この基板P’において、透過領域EVに対向する領域には、発光ダイオードなどの光源50aが実装されている。
【0065】
基板P’に実装されるこの光源50aの発光面は、透過領域EVと同形状、つまり格子状である。
また、光源50aの波長は、各実施形態のエンコーダの光源波長と同じに設定される。)。
なお、この光源50aの一部又は全部は、複数の微小光源を並べたものであってもよい。
【0066】
一方、図12に示すように、自発光式の受光素子の透明基板11の透過領域EVには、開口が設けられる。よって、基板P’上に受光素子を実装した状態では、その開口に光源50aが収まる。
このような自発光式の受光素子によれば、エンコーダを構成する際に、光源104、204(図1参照)が不要となるので、エンコーダの部品点数が抑えられ、エンコーダの位置合わせが容易化する。
【0067】
ところで、上記各実施形態の各受光素子は、何れも、透明基板11を光源104の側に向けて使用するタイプの受光素子であったが、透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプの受光素子も実現可能である。
以下の各実施形態では、透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプの幾つかの受光素子について説明する。
【0068】
[第4実施形態]
図13、図14を参照して本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態は、第2実施形態の受光素子20の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)である。なお、ここでは、第2実施形態の受光素子20との相違点についてのみ説明する。
【0069】
図13は、本実施形態の受光素子60の使用時の配置方向を示す図である。図13に示すように、透明基板11が反射格子103側に向いている。
図14は、本実施形態の受光素子60を示す図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【0070】
図14に示すように、本実施形態の受光素子60は、受光素子20とは反対方向から光を入射させて使用するために、絶縁膜17の表面のうち、透過領域EV以外の領域に、金属薄膜などからなる遮光膜60aが設けられる。
なお、図示省略したが、遮光膜60aには、適当な領域(例えば、透過格子G、受光格子GDの外側の領域)に、外部への信号取り出し用の開口が形成されている。
【0071】
図13に示す配置関係で、エンコーダの光源からこの受光素子60に投光された光は、透過領域EVの半導体層12を進行して透明基板11を透過し、反射格子103(図13参照)に入射する。反射格子103(図13参照)にて反射して戻った光は、透明基板11を透過してから半導体層12を進行し、受光領域EDの受光部13に入射する。
【0072】
因みに、本実施形態の受光素子60(受光素子60の受光領域ED)のように、半導体層12内を進行した後の光を受光する受光素子は、「背面入射型(裏面入射型)」などと呼ばれる。
ここで、受光素子60は、エンコーダとして使用されるとき、移動中の反射格子103と接触する可能性がある。反射格子103の平面度にはばらつきが生じているからである。
【0073】
しかし、本実施形態の受光素子60は、反射格子103側に透明基板11を向けているので、たとえ接触したとしても、その接触箇所は、半導体層12ではなく透明基板11である。一般に、透明基板11の損傷は、半導体層12の損傷と比較すると、受光素子60の光学的性能に影響し難い。
したがって、本実施形態の受光素子60の故障する危険性は低く抑えられる。
【0074】
また、このように、構造強度を向上させるための透明基板11が半導体層12の保護のためにも用いられれば、仮に、プリント基板などの別の基板を併用しなかったとしても、受光素子60の強度は、一定量確保される。
なお、本実施形態の受光素子60においては、受光領域EDへの入射光路及び/又は、透過格子Gの透過領域EVへの入射光路に相当する媒質界面に、必要な光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図14では上面)に、反射防止膜(不図示)が形成されていることが好ましい。
【0075】
また、本実施形態の受光素子60においては、遮光膜60aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
また、本実施形態の表示装置60においては、透過領域EVの半導体層12,酸化膜15,絶縁膜17に開口を設け、第1実施形態の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)とすることもできる。
【0076】
[第5実施形態]
図15、図16を参照して本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態の受光素子10の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)、及び第2実施形態の受光素子20の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)である。
【0077】
図15は、本実施形態の受光素子70,70’を示す図である。
図15(a)に示す受光素子70は、第1実施形態の受光素子10の変形例であり、図15(b)に示す受光素子70’は、第2実施形態の受光素子20の変形例である(図15(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【0078】
本実施形態の受光素子70,70’は、受光素子10,20の半導体層12〜絶縁膜17からなる層を、それら受光素子10,20とは反対向きにして透明基板11上に接合したものである。
絶縁膜17と透明基板11とを接合するために、接着剤70aが使用される。この接着剤70aは、少なくとも、接着後、エンコーダの光源から投光される光に対し透明な性質を有する。
【0079】
また、受光部13にて生成した信号を外部へ読み出す読出用回路の一部として、接合面には、バンプ70b、金属配線70cなども形成される(後述)。
また、半導体層12の反接合面において、透過領域EV以外の領域には、金属薄膜などからなる遮光膜40aが設けられる。
なお、本実施形態の受光素子70’においては、遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
【0080】
(製造方法)
本実施形態の受光素子70’の製造方法は、例えば、以下のとおりである(なお、受光素子70の製造方法は、以下の製造方法に、第1実施形態の受光素子10の製造方法を適用すればよいだけなので、説明を省略する。)。
図16は、本実施形態の受光素子70’の製造方法を示す断面図(図15(b)と同じ箇所の断面図)である。
【0081】
先ず、N型単結晶シリコンなどの半導体基板12’上に、第2実施形態の図7(b)(c)(d)の工程と同様、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14,酸化膜15、金属配線16、絶縁膜17、遮光膜20a等を形成する(図16(a))。
次に、外部との電気的な接続をとるため、絶縁膜17のうち必要な箇所(不純物拡散層14上の金属配線16に対向する領域)に開口部70eを形成する(図16(b))。
【0082】
なお、この開口部70eの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
次に、半導体基板12’の裏面(絶縁膜17とは反対面)側の透過領域EV以外の領域に、遮光膜40aを形成する(図16(c))。
なお、遮光膜40aの形成は、金属薄膜などをスパッタリング法や蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。
【0083】
一方、透明基板11を用意すると共に、読出用回路の一部として、その透明基板11上に、金属配線70cを形成する。
そして、開口部70eに導電性の樹脂などでバンプ70bを形成してから、半導体基板12’のバンプ70b側と、透明基板11の金属配線70c側とを接着剤70aで接合する(図16(d))。
【0084】
さらに、読出用回路の一部として、金属配線70cにリード線70d(金線など)が接続される(図16(e))。
なお、本実施形態の製造方法においては、遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
【0085】
[第6実施形態]
図17、図18、図19を参照して本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態は、第5実施形態の受光素子70の変形例(自発光式の受光素子に変形したもの)である。
図17は、本実施形態の受光素子80,80’を示す図である。なお、受光素子80’は、受光素子80のさらなる変形例である。
【0086】
図17(a)に示すように、受光素子80には、半導体層12の透過領域EVに、発光ダイオードなどの光源80aが、その発光面を透明基板11側に向けて形成されている。
【0087】
半導体層12に形成されるこの光源80aの発光面は、透過領域EVと同形状、つまり格子状である(光源80aの波長は、透明基板11、絶縁膜17、接着剤70aを透過可能であり、かつ、受光領域EDの受光部13において検出可能な波長である。)。
光源80aが形成されるのは、例えば、半導体層12に形成された酸化膜15上である(絶縁膜17は、透過領域EV以外の領域に形成される。)。
【0088】
また、図17(b)に示すように、受光素子80’は、透過領域EVの半導体層12〜絶縁膜17の層に対し、絶縁膜17の側から凹部80bを形成し、前記光源80aをその凹部80b内に形成したものである。そして、凹部80bの側面及び底面には、金属膜などの反射膜80cが形成される。
この反射膜80cによれば、光源80aの発する光を無駄なく反射格子103の側に射出させることができる。また、透過領域EVと非透過領域EOとの境界を際立たせることができる。
【0089】
(製造方法)
本実施形態の受光素子80の製造方法は、以下のとおりである。
図18は、本実施形態の受光素子80の製造方法を示す断面図(図17(a)と同じ箇所の断面図)である。
先ず、図16(a)(b)の工程と同様に、半導体基板12’上に、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14、金属配線16、絶縁膜17、開口部70eを形成する。但し、非透過領域EOに遮光膜20aを形成する代わりに、透過領域EVに光源80aを形成する(図18(a))。
【0090】
なお、光源80aの形成は、例えば、特開2000−91619号公報、特開2002−100799号公報などに記載された技術により行うことができる。
次に、図16(d)の工程と同様に、この半導体基板12’と透明基板11とを接着剤70aで接合する。その際、必要な箇所に、バンプ70b、金属配線70cを形成する。また、接合後、金属配線70cにリード線70dを接続する(図18(b)(c))。
【0091】
また、本実施形態の受光素子80’の製造方法は、以下のとおりである。
図19は、本実施形態の受光素子80’の製造方法を示す断面図(図17(b)と同じ箇所の断面図)である。
先ず、図16(a)の工程と同様に、半導体基板12’上に、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14、金属配線16、絶縁膜17を形成する(図19(a))。
【0092】
次に、絶縁膜17側から、凹部80b(光源80aを形成すべき凹部)を、形成する。さらに、その凹部80bの側面及び底面に、反射膜80cを形成する(図19(b))。
なお、凹部80bの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0093】
また、反射膜80cの形成は、金属膜をスパッタリング法や蒸着法などで形成した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などでパターニングすることで行われる。
次に、図16(b)と同様に開口部70eを形成した後、凹部80bに光源80aを配置する(図19(c))。
【0094】
次に、図16(d)の工程と同様に、この半導体基板12’と透明基板11とを接着剤70aで接合する。その際、必要な箇所に、バンプ70b、金属配線70cを形成する。また、接合後、金属配線70cにリード線70dを接続する(図19(d)(e))。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過格子と受光格子とを一体化しつつも光学的性能と構造強度との双方を高めることの可能な構成の受光素子、及び高性能化可能な構成のエンコーダが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態及び第2実施形態のエンコーダの構成図である。
【図2】第1実施形態の受光素子10の平面図である。
【図3】図2中の線分II−II’における断面図である。
【図4】第2実施形態の受光素子10の製造方法を示す断面図(図3と同じ箇所の断面図)である。
【図5】第2実施形態の受光素子20の平面図である。
【図6】図5中の線分III−III’における断面図である。
【図7】第2実施形態の受光素子20の製造方法を示す断面図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【図8】第3実施形態の受光素子30,30’を示す図である。
(a)は、第1実施形態の受光素子10の変形例(受光素子30)を示す図であり、図8(b)は、第2実施形態の受光素子20の変形例(受光素子30’)を示す図である(図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【図9】第3実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【図10】第3実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【図11】第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の補足説明をする図である。
【図12】第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の別の補足説明をする図である。
【図13】第4実施形態の受光素子60の使用時の配置方向を示す図である。図
【図14】第4実施形態の受光素子60を示す図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【図15】第5実施形態の受光素子70,70’を示す図である。
(a)は、第1実施形態の受光素子10の変形例(受光素子70)を示す図であり、(b)は、第2実施形態の受光素子20の変形例(受光素子70’)を示す図である(図15(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【図16】第5実施形態の受光素子70’の製造方法を示す断面図(図15(b)と同じ箇所の断面図)である。
【図17】第6実施形態の受光素子80,80’を示す図である。
【図18】第6実施形態の受光素子80の製造方法を示す断面図(図17(a)と同じ箇所の断面図)である。
【図19】第6実施形態の受光素子80’の製造方法を示す断面図(図17(b)と同じ箇所の断面図)である。
【図20】受光格子と透過格子とを一体化した受光素子の従来例を説明する図である。図20(a)は、受光素子の平面図、図20(b)は、図20(a)中の線分I−I’における断面図である。
【符号の説明】
10,20,30,60,70,70’,80,80’,100 受光素子
10a,Pa,P’ 開口
11 透明基板
12 半導体層
12’ 半導体基板
13 受光部
13’,14,30a,30b−1,30b−2 不純物拡散層
15 酸化膜
16,30b−3,70c 金属配線
17 絶縁膜
20a,40a,60a 遮光膜
70a 接着剤
70b バンプ
70d リード線
30b 放出経路
P 基板
50a,104,80a 光源
80b 凹部
80c 反射膜
103 反射格子
105 回路部
204 光源
EV 透過領域
EO 非透過領域
G 透過格子
GD 受光格子
ED 受光領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、3枚格子の理論に基づく光学式のエンコーダ(本明細書では、単に「エンコーダ」という。)に使用される受光素子、特に、透過格子と受光格子とを一体化した受光素子、及びそのエンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
3枚格子の理論に基づくエンコーダが提案されている。
3枚格子の理論とその変位測定への応用については、「グレーティングの像形成解析と変位計測へのITSの応用」(SPIE、第136巻、光学の計量学への応用に関する第1回欧州会議(1977)、第325−332頁)(”ANALYSIS OF GRATING IMAGING AND ITS APPLICATIONTO DISPLACEMENT METROLOGY”,SPIE Vol.136 1st European Congress on OpticsApplied to Metrology (1977), pp.325〜332)において報告されている。
【0003】
また、特開2000−321097号公報(図2、図3等)には、そのエンコーダの小型化及び位置合わせの簡略化を目的とし、エンコーダを構成する3要素(反射格子、透過格子、受光格子)のうち透過格子と受光格子とを一体化した受光素子が提案されている(なお、本明細書では、透過領域及び非透過領域を格子状に配置した光学素子を「透過格子」、受光領域及び非受光領域を格子状に配置した光学素子を「受光格子」と称している。)。
【0004】
図20は、受光格子と透過格子とを一体化した受光素子の従来例を説明する図である。図20(a)は、その受光素子の平面図、図20(b)は、図20(a)中の線分I−I’における断面図である。
受光素子100は、半導体基板上に、受光格子GDと透過格子Gの双方を半導体プロセスにて形成したものである。
【0005】
このうち、透過格子Gの形成は、次のように行われるのが一般的である。
先ず、半導体基板の一方の面の側(図20(b)では下側)からウエットエッチングを施し、透過格子Gに相当する領域の全体を薄化する。次いで、他方の面の側(図20(b)では上側)からドライエッチングを施し、透過格子Gの透過領域として開口100aを形成する。
【0006】
一般に、ドライエッチングの処理は、複数のウエハに同時に施せないことなどから手間がかかるとされているが、このようにウエットエッチングと組み合わせれば、ドライエッチングによる処理量を低減できるので、プロセス時間の増大は、抑えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体基板をたとえ透過格子Gの領域だけでも薄化すると、受光素子100の構造強度は弱くなる。
【0008】
このため、半導体プロセスの最終工程(洗浄、乾燥工程、ダイシングなどの工程)などにおいて、受光素子100は破損される危険性が高く、歩留まり低下の要因になっている。また、エンコーダに使用した際にも、何らかの方法で保護しなければ、受光素子100は破損又は故障する可能性が高い。
一方、仮に、プロセス時間の増大を許容してドライエッチングによる処理量を増やし、受光素子100の構造強度を高めたとしても、その場合は開口100aが深くなることを許容せざるを得ないので、透過格子としての光学的性能が低下する。
【0009】
なお、光学性能が低下する理由は、十分な光量の光を入射させても、開口100aが深すぎると、その開口100aの側面などにおいて乱反射する光線(迷光)が増え、透過格子Gを完全に透過できる光線が減少するからである。
そのような受光素子100を使用したエンコーダでは、光量が無駄になりノイズが増えるので、信号のS/Nが低下する。
【0010】
そこで本発明は、透過格子と受光格子とを一体化しつつも光学的性能と構造強度との双方を高めることの可能な構成の受光素子、及び高性能化可能な構成のエンコーダを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の受光素子は、所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを、その所定波長域の光に対し透明な透明基板上に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の受光素子は、請求項1に記載の受光素子において、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層に、開口を格子状に設けてなることを特徴とする。
請求項3に記載の受光素子は、請求項2に記載の受光素子において、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層又は前記透明基板上に、遮光膜を格子状に設けてなることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の受光素子は、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域の反入射側に、前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の受光素子は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の受光素子は、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域は、その入射側を前記透明基板とは反対側に向けて前記半導体層に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の受光素子は、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、前記受光領域は、その入射側を前記透明基板の側に向けて前記半導体層に形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の受光素子は、請求項7に記載の受光素子において、前記透明基板の前記半導体層側の面には、前記受光領域で生起した信号の読出経路の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の受光素子は、所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを有し、前記透過格子部は、前記受光格子部と同一の前記半導体層に、遮光膜を格子状に設けてなることを特徴とする。
請求項10に記載の受光素子は、請求項9に記載の受光素子において、前記受光領域の反入射側に、前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の受光素子は、請求項9又は請求項10に記載の受光素子において、前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることを特徴とする。
請求項12に記載のエンコーダは、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の受光素子と、前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載のエンコーダは、請求項9〜請求項11の何れか一項に記載の受光素子と、前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1、図2、図3、図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明の受光素子、及びそれを利用した本発明のエンコーダの実施形態である。
【0020】
図1は、本実施形態(及び後述する第2実施形態)のエンコーダの構成図である。ここでは、このエンコーダがリニアエンコーダであるとして説明する(なお、本発明は、回転量を検出するロータリーエンコーダ、移動量を検出するリニアエンコーダの何れにも適用可能である。)。
本実施形態のエンコーダには、受光素子10、反射格子(リニアスケール)103、光源104、回路部105などが備えられる。受光素子10は、透過格子と受光格子とを一体化したものである。
【0021】
反射格子103は、移動量を検出するべき方向B1(図1では、上下方向)に移動可能に構成されている。受光素子10は、その反射格子103から反射された光を受けて信号を出力する。
また、回路部105は、受光素子10及び光源104を駆動制御すると共に、受光素子10から出力される信号を処理し、受光素子10の移動量を示す信号に変換する。
【0022】
図2は、本実施形態の受光素子10の平面図である。
受光素子10は、受光格子GDと透過格子Gとを有する。受光格子GDは、受光領域ED及び非受光領域(符号無し)を格子状に配置し、透過格子Gは、透過領域EV及び非透過領域EOを格子状に配置している。両者の格子の方向は一致しており、前記した反射格子103の移動方向B1は、各単位格子の長手方向に交差する方向である。
【0023】
なお、受光格子GDと透過格子Gとの配置関係については、図2に示すもの(重複せずに並べたもの)に限らず、例えば、両者を重複させて、受光格子GDの非受光領域を透過格子Gの透過領域EVとし、受光格子GDの受光領域EDを、透過格子Gの非透過領域EOとすることもできる(特開2000−321097号公報等を参照。)。
【0024】
図3は、図2中の線分II−II’における断面図である。なお、断面の横方向の各位置の長さについては、描画スペースの都合上、適宜拡縮してある。また、図2中、線分II−II’は、透過格子Gの非透過領域EOを横切っていないが、受光格子GDと透過格子Gとの間隙の断面がその非透過領域EOと同じ断面をしているので、図3では、その間隙に、非透過領域EOの符号「EO」を付与し、その間隙と透過領域EVとからなる領域に、透過格子の符号「G」を付与した。
【0025】
さて、本実施形態の受光素子10の特徴は、受光格子GDと透過格子Gとを、透明基板11上に形成した点にある。
ここで、透明基板11は、例えば光学ガラス基板など、光源104(図1参照)の出射光に対し十分な透過率を有すると共に、受光素子10の強度を高めるべく十分な強度を有した基板である。
【0026】
受光格子GDの受光領域EDは、透明基板11上に形成された半導体層12に、受光部13を設けてなる(エンコーダの光源104の波長は、この受光部13において検出可能な波長である。)。
なお、半導体層12には、その他、受光部13にて生成した信号を外部へ読み出すため回路なども形成される(後述)。
【0027】
一方、透過格子Gの透過領域EVは、その半導体層12に開口10aを設けてなる。また、透過格子Gの非透過領域EOは、開口10aの設けられていない領域からなる。
この受光素子10は、エンコーダへの適用時、透明基板11の側を光源104に向け、半導体層12の側を反射格子103に向けて配置される。
【0028】
エンコーダの光源104(図1参照)からこの受光素子10に投光された光は、透明基板11に入射した後、透過格子Gの透過領域EVを透過し、反射格子103(図1参照)に入射する。反射格子103(図1参照)にて反射して戻った光は、受光格子GDの受光領域EDに入射して信号電荷に変換される。
以上、本実施形態の受光素子10は、透過格子Gと受光格子GDとを共通の透明基板11上に形成しているので、受光格子GDの形成される半導体層12に対し開口10aが設けられているにも拘わらず、その構造強度は高い。
【0029】
また、仮に、半導体層12を十分な薄さにまで薄化して透過格子Gの光学的性能を高めたとしても、その構造強度は保たれる。
また、このような受光素子10を使用したことにより、本実施形態のエンコーダ(図1参照)は、光学的性能、構造強度の双方の点で高性能化される。
なお、本実施形態の受光素子10においては、受光領域EDへの入射光路及び/又は、透過格子Gの透過領域EVへの入射光路に相当する媒質界面に、必要な光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図3では下面)に、反射防止膜(不図示)が形成されていることが好ましい。
【0030】
また、反射防止膜を、射出経路側にも形成すれば、射出側の界面で反射して基板側に戻る光が低減されるので、さらに好ましい。
また、本実施形態の受光素子10においては、受光部13に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図3では下面)において、透過領域EV以外の領域に、遮光膜40a(点線部)が形成されていることが好ましい。
【0031】
(製造方法)
本実施形態の受光素子10の製造方法は、例えば、以下のとおりである。
図4は、本実施形態の受光素子10の製造方法を示す断面図(図3と同じ箇所の断面図)である。
先ず、上記した透明基板11上に、N型単結晶シリコンなどの半導体層12(以下、N型単結晶シリコンとする。)を形成する(図4(a))。
【0032】
次に、その半導体層12上において、受光格子GDの受光領域ED(受光部13)の形成されるべき領域に対し、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層13’を形成する。また、電位をとるための層として、半導体層12と同じ導電型(N型)の不純物拡散層14を適切な箇所に形成する(図4(b))。
【0033】
なお、不純物拡散層13’、14の形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術によりレジストをパターニングした後、イオン注入装置によりそれぞれの導電型の不純物を注入し、熱拡散などによりそれら不純物を活性化すればよい。なお、図4において符号15は、半導体層12の表面を酸化して形成する酸化膜(シリコン酸化膜)である。
【0034】
次に、不純物拡散層13’、不純物拡散層14と外部との電気的な接続をとるため、酸化膜15に対しコンタクトホールを形成し、さらに金属配線16を形成する。さらに、その上に、絶縁膜17を形成する(図4(c))。
なお、コンタクトホールの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0035】
また、金属配線16の形成は、蒸着装置やスパッタリング装置などで金属を成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。また、絶縁膜17の形成は、気相成長法などにより行われる。
【0036】
次に、絶縁膜17の側から、透過格子Gの透過領域EVの形成されるべき領域における、絶縁膜17、酸化膜15、及び半導体層12に対し、開口10aを形成する(図4(d))。
なお、開口10aの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0037】
また、必要に応じて、透明基板11の半導体層12とは反対の面のうち、透過領域EV以外の領域に、遮光膜40a(点線部)を形成する。
なお、遮光膜40aの形成は、金属薄膜などをスパッタリング法や蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。
【0038】
[第2実施形態]
図1、図5、図6、図7を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明の受光素子、及びそれを利用した本発明のエンコーダの実施形態である。なお、ここでは、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0039】
図1に示すように、本実施形態のエンコーダでは、第1実施形態のエンコーダにおいて、受光素子10に代えて本実施形態の受光素子20が使用される。また、本実施形態のエンコーダに使用される光源204の波長は、その受光素子20に適応するよう設定されている(後述)。
図5は、本実施形態の受光素子20の平面図である。
【0040】
本実施形態の受光素子20は、第1実施形態の受光素子10と透過格子Gの部分において異なる。
図6は、図5中の線分III−III’における断面図である。なお、断面の横方向の各位置の長さについては、描画スペースの都合上、適宜拡縮してある。また、図5中、線分III−III’は、透過格子Gの非透過領域EOを横切っていないが、受光格子GDと透過格子Gとの間隙の断面がその非透過領域EOと同じ断面をしているので、図6では、その間隙に、非透過領域EOの符号「EO」を付与し、その間隙と透過領域EVとからなる領域に、透過格子の符号「G」を付与した。
【0041】
本実施形態の透過格子Gの非透過領域EOは、半導体層12上に(例えば、半導体層12上の金属配線16と同一層に)遮光膜20aを設けてなる。また、透過格子Gの透過領域EVは、半導体層12上に遮光膜20aの設けられていない領域からなる。
なお、図5に示すように、遮光膜20aは、透過格子Gと受光格子GDとの間隙にも形成される(因みにこれは、受光格子GDへの迷光の浸入を防ぐためである。)。
【0042】
さらに、本実施形態のエンコーダの光源204(図1参照)の波長は、この受光素子20の透過領域EVを透過可能であり、かつ、受光素子20の非透過領域EOを透過せず、かつ、受光領域EDの受光部13において検出可能であるような光の波長に設定される。
例えば、半導体層12、透明基板11などに対し、上述した各材料が使用されるのであれば、光源204の波長は、例えば、近赤外域の波長に設定するとよい。
【0043】
このように、開口を設ける代わりに遮光膜20aを利用すれば、光源波長の最適化が必要となるものの、半導体層12の厚さを保つことができるので、第1実施形態の受光素子10よりもさらに受光素子20の構造強度は高まる。
また、本実施形態の受光素子20については、半導体層12に開口を設けないので、透明基板11を省略することも可能である。その場合、第1実施形態の受光素子10と比較すると構造強度が弱まるものの、開口を設けていない分だけ、少なくとも従来の受光素子100(図20参照)よりは、構造強度を高くすることができる。
【0044】
なお、本実施形態の受光素子20においても、迷光を抑えるための遮光膜40a(点線部)を形成してもよい。
また、本実施形態の受光素子20においては、その遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
(製造方法)
本実施形態の受光素子20の製造方法と第1実施形態の受光素子10の製造方法(図4参照)との相違点は、以下のとおりである。
【0045】
図7は、本実施形態の受光素子20の製造方法を示す断面図(図6と同じ箇所の断面図)である。
本実施形態の製造方法では、開口(図4(d)参照)を形成する代わりに、遮光膜20aを形成する。
遮光膜20aの機能は、金属配線16と同じ材料で得られるので、金属配線16を形成する工程において、その金属配線16と同時に遮光膜20aを形成するとよい(図7(c))。
【0046】
なお、本実施形態の製造方法においても、必要に応じて遮光膜40aを形成する。
また、その遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
[第3実施形態]
図8を参照して本発明の第3実施形態について説明する。
【0047】
本実施形態は、第1実施形態の受光素子10及び第2実施形態の受光素子20の変形例である。なお、ここでは、第1実施形態の受光素子10又は第2実施形態の受光素子20との相違点についてのみ説明する。
図8は、本実施形態の受光素子30,30’を示す図である。
【0048】
図8(a)に示す受光素子30は、第1実施形態の受光素子10の変形例であり、図8(b)に示す受光素子30’は、第2実施形態の受光素子20の変形例である(図8(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
図8(a)に示すように、本実施形態の受光素子30は、受光素子10の半導体層(以下、N型とする。)12において、受光部13の反入射側の領域(例えば、半導体層12の最も透明基板11寄り)に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30a(請求項における吸収層に対応する。)を形成したものである。
【0049】
この不純物拡散層30aは、迷光を吸収し、受光部13への迷光の浸入を防ぐ光学膜としての機能を有する。
また、その半導体層12には、不純物拡散層30aが迷光を吸収することで発生した電荷(ノイズ)を外部へ放出するための放出用経路30b(後述)も形成されている。
【0050】
なお、迷光吸収の機能を高めるため、不純物拡散層30aの形成領域は、受光部13の反入射側の領域だけでなく、受光格子GDの全域、及び透過格子Gの非透過領域EO、受光格子GDと透過格子Gとの間隙などにまで、十分に拡大されることが好ましい(但し、透過領域EVについては、光を透過させる必要があるため、不純物拡散層30aを形成しない。)。
【0051】
一方、図8(b)に示すように、本実施形態の受光素子30’は、受光素子20の半導体層(以下、N型とする。)12において、受光部13の反入射側の領域(例えば、半導体層12の最も透明基板11寄り)に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30a(請求項における吸収層に対応する。)を形成したものである。
【0052】
また、その半導体層12には、不純物拡散層30aが迷光を吸収することで発生した電荷(ノイズ)を外部へ放出するための放出用経路30b(後述)も形成されている。
なお、迷光吸収の機能を高めるため、不純物拡散層30aの形成領域は、受光部13の反入射側の領域だけでなく、受光格子GDの全域、及び透過格子Gの非透過領域EO、受光格子GDと透過格子Gとの間隙などにまで、十分に拡大されることが好ましい(但し、透過領域EVについては、光を透過させる必要があるため、不純物拡散層30aを形成しない。)。
【0053】
また、本実施形態の受光素子30’においては、不純物拡散層30aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
このような受光素子30、30’は、迷光の影響を極めて小さく抑えられるので、光学的性能が高い。よって、この受光素子30,30’によれば、エンコーダの性能を、さらに高めることができる。
【0054】
(製造方法)
本実施形態の受光素子30’の製造方法は、例えば、以下のとおりである(なお、受光素子30の製造方法は、以下の製造方法に、第1実施形態の受光素子10の製造方法を適用すればよいだけなので、説明を省略する。)。
図9、図10は、本実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【0055】
先ず、N型単結晶シリコンなどの半導体基板12’上に(以下、N型単結晶シリコンとする。)、放出用経路30bの一部として、その半導体基板12’とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30b−1を形成する(図9(a))。
さらに、半導体基板12’上に、半導体基板12’とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層30aを形成する(図9(b))。
【0056】
なお、不純物拡散層30b−1、不純物拡散層30aの形成は、例えば、フォトリソグラフィー技術によりレジストをそれぞれ適当なパターンにパターニングした後、イオン注入装置により不純物を注入し、熱拡散などによりその不純物を活性化すればよい。
さらに、透明基板11を用意すると共に、半導体基板12’のうち不純物拡散層30aの形成された側の面と、透明基板11の表面とを接合する(図9(c))。
【0057】
なお、両者の接合には、例えば、次の3つの方法の何れかが適用できる。第1に、陽極接合法である。第2に、高温の酸素雰囲気や高温水蒸気雰囲気中での直接接合である。第3に、希フッ酸などの酸により両者の接合面の少なくとも一方を溶解してから、両者の接合面を接触させる方法である。接合に際しては、適当な圧力で両者を加圧することが望ましい。
【0058】
次に、必要に応じて半導体基板12’を薄化し、十分な光学的性能を得るために適当な厚さの半導体層12を形成する(図9(d))。
なお、薄化には、例えば、グラインダー装置や研磨装置を使用することができる。
さらに、半導体層12の表面に、酸化膜(シリコン酸化膜)15を形成する(図10(e))。
【0059】
なお、酸化膜15の形成は、半導体層12の表面に熱酸化法を施すことなどして行われる。
さらに、第2実施形態の図7(b)の工程と同様に、半導体層12とは反対の導電型(P型)の不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、半導体層12と同じ導電型(N型)の不純物拡散層14(電位をとるための層)を形成する。
【0060】
その際、放出用経路30bの一部として、不純物拡散層30b−1に連続する不純物拡散層30b−2(P型)を形成する(図10(f))。
さらに、第2実施形態の図7(c)の工程と同様に、不純物拡散層層13’、不純物拡散層14と外部との電気的な接続をとるため、コンタクトホール及び金属配線16を形成する。
【0061】
その際、放出用経路30bの一部として、不純物拡散層30b−2と外部との電気的な接続をとるためのコンタクトホール及び金属配線30b−3についても、同時に形成する(図10(g))。
さらに、第2実施形態の図7(d)の工程と同様に、絶縁膜17を形成する(図10(h))。
【0062】
なお、本実施形態の製造方法においては、不純物拡散層30aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
[各実施形態の補足]
なお、上記各実施形態で説明した受光素子10,20,30,30’については、エンコーダに搭載される際に、図11に示すようなプリント基板などの基板P上に実装されてもよい(なお、各受光素子は、透明基板11の側の面を基板Pに当接させている)。
【0063】
この基板Pには、受光素子10,20,30,30’の透過格子Gに対向する領域(少なくとも透過領域EVに対向する領域)に、開口Paが設けられ、透過領域EVに入射すべき光が妨げられないようになっている。
また、各実施形態で説明した受光素子10,20,30,30’については、図12示すように、自発光式の受光素子に変形することもできる。
【0064】
この自発光式の受光素子は、プリント基板などの基板P’の上に形成される(なお、各受光素子は、透明基板11の側の面を基板P’に当接させている。)。
この基板P’において、透過領域EVに対向する領域には、発光ダイオードなどの光源50aが実装されている。
【0065】
基板P’に実装されるこの光源50aの発光面は、透過領域EVと同形状、つまり格子状である。
また、光源50aの波長は、各実施形態のエンコーダの光源波長と同じに設定される。)。
なお、この光源50aの一部又は全部は、複数の微小光源を並べたものであってもよい。
【0066】
一方、図12に示すように、自発光式の受光素子の透明基板11の透過領域EVには、開口が設けられる。よって、基板P’上に受光素子を実装した状態では、その開口に光源50aが収まる。
このような自発光式の受光素子によれば、エンコーダを構成する際に、光源104、204(図1参照)が不要となるので、エンコーダの部品点数が抑えられ、エンコーダの位置合わせが容易化する。
【0067】
ところで、上記各実施形態の各受光素子は、何れも、透明基板11を光源104の側に向けて使用するタイプの受光素子であったが、透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプの受光素子も実現可能である。
以下の各実施形態では、透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプの幾つかの受光素子について説明する。
【0068】
[第4実施形態]
図13、図14を参照して本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態は、第2実施形態の受光素子20の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)である。なお、ここでは、第2実施形態の受光素子20との相違点についてのみ説明する。
【0069】
図13は、本実施形態の受光素子60の使用時の配置方向を示す図である。図13に示すように、透明基板11が反射格子103側に向いている。
図14は、本実施形態の受光素子60を示す図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【0070】
図14に示すように、本実施形態の受光素子60は、受光素子20とは反対方向から光を入射させて使用するために、絶縁膜17の表面のうち、透過領域EV以外の領域に、金属薄膜などからなる遮光膜60aが設けられる。
なお、図示省略したが、遮光膜60aには、適当な領域(例えば、透過格子G、受光格子GDの外側の領域)に、外部への信号取り出し用の開口が形成されている。
【0071】
図13に示す配置関係で、エンコーダの光源からこの受光素子60に投光された光は、透過領域EVの半導体層12を進行して透明基板11を透過し、反射格子103(図13参照)に入射する。反射格子103(図13参照)にて反射して戻った光は、透明基板11を透過してから半導体層12を進行し、受光領域EDの受光部13に入射する。
【0072】
因みに、本実施形態の受光素子60(受光素子60の受光領域ED)のように、半導体層12内を進行した後の光を受光する受光素子は、「背面入射型(裏面入射型)」などと呼ばれる。
ここで、受光素子60は、エンコーダとして使用されるとき、移動中の反射格子103と接触する可能性がある。反射格子103の平面度にはばらつきが生じているからである。
【0073】
しかし、本実施形態の受光素子60は、反射格子103側に透明基板11を向けているので、たとえ接触したとしても、その接触箇所は、半導体層12ではなく透明基板11である。一般に、透明基板11の損傷は、半導体層12の損傷と比較すると、受光素子60の光学的性能に影響し難い。
したがって、本実施形態の受光素子60の故障する危険性は低く抑えられる。
【0074】
また、このように、構造強度を向上させるための透明基板11が半導体層12の保護のためにも用いられれば、仮に、プリント基板などの別の基板を併用しなかったとしても、受光素子60の強度は、一定量確保される。
なお、本実施形態の受光素子60においては、受光領域EDへの入射光路及び/又は、透過格子Gの透過領域EVへの入射光路に相当する媒質界面に、必要な光の反射を抑える反射防止膜が形成されていることが好ましい。例えば、透明基板11のうち半導体層12とは反対面(図14では上面)に、反射防止膜(不図示)が形成されていることが好ましい。
【0075】
また、本実施形態の受光素子60においては、遮光膜60aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
また、本実施形態の表示装置60においては、透過領域EVの半導体層12,酸化膜15,絶縁膜17に開口を設け、第1実施形態の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)とすることもできる。
【0076】
[第5実施形態]
図15、図16を参照して本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態の受光素子10の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)、及び第2実施形態の受光素子20の変形例(透明基板11を反射格子103側に向けて使用するタイプに変形したもの)である。
【0077】
図15は、本実施形態の受光素子70,70’を示す図である。
図15(a)に示す受光素子70は、第1実施形態の受光素子10の変形例であり、図15(b)に示す受光素子70’は、第2実施形態の受光素子20の変形例である(図15(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【0078】
本実施形態の受光素子70,70’は、受光素子10,20の半導体層12〜絶縁膜17からなる層を、それら受光素子10,20とは反対向きにして透明基板11上に接合したものである。
絶縁膜17と透明基板11とを接合するために、接着剤70aが使用される。この接着剤70aは、少なくとも、接着後、エンコーダの光源から投光される光に対し透明な性質を有する。
【0079】
また、受光部13にて生成した信号を外部へ読み出す読出用回路の一部として、接合面には、バンプ70b、金属配線70cなども形成される(後述)。
また、半導体層12の反接合面において、透過領域EV以外の領域には、金属薄膜などからなる遮光膜40aが設けられる。
なお、本実施形態の受光素子70’においては、遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを省略することもできる。
【0080】
(製造方法)
本実施形態の受光素子70’の製造方法は、例えば、以下のとおりである(なお、受光素子70の製造方法は、以下の製造方法に、第1実施形態の受光素子10の製造方法を適用すればよいだけなので、説明を省略する。)。
図16は、本実施形態の受光素子70’の製造方法を示す断面図(図15(b)と同じ箇所の断面図)である。
【0081】
先ず、N型単結晶シリコンなどの半導体基板12’上に、第2実施形態の図7(b)(c)(d)の工程と同様、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14,酸化膜15、金属配線16、絶縁膜17、遮光膜20a等を形成する(図16(a))。
次に、外部との電気的な接続をとるため、絶縁膜17のうち必要な箇所(不純物拡散層14上の金属配線16に対向する領域)に開口部70eを形成する(図16(b))。
【0082】
なお、この開口部70eの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
次に、半導体基板12’の裏面(絶縁膜17とは反対面)側の透過領域EV以外の領域に、遮光膜40aを形成する(図16(c))。
なお、遮光膜40aの形成は、金属薄膜などをスパッタリング法や蒸着法で成膜した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いてパターニングすることにより行われる。
【0083】
一方、透明基板11を用意すると共に、読出用回路の一部として、その透明基板11上に、金属配線70cを形成する。
そして、開口部70eに導電性の樹脂などでバンプ70bを形成してから、半導体基板12’のバンプ70b側と、透明基板11の金属配線70c側とを接着剤70aで接合する(図16(d))。
【0084】
さらに、読出用回路の一部として、金属配線70cにリード線70d(金線など)が接続される(図16(e))。
なお、本実施形態の製造方法においては、遮光膜40aの形状を十分に高い精度で制御できるのであれば、遮光膜20aを形成する工程を省略することもできる。
【0085】
[第6実施形態]
図17、図18、図19を参照して本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態は、第5実施形態の受光素子70の変形例(自発光式の受光素子に変形したもの)である。
図17は、本実施形態の受光素子80,80’を示す図である。なお、受光素子80’は、受光素子80のさらなる変形例である。
【0086】
図17(a)に示すように、受光素子80には、半導体層12の透過領域EVに、発光ダイオードなどの光源80aが、その発光面を透明基板11側に向けて形成されている。
【0087】
半導体層12に形成されるこの光源80aの発光面は、透過領域EVと同形状、つまり格子状である(光源80aの波長は、透明基板11、絶縁膜17、接着剤70aを透過可能であり、かつ、受光領域EDの受光部13において検出可能な波長である。)。
光源80aが形成されるのは、例えば、半導体層12に形成された酸化膜15上である(絶縁膜17は、透過領域EV以外の領域に形成される。)。
【0088】
また、図17(b)に示すように、受光素子80’は、透過領域EVの半導体層12〜絶縁膜17の層に対し、絶縁膜17の側から凹部80bを形成し、前記光源80aをその凹部80b内に形成したものである。そして、凹部80bの側面及び底面には、金属膜などの反射膜80cが形成される。
この反射膜80cによれば、光源80aの発する光を無駄なく反射格子103の側に射出させることができる。また、透過領域EVと非透過領域EOとの境界を際立たせることができる。
【0089】
(製造方法)
本実施形態の受光素子80の製造方法は、以下のとおりである。
図18は、本実施形態の受光素子80の製造方法を示す断面図(図17(a)と同じ箇所の断面図)である。
先ず、図16(a)(b)の工程と同様に、半導体基板12’上に、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14、金属配線16、絶縁膜17、開口部70eを形成する。但し、非透過領域EOに遮光膜20aを形成する代わりに、透過領域EVに光源80aを形成する(図18(a))。
【0090】
なお、光源80aの形成は、例えば、特開2000−91619号公報、特開2002−100799号公報などに記載された技術により行うことができる。
次に、図16(d)の工程と同様に、この半導体基板12’と透明基板11とを接着剤70aで接合する。その際、必要な箇所に、バンプ70b、金属配線70cを形成する。また、接合後、金属配線70cにリード線70dを接続する(図18(b)(c))。
【0091】
また、本実施形態の受光素子80’の製造方法は、以下のとおりである。
図19は、本実施形態の受光素子80’の製造方法を示す断面図(図17(b)と同じ箇所の断面図)である。
先ず、図16(a)の工程と同様に、半導体基板12’上に、不純物拡散層13’(これが完成時に受光部13となる。)、不純物拡散層14、金属配線16、絶縁膜17を形成する(図19(a))。
【0092】
次に、絶縁膜17側から、凹部80b(光源80aを形成すべき凹部)を、形成する。さらに、その凹部80bの側面及び底面に、反射膜80cを形成する(図19(b))。
なお、凹部80bの形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより行われる。
【0093】
また、反射膜80cの形成は、金属膜をスパッタリング法や蒸着法などで形成した後、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などでパターニングすることで行われる。
次に、図16(b)と同様に開口部70eを形成した後、凹部80bに光源80aを配置する(図19(c))。
【0094】
次に、図16(d)の工程と同様に、この半導体基板12’と透明基板11とを接着剤70aで接合する。その際、必要な箇所に、バンプ70b、金属配線70cを形成する。また、接合後、金属配線70cにリード線70dを接続する(図19(d)(e))。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過格子と受光格子とを一体化しつつも光学的性能と構造強度との双方を高めることの可能な構成の受光素子、及び高性能化可能な構成のエンコーダが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態及び第2実施形態のエンコーダの構成図である。
【図2】第1実施形態の受光素子10の平面図である。
【図3】図2中の線分II−II’における断面図である。
【図4】第2実施形態の受光素子10の製造方法を示す断面図(図3と同じ箇所の断面図)である。
【図5】第2実施形態の受光素子20の平面図である。
【図6】図5中の線分III−III’における断面図である。
【図7】第2実施形態の受光素子20の製造方法を示す断面図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【図8】第3実施形態の受光素子30,30’を示す図である。
(a)は、第1実施形態の受光素子10の変形例(受光素子30)を示す図であり、図8(b)は、第2実施形態の受光素子20の変形例(受光素子30’)を示す図である(図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【図9】第3実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【図10】第3実施形態の受光素子30’の製造方法を示す断面図(図8と同じ箇所の断面図)である。
【図11】第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の補足説明をする図である。
【図12】第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の別の補足説明をする図である。
【図13】第4実施形態の受光素子60の使用時の配置方向を示す図である。図
【図14】第4実施形態の受光素子60を示す図(図6と同じ箇所の断面図)である。
【図15】第5実施形態の受光素子70,70’を示す図である。
(a)は、第1実施形態の受光素子10の変形例(受光素子70)を示す図であり、(b)は、第2実施形態の受光素子20の変形例(受光素子70’)を示す図である(図15(a)、(b)は、図3、図6とそれぞれ同じ箇所の断面図である。)。
【図16】第5実施形態の受光素子70’の製造方法を示す断面図(図15(b)と同じ箇所の断面図)である。
【図17】第6実施形態の受光素子80,80’を示す図である。
【図18】第6実施形態の受光素子80の製造方法を示す断面図(図17(a)と同じ箇所の断面図)である。
【図19】第6実施形態の受光素子80’の製造方法を示す断面図(図17(b)と同じ箇所の断面図)である。
【図20】受光格子と透過格子とを一体化した受光素子の従来例を説明する図である。図20(a)は、受光素子の平面図、図20(b)は、図20(a)中の線分I−I’における断面図である。
【符号の説明】
10,20,30,60,70,70’,80,80’,100 受光素子
10a,Pa,P’ 開口
11 透明基板
12 半導体層
12’ 半導体基板
13 受光部
13’,14,30a,30b−1,30b−2 不純物拡散層
15 酸化膜
16,30b−3,70c 金属配線
17 絶縁膜
20a,40a,60a 遮光膜
70a 接着剤
70b バンプ
70d リード線
30b 放出経路
P 基板
50a,104,80a 光源
80b 凹部
80c 反射膜
103 反射格子
105 回路部
204 光源
EV 透過領域
EO 非透過領域
G 透過格子
GD 受光格子
ED 受光領域
Claims (13)
- 所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを、その所定波長域の光に対し透明な透明基板上に設けた
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1に記載の受光素子において、
前記透過格子部は、
前記受光格子部と同一の前記半導体層に、開口を格子状に設けてなる
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項2に記載の受光素子において、
前記透過格子部は、
前記受光格子部と同一の前記半導体層又は前記透明基板上に、遮光膜を格子状に設けてなる
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の受光素子において、
前記受光領域の反入射側に、
前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の受光素子において、
前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、
前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、
前記受光領域は、
その入射側を前記透明基板とは反対側に向けて前記半導体層に形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の受光素子において、
前記受光領域は、
その入射側を前記透明基板の側に向けて前記半導体層に形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項7に記載の受光素子において、
前記透明基板の前記半導体層側の面には、
前記受光領域で生起した信号の読出経路の少なくとも一部が形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 所定波長域の光に感応する受光領域を格子状に配置した半導体層からなる受光格子部と、その所定波長域の光を透過する透過領域を格子状に配置した透過格子部とを有し、
前記透過格子部は、
前記受光格子部と同一の前記半導体層に、遮光膜を格子状に設けてなる
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項9に記載の受光素子において、
前記受光領域の反入射側に、
前記受光領域に対する迷光の入射を抑える光学膜が形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項9又は請求項10に記載の受光素子において、
前記受光領域の入射側の媒質界面、及び/又は、前記透過領域の媒質界面に、
前記所定波長域の光の反射を抑える反射防止膜が形成されている
ことを特徴とする受光素子。 - 請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の受光素子と、
前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、
前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えた
ことを特徴とするエンコーダ。 - 請求項9〜請求項11の何れか一項に記載の受光素子と、
前記受光素子の前記透過格子部に対し、前記所定波長域の光を投光する光源と、
前記光源から投光され前記受光素子を透過した前記所定波長域の光を部分反射して前記受光素子の方向へ戻す反射格子板とを備えた
ことを特徴とするエンコーダ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002251505A JP2004095660A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 受光素子及びエンコーダ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023058423A1 (ja) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 | 受光素子、測距装置、測距モジュール、電子機器、及び受光素子の製造方法 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002251505A patent/JP2004095660A/ja active Pending
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WO2023058423A1 (ja) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 | 受光素子、測距装置、測距モジュール、電子機器、及び受光素子の製造方法 |
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