JP2004094511A - 建設工事進捗管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握でき、その実績を工事全体での進捗判断に反映できる建設工事進捗管理システムを提供する。
【解決手段】建設工事の全体を大きな概念毎に区分し、各区分をより小さな概念毎にさらに区分することにより、最下位層の区分が作業単位を表した区分となるように階層状に区分した階層区分情報を提供する階層区分情報提供手段1と、各々の作業単位について計画した物量・工数・工事期間を入力する計画入力手段2と、毎日、実行した作業単位毎に投入した物量・工数を入力する作業実績入力手段3と、当日まで累積完了した物量・工数・日数を計画した物量・工数・工事期間に対比させて当該作業単位又はその上位階層の区分又は全体の進捗率を算出する進捗算出手段1と、日付を横軸座標とし進捗率を縦軸座標にプロットして進捗の推移曲線を作成する推移曲線作成手段1を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】建設工事の全体を大きな概念毎に区分し、各区分をより小さな概念毎にさらに区分することにより、最下位層の区分が作業単位を表した区分となるように階層状に区分した階層区分情報を提供する階層区分情報提供手段1と、各々の作業単位について計画した物量・工数・工事期間を入力する計画入力手段2と、毎日、実行した作業単位毎に投入した物量・工数を入力する作業実績入力手段3と、当日まで累積完了した物量・工数・日数を計画した物量・工数・工事期間に対比させて当該作業単位又はその上位階層の区分又は全体の進捗率を算出する進捗算出手段1と、日付を横軸座標とし進捗率を縦軸座標にプロットして進捗の推移曲線を作成する推移曲線作成手段1を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設工事の進捗を投入される物量・工数に基づいて管理するシステムに係り、特に、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握でき、その実績を工事全体での進捗判断に反映できる建設工事進捗管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電プラント、化学プラント等の産業用プラントを建設する工事において、その進捗を管理する方法がいくつか知られている。例えば、特開平11−232325号公報(公知例1という)には、各作業ステップの実際の進捗度をコンピュータに入力し、この入力された実際の進捗度から各作業ステップで消化した物量を求め、その物量を山積みして実績値を算出することにより、実績値と計画値とを比較対照できるようにした技術が開示されている。
【0003】
また、特開平9−158478号公報(公知例2という)には、作業グループ毎に子装置を所有させ、親装置から各子装置にそれぞれの作業スケジュールを送信し、子装置から作業の完了を送信する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建設工事の進捗を管理する因数として物量(使用する資材の量)或いは工数(作業に要する時間)を用いるのは合理的である。しかし、これらの因数を集計して実績と計画とを比較対照するには、いくつかの困難性がある。
【0005】
その困難性のひとつは、工事種類や工事箇所が多岐にわたっており、同じ工事箇所にも複数の作業内容(本発明ではこれらの作業内容のひとつひとつを作業単位或いは第一線の作業単位と呼んでいる)があって、作業単位毎に工事する業者も異なることである。工事全体に含まれる作業単位の総数は膨大なものとなるため、作業単位毎の実績を少人数でタイムリにコンピュータ入力するのは困難になる。もうひとつは、作業単位によって物量の種類や計量単位が一定でないことである。例えば、鉄骨構造物上に仮設足場を構築する工事箇所において、鉄骨の吊り上げ作業では物量が鉄骨の個数又は重量で表され、同じ鉄骨の合せ作業では物量が鉄骨の個数で表され、溶接作業では物量が鉄骨の個数又は溶接線長で表され、仮設足場敷設作業では物量が敷設面積で表される。このため、作業単位毎に物量をコンピュータ入力しても、複数の作業単位について工事箇所や工事種類などの大きな括りで集計するのが困難となり、こうした大きな括り、或いは工事全体での進捗や能率を把握するのが困難となる。
【0006】
公知例1では、各作業ステップの実際の進捗度を入力し、その進捗度から消化した物量を求めており、その物量の計量単位も重量のみであるから集計は容易である。しかし、入力しようとする実際の進捗度は、物量のように直接計量する方法・手段がなく、例えば、50%完了という数値は定量的に得られない。このため物量を入力するのに比べ正確な物量は集計されない。また、1つの作業ステップの中に複数の作業が含まれたりしていて、分類が不明確かつ不十分である。さらに、公知例1では、全ての作業ステップについて単一のコンピュータに入力するようになっているので、入力の手間が少ない小規模の建設工事には問題ないが、作業ステップの数が膨大となる大規模な建設工事では入力作業が困難である。とはいえ、公知例2に倣って端末装置を各工事会社に持たせると、入力の手間が分散できるかわりに、それぞれの作業について入力担当者が異なることになり、入力する進捗度の判断に個人差が生じる。
【0007】
また、公知例2では、作業グループ毎に作業完了を通信するので、作業順序の管理には好適である。しかし、因数として物量や工数を用いていないので、進捗度を定量的に表現したり、集計したりすることはできない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握でき、その実績を工事全体での進捗判断に反映できる建設工事進捗管理システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、建設工事に投入される物量・工数に基づいて進捗を管理するシステムにおいて、建設工事の全体を工事種類等の大きな概念毎に区分し、各区分を工事箇所等のより小さな概念毎にさらに区分することにより、最下位層の区分が単一の作業班で単一種の物量或いは作業量を代表する単位で表現できる物量を投入して行われる作業内容(以下、作業単位という)を表した区分となるように階層状に区分した階層区分情報を提供する階層区分情報提供手段と、各々の作業単位について計画した物量・工数・工事期間を入力する計画入力手段と、毎日、実行した作業単位毎に投入した物量・工数を入力する作業実績入力手段と、当日まで累積完了した物量・工数・日数を計画した物量・工数・工事期間に対比させて当該作業単位又はその上位階層の区分又は全体の進捗率を算出する進捗算出手段と、日付を横軸座標とし進捗率を縦軸座標にプロットして進捗の推移曲線を作成する推移曲線作成手段を備えたものである。
【0010】
前記進捗算出手段は、作業単位の進捗率として計画した物量に対する累積完了した物量の割合を求め、上位階層の区分内の複数の作業単位の進捗率にそれぞれ計画した工数を乗じて総和し、この総和を上位階層の計画した工数で除して進捗率を算出してもよい。
【0011】
前記推移曲線作成手段は、前記計画した工事期間を仮に最早の日数で達成できるとした場合及び遅くともこの時期までには完了しなければならないとした場合に得られる最早推移計画曲線及び最遅推移計画曲線を作成してもよい。
【0012】
前記作業実績入力手段をコンピュータ(以下、端末という)で構成し、この端末を1以上設け、それぞれの端末が前記階層区分情報提供手段、進捗算出手段及び推移曲線作成手段を構成する別のコンピュータに対して通信回線で接続されるようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
まず、システムのハードウェア構成について説明する。
【0015】
図1に示されるように、本発明に係る建設工事進捗管理システムは、サーバ1と、管理者・計画設計者が使用する管理端末(クライアント)2と、現場の工事業者が使用する現場端末(クライアント)3とをネットワークで結んだものである。
【0016】
サーバ1は、任意の場所(この例では本社内)に設置されており、ネットワーク上の通信を取り仕切るWWWサーバ1a、各端末から収集した計画及び実績のデータなど本建設工事進捗管理システムが管理する全ての情報が記録されたデータベースを提供するDBサーバ1b、本建設工事進捗管理システムに使用する処理プログラムを格納し実行するMetaサーバ1cなどからなる。端末2,3から入力されたデータの計算処理はMetaサーバ1cで行われ、結果の表示は端末2,3で行われる。ただし、Metaサーバ1cの処理プログラムの一部が予め端末2,3に準備されていたり、端末2,3にダウンロードされて実行されたとしても、それは本発明の範囲内である。なお、現場にルータを設置してフレームリレー回線網を使用するほかに、RAS回線網に端末3を接続してもよく、その場合、WWWサーバ1cではなくRASサーバ1dが使用される。
【0017】
管理端末2a,2bは、例えば、本社内に設置され、社内LANを介してサーバ1に接続されたコンピュータである。ここでは管理責任者や計画立案者(以下、まとめて管理者という)は本社内で業務に就いていると仮定しているが、自宅や現場、或いは他の出先であっても適宜なコンピュータにIDや管理者パスワードを入力することで管理端末2として使用できることは勿論である。
【0018】
現場端末3a,3b,3c,3d…は、1又は複数箇所の現場の事務所に設置したり、担当者(現場監督又は工事業者など)が携帯したコンピュータである。現場においても各所にLAN(有線・無線を問わない)を設置し、サーバ1との通信ができるようにしてある。現場監督や工事業者は、現場端末3にIDや監督パスワード、業者パスワードを入力して使用する。
【0019】
次に、本発明で重要な用語である作業単位及び階層区分について説明する。
【0020】
本発明では、単一の作業班で単一種の物量或いは作業量を代表する単位で表現できる物量を投入する作業内容を作業単位(最小管理単位ともいう)と表現する。基本的にひとつの作業班は、ひとつの工事会社(業者)である。ひとつの工事会社が複数の作業班を組織することは妨げないが、複数の作業班が同じ作業単位を共同で担当することはない。ひとつの作業単位に対して複数種類の物量は投入されない。また、同一種の物量を扱うものであっても作業内容が異なれば、原則として作業単位は別である。例えば、ボイラ過熱器エレメントの吊り上げ作業とボイラ過熱器エレメントの合せ作業とボイラ過熱器エレメントの溶接作業は、それぞれ作業単位が別である。なお、一つの作業班がこれらボイラ過熱器エレメントに関わる複数の作業を一括して請け負った場合には、この一括した作業を代表する単位、例えば、エレメント数を物量として一つの作業単位とすることは妨げない。
【0021】
工事の全体は、全ての作業単位を集合したものであるが、本発明では、適宜な複数の作業単位をひとくくりの小集合とし、その小集合をいくつか集めて大きめの集合とすることにより、工事全体を階層化している。以下では、階層を上のほうから定義付けることにする。
【0022】
まず、工事の全体を工事種類等の大きな概念でいくつかに区分し、この区分を第一階層の区分とする。例えば、図2は、ボイラを含むプラントの建設工事から抜粋したもので、プラントの工事全体を第ゼロ階層(図示せず)とし、そのプラント工事全体の一部をなすボイラ本体工事の全体を第一階層の区分Gとしたものである。第一階層の他の区分は図示されていない。ボイラ本体工事全体の区分Gは、第二階層として鉄骨・足場・煙突・防音壁の区分G1、ボイラ本体耐圧部の区分G2、ボイラ本体非耐圧部の区分G3、補機の区分G4、配管の区分G6に区分される。このように、最上位層に近い層では、主として工事の種類で区分され、下位層に下るにつれて工事箇所等のより小さな概念毎に区分される。ただし、上位層であっても工事箇所や資材の種類で区分してよい。例えば、第二階層の区分G1は、第三階層において、資材の種類によりボイラ鉄骨の区分G11とボイラ後付け鉄骨の区分G12とに区分されている。一方、第二階層の区分G2は、第三階層において、工事種類によりドラム汽水分離器の区分G20、管寄せおよびマニホルードの区分G21、火炉壁の区分G22とに区分されている。また、区分G1のように、鉄骨・足場・煙突・防音壁といった複数の工事種類をまとめて1つの区分にしても構わない。ボイラ鉄骨の区分G11のように多数の作業内容を含んでいるものは、さらに第四階層として、チッピング・パッカ設定・グラウトの区分G11P、柱・梁・ブレースの区分G11S、床(チェッカー・グレーティング)の区分G11Fに区分されている。第四階層の区分G11P,G11S,G11Fは、これらの区分の名称から分かるように、それぞれ複数の作業内容を含んでいるので、第五階層として個々の作業単位の区分に区分されるが、図2では図を簡略化するために第五階層の欄には単に*を記入した。一方、区分G6は、主要配管の区分G60、起動系配管の区分G61、蒸気系統諸配管の区分G62、水系統諸配管の区分G63というように工事箇所で区分され、さらに、第四階層でも主蒸気管の区分G601、高温再熱蒸気管の区分G602、低温再熱蒸気管の区分G603というように工事箇所で区分されており、しかも、これらの区分はそのまま第五階層の作業単位の区分になっている。勿論、主蒸気管を複数の業者或いは作業班で分担するときには、区分G601は第五階層で複数に区分される。
【0023】
1つの階層に存在する区分の数は任意である。階層の階数(深さ)は任意であるし、区分毎に深さがまちまちであってもよい。最下位層の区分は必ず作業単位の区分となる。
【0024】
このような階層区分は、後述する計画立案段階が実行される以前においては、図2の階層欄及び名称欄を空白にしたような状態、即ち、階層区分情報が未定な状態であり、計画立案画面がMetaサーバ1cより管理端末2に提供され、管理者が区分の具体的な名称などを入力することで、階層区分情報が確定し、図2と等価な階層マップが仮想的に完成される。その階層区分情報がMetaサーバ1cに保存されることにより、爾後、Metaサーバ1cは端末2,3に対し階層区分情報を提供することができる。
【0025】
公知例1でも階層化が行われているが、工事種別、設備名、作業ステップの3層にしか分けていない。このため、1つの設備が広範囲に渡るために工事箇所を分けたり、複数業者に分けて工事させる場合(例;プラントの配管)に、これら分けた工事を別々の単位として扱うことができない。また、最下位層を形成している各作業ステップにおいて投入される資材の種類或いは計量単位がひとつでないし、担当する業者もひとつか複数か不明である。即ち、公知例1には、作業単位(単一の作業班で単一種の物量を投入して行われる単一の作業内容)という概念がない。
【0026】
次に、図3を参照しつつ、図1の建設工事進捗管理システムにおける業務の流れを説明する。
【0027】
1.計画立案段階
この段階は、基本的には建設工事の着工以前に行われる。プラントの設計に並行し、或いは工事に並行して行ってもよい。管理者は、管理端末2に計画立案画面(図4参照)を呼び出す。具体的には、管理者ID或いは工事名といったログインデータを管理端末2に打ち込むと、サーバ1がログインデータの認証を行い、管理端末2へ計画立案画面を返してくる。計画立案画面を最初に呼び出したとき、区分、物量、工事期間、業者名等の各記入枠は空白である。そこで、管理者は、各記入枠に具体的なデータを記入していく。このとき、上位階層については、物量、工事期間等の数値データ(計画データ)を記入する(ステップS1)。ここで言う上位階層とは、第何層までという決まりがあるものではなく、記入するべき数値が判明している階層と考えれば良い。管理者は、プラントの設計の初期段階では、上位階層での物量、工数、工事期間は明確な数値を把握しているが、第一線の作業単位毎の物量、工数、工事期間まで明確な数値を掴むことは難しいので、数値が判明している階層までデータを記入すればよい。設計の進捗或いは工事の進捗に伴い、詳細な設計図面が出図されるなどして順次下位層まで明確な数値が判明してくる。そして、最終的には最下位層の数値データ(工事計画データ)を記入する(ステップS2)。ステップS2の後、上位層と下位層とのデータの整合性の確認を行い、不整合であれば、ステップS1またはステップS2に戻って記入データを訂正する。
【0028】
階層全体でのデータの整合性を確認した後、計画が確定する。記入された計画データはDBサーバ1bに格納される。なお、図3では、ステップS1,S2の2段階しかないが、これは簡素に示したからで、実際には、最上位層から最下位層まで順次、データ記入をしていくステップがある。
【0029】
上位階層の計画データが記入された段階で、Metaサーバ1cは計画工程表初期版及び計画プログレスカーブ初期版を作成し、管理端末2に表示する。最下位層の計画データが記入された段階では、Metaサーバ1cは完全版の計画工程表(図5参照)、計画プログレスカーブ(図6参照)、計画値一覧表(図なし)を作成し、管理端末2に表示する。管理者は、これらの表やグラフを適宜にプリントアウトすることができる。
【0030】
計画立案画面は、図4に示されるように、管理者がデータを記入するための複数の記入枠とそれぞれの記入枠の意味を表した表題とを並べたものである。管理者は、マウス等のカーソル移動手段を用いて所望の記入枠をポイントし、キーボードから文字や数字を打ち込むことができる。記入枠には、工事区分の名称である工事名称、物量の種類、物量の数値、原単位、作業工数を意味する時間、平均山積、最早工事期間の開始日・終了日、最遅工事期間の開始日・終了日、発注番号、協力会社(工事業者のこと)の名称などがある。画面の上部41に表示される工事区分は上位階層の区分であり、その表示より下部42には、その区分に含まれる1乃至複数の下位階層の区分が表示される。工事名称の記入枠(コンボボックス)に付随している三角ボタンをクリックするか、工事一覧と表題された階層ディレクトリをクリックすることで、当該工事区分の上位階層又は下位階層の工事区分が画面に表示される。従って、図示例では、高炉本体設備という区分と、その下位階層の炉体鉄皮、炉体冷却設備、熱風吹込設備という区分が記入されており、これらの区分は作業単位の区分よりかなり上位階層であるが、最下位層まで下りれば作業単位の区分が記入できる。
【0031】
計画工程表は、図5に示されるように、区分毎の数値一覧表と日程カレンダとからなる。数値一覧表には、各区分の工事名称、計画時間、計画期間、平均山積が表示される。ただし、図示例では、各工事名称の欄に階層の値が書かれているが、実際には具体的な工事名称が表示されるのは勿論である。日程カレンダは、日付を横軸に並べ、その下に各工事区分の工事期間をバーで示したものである。バーは、淡色・濃色の2本が重ねてあり、上の淡色バー51は計画を表し、下の濃色バー52は実績を表している。実際の計画立案段階では実績は存在しないので濃色バー52は無表示であるが、ここでは説明のため淡色バー51と同じ長さにして表示してある。Metaサーバ1cは、PERT等の計画法ソフトウェアを搭載しており、この計画法によって各工事区分のバーの起点(開始日)が決定される。
【0032】
計画プログレスカーブは、図6に示されるように、横軸にカレンダ日、縦軸にプログレス%をとったグラフにより、当該工事区分(工事全体でもよい)を開始してから後の進捗率の推移を表したものである。プロット点が菱形の曲線は最早推移曲線(計画最早プログレスともいう)、プロット点が長方形の曲線は最遅推移曲線(計画最遅プログレスともいう)である。これらの推移曲線の具体的計算方法は後述する。
【0033】
2.実績入力段階
この段階は、建設工事が着工されると、毎日、必ず行われる。実績入力段階は、いわば日報を報告する作業である。担当者(現場監督又は工事業者)は、現場端末3に実績入力画面(図7参照)を呼び出す。具体的には、担当者ID或いは会社名といったログインデータを現場端末3に打ち込むと、サーバ1がログインデータの認証を行い、当該会社が受注している作業単位の区分についての実績入力画面ページを返してくる。実績入力画面を当日、最初に呼び出したとき、いくつかの記入枠は空白である。そこで、担当者は、これらの記入枠に具体的なデータを記入していく(ステップS3)。Metaサーバ1cは当日記入されたデータ及び当日以前から保存しているデータを用いて計算することにより、当日までの実績工程表画面(図8参照)、実績プログレスカーブ画面(図9参照)、実績値一覧表画面(図なし)を作成し、管理端末2に表示する。担当者は、これらの表やグラフを適宜にプリントアウトすることができる。当日のデータを入力し終わると、これらの入力データは工事記録としてDBサーバ1bに格納される(ステップS4)。
【0034】
実績入力画面は、図7に示されるように、担当者がデータを記入するための複数の記入枠とそれぞれの記入枠の意味を表した表題とを並べたものである。担当者は、マウス等のカーソル移動手段を用いて所望の記入枠をポイントし、キーボードから文字や数字を打ち込むことができる。記入枠には、工事名称、協力会社(工事業者のこと)の名称、発注番号、出面、出面累計、完了物量、計画値物量、作業した工数を意味する時間、工事期間の開始日・終了日、時間昼、夜、追加時間、物量消化率、時間消化率、期間消化率、出面昼、出面夜、最終見通物量、最終見通時間、最終見通完了日などがある。記入枠は、全て担当者が記入するとは限らず、Metaサーバ1cがデフォルト値、他の記入データに連動した値を現場端末3に与えることもある。計画値は、DBサーバ1bから呼び出される。また、消化率、出面などは、担当者が記入した完了物量などのデータからMetaサーバ1cが計算したものが通知される。従って、担当者が毎日必ず記入するべきデータは、その日完了した物量(完了物量の記入枠)とその日費やした時間(時間の記入枠)だけである。物量の単位が区分毎に同じでないのは勿論である。出面は、当該区分の工事に携わった作業員の数を示すものであり、参考のため適宜記入する。最終見通の各記入枠は、当初計画の計画値と異なることが見通される場合などに参考のため適宜記入する。
【0035】
実績工程表は、図8に示されるように、工事名称毎の数値一覧表と日程カレンダとからなる。数値一覧表には、各区分の実績時間、実績期間、平均山積、物量%(進捗率)が表示される。日程カレンダは、日付を横軸に並べ、その下に各工事区分の工事期間をバーで示したものである。バーは、淡色・濃色の2本が重ねてあり、上の淡色バー81は計画を表し、下の濃色バー82は実績を表している。また、淡色バーを左端から極濃色83で塗りつぶして消化率を表してもよい。
【0036】
実績プログレスカーブは、図9に示されるように、横軸にカレンダ日、縦軸にプログレス%(スケールは左側)をとったグラフにより、当該工事区分(工事全体でもよい)を開始してから後の進捗率の推移を表したものである。このグラフは、時間消化率及び作業能率を重畳して表示するために、縦軸が作業能率(スケールは右側)、時間消化率%(スケールは図示せず)にもなっている。また、横軸は、図示例のように月単位としたり、日単位に切り換えたりすることができる。プロット点が菱形の曲線及びプロット点が長方形の曲線は、既に説明した計画プログレスカーブをそのままコピーしたものである。プロット点が丸の曲線が実績プログレスカーブである。プロット点が×の曲線は、時間消化率カーブである。プロット点が*の曲線は、作業能率を表している。これらの推移曲線の具体的計算方法は後述する。
【0037】
次に、図3の業務の流れの中でMetaサーバ1cが行う進捗算出処理、推移曲線作成処理の詳しいアルゴリズムを説明する。
【0038】
1.計画工数、計画期間、計画物量の定義
工数とは作業時間のことである。計画工数(計画時間ともいう;以下、これを単に工数ということがある)は、その区分の作業を必要人数で行ったときに作業を完了するために要するであろうと思われる作業時間のことであり、区分Xの工数をKXで表す。図10のように工事全体Zを区分A,B,Cに区分し、さらに各区分を細かく区分した階層区分があるとき、工事全体Zに必要な工数KZは、第一階層の区分A,B,Cに必要な工数KA,KB,KCを総和したKA+KB+KCである。そして、区分Aの工数は、第二階層の区分Aaの工数KAaと区分Abの工数KAbとの和であり、区分Aaの工数は、第三階層の区分Aa1の工数に等しく、区分Abの工数は、区分Ab1の工数と区分Ab2の工数との和であり、さらに、区分Ab1の工数は、第四階層の区分Ab1iの工数と区分Ab1iiの工数との和である。このように、下位層の区分の工数の総和がひとつ上位層の区分の工数となる。
【0039】
計画期間TMAX は、その区分の作業に割り当てた日数、即ち、日程カレンダ上の作業開始日から作業完了期日までの休業日を除く日数のことである。例えば、ある区分Xが7月1日に作業開始して7月11日を完了期日とし、7月7日日曜日が休業日(6日土曜日は操業)とすると、ある区分Xの計画期間TXMAX は10日である。
【0040】
計画における最早工事期間、最遅工事期間は、次のように定義される。ある工事区分の工事物量に対して予定される作業班が天候にも恵まれ最大に能率を発揮すると見込んで計画した工事期間、あるいは残業を行うなどして最短の工期で完了させられると見込んで計画した工事期間を最早工事期間という。最遅工事期間とは、作業が遅れたとしても他の工程との関連上、ここまでには完了させねばならない期間を言う。これら最早工事期間、最遅工事期間は、工事計画者あるいは監督が計画する。
【0041】
なお、最早工事期間及び最遅工事期間を計画するのでなく、標準的な工事期間を一つだけ計画するのでも構わない。
【0042】
計画物量は、最下位層に関しては、その区分の作業に投入される主たる資材の分量であり、区分により資材の種類や単位が異なる。区分Xの計画物量をMXで表す。上位層に関しては、異単位間の総和が可能なように重み付け及び無単位化が施される。
【0043】
2.計画期間%の定義
計画カーブを計算するときには、実績は不明であるので、架空の進捗率として期間消化率(計画期間%ともいう)を用いる。ある区分Xに対する計画期間%TXは、当該日までの経過日数が計画期間TXMAX に占めるパーセンテージで表す。例えば、計画期間10日の区分について、1日目は計画期間%TXは10であり、10日目は計画期間%TXは100である。
【0044】
3.完了物量、物量進捗率、工数消化率、工事期間消化率の定義
完了物量mは、投入し工事を終えた物量の累積量であり、ある最下層区分Xにおける完了物量をmXで表す。完了物量mが計画物量Mに占める割合を物量完了率(物量進捗率或いは物量消化率ともいう)Pという。最下層区分Xにおける物量完了率PXは、完了物量mXを計画物量MXで除して得られる。パーセンテージで表したときは、物量進捗率%という。
【0045】
ある区分Xについて作業を行った時間の累積を累積実績値時間RXと呼び、累積実績値時間RXの計画時間KXに対する比率RX/KXを工数消化率(計画時間消化率)という。パーセンテージで表したときは、工数消化率%という。なお、安全監視人、守衛のように作業物量で表示できない区分については、その区分の工数消化率RX/KXをPXとする場合がある。
【0046】
工事期間消化率%は、ある区分Xについて作業を実施した日数をその区分Xの計画期間TXMAX で除した値(パーセンテージ)である。
【0047】
4.その他の因数の定義
原単位;当該階層が対象とする代表工事物量Mの工事を消化するに必要な工数Kを代表工事物量Mで除したものである。物量Mの単位が重量であったり、個数であったり、面積であったりするので、原単位の単位は、例えば、時間/トン、或いは時間/平方メートルなどになる。
【0048】
平均山積み;工数(時間)Kを1日の労働時間8時間で除したものを工事期間で除したものでり、工事期間を通しての平均作業員の人数を意味する。
【0049】
出面;作業員の人数のことである。
【0050】
5.計画プログレスカーブの計算方法
計画プログレスカーブには、計画最早プログレスと計画最遅プログレスとがあり、計画最遅プログレスは、計算対象とする区分全ての計画が最遅日程で達成されたと仮定して1日毎の工数消化率をプロットした曲線のことである。
【0051】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの計画プログレスカーブ(計画最遅プログレス)は、その上位区分Abに含まれる全ての最下位層区分について工数KXと計画期間%TXとの積を総和し上位区分Abの工数KAbで除す式(1)を日程カレンダ上の計画期間%TX毎に計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。例えば、日程カレンダ上のある1日が区分Ab1iの50%日目(例えば、計画期間8日の中の4日目)であればTAb1iは0.5である。同日が区分Ab1iiの25%日目(例えば、計画期間12日の中の4日目)であればTAb1iiは0.25である。同日が区分Ab2の計画期間開始以前であればTAb2は0である。同日において既に計画期間が終了している区分Xについては計画期間%TXは100%、即ち、1である。
【0052】
【数1】
【0053】
同様に、工事全体Zの計画プログレスカーブ(計画最遅プログレス)は、式(2)を日程カレンダ上の計画期間%毎に計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0054】
【数2】
【0055】
計画最早プログレスは、計算対象とする区分全ての計画が最早日程で達成されたと仮定して1日毎の工数消化率をプロットした曲線のことである。
【0056】
以上の2種類の計画プログレスカーブを実際にプロットした例が図6に示してある。
【0057】
6.実績プログレスカーブの計算方法
実績プログレスカーブは、計算対象とする区分に含まれる最下層区分Xのそれぞれについて完了した実績を物量完了率で評価して計算対象とする区分で総合した値を1日毎にプロットした曲線のことである。
【0058】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの実績プログレスカーブは、その上位区分Abに含まれる全ての最下位層区分について工数KXと物量進捗率%PXとの積を総和し上位区分Abの工数KAbで除す式(3)を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0059】
【数3】
【0060】
同様に、工事全体Zの実績プログレスカーブは、式(4)を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0061】
【数4】
【0062】
7.作業能率の計算方法
作業能率とは、累積実績値時間Rの計画時間Kに対する比率R/Kをさらに物量完了率Pで除したものである。これは工数消化率/物量消化率に等しい。もし、工数消化率が10%のときに物量消化率が10%であれば、作業能率=1であり、作業能率は良くも悪くもない。物量消化率が10%であるのに工数消化率が20%にも達していると、作業能率=2であり、作業能率が悪いということになる。反対に、工数消化率が10%であるのに物量消化率が20%にも達していれば、作業能率=0.5、即ち、作業能率が良いということになる。
【0063】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの作業能率は、式(5)で定義される。作業能率を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることにより、作業能率の変遷が視覚的に把握しやすくなる。
【0064】
【数5】
【0065】
実績プログレスカーブ、作業能率、時間消化率%を実際にプロットした例が図9に示してある。図9の実績プログレスカーブ画面には、実績プログレスカーブが計画最早プログレスカーブ及び計画最遅プログレスカーブと同じスケール上に示されているので、実績プログレスが計画に比べてどのように進んでいるか、遅れているかを視覚的に把握することができる。図示例では、実績プログレスカーブ(プロット点;丸)が計画最早プログレスカーブ(プロット点;菱形)と計画最遅プログレスカーブ(プロット点;正方形)とのちょうど中間あたりに入っているので、まあまあの進捗状況であることが一目で判る。もし、実績プログレスカーブが左に寄れば快調、右に寄れば遅れ気味、計画最遅プログレスカーブより右側に出ているようであれば、進捗状況がひどく悪いということが一目で判るであろう。また、作業能率(プロット点;*)は1より高く推移しているので、作業能率は悪いということが判る。
【0066】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0067】
(1)最下位層の区分が作業単位を表した区分となり、その作業単位毎に完了・投入した物量・工数を入力するので、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握できる。また、完了・投入した物量・工数から進捗率を算出するので、実際の実績を工事全体での進捗判断に反映できる。
【0068】
(2)作業単位の進捗率を完了物量によって算定するので正確である。また、作業単位の進捗率を計画物量と完了物量との割合で表すので、無名数化され、他の作業単位の進捗率との合算が可能となり、上位階層では個々の作業単位の物量の種類によらず総合的な進捗率が算出できる。
【0069】
(3)最早推移曲線及び最遅推移曲線を作成するので進捗の推移曲線を対比して見ることができる。
【0070】
(4)作業実績入力手段が端末化されているので、大勢の工事関係者が場所や時間に制約されずに入力操作を行うことができる。その場合でも、入力する因数が物量・工数という定量的な値なので、全体的に統一された尺度で各作業単位の進捗を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す建設工事進捗管理システムのハードウェア構成図である。
【図2】本発明により階層化された工事区分のリストの一例を示した印刷面のイメージ図である。
【図3】本発明の建設工事進捗管理システムにおける業務の流れ図である。
【図4】本発明において管理端末に表示される計画立案画面のイメージ図である。
【図5】本発明において管理端末に表示される計画工程表画面のイメージ図である。
【図6】本発明において管理端末に表示される計画プログレスカーブ画面のイメージ図である。
【図7】本発明において現場端末に表示される実績入力画面のイメージ図である。
【図8】本発明において管理端末に表示される実績工程表画面のイメージ図である。
【図9】本発明において管理端末に表示される実績プログレスカーブ画面のイメージ図である。
【図10】本発明により階層化された工事区分の一例を示した階層構造図である。
【符号の説明】
1 サーバ(階層区分情報提供手段、進捗算出手段、推移曲線作成手段)
2 管理端末(計画入力手段)
3 現場端末(作業実績入力手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設工事の進捗を投入される物量・工数に基づいて管理するシステムに係り、特に、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握でき、その実績を工事全体での進捗判断に反映できる建設工事進捗管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電プラント、化学プラント等の産業用プラントを建設する工事において、その進捗を管理する方法がいくつか知られている。例えば、特開平11−232325号公報(公知例1という)には、各作業ステップの実際の進捗度をコンピュータに入力し、この入力された実際の進捗度から各作業ステップで消化した物量を求め、その物量を山積みして実績値を算出することにより、実績値と計画値とを比較対照できるようにした技術が開示されている。
【0003】
また、特開平9−158478号公報(公知例2という)には、作業グループ毎に子装置を所有させ、親装置から各子装置にそれぞれの作業スケジュールを送信し、子装置から作業の完了を送信する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建設工事の進捗を管理する因数として物量(使用する資材の量)或いは工数(作業に要する時間)を用いるのは合理的である。しかし、これらの因数を集計して実績と計画とを比較対照するには、いくつかの困難性がある。
【0005】
その困難性のひとつは、工事種類や工事箇所が多岐にわたっており、同じ工事箇所にも複数の作業内容(本発明ではこれらの作業内容のひとつひとつを作業単位或いは第一線の作業単位と呼んでいる)があって、作業単位毎に工事する業者も異なることである。工事全体に含まれる作業単位の総数は膨大なものとなるため、作業単位毎の実績を少人数でタイムリにコンピュータ入力するのは困難になる。もうひとつは、作業単位によって物量の種類や計量単位が一定でないことである。例えば、鉄骨構造物上に仮設足場を構築する工事箇所において、鉄骨の吊り上げ作業では物量が鉄骨の個数又は重量で表され、同じ鉄骨の合せ作業では物量が鉄骨の個数で表され、溶接作業では物量が鉄骨の個数又は溶接線長で表され、仮設足場敷設作業では物量が敷設面積で表される。このため、作業単位毎に物量をコンピュータ入力しても、複数の作業単位について工事箇所や工事種類などの大きな括りで集計するのが困難となり、こうした大きな括り、或いは工事全体での進捗や能率を把握するのが困難となる。
【0006】
公知例1では、各作業ステップの実際の進捗度を入力し、その進捗度から消化した物量を求めており、その物量の計量単位も重量のみであるから集計は容易である。しかし、入力しようとする実際の進捗度は、物量のように直接計量する方法・手段がなく、例えば、50%完了という数値は定量的に得られない。このため物量を入力するのに比べ正確な物量は集計されない。また、1つの作業ステップの中に複数の作業が含まれたりしていて、分類が不明確かつ不十分である。さらに、公知例1では、全ての作業ステップについて単一のコンピュータに入力するようになっているので、入力の手間が少ない小規模の建設工事には問題ないが、作業ステップの数が膨大となる大規模な建設工事では入力作業が困難である。とはいえ、公知例2に倣って端末装置を各工事会社に持たせると、入力の手間が分散できるかわりに、それぞれの作業について入力担当者が異なることになり、入力する進捗度の判断に個人差が生じる。
【0007】
また、公知例2では、作業グループ毎に作業完了を通信するので、作業順序の管理には好適である。しかし、因数として物量や工数を用いていないので、進捗度を定量的に表現したり、集計したりすることはできない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握でき、その実績を工事全体での進捗判断に反映できる建設工事進捗管理システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、建設工事に投入される物量・工数に基づいて進捗を管理するシステムにおいて、建設工事の全体を工事種類等の大きな概念毎に区分し、各区分を工事箇所等のより小さな概念毎にさらに区分することにより、最下位層の区分が単一の作業班で単一種の物量或いは作業量を代表する単位で表現できる物量を投入して行われる作業内容(以下、作業単位という)を表した区分となるように階層状に区分した階層区分情報を提供する階層区分情報提供手段と、各々の作業単位について計画した物量・工数・工事期間を入力する計画入力手段と、毎日、実行した作業単位毎に投入した物量・工数を入力する作業実績入力手段と、当日まで累積完了した物量・工数・日数を計画した物量・工数・工事期間に対比させて当該作業単位又はその上位階層の区分又は全体の進捗率を算出する進捗算出手段と、日付を横軸座標とし進捗率を縦軸座標にプロットして進捗の推移曲線を作成する推移曲線作成手段を備えたものである。
【0010】
前記進捗算出手段は、作業単位の進捗率として計画した物量に対する累積完了した物量の割合を求め、上位階層の区分内の複数の作業単位の進捗率にそれぞれ計画した工数を乗じて総和し、この総和を上位階層の計画した工数で除して進捗率を算出してもよい。
【0011】
前記推移曲線作成手段は、前記計画した工事期間を仮に最早の日数で達成できるとした場合及び遅くともこの時期までには完了しなければならないとした場合に得られる最早推移計画曲線及び最遅推移計画曲線を作成してもよい。
【0012】
前記作業実績入力手段をコンピュータ(以下、端末という)で構成し、この端末を1以上設け、それぞれの端末が前記階層区分情報提供手段、進捗算出手段及び推移曲線作成手段を構成する別のコンピュータに対して通信回線で接続されるようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
まず、システムのハードウェア構成について説明する。
【0015】
図1に示されるように、本発明に係る建設工事進捗管理システムは、サーバ1と、管理者・計画設計者が使用する管理端末(クライアント)2と、現場の工事業者が使用する現場端末(クライアント)3とをネットワークで結んだものである。
【0016】
サーバ1は、任意の場所(この例では本社内)に設置されており、ネットワーク上の通信を取り仕切るWWWサーバ1a、各端末から収集した計画及び実績のデータなど本建設工事進捗管理システムが管理する全ての情報が記録されたデータベースを提供するDBサーバ1b、本建設工事進捗管理システムに使用する処理プログラムを格納し実行するMetaサーバ1cなどからなる。端末2,3から入力されたデータの計算処理はMetaサーバ1cで行われ、結果の表示は端末2,3で行われる。ただし、Metaサーバ1cの処理プログラムの一部が予め端末2,3に準備されていたり、端末2,3にダウンロードされて実行されたとしても、それは本発明の範囲内である。なお、現場にルータを設置してフレームリレー回線網を使用するほかに、RAS回線網に端末3を接続してもよく、その場合、WWWサーバ1cではなくRASサーバ1dが使用される。
【0017】
管理端末2a,2bは、例えば、本社内に設置され、社内LANを介してサーバ1に接続されたコンピュータである。ここでは管理責任者や計画立案者(以下、まとめて管理者という)は本社内で業務に就いていると仮定しているが、自宅や現場、或いは他の出先であっても適宜なコンピュータにIDや管理者パスワードを入力することで管理端末2として使用できることは勿論である。
【0018】
現場端末3a,3b,3c,3d…は、1又は複数箇所の現場の事務所に設置したり、担当者(現場監督又は工事業者など)が携帯したコンピュータである。現場においても各所にLAN(有線・無線を問わない)を設置し、サーバ1との通信ができるようにしてある。現場監督や工事業者は、現場端末3にIDや監督パスワード、業者パスワードを入力して使用する。
【0019】
次に、本発明で重要な用語である作業単位及び階層区分について説明する。
【0020】
本発明では、単一の作業班で単一種の物量或いは作業量を代表する単位で表現できる物量を投入する作業内容を作業単位(最小管理単位ともいう)と表現する。基本的にひとつの作業班は、ひとつの工事会社(業者)である。ひとつの工事会社が複数の作業班を組織することは妨げないが、複数の作業班が同じ作業単位を共同で担当することはない。ひとつの作業単位に対して複数種類の物量は投入されない。また、同一種の物量を扱うものであっても作業内容が異なれば、原則として作業単位は別である。例えば、ボイラ過熱器エレメントの吊り上げ作業とボイラ過熱器エレメントの合せ作業とボイラ過熱器エレメントの溶接作業は、それぞれ作業単位が別である。なお、一つの作業班がこれらボイラ過熱器エレメントに関わる複数の作業を一括して請け負った場合には、この一括した作業を代表する単位、例えば、エレメント数を物量として一つの作業単位とすることは妨げない。
【0021】
工事の全体は、全ての作業単位を集合したものであるが、本発明では、適宜な複数の作業単位をひとくくりの小集合とし、その小集合をいくつか集めて大きめの集合とすることにより、工事全体を階層化している。以下では、階層を上のほうから定義付けることにする。
【0022】
まず、工事の全体を工事種類等の大きな概念でいくつかに区分し、この区分を第一階層の区分とする。例えば、図2は、ボイラを含むプラントの建設工事から抜粋したもので、プラントの工事全体を第ゼロ階層(図示せず)とし、そのプラント工事全体の一部をなすボイラ本体工事の全体を第一階層の区分Gとしたものである。第一階層の他の区分は図示されていない。ボイラ本体工事全体の区分Gは、第二階層として鉄骨・足場・煙突・防音壁の区分G1、ボイラ本体耐圧部の区分G2、ボイラ本体非耐圧部の区分G3、補機の区分G4、配管の区分G6に区分される。このように、最上位層に近い層では、主として工事の種類で区分され、下位層に下るにつれて工事箇所等のより小さな概念毎に区分される。ただし、上位層であっても工事箇所や資材の種類で区分してよい。例えば、第二階層の区分G1は、第三階層において、資材の種類によりボイラ鉄骨の区分G11とボイラ後付け鉄骨の区分G12とに区分されている。一方、第二階層の区分G2は、第三階層において、工事種類によりドラム汽水分離器の区分G20、管寄せおよびマニホルードの区分G21、火炉壁の区分G22とに区分されている。また、区分G1のように、鉄骨・足場・煙突・防音壁といった複数の工事種類をまとめて1つの区分にしても構わない。ボイラ鉄骨の区分G11のように多数の作業内容を含んでいるものは、さらに第四階層として、チッピング・パッカ設定・グラウトの区分G11P、柱・梁・ブレースの区分G11S、床(チェッカー・グレーティング)の区分G11Fに区分されている。第四階層の区分G11P,G11S,G11Fは、これらの区分の名称から分かるように、それぞれ複数の作業内容を含んでいるので、第五階層として個々の作業単位の区分に区分されるが、図2では図を簡略化するために第五階層の欄には単に*を記入した。一方、区分G6は、主要配管の区分G60、起動系配管の区分G61、蒸気系統諸配管の区分G62、水系統諸配管の区分G63というように工事箇所で区分され、さらに、第四階層でも主蒸気管の区分G601、高温再熱蒸気管の区分G602、低温再熱蒸気管の区分G603というように工事箇所で区分されており、しかも、これらの区分はそのまま第五階層の作業単位の区分になっている。勿論、主蒸気管を複数の業者或いは作業班で分担するときには、区分G601は第五階層で複数に区分される。
【0023】
1つの階層に存在する区分の数は任意である。階層の階数(深さ)は任意であるし、区分毎に深さがまちまちであってもよい。最下位層の区分は必ず作業単位の区分となる。
【0024】
このような階層区分は、後述する計画立案段階が実行される以前においては、図2の階層欄及び名称欄を空白にしたような状態、即ち、階層区分情報が未定な状態であり、計画立案画面がMetaサーバ1cより管理端末2に提供され、管理者が区分の具体的な名称などを入力することで、階層区分情報が確定し、図2と等価な階層マップが仮想的に完成される。その階層区分情報がMetaサーバ1cに保存されることにより、爾後、Metaサーバ1cは端末2,3に対し階層区分情報を提供することができる。
【0025】
公知例1でも階層化が行われているが、工事種別、設備名、作業ステップの3層にしか分けていない。このため、1つの設備が広範囲に渡るために工事箇所を分けたり、複数業者に分けて工事させる場合(例;プラントの配管)に、これら分けた工事を別々の単位として扱うことができない。また、最下位層を形成している各作業ステップにおいて投入される資材の種類或いは計量単位がひとつでないし、担当する業者もひとつか複数か不明である。即ち、公知例1には、作業単位(単一の作業班で単一種の物量を投入して行われる単一の作業内容)という概念がない。
【0026】
次に、図3を参照しつつ、図1の建設工事進捗管理システムにおける業務の流れを説明する。
【0027】
1.計画立案段階
この段階は、基本的には建設工事の着工以前に行われる。プラントの設計に並行し、或いは工事に並行して行ってもよい。管理者は、管理端末2に計画立案画面(図4参照)を呼び出す。具体的には、管理者ID或いは工事名といったログインデータを管理端末2に打ち込むと、サーバ1がログインデータの認証を行い、管理端末2へ計画立案画面を返してくる。計画立案画面を最初に呼び出したとき、区分、物量、工事期間、業者名等の各記入枠は空白である。そこで、管理者は、各記入枠に具体的なデータを記入していく。このとき、上位階層については、物量、工事期間等の数値データ(計画データ)を記入する(ステップS1)。ここで言う上位階層とは、第何層までという決まりがあるものではなく、記入するべき数値が判明している階層と考えれば良い。管理者は、プラントの設計の初期段階では、上位階層での物量、工数、工事期間は明確な数値を把握しているが、第一線の作業単位毎の物量、工数、工事期間まで明確な数値を掴むことは難しいので、数値が判明している階層までデータを記入すればよい。設計の進捗或いは工事の進捗に伴い、詳細な設計図面が出図されるなどして順次下位層まで明確な数値が判明してくる。そして、最終的には最下位層の数値データ(工事計画データ)を記入する(ステップS2)。ステップS2の後、上位層と下位層とのデータの整合性の確認を行い、不整合であれば、ステップS1またはステップS2に戻って記入データを訂正する。
【0028】
階層全体でのデータの整合性を確認した後、計画が確定する。記入された計画データはDBサーバ1bに格納される。なお、図3では、ステップS1,S2の2段階しかないが、これは簡素に示したからで、実際には、最上位層から最下位層まで順次、データ記入をしていくステップがある。
【0029】
上位階層の計画データが記入された段階で、Metaサーバ1cは計画工程表初期版及び計画プログレスカーブ初期版を作成し、管理端末2に表示する。最下位層の計画データが記入された段階では、Metaサーバ1cは完全版の計画工程表(図5参照)、計画プログレスカーブ(図6参照)、計画値一覧表(図なし)を作成し、管理端末2に表示する。管理者は、これらの表やグラフを適宜にプリントアウトすることができる。
【0030】
計画立案画面は、図4に示されるように、管理者がデータを記入するための複数の記入枠とそれぞれの記入枠の意味を表した表題とを並べたものである。管理者は、マウス等のカーソル移動手段を用いて所望の記入枠をポイントし、キーボードから文字や数字を打ち込むことができる。記入枠には、工事区分の名称である工事名称、物量の種類、物量の数値、原単位、作業工数を意味する時間、平均山積、最早工事期間の開始日・終了日、最遅工事期間の開始日・終了日、発注番号、協力会社(工事業者のこと)の名称などがある。画面の上部41に表示される工事区分は上位階層の区分であり、その表示より下部42には、その区分に含まれる1乃至複数の下位階層の区分が表示される。工事名称の記入枠(コンボボックス)に付随している三角ボタンをクリックするか、工事一覧と表題された階層ディレクトリをクリックすることで、当該工事区分の上位階層又は下位階層の工事区分が画面に表示される。従って、図示例では、高炉本体設備という区分と、その下位階層の炉体鉄皮、炉体冷却設備、熱風吹込設備という区分が記入されており、これらの区分は作業単位の区分よりかなり上位階層であるが、最下位層まで下りれば作業単位の区分が記入できる。
【0031】
計画工程表は、図5に示されるように、区分毎の数値一覧表と日程カレンダとからなる。数値一覧表には、各区分の工事名称、計画時間、計画期間、平均山積が表示される。ただし、図示例では、各工事名称の欄に階層の値が書かれているが、実際には具体的な工事名称が表示されるのは勿論である。日程カレンダは、日付を横軸に並べ、その下に各工事区分の工事期間をバーで示したものである。バーは、淡色・濃色の2本が重ねてあり、上の淡色バー51は計画を表し、下の濃色バー52は実績を表している。実際の計画立案段階では実績は存在しないので濃色バー52は無表示であるが、ここでは説明のため淡色バー51と同じ長さにして表示してある。Metaサーバ1cは、PERT等の計画法ソフトウェアを搭載しており、この計画法によって各工事区分のバーの起点(開始日)が決定される。
【0032】
計画プログレスカーブは、図6に示されるように、横軸にカレンダ日、縦軸にプログレス%をとったグラフにより、当該工事区分(工事全体でもよい)を開始してから後の進捗率の推移を表したものである。プロット点が菱形の曲線は最早推移曲線(計画最早プログレスともいう)、プロット点が長方形の曲線は最遅推移曲線(計画最遅プログレスともいう)である。これらの推移曲線の具体的計算方法は後述する。
【0033】
2.実績入力段階
この段階は、建設工事が着工されると、毎日、必ず行われる。実績入力段階は、いわば日報を報告する作業である。担当者(現場監督又は工事業者)は、現場端末3に実績入力画面(図7参照)を呼び出す。具体的には、担当者ID或いは会社名といったログインデータを現場端末3に打ち込むと、サーバ1がログインデータの認証を行い、当該会社が受注している作業単位の区分についての実績入力画面ページを返してくる。実績入力画面を当日、最初に呼び出したとき、いくつかの記入枠は空白である。そこで、担当者は、これらの記入枠に具体的なデータを記入していく(ステップS3)。Metaサーバ1cは当日記入されたデータ及び当日以前から保存しているデータを用いて計算することにより、当日までの実績工程表画面(図8参照)、実績プログレスカーブ画面(図9参照)、実績値一覧表画面(図なし)を作成し、管理端末2に表示する。担当者は、これらの表やグラフを適宜にプリントアウトすることができる。当日のデータを入力し終わると、これらの入力データは工事記録としてDBサーバ1bに格納される(ステップS4)。
【0034】
実績入力画面は、図7に示されるように、担当者がデータを記入するための複数の記入枠とそれぞれの記入枠の意味を表した表題とを並べたものである。担当者は、マウス等のカーソル移動手段を用いて所望の記入枠をポイントし、キーボードから文字や数字を打ち込むことができる。記入枠には、工事名称、協力会社(工事業者のこと)の名称、発注番号、出面、出面累計、完了物量、計画値物量、作業した工数を意味する時間、工事期間の開始日・終了日、時間昼、夜、追加時間、物量消化率、時間消化率、期間消化率、出面昼、出面夜、最終見通物量、最終見通時間、最終見通完了日などがある。記入枠は、全て担当者が記入するとは限らず、Metaサーバ1cがデフォルト値、他の記入データに連動した値を現場端末3に与えることもある。計画値は、DBサーバ1bから呼び出される。また、消化率、出面などは、担当者が記入した完了物量などのデータからMetaサーバ1cが計算したものが通知される。従って、担当者が毎日必ず記入するべきデータは、その日完了した物量(完了物量の記入枠)とその日費やした時間(時間の記入枠)だけである。物量の単位が区分毎に同じでないのは勿論である。出面は、当該区分の工事に携わった作業員の数を示すものであり、参考のため適宜記入する。最終見通の各記入枠は、当初計画の計画値と異なることが見通される場合などに参考のため適宜記入する。
【0035】
実績工程表は、図8に示されるように、工事名称毎の数値一覧表と日程カレンダとからなる。数値一覧表には、各区分の実績時間、実績期間、平均山積、物量%(進捗率)が表示される。日程カレンダは、日付を横軸に並べ、その下に各工事区分の工事期間をバーで示したものである。バーは、淡色・濃色の2本が重ねてあり、上の淡色バー81は計画を表し、下の濃色バー82は実績を表している。また、淡色バーを左端から極濃色83で塗りつぶして消化率を表してもよい。
【0036】
実績プログレスカーブは、図9に示されるように、横軸にカレンダ日、縦軸にプログレス%(スケールは左側)をとったグラフにより、当該工事区分(工事全体でもよい)を開始してから後の進捗率の推移を表したものである。このグラフは、時間消化率及び作業能率を重畳して表示するために、縦軸が作業能率(スケールは右側)、時間消化率%(スケールは図示せず)にもなっている。また、横軸は、図示例のように月単位としたり、日単位に切り換えたりすることができる。プロット点が菱形の曲線及びプロット点が長方形の曲線は、既に説明した計画プログレスカーブをそのままコピーしたものである。プロット点が丸の曲線が実績プログレスカーブである。プロット点が×の曲線は、時間消化率カーブである。プロット点が*の曲線は、作業能率を表している。これらの推移曲線の具体的計算方法は後述する。
【0037】
次に、図3の業務の流れの中でMetaサーバ1cが行う進捗算出処理、推移曲線作成処理の詳しいアルゴリズムを説明する。
【0038】
1.計画工数、計画期間、計画物量の定義
工数とは作業時間のことである。計画工数(計画時間ともいう;以下、これを単に工数ということがある)は、その区分の作業を必要人数で行ったときに作業を完了するために要するであろうと思われる作業時間のことであり、区分Xの工数をKXで表す。図10のように工事全体Zを区分A,B,Cに区分し、さらに各区分を細かく区分した階層区分があるとき、工事全体Zに必要な工数KZは、第一階層の区分A,B,Cに必要な工数KA,KB,KCを総和したKA+KB+KCである。そして、区分Aの工数は、第二階層の区分Aaの工数KAaと区分Abの工数KAbとの和であり、区分Aaの工数は、第三階層の区分Aa1の工数に等しく、区分Abの工数は、区分Ab1の工数と区分Ab2の工数との和であり、さらに、区分Ab1の工数は、第四階層の区分Ab1iの工数と区分Ab1iiの工数との和である。このように、下位層の区分の工数の総和がひとつ上位層の区分の工数となる。
【0039】
計画期間TMAX は、その区分の作業に割り当てた日数、即ち、日程カレンダ上の作業開始日から作業完了期日までの休業日を除く日数のことである。例えば、ある区分Xが7月1日に作業開始して7月11日を完了期日とし、7月7日日曜日が休業日(6日土曜日は操業)とすると、ある区分Xの計画期間TXMAX は10日である。
【0040】
計画における最早工事期間、最遅工事期間は、次のように定義される。ある工事区分の工事物量に対して予定される作業班が天候にも恵まれ最大に能率を発揮すると見込んで計画した工事期間、あるいは残業を行うなどして最短の工期で完了させられると見込んで計画した工事期間を最早工事期間という。最遅工事期間とは、作業が遅れたとしても他の工程との関連上、ここまでには完了させねばならない期間を言う。これら最早工事期間、最遅工事期間は、工事計画者あるいは監督が計画する。
【0041】
なお、最早工事期間及び最遅工事期間を計画するのでなく、標準的な工事期間を一つだけ計画するのでも構わない。
【0042】
計画物量は、最下位層に関しては、その区分の作業に投入される主たる資材の分量であり、区分により資材の種類や単位が異なる。区分Xの計画物量をMXで表す。上位層に関しては、異単位間の総和が可能なように重み付け及び無単位化が施される。
【0043】
2.計画期間%の定義
計画カーブを計算するときには、実績は不明であるので、架空の進捗率として期間消化率(計画期間%ともいう)を用いる。ある区分Xに対する計画期間%TXは、当該日までの経過日数が計画期間TXMAX に占めるパーセンテージで表す。例えば、計画期間10日の区分について、1日目は計画期間%TXは10であり、10日目は計画期間%TXは100である。
【0044】
3.完了物量、物量進捗率、工数消化率、工事期間消化率の定義
完了物量mは、投入し工事を終えた物量の累積量であり、ある最下層区分Xにおける完了物量をmXで表す。完了物量mが計画物量Mに占める割合を物量完了率(物量進捗率或いは物量消化率ともいう)Pという。最下層区分Xにおける物量完了率PXは、完了物量mXを計画物量MXで除して得られる。パーセンテージで表したときは、物量進捗率%という。
【0045】
ある区分Xについて作業を行った時間の累積を累積実績値時間RXと呼び、累積実績値時間RXの計画時間KXに対する比率RX/KXを工数消化率(計画時間消化率)という。パーセンテージで表したときは、工数消化率%という。なお、安全監視人、守衛のように作業物量で表示できない区分については、その区分の工数消化率RX/KXをPXとする場合がある。
【0046】
工事期間消化率%は、ある区分Xについて作業を実施した日数をその区分Xの計画期間TXMAX で除した値(パーセンテージ)である。
【0047】
4.その他の因数の定義
原単位;当該階層が対象とする代表工事物量Mの工事を消化するに必要な工数Kを代表工事物量Mで除したものである。物量Mの単位が重量であったり、個数であったり、面積であったりするので、原単位の単位は、例えば、時間/トン、或いは時間/平方メートルなどになる。
【0048】
平均山積み;工数(時間)Kを1日の労働時間8時間で除したものを工事期間で除したものでり、工事期間を通しての平均作業員の人数を意味する。
【0049】
出面;作業員の人数のことである。
【0050】
5.計画プログレスカーブの計算方法
計画プログレスカーブには、計画最早プログレスと計画最遅プログレスとがあり、計画最遅プログレスは、計算対象とする区分全ての計画が最遅日程で達成されたと仮定して1日毎の工数消化率をプロットした曲線のことである。
【0051】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの計画プログレスカーブ(計画最遅プログレス)は、その上位区分Abに含まれる全ての最下位層区分について工数KXと計画期間%TXとの積を総和し上位区分Abの工数KAbで除す式(1)を日程カレンダ上の計画期間%TX毎に計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。例えば、日程カレンダ上のある1日が区分Ab1iの50%日目(例えば、計画期間8日の中の4日目)であればTAb1iは0.5である。同日が区分Ab1iiの25%日目(例えば、計画期間12日の中の4日目)であればTAb1iiは0.25である。同日が区分Ab2の計画期間開始以前であればTAb2は0である。同日において既に計画期間が終了している区分Xについては計画期間%TXは100%、即ち、1である。
【0052】
【数1】
【0053】
同様に、工事全体Zの計画プログレスカーブ(計画最遅プログレス)は、式(2)を日程カレンダ上の計画期間%毎に計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0054】
【数2】
【0055】
計画最早プログレスは、計算対象とする区分全ての計画が最早日程で達成されたと仮定して1日毎の工数消化率をプロットした曲線のことである。
【0056】
以上の2種類の計画プログレスカーブを実際にプロットした例が図6に示してある。
【0057】
6.実績プログレスカーブの計算方法
実績プログレスカーブは、計算対象とする区分に含まれる最下層区分Xのそれぞれについて完了した実績を物量完了率で評価して計算対象とする区分で総合した値を1日毎にプロットした曲線のことである。
【0058】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの実績プログレスカーブは、その上位区分Abに含まれる全ての最下位層区分について工数KXと物量進捗率%PXとの積を総和し上位区分Abの工数KAbで除す式(3)を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0059】
【数3】
【0060】
同様に、工事全体Zの実績プログレスカーブは、式(4)を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることで得られる。
【0061】
【数4】
【0062】
7.作業能率の計算方法
作業能率とは、累積実績値時間Rの計画時間Kに対する比率R/Kをさらに物量完了率Pで除したものである。これは工数消化率/物量消化率に等しい。もし、工数消化率が10%のときに物量消化率が10%であれば、作業能率=1であり、作業能率は良くも悪くもない。物量消化率が10%であるのに工数消化率が20%にも達していると、作業能率=2であり、作業能率が悪いということになる。反対に、工数消化率が10%であるのに物量消化率が20%にも達していれば、作業能率=0.5、即ち、作業能率が良いということになる。
【0063】
図10の階層構造を有する工事を例にとると、ある上位区分Abの作業能率は、式(5)で定義される。作業能率を毎日計算して日程カレンダ上にプロットすることにより、作業能率の変遷が視覚的に把握しやすくなる。
【0064】
【数5】
【0065】
実績プログレスカーブ、作業能率、時間消化率%を実際にプロットした例が図9に示してある。図9の実績プログレスカーブ画面には、実績プログレスカーブが計画最早プログレスカーブ及び計画最遅プログレスカーブと同じスケール上に示されているので、実績プログレスが計画に比べてどのように進んでいるか、遅れているかを視覚的に把握することができる。図示例では、実績プログレスカーブ(プロット点;丸)が計画最早プログレスカーブ(プロット点;菱形)と計画最遅プログレスカーブ(プロット点;正方形)とのちょうど中間あたりに入っているので、まあまあの進捗状況であることが一目で判る。もし、実績プログレスカーブが左に寄れば快調、右に寄れば遅れ気味、計画最遅プログレスカーブより右側に出ているようであれば、進捗状況がひどく悪いということが一目で判るであろう。また、作業能率(プロット点;*)は1より高く推移しているので、作業能率は悪いということが判る。
【0066】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0067】
(1)最下位層の区分が作業単位を表した区分となり、その作業単位毎に完了・投入した物量・工数を入力するので、第一線の作業単位での実績を個別にかつ正確に把握できる。また、完了・投入した物量・工数から進捗率を算出するので、実際の実績を工事全体での進捗判断に反映できる。
【0068】
(2)作業単位の進捗率を完了物量によって算定するので正確である。また、作業単位の進捗率を計画物量と完了物量との割合で表すので、無名数化され、他の作業単位の進捗率との合算が可能となり、上位階層では個々の作業単位の物量の種類によらず総合的な進捗率が算出できる。
【0069】
(3)最早推移曲線及び最遅推移曲線を作成するので進捗の推移曲線を対比して見ることができる。
【0070】
(4)作業実績入力手段が端末化されているので、大勢の工事関係者が場所や時間に制約されずに入力操作を行うことができる。その場合でも、入力する因数が物量・工数という定量的な値なので、全体的に統一された尺度で各作業単位の進捗を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す建設工事進捗管理システムのハードウェア構成図である。
【図2】本発明により階層化された工事区分のリストの一例を示した印刷面のイメージ図である。
【図3】本発明の建設工事進捗管理システムにおける業務の流れ図である。
【図4】本発明において管理端末に表示される計画立案画面のイメージ図である。
【図5】本発明において管理端末に表示される計画工程表画面のイメージ図である。
【図6】本発明において管理端末に表示される計画プログレスカーブ画面のイメージ図である。
【図7】本発明において現場端末に表示される実績入力画面のイメージ図である。
【図8】本発明において管理端末に表示される実績工程表画面のイメージ図である。
【図9】本発明において管理端末に表示される実績プログレスカーブ画面のイメージ図である。
【図10】本発明により階層化された工事区分の一例を示した階層構造図である。
【符号の説明】
1 サーバ(階層区分情報提供手段、進捗算出手段、推移曲線作成手段)
2 管理端末(計画入力手段)
3 現場端末(作業実績入力手段)
Claims (4)
- 建設工事に投入される物量・工数に基づいて進捗を管理するシステムにおいて、建設工事の全体を工事種類等の大きな概念毎に区分し、各区分を工事箇所等のより小さな概念毎にさらに区分することにより、最下位層の区分が単一の作業班で単一種の物量或いは作業量を代表する単位で表現できる物量を投入して行われる作業内容(以下、作業単位という)を表した区分となるように階層状に区分した階層区分情報を提供する階層区分情報提供手段と、各々の作業単位について計画した物量・工数・工事期間を入力する計画入力手段と、毎日、実行した作業単位毎に投入した物量・工数を入力する作業実績入力手段と、当日まで累積投入した物量・工数・日数を計画した物量・工数・工事期間に対比させて当該作業単位又はその上位階層の区分又は全体の進捗率を算出する進捗算出手段と、日付を横軸座標とし進捗率を縦軸座標にプロットして進捗の推移曲線を作成する推移曲線作成手段を備えたことを特徴とする建設工事進捗管理システム。
- 前記進捗算出手段は、作業単位の進捗率として計画した物量に対する累積完了した物量の割合を求め、上位階層の区分内の複数の作業単位の進捗率にそれぞれ計画した工数を乗じて総和し、この総和を上位階層の計画した工数で除して進捗率を算出することを特徴とする請求項1記載の建設工事進捗管理システム。
- 前記推移曲線作成手段は、工事期間を仮に最早の日数で達成できるとした場合及び遅くともこの時期までには完了しなければならないとした場合に得られる最早推移計画曲線及び最遅推移計画曲線を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の建設工事進捗管理システム。
- 前記作業実績入力手段をコンピュータ(以下、端末という)で構成し、この端末を1以上設け、それぞれの端末が前記階層区分情報提供手段、進捗算出手段及び推移曲線作成手段を構成する別のコンピュータに対して通信回線で接続されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の建設工事進捗管理システム。
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