JP2004093527A - 蛍光共鳴エネルギー転移を用いた蛋白質の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光蛋白質と融合した少なくとも1種類の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に該蛋白質を発現させ、該蛋白質の相互作用または構造変化を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することを含む、蛋白質の分析方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光共鳴エネルギー転移を用いた蛋白質相互作用の分析方法に関する。より詳細には、本発明は、宿主から放出されるバキュロウイルス中に蛋白質を機能的に発現させ、該蛋白質の構造変化または他の蛋白質との相互作用を蛍光共鳴エネルギー転移を利用して分析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バキュロウイルス発現系はバキュロウイルスの高発現蛋白質、特には多角体蛋白質(polyhedrin)遺伝子のプロモーターなどを利用して、目的遺伝子を昆虫細胞(Sf9細胞など)で組換えを起こさせて、大量に発現させる系である。多角体遺伝子に組換えタンパク質を導入し、発現したタンパク質を精製する系バキュロの発現系は、大腸菌やイースト菌を用いる発現系に比べ、膜蛋白質などの疎水性領域を多く持つ蛋白質でも発現タンパク質が凝集を作りにくく、また糖鎖の付加や金属イオンの配位などタンパクの機能に必要な翻訳後修飾がはいるなど利点が多いため膜受容体蛋白質の発現系として多用されている(Tate CG, Grisshammer R., Trends in Biotechnology 1996, 14, pp426−430, Heterologous expression of G−protein−coupled receptors;及び、Grisshammer R, Tate CG, Quarterly Reviews of Biophysics 1995, 28, pp315−422, Overexpression of integral membrane proteins for structural studies)。
【0003】
バキュロウイルスには多角体蛋白質を被った多角体ウイルスとなって核内に存在する他にもう一つの生活環があり、ウイルスが増殖して他の細胞や個体に感染するために,発芽型のウイルス(Budded virus)となってSf9細胞の細胞膜を被って細胞外にでる。この際に上記の多角体蛋白質に組換えた7回膜貫通型受容体がSf9の細胞膜に発現され、発芽したバキュロウイルスのエンベロープ上に回収されることがLoiselらによって報告された(Loisel TP, Ansanay H, St−Onge S, Gay B, Boulanger P, Strosberg AD, Marullo S, Bouvier M., Nat Biotechnol. 1997, Nov. 15(12), pp1300−1304, Recovery of homogeneous and functional beta 2−adrenergic receptors from extracellular baculovirus particles)。宿主細胞に発現された7回膜貫通型受容体は糖鎖構造など機能的でないものが多いのにくらべ、ウイルスエンベロープ上に回収される受容体は機能的な蛋白質のみであることが報告されている。
【0004】
G蛋白質共役型受容体(GPCR; G−protein coupled receptor)は、7回膜貫通型受容体とも呼ばれ、ホルモン、光、臭い又は味などの刺激に反応してシグナルを細胞内に伝達する膜型受容体である(Tate CG, Grisshammer R., Trends in Biotechnology 1996, 14, pp426−430, Heterologous expression of G−protein−coupled receptors;及び、Grisshammer R, Tate CG, Quarterly Reviews of Biophysics 1995, 28, pp315−422, Overexpression of integral membrane proteins for structural studies)。ヒトゲノム上には、におい受容体を含めて700種類程度の遺伝子が存在することが知られている(Venter JG, Adams MD, MyersEW, et al., Science 291, pp1304−1351, 2001, The sequence of the human genome)。これらの多くは、ホルモンやケモカインの受容体であることから、創薬のターゲットとして重要視されている。GPCRはリガンドと結合して三量体G蛋白質を活性化し、三量体G蛋白質のGαサブユニットを解離して、エフェクター蛋白質と相互作用を起こしてシグナルを伝播する。GPCRはG蛋白質と共役することによって高親和性を保っており、このシグナルを検出することは、受容体に対するリガンドの特定や阻害剤のスクリーニングに重要である。
【0005】
FRET(fluorescence resonance energy transfer)は近接した蛍光物質間に起こるエネルギー転移の現象であり、蛍光供与体と蛍光受容体との距離および位置関係によって強さが決まることから、蛋白質のコンフォメーション変化や相互作用の検出に利用されている(Weiss S. Science 283, pp1676−1683, 1999, Fluorescence Spectroscopy of Songle Biomolecules)。また、イオン依存的にコンフォメーション変化を起こす蛋白質を用いて、生細胞でのイオン濃度変化のインジケーターとしても用いられている(Miyawaki A, Llopis, Heim R, McCaffery JM, Adams JA, Ikura M, & Tsien RY., Nature 388, pp882−887, 1997, Fluorescent indicators for Ca based on green fluorescent proteins and calmodulin)。
【0006】
FRETの蛋白質相互作用への応用はオワンクラゲに由来するGFP(green fluorescent protein)の登場によって大きく進展した(Hahn K., Toutchkine A., Current Opinion in Cell Biology 14, pp167−172, 2002)。GFPは発光団のアミノ酸を変異させることにより蛍光スペクトルを変化させることができる。これにより、BFP(blue fluorescent protein)やCFP(cyan fluorescentprotein)をドナーとし、YFP(yellow fluorescent protein)をアクセプターとするFRETの系が可能となった。GFPおよび上記変異蛋白質を目的蛋白質に組み込んで発現させることにより、生細胞での測定が可能となる。細胞内の反応を、FRETを用いた蛋白質相互作用により、リアルタイムで観察することが可能となった。
【0007】
GFPを用いることのデメリットは、それ自体比較的分子量が大きいため、組み込んだ際に目的蛋白質のコンフォメーションが変わってしまい、機能が障害される可能性があることである。特にGPCRの場合、リガンドとの結合、G蛋白質との相互作用等の複雑なシステムの伝達が比較的小さいドメインで行われるため、受容体にGFPを融合した場合、G蛋白質の共役の機能が障害されることが多い。また、G蛋白質自身も3量体形成、GDP/GTP交換反応、GPCRとの共役およびエフェクター蛋白質との相互作用など多岐にわたる機能を有するため、GFPをG蛋白質の機能を保ったまま融合させるのが困難であった。
【0008】
Hughesらは、Gαq蛋白質のヘリカルドメインにGFPを挿入することにより、受容体とのカップリングおよびホスホリパーゼCやGβγ依存性内向性Kチャンネルの活性化などが保たれることを報告している(Hughes T E, Zhang H, Logothetis D E, and Berlot CH. J.Biol.Chem., 276, pp4227−4235, 2001, Visualization of a Functional Gα q−Green Fluorescent Protein Fusion in LivingCells)。同様なことが、Gαi、Gαsについても報告されている(Leaney JL, Benians A, Graves FM, Tinker A, J Biol. Chem., A novel strategy to engineer functional fluorescent inhibitory G−protein alpha subunits;及びYu AZ and Rasenick MM. Molecular Pharmacology, 61(2), pp352−359, 2002, Real−time Visualization of a fluorescent Gαs: Dissociation of the Activated G protein from plasma Membrane)。受容体を介したシグナルの測定としては、粘菌(Dictyostelium discoideum)を用いたG蛋白質のサブユニット間のFRETによる解離の測定が報告されているが、それ以外の細胞等への応用の報告はない(Janetopoulos C, Jin, T, Devreotes P. Science 291, 2408−2411, 2001, Receptor−Mediated Activation of Heterotrimeric G−Proteins in Living Cells)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、蛋白質の相互作用を簡単に検出するための方法を提供することを解決すべき課題とした。より具体的には、本発明は、G蛋白質とそのエフェクター蛋白質との相互作用などのG蛋白質共役型受容体を介したシグナル伝達における蛋白質間の相互作用を簡単に検出するための方法を提供することを解決すべき課題とした。本発明はさらに、シグナル伝達における蛋白質間の相互作用を薬剤の存在下で検出することにより、新規な薬剤をスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、バキュロウイルスにおいて機能的なGPCRとG蛋白質を発現する技術を用いて、蛍光ドナーとしてCFPを導入したアデニレートシクラーゼを発現するリコンビナントウイルス、蛍光アクセプターとしてcitrineをGαsの内部配列に導入した融合蛋白質を発現するリコンビナントウイルス、さらにD1ドーパミン受容体を発現するリコンビナントウイルスを共感染させることにより、バキュロウイルスのエンベロープ上に受容体複合体を再構成し、ドーパミン刺激により活性化されたG蛋白質とアデニレートシクラーゼとの相互作用をFRETにより測定することにより、リガンド結合による受容体を介したシグナル伝達を測定することに成功した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0011】
即ち、本発明によれば、蛍光蛋白質と融合した少なくとも1種類の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に該蛋白質を発現させ、該蛋白質の相互作用または構造変化を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することを含む、蛋白質の分析方法が提供される。
【0012】
好ましくは、第一の蛍光蛋白質と融合した第一の蛋白質をコードする遺伝子、及び第二の蛍光蛋白質と融合した第二の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に第一の蛋白質と第二の蛋白質とを同時発現させて該蛋白質同士を相互作用させ、該相互作用を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出する。
【0013】
好ましくは、第一の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスと、第二の蛍光蛋白質と融合した第二の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスとを感染させた宿主を培養する 。
好ましくは、第一の蛋白質がG蛋白質であり、第二の蛋白質がG蛋白質のエフェクター蛋白質である。
【0014】
好ましくは、G蛋白質共役型受容体をコードする組み換えバキュロウイルスを宿主にさらに感染させる。
好ましくは、G蛋白質共役型受容体に対するリガンドの存在下で宿主を培養する。
【0015】
好ましくは、宿主から放出されるバキュロウイルスが発芽バキュロウイルスである。
好ましくは、宿主は昆虫細胞又は昆虫幼虫である。
【0016】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の分析方法において、被験物質の存在下において蛋白質の相互作用を分析し、該相互作用を促進又は阻害する物質をスクリーニングする方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のスクリーニング方法により得られる、蛋白質の相互作用を促進又は阻害する物質が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様及び実施方法について詳細に説明する。
本発明による蛋白質の分析方法は、蛍光蛋白質と融合した少なくとも1種類の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に該蛋白質を発現させ、該蛋白質の相互作用または構造変化を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することを特徴とする。
【0018】
本発明の分析方法は、好ましくは、第一の蛍光蛋白質と融合した第一の蛋白質をコードする遺伝子、及び第二の蛍光蛋白質と融合した第二の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に第一の蛋白質と第二の蛋白質とを同時発現させて該蛋白質同士を相互作用させ、該相互作用を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することにより行う。上記のように2種類の蛋白質を共発現させる場合、上記2種類の蛋白質をコードする遺伝子は同一の組換えバキュロウィルス中に含めてもよいし、異なる組換えバキュロウイルス中に含めてもよい。
【0019】
本発明では、第一の蛋白質としてG蛋白質を使用し、第二の蛋白質としてG蛋白質のエフェクター蛋白質を使用することが好ましい。この場合、G蛋白質共役型受容体をコードする組み換えバキュロウイルスを宿主にさらに感染させ、G蛋白質共役型受容体に対するリガンドの存在下で宿主を培養することにより、リガンドが受容体に結合することによる該受容体を介したシグナル伝達を測定することが可能である。
【0020】
上述の通り、本明細書で言う「G蛋白質共役型受容体」とは7回膜貫通型受容体とも呼ばれ、ホルモン、光、臭い又は味などの刺激に反応してシグナルを細胞内に伝達する膜型受容体である。G蛋白質共役型受容体の多くは、ホルモンやケモカインの受容体であり、リガンドと結合して三量体G蛋白質を活性化し、三量体G蛋白質のGαサブユニットを解離して、エフェクター蛋白質と相互作用を起こしてシグナルを伝播する。
【0021】
本発明で言うG蛋白質とは、3量体G蛋白質が挙げられる。G蛋白質のαサブユニットとして次のものが挙げられる。GsクラスのGαs、Gαolf。GiクラスのGαi1、Gαi2、Gαi3、Gαo1、Gαo2、Gαt1、Gαt2、Gαgust。Gq クラスの Gαq、Gα11、Gα14、Gα15、Gα16。G12クラスのGα12、Gα13。またこれらαサブユニットと三量体を形成するβおよびγサブユニットとして、それぞれβ1からβ5までおよびγ1からγ11までが挙げられる。
【0022】
G蛋白質のエフェクター蛋白質としては、アデニレートシクラーゼ、ホスホリパーゼCβ、及びRhoGEFなどが挙げられる。Gαs及びGαiはアデニレートシクラーゼを、GαqはホスホリパーゼCβを、Gα12及びGα13はRhoGEFをぞれぞれエフェクター蛋白質とする。
【0023】
また、G蛋白質共役型受容体蛋白質(そのリガンドを括弧内に示す)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1)ロドプシン/βアドレナリン受容体様 G タンパク質共役型受容体タンパク質として、BLT1(ロイコトリエンB4),ETA, ETB(エンドセリン),AT1(アンギオテンシン),EDG(スフィンゴシンリン酸),CCR, CXCR (ケモカイン), α1、α2、β1、β2、β3(ノルエピネフリン)、M1, M2, M3(アセチルコリン)、5−HT1A(セロトニン)、NK−1(サブスタンスP)、Y1(ニューロペプチドY)、B1, B2(ブラジキニン)、V1A(バソプレッシン)、CB1, CB2(アナンダマイド), D1, D2, D3(ドーパミン),におい受容体,MT1, MT2, MT3(メラトニン),光受容体などが挙げられる。
(2)グルカゴン/VIP(Vasoactive intestinal peptide)/カルシトニン受容体様 G タンパク質共役型受容体タンパク質として、カルシトニン受容体(カルシトニン)、VIP1, VIP2 (Vasoactive intestinal peptide)、CRF1(corticotropin−releasing factor), PTH受容体(パラトルモン)などが挙げられる。
(3)代謝型神経伝達物質/カルシウム受容体様 G タンパク質共役型受容体タンパク質として、mglu1, mglu2(グルタミン酸)、GABAB(γ−アミノ酪酸),味受容体などが挙げられる。
(Gether, U. Uncovering molecular mechanisms involved in activation of Gprotein−coupled receptors. Endocrine Reviews (2000) 21, 90−113)(1998 Receptor and Ion Channel Nomenclature Supplement, Trends in Pharmacological Science, 1998)
【0024】
本発明の方法では、第一の蛋白質(例えば、G蛋白質)及び第二の蛋白質(例えば、G蛋白質のエフェクター蛋白質)を、それぞれ蛍光アクセプター及び蛍光ドナーとして作用する2種類の蛍光蛋白質の何れかとの融合蛋白質の形で発現させる。例えば、第一の蛋白質(例えば、G蛋白質)を蛍光アクセプター蛋白質と融合させ、第二の蛋白質(例えば、G蛋白質のエフェクター蛋白質)を蛍光ドナー蛋白質と融合させることができるし、あるいはその逆に第一の蛋白質を蛍光ドナー蛋白質と融合させ、第二の蛋白質を蛍光アクセプター蛋白質と融合させてもよい。
【0025】
本発明では、2種類の異なる蛍光波長を有する蛍光蛋白質を使用し、これらの蛍光蛋白質の間で起きる蛍光共鳴エネルギートランスファーにより生じる蛍光を測定する。本発明で用いる蛍光蛋白質の種類は特に限定されるものではないが、例えば、シアン蛍光蛋白質(CFP)、黄色蛍光蛋白質(YEP)、緑色蛋白質(GFP)、赤色蛍光蛋白質(REP)、青色蛍光蛋白質(BFP)又はそれらの変異体などが挙げられる。
【0026】
本明細書で言う、シアン蛍光蛋白質、黄色蛍光蛋白質、緑色蛋白質、赤色蛍光蛋白質、青色蛍光蛋白質又はそれらの変異体とは、各々公知の蛍光蛋白質だけでなく、それらの変異体(例えば、上記蛍光蛋白質の蛍光強度を増強した、ECFP、EYFP、EGFP、ERFP、EBFPなど)の全てを包含する意味である。例えば、緑色蛍光蛋白質の遺伝子は単離され配列も決定されている(Prasher,D.C.ら(1992),”Primary structure of the Aequorea victoria green fluorescent protein”,Gene 111:229−233)。その他の蛍光蛋白質又はその変異体のアミノ酸配列も多数報告されており、例えば、Roger Y.Tsien, Annu.Rev.Biochem.1998. 67:509−44、並びにその引用文献に記載されている。緑色蛍光蛋白質(GFP)、黄色蛍光蛋白質(YFP)またはそれらの変異体としては、例えば、オワンクラゲ(例えば、エクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria))由来のものを使用できる。
【0027】
GFP、YFPとそれらの変異体の一例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、F99Sという表示は、99番目のアミノ酸残基がFからSに置換していることを示し、他のアミノ酸置換についても同様の表示に従って示す。
【0028】
野生型GFP;
F99S,M153T,V163Aのアミノ酸変異を有するGFP;
S65Tのアミノ酸変異を有するGFP;
F64L,S65Tのアミノ酸変異を有するGFP;
S65T,S72A,N149K,M153T,I167Tのアミノ酸変異を有するGFP;
S202F,T203Iのアミノ酸変異を有するGFP;
T203I,S72A,Y145Fのアミノ酸変異を有するGFP;
S65G,S72A,T203Fのアミノ酸変異を有するGFP(YFP);
S65G,S72A,T203Hのアミノ酸変異を有するGFP(YFP);
S65G,V68L,Q69K,S72A,T203Yのアミノ酸変異を有するGFP(EYFP−V68L,Q69K);
S65G,S72A,T203Yのアミノ酸変異を有するGFP(EYFP);
S65G,S72A,K79R,T203Yのアミノ酸変異を有するGFP(YFP);
【0029】
本発明で用いる蛍光蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列などは公知である。蛍光蛋白質をコードする遺伝子は市販のものを使用することもできる。例えば、クロンテック社から市販されている、EGFPベクター、EYFPベクター、ECFPベクター、EBFPベクターなどを用いることができる。
【0030】
本発明で用いることができる蛍光ドナー/蛍光アクセプターの組み合わせとしては、CFP/YFP又はBFP/GFPなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、以下の実施例に記載の通り、蛍光ドナーとしてECFPを使用し、蛍光アクセプターとしてYFPの改変体であるcitrine(YFP Q69M改変体)を使用することができる。
蛍光蛋白質が融合蛋白質をコードする遺伝子の構築は、当業者に公知の通常の遺伝子組み換え技術を用いて行うことができる。
【0031】
本発明では、上記した蛍光融合蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを使用する。
昆虫に感染して病気を起こすウイルスであるバキュロウイルスは、環状の二本鎖DNAを遺伝子としてもつエンベロープウイルスで、鱗翅目、膜翅目および双翅目などの昆虫に感受性を示す。バキュロウイルスの中で、感染細胞の核内に多角体(ポリヒドラ)と呼ばれる封入体を大量につくる一群のウイルスが核多角体病ウイルス(NPV)である。多角体は、分子量31kDaのポリヘドリンタンパクより構成され、感染後期に大量につくられその中に多数のウイルス粒子を埋め込んでいる。多角体はウイルスが自然界で生存するためには必須であるが、ウイルスの増殖そのものには必要ないので、多角体遺伝子の代わりに発現させたい外来遺伝子を挿入してもウイルスは全く支障なく感染し増殖する。
【0032】
本発明で用いられるバキュロウイルスとしては、NPVのキンウワバ亜科のオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPV(AcNPV)やカイコのボンビックス・モリ(Bombyx mori )NPV(BmNPV)などのウイルスがベクターとして用いることができる。
【0033】
AcNPVの宿主(感染、継代細胞)としてはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda )細胞(Sf細胞)などが挙げられ、BmNPVの宿主(感染、継代細胞)としてはBmN4細胞などが挙げられる。Sf細胞は、BmN4細胞などに比べ増殖速度が速いこと、また、AcNPVはヒト肝細胞およびヒト胎児腎細胞などにも感染する能力を有することから、AcNPV系のベクターが好ましい。
【0034】
宿主としては、Spodoptera Frugiperda細胞系統Sf9およびSf21などがS.frugiperda幼虫の卵巣組織から確立しており、Invitrogen社あるいはPharmingen社(San Diego,CA)、又はATCCなどから入手可能である。さらに、生きている昆虫幼虫を宿主細胞系として使用することもできる。
【0035】
本発明で用いる組換えウイルスを構築する方法は、常法に従って行えばよく、例えば次の手順で行うことができる。
先ず、発現させたい蛋白質の遺伝子をトランスファーベクターに挿入して組換えトランスファーベクターを構築する。
トランスファーベクターの全体の大きさは一般的には数kb〜10kb程度であり、そのうちの約3kbはプラスミド由来の骨格であり、アンピシリン等の抗生物質耐性遺伝子と細菌のDNA複製開始のシグナルを含んでいる。通常のトランスファーベクターではこの骨格以外に、多角体遺伝子の5’領域と3’領域をそれぞれ数kbずつ含み、以下に述べるようなトランスフェクションを行った際に、この配列間で目的遺伝子と多角体遺伝子との間で相同組換えが引き起こる。また、トランスファーベクターには蛋白質遺伝子を発現させるためのプラモーターを含むことが好ましい。プロモーターとしては、多角体遺伝子のプロモーター、p10遺伝子のプロモーター、キャプシド遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
【0036】
トランスファーベクターの種類は特に限定されない。トランスファーベクターの具体例としては、AcNPV系トランスファーベクターとしては、pEVmXIV2、pAcSG1、pVL1392/1393、pAcMP2/3、pAcJP1、pAcUW21、pAcDZ1、pBlueBacIII、pAcUW51、pAcAB3、pAc360、pBlueBacHis、pVT−Bac33、pAcUW1、pAcUW42/43などが挙げられ、BmNPV系トランスファーベクターとしては、pBK283、pBK5、pBB30、pBE1、pBE2、pBK3、pBK52、pBKblue、pBKblue2、pBFシリーズ(以上、フナコシ株式会社、藤沢薬品工業株式会社等から入手可能)などが挙げられる。
【0037】
次に、組換えウイルスを作製するために、上記の組換えトランスファーベクターをウイルスと混合した後、宿主として用いる培養細胞に移入するか、あるいは予めウイルスで感染させた宿主として用いる培養細胞に上記のトランスファーベクターを移入し、組換えトランスファーベクターとウイルスゲノムDNAとの間に相同組み換えを起こさせ、組み換えウイルスを構築する。
【0038】
ここで宿主として用いる培養細胞とは、上記した宿主が挙げられ、通常、昆虫培養細胞(Sf9細胞やBmN細胞など)である。培養条件は、当業者により適宜決定されるが、具体的にはSf9細胞を用いた場合は10%ウシ胎児血清を含む培地で、28℃前後で培養することが好ましい。このようにして構築された組み換えウイルスは、常法、例えばプラークアッセイなどによって精製することができる。なお、このようにして作製された組換えウイルスは、核多角体病ウイルスの多角体蛋白質の遺伝子領域に外来のDNAが置換または挿入されており多角体を形成することができないため、非組換えウイルスと容易に区別することが可能である。
【0039】
本発明の方法では、上記した組み換えウイルスを適当な宿主(Spodoptera Frugiperda細胞系統Sf9およびSf21などの培養細胞、又は昆虫幼虫など)に感染させ、一定時間後(例えば、72時間後等)に培養上清から細胞外発芽ウイルス(budded virus, BV)を遠心などの分離操作によって回収することができる。なお、組換えバキュロウイルスは1種類のみ感染させてもよいし、2種類以上の組換えバキュロウイルスを組み合わせて共感染させてもよい。
【0040】
細胞外発芽バキュロウイルスの回収は、例えば、以下のように行うことができる。先ず感染細胞の培養液を500〜1,000gで遠心分離して、細胞外発芽バキュロウイルスを含む上清を回収する。この上清を約30,000〜50,000gで遠心分離して細胞外発芽バキュロウイルスを含む沈殿物を得ることができる。上記のようにして回収される発芽バキュロウイルスは、蛍光蛋白質と融合した融合蛋白質を含むものである。
【0041】
上記のようにして調製した発芽型バキュロウイルスのFRET現象は、例えば、石英セル中でBV画分懸濁液について、減光フィルターで2mW 程度の出力にした410 nm紫レーザーダイオード(日亜化学工業)を光源に励起し、GG435ロングパスフィルター(Control Optics)を用いて435 nmより長波長側について測定することにより分析することができる。蛍光は、例えば、30cm分光系(300lines/cm;Blaze 500nm)(Acton research)で分光し、液体窒素冷却CCDカメラ(512x512pixel; 深さ16bit)(Princeton Instrument)にて検光することができる。蛍光ドナー/蛍光アクセプターの組み合わせとしてCFP/YFPを使用する場合には、CFPおよびYFPの各波長積分範囲を465−495nmおよび510−540nmとして、蛍光強度の比を算出することができる。
【0042】
本発明はさらに、上記した蛋白質の分析方法において、被験物質の存在下において蛋白質の相互作用を蛍光共鳴エネルギートランスファーを利用して分析し、該相互作用を促進又は阻害する物質をスクリーニングする方法を提供する。
【0043】
スクリーニングに供される被験物質としては、例えばペプチド、ポリペプチド、合成化合物、微生物発酵物、生物体(植物又は動物の組織、微生物、又は細胞などを含む)からの抽出物、あるいはそれらのライブラリーが挙げられる。ライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)などが挙げられる。スクリーニングに供される化学物質は、天然物でも合成物でもよく、また候補となる単一の化学物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる化学物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。また、細胞抽出物のような混合物を分画したものについてスクリーニングを行い、分画を重ねて、所望の活性を有する物質を単離することも可能である。
【0044】
これらの被験物質は、膜型受容体蛋白質とリガンドとの相互作用、膜型受容体蛋白質とG蛋白質との相互作用、又はG蛋白質とそのエフェクター蛋白質との相互作用を促進又は阻害することが予想される物質であることが好ましい。
本発明のスクリーニング方法により、膜型受容体蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物、G蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物、又はG蛋白質のエフェクターに対する阻害薬または活性化薬物をスクリーニングすることが可能である。本発明のスクリーニング方法により得られる、このような蛋白質の相互作用を促進又は阻害する物質も本発明の範囲内である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0045】
【実施例】
実施例1:ドパミン受容体D1を発現する組換えバキュロウイルスの調製
(1)細胞の培養と感染、および発芽型バキュロウイルスの収集
ヒト胎児脳cDNAからPCR法により増幅して得られたヒトドパミン受容体 D1 (DR−D1)全長cDNA をpBlueBacHis2C (Invitrogen)へ組み込み、pBluBac−His−DR−D1を作成した。Sf9細胞(Invitrogen)は完全培地(10%ウシ胎児血清(Sigma)、100 units/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含むGrace’s supplemented media(GIBCO BRL))で27℃で10 cm径ディッシュに継代培養した。大量培養は1 L容量のスピナーフラスコ(Wheaton)にて完全培地に0.001% pluronic F−68(GIBCO BRL)を添加して行なった。組み換えバキュロウイルスの作成は説明書(Bac−N−BlueTM Transfection Kit, Invitrogen)に従い、Sf9細胞にBac−N−Blue DNA(ApMNPV由来)とpBluBac−His−DR−D1とを共感染させ組み換えウイルスを作成した。
【0046】
(2)発芽型バキュロウイルスにおける受容体発現のWestern Blotによる解析
Sf9細胞を1 L容量のスピナーフラスコ(Wheaton)に2x106個 / ml 濃度で500 ml培養し、(1)で作成した組み換えウイルスをMOI=5で感染させ、72時間後の培養液を実験に用いた。培養液は800 xg、10分間遠心し、沈澱および上清に分離した。800 xgの遠心後の上清を40,000 xg、25分遠心し、沈澱をPBSに懸濁後、再度40,000 xg、25分遠心した。沈澱をPBSに懸濁し, 800xg, 10分遠心して凝集物を除いた後に、再度、40,000xg、25分遠心して得られた沈澱をPBSに懸濁して、発芽型ウイルス画分(BV画分)とした。
BV画分におけるDR−D1の発現はHis−tagを認識する抗His抗体(Sigma)を用いたWestern Blotにより確認した(図1)。
【0047】
(3)発芽型バキュロウイルスにおける受容体に対するリガンド結合能解析
BV画分のリガンド結合能は、 7,8−3H−Dopamine(Amersham) 結合実験により確認した。3H−Dopamine結合実験は、7, 8−3H−Dopamineを含むbinding buffer(50 mM Tris−HCl pH 7.4、10mM MgCl2、10 mM NaCl、0.5 % fatty acid−free BSA)にDR−D1 BV画分を加えて反応液量500μlとし、室温で90分、反応させて行なった。反応液をフタル酸ジ−n−ブチル/フタル酸ジオクチル1:1混合液500μl 上に重層し、15,000xg, 10分間、室温にて遠心して、ウイルスを沈澱として回収した。沈澱をbinding bufferで3回洗浄、風乾後、液体シンチレーションカウンターで、沈澱物中に含まれるトリチウムの量を測定することにより、受容体と結合した3H−dopamineの量を算出した。3H−dopamineの結合量は、反応液中に加えた標識dopamineの濃度依存的に増加した。更にこの3H−dopamineの結合は、非標識dopamineまたはDR−D1アンタゴニスト(SCH23390)により、阻害された。以上より、発芽型バキュロウイルス上に発現したDR−D1は、リガンド結合活性を有することが確認された。
【0048】
実施例2:発芽型バキュロウイルスにおけるGタンパク質共役型受容体活性化によるGタンパク質およびエフェクタータンパク質の相互作用のFRET現象による検出
Gタンパク質は、共役する受容体への特異的リガンド結合により活性化され、活性化後にエフェクタータンパク質と総称される各種酵素と相互作用し、それら酵素分子の活性を調節する。アデニル酸シクラーゼは活性型Gs様Gタンパク質と相互作用することによりサイクリックAMP(cAMP)産生を上昇させるエフェクタータンパク質である。ドパミン受容体はGs様Gタンパク質と共役し、ドパミンの特異的結合によって活性型となったGs様Gタンパク質はアデニル酸シクラーゼと相互作用し活性を上昇することが報告されている。また、ドパミンは血小板活性化因子受容体(PAFR)への特異的結合を示さない。
【0049】
(1)蛍光タンパク質融合シグナル分子組み換えバキュロウイルスの作成
ヒトGαScDNAおよびヒトVI型アデニル酸シクラーゼ(AC VI)cDNAは、ヒト胎児脳cDNAライブラリーよりPCRによってクローニングした。蛍光タンパク質であるCitrine (YFP Q69M改変体) cDNAは、pEYFP−C1(Clontech)プラスミドについてQuickChange Site−Directed Mutagenesis(Stratagene)を用いた塩基置換変異を行ない作成した。ヒトGαSのヘリカルドメイン内にCitrineを融合発現するため、ヒトGαScDNAおよびCitrine cDNAをテンプレートDNAとしたOverlap extension PCRにより、GαSの127Dおよび128FのcDNA間にCitrineのcDNA配列を挿入した。この際、CitrineのNおよびC末端部にはリンカーとしてSGGGGSのペプチド鎖cDNAをそれぞれ付加した。作成したCitrine挿入GαScDNAはpBlueBac4.5ベクター(Invitrogen)へ組込んだ。ECFPとアデニル酸シクラーゼを融合発現するため、クローニングしたAC VIcDNAをpECFP−N1プラスミド(Clontech)に組込み、ECFP遺伝子をAC VI遺伝子3’末端に融合させた。さらにこのECFP融合ACVI cDNAをpBlueBac4.5ベクター(Invitrogen)へ組込んだ。実施例1(1)で示した組換えバキュロウイルスの作成法により、Citrine挿入αS(αS−Citrine)組換えバキュロウイルスおよびECFP融合AC VI(AC VI−ECFP)組換えバキュロウイルスを調製した。
また、PAF受容体(PAFR)組換えバキュロウイルスは、PAFR cDNAをpBlueBacHis2Aに組込み、実施例1(1)で示した組換えバキュロウイルスの作成法により作成した。
【0050】
(2)発芽型バキュロウイルスにおける蛍光タンパク質融合シグナル分子によるFRET現象検出
2x106細胞/ml濃度のSf9細胞200 mlに、DR−D1およびGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC VI−ECFPの各組換えバキュロウイルスをそれぞれMOI=1.5:1.5:1.5:1.5:2.0で共感染させ、72時間後にBV画分を調製しTBS(10mM Tris, 150mM NaCl, pH7.5)バッファーへ懸濁した。また同様に、PAFRおよびGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC VI−ECFPの各組換えバキュロウイルスをそれぞれMOI=1.5:1.5:1.5:1.5:2.0で共感染させ、発芽型バキュロウイルスを調製した。
【0051】
各組み合わせで調製した発芽型バキュロウイルスの蛍光は、石英セル中0.5 mg/ml濃度BV画分懸濁液について、減光フィルターで2mW 程度の出力にした410 nm紫レーザーダイオード(日亜化学工業)を光源に励起し、GG435ロングパスフィルター(Control Optics)を用いて435 nmより長波長側について測定した。蛍光は30cm分光系(300lines/cm; Blaze 500nm)(Acton research)で分光し、液体窒素冷却CCDカメラ(512x512pixel; 深さ16bit)(Princeton Instrument)にて検光した。CFPおよびYFPの各波長積分範囲を465−495nmおよび510−540nmとし、蛍光強度の比を算出した。
【0052】
DR−D1およびGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC VI−ECFPの組換えバキュロウイルスを共感染させ得られた発芽型バキュロウイルスについて100μMドパミン (Sigma)による刺激を行なった場合、蛍光強度比(YFP/CFP)の上昇が確認出来た(図2)。一方、ドパミンと結合しないPAFRおよびGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC VI−ECFPの組換えバキュロウイルスを共感染させ得られた発芽型バキュロウイルスでは100μMドパミン刺激による蛍光強度比(YFP/CFP)の上昇は認められなかった(図2)。以上のことから、発芽型バキュロウイルスにおけるドパミンのDR−D1への特異的結合によるGαS−CitrineおよびAC VI−ECFPの相互作用、すなわち特異的リガンド刺激による受容体活性化後のシグナル伝達についてFRET現象による検出が可能であることが確認された。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、G蛋白質とそのエフェクター蛋白質との相互作用などのG蛋白質共役型受容体を介したシグナル伝達における蛋白質間の相互作用を簡単に検出することが可能になった。本発明によれば、シグナル伝達における蛋白質間の相互作用を薬剤の存在下で検出することにより、新規な薬剤をスクリーニングすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、D1−ドーパミン受容体発現ウイルスと感染Sf9細胞を用いたウエスタンブロットの結果を示す。レーン1は野生型発芽ウイルス、レーン2はD1−DRを発現する発芽ウイルス、レーン3は野生型Sf9細胞膜画分、レーン4はD1−DRを発現したSf9細胞膜画分を示す。
【図2】図2は、100μMドパミン刺激による受容体特異的FRET現象の検出を示す。YFP波長領域:465−495nm
CFP波長領域:510−540nm
D1/Gs−Citrine/AC6−ECFP:D1及びGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC6−ECFP共発現バキュロウイルス
PAFR/Gs−Citrine/AC6−ECFP:PAFR及びGαS−Citrine、Gβ、Gγ、AC6−ECFP共発現バキュロウイルス
Claims (10)
- 蛍光蛋白質と融合した少なくとも1種類の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に該蛋白質を発現させ、該蛋白質の相互作用または構造変化を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することを含む、蛋白質の分析方法。
- 第一の蛍光蛋白質と融合した第一の蛋白質をコードする遺伝子、及び第二の蛍光蛋白質と融合した第二の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出されるバキュロウイルス中に第一の蛋白質と第二の蛋白質とを同時発現させて該蛋白質同士を相互作用させ、該相互作用を蛍光共鳴エネルギートランスファーにより検出することを含む、請求項1に記載の分析方法。
- 第一の蛍光蛋白質と融合した第一の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスと、第二の蛍光蛋白質と融合した第二の蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスとを感染させた宿主を培養する、請求項2に記載の分析方法。
- 第一の蛋白質がG蛋白質であり、第二の蛋白質がG蛋白質のエフェクター蛋白質である、請求項2又は3に記載の方法。
- G蛋白質共役型受容体をコードする組み換えバキュロウイルスを宿主にさらに感染させる、請求項1から4の何れかに記載の方法。
- G蛋白質共役型受容体に対するリガンドの存在下で宿主を培養する、請求項1から5の何れかに記載の方法。
- 宿主から放出されるバキュロウイルスが発芽バキュロウイルスである、請求項1から6の何れかに記載の分析方法。
- 宿主が昆虫細胞又は昆虫幼虫である、請求項1から7の何れかに記載の分析方法。
- 請求項1から8の何れかに記載の分析方法において、被験物質の存在下において蛋白質の相互作用を分析し、該相互作用を促進又は阻害する物質をスクリーニングする方法。
- 請求項9に記載のスクリーニングする方法により得られる、蛋白質の相互作用を促進又は阻害する物質。
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