JP2010233491A - Fretプローブ、発現ベクター、細胞、およびfret測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標的分子との特異的な結合に伴う構造変化により、蛍光共鳴エネルギー移動を発生させるFRETプローブであって、光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナー領域と、励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプター領域と、ドナー領域とアクセプター領域の間に連結され、標的分子との特異的な結合に伴って構造変化することによりドナー領域とアクセプター領域を近接させる構造変化領域とを有し、アクセプター領域は、互いに連続配置され、励起エネルギーを受けて蛍光を発するアクセプター分子が結合する複数のアクセプター結合配列または励起エネルギーを受けて蛍光を発する複数の蛍光タンパク質を有する。
【選択図】図1
Description
標的分子との特異的な結合に伴う構造変化により、蛍光共鳴エネルギー移動を発生させるFRETプローブであって、
光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナー領域と、
前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプター領域と、
前記ドナー領域と前記アクセプター領域の間に連結され、前記標的分子との特異的な結合に伴って構造変化することにより前記ドナー領域と前記アクセプター領域を近接させる構造変化領域とを有し、
前記アクセプター領域は、互いに連続配置され、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するアクセプター分子が結合する複数のアクセプター結合配列または前記励起エネルギーを受けて蛍光を発する複数の蛍光タンパク質を有することを特徴とするFRETプローブを提供するものである。
また、各アクセプター結合配列は、1つの前記アクセプター分子を結合することが好ましい。
また、前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するドナー分子が結合する1つのドナー結合配列を有することが好ましい。
また、前記ドナー結合配列は、1つの前記ドナー分子を結合することが好ましい。
また、前記アクセプター領域に結合する1つの前記アクセプター分子は、前記標的分子の特異的な結合に伴う前記構造変化領域の構造変化により、前記ドナー領域の前記ドナー分子と対向することが好ましい。
また、前記アクセプター領域の複数の前記蛍光タンパク質は、互いにリンカーで連結されていることが好ましい。
また、前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発する蛍光タンパク質から構成されることが好ましい。
前記標的分子と連結し、光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナー領域と、
前記結合分子と連結し、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプター領域とを有し、
前記アクセプター領域は、互いに連結配置され、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するアクセプター分子を結合する複数のアクセプター結合配列または前記励起エネルギーを受けて蛍光を発する複数の蛍光タンパク質を有することを特徴とするFRETプローブを提供するものである。
また、前記アクセプター結合配列は、1つの前記アクセプター分子を結合することが好ましい。
また、前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するドナー分子が結合する1つのドナー結合配列を有することが好ましい。
また、前記ドナー結合配列は、1つの前記ドナー分子を結合することが好ましい。
また、前記アクセプター領域に結合する1つの前記アクセプター分子は、前記標的分子と前記結合分子との特異的な結合により、前記ドナー領域のドナー分子と対向することが好ましい。
また、前記アクセプター領域は、互いにリンカーで連結される複数の前記蛍光タンパク質を有することが好ましい。
また、前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発する蛍光タンパク質から構成されることが好ましい。
また、本発明は、上記に記載の発現ベクターを有する細胞を提供するものである。
また、本発明は、上記のいずれかに記載のFRETプローブを細胞に導入し、前記細胞に光ビームを照射し、前記ドナー領域から前記アクセプター領域への蛍光共鳴エネルギー移動を測定するFRET測定方法を提供するものである。
ここで、前記蛍光共鳴エネルギー移動の測定は、前記ドナー領域から発せられる蛍光の蛍光寿命の検出により行われることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態1に係るFRETプローブ10の模式図である。同図に示すFRETプローブ10は、図示しない標的分子との特異的な結合に伴う構造変化により蛍光共鳴エネルギーを発生させるものであって、光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発する蛍光色素を結合するためのドナー領域14と、標的分子との特異的な結合に伴って構造変化する構造変化領域16と、励起エネルギーを受けて蛍光を放出する蛍光色素を結合するためのアクセプター領域18と、これらの領域を互いに連結する複数のリンカー20とを有して構成される。
ここで、蛍光共鳴エネルギー移動は光学的手法を用いて観察することができる。例えば、蛍光共鳴エネルギー移動に伴うアクセプター分子28からの蛍光強度並びに蛍光寿命および蛍光共鳴エネルギー移動に伴うドナー分子22の蛍光強度並びに蛍光寿命により観察することができる。
調整されたFRETプローブ10をコードする核酸は、例えば制限酵素配列を利用してベクターに挿入することができる。なお、ベクターは蛍光共鳴エネルギー移動の測定に使用する細胞内でFRETプローブ10を発現できるものであれば特に限定されない。このようにして得られた発現ベクターは、公知の形質転換方法に従い細胞内に導入することができ、形質転換された細胞(FRETプローブ10が導入された細胞)をFRETプローブ10の発現可能な条件で培養する。このような方法により、FRETプローブ10が作成できる。
ここで、FRETプローブ10のアクセプター領域18に3つのアクセプター分子28を配列したことで、標的分子を有する細胞32において、ドナー分子22の励起エネルギーがアクセプター分子28へ移動し易くなる。すなわち、励起エネルギーの移動効率が高くなる。また、構造変化領域16の構造変化の誤差等に起因してドナー分子22とアクセプター分子28との距離にずれが生じた場合でも、少なくとも1つの他のアクセプター分子28がこれを補って励起エネルギーの移動を生じさせるため、蛍光共鳴エネルギー移動を起こし易くすることができる。
なお、アクセプター分子28からの蛍光強度および蛍光寿命のみを基に解析を行うと、アクセプター分子28からの蛍光には、ドナー分子22からの励起エネルギーによる蛍光だけでなく光ビームによりアクセプター分子28が直接励起されたことによる蛍光も含まれるため、解析結果に誤差が生じるおそれがある。一方、ドナー分子22からの蛍光は、ドナー分子22からアクセプター分子28へ移動しなかった励起エネルギーによりドナー分子22から発せられる蛍光(励起エネルギーの移動量に応じて変化する蛍光)である。このように、ドナー分子22からの蛍光は、蛍光共鳴エネルギー移動に関係しないエネルギーによる蛍光を含むおそれが少ないため、ドナー分子22からの蛍光強度および蛍光寿命を基に解析を行うのが好ましい。
また、実験系の確立していない標的分子であってもその特性に縛られることなく柔軟なFRETプローブ10の設計ができる。すなわち、標的分子の構造等によりFRETプローブ10の設計が困難で、近接したドナー分子22とアクセプター分子28の位置にずれが生じる場合でも、他のアクセプター分子28がそれを補いドナー分子22からの励起エネルギーを受け取ることができるため、FRETプローブ10の柔軟な設計が可能である。
また、ドナー分子22からアクセプター分子28へのFRET効率が高まることにより、蛍光共鳴エネルギー移動を高感度に観察することができる。
また、遺伝子工学的手段によりアクセプター結合配列30a〜30cをそれぞれ連結して配置すればよく、簡便な作業により蛍光共鳴エネルギー移動の効率を高めることができる。
図5は、本発明の実施形態2に係るFRETプローブ50の模式図である。同図に示すFRETプローブ50は、標的分子52と結合分子54との特異的な結合により、蛍光共鳴エネルギー移動を発生させる2分子からなるFRETプローブ50であって、光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナープローブ部56と、励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプタープローブ部58とを有して構成される。
ドナープローブ部56は、図示しないドナー分子を結合するためのアミノ酸配列である1つのドナー結合配列60を有するドナー領域62と、ドナー領域62に連結された標的分子52を有する。
アクセプタープローブ部58は、図示しないアクセプター分子を結合するためのアミノ酸配列である3つのアクセプター結合配列64a〜64cを順次連結して構成されるアクセプター領域66と、アクセプター領域66に連結され標的分子52と特異的に結合する結合分子54を有する。また、アクセプター結合配列64a〜64cは、標的分子52と結合分子54との特異的な結合に伴いドナー領域62とアクセプター領域66とが近接する時に、アクセプター領域66に結合する少なくとも1つのアクセプター分子がドナー領域62に結合するドナー分子と蛍光共鳴エネルギー移動を発生し得る距離に近接するように設計される。
なお、光ビームが照射されドナー分子70からアクセプター分子72へ移動しなかった励起エネルギーにより、ドナー分子70も蛍光を放出する。また、アクセプター分子72は、直接アクセプター分子72に照射された光ビームによる蛍光も放出する。
また、実施形態1および2のドナー結合配列24および60は、それぞれ1つのドナー分子22および70を結合するためのアミノ酸配列であるが、複数のドナー分子22および70を結合するためのアミノ酸配列であってもよい。また、実施形態1および2のアクセプター結合配列30a〜30cおよび64a〜64cは、それぞれ1つのアクセプター分子28および72を結合するためのアミノ酸配列であるが、複数のアクセプター分子28および72を結合するためのアミノ酸配列であってもよい。また、実施形態1および2において、ドナー領域14および62は1つのドナー結合配列14および60から構成されているが、複数のドナー結合配列14および60から構成されてもよい。
また、実施形態1では、ドナー領域14およびアクセプター領域18にそれぞれ蛍光色素であるドナー分子22およびアクセプター分子30を結合していたが、図8に示すようにドナー領域14およびアクセプター領域18が蛍光タンパク質から構成されるようにしてもよい。例えば、構造変化領域16の両端に設けられたドナー領域14とアクセプター領域18において、ドナー領域14に1つのドナー蛍光タンパク質74を配置し、アクセプター領域18にそれぞれリンカー20で連結された3つのアクセプター蛍光タンパク質76を配置することができる。また、実施形態2においても同様であり、図9に示すようにドナー領域62およびアクセプター領域66が蛍光タンパク質から構成されるようにしてもよい。例えば、ドナープローブ部56の標的分子52に連結されたドナー領域62に1つのドナー蛍光タンパク質74を配置し、アクセプタープローブ部58の結合分子54に連結されたアクセプター領域66にそれぞれリンカー68で連結された3つのアクセプター蛍光タンパク質76を配置することができる。
なお、本実施形態のドナー領域14、構造変化領域16、およびアクセプター領域18の配置、または、ドナー領域62、標的分子52、アクセプター領域66、および結合分子54の配置は、実施形態1または2と同様である。また、本実施形態のFRETプローブ10および50は、実施形態1および2のFRETプローブ10および50と同様の方法で作成することができ、このような実施形態3のFRETプローブ10および50を用いても実施形態1および2と同様に蛍光共鳴エネルギー移動の測定を行うことができる。
12、52 標的分子
14、62 ドナー領域
16 構造変化領域
18、66 アクセプター領域
20、68 リンカー
22、70 ドナー分子
24、60 ドナー結合配列
26 標的分子結合部位
28、72 アクセプター分子
30a〜30c、64a〜64c アクセプター結合配列
32 細胞
34 フローサイトメータ
36 フローセル
38 光学ユニット
40 照射部
42a、42b 受光部
44 解析部
54 結合分子
56 ドナープローブ部
58 アクセプタープローブ部
74 ドナー蛍光タンパク質
76 アクセプター蛍光タンパク質
Claims (20)
- 標的分子との特異的な結合に伴う構造変化により、蛍光共鳴エネルギー移動を発生させるFRETプローブであって、
光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナー領域と、
前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプター領域と、
前記ドナー領域と前記アクセプター領域の間に連結され、前記標的分子との特異的な結合に伴って構造変化することにより前記ドナー領域と前記アクセプター領域を近接させる構造変化領域とを有し、
前記アクセプター領域は、互いに連続配置され、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するアクセプター分子が結合する複数のアクセプター結合配列または前記励起エネルギーを受けて蛍光を発する複数の蛍光タンパク質を有することを特徴とするFRETプローブ。 - 前記アクセプター領域の複数の前記アクセプター結合配列は、互いにリンカーで連結されていることを特徴とする請求項1に記載のFRETプローブ。
- 各アクセプター結合配列は、1つの前記アクセプター分子を結合することを特徴とする請求項1または2に記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するドナー分子が結合する1つのドナー結合配列を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー結合配列は、1つの前記ドナー分子を結合することを特徴とする請求項4に記載のFRETプローブ。
- 前記アクセプター領域に結合する1つの前記アクセプター分子は、前記標的分子の特異的な結合に伴う前記構造変化領域の構造変化により、前記ドナー領域の前記ドナー分子と対向することを特徴とする請求項4または5に記載のFRETプローブ。
- 前記アクセプター領域の複数の前記蛍光タンパク質は、互いにリンカーで連結されていることを特徴とする請求項1に記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発する蛍光タンパク質から構成されることを特徴とする請求項1〜3および7のいずれかに記載のFRETプローブ。
- 標的分子と結合分子との特異的な結合により、蛍光共鳴エネルギー移動を発生させる2分子からなるFRETプローブであって、
前記標的分子と連結し、光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するためのドナー領域と、
前記結合分子と連結し、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するためのアクセプター領域とを有し、
前記アクセプター領域は、互いに連結配置され、前記励起エネルギーを受けて蛍光を発するアクセプター分子を結合する複数のアクセプター結合配列または前記励起エネルギーを受けて蛍光を発する複数の蛍光タンパク質を有することを特徴とするFRETプローブ。 - 前記アクセプター領域の複数の前記アクセプター結合配列は、互いにリンカーで連結されていることを特徴とする請求項9にFRETプローブ。
- 前記アクセプター結合配列は、1つの前記アクセプター分子を結合することを特徴とする請求項9または10に記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発するドナー分子が結合する1つのドナー結合配列を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー結合配列は、1つの前記ドナー分子を結合することを特徴とする請求項12に記載のFRETプローブ。
- 前記アクセプター領域に結合する1つの前記アクセプター分子は、前記標的分子と前記結合分子との特異的な結合により、前記ドナー領域のドナー分子と対向することを特徴とする請求項12または13に記載のFRETプローブ。
- 前記アクセプター領域は、互いにリンカーで連結される複数の前記蛍光タンパク質を有することを特徴とする請求項9に記載のFRETプローブ。
- 前記ドナー領域は、前記光ビームの照射を受けて励起エネルギーを発する蛍光タンパク質から構成されることを特徴とする請求項9〜11および15のいずれかに記載のFRETプローブ。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のFRETプローブをコードする核酸を含む発現ベクター。
- 請求項17に記載の発現ベクターを有する細胞。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のFRETプローブを細胞に導入し、前記細胞に光ビームを照射し、前記ドナー領域から前記アクセプター領域への蛍光共鳴エネルギー移動を測定するFRET測定方法。
- 前記蛍光共鳴エネルギー移動の測定は、前記ドナー領域から発せられる蛍光の蛍光寿命の検出により行われる請求項19に記載のFRET測定方法。
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