JP2004093499A - 磁界解析方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

磁界解析方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】二次元磁気特性のモデリングの高精度化を図る。
【解決手段】磁界強度H、Hと磁束密度B、Bの関係を磁気抵抗率係数νxr、νyr及び磁気抵抗率係数νxi、νyiとを用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析の際に、磁界強度H、Hを、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、磁気抵抗率係数νxr、νyr及び磁気抵抗率係数νxi、νyiを求めることにより、任意の高調波成分までを考慮することができ、高磁束密度領域におけるより歪んだ磁界強度波形にも対応させることができる。
【選択図】   図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界解析方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関し、特に、二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度な磁界解析を行うために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、コンピュータ技術の発達と共に有限要素法などの磁界解析技術が発展し、コンピュータによる磁界解析の結果を利用して機器設計などがなされるようになっている。機器内部の磁気特性を局所的に正確に把握することができるようになれば、磁性材料を用いた電機機器類を設計する際に、より高効率な設計を行うことができ、省エネルギー化に大きく貢献することができると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の磁界解析では磁性材料の評価を単板磁気試験法やエプスタイン法により交番磁束条件下のみを考慮に入れ、測定方向の写像量のスカラー値として考えられてきた。ところが、実際の電気機器の鉄心中では交番磁束だけではなく回転磁束が存在しており、このような一次元的な測定法では本来ベクトル量であるはずの磁界強度Hと磁束密度Bの挙動を正確に把握することは困難であった。
【0004】
そこで、二次元磁気特性という概念により磁界強度Hと磁束密度Bをベクトル量としてとらえ磁界解析を行う必要があり、そのため磁界解析の際に有効な二次元磁気特性のモデリングが用いられるようになってきた。
【0005】
ベクトル磁気特性のモデリングとして、詳しくは後述する過渡モデリング(E&Sモデリング及びE&Sモデリング)があるが、さらに精度の高い設計を行うためにモデリングのさらなる高精度化を図ることが要求される。
【0006】
例えば、従来の過渡モデリングでは、詳細は後述するが、第3高調波成分まで含んだフーリエ変換の式を用いて係数を求めていた。しかしながら、第3高調波成分までを考慮するだけでは、高磁束密度領域になると磁界強度波形の歪みが激しくなりそれに伴い誤差が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、二次元磁気特性のモデリングの高精度化を図ることを目的とし、具体的には、高磁束密度領域におけるより歪んだ磁界強度波形にも対応させるために任意の高調波成分までを考慮できるようにすることを目的する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁界解析方法は、磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析方法であって、磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める手順を有する点に特徴を有する。
【0009】
本発明の磁界解析装置は、磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析装置であって、磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める演算手段を備えた点に特徴を有する。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは、磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める処理を実行させる点に特徴を有する。
【0011】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上述したコンピュータプログラムを格納した点に特徴を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の磁界解析方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の好適な実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の磁界解析装置を構成可能なハードウェア構成の一例を示す図である。同図に示すように本実施の形態の磁界解析装置650は、CPU651と、ROM652と、RAM653と、キーボード(KB)659のキーボードコントローラ(KBC)655と、表示部としてのディスプレイ(CRT)660のディスプレイコントローラ(CRTC)656と、ハードディスク(HD)661及びフレキシブルディスク(FD)662のディスクコントローラ(DKC)657と、ネットワー670との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)658とが、システムバス654を介して互いに通信可能に接続されて構成されている。
【0014】
CPU651は、ROM652或いはハードディスク661に記憶されたソフトウェア、或いはFD662より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス654に接続された各構成部を総括的に制御する。すなわち、CPU651は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM652、或いはハードディスク661、或いはフレキシブルディスク662から読み出して実行することで、上記本実施の形態での動作を実現するための制御を行う。
【0015】
RAM653は、CPU651の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。
【0016】
キーボードコントローラKBC655は、キーボードKB659や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。
【0017】
ディスプレイコントローラ656は、ディスプレイ660の表示を制御する。
【0018】
ディスクコントローラ657は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施の形態における所定の処理プログラム等を記憶するハードディスク661及びフレキシブルディスク662とのアクセスを制御する。
【0019】
ネットワークインターフェースコントローラ658は、ネットワーク670上の装置或いはシステムと双方向にデータをやりとりする。
【0020】
上記のように構成された磁界解析装置650において、CPU651、ROM652、及びRAM653により本実施の形態における演算手段600が構成される。
【0021】
以下、磁界解析について説明する。まず、本発明の背景技術となる磁気測定について説明する。本実施の形態で利用可能な磁気測定に関しては、磁性材料のベクトル的磁気測定を行うことのできるベクトル磁気測定装置が提案されている。これにより、磁性材料内の詳細な磁場の振る舞いが明らかになり、スカラー表現では磁気現象を正確に解くことができないことが分かってきた。
【0022】
そして現在、磁気特性のモデリング(モデル化)に関して様々な取り組みがなされており、その一つに交番及び回転磁束条件下におけるヒステリシス現象の取り扱いに有効なモデルとして、E&Sモデリング(Enokizono and Soda Method)及びE&Sモデリング(Enokizono and Soda and Simozi)がある。このモデリングはベクトル磁気特性の磁束密度の大きさと傾き角における非線形性を考慮し、かつ交番及び回転ヒステリシスが表現可能である。
【0023】
ところで、ヒステリシス特性を含むE&Sモデリング及びE&Sモデリングは、電気機器鉄心内の鉄損解析の際に有効である。また、その精度を高めることは交流電気機器の最適設計技術に必要不可欠である。
【0024】
ここで、E&Sモデリング及びE&Sモデリングの概要について説明する。異方性を有する磁性材料に対して容易軸方向と異なる方向に励磁した場合、磁界強度Hと磁束密度Bは同じ方向を取らず、両者の間に空間的位相差が生じてくる。このような磁性材料のベクトル磁気特性は磁束密度の大きさBとその傾き角における非線形性を持つ。そのため、従来の磁界解析では、交番磁束条件下における任意方向のベクトル磁気特性は磁気低効率テンソルを用いた下式(1)、(2)のように表してきた。
【0025】
【数4】
Figure 2004093499
【0026】
上式(2)にも示すように、磁気抵抗率ν、νは、磁束密度の大きさBとその傾き角θの関数である。しかしながら、テンソルモデルで交番磁束条件下におけるヒステリシスを表現することはできない。
【0027】
ヒステリシスを考慮した交番及び回転磁束条件下における磁気特性を表現するには、Bだけでなく、Bの増加減少を表すBの微分を用いてモデリングを行えばよい。すなわち、BとHの関係を過渡的に表現すれば、交番及び回転ヒステリシスを表現することが可能となる。そして、そのようなモデリングを過度モデリング(E&Sモデリング)といい、下式(3)のように定義される。
【0028】
【数5】
Figure 2004093499
【0029】
また、E&Sモデリングと同様に両ベクトル関係のBベクトル軌跡に積分形式を導入すると下式(4)となり、E&Sモデリングと呼ばれる。
【0030】
【数6】
Figure 2004093499
【0031】
ここで、νxr、νyrは磁気抵抗率係数、νxi、νyiは磁気ヒステリシス係数であり、ベクトル磁気測定の結果から以下のようにして求められる。
【0032】
ベクトル磁気測定では二次元励磁により任意方向に対する交番及び回転磁束条件を作り出すため、磁束密度が完全な正弦波形になるように波形制御される。これによりHとBは一意的にその関係が定まり、磁束密度のx成分とy成分は下式(5)のように表される。ここで、Bxm及びBymはそれぞれB及びBの最大値である。
【0033】
【数7】
Figure 2004093499
【0034】
また、上式(5)を微分して下式(6)が得られる。
【0035】
【数8】
Figure 2004093499
【0036】
x成分のみについて考えると、上式(5)、(6)から下式(7)に示す関係が得られる。
【0037】
【数9】
Figure 2004093499
【0038】
ここで、C、C、Cは下式(8)に示す関係となる。
【0039】
【数10】
Figure 2004093499
【0040】
そこで、上式(3)のx成分に上式(5)、(6)のx成分を代入して、上式(8)を用いてまとめると下式(9)になる。
【0041】
【数11】
Figure 2004093499
【0042】
このとき第3高調波まで考慮した磁界強度のx成分とy成分を、下式(10)のように近似する。ここで、A、A、B、B、α、α、β、βは、測定データから得られる磁束条件下で一定の値である。
【0043】
【数12】
Figure 2004093499
【0044】
また、上式(10)のx成分を下式(11)のように書き直す。
【0045】
【数13】
Figure 2004093499
【0046】
ここで、P及びQは下式(12)のようになる。
【0047】
【数14】
Figure 2004093499
【0048】
上式(9)と上式(11)を比較することにより、磁気抵抗率νxr、磁気ヒステリシス係数νxiは下式(13)のように求められる。
【0049】
【数15】
Figure 2004093499
【0050】
ここで、各係数は下式(14)、(15)により測定データから求められる。
【0051】
【数16】
Figure 2004093499
【0052】
また、y成分の磁気抵抗率νyr、磁気ヒステリシス係数νyiも、x成分と同様に下式(16)のように求められる。
【0053】
【数17】
Figure 2004093499
【0054】
ここまでは、E&Sモデリング及びE&Sモデリングの概要について述べ、二次元磁気特性の結果からどのように磁気抵抗率νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを決定するか示した。
【0055】
次に、第5高調波成分を考慮した改良E&Sモデリングの概要とその磁気抵抗率νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを決定するまでについて述べる。
【0056】
上述したE&Sモデリング及びE&Sモデリングでは、上式(10)において第3高調波成分まで含んだフーリエ変換の式を用いて係数を求めていたが、高磁束密度領域になると磁界強度波形の歪みが激しくなりそれに伴い誤差が大きくなる。
【0057】
そこで、下式(17)に示すように、第5高調波までを考慮に入れたフーリエ変換の式を用いて磁界強度のx成分とy成分をそれぞれ近似し計算を行う。ここで、A、A、A、B、B、B、α、α、α、β、β、βは、測定データから得られる磁束条件下で一定の値である。
【0058】
【数18】
Figure 2004093499
【0059】
また、上式(17)のx成分を上式(11)のように書き直すと、P及びQは下式(18)のようになる。
【0060】
【数19】
Figure 2004093499
【0061】
さらに、上式(9)との比較により、磁気抵抗率νxr、磁気ヒステリシス係数νxi、は下式(19)のように求められる。
【0062】
【数20】
Figure 2004093499
【0063】
よって、各係数は測定データから下式(20)、(21)のように求められる。
【0064】
【数21】
Figure 2004093499
【0065】
【数22】
Figure 2004093499
【0066】
また、y成分の磁気抵抗率νyr、磁気ヒステリシス係数νyiも、x成分と同様に下式(22)に示すように求められる。
【0067】
【数23】
Figure 2004093499
【0068】
図2には、試料として方向性電磁鋼板を解析に用いて、傾き角45度、軸比0.6おける磁束密度の変化による磁界強度波形の近似を第3高調波まで考慮して行った場合と、第5高調波まで考慮して行った場合とを比較したグラフを示す。
【0069】
また、図3には、試料として無方向性けい素鋼板を解析に用いて比較したグラフを示す。
【0070】
磁束密度を変化させた場合の磁界強度波形の近似では、図2、3に示すように高磁束密度領域になればなるほど磁界強度波形が歪み第5高調波成分を多く含むようになり、第3高調波成分まで考慮して近似を行った場合では波形をうまく再現できておらず、第5高調波成分まで考慮して行う近似が必要であることがわかる。
【0071】
また、図4、5には、傾き角45度、軸比0.6おける磁界強度波形のスペクトル表示したグラフを示す。図4が方向性電磁鋼板で、図5が無方向性けい素鋼板である。このグラフから高磁束密度領域になれば第5高調波成分をよく含むことがわかる。
【0072】
以下、さらに進んで高磁束密度領域におけるより歪んだ磁界強度波形にも対応させるためにフーリエ変換の一般化を行い任意の高周波成分までを考慮した磁気抵抗率係数、νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを求める手法について説明する。かかる手法を用いることによって、高磁束密度領域の歪んだ波形の場合と低磁束密度領域のほとんど歪んでいない波形の場合とで使い分けることができ、有限要素磁界解析においても無駄な計算を省いて高精度な計算をすることが可能となる。
【0073】
今までのE&Sモデリング及びE&Sモデリングでは、上式(10)や上式(17)において第3高調波や第5高調波成分までを含んだフーリエ変換の式を用いて係数を求めていた。
【0074】
しかし、その方法では多くの高調波成分を含んだ場合、磁気抵抗率係数νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを構成するパラメータの数が膨大となり(各係数につき第7高調波成分まで考慮した場合16個、第9高調波成分まで考慮した場合25個)、有限要素磁界解析においても取り扱うデータ量が膨大となり計算時間も増加する。また、それらの係数の構成は連立方程式により求められるため係数の構成を求めるまでの計算が膨大となり実用的ではない。
【0075】
そこで、下式(23)のようにフーリエ変換の一般式を用いて磁界強度のx成分とy成分をそれぞれ表し、E&Sモデリングの磁気抵抗率係数νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを求める。ここで、Hxcn、Hxsn、Hycn、Hysnは、やはり測定データから得られる磁束条件下で一定の値である。
【0076】
【数24】
Figure 2004093499
【0077】
さらに、上式(9)との比較により、磁気抵抗率係数νxr、磁気ヒステリシス係数νxiは下式(24)のように求められる。
【0078】
【数25】
Figure 2004093499
【0079】
フーリエ変換の係数Hxcn、Hxsn、Hycn、Hysnをデータとして取り扱うことによりパラメータの数が減少し、また任意の高調波成分を考慮した近似波形を計算することができるので、波形のひずみ率によって考慮する高調波成分を波形ごとに自動的に決定することができる。
【0080】
図6には、考慮する高調波成分を波形ごとに自動的に決定するためのアルゴリズムを示す。すなわち、Hxcn、Hxsn、Hycn、Hysnがデータとして入力されると(ステップS101)、まずn=3として(ステップS102)、E&Sモデリングの磁気抵抗率係数νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを求める(ステップS103、104)。そして、波形の再現率が例えば95%を超えたか否かを判定し(ステップS105)、超えなければnを2つ増加させて(ステップS106)、ステップS103、104の処理を再び行い、波形の再現率が95%を超えるnを決定して終了する(ステップS107)。このようにして、再現率が一定値(ここでは95%)を超えるまで、考慮する高調波成分を自動的に決定することができる。
【0081】
図7には波形再現率と考慮する高調波成分の関係を示す。このグラフを見れば、磁束密度1.2[T]、軸比0.6、傾き角45度の場合、例えば再現率90%では第9高調波成分まで考慮する必要があることが分かる。
【0082】
図8には、測定値と計算値の鉄損と考慮する高調波成分との関係のグラフを示す。このグラフを見れば、磁束密度1.2[T]、軸比0.6、傾き角45度の場合、より高精度な近似のためには第11高調波成分まで考慮する必要があることが分かる。
【0083】
図9(a)〜(e)には、試料として方向性電磁鋼板を解析に用いて、傾き角45度、軸比0.6、磁束密度1.2[T]おける磁界強度波形の近似を第3、5、7、11高調波まで考慮した場合の波形を示し、図9(f)には、同じ条件における極端な例として第99高調波まで考慮した波形を示す。
【0084】
図9を見ればわかるように高磁束密度領域の磁界強度波形が歪んだ波形では第5高調波成分や第7高調波成分程度では高精度な近似とはいえず、より高精度な近似のためには第9高調波成分や第11高調波成分まで考慮する必要があるということがわかる。第n高調波を考慮したE&Sモデリングの場合、フーリエ変換の係数をデータとして扱うことにより任意の高調波成分までを考慮した近似を計算することができる。
【0085】
また、図10(a)、(b)には、傾き角45度、軸比0.6、磁束密度1.2[T]おける磁界強度波形のスペクトル表示したグラフを示す。このグラフを見れば、どの高調波成分までを考慮するのが妥当か検討することができる。実際の解析に用いる際には波形ごとにどのくらい歪んでいるかによって考慮する高調波成分を決定するようにする。
【0086】
以上述べたように、二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析に際して、任意の高調波成分までを考慮することができるので、高磁束密度領域におけるより歪んだ磁界強度波形にも対応させることができる。これにより、磁性材料の磁気特性を正確に把握することができ、磁性材料を用いた電機機器類を設計する際に、より高効率な設計を行うことができ、省エネルギー化に大きく貢献することができる。
【0087】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置或いはシステム内のコンピュータに対し、上記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU或いはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0088】
また、この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体は本発明を構成する。そのプログラムコードの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0089】
さらに、上記プログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0090】
なお、上記実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明はその精神、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0091】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析に際して、任意の高調波成分までを考慮することができるので、高磁束密度領域におけるより歪んだ磁界強度波形にも対応させることができる。これにより、磁性材料の磁気特性を正確に把握することができ、磁性材料を用いた電機機器類を設計する際に、より高効率な設計を行うことができ、省エネルギー化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の磁界解析装置を構成可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】方向性電磁鋼板を解析に用いて、傾き角45度、軸比0.6おける磁束密度の変化による磁界強度波形の近似を第3高調波まで考慮して行った場合と、第5高調波まで考慮して行った場合とを比較したグラフを示す図である。
【図3】無方向性けい素鋼板を解析に用いて、傾き角45度、軸比0.6おける磁束密度の変化による磁界強度波形の近似を第3高調波まで考慮して行った場合と、第5高調波まで考慮して行った場合とを比較したグラフを示す図である。
【図4】方向性電磁鋼板を解析に用いた場合の傾き角45度、軸比0.6おける磁界強度波形のスペクトル表示したグラフを示す図である。
【図5】無方向性けい素鋼板を解析に用いた場合の傾き角45度、軸比0.6おける磁界強度波形のスペクトル表示したグラフを示す図である。
【図6】考慮する高調波成分を波形ごとに自動的に決定するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】波形再現率と考慮する高調波成分の関係を示す図である。
【図8】測定値と計算値の鉄損と考慮する高調波成分との関係のグラフを示す図である。
【図9】方向性電磁鋼板を解析に用いて、傾き角45度、軸比0.6、磁束密度1.2[T]おける磁界強度波形の近似を各高調波まで考慮した場合の波形を示す図であり、(a)は第3高調波まで考慮した場合の波形を示す図、(b)は第5高調波まで考慮した場合の波形を示す図、(c)は第7高調波まで考慮した場合の波形を示す図、(d)は第9高調波まで考慮した場合の波形を示す図、(e)は第11高調波まで考慮した場合の波形を示す図、(f)は極端な例として第99高調波まで考慮した波形を示す図である。
【図10】傾き角45度、軸比0.6、磁束密度1.2[T]おける磁界強度波形のスペクトル表示したグラフを示す図であり、(a)は磁界強度Hのスペクトルを示す図、(b)は磁界強度Hのスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
600 演算手段
650 磁界解析装置
651 CPU
652 ROM
653 RAM
654 システムバス
655 キーボードコントローラ(KBC)
656 ディスプレイコントローラ(CRTC)
657 ディスクコントローラ(DKC)
658 ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)
659 キーボード
660 ディスプレイ
661 ハードディスク
662 フレキシブルディスク
670 ネットワーク

Claims (7)

  1. 磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析方法であって、
    磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める手順を有することを特徴とする磁界解析方法。
  2. 磁界強度H、Hと磁束密度B、Bの関係を磁気抵抗率係数νxr、νyr及び磁気抵抗率係数νxi、νyiとを用いて、下式
    Figure 2004093499
    により表すことを特徴とする請求項1に記載の磁界解析方法。
  3. 磁界強度H、Hを、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる磁束条件下で一定の値Hxcn、Hxsn、Hycn、Hysnを含んだ任意の第N高調波成分まで考慮した下式
    Figure 2004093499
    により表すことを特徴とする請求項2に記載の磁界解析方法。
  4. 前記磁気抵抗係数νxr及び磁気抵抗率係数νxiは、磁束密度Bの最大値をBxmとし、C=−Bxmsinφ、C=Bxmcosφ、C=Bxm として、下式
    Figure 2004093499
    として求められ、前記磁気抵抗係数νyr及び磁気抵抗率係数νyiも同じく求められることを特徴とする請求項3に記載の磁界解析方法。
  5. 磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析装置であって、
    磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める演算手段を備えたことを特徴とする磁界解析装置。
  6. 磁界強度と磁束密度の関係を磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を用いて表す二次元磁気特性のモデルリングを用いた磁界解析処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    磁界強度のx成分とy成分を、フーリエ変換を用いて、二次元磁気測定の結果から得られる一定の値を含んだ任意の高調波成分まで考慮した式でそれぞれ表して、前記磁気抵抗係数及び前記磁気ヒステリシス係数を求める処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  7. 請求項6に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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