JP4035038B2 - 磁界解析方法、磁界解析装置、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
磁界解析方法、磁界解析装置、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁界解析方法、磁界解析装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度な磁界解析を行うために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、コンピュータ技術の発達と共に有限要素法などの磁界解析技術が発展し、コンピュータによる磁界解析の結果を利用して機器設計などがなされるようになっている。機器内部の局所的な磁気特性を、正確かつ事前に把握することができるようになれば、磁性材料を用いた電気機器類を設計する際により高効率な設計を行うことができ、電気機器類の省エネルギー化にも大きく貢献することができると考えられる。
【0003】
このコンピュータを用いた磁界解析結果と実際の値とに違いが生じないようにするためには、磁性材料の磁気特性の測定を正確に行った上で、その測定値を磁界解析に導入する必要がある。しかし、従来の磁気特性の測定には、磁束密度Bと磁界強度Hが平行であることを前提とし、印加磁界方向と同じ方向に磁束密度等を測定する、単板磁気試験法やエプスタイン法による測定が行われてきた。
【0004】
上記従来の磁気測定法(単板磁気試験法やエプスタイン法など)では、測定方向における写像量をスカラー値(一次元磁気特性)として扱う。このため、ある特定方向に磁化され易いという異方性の磁性材料に、磁化容易軸方向に対して傾きを有した磁界を印加した場合、或いは回転磁界の場合に、上記従来の磁気測定法を用いて測定すれば、磁束密度と磁界強度ベクトルの間で空間的な方向差が生じてしまうこととなる。
【0005】
実際の電気機器の鉄心中をみてみると、交番磁束だけではなく回転磁束も存在しており、上述したような従来の磁気測定法では、本来ベクトル量であるはずの磁界強度Hと磁束密度Bの挙動を正確に把握することは困難であった。
【0006】
そこで、二次元磁気特性という概念により、磁界強度Hと磁束密度Bをベクトル量としてとらえて測定し、この測定したベクトル量に基づく磁界解析を行う必要がある。そのため、磁界解析の際に有効な二次元磁気特性のモデリングが用いられるようになってきた。
【0007】
二次元磁気特性のモデリング(ベクトル磁気特性のモデリング)として、例えば、詳しくは後述する過渡モデリング(E&Sモデリング及びE&S2モデリング)があるが、さらに高精度な電気機器類の設計を行うためには、この過渡モデリングを改良してさらなる磁界解析の高精度化を図ることが要求されてきている。
【0008】
二次元磁気特性のモデリングの高精度化を図るためには、現在はまだ様々な問題が残されているが、電気機器内部の局所的な磁気特性を正確、かつ事前に把握することができるようになれば、より効率的な設計を行うことが可能となり、電気機器の省エネルギー化に大きく貢献することができると期待されている。
【0009】
ところで、上述した二次元磁気特性のモデリングの一つであるE&S2モデリングにおいて、二次元磁気測定による材料特性を測定データとして磁界解析に取り込む場合、実用的に測定可能なデータ幅は、磁束密度0.1[T]、傾き角15度、軸比0.1であり、このデータ幅間隔の測定データに基づいた磁界解析が行われる。
【0010】
ここで、上記軸比及び傾き角について説明する。図7は軸比及び傾き角を説明する図であり、1周期の磁束密度ベクトルの軌跡を示している。図7の横軸(RD:Rolling Direction)は、異方性を有する磁性材料の磁化容易軸方向を示し、縦軸(TD:Transverse Direction)は、異方性を有する磁性材料の磁化困難軸を示している。
軸比αは、図7に示した最大磁束密度Bmaxと最小磁束密度Bminとの比であり、軸比α=Bmin/Bmaxで表される。また、傾き角θは、図7に示すように、最大磁束密度Bmaxと横軸RDとのなす角度である。
なお、図8は、ある瞬間の磁束密度ベクトル(B)と磁界ベクトル(H)との関係を表した図である。
【0011】
E&S2モデリングにおいて、より高精度な磁界解析を実現するには、上述した実用的に測定可能なデータ幅(磁束密度0.1[T]、傾き角15度、軸比0.1)よりも、さらに細かいデータ幅で測定したデータの取得が必要となる。このため、E&S2モデリングの係数を、例えば、磁束密度0.025[T]、傾き角3.75度、軸比0.025おきにデータ補間した場合の問題点と、E&S2モデリングの磁界解析の再現性について検討した。図2(a)、(b)は測定値の鉄損を示し、図3(a)、(b)は実用的に測定可能なデータ幅で測定したデータを線形データ補間して生成した細かなデータ間隔における鉄損を示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記図2と図3とを比較すると、図3中の符号A及び符号Bで示すように、軸比0(図3(a))及び軸比0.1(図3(b))の両方共に、Magnetic flux density軸の高値で急峻したデータが出現している。これは、軸比0及び軸比0.1共に、高磁束密度付近で異常値が発生していることを示している。
また、上記高磁束密度付近の異常値の詳細な様子を、図4に示す。図4(a)は、軸比0、磁束密度1.2のときの傾き角度に対する鉄損を示し、図4(b)は、軸比0.1、磁束密度1.2のときの傾き角度に対する鉄損を示している。
【0013】
図4(a)及び(b)から分かるように、傾き角が90度近辺で異常値が発生している。異常値での波形を示したのが図5である。したがって従来では、E&S2モデリングにおいて、線形データ補間によって細かなデータ間隔のデータを生成し、高精度な磁界解析を行うようとした場合、最大磁束密度Bmaxと磁化容易軸RDとのなす角度、すなわち傾き角が、90度近辺になると異常値が発生してしまい、高精度な磁界解析を行うことができない問題点があった。
【0014】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、E&S2モデリングにおいて、傾き角が90度近辺で異常値が発生しないような係数補間を行うことができるようにして、より高精度な磁界解析を行うことができるようにすることを第1の目的とする。
また、交番磁界における磁気抵抗率及び回転磁界における磁気抵抗率が「真」のグループまたは「偽」のグループにどの程度属しているかに基づいた係数補間を行うことができるようにすることを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁界解析方法は、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角または軸比に関しては所定の角度付近の補間を別扱いとして係数補間を実行するようにし、上記係数補間を下記の係数の式
【数31】
及び、下記の係数の式
【数32】
によって求めることを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにしたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたことを特徴としている。
【0017】
本発明の磁界解析装置は、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析装置であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角または軸比に関しては所定の角度付近の補間を別扱いとして係数補間を行う電磁場解析手段を有し、上記係数補間を下記の係数の式
【数33】
及び、下記の係数の式
【数34】
によって求めることを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析装置であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにしたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析装置であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析装置であって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたことを特徴としている。
【0019】
本発明のコンピュータプログラムは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角または軸比に関しては所定の角度付近の補間を別扱いとして係数補間を実行し、上記係数補間を下記の係数の式
【数35】
及び、下記の係数の式
【数36】
によって求めるようにコンピュータを動作させることを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにコンピュータを動作させることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにコンピュータを動作させることを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたようにコンピュータを動作させることを特徴としている。
【0023】
本発明の記録媒体は、上記に記載のコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録したことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して、本発明の磁界解析方法、磁界解析装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の磁界解析装置を構成可能にするコンピュータシステムの一例を示す構成図である。
図1に示したように、本実施の形態の磁界解析装置650は、CPU651と、ROM652と、RAM653と、キーボード(KB)659のキーボードコントローラ(KBC)655と、表示部としてのディスプレイ(CRT)660のディスプレイコントローラ(CRTC)656と、ハードディスク(HD)661及びフレキシブルディスク(FD)662のディスクコントローラ(DKC)657と、ネットワー670との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)658とが、システムバス654を介して互いに通信可能に接続されて構成されている。
【0026】
CPU651は、ROM652或いはハードディスク661に記録されたソフトウェア、或いはFD662より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス654に接続された各構成部を総括的に制御する。
【0027】
すなわち、CPU651は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM652、或いはハードディスク661、或いはフレキシブルディスク662から読み出して実行することで、上記本実施の形態での動作を実現するための制御を行う。
【0028】
RAM653は、CPU651の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。
【0029】
キーボードコントローラKBC655は、キーボードKB659や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。
ディスプレイコントローラ656は、ディスプレイ660の表示を制御する。ディスクコントローラ657は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施の形態における所定の処理プログラム等を記録するハードディスク661及びフレキシブルディスク662とのアクセスを制御する。
ネットワークインターフェースコントローラ658は、ネットワーク670上の装置或いはシステムと双方向にデータをやりとりする。
【0030】
上述のように構成された磁界解析装置650において、CPU651、ROM652及びRAM653により本実施の形態の電磁場解析手段600が構成されている。
【0031】
次に、本実施の形態の電磁場解析手段600で行われる電磁場解析について説明する。
先ず、最初に本発明の背景技術となる磁気測定について説明する。本実施の形態で利用可能な磁気測定に関しては、磁性材料のベクトル的磁気測定を行うことのできるベクトル磁気測定装置(二次元磁気測定装置)が提案されている。これにより、磁性材料内の詳細な磁場の振る舞いが明らかになり、スカラー表現(一次元磁気特性)では磁気現象を正確に解明することができないことが分かってきた。
【0032】
そして現在、磁気特性のモデリング(モデル化)に関して様々な取り組みがなされており、交番及び回転磁束条件下におけるヒステリシス現象の取り扱いに有効なモデルの一つとして、E&Sモデリング(Enokizono and Soda Method)及びE&S2モデリング(Enokizono and Soda and Simozi)がある。これらのモデリングは、ベクトル磁気特性(二次元磁気特性)の磁束密度の大きさと傾き角における非線形性を考慮し、かつ交番及び回転ヒステリシスが表現可能なモデリングである。
【0033】
ところで、ヒステリシス特性を含む上記E&Sモデリング及びE&S2モデリングは、電気機器鉄心内の鉄損解析の際に有効である。また、そのモデリング精度を高めることは、交流電気機器の最適設計技術に必要不可欠な技術となっている。
【0034】
以下に、E&Sモデリング及びE&S2モデリングの概要について説明する。
異方性を有する磁性材料に対して磁化容易軸RD方向と異なる方向に励磁した場合、磁界強度Hと磁束密度Bは同じ方向を取らず、両者の間に空間的位相差が生じてくる。このような磁性材料のベクトル磁気特性は、磁束密度の大きさBとその傾き角における非線形性関係を有する。そのため、従来の磁界解析において、交番磁束条件下における任意方向のベクトル磁気特性は、磁気抵抗率テンソルを用いた下式(1)、(2)のように表してきた。
【0035】
【数7】
【0036】
上式(2)にも示すように、磁気抵抗率νx、νyは、磁束密度の大きさBとその傾き角θB(傾き角θBは、最大磁束密度Bmaxと磁化容易軸RDとのなす角度)の関数である。しかしながら、テンソルモデルで交番磁束条件下におけるヒステリシスを表現することはできない。
なぜならば、完全な交番磁束条件下においては、磁束密度Bx,Byがともに零となる瞬間が存在するが、その際、磁界強度Hx,Hyは交番ヒステリシスのため零にならないものの、上式(1)を用いて、交番磁束条件下の磁束密度Bと磁界強度Hを表現すると、磁束密度Bx,Byがともに零のときは、必ず磁界強度Hx,Hyは零となってしまうためである。
【0037】
また、磁束密度Bの値としては同じ値を有する増加中の点Pと減少中の点Qは、瞬時的にはどちらも同じ値であるため、磁束密度Bの関数だけで磁気特性を定義するのが困難である。
そのため、ヒステリシスを考慮した交番及び回転磁束条件下における磁気特性を表現するには、磁束密度Bだけでなく、磁束密度Bの増加減少を表す磁束密度Bの微分を用いてモデリングを行えばよい。すなわち、磁束密度Bと磁界強度Hとの関係を過渡的に表現すれば、交番及び回転ヒステリシスを表現することが可能となる。そして、そのようなモデリングを過度モデリング(E&Sモデリング)といい、下式(3)のように定義される。
【0038】
【数8】
【0039】
また、E&Sモデリングと同様に、両ベクトル関係のBベクトル軌跡に積分形式を導入すると下式(4)となり、E&S2モデリングと呼ばれる。
【0040】
【数9】
【0041】
ここで、νxr、νyrは磁気抵抗率係数、νxi、νyiは磁気ヒステリシス係数であり、ベクトル磁気測定の結果から以下のようにして求められる。
【0042】
ベクトル磁気測定では二次元励磁により任意方向に対する交番及び回転磁束条件を作り出すため、磁束密度Bが完全な正弦波形になるように波形制御される。これにより、磁界強度Hと磁束密度Bは一意的にその関係が定まり、磁束密度Bのx成分Bxとy成分Byは下式(5)のように表される。ここで、Bxm及びBymはそれぞれBx及びByの最大値である。
【0043】
【数10】
【0044】
また、上式(5)を微分して下式(6)が得られる。
【0045】
【数11】
【0046】
x成分のみについて考えると、上式(5)及び(6)から下式(7)に示す関係が得られる。
【0047】
【数12】
【0048】
ここで、C1、C2、C3は下式(8)に示す関係となる。
【0049】
【数13】
【0050】
そこで、上式(3)のx成分に上式(5)、(6)のx成分を代入して、上式(8)を用いてまとめると下式(9)になる。
【0051】
【数14】
【0052】
このとき第3高調波まで考慮した磁界強度Hのx成分(Hx)とy成分(Hy)を、下式(10)のように近似する。ここで、A1、A2、B1、B2、α1、α2、β1、β2は、測定データから得られる磁束条件下で一定の値である。
【0053】
【数15】
【0054】
また、上式(10)のx成分を下式(11)のように書き直す。
【0055】
【数16】
【0056】
ここで、P及びQは下式(12)のようになる。
【0057】
【数17】
【0058】
上式(9)と上式(11)を比較することにより、磁気抵抗率νxr、磁気ヒステリシス係数νxiは下式(13)のように求められる。
【0059】
【数18】
【0060】
ここで、各係数は下式(14)、(15)により測定データから求められる。
【0061】
【数19】
【0062】
また、y成分の磁気抵抗率νyr、磁気ヒステリシス係数νyiも、x成分と同様に下式(16)のように求められる。
【0063】
【数20】
【0064】
ここまでは、E&Sモデリング及びE&S2モデリングの概要について述べ、二次元磁気特性の結果からどのように磁気抵抗率νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを決定するか示した。
【0065】
次に、第5高調波成分を考慮した改良E&S2モデリングの概要とその磁気抵抗率νxr、νyr、磁気ヒステリシス係数νxi、νyiを決定するまでについて述べる。
【0066】
上述したE&Sモデリング及びE&S2モデリングでは、上式(10)において第3高調波成分まで含んだフーリエ変換の式を用いて係数を求めていたが、高磁束密度領域になると磁界強度波形の歪みが激しくなり、それに伴い誤差が大きくなる。
【0067】
そこで、下式(17)に示すように、第5高調波までを考慮に入れたフーリエ変換の式を用いて磁界強度のx成分とy成分をそれぞれ近似し計算を行う方法(改良E&S2モデリング)を述べる。ここで、A1、A2、A3、B1、B2、B3、α1、α2、α3、β1、β2、β3は、測定データから得られる磁束条件下で一定の値である。
【0068】
【数21】
【0069】
また、上式(17)のx成分を上式(11)のように書き直すと、P及びQは下式(18)のようになる。
【0070】
【数22】
【0071】
さらに、上式(9)との比較により、磁気抵抗率νxr、磁気ヒステリシス係数νxi、は下式(19)のように求められる。
【0072】
【数23】
【0073】
よって、各係数は測定データから下式(20)、(21)のように求められる。
【0074】
【数24】
【0075】
【数25】
【0076】
また、y成分の磁気抵抗率νyr、磁気ヒステリシス係数νyiも、x成分と同様に下式(22)に示すように求められる。
【0077】
【数26】
【0078】
このように、上述したような第5高調波成分までを考慮に入れたフーリエ変換の式を用いて、磁界強度のx成分とy成分をそれぞれ近似して計算することにより、高磁束密度領域においても充分解析に用いる範囲で磁界強度波形を再現することが可能となる。
【0079】
また、改良E&S2モデリングを有限要素磁界解析に用いる場合でも、データの増大化を防ぐために、高磁束密度領域のみについて改良E&S2モデリングを使用し、高磁束密度領域以外では従来のE&S2モデリングを使用することで、解析に必要なメモリ領域の増加を抑えた磁界解析を行うことができる。
【0080】
上述してきたE&S2モデリング(改良E&S2モデリングを含む)による高精度な磁界解析を実現するには、より細かいデータ幅で測定したデータの取得が必要であり、E&S2モデリングの係数を、例えば、磁束密度0.025[T]、傾き角3.75度、軸比0.025おきにデータ補間することが必須となることは上述したとおりである。
その際に上記図5に示すような、高磁束密度付近で鉄損の異常値が発生してしまう原因は、傾き角90度では係数の式(20)、式(21)において係数C3の値、つまり磁束密度Bxmの値が限りなく「0」に近づくため、係数の値がその前後よりも極端に大きくなるからである。
【0081】
その対策として、本実施の形態の磁界解析装置650においては、0度〜180度までを線形補間する際に、例えば、略0度〜略85度までと、略95度〜略180度までというように、異常値が発生する傾き角90度近辺を避けて2つに分け、それぞれを別々に線形補間して、略90度を別扱いとした。
【0082】
このような線形補間を行うようにすることにより、磁界解析における係数の補間による発散を防ぐことを可能にする。対策後の波形を図6に示す。図6から明らかなように、本実施の形態の磁界解析装置650のように係数の補間を行うことにより、高磁束密度付近における発散を防ぐことができた。
【0083】
なお、上述の例では、異常値が発生する傾き角は90度であり、この90度を境(分岐点)にして線形補間するための入力(係数)データを分割したが、磁性材料の特性によって鉄損の異常値が発生するときの傾き角の大きさは変化するため、入力データを分割する分岐点となる傾き角は、常に略90度とは限らない。例えば、磁性材料がGO材では傾き角が略0度または略90度付近で、DO材では傾き角が略0度、略45度、または略90度付近で、それぞれ鉄損の異常値を示す。このため、角磁性材料それぞれの鉄損異常値を示す傾き角を避けるような入力データの分割によって、入力データ間の線形補間を行うようにすることが好ましい。
【0084】
また、E&S2モデリングの係数は、上述した磁束密度0.025[T]、傾き角3.75度、軸比0.025おきに行うデータ補間によって決定されるとは限らず、任意のデータサンプリング間隔で決定することができることは明らかである。
【0085】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、二次元磁気特性モデリング(E&Sモデリング、E&S2モデリング、及び改良E&S2モデリング)において、二次元磁気特性の結果から磁気抵抗率係数及び磁気ヒステリシス係数を算出する方法について説明し、特にE&S2モデリングの高精度化を図るために、鉄損値が異常値を示してしまう最大磁束密度Bmaxと磁化容易軸RDとのなす角度(傾き角)を避けた係数データ補間方法について説明した。
【0086】
本実施の形態では、二次元磁気特性モデリングにおける二次元磁気特性の結果から求まる磁気抵抗率係数(磁気ヒステリシス係数を含む)を、ファジイ推論によって決定する方法について述べる。具体的には、所定のメンバシップ関数で定義されたファジイ推論によって、交番磁界における磁気抵抗率及び回転磁界における磁気抵抗率を算出し、この算出した2つの磁気抵抗率の線形代数和により、係数補間データ値を決定することを特徴とする。
なお、二次元磁気特性モデリング、軸比、傾き角等の定義については、上述した第1の実施の形態の際に用いた定義と同じであるため、本実施の形態では説明を省略する。
【0087】
まず、ファジイ制御(ファジイ推論)の概要について説明する。ファジイ推論とは、各要素がどの程度その集合に属するのかを帰属度関数(メンバシップ関数)を使って表す。例えば、図9に示すように、その関数は横軸にその要素を、縦軸にその要素の帰属度(そのファジイ集合に属する度合いを0〜1の間の数値で表したもの)を示している。例えば、帰属度が0.9である入力要素aは、そのファジイ集合に属する度合いがかなり高いことを示す。
【0088】
ファジイ推論方法には、非常に多くの推論方法が提案されているが、基本的な考え方は、ある事実が与えられたときに、「もし〜ならば(前件部と称する)、〜せよ(後件部と称する)」のルールが集まったものから1つの結論を導くものである。ここでは、ファジイ推論方法の1つのリニアファジイ推論法を本実施の形態に適用し、その内容を具体的に説明することにする。なお、リニアファジイ推論法以外の推論方法(例えば、min-max重心法など)を用いても勿論構わない。
【0089】
リニアファジイ推論法は、代数積―加算―重心法を基礎とし、後件部の位置を任意に設定でき、1ルール行1後件部ごとにその貢献度を設定できるようにしたものである。具体的な推論手順を以下に示す。
【0090】
手順1. 推論の方法は、前件部メンバシップ関数A,B(最大グレード=1)と外部入力の交点a,bを前件部ごとに求め、前件部の代数積値m(m=a×b)を求める。
手順2. 上記1.で求めた代数積値mに貢献度cの代数積値mm(mm=m×c)を求める。
ここで、貢献度cは、1行のルールに対して通常1.0を基準値とし、その1行のルールが貢献する度合いを設定した値を示す。例えば、そのルールを大きく貢献させたい場合は、最大9.9までの設定が可能であり、0.0の設定にすればその貢献度は0となって、実際の推論上そのルールが働かないことになる。
手順3.後件部位置Zごとに、上記2.で求めた値mmに後件部のグレード(ここでは1に固定する)に掛け算して、後件部のグレードを計算する。
手順4.すべての要素について上記の手順1.〜手順3.を繰返し、該当したルールについて計算を行う。すべての計算が終了すると、後件部の同じ位置Zにあるものを加算した上で、その値を基に後件部の重心Z0を計算する。求まった重心Z0が推論結果となる。
【0091】
以上の内容を式で表現すると、以下のようになる。
【0092】
本実施の形態におけるリニアファジイ推論法のためのメンバシップ関数を図10に示す。図10に示すメンバシップ関数によるリニアファジイ推論によって、交番磁界及び回転磁界における磁気抵抗率(または磁気ヒステリシス係数)を求める方法を説明する。
【0093】
図10中の実線で示した関数Vは交番磁界関数である。軸比αが−α1〜α1間ではメンバシップ関数値は最大値1であり、軸比αが−α2〜−α1間(α1〜α2間)は線形増加(線形減少)し、軸比αがα2の絶対値より大きくなるとメンバシップ関数は0となる。
【0094】
一方、図10中の破線で示した関数Wは回転磁界関数であり、図からわかるようにメンバシップ関数値が0.5の直線を軸として、上下の対称形になっている。すなわち、軸比αに対して、交番磁界関数V及び回転磁界関数Wは、以下の式(23)で表わされる。
【0095】
【数27】
【0096】
さらに具体的には、下式(24)で表される。
【数28】
【0097】
つまり、任意の軸比αにおいて、交番磁界Vのメンバシップ関数値+回転磁界Wのメンバシップ関数値は常に1となる2つの前件部を有していることになる。
【0098】
例えば、図11に示すように、第1の入力軸比に対して、前件部1の交番磁界Vからは出力値a1、前件部2の回転磁界Wからは出力値b1が求まるので、前件部の代数積値m1(m1=a1×b1)が求まる。
同様にして、第1の入力軸比に対して、前件部1の交番磁界Vからは出力値a2、前件部2の回転磁界Wからは出力値b2が求まるので、前件部の代数積値m2(m2=a2×b2)が求まる(推論手順1)。これをすべての入力軸比αについて繰り返す。
【0099】
次に、貢献度Cを上記代数積mに積算してmm(mm=m×C)を求める。ここでは説明を簡単にするため、貢献度Cはすべて基準値1.0として、mm1=m1×C1、mm2=m2×C2、……、mmn=mn×Cnとなる(推論手順2)。
【0100】
次に、上記代数積mmに、後件部のグレードを積算するが、やはり説明を簡単にするため、後件部のグレードをすべて1とし、代数積mm=mm×1を求める(推論手順3)。
【0101】
最後に、すべての代数積mmから後件部の重心Z0を求める(推論手順4)。図11の場合では、3つの代数積mm1〜mm3より重心Z0を示す軸比α0が推論結果として求まる。
【0102】
このようにして、ファジイ推論によって求めた軸比α0などを基に、交番磁界における磁気抵抗率ν1、及び回転磁界における磁気抵抗率ν2を交番磁界、回転磁界のそれぞれのデータベースより求める。
すなわち、
交番磁界における磁気抵抗率ν1=交番磁界DataBase(Bmax、Inc)
回転磁界における磁気抵抗率ν2=回転磁界DataBase(Bmax、Inc、α0)
となる。ここで、Incは最大磁束密度Bmaxと横軸RDとのなす角度(傾き角)である。
【0103】
次に、求めた交番磁界における磁気抵抗率ν1と回転磁界における磁気抵抗率ν2に対し、それぞれ所定の重み係数W1、W2を代数積した上で、その和を求める。
すなわち、ν=W1ν1+W2ν2が二次元磁気特性モデリング(E&S2モデリングなど)における磁気抵抗率である。
【0104】
なお、上記説明では、磁気抵抗率νを求める方法を述べたが、磁気ヒステリシス係数のデータ補間についてもファジイ推論を適用して、同様に求めることができる。
【0105】
また、メンバシップ関数の入力データ(横軸値)の軸比αを、最大磁束密度Bmaxと横軸RDとのなす角度である傾き角Incに代えて、同様な手順で磁気抵抗率νを求めることもできる。
【0106】
この場合、ファジイ推論によって求めた傾き角Inc0などを基に、無限大における磁気抵抗率ν1、及び回転磁界における磁気抵抗率ν2をデータベースより求める。但し、無限大における磁気抵抗率ν1は、非常に大きな一定値とする。
すなわち、
無限大における磁気抵抗率ν1=1010
回転磁界における磁気抵抗率ν2=回転磁界DataBase(Bmax、Inc0、α0)
となる。
【0107】
次に、求めた無限大における磁気抵抗率ν1と回転磁界における磁気抵抗率ν2に対し、それぞれ所定の重み係数W1、W2を代数積した上で、その和を求める。すなわち、ν=W1ν1+W2ν2が二次元磁気特性モデリング(E&S2モデリングなど)における磁気抵抗率である。
【0108】
また、ファジイ推論に用いるメンバシップ関数は、図10に示した関数型であるとは限らず任意な関数型をとって構わない。例えば、図10に示した台形形のメンバシップ関数V(W)を、図12に示すような軸比α1及び−α1が共に零(+1)である三角型の関数であってもよい。また、直線を連結する関数型に限られず、曲線部を有するメンバシップ関数を定義することもできる。
【0109】
本実施の形態によれば、二次元磁気特性モデリングにおける磁気抵抗率または磁気ヒステリシス係数であるνx、νyをファジイ推論によって求めることができるので、上記式(2)より傾き角θBを算出できる。そのため、磁気抵抗率(磁気ヒステリシス係数)νx、νyが異常値を示す場合の傾き角θB付近の補間を別扱いとするような係数補間を行うようにすることが容易に、かつ確実に実現することができる。
【0110】
また、二次元磁気特性モデリング対称の磁性材料が不明な場合でも、上記ファジイ推論によって求めた磁気抵抗率(磁気ヒステリシス係数)νx、νyの値から、傾き角(例えば、略0度、略45度、または略90度)を特定することが可能となる。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関しては所定の角度付近の補間を別扱いとして係数補間を実行するようにしたので、磁界解析における係数の補間を行った際に、高密度付近で異常な発散が発生するのを防止することができ、これにより、磁性材料の磁気特性を正確に把握できるようにすることができる。
【0112】
また、本発明の他の特徴によれば、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づいて上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索することにより、上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにしたので、上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率が「真」のグループまたは「偽」のグループにどの程度属しているかに基づいた係数補間を行うようにすることができる。これにより、磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行う際に、これまではグループ分けした数値化することが難しかった「曖昧な値」を数値化して磁界解析を行うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁界解析方法を実施可能なコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】測定値の鉄損の一例を示す図である。
【図3】線形補間による細かいデータの鉄損を示す図である。
【図4】(a)は軸比0、磁束密度1.2における詳細を示し、(b)は軸比0.1、磁束密度1.2における詳細を示す図である。
【図5】傾き角が90度近辺で異常値が発生している様子の波形を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態を示し、磁界解析における係数の補間による発散を防ぐことができた例の波形を示す図である。
【図7】軸比及び傾き角を説明するための図である。
【図8】ある瞬間の磁束密度ベクトルと磁界ベクトルとの関係を示した図である。
【図9】ファジイ推論におけるメンバシップ関数の例を示した図である。
【図10】第2の実施の形態におけるファジイ推論で用いるメンバシップ関数を示した図である。
【図11】ファジイ推論の具体的な推論内容を説明するための図である。
【図12】第2の実施の形態におけるファジイ推論で用いるメンバシップ関数の他の例を示した図である。
【符号の説明】
600 電磁場解析手段
650 磁界解析装置
651 CPU
652 ROM
653 RAM
654 システムバス
655 キーボードコントローラ(KBC)
656 ディスプレイコントローラ(CRTC)
657 ディスクコントローラ(DKC)
658 ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)
659 キーボード
660 ディスプレイ
661 ハードディスク
662 フレキシブルディスク
670 ネットワーク
Claims (23)
- 上記所定の角度は、上記二次元磁気特性のモデリング対象の磁性材料に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の磁界解析方法。
- 上記磁性材料がGO材の場合、上記所定の角度は略ゼロ度または略90度、上記磁性材料がDO材の場合、上記所定の角度は略ゼロ度、略45度、または略90度であることを特徴とする請求項2に記載の磁界解析方法。
- 上記傾き角に関しては略0度から略85度までと、略95度から略180度までを別々に線形補間して、略90度を別扱いとするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の磁界解析方法。
- 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにしたことを特徴とする磁界解析方法。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにしたことを特徴とする磁界解析方法。 - 上記磁気抵抗率の代わりに透磁率を求めて係数補間するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の磁界解析方法。
- 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたことを特徴とする磁界解析方法。 - 上記磁気抵抗率の代わりに透磁率を求め係数補間するようにしたことを特徴とする請求項9に記載の磁界解析方法。
- 上記所定の角度は、上記二次元磁気特性のモデリング対象の磁性材料に応じて設定されることを特徴とする請求項12に記載の磁界解析装置。
- 上記磁性材料がGO材の場合、上記所定の角度は略ゼロ度または略90度、上記磁性材料がDO材の場合、上記所定の角度は略ゼロ度、略45度、または略90度であることを特徴とする請求項13に記載の磁界解析装置。
- 上記傾き角に関しては略0度から略85度までと、略95度から略180度までを別々に線形補間して、略90度を別扱いとするようにしたことを特徴とする請求項12に記載の磁界解析装置。
- 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析装置であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにしたことを特徴とする磁界解析装置。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析装置であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにしたことを特徴とする磁界解析装置。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析装置であって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたことを特徴とする磁界解析装置。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおいて高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、上記傾き角に関して、上記傾き角が略0度では交番磁界のデータベースを用い、上記傾き角が略0度以外では回転磁界のデータベースを用いて係数補間を実行するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記軸比を算出し、上記ファジイ推論で算出した軸比を用いて交番磁界または回転磁界のそれぞれのデータベースを検索して上記交番磁界における磁気抵抗率及び上記回転磁界における磁気抵抗率を求めて係数補間するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 磁界強度と磁束密度との関係をベクトル量としてとらえて磁界解析を行うための二次元磁気特性のモデリングにおける高精度化を行うための磁界解析方法を実行するコンピュータプログラムであって、
上記二次元磁気特性のモデリングにおいて、磁束密度、傾き角及び軸比に関して係数補間を行う際に、所定のメンバシップ関数を用いたファジイ推論に基づき上記傾き角を算出し、上記ファジイ推論で算出した傾き角を用いて上記回転磁界のデータベースを検索して上記回転磁界における磁気抵抗率を求め、上記求めた回転磁界における磁気抵抗率と所定の最大値とした交番磁界率とにより係数補間するようにしたようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項19〜22の何れか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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