JP4677121B2 - 磁化分布算出装置および算出方法 - Google Patents

磁化分布算出装置および算出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性体に磁界を印加して着磁を行う際の磁化分布を、数値計算により求める装置に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、磁気記録、電磁アクチュエータといった機器の設計のために、磁石のヒステリシス現象を数値解析によりシミュレーションする試みが数多く検討されている。このような中で特に、硬磁性材料に強磁界をかけて着磁を行う際の、磁石中の磁化分布を求める方法の1つとしてVMSW法がある。
【0003】
本方法は、一軸異方性結晶粒子の磁化回転挙動を表すS−Wモデル(Stoner and Wahlfarthのモデル)の集合としてヒステリシス特性を表現する手法に基をおくものであり、各磁化を可変とするように手を加えた手法である。本手法の具体的な内容は、「毛利:異方性材料の新しい静磁界解析法と磁化ベクトル測定によるその検証、電気学会研究会資料、静止器・回転機合同研究会SA−91−6、RM−91−15、pp51−60 (1991)」、及び「毛利:異方性材料の新しい静磁界解析法II、電気学会研究会資料、静止器・回転機合同研究会SA−91−25、RM−91−88、pp97−106 (1991)」に記載されており、その中で、永久磁石の着磁、減磁過程の解析が行われている。
【0004】
また他に「M.Enokizono et al.:Magnetic Field Analysis of Anisotropic Permanent Magnet Problems by Finite Element Method、IEEE Trans. Magn.、MAG−33、No.2、pp1612−1615 (1997)」、「榎園、津崎:異方性永久磁石問題に関する磁界解析、電気学会研究会資料マグネティックス研究会MAG−96−251、pp21−30(1996)」にもVMSW法を用いて磁石の着磁、減磁過程の計算を行った結果が報告されている。
【0005】
しかしながら、上記のいずれの技術も、 磁化分布をもとめるにあたり、VMSW法を用いた専用の磁界解析ソルバー(装置)を新たに開発する必要があり、その負荷は大きかった。また、入力データとして着磁電流波形が必要であり、そのためにあらかじめ測定が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、磁石の磁化分布の算出に必要な着磁器の着磁電流波形を計算によりもとめることが可能な磁化分布算出処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、例えば本発明の磁化分布算出処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
着磁器によって磁性材料に磁界を印加し着磁したときの、該磁性材料における磁化分布を算出する磁化分布算出装置であって、
前記着磁器の分割モデルと着磁電流の目安値とを含む着磁器本体のデータと、コイルの抵抗とコンデンサの容量と着磁電流のピーク値とを含む電源回路のデータとを設定する設定手段と、
有限要素法により、前記設定された着磁器の分割モデルを用いて前記設定された目安値の着磁電流を流したときの磁場計算を行い、当該目安値の着磁電流を流したときの前記着磁器のインダクタンスを算出するインダクタンス算出手段と、
前記コンデンサの容量と当該コンデンサの両端子電圧とに基づいて当該コンデンサの電荷量を算出する電荷量算出手段と、
前記コンデンサの電荷量及び容量と、前記インダクタンスと、前記コイルの抵抗とに基づいて前記着磁器に流れる電流波形を計算する着磁電流波形計算手段と、
前記磁性材料に磁界を印加して着磁した場合の磁化の状態を示す磁化曲線のうち、高磁界を印加した場合の磁化曲線を、該磁性材料の特性に基づいて算出する完全着磁曲線推定手段と、
前記着磁電流波形計算手段により算出された電流波形と、前記完全着磁曲線推定手段により算出された磁化曲線とに基づいて、有限要素法により、前記磁性材料を有限個の要素に分割した各要素ごとの最大磁界を算出し、該最大磁界と当該磁性材料の特性とに基づいて前記各要素ごとの最大磁化点を算出したうえで、該最大磁化点を通る磁化曲線から前記磁性材料の各要素の残留磁化を算出し、該残留磁化を初期値として減磁後の磁化を求めることで、磁化分布を算出する磁化分布算出手段とを備える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な一実施形態を詳細に説明する。
【0009】
【実施形態1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる磁化分布算出装置を示すブロック図である。全体の動作を制御する中央処理装置(CPU)101に、解析結果等を表示する表示装置102、及び解析者が入力を行なう入力装置103がバス106を介して接続されている。また同様にバスを介して、着磁計算プログラムが格納され、制御動作時の各種情報が格納され且つ読み出されるメモリ104、システムに収まらないデータを、またシステムが終了した後もデータを保存する外部記憶装置105が接続されている。
【0010】
磁化分布計算を行うプログラムは図1に示すように、着磁電流波形計算部、完全着磁曲線推定部、初磁化過程計算部、残留磁化計算部、減磁過程計算部の5つから構成される。また、使用するデータは図1に示すように、磁石の特性として、1)初磁化曲線、2)可逆磁化回転領域の最小磁界H、3)残留磁化M、4)χrec、5)磁石の導電率の5つがあり、着磁器の構成等を示すデータとして、1)着磁器の分割モデル、2)着磁ヨークのBH特性及び導電率、3)コイルの巻き数、4)コイルの抵抗、5)コンデンサの容量、6)着磁電流のピーク値 の6つがある。
【0011】
以下に、磁石の特性及び着磁器の構成等を示すデータを用いて磁石の磁化分布計算を行う5つの計算部に対して、個々に詳細な説明を行っていく。
【0012】
1.着磁電流波形計算部
着磁電流波形計算部は、着磁器の構成等に関するデータに基づいて磁石を着磁する際の着磁器の電流波形(着磁電流波形)をもとめる処理手段で、以下に着磁電流波形計算部において用いる基本式と、処理の流れについて説明する。
【0013】
着磁器の電源回路は、図2に示すようなLCR回路として表現され、着磁は電荷Qを有する容量Cのコンデンサを抵抗RとインダクタンスLのコイルを通じて放電させることで行われる。このときの電源回路の方程式(基本式)は、(1−1)式の通りである。
【0014】
【数1】
Figure 0004677121
本微分方程式は、Rと2√(L/C)に応じて以下に示す3つの場合に分けられる。
【0015】
【数2】
Figure 0004677121
【0016】
【数3】
Figure 0004677121
【0017】
【数4】
Figure 0004677121
なお上式において、実際には着磁器のインダクタンスLは、着磁器の磁化飽和の程度により変化するが、ここでは一定(ユーザが指定した一定の電流を流したときの値)として扱うことにする。
【0018】
図3は式(1−2)から式(1−4)の基本式を用いて、着磁電流波形を計算する手順を示したフローチャートである。以下その内容を説明する。
【0019】
ステップS301では、着磁器の構成等を示すデータとして着磁器本体のデータおよび電源回路のデータをメモリに読み込む。具体的には、着磁器本体についての着磁器分割モデル、着磁ヨークのBH特性及び導電率、コイルの巻き数、着磁電流の目安(一定値)と、電源回路についてのコイルの抵抗R、コンデンサの容量C、着磁電流のピーク値Iである。
【0020】
ステップS302では、ステップS301で読み込んだ着磁器本体のデータに基づいて、有限要素法により磁場計算を行い、着磁器のインダクタンスLを計算する。なお、着磁電流の目安としては、着磁ヨークが飽和領域に達しない程度の微弱な電流でよい。
【0021】
ステップS303では、電源回路のコンデンサの両端子電圧Vの初期値を設定する。本初期値は1V 程度でよい。
【0022】
ステップS304では、ステップS301で読み込んだ電源回路のコンデンサの容量CおよびステップS303で設定した電源回路のコンデンサの両端子電圧Vの値とから電源回路のコンデンサの電荷量Qを求める。
【0023】
ステップS305では、着磁電流波形を、上式(1−2)〜(1−4)により求める。
【0024】
ステップS306ではステップS305で求めた着磁電流波形のピーク値をJpeakとして設定する。
【0025】
ステップS307では、ステップS306で設定されたJpeakを、ユーザが指定した着磁電流のピーク値(ステップS301で読み込んだ着磁電流のピーク値I)と比較する。十分一致すればステップS306で得られた着磁電流波形を最終結果とする(ステップS307)。
【0026】
一方、ステップS308でJpeakが、ユーザが指定した着磁電流のピーク値と一致しない場合には、電源回路のコンデンサ両端子電圧Vを変更して(ステップS308)、一致するまで繰り返す。
【0027】
なお、ここではステップS302の着磁器のインダクタンスLの計算に有限要素法を使用したが、境界要素法、積分法、差分法等他の方法を使用してもよい。
【0028】
2.完全着磁曲線推定部
完全着磁曲線推定部は、磁化分布の算出に必要な磁化曲線(磁石に磁界Hを印加して着磁した場合の磁化Mの状態を示す曲線)をもとめるもので、磁化曲線(BH曲線)の測定において、飽和磁化に達するまでの十分な磁界(高磁界)がかけられない場合に、すでに測定された磁石の磁化曲線(低磁界の磁化曲線)を外挿することによって完全着磁部分までを推定する処理手段である。
【0029】
以下にその方法とその方法の妥当性を示したうえで、処理の流れについて説明する。
【0030】
1)完全着磁部分の推定方法
完全着磁部分の推定にあたっては、BH曲線が次のStoner−Wohlfarth方程式で表されるものとして行う。なおここで、Hは磁石の異方性磁界である。以下にその方法を説明する。
【0031】
【数5】
Figure 0004677121
Stoner−Wohlfarth方程式を導入するにあたって、まず飽和磁化Mが必要である。ここでは次の2つの方法のいずれかで決定する。
【0032】
a.等方性磁石を想定し、単純に残留磁化Mの2倍とする。
b.図4に示すように、初磁化曲線((a)図)から1/H外挿を行う(完全着磁曲線を2次曲線で近似する)ことにより得る((b)図)。
【0033】
ここで、図4(a)は横軸に磁界Hを、縦軸に磁化Mをとった場合の磁化曲線であり、図4(b)は横軸に1/Hを、縦軸に磁化Mをとり、図4(a)の磁化曲線に基づいて各点をプロットし、2次曲線で近似することで1/H=0のときの磁化Mの値、すなわち飽和磁化Mをもとめるための図である。
【0034】
本発明は基本的には等方性磁石に対して適用できるものであるが、僅かに異方性がある場合にも上記bの方法を適用することが可能であり、a、bの両方をユーザが選択できるようにすることで、利用の範囲を拡げている。
【0035】
次に得られた飽和磁化M及び測定値の残留磁化Mを用いて角型比Rを求め(上記aを使用した場合0.5)、以下の手順で磁化曲線の測定値がない部分の磁界Hに対する磁化Mを求める。
【0036】
(i)可逆磁化回転領域(磁化曲線において、着磁時の磁化曲線と減磁時の磁化曲線のヒステリシスループが一本になった領域。すなわち図5に示す(H、M)以上の領域)の任意の点(H、M)に対して、まず次式(2−5)により任意の点(H、M)における磁化回転角φを求め、次に(2−6)式により異方性磁界Hを求める。
【0037】
ここで、図5は、横軸に磁界Hを、縦軸に磁化Mをとった場合の磁化曲線であり、着磁時の磁化曲線と、可逆磁化回転領域以上(H)の磁界を印加後に減磁した場合の減磁時の磁化曲線(減磁曲線)とを重ねて記載したものでMは飽和磁化、Mは残留磁化を示す。
【0038】
なお、(2−5)式は上記(2−2)式にM=Mを代入し磁化回転角φについて解いたもので、(2−6)は(2−1)式にH=Hを代入し異方性磁界Hについて解いたものである。
【0039】
また、可逆磁化回転領域の点が複数ある場合は、それらの異方性磁界Hの平均値を使用する(すなわち、入力データ中の磁界H以上のすべての点を使用する)。
【0040】
【数6】
Figure 0004677121
(ii)上記(i)で得た異方性磁界Hを用いて、磁化曲線の測定値がない部分の磁界Hに対する磁化回転角φを(2−1)式によって求め(求めかたは次述)、(2−2)式により磁化Mを求める。なお(ii)において、次式(A−1)のStoner−Wohlfarth方程式に、磁界H、異方性磁界Hが与えられたときの磁化回転角φを求める必要がある。
【0041】
【数7】
Figure 0004677121
ここでは(A−1)式を(A−2)式、(A−3)式のように置き、ニュートン法を用いて、φ=0から出発し、(A−4)式を繰り返すことにより、磁化回転角φを求める。
【0042】
【数8】
Figure 0004677121
上記方法により、磁界Hに対する磁化Mが求まる。一般に磁化曲線は磁界Hが大きくなるにつれて飽和磁化Mに近づき、その変化の度合いは小さくなる。従って磁化曲線を有限ないくつかの点で表現する場合には、磁界Hが大きな部分ほど点の間隔を大きくした方が少数の点で表現することができる。このとき磁化Mを与えて磁界Hを求める方法では、磁化Mの与え方が難しいが(飽和磁化Mに近づくほど、間隔を小さくする必要がある)、本方法によれば、磁界Hを与えることから、点の間隔を容易に大きく設定できるので非常に便利であるという効果が得られる。
【0043】
2)完全着磁部分の推定方法の妥当性
次に上記1)のStoner−Wohlfarth方程式により得られたBH曲線の外挿部分の妥当性を確認する方法を説明する。
【0044】
【数9】
Figure 0004677121
(2−6)式で求めた異方性磁界Hは、減磁曲線のM点での接線の勾配をχとして(図6は減磁時の磁化曲線(減磁曲線)で、磁界H=0の時の磁化MをM、M点における減磁曲線の傾きをχとして)、次式で表すことができることがわかっている。なお本式中<>は空間平均値を意味し、<>の値は完全異方性磁石ではゼロ、完全等方性磁石では2/3である。
【0045】
また<>の値は、後述の代表粒子モデルに対しては、次式のようになる。
【0046】
【数10】
Figure 0004677121
そこで、上記(2−6)式で求めた異方性磁界Hを(2−7)式に代入して得られるχ(次式(2−10))と、測定した磁化曲線のχとを比較することで、上記で推定された磁化曲線の完全磁化部分の妥当性を確認することができる。
【0047】
なお等方性磁石に対して、(2−10)式の<>を計算するにあたっては、2/3とする方法と(2−9)を使用する方法の2つをあげたが、両者の差は小さく、どちらを採用してもよい。
【0048】
【数11】
Figure 0004677121
【0049】
3)完全着磁部分の推定処理の流れ
次に完全着磁部分の推定処理の具体的な手順を図7を用いて以下に説明する。
【0050】
ステップS701では、永久磁石の特性である、初磁化曲線、可逆回転磁化領域の最小磁界(H)、残留磁化Mをメモリに読み込む。なお、これらはいずれも測定によって得られるデータである。
【0051】
ステップS702ではステップS701で読み込んだ磁化曲線を構成する各点のデータに関して、磁化Mを求める。
【0052】
ステップS703では上記aまたはbの方法により、飽和磁化Mを求め、ステップS704では、角型比Rを求める。
【0053】
ステップS705では(2−3)式により、平均的な磁化回転角ωを求める。ステップS706では(2−5)式および(2−6)式により、可逆磁化回転領域における異方性磁界Hを求める。
【0054】
ステップS707では(2−1)式、(2−2)式により、測定点のない領域の磁界Hに対する磁化Mを求める。
【0055】
ステップS708では(2−10)式より磁化曲線における残留磁化M点での減磁曲線の傾きχを求める。
【0056】
3.初磁化過程計算部
初磁化過程計算部は、磁石を有限個の要素に分割し、磁化0の状態から各要素に対して着磁器より磁界Hを印加した場合の印加磁界の過渡解析を有限要素法等の一般的な磁界計算を用いて算出し、各要素ごとの最大磁界を抽出し、該最大磁界と磁石の特性とに基づいて各要素ごとの磁化(最大磁化点)を算出する処理である。以下に、有限要素法等の一般的な磁界計算を利用できる根拠を示した上で、初磁化過程計算部における処理手順を説明する。
【0057】
1)有限要素法等の一般的な磁界計算を利用できる根拠
図8のように、単位体積の磁性体片に外部磁界Hが印加され、平均磁化Mが誘起されたときの系の自由エネルギー変化は次式で表される(ここでは熱的、力学的効果等は考えない)。
【0058】
【数12】
Figure 0004677121
本式の積分項をここでは、「反磁界Hによるエネルギー」と「有効磁界Heffによるエネルギー」とに便宜的に分けて取り扱うことにすると、(3−2)式のように表すことができる。
【0059】
【数13】
Figure 0004677121
次に、(3−2)式の右辺のそれぞれの項について考える。
【0060】
まず反磁界係数テンソルの主軸をa軸、b軸方向、主値をそれぞれN、N(N≧N)とすると、反磁界エネルギーは、重ねあわせの原理に従って、a軸方向にMcos(θ−φ)を持つ場合とb軸方向に磁化Msin(θ−φ)をもつ場合のエネルギーの和として次式で表すことができる。ここで各ベクトルの方向は、図8に示すとおりで斜線領域で示した単位体積の磁性体片に対して、磁化容易軸方向と磁化困難軸方向とをそれぞれ破線矢印のようにとった場合、反磁界係数テンソルの主軸のうち、a軸と磁化容易軸方向とのなす角度をφ、磁化Mの方向と磁化容易軸方向とのなす角度をθ、外部磁界Hと磁化容易軸方向とのなす角度をΩとおく。また、μは真空の透磁率である。
【0061】
【数14】
Figure 0004677121
次に磁化エネルギーは、有効磁界Heffの磁化容易軸方向と磁化困難軸方向の成分をそれぞれH、Hとし、またそれぞれの方向の磁化成分M、MをMcosθ、Msinθで置き換えると、次のように表される。
【0062】
【数15】
Figure 0004677121
一方、外部磁界Hとの相互エネルギーは次の通りである。
【0063】
【数16】
Figure 0004677121
以上より、次の自由エネルギーUの具体式(3−7)が得られる。
【0064】
【数17】
Figure 0004677121
(3−7)式に変分原理を適用する。すなわち∂U/∂M=0、∂U/∂θ=0を求めることにより、次の方程式(3−8)および(3−9)が導かれる。
【0065】
【数18】
Figure 0004677121
異方性磁性体片の磁化Mを求めるためには、本連立方程式を解けばよい。ここで、等方性材料からなる、磁性体の塊の場合について考える。このとき、磁性体内部の微小部分においては形状異方性に対して、
【0066】
【数19】
Figure 0004677121
としてよい。 また等方性であることから、
【0067】
【数20】
Figure 0004677121
である。これより(3−9)式は、次のように表される。
【0068】
【数21】
Figure 0004677121
よって、(3−13)式が導かれる。
【0069】
【数22】
Figure 0004677121
(3−13)より、磁化M、外部磁界H、反磁界H、有効磁界Heffはすべて方向が一致することがわかる。一方このとき、(3−8)式は、次のようになる。
【0070】
【数23】
Figure 0004677121
ここで、反磁界H、有効磁界Heffは(3−15)、(3−16)式の通りであることから、(3−14)式は、(3−17)式のようになる。
【0071】
【数24】
Figure 0004677121
磁化M、外部磁界H、反磁界H、有効磁界Heffはすべて方向が一致すること及び(3−17)式から、等方性磁石の塊の場合、(3−8)、(3−9)式における磁化Mと有効磁界Heffの関係は、等方性軟磁性体の磁化現象と同じになることがわかる。
【0072】
従って、等方性磁石の初磁化過程は、磁石部分を、磁石の初磁化曲線をもった軟磁性体として扱うことで、有限要素法等の一般的な磁界計算で求めることができる。
【0073】
なお本初磁化過程を、着磁電流の時間変化、渦電流考慮等過渡的に計算する場合において、どの時点での磁化を採用すべきかが問題となる。そこでここでは有限要素法で磁界計算する際の各要素に対して、時間経過中における最大値を採用することにする。
【0074】
また、本初磁化過程によって、各粒子の磁化のうち、所定の分布の粒子で磁化反転が起こり、その結果、粒子磁化のベクトル総和は有限値Mになるとして今後の説明を行う。
【0075】
2)初磁化過程計算部における処理手順
次に上記1)をふまえて初磁化過程計算部における具体的な処理手順を図9を用いて以下に説明する。
【0076】
ステップS901では、着磁器の構成等を示すデータとして着磁器本体のデータをメモリに読み込む。具体的には着磁器本体における着磁器分割モデル、着磁ヨークのBH特性及び導電率、コイルの巻き数、着磁電流波形として着磁電流波形計算部で得た結果である。
【0077】
ステップS902では磁石の特性データとして、上記完全着磁曲線推定部で得た完全着磁曲線、及び磁石の導電率をメモリに読み込む。
【0078】
ステップS903では有限要素法等により磁界計算を行う。計算はヨーク、磁石の渦電流、飽和を考慮した非線型過渡解析となる。
【0079】
ステップS904では各要素の磁束密度経時変化のピーク値を最大磁束密度点Bとし、最大磁束密度点Bに基づいてそれより最大磁化点Mを求めて外部記憶装置に保存する。
【0080】
4.残留磁化計算部
残留磁化計算部は、所定の磁界を印加して磁石を着磁後に磁界を0とした場合の磁石の残留磁化をもとめる処理手段であり、上記初磁化過程計算部によりもとめた最大磁化点Mをとおる磁化曲線をもとめ、該磁化曲線に基づいて算出する。以下にその基本式と、最大磁化点Mをとおる磁化曲線をもとめる手順を示した上で、残留磁化計算部における処理の流れについて説明する。
【0081】
1)残留磁化計算部における基本式
磁石の減磁曲線の第一象限の最大磁化点(H、M)から第二象限の急降下部の寸前までの範囲は、次の単磁区粒子の一斉磁化回転モデルすなわちStoner−Wohlfarth方程式で再現できる。なお式(4−1)において、Hは外部磁界である。
【0082】
【数25】
Figure 0004677121
ここでH(M)は上記初磁化過程計算部でもとめた最大磁化点(H、M)を通る減磁曲線における異方性磁界である。また、M(M)は図10に示す磁化曲線において、最大磁化点(H、M)をとおる減磁曲線の飽和磁化であり、R(M)は該減磁曲線の角型比である。なおこれらの値は、初磁化過程における磁化反転の状態に依存するものであり、最大磁化点(H、M)によって決定されるものである。
【0083】
ここで、各最大磁化点ごとの減磁曲線の角型比は、最大磁化点に依存せず、次のように一定と仮定する((2−4)式の値と同じ)。
【0084】
【数26】
Figure 0004677121
減磁曲線が、メジャーループの磁化曲線の場合(メジャーループの磁化曲線とは、可逆磁化回転領域以上の磁界以上(すなわちH以上)印加した後に減磁した場合の着磁および減磁曲線をいう)を考えると、可逆回転磁化領域の最小磁化点(H、M)において、磁化回転角φは、(4−2)式より(4−6)式のようになり、このとき本状態での異方性磁界H(M)は(4−1)式より、(4−7)式となる。
【0085】
【数27】
Figure 0004677121
ここで、異方性磁界H(M)は次式のように、最大磁化点に比例すると仮定する。
【0086】
【数28】
Figure 0004677121
以上により、次の2)に示す手順で、任意の最大磁化点(H、M)に対して、減磁曲線を再現することができるようになった。
【0087】
2)最大磁化点Mをとおる磁化曲線をもとめる手順
最大磁化点Mをとおる磁化曲線をもとめる手順を以下示す。
(i)(4−3)、(4−5)式より磁化回転角ωを求め、(4−6)式より可逆磁化回転領域における磁化回転角φを求める。そして(4−7)、(4−8)式により異方性磁界H(M)を求める。
【0088】
(ii)(4−1)式を用いて、最大磁化点(H、M)における(H=H)磁化回転角φを求める。これは上述の(A−1)〜(A−4)式を用いて求めることができる。
【0089】
(iii)(4−2)式において、φ=φ、M=Mとおいて、飽和磁化M(M)を求める。本値は次式(4−9)の通りである。
【0090】
(iv)任意の磁界Hに対して(4−1)式により磁化回転角φを求めた後、(4−2)式を用いて磁化Mを求める。
【0091】
【数29】
Figure 0004677121
本減磁曲線におけるH=0での磁化(残留磁化M(M))は、(4−2)式におけるφ=0の場合に相当し(←(4−1)式は、H=0のときφ=0となる)、(4−2)式に(4−9)式を代入した次式(4−10)で求めることができる。
【0092】
【数30】
Figure 0004677121
【0093】
3)残留磁化計算部における処理の流れ
次に残留磁化計算部における具体的な手順を図11を用いて以下に説明する。ステップS1101では永久磁石の磁化曲線データである、可逆回転磁化領域の最小磁界H、残留磁化M、飽和磁化M、χrec及び完全着磁曲線推定部で得た完全着磁を含む磁化曲線をメモリに読み込む。
【0094】
ステップS1102ではステップS1101で読み込んだ残留磁化Mと飽和磁化Mとに基づいて角型比Rを求める。一般には0.5に近い値となる。
【0095】
ステップS1103では上記初磁化過程計算部で得た各要素の最大磁化点の値Mを読み込む。
【0096】
ステップS1104ではステップS1103で読み込んだ最大磁化点Mでの磁化ベクトルの方向を磁化容易軸方向Θとして計算する(本磁化容易軸方向は後述の残留磁化過程に必要なためである)。
【0097】
ステップS1105では次の手順で、各要素の異方性磁界H(M)、及び残留磁化M(M)を求める。
(i)(4−3)式により、磁化回転角ωを求める。
(ii)(4−6)、(4−7)式により、H(M)を求める。
(iii)各要素について、次の手順で残留磁化M(M)を求める。
a.ステップS1103で読み込んだ最大磁化点M値に対するH値を完全着磁曲線から求める。
b.(4−8)式により、H(M)を求める。
c.(4−1)式により、磁化回転角φを求める。
d.(4−10)式により、M(M)を求める。
【0098】
ステップS1106では各要素の磁化容易軸方向Θ、残留磁化M(M)及び異方性磁界H(M)を外部記憶装置に出力する。
【0099】
5.減磁過程計算部
減磁過程計算部は、残留磁化計算部により算出された各要素の残留磁化と、該残留磁化を有する各要素に、該各要素の磁化が発生する磁界が印加された場合の前記各要素の磁化を算出する処理手段である。以下にかかる減磁過程の磁化分布をもとめる基本式を導く過程を示したうえで、減磁過程計算部における処理手順を説明する。
【0100】
1)減磁過程の磁化分布をもとめる基本式
減磁過程の計算にあたっては、出発点を残留角θを持った残留磁化Mの状態にとり、磁化回転角θは磁化容易軸から測るものとする。そして、磁化が(M、θ)の状態(変化前の状態)から(M、θ)の状態(変化後の状態)に変化したときの自由エネルギー密度の変化をUとする。また、反磁界のない状態での磁化に要する仕事は、磁化をMからMまで磁化容易軸方向に沿って変化させるのに要する仕事Umagと、Mをθ方向からずらす仕事(異方性エネルギーUaniso)との和で近似する。すると自由エネルギー密度の変化Uは次の4つの寄与の和であらわすことができる。
【0101】
【数31】
Figure 0004677121
demag はいわゆる反磁界エネルギーの変化であり、次式で表される。
【0102】
【数32】
Figure 0004677121
a、bは反磁界テンソルの主値N、Nの方向を表す(N≦N)。変化後の状態における磁化M、θ(磁化Mと磁化容易軸方向とのなす角度)を未知数とするため、この式に含まれる各磁化は次のようにおきかえることができる。なおここで、φは磁化容易軸方向と反磁界テンソルa方向とのなす角(< 90deg)であり、M、Mは変化後の状態における磁化の反磁界テンソルの各軸方向の成分、Mar、Mbrは変化前の状態における磁化の反磁界テンソルの各軸方向の成分、θは変化前の状態における磁化Mと磁化容易軸方向とのなす角度をそれぞれ表す(図12)。また、μは真空の透磁率である。
【0103】
【数33】
Figure 0004677121
(5−3)式により(5−2)式は次のように表される。
【0104】
【数34】
Figure 0004677121
次にUmagを具体的に書き表すため、磁化容易軸方向磁化曲線の主要部を直線で近似する。すなわち、
【0105】
【数35】
Figure 0004677121
このχrecは当直線の勾配であり、第2象限の屈曲部寸前の点と残留磁化Mの点を結ぶ直線の勾配である(図13)。かくして、Umagは次式で表される。なお、図14に本式の積分の内容を図で示したもので、Umagは図14の斜線部分に他ならない。
【0106】
【数36】
Figure 0004677121
異方性エネルギーUanisoについて、ここでは減磁曲線の急降下部前までの区間では異方性磁界は一定であると仮定して次のように表す。
【0107】
【数37】
Figure 0004677121
一方、外部磁界との相互エネルギーは次の通りである。
【0108】
【数38】
Figure 0004677121
以上よりUの具体的表現は次のようになる。
【0109】
【数39】
Figure 0004677121
このUに変分原理を適用する。すなわち∂U/∂M=0、∂U/∂θ=0を求めることにより、Mとθを決める次の連立方程式を得る。
【0110】
【数40】
Figure 0004677121
異方性磁石の磁化を求めるためには、本連立方程式を解けばよい。
ここで、等方性材料からなる磁石を考える。このとき、磁石内部の微小部分においては形状異方性に対して、
【0111】
【数41】
Figure 0004677121
としてよい。 また等方性であることから、
【0112】
【数42】
Figure 0004677121
である。これより、(5−10)、(5−11)式は、次のようになる。
【0113】
【数43】
Figure 0004677121
ここで磁石内部の微小部分における有効磁界をHeffとすると、Heffは外部磁界Hと反磁界Hの和として表され、その磁化Mに平行な方向成分をHeffθ、垂直な方向成分をHeff⊥とすると、それぞれ次のように記述される。ただしここで、H0θ、Hdθは外部磁界及び反磁界の磁化Mに平行な方向成分、H0⊥、Hd⊥は垂直な成分である。
【0114】
【数44】
Figure 0004677121
これによって(5−14)、(5−15)式は次のように表される。
【0115】
【数45】
Figure 0004677121
本方程式を解くことによってM、θが求まる。
次に基準座標軸(ここでは直交座標系のX軸の方向を基準軸とする)に対して表現された磁界分布に対して、本方程式(5−18)、(5−19)を適用する場合について説明する。
【0116】
図16に示すように磁化容易軸方向が基準軸に対して、Θだけ傾いた状態にあり、基準軸(X軸)から測ったHeff、磁化Mの方向をそれぞれΘeff、Θとしたとき、磁界H=(H、H)は次のように表現できる。つまり次式によって磁界H=(H、H)に対する、HeffとΘeffが決まる。
【0117】
【数46】
Figure 0004677121
次に、ここで求まったHeffとΘeffを用いて、磁界H=(Heffθ、Heff⊥)は次のように求まる。なおここで、θは磁化容易軸方向と磁化Mのなす角度であり、Ωeffは磁化容易軸方向と有効磁界Heffとのなす角度である。
【0118】
【数47】
Figure 0004677121
以上により、X軸方向を基準とした直交座標系で表現された磁界Hに対して、(5−20)〜(5−25)式を用いて、Heffθ、Heff⊥が求まった。
【0119】
そこで更に、式 (5−19)を用いて磁化回転角θを求め、(5−18)を用いて磁化Mを求めれば、次式により磁化M=(M、M)が求まる。
【0120】
【数48】
Figure 0004677121
減磁後の磁化としては、磁化M自身が作る磁界H=(H、H)が、式(5−18)、(5−19)を満たすような、自己無撞着な磁化M(Mとθ)を求めればよい。
【0121】
なお、等方性磁石の場合における上記本減磁過程の磁化容易軸の方向Θは、(5−13)式にあるように、初磁化過程直後における磁界の方向をとればよい。
【0122】
上記自己無撞着な磁化M(Mとθ)を求めるために、ここでは以下のような手順で計算を行う。
(i)残留磁化過程で求まった各要素の磁化Mの向きを磁化容易軸の方向とし、Θを求める。
(ii)磁化Mを、これから求めようとする減磁後の磁化Mの初期値に設定する。
(iii)各要素に対して、磁化Mと(i)で求めた磁化容易軸とのなす角度θを求める。本θは初回は0、(x)の反復後は(viii)で求めたθの値となる。
(iv)磁化Mを用いて、有限要素法で磁石単体での磁界計算を行う。
(v)必要に応じて、磁界計算後の後処理を行い磁界の結果を得る。具体的には例えば磁界計算に有限要素法を用いた場合、磁束密度Bが求まるので、下式(5−29)を使用して、磁界Hに変換する(磁石部分の透磁率をμrecとした)。
(vi)磁界H=(H、H)から、式(5−20)〜(5−22)を用いて、HeffとΘeffを求める。
(vii)式(5−25)からΩeffを求め、式(5−23)、(5−24) からHeffθ、Heff⊥を求める。
(viii)式(5−19)からθを求め、(5−18)より磁化Mを求める。なおここで異方性磁界Hには、(4−8)で求めたH(M)を使用する。
(ix)式(5−28)よりΘを求め、式(5−26)、(5−27)より、新たな磁化Mを求める。
(x)(ix)で求まった新たな磁化Mを用いて、(iii)〜(vii)を、自己無撞着な磁化Mが得られるまで繰り返す。なお実際には、反復により(viii)で新たなθとMを求める際に、旧θとMをそのまま更新(置換)するのではなく、変動分の0.2〜0.8だけを修正する緩和係数を導入することで収束性が向上する。
【0123】
【数49】
Figure 0004677121
【0124】
2)残留磁化計算部における処理の流れ
上記に基づいて残留磁化計算部では図17に示す流れで処理を行う。
【0125】
ステップS1701では、残留磁化過程計算部で得た、磁化容易軸Θの方向、残留磁化M(M)、異方性磁界Hの結果をメモリに読み込む。
【0126】
ステップS1702では磁化の大きさM及び方向θの初期値を設定する。大きさはM(M)、方向は磁化容易軸と一致する方向(θ=0)とする。
【0127】
ステップS1703では磁化ベクトルを直交座標のx、y成分(M、 M)で表す。
【0128】
ステップS1704では磁化分布(M、M)を用いて、磁石単体での磁場計算を行う。有限要素法等の一般的な磁界計算ソルバーを使用する。
【0129】
ステップS1705では磁界計算の結果求まる磁石の部分の磁束密度(B、B) から磁界(H、H)を求める 。
【0130】
ステップS1706では磁界(H、H)を元に、(5−20)〜(5−22)式により、Heff、Θeffを求める。
【0131】
ステップS1707では(5−23)〜(5−25)式により、Ωeff、Heffθ、Heff⊥を求める。
【0132】
ステップS1708では(5−18)式、(5−19)式を用いて、新たな磁化の大きさM及び方向θを求める。
【0133】
ステップS1709では磁化の大きさM及び方向θが十分収束したか否かを判定し、収束が不十分の場合には、ステップS1703に戻り、ステップS1703からステップS1708までの処理を繰り返す。一方、ステップS1709で磁化M及び方向θが十分収束したと判定された場合には、ステップS1710に進み、磁化M及び方向θから、(5−26)、(5−27)式より磁化ベクトルを求め磁化分布の結果として、外部記憶装置に出力する。
【0134】
なおここでは、減磁過程を計算する際に、減磁曲線の第2象限の屈曲部寸前の点と残留磁化Mの点を結ぶ直線の勾配χrecを使用したが、一般に本勾配は完全磁化曲線推定部で得られるχ((2−10)式)とほぼ同じ値をもつものであり、χで代用してもよい。
【0135】
また(5−20)〜(5−28)式では、計算をxy平面の2次元に限定して説明を行ってきたが、容易にわかるように、これを3次元の式に拡張して、上記S1704のステップでは3次元の磁界計算ソルバーを用いることで、3次元の磁化分布を求めることも容易である。従って上記計算手順中で使用した(5−20)〜(5−28)式は、表記のような2次元に限定されるものではなく、3次元に拡張した式も含むものである。
【0136】
上記着磁電流波形計算部、完全着磁曲線推定部、初磁化過程計算部、残留磁化計算部、減磁過程計算部を持つ着磁計算装置を用いて、円筒形状をした永久磁石の着磁計算を行った例を示す。
【0137】
図18は着磁器の分割モデルの一例で、1801はコイル、1802は磁石である。本着磁器にコンデンサを接続して電流を流したときの電流波形の着磁電流波形計算部による計算結果を図19に示す。ピーク電流(Jpeak)を10kAとしており、本電流波形が実測値に近いものとなっていることを確認している。
【0138】
また、測定によって得られた初磁化曲線を元に、完全飽和磁化曲線を作成した結果を図20に示す。横軸に磁界H、縦軸に磁化Mをとり、2001に示す磁界領域については測定結果を、2002に示す磁界領域については完全着磁曲線推定部により算出された結果をプロットしており、妥当な完全飽和磁化曲線が得られている様子がわかる。
【0139】
図21の(a)は初磁化過程計算部による初磁化過程計算後、(b)は残留磁化計算部による残留磁化計算後、(c)は減磁過程計算部による減磁過程計算後の磁石内の磁化分布を矢印で表示した図を示す。また図21(d)は減磁過程計算部における減磁過程計算で得られた磁化分布の結果を用いて磁石単体での磁束の様子を図にしたものである。
【0140】
このように、各計算部の結果を結果を図にして表示することで、着磁計算過程を非常に分かり易く知ることができる。
【0141】
図22は磁石単体での磁石表面の磁束密度分布を実験結果と比較したものである。実測値に対して極めてよく一致する計算結果が得られていることがわかる。以上述べてきた本着磁計算方法に対して、計算を行うのに必要なデータをまとめると図23の通りである。ここにあげたデータは比較的容易に測定、調査または決定できるものばかりである。
【0142】
【実施形態2】
上記実施形態1の着磁電流波形計算部では、LCR回路のうち、着磁器のインダクタンスL、コンデンサの容量C、コイルの抵抗Rをユーザが指定し、コンデンサ両端子間の電圧をプログラム内部で調整することにより、ユーザの指定した着磁電流波形のピーク値を求めた。
【0143】
しかし、これは電源回路中のコンデンサ両端子間の電圧をユーザが指定し、コイルの抵抗(電源回路全体からみたときのコイルの抵抗)をプログラム内部で調整することにより、ユーザの指定した着磁電流波形のピーク値を求めてもよい。
なお本方法を実現するに当たっての着磁電流波形計算部における処理の流れを計算の流れを図24に示す。図3との違いは、ステップS2403においてコイルの抵抗(R)の初期値を設定し、ステップS2408において コイルの抵抗Rを更新するように変更する点である。これによって、着磁計算を行うのに必要なデータは図25に示す通りで、着磁器のコイル抵抗ではなく、着磁器のコンデンサ両端子間の電圧を読み込む。
【0144】
本例のようにすることで、着磁回路中のコイルの抵抗が不明な場合にも簡単に計算を行うことが可能になる。
【0145】
【実施形態3】
上記実施形態1では、(4−8)式に示したように、異方性磁界を最大磁化点に比例すると仮定した。本仮定は次式(4−8)’に示すように、異方性磁界を最大磁化点を通る減磁曲線の飽和磁束密度M(M)に比例するとした方がより正確である。
【0146】
【数50】
Figure 0004677121
そして、本仮定を用いた減磁曲線は、次の手順で求めることができる。
(i)(4−3)、(4−5)式より磁化回転角ωを求め、(4−6)式より可逆磁化回転領域における磁化回転角φを求める。
(ii)飽和磁化M(M)を適当な値(M程度)に設定する。
(iii)(4−7)、(4−8)’式により異方性磁界H(M)を求める。
(iv)(4−1)式を用いて、最大磁化点(H、M)における(H=H)磁化回転角φを求める。これは上記(A−1)〜(A−4)式を用いて求めることができる。
(v)(4−2)式において、φ=φ、M=Mとおいて、飽和磁化M(M)を求める。本値は式(4−9)の通りである。
(vi)求まった飽和磁化M(M)を用いて(iii)〜(v)の計算を再び行う。本処理を飽和磁化M(M)が十分収束するまで繰り返す。
(vii)求まった異方性磁界H(M)、飽和磁化M(M)を用いて、任意の磁界Hに対して(4−1)式により磁化回転角φを求めた後、(4−2)式を用いて磁化Mを求める。
【0147】
また、(iii)〜(v)の収束解として得られたφを用いて、(4−10)式により残留磁化M(M)を求めることができる。
【0148】
【実施形態4】
上記実施形態1乃至3では、着磁計算を行う方法及び手順等について、着磁計算装置を構成する着磁電流波形計算部、完全着磁曲線推定部、初磁化過程計算部、残留磁化計算部、減磁過程計算部の5つの部分について説明を行ってきた。
【0149】
本実施形態では、これらの構成部分を実際に組み込んだモジュール、及び装置全体の構成について説明する。
【0150】
図26は装置を構成するモジュール、入力データファイル、結果データファイル及び着磁計算の流れを説明する図である。図中符号がPから始まるものは実効形式のプログラムモジュールを示し、Qから始まるものはユーザが用意すべき入力データ、Rから始まるものはプログラムが吐き出すファイルである。
【0151】
P02は上述の着磁電流波形計算部を組み込んだ着磁電流波形計算モジュールであり、P03は完全着磁曲線推定部を組み込んだ完全着磁曲線推定モジュールであり、P04は初磁化過程計算モジュールを組み込んだ初磁化過程計算モジュールであり、P05は残留磁化計算モジュールと減磁過程計算モジュールを組み込んだ残留磁化・減磁過程計算モジュールである。またここでは新たにP01に示す着磁分割モデル自動生成モジュールを付加している。本モジュールは着磁磁石の極数、直径、着磁器のコイルの太さ、スロット当たりのコイルの巻き数を入力データとして、それにあった形状の分割モデルを内部で自動的に生成するものである。モータ等に使用する磁石としては一般的に円筒形をしたものが多く、このようにあらかじめ決まった形状の磁石を着磁する場合に、それにあった着磁器の分割モデルを生成するものである。
【0152】
Q01は着磁器の形状を表すデータファイルであり、Q02は着磁器の電源回路のデータファイルであり、Q03は磁石の初磁化曲線を表す点列(磁界と磁化の組み合わせ、または磁界と磁束密度の組み合わせ)のデータである。Q04は磁石のメジャーループの形状を表すデータである。Q03とQ04は磁石の磁気特性をBHカーブトレーサー等で測定して得られるものである。
【0153】
Q02の着磁器の電源回路データの具体的な内容の一例を図28(a)に示す。着磁電流の目安値2801、コイルの巻き数2802、着磁電流のピーク値2803、コンデンサの容量2804、コンデンサ充電時の両端子電圧2805のデータが入っている。
【0154】
Q03の磁石の初磁化曲線を表す点列のデータの例を図28(b)に示す。点列データとして、磁界Hと磁束密度Bの組が10個設定されている。
【0155】
Q04の磁石のメジャーループの形状を表すデータの例を図28(c) に示す。可逆磁化回転領域の最小磁界H(2806)、残留磁化M(2807)、及びχrec(2808)が入っている。
【0156】
なおここでは、着磁ヨークの磁気特性と導電率及び磁石の導電率はプログラムモジュールP02〜P05の中に内蔵されているものとする。
【0157】
このようにデータを磁石の特性データと着磁器の特性データとで分けて管理することで、管理が行い易く、使い易いシステムとなる。
【0158】
次にこれらの入力データ及びプログラムモジュールを用いて実際に着磁計算を行う際の手順及びデータの流れについて説明する。
【0159】
ユーザはまず着磁器分割モデル自動生成モジュールP01を起動する。すると本モジュールはデータQ01をファイルから読み込み、その内容に従って着磁器の分割モデルのファイルR01を出力する。図27(a)に生成した分割モデルの一例を示す。
【0160】
図27(b)は分割モデル中での材料分布を分かり易くするために表示した図である。なお、実際に分割モデルを表示する際には、材料ごとに異なる色で表示すると分かり易く、特に本着磁計算においては、永久磁石2701、着磁ヨーク2702、空気2703、+コイル2704及び−コイル2705で色を変えて表示するとよい。
【0161】
ユーザは次に着磁電流波形計算モジュールP02を起動する。本モジュールは着磁器の電源回路データQ02をファイルから読み込み、計算された着磁電流波形を初磁化過程計算モジュールの入力フォーマットに沿って初磁化計算用入力ファイルの雛形R02として出力する。
【0162】
次にユーザは完全着磁曲線推定モジュールP03を起動する。本モジュールは磁石の初磁化曲線データファイルQ03、磁石のメジャーループデータファイルQ04、及び初磁化計算用入力ファイルの雛形R02を読み込み、ファイルR02の内容に、ここで求めた完全着磁曲線を付加して、初磁化計算用入力データR03として出力する。
【0163】
次にユーザは初磁化過程計算モジュールP04を起動する。本モジュールは着磁電流波形データと完全着磁曲線のはいった初磁化計算用入力データR03と磁石のメジャーループデータファイルQ04、及び着磁器の分割モデルファイルR01を読み込んだ後、内蔵する
初磁化過程計算部により、初磁化を計算し、初磁化ファイルR04を出力する。なお初磁化ファイルR04には分割モデルデータも含まれている。
【0164】
最後にユーザは残留磁化・減磁過程計算モジュールを起動する。本モジュールは初磁化ファイルR04を読み込み、内蔵された残留磁化計算部、減磁過程計算部により、残留磁化と減磁過程を経た磁化分布を計算し、夫々ファイルR05とファイル06に出力する。
【0165】
残留磁化計算部と減磁過程計算部が同一のモジュール内にあることで、両者間で引き渡されるべきデータである磁化容易軸の方向Θ 、残留磁化M(M) 、異方性磁界H(M)は、ファイルを介してではなく、モジュール内部で引き渡される。
【0166】
ここには表示していないが、ファイルR02を用いて図20に示すような経過時間×電流値の着磁電流波形をグラフ表示するモジュール、ファイルR03を用いて完全着磁曲線を図20に示すような磁界×磁化の磁化曲線をグラフ表示するモジュール、ファイルR04、R05、R06の磁化分布の様子をそれぞれベクトル表示するモジュールを用意しておく。
【0167】
このように図化モジュールを用意しておくことで、着磁計算過程を非常に分かり易く追跡することが可能となる。なおこれらの図化モジュールの機能は、上記5つの計算モジュール機能の一部として、中に含めてもよい。
【0168】
本実施形態で説明したように、着磁計算過程に沿って着磁計算を行うモジュールをいくつかに分割しておき、それぞれを独立なプログラムとすることによって、一部のデータだけを変更して計算する際の重複計算の無駄が削除できるとともに、計算過程を逐一追跡しながらの着磁計算が可能となる。
【0169】
【他の実施形態】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0170】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0171】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0172】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0173】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0174】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば磁石の磁化分布の算出に必要な着磁器の着磁電流波形を計算によりもとめることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の着磁電流波形計算部で解く回路図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の着磁電流波形計算部の行う処理フローを示す図である。
【図4】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の着磁電流波形計算部において1/H外挿により飽和磁化を求める方法を説明する図である。
【図5】磁化曲線の可逆磁化回転領域を説明する図である。
【図6】χを説明する図である。
【図7】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の完全磁化曲線推定部の行う処理フローを示す図である。
【図8】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の初磁化過程計算部の内容を説明する磁化回転モデルの説明図である。
【図9】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の初磁化過程計算部の行う処理フローを示すである。
【図10】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の残留磁化の計算方法を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の残留磁化計算部の行う処理フローを示す図である。
【図12】異方性磁石の減磁過程を説明する図である。
【図13】χrecを説明する図である。
【図14】Heffの積分の計算を説明する図である。
【図15】等方性磁石の減磁過程を説明する図である。
【図16】減磁過程の磁化の回転を基準軸から測った角度で説明する図である。
【図17】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の減磁過程計算部の行う処理フローを示す図である。
【図18】本発明の実施形態1にかかる着磁器分割モデルの一例を示す図である。
【図19】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の電流波形の計算結果の一例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の完全飽和磁化曲線推定部の結果の一例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置の初磁化過程計算部、残留磁化計算部、減磁過程計算部の結果の一例を示す図である。
【図22】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置により得られた磁石の磁化分布を用いて磁石単体での表面磁束密度分布を求めた結果の一例を示す図である。
【図23】本発明の実施形態1にかかる磁化分布算出装置が必要とする入力データの一覧を示す図である。
【図24】本発明の実施形態2にかかる磁化分布算出装置の着磁電流波形計算部の行う処理フローを示す図である。
【図25】本発明の実施形態2の磁化分布算出装置の着磁電流計算手段が必要とする入力データの一覧を示す図である。
【図26】本発明の実施形態4にかかる磁化分布算出装置の構成する主要モジュールとデータの流れの一例を示す図である。
【図27】本発明の実施形態4にかかる磁化分布算出装置の着磁器の分割モデルの一例を示す図である。
【図28】本発明の実施形態4にかかる磁化分布算出装置の着磁計算を行う入力データファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
101 CPU
102 表示装置
103 入力装置
104 外部記憶装置
105 メモリ
106 バス

Claims (20)

  1. 着磁器によって磁性材料に磁界を印加し着磁したときの、該磁性材料における磁化分布を算出する磁化分布算出装置であって、
    前記着磁器の分割モデルと着磁電流の目安値とを含む着磁器本体のデータと、コイルの抵抗とコンデンサの容量と着磁電流のピーク値とを含む電源回路のデータとを設定する設定手段と、
    有限要素法により、前記設定された着磁器の分割モデルを用いて前記設定された目安値の着磁電流を流したときの磁場計算を行い、当該目安値の着磁電流を流したときの前記着磁器のインダクタンスを算出するインダクタンス算出手段と、
    前記コンデンサの容量と当該コンデンサの両端子電圧とに基づいて当該コンデンサの電荷量を算出する電荷量算出手段と、
    前記コンデンサの電荷量及び容量と、前記インダクタンスと、前記コイルの抵抗とに基づいて前記着磁器に流れる電流波形を計算する着磁電流波形計算手段と、
    前記磁性材料に磁界を印加して着磁した場合の磁化の状態を示す磁化曲線のうち、高磁界を印加した場合の磁化曲線を、該磁性材料の特性に基づいて算出する完全着磁曲線推定手段と、
    前記着磁電流波形計算手段により算出された電流波形と、前記完全着磁曲線推定手段により算出された磁化曲線とに基づいて、有限要素法により、前記磁性材料を有限個の要素に分割した各要素ごとの最大磁界を算出し、該最大磁界と当該磁性材料の特性とに基づいて前記各要素ごとの最大磁化点を算出したうえで、該最大磁化点を通る磁化曲線から前記磁性材料の各要素の残留磁化を算出し、該残留磁化を初期値として減磁後の磁化を求めることで、磁化分布を算出する磁化分布算出手段と
    を備えることを特徴とする磁化分布算出装置。
  2. 前記着磁器本体のデータ及び電源回路のデータと、前記磁性材料の特性を示すデータとを独立に管理することを特徴とする請求項1に記載の磁化分布算出装置。
  3. 前記着磁電流波形計算手段により計算された電流波形のピーク値と、設定された前記着磁電流のピーク値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較結果が略一致していなければ、前記コンデンサの両端子電圧を変更する変更手段とを更に備え、
    前記比較手段による比較結果が略一致するまで、前記変更手段による前記コンデンサの両端子電圧の変更と、変更後の当該コンデンサの両端子電圧を用いた前記電荷量算出手段による前記コンデンサの電荷量の算出及び前記着磁電流波形計算手段による電流波形の計算とを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の磁化分布算出装置。
  4. 前記着磁電流波形計算手段が、前記コンデンサの電荷量をQ、前記コンデンサの容量をC、前記インダクタンスをL、前記コイルの抵抗をRとして、(1−2)乃至(1−)式より前記着磁器に流れる電流波形を計算することを特徴とする請求項1に記載の磁化分布算出装置。
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
  5. 前記完全着磁曲線推定手段は、
    前記磁性材料の特性を示す、既に測定された磁化曲線と、残留磁化Mと、該磁化曲線のうち着磁時と減磁時のヒステリシスが生じない最小の磁界Hとを読み込み、
    前記磁性材料の特性に基づき、飽和磁化Mを算出し、
    前記飽和磁化Mと、前記残留磁化Mとに基づいて、(2−3)式および(2−4)式より磁化回転角ωをもとめ、
    前記最小の磁界H以上の任意の磁化曲線上の点(H、M)に基づき、(2−5)式及び(2−6)式より、異方性磁界Hをもとめ、
    (2−1)式および(2−2)式より高磁界における磁化回転角φを(A−)乃至(A−4)式を用いたニュートン法で算出し、算出された磁化回転角φを用いて(2−2)式により磁化Mを算出し、磁界Hに対する磁化Mを表す磁化曲線を求めることを特徴とする請求項に記載の磁化分布算出装置。
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
  6. 前記飽和磁化Mは、前記残留磁化Mの2倍であることを特徴とする請求項に記載の磁化分布算出装置。
  7. 前記飽和磁化Mは、前記既に測定された磁化曲線に基づいて算出することを特徴とする請求項に記載の磁化分布算出装置。
  8. 前記異方性磁界Hは、前記最小の磁界H以上の任意の磁化曲線上の複数の点について算出された値の平均値であることを特徴とする請求項に記載の磁化分布算出装置。
  9. 前記異方性磁界H、前記磁化回転角ω、前記飽和磁化Mに基づいて、(2−10)式より、磁化曲線における磁界0の点での接線の傾きχを求め、測定した磁化曲線のχと比較することで、前記完全着磁曲線推定手段において算出された高磁界における磁化曲線の妥当性を確認することを特徴とする請求項に記載の磁化分布算出装置。
    Figure 0004677121
  10. 着磁器によって磁性材料に磁界を印加し着磁したときの、該磁性材料における磁化分布を算出する磁化分布算出方法であって、
    前記着磁器の分割モデルと着磁電流の目安値とを含む着磁器本体のデータと、コイルの抵抗とコンデンサの容量と着磁電流のピーク値とを含む電源回路のデータとを設定する設定工程と、
    有限要素法により、前記設定された着磁器の分割モデルを用いて前記設定された目安値の着磁電流を流したときの磁場計算を行い、当該目安値の着磁電流を流したときの前記着磁器のインダクタンスを算出するインダクタンス算出工程と、
    前記コンデンサの容量と当該コンデンサの両端子電圧とに基づいて当該コンデンサの電荷量を算出する電荷量算出工程と、
    前記コンデンサの電荷量及び容量と、前記インダクタンスと、前記コイルの抵抗とに基づいて前記着磁器に流れる電流波形を計算する着磁電流波形計算工程と、
    前記磁性材料に磁界を印加して着磁した場合の磁化の状態を示す磁化曲線のうち、高磁界を印加した場合の磁化曲線を、該磁性材料の特性に基づいて算出する完全着磁曲線推定工程と、
    前記着磁電流波形計算工程により算出された電流波形と、前記完全着磁曲線推定工程により算出された磁化曲線とに基づいて、有限要素法により、前記磁性材料を有限個の要素に分割した各要素ごとの最大磁界を算出し、該最大磁界と当該磁性材料の特性とに基づいて前記各要素ごとの最大磁化点を算出したうえで、該最大磁化点を通る磁化曲線から前記磁性材料の各要素の残留磁化を算出し、該残留磁化を初期値として減磁後の磁化を求めることで、磁化分布を算出する磁化分布算出工程と
    を備えることを特徴とする磁化分布算出方法。
  11. 前記着磁器本体のデータ及び電源回路のデータと、前記磁性材料の特性を示すデータとを独立に管理することを特徴とする請求項10に記載の磁化分布算出方法。
  12. 前記着磁電流波形計算工程において計算された電流波形のピーク値と、設定された前記着磁電流のピーク値とを比較する比較工程と、
    前記比較工程による比較結果が略一致していなければ、前記コンデンサの両端子電圧を変更する変更工程とを更に備え、
    前記比較工程による比較結果が略一致するまで、前記変更工程による前記コンデンサの両端子電圧の変更と、変更後の当該コンデンサの両端子電圧を用いた前記電荷量算出工程による前記コンデンサの電荷量の算出及び前記着磁電流波形計算工程による電流波形の計算とを繰り返すことを特徴とする請求項10に記載の磁化分布算出方法。
  13. 前記着磁電流波形計算工程において、前記コンデンサの電荷量をQ、前記コンデンサの容量をC、前記インダクタンスをL、前記コイルの抵抗をRとして、(1−2)乃至(1−)式より前記着磁器に流れる電流波形を計算することを特徴とする請求項10に記載の磁化分布算出方法。
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
  14. 前記完全着磁曲線推定工程では、
    前記磁性材料の特性を示す、既に測定された磁化曲線と、残留磁化Mと、該磁化曲線のうち着磁時と減磁時のヒステリシスが生じない最小の磁界Hとを読み込み、
    前記磁性材料の特性に基づき、飽和磁化Mを算出し、
    前記飽和磁化Mと、前記残留磁化Mとに基づいて、(2−3)式および(2−4)式より磁化回転角ωをもとめ、
    前記最小の磁界H以上の任意の磁化曲線上の点(H、M)に基づき、(2−5)式及び(2−6)式より、異方性磁界Hをもとめ、
    (2−1)式および(2−2)式より高磁界における磁化回転角φを(A−)乃至(A−4)式を用いたニュートン法で算出し、算出された磁化回転角φを用いて(2−2)式により磁化Mを算出し、磁界Hに対する磁化Mを表す磁化曲線を求めることを特徴とする請求項10に記載の磁化分布算出方法。
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
    Figure 0004677121
  15. 前記飽和磁化Mは、前記残留磁化Mの2倍であることを特徴とする請求項14に記載の磁化分布算出方法。
  16. 前記飽和磁化Mは、前記既に測定された磁化曲線に基づいて算出することを特徴とする請求項14に記載の磁化分布算出方法。
  17. 前記異方性磁界Hは、前記最小の磁界H以上の任意の磁化曲線上の複数の点について算出された値の平均値であることを特徴とする請求項14に記載の磁化分布算出方法。
  18. 前記異方性磁界H、前記磁化回転角ω、前記飽和磁化Mに基づいて、(2−10)式より、磁化曲線における磁界0の点での接線の傾きχを求め、測定した磁化曲線のχと比較することで、前記完全着磁曲線推定工程において算出された高磁界における磁化曲線の妥当性を確認することを特徴とする請求項14に記載の磁化分布算出方法。
    Figure 0004677121
  19. 請求項1018のいずれか1つに記載の磁化分布算出方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
  20. 請求項1018のいずれか1つに記載の磁化分布算出方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
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