JP2004092787A - ボールねじ装置 - Google Patents

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JP2004092787A
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Yasumi Watanabe
渡辺 靖巳
Junji Mizuguchi
水口 淳二
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

【課題】循環チューブ内面でのボールの接触に伴う金属粉等のゴミの発生を防止して転動面とボールとの間に入り込む異物の量を抑制することでボールねじ装置の寿命を向上させる。
【解決手段】外周面に螺旋状のねじ溝2を有するねじ軸3と、該ねじ溝2に対応するねじ溝4を内周面に有してねじ軸3に遊嵌されるナット6と、前記両ねじ溝2,4間に形成される負荷軌道に転動可能に装填された多数のボール5と、前記負荷軌道を転動するボール5を無限循環させるべくナット6に設けられた循環チューブ8とを備えたボールねじ装置1において、循環チューブ8の内面粗さを算術平均粗さで0.2μmRa以下とする。
【選択図】   図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば射出成型機、プレス機等の送り機構等に用いられるボールねじ装置に関し、特に高負荷用途に好適なボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のボールねじ装置としては、例えば図5に示すものが知られている。このボールねじ装置1は、外周面に螺旋状のねじ溝2を有して軸方向に延びるねじ軸3に、内周面にねじ溝2に対応する螺旋状のねじ溝4を有するナット6が遊嵌されている。
【0003】
ナット6のねじ溝4とねじ軸3のねじ溝2とは互いに対向して両者の間に螺旋状の負荷軌道を形成しており、該負荷軌道には転動体としての多数のボール5が転動可能に装填されている。そして、ねじ軸3(又はナット6)の回転により、ナット6(又はねじ軸3)がボール5の転動を介して軸方向に移動するようになっている。
【0004】
また、ナット6(又はねじ軸3)が軸方向に移動する際には、ボール5が両ねじ溝2,4で形成される螺旋状の負荷軌道を転動しつつ移動するが、ナット6(又はねじ軸3)を継続して移動させていくためには、ボール5を無限循環させる必要がある。
このため、例えばナット6の外周面の一部を平坦面にしてこの平坦面に両ねじ溝2,4に連通する2個一組の孔7をねじ軸3を跨ぐように形成し、この一組の孔7に略コ字状の循環チューブ8の両端を嵌め込むことにより、両ねじ溝2,4間の負荷軌道に沿って公転するボール5を該負荷軌道の途中から循環チューブ8で掬い上げて元の負荷軌道に戻し、これにより、ボール5を無限循環させるようにしている。
【0005】
なお、この循環チューブ8の製作工程では、例えば一体型の循環チューブの場合は、冷間引き抜き加工の管状素材を所定長さに切断し、次いで、両端の曲げ加工を行うと共に、両端開口部にすくい上げ用タングの加工を行い、また、前記曲げ加工によるチューブ曲げ部の内径を確保するために使用するボール径より数10μmほど大きいボールでボール通しを行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のボールねじ装置においては、循環チューブ8の製作工程で曲げ加工やボール通しを行う際に循環チューブ8の内面にバリや塑性流動が生じ、しかも、循環チューブ8の素材表面は引き抜き加工のままであることから、循環チューブ8の内面粗さが大きいことに加えて、内面が閉じた形になっているので内面を研磨することが困難である。
【0007】
したがって、このような循環チューブ8を用いたボールねじ装置を運転させると、ボール5の転動に伴って循環チューブ8の内面はボール5との接触によって摩耗し、該摩耗による金属粉等のゴミが前記ねじ溝2,4とボール5との間に入り込み、ボール5や転動面の摩耗を早め、寿命低下の原因となる。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、循環チューブ内面での転動体の接触に伴う金属粉等のゴミの発生を防止して両ねじ溝と転動体との間に入り込む異物の量を抑制し、これにより、転動体や転動面の摩耗寿命の向上を図ることができるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を内周面に有して前記ねじ軸に遊嵌されるナットと、前記両ねじ溝間に形成される負荷軌道に転動可能に装填された多数の転動体と、前記負荷軌道を転動する転動体を無限循環させるべく前記ナットに設けられた循環チューブとを備えたボールねじ装置において、
前記循環チューブの内面粗さを算術平均粗さで0.2μmRa以下としたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記循環チューブの内面を砥粒流動加工法によって加工したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施の形態に係るボールねじ装置は、図5のボールねじ装置1の循環チューブ8を一体型として該循環チューブ8の内面粗さを算術平均粗さで0.2μm以下としている。
【0010】
即ち、循環チューブ8の製作工程において、冷間引き抜き加工の管状素材を所定長さに切断して両端の曲げ加工を行い、次いで、該曲げ加工によるチューブ曲げ部の内径を確保するために使用するボール径より数10μmほど大きいボールでボール通しを行った後、チューブ両端開口部にすくい上げ用タングの加工を行う前か後のいずれかに、「粘弾性流体に混練された砥粒に圧力を加え、加工したい個所で砥粒を圧接移動させ、加工物の表面を除去、研磨する」という砥粒流動加工を行うことにより、循環チューブ8の内面を算術平均粗さで0.2μmRa以下に研磨する。
【0011】
これにより、循環チューブ8の製作工程での曲げ加工やボール通しを行う際にチューブ内面に生じたバリや塑性流動等の傷が滑らかになって内面粗さが向上し、また、チューブ内面にこびりついた汚れは強制的に排除されるため、チューブ内面にボール5の接触に伴う金属粉等のゴミが生じにくくなる。この結果、転動面とボールとの間に異物が入ることを未然に防ぐことができ、ボールや転動面の摩耗寿命ひいてはボールねじ装置の寿命の向上を図ることができる。
【0012】
なお、本発明のボールねじ装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、一体型の循環チューブを備えたボールねじ装置に本発明を適用した場合を例に採ったが、これに限定されず、プレス加工で製作した分割型の循環チューブを備えたボールねじ装置に本発明を適用してもよい。
【0013】
また、上記実施の形態では、循環チューブ8の内面の加工法として砥粒流動加工法を採用した場合を例に採ったが、これに代えて、バレル加工やショットピーニング加工等を用いて循環チューブ8の内面の算術平均粗さを0.2μmRa以下としてもよい。
更に、上記実施の形態では、転動体としてボールを例示したが、これに限定されず、ころ(ローラ)であってもよい。
【0014】
【実施例】
チューブ内面に砥粒流動加工を施してチューブ内面の算術平均粗さを0.2μmRa以下とした循環チューブTP6〜TP15をそれぞれ組み込んだボールねじ装置を実施例とし、チューブ内面に砥粒流動加工を施していない循環チューブTP1〜TP5をそれぞれ組み込んだボールねじ装置を比較例として、グリース内の異物量とボールねじ装置の寿命の比較を行った。なお、TP以外の条件は各ボールねじ装置共に同一条件とした。
【0015】
砥粒流動加工の加工時間はそれぞれのTP毎に変化させ、また、循環チューブ内でのボール間の競り合いによるごみの発生を防ぐため、各ボール間に保持ピースを介挿した。グリース内の異物量の比較については、ボールねじ装置運転時の初期に採取したグリース内のゴミの量を測定して比較を行った。
ボールねじ装置の仕様及び砥粒流動加工条件は次の通りである。
【0016】
ボールねじ仕様:NSKボールねじBS10016 ,2.5 巻き5 列,ボール径12.7mm
砥粒流動加工メディア:C♯46MI×9867
研磨圧力:7.0MPa
加工時間:未加工,2min,6min,10min,14min
表1に各TPの砥粒流動加工時間、チューブ内面粗さ、グリース内の異物量比及びボールねじ装置の寿命比を示す。
【0017】
【表1】
Figure 2004092787
【0018】
表1の異物量比及びボールねじ装置の寿命比については、砥粒流動加工を施していないTP1〜5の平均値を1とした相対値で示す。表1の各TPにおけるチューブ内面粗さと異物量比との関係を整理したものを図1に、表1の各TPにおけるチューブ内面組さとボールねじ装置の寿命比との関係を整理したものを図2に示す。また、図3にTP1のチューブ内面粗さの測定結果を、図4にTP10のチューブ内面粗さの測定結果を示す。
【0019】
図1及び図2から明らかなように、チューブ内面に砥粒流動加工を施してチューブ内面の算術平均粗さを0.2μmRa以下とした循環チューブTP6〜TP15を備えたボールねじ装置は、チューブ内面に砥粒流動加工を施していない循環チューブTP1〜TP5を備えたボールねじ装置と比較して、転動面とボールとの間に入り込む異物の量が抑制され、且つ長寿命効果が得られることが判る。
【0020】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、循環チューブ内面での転動体の接触に伴う金属粉等のゴミの発生を防止して両ねじ溝と転動体との間に入り込む異物の量を抑制することができるので、転動体や転動面の摩耗寿命ひいてはボールねじ装置の寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各TPにおける循環チューブの内面粗さとグリース内の異物量比との関係を示すグラフ図である。
【図2】各TPにおける循環チューブの内面粗さと寿命比との関係を示すグラフ図である。
【図3】TP1のチューブ内面粗さの測定結果を示すグラフ図である。
【図4】TP10のチューブ内面粗さの測定結果を示すグラフ図である
【図5】ボールねじ装置の一例を説明するための説明的断面図である。
【符号の説明】
1…ボールねじ装置
2…ねじ溝(ねじ軸側)
3…ねじ軸
4…ねじ溝(ナット側)
5…ボール(転動体)
6…ナット
8…循環チューブ

Claims (2)

  1. 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を内周面に有して前記ねじ軸に遊嵌されるナットと、前記両ねじ溝間に形成される負荷軌道に転動可能に装填された多数の転動体と、前記負荷軌道を転動する転動体を無限循環させるべく前記ナットに設けられた循環チューブとを備えたボールねじ装置において、
    前記循環チューブの内面粗さを算術平均粗さで0.2μmRa以下としたことを特徴とするボールねじ装置。
  2. 前記循環チューブの内面を砥粒流動加工法によって加工したことを特徴とする請求項1記載のボールねじ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006104015A1 (ja) 2005-03-25 2006-10-05 Nsk Ltd. ボールねじ

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