JP2004091893A - 高強度チタン合金 - Google Patents

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小島 壮一郎
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Abstract

【課題】高強度チタン合金として汎用されているTi−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常温強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を含めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よく熱間加工を行うことのできるチタン合金を提供すること。
【解決手段】α安定化元素としてAl:3〜7%(質量%を表わす、以下同じ)およびC:0.08〜0.25%、β安定化元素としてCr:2.0〜6.0%およびFe:0.3〜1.0%を含有するα−β型チタン合金からなる熱間加工性に優れた高強度チタン合金を開示する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実用温度域で高強度を示すと共に高温時の変形抵抗が小さくて熱間加工性に優れ、あるいは更に疲労特性にも優れたチタン合金に関し、このチタン合金は、高強度と優れた熱間加工性を活かして、例えば航空機分野、自動車分野、船舶分野などに幅広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】
Ti−6Al−4V合金に代表されるα−β型チタン合金は、軽量且つ高強度で優れた耐食性を有していることから、航空機や自動車、船舶分野などを始めとする様々の分野で、鉄鋼材料に代わる構造材や外板材等として実用化が積極的に進められている。
【0003】
ところが、高強度のチタン合金はα−β温度域、即ち熱間加工温度域での変形抵抗が大きくて鍛造加工性や2次加工性が悪いため、汎用化を進める上で大きな障害となっている。そのため、熱間加工時の加工回数と加熱回数を増やし、製品歩留まりを犠牲にして充分な余肉をつけた状態で熱間加工を行っているのが実情であり、熱間プレス加工を行うにしても、適用可能なプレス能力の限界サイズに甘んじている。また棒状や線状に熱間圧延する場合でも、高速圧延を採用すると大きな変形抵抗に起因して大きな加工発熱を生じ組織不良を招くので低速で圧延せざるを得ず、生産性を高める上で大きな障害となっている。また用途によっては、従来のTi−6Al−4V合金以上の疲労特性が要求されることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、高強度チタン合金として現在最も広範に利用されているTi−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常温強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を含めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よく熱間加工することができ、あるいは更に疲労特性にも優れたチタン合金を提供することにある。
【0005】
【課題を達成するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱間加工性に優れた高強度チタン合金とは、α安定化元素としてAl:3〜7%(化学成分の場合は質量%を表わす、以下同じ)およびC:0.08〜0.25%、β安定化元素としてCr:2.0〜6.0%およびFe:0.3〜1.0%を含有するα−β型チタン合金からなるところに特徴を有している。
【0006】
本発明に係る上記チタン合金においては、該合金素地内に存在するTiC析出物の面積率が3%以下であるものは、疲労強度にも優れたものとなるので好ましい。そして、この様なTiC面積率は、前記成分組成のチタン合金を製造する際に、700℃〜900℃未満の温度で焼鈍するに先駆け、900℃〜包析温度未満での総加熱時間が4時間以上、且つ総加工量が30%以上で熱間加工することによって得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、先に指摘した様な従来技術の問題点に鑑み、現在、高強度チタン合金として最も広範に利用されているTi−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常温強度を有すると共に、通常の上限使用温度域である約500℃付近でも充分な強度を確保しつつ、通常のα−β型チタン合金では熱間加工性が難しくなる800℃前後以上の高温での変形抵抗を下げることで熱間加工性を改善し、強度と熱間加工性の共に優れたチタン合金を開発すべく、特にチタン合金組成を中心にして研究を進めてきた。
【0008】
その結果、後述する如く合金元素の種類や含有率をうまく調整してやれば、常温〜約500℃程度の実用温度域ではTi−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る強度を有しつつ、卓越した熱間加工性を有するチタン合金が得られることを知り、上記本発明に想到したものである。
【0009】
即ち、本発明にかかる高強度チタン合金は、α安定化元素としてAlを3〜7%(より好ましくは3.5〜5.5%)、Cを0.08〜0.25%(より好ましくは0.10〜0.22%、更に好ましくは0.15〜0.20%)含有し、且つβ安定化元素としてCrを2.0〜6.0%(より好ましくは3.0〜5.0%)、Feを0.3〜1.0%含有するα−β型のチタン合金である。
【0010】
なお、上記元素の含有率範囲を定めた理由は下記の通りである。まずAl含量は、Ti−6Al−4V相当の強度を確保するために下限値を定め、また上限値については、熱間加工条件下において変形抵抗の上昇と熱間延性の低下を抑えることのできる許容限として定めた。またC量も、Ti−6Al−4V相当の強度を確保するために下限値を規定し、また上限値については、後でも説明する如くTiCの多量析出により熱間延性や疲労特性を劣化させることのない許容限として定めている。
【0011】
またCr量とFe量の下限を定めたのは、同様にTi−6Al−4V相当の強度を確保するためであり、上限値については、熱間加工時の変形抵抗を上昇させず且つβ変態点を下げ過ぎないための要件として定めている。
【0012】
本発明に係るチタン合金は、上記元素に加えて少量のSn,Zr,Siを含むものであってもよいが、これらの元素については、本願発明の特徴である常温〜500℃レベルの温度域での高強度と熱間加工性を阻害しない様、Sn、Zrは各々5%程度以下、Siは0.8%程度以下に抑えるのがよい。
【0013】
本発明に係る上記成分組成のチタン合金における第1の特徴は、代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金に対してややAl含量が少な目で、且つ少量のCを含んでいる点である。そしてこれらAlやCの作用は次の様に推測される。即ちAlやCは周知の通りα安定化元素であり、一般的には高温強度の向上に寄与するが、添加量を適切に制御すれば、室温から500℃レベルの温度までは温度上昇に伴う大幅な強度低下を起こさず、より高温の熱間加工温度域では強度上昇を抑え、変形抵抗を大幅に低下させる。特にCは、室温から500℃レベルの温度域までは固溶強化に寄与するが、熱間加工温度域では強度向上に殆ど寄与しなくなる。更にCは、微量の添加でβ変態点を大幅に上昇させる作用も有しているため、本発明にとって極めて有用な元素であると考えられる。
【0014】
また該チタン合金の成分組成面からみた第2の特徴は、β安定化元素として適量のCrとFeを含んでいる点である。そして、これらCrとFeの作用は次の様に推測される。
【0015】
即ちCrとFeは周知の通りβ安定化元素であり、β安定化元素は一般的に強度および変形抵抗を上昇させるが、遷移元素であるCrとFeは、Ti中で高速拡散するため高温での強化にはあまり寄与しない。従って、これらの元素の添加量を適切に制御すれば、常温〜500℃レベルの実用温度域では高強度を確保しつつ、高温の鍛造乃至熱間圧延条件下での変形抵抗は少なく、優れた熱間加工性を与えるものと考えられる。
【0016】
ところで本発明のチタン合金は、前述の如く構成元素として適量のCを積極的に含有させたところに大きな特徴を有しているが、半面、Cの積極添加に由来して合金素地内にTiCが生成し、これが析出物となって当該チタン合金の疲労特性を劣化させることが懸念される。そこで、該チタン合金中に生成する可能性のあるTiC析出物が疲労特性に及ぼす影響をについても検討したところ、後記実施例でも明らかにする如く、チタン合金素地中のTiC析出物の面積率が3%以下であるものは、疲労特性においても優れた特性を発揮し得ることが確認された。
【0017】
ちなみに、後記実施例でも明らかにする如く、本発明に係るチタン合金の中でも、TiC面積率が3%を超えるものは、従来の代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金と同レベルの疲労特性しか有していないが、TiC面積率が3%以下、より好ましくは1.0%以下であるものは、疲労特性においても従来のTi−6Al−4V合金を凌駕する特性を発揮し得ることが確認された。
【0018】
そして、こうしたTiC面積率のチタン合金は、前述した成分組成の要件を満たすチタン合金を熱処理して熱間加工する際に、700℃〜900℃未満(好ましくは700〜850℃)の温度で焼鈍するに先駆けて、900℃〜包析温度未満での総加熱時間が4時間以上、且つ総加工量が30%(好ましくは50%)程度以上で熱間加工すればよいことを確認している。
【0019】
ちなみに本発明の合金は、比較的多量のCを意図的に添加しており、加熱条件によっては過飽和でないCも包析温度以下でTiCとして存在し得る。しかし上記熱処理条件を採用すると、余剰のTiCを熱的に安定な状態、すなわち固溶限以下のCを完全に固溶させることができ、TiCとしての存在量が最小限に抑えられるためと考えている。
【0020】
本発明のチタン合金が有している従来のチタン合金に見られない特殊性は、常温強度と高温条件下での高速引張りにおける変形抵抗との比に現れる。即ち本発明のチタン合金は、当該合金を700℃で2時間加熱焼鈍したのち自然放冷したものの室温(25℃)での引張強度(ASTM E8に準拠して求められる値)Aと、当該チタン合金を850℃×5分間大気雰囲気下で加熱し、その直後に歪速度100/secで高速引張試験を行った時の変形抵抗(引張試験片の平行部長さが均一に変形すると仮定して、歪速度100/secでの高速引張試験における最大荷重を、引張試験前の平行部の面積で除した値)Bとの比、A/Bが10以上を示すことである。
【0021】
ちなみに図1は、後記実験例で得た本発明のチタン合金▲1▼と、従来の代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)▲2▼およびJIS2種チタン(純チタン)▲3▼について、試験温度と引張強さおよび高速引張り時の変形抵抗の関係を示したグラフである。尚、常温(25℃)から500℃までの間の引張強さはASTM E8に準拠して求め、700℃から950℃までの変形抵抗値は、歪速度100/secでの高速引張試験によって求めた値を示している。
【0022】
この図からも明らかな様に、本発明のチタン合金▲1▼と従来合金▲2▼や純チタン▲3▼は、何れも試験温度が高くなるにつれて強度(変形抵抗)が低下していくことに変わりはない。また、常温から約500℃程度までの温度域(即ち、実際の使用温度域)における強度低下傾向は、代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4Vからなる従来合金▲2▼と本発明に係るチタン合金▲1▼の間で大きな差は見られない。
【0023】
ところが、熱間加工温度域、殊に800〜950℃のα−β温度域における変形抵抗を比較すると、従来合金▲2▼はかなり高い強度(変形抵抗)を維持しているのに対し、本発明チタン合金▲1▼の強度(変形抵抗)は極端に低くなっている。このことから、本発明のチタン合金は、常温から約500℃程度までの実用温度域では高強度を示し、且つ熱間加工温度域では強度が著しく低下し変形抵抗の大幅低下により優れた熱間加工性を示すことが分る。
【0024】
本発明チタン合金が有しているこうした特性、即ち、常温強度〜500℃程度までの高温強度に優れ、且つ熱間加工温度域での低い変形抵抗(即ち、優れた熱間加工性)を、現存するチタン合金に見られない特性として活用するには、実用温度域での強度と一般的な熱間加工条件を考慮して、[700℃で2時間加熱焼鈍したのち自然放冷したものの室温(25℃)での引張強度]Aと、[850℃×5分間大気雰囲気で加熱しその直後に歪速度100/secで高速引張試験を行った時の変形抵抗]Bとの比で、「A/B>10」であるものが好ましい。本発明においてより好ましいのは、A/Bが12以上、更に好ましくは16以上のものである。
【0025】
ちなみに、α−β型の代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)▲2▼の上記測定法によって求められるA/B値は、後記実施例などからも明らかな如く通常は「3」程度、高いものでもせいぜい「5」程度までであり、本発明チタン合金が有している「A/B>10」を大幅に下回っている。なお図1や表1〜3には、参考のため従来のチタン合金に比べて熱間加工の容易なJIS2種純チタン▲3▼の特性も併記している。
【0026】
即ち本発明の高強度チタン合金は、既存のチタン合金に対し、上記「A/B>10」という強度特性によってその有用性を評価できる。更に本発明の高強度チタン合金は、その優れた強度特性や熱間加工性、或いは更に熱間加工時の組織制御の安定性等を考慮すると、上記「A/B>10」という強度特性に加えて、下記特性を有するものが好ましい。
【0027】
▲1▼700℃で焼鈍した後の室温(25℃)での引張強さが895MPa以上であること。この特性は、高強度チタン合金としての位置付けをより明確にする上で望ましい特性であり、前述した既存の代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金のASTM規格で定められる強度の下限値が895MPaであることから、この既存合金に匹敵する特性を満たす条件として定めた。ちなみに、後記実施例として挙げた本発明に係る高強度チタン合金の常温強度は、通常のTi−6Al−4V焼鈍材と同等の値を示している。
【0028】
▲2▼850℃での高速引張りにおける変形抵抗が200MPa以下であること。この特性は、既存の高強度チタン合金には見られない卓越した熱間加工性をより具体的に数値化した値であり、通常の鍛造温度を想定し、該温度条件下で充分に変形抵抗が小さく安定して優れた加工性を保障するには、上記温度条件下での変形抵抗が200MPa以下、より好ましくは150MPa以下、更に好ましくは100MPa以下であることが望ましい。ちなみに、後記実施例に示した本発明合金の該変形抵抗値は何れも100MPa以下である。
【0029】
▲3▼700℃で焼鈍した後の500℃での引張強さが、室温(25℃)での引張強さの45%以上であること。この強度特性は、本発明合金を実用化する際に曝される高温条件下での強度保持性、即ち実用上の耐熱特性を表す指標として定めたもので、常温強度に対し500℃レベルの高温条件下でも強度の低下が少なく、耐熱強度特性に優れたものであることを表している。より高レベルの耐熱強度特性を確保するには、50%以上、更に好ましくは55%以上を維持することが望ましい。ちなみに、後記実施例に挙げた本発明合金▲1▼は55%以上を有している。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】
実施例1
本発明にかかる代表的なチタン合金として、Ti−4.5Al−4Cr−0.5Fe−0.2C合金▲1▼(β変態点:970℃)を、コールドクルーシブルインダクション溶解法(CCIM)により溶製して25kg鋳塊を製造し、この鋳塊を850℃×2時間加熱した後、92%の加工率で鍛造し、次いで700℃×2時間加熱→空冷の焼鈍を施すことにより鍛造丸棒を作製した。
【0032】
この鍛造材を用いて、室温から500℃までの引張強度(ASTM E8に準拠)を測定した。また、上記鋳塊から図2に示す寸法・形状の試験片を切出し、各試験片を大気雰囲気下に700℃〜950℃で5分間加熱し、その直後に、高速引張試験機(富士電波工機社製商品名「サーメックマスターZ」)を用いて、歪速度100/secで高速引張り試験を行い、変形抵抗を求めた。なお変形抵抗値は、該高速引張り試験で得た最大荷重を引張試験前の平行部の面積で除して算出した。結果を表1に示す。
【0033】
また、上記で得た鋳片▲1▼を用いて上記と同じ条件で鍛造し、700℃で2時間加熱焼鈍した後、0.1〜0.2℃/secの速度で冷却し、島津製作所製の引張試験機(商品名「AG−E230kN オートグラフ引張試験機」)を用いて、室温(25℃)〜500℃での引張強度をASTM E8に準拠して求めた。結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004091893
【0035】
【表2】
Figure 2004091893
【0036】
図1は、上記表1,2の結果を、試験温度(℃)と引張強さ(常温〜500℃)および変形抵抗(700℃〜950℃)の関係として図示したものである。なお表1,2及び図1には、従来の代表的なチタン合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金▲2▼)とJIS2種チタン(純チタン▲3▼)の測定結果を併記した。
【0037】
表1,2及び図1からも明らかな様に、代表的な高強度チタン合金である従来合金▲2▼は、常温〜500℃の実用温度域で高強度を有している反面、熱間加工温度域である700〜950℃の高温域でもかなり高強度を維持しており、変形抵抗が大きいため熱間加工性に欠ける。
【0038】
これらに対し本発明のチタン合金▲1▼は、常温〜500℃の実用温度域では従来合金▲2▼を上回る高強度を有しており、しかも熱間加工が想定される800〜950℃の高温域での変形抵抗は、易加工性の純チタン▲3▼と同程度に低く、熱間加工性においても非常に優れたものであることが分る。
【0039】
即ち、実用温度域での強度および熱間加工温度域での変形抵抗について、本発明の規定要件を満たすチタン合金▲1▼と従来合金▲2▼や純チタン▲3▼と比較すると、下記表3に示す通りであり、本発明のチタン合金▲1▼は高強度と優れた熱間加工性を兼備していることが分る。
【0040】
【表3】
Figure 2004091893
【0041】
実施例2
下記表4に示す成分組成のチタン合金を使用し、以下は前記実施例1と同様にして鍛造および焼鈍を行った後、以下も同様にして室温(25℃)および500℃での引張強度を測定すると共に、850℃での高速引張による高温変形抵抗を測定した。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 2004091893
【0043】
表4からも明らかな様に、符号2〜5は何れも本発明の規定要件を満たすチタン合金であり、25℃および500℃で高い引張強度を有するばかりでなく、850℃での高速引張り時の変形抵抗は相対的に低く、優れた熱間加工性を有していることが分る。これらに対し、符号1はC含量が不足し、符号6はC含量が多過ぎる何れも比較合金であり、どちらの合金も、850℃での変形抵抗は符号2〜5の合金とそれほど変わらないが、25℃および500℃での引張強度が格段に低く、その結果としてA/B値も相対的に低くなっている。
【0044】
なお図3は、上記表4に示した符号1〜6のチタン合金について、C含量が当該チタン合金の室温(25℃)強度と850℃での変形抵抗の比(A/B)に及ぼす影響を整理して示したグラフであり、この図からも明らかな様に、(A/B)比を高め、室温での高強度と優れた熱間構成を両立させる上でC含量は極めて重要であり、C含量を0.08〜0.25%の範囲とすることによって、(A/B)比をより効果的に高め得ることが分る。
【0045】
実施例3
前記実施例2に示したチタン合金のうち、Ti−4.5Al−4Cr−0.5Fe−0.2C合金(包析温度;970℃)について、940℃で4時間加熱した後、92%の加工率で鍛造し、700℃×2時間加熱/空冷の焼鈍を施して鍛造丸棒を製造した。この丸棒と、前記実施例1で得た同組成の鍛造丸棒2種(鍛造前の加熱条件は何れも850℃で2時間)について、断面に表われるTiCの面積率と疲労強度(ASTM E466に準拠:応力比0.1)の関係を調べた。
【0046】
但し、TiC面積率および疲労強度の測定法は下記の通りである。
【0047】
[TiC面積率(%)]
供試チタン合金の断面5箇所について、300倍以上の倍率で10000μmの範囲をEPMAにより面分析してCとAlの濃度分布を測定し、得られた濃度分布図においてCが濃化している領域の面積率(A)と、Alが濃化している領域の面積率(B)を画像解析によって求め、該面積率の差(A−B)をTiCの面積率とする。尚、図4,5として提出する写真は、チタン合金の断面EPMA写真であり、図4はTiC面積率が0%であるチタン合金、図5はTiC面積率が3%であるチタン合金のEPMA写真である。
【0048】
結果は表5に示す通りで、本発明に係るチタン合金の疲労強度は、その断面に現れるTiC面積率によってかなり異なってくる。そして、TiC面積率が高くなるにつれて疲労限は明らかに低下傾向を示しており、該面積率を3%以下に抑えてやれば、安定して高レベルの疲労特性を確保できることが分る。
【0049】
【表5】
Figure 2004091893
【0050】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、α安定化元素としてAlとC、β安定化元素としてCrとFeを夫々適量含有させることにより、常温〜500℃の実用温度域では、従来の代表的な高強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金に匹敵し或いはこれを上回る高強度を有すると共に、熱間加工温度域での変形抵抗は純チタン並に低くて優れた熱間加工性を有し、高い熱間加工性の下で高強度のチタン合金部材を与えるチタン合金を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強度チタン合金と従来合金の試験温度と引張強さ(および変形抵抗)の関係を示すグラフである。
【図2】高温域での変形抵抗測定用試験片の形状・寸法を示す説明図である。
【図3】本発明に係る高強度チタン合金において、C含量が常温強度と高温引張り抵抗との比(A/B)に与える影響を示すグラフである。
【図4】TiC面積率が0%である高強度チタン合金の断面EPMA写真である。
【図5】TiC面積率が3%である高強度チタン合金の断面EPMA写真である。

Claims (3)

  1. α安定化元素としてAl:3〜7%(化学成分の場合は質量%を表わす、以下同じ)およびC:0.08〜0.25%、β安定化元素としてCr:2.0〜6.0%およびFe:0.3〜1.0%を含有するα−β型チタン合金からなることを特徴とする熱間加工性に優れた高強度チタン合金。
  2. チタン合金素地内に存在するTiC析出物の面積率が3%以下である請求項1に記載の高強度チタン合金。
  3. 700℃〜900℃未満の温度で焼鈍するに先駆け、900℃〜包析温度未満での総加熱時間が4時間以上、且つ総加工量が30%以上で熱間加工されている請求項2に記載の高強度チタン合金。
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