JP2004091652A - 絶縁膜用コーティングワニス及び絶縁膜 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜用コーティングワニス及び絶縁膜に関するものである。更に詳しくは、熱特性、電気特性、機械特性、物理特性に優れる、特に、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に好適な絶縁膜用コーティングワニス及び該コーティングワニスから得られる絶縁膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁膜において、中でも半導体用の層間絶縁膜としては、化学気相法等で作製した酸化膜が使用されている。しかしながら、酸化膜等の無機絶縁膜は誘電率が高く、高速化、高性能化のため、絶縁膜として有機材料の適用が検討されている。半導体用途の有機材料としては、耐熱性、電気特性、機械的特性などに優れたポリイミド樹脂が用いられている。近年、半導体の高機能化、高性能化にともない、さらに、耐熱性、電気特性、吸湿性、熱膨張係数等の著しい向上の要求があり、更に高性能な樹脂が必要とされるようになっている。
【0003】
このような事情から、ポリイミド樹脂に比べて、吸水性、電気特性に関して優れた性能を示すポリベンゾオキサゾール樹脂を、半導体用途の絶縁材料に適用することが試みられている。ポリベンゾオキサゾール樹脂は、熱特性、電気特性、機械的特性、物理特性に優れており、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸からなるポリベンゾオキサゾール樹脂や、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとテレフタル酸からのポリベンゾオキサゾール樹脂等がある。しかしながら、近年のさらなる低誘電率化の要求は厳しく、有機樹脂等の高密度膜では、要求される誘電率を満足することが難しくなってきているため、有機膜の膜中に孔を開けることにより、誘電率を低減させる方法が行われているが、比誘電率のみならず、機械特性、電気特性、耐吸水性、耐熱性を満足させながら、微細孔を有する絶縁膜を得るためには、樹脂や熱分解性成分などの組合せの選択が非常に限定されると共に、樹脂の溶解性や保存性など膜の加工性などにも問題があり、すべての特性を満足できるものは得られていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱特性、電気特性、物理特性及び機械特性のすべてに優れ、しかもフィルム加工性も良好な絶縁膜用コーティングワニスおよびこれから得られる、特に、半導体用途に好適な、誘電率が極めて低く、高耐熱性の絶縁膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記のような従来の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定構造のポリベンゾオキサゾール前駆体に、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を加えて調製した、ワニスを用いて作製したポリベンゾオキサゾールの膜が、本発明の目標を満たし得ることを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(1)一般式(A)、又は一般式(A)及び一般式(F)で表わされる構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、
(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、並びに、
(3)上記成分(1)及び成分(2)を同時に溶解もしくは分散することが可能な有機溶媒、からなることを特徴とする、絶縁膜用コーティングワニスである。
【化7】
[式中、m及びnは、その合計が2〜1000で、かつ、次式を満たす整数である。
0.05≦(m/(m+n))≦1
また、R1〜R4は、水素原子または一価の有機基を示し、Xは式(B)で表される四価の基より選ばれる基を示し、それぞれ同一でも異なっていても良く、Y1は式(C)で表される二価の基、Y2は式(D)で表される二価の基より、それぞれ選ばれる基を示す。]
【化8】
[式(F)中、lは1〜1000の整数であり、R5〜R6は、Hまたは一価の有機基を示し、Xは式(B)で表される四価の基、およびY2は式(D)で表されるで表される二価の基より、それぞれ選ばれる基を示す。]
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
[式(B)及び式(D)中、X1は式(E)で表される二価の基より選ばれる基を示し、式(B)〜式(E)の構造中、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、およびフェニル基の中から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていても良い。]
【0007】
また、さらに本発明は、前記のコーティング用ワニスから作製したことを特徴とする、絶縁膜である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる一般式(A)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物と、式(C)で表される二価の基を有するイソシアネート構造含有カルボン酸、及び式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸とから、一般式(F)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物と式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸とから、従来の酸クロリド法、活性化エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法により得ることができる。
【0009】
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物としては、2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス−(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のビスアミノフェノール化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0010】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(C)で表される二価の基を有するイソシアネート構造含有カルボン酸の例としては、3−イソシアナトフタル酸、4−イソシアナトフタル酸、2−イソシアナトイソフタル酸、4−イソシアナトイソフタル酸、5−イソシアナトイソフタル酸、2−イソシアナトテレフタル酸、3−イソシアナトテレフタル酸、2−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジイソシアナト−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−イソシアナト−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−イソシアナト−2,2−ジカルボキシシクロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種以上のイソシアネート構造含有カルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0011】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のジカルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0012】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法の中で、例えば、酸クロリド法では、使用する酸クロリドは、まず、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下で、ジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより得ることができる。また、イソシアネート構造含有カルボン酸も、同様にして、酸クロリドとすることができる。このようにして製造した酸クロリドを、ビスアミノフェノール化合物と共に、通常N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、室温ないし−30℃で反応させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることが出来る。
本発明に用いる一般式(A)で表されるポリベンゾオキサゾール骨格に含まれているイソシアネート構造は、互いに反応して三量化して環構造を形成する。この架橋構造により高耐熱性と低誘電率化を両立させている。
【0013】
本発明に用いる熱分解可能温度が200℃〜400℃の有機化合物の例としては、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシイソプロピレン、ポリオキシメチレン−オキシエチレン共重合体、ポリオキシメチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレンや、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等が、好ましく挙げられる。必要により、前記有機化合物の片末端又は両末端に、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アリル基、ビニル基、アセチレン基、メタクリル基等の官能基を、導入したものを用いることが出来る。また、これらをポリベンゾオキサゾール前駆体の末端のカルボキシ基、アミノ基、水酸基、または主鎖構造中の水酸基に反応させて、共重合体として用いる事も可能である。また、これらを2種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0014】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体及び熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を、同時に溶解もしくは分散することが可能な有機溶媒としては、用いる溶質の構造により、それぞれ異なるが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を、1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0015】
本発明のコーティングワニスの製造方法としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体と熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物とを、有機溶媒中で溶解させるか、均一に分散させて得られる。また、前駆体(A)10gに対して、前駆体(F)は0〜90g、望ましくは0〜40g、さらに望ましくは0〜30gの割合が好ましい。また前駆体(A)10gに対して、有機化合物は0.01〜20g、望ましくは2〜18g、さらに望ましくは4〜14gの割合が好ましい。また、溶媒に関して、前駆体(A)と前駆体(F)の総量10gに対して、5〜200g、望ましくは10〜150g、さらに望ましくは15〜100gの割合が好ましい。
【0016】
このワニスには、必要により、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、酸素ラジカルやイオウラジカルを加熱により発生するラジカル開始剤等の各種添加剤を添加することができ、このようにして得られた絶縁膜用コーティングワニスは、半導体用層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に用いることが出来る。
【0017】
本発明において、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体は、加熱することにより縮合反応及び架橋反応を生じさせ、ポリベンゾオキサゾール樹脂とすることができる。式(A)で示した構造中のm及びnは、前記のようにその合計が2〜1000までの整数であるが、好ましくは、5〜100までとするのが良い。ここで、1001以上の場合は、例えば有機溶剤へ溶解した際にワニスの粘度が高く、取り扱いが非常に困難になり実用的ではない。また、m及びnは次式の範囲の整数であるが、
0.05≦(m/(m+n))≦1
好ましくは、次式の範囲とするのが良い。
0.5≦(m/(m+n))≦1
ここで、次式の条件を満たす場合には、
(m/(m+n))<0.05
架橋反応の割合が少ないため、耐熱性向上の効果が非常に小さくなる。
【0018】
また、本発明におけるポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記一般式(A)で表される前駆体の構造中の、R1及びR2、R3及びR4の少なくとも一方、又、一般式(F)で表される前駆体のR5及びR6の少なくとも一方がHである場合は、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、ポジ型の感光性樹脂組成物ワニスとして、また、R1及びR2、R3及びR4の少なくとも一方、又、R5及びR6の少なくとも一方が、メタクリロイル基のような光架橋性基を有する基である場合は、光開始剤を用いることでネガ型感光性樹脂組成物ワニスとして用いることが可能である。
【0019】
本発明の絶縁膜の製造方法としては、まず、コーティングワニスを適当な支持体、例えば、シリコーンウエハーやセラミック基盤等に塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、乾燥し、加熱処理をして、絶縁膜とすることができるが、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、ポリベンゾオキサゾール樹脂架橋体に変換することが好ましい。また、ジカルボン酸成分を選択することにより、溶剤に可溶なポリベンゾオキサゾール樹脂としてから、膜を形成することもできる。
【0020】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、加熱することにより環化反応によって架橋を生じ、また、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物は、この熱分解温度より高い温度で加熱することで、このとき熱分解して揮散し、ポリベンゾオキサゾール樹脂の膜に微細孔を形成させるので、本発明によるコーティング用ワニスを用いることにより、多孔質の絶縁膜を得ることができる。
本発明の絶縁膜は、特に半導体用層間絶縁膜、保護膜などの半導体用途に、好適である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【0022】
実施例及び比較例で合成したポリマーより得られたワニス及びこのワニスから作製した絶縁膜を用いて、特性評価のため、ガラス転移温度、熱分解温度、溶解性、比誘電率を測定した。各特性の測定方法は次の通りとし、その測定結果は表1にまとめて示した。
1.ガラス転移温度
セイコーインスツルメンツ(株)製DMS6100を用いて、窒素ガス300ml/min.フロー下、昇温速度3℃/min. 、周波数1Hzの条件により測定し、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。
2.熱分解温度
セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220を用いて、窒素ガス200ml/min.フロー下、昇温速度10℃/min.の条件により測定し、重量の減少が5%に到達した温度を熱分解温度とした。
3.溶解性
ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体1gと、N−メチル−2−ピロリドン3gを、蓋付きのガラス製サンプル容器に精秤し、攪拌子で1時間攪拌後の不溶物の有無により判断した。
4.比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100KHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて絶縁膜の容量測定を行い下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×絶縁膜の厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
【0023】
「実施例1」
窒素ガスフロー下で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解し、ピリジン15.8g(0.2mol)を添加した後、−15℃に冷却し、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)を、少しずつ添加した。添加終了後、−15℃で、1時間攪拌後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。得られたポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、17500であった。
このポリベンゾオキサゾール前駆体35gを、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)15gと共に、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解し、孔径0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過し、ワニスを得た。このワニスを、ガラス板上にギャップ300μmのドクターナイフを用いて塗布した。その後、オーブン中で70℃1時間乾燥し、はく離して膜厚20μmのポリベンゾオキサゾール前駆体フィルムを得た。そのフィルムを金枠で固定し、150℃/30分、250℃/30分、350℃/30分の順で、窒素雰囲気下で加熱し、ポリベンゾオキサゾール樹脂絶縁膜を得た。この絶縁膜を用いて、各種特性の評価を行なった。
【0024】
「実施例2」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、2−イソシアナトテレフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)を用い、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)の代わりに、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、17700であった。このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を得た。
【0025】
「実施例3」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、5,5’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸クロリド34.1g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、16800であった。このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を得た。
【0026】
「実施例4」
実施例1において、5―イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド12.2g(0.050mol)およびイソフタル酸クロリド9.1g(0.045mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、18900であった。
【0027】
「実施例5」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリドの19.3g(0.095mol)を用いて調製した、ポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量22000)10g、および、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)樹脂10g、および、実施例1において作成したポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量17500)20gを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解したワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。
【0028】
「実施例6」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリドの19.3g(0.095mol)を用いて調製した、ポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量22000)8g、および、ポリα−メチルスチレン(数平均分子量:40000)樹脂12g、および、実施例2において作成したポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量17700)15gを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解したワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。
【0029】
「比較例1」
実施例1において、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)の代わりに、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル21.6g(0.1mol)を、また、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、テレフタル酸クロリド19.3g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にしてワニスを作製しようと試みたが、ワニス中に不溶物が多く、フィルムを作製することが出来なかった。そのため、サンプルの作製は、粉末状のポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を、実施例1と同様の加熱条件で処理を行い、ガラス転移温度はMDSC(温度サイクルモード示差操作熱量計:TAインスツルメント製2910MDSC)により、昇温速度2℃/分、温度振幅±2℃/分、窒素ガス30ml/分の条件で測定を試みたが、変位点は観測されなかった。また、熱分解温度は、フィルムの場合と同様に測定した。
【0030】
「比較例2」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリド19.3g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、13000であった。このポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を用いて、実施例1と同様にして、フィルムを調製した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1にまとめた結果から明らかなように、本発明のワニスを用いて作製した、実施例のポリベンゾオキサゾール樹脂絶縁膜は、いずれも誘電率が2.5〜2.6と低く、さらに耐熱性が高く、可溶性を有し、良好な特性を示した。これに対して、比較例1のポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体では、N−メチル−2−ピロリドンへの溶解性が低く、フィルムへの加工ができず、また、比較例2では、N−メチル−2−ピロリドンへ溶解し、フィルムを作製できたが、ガラス転移温度が低く、耐熱性が不十分であった。本発明による実施例では、N−メチル−2−ピロリドンへの溶解性を示しフィルムが作製でき、かつ、耐熱性が極めて優れるものとなり、本発明の目的を十分満足させるものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた熱特性、電気特性、機械特性、及び物理特性を達成することができ、特に、誘電率の極めて低い絶縁膜を形成させることが出来、フィルム加工性も良好な絶縁膜用コーティングワニスを提供でき、これから得られる絶縁膜は、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に、好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜用コーティングワニス及び絶縁膜に関するものである。更に詳しくは、熱特性、電気特性、機械特性、物理特性に優れる、特に、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に好適な絶縁膜用コーティングワニス及び該コーティングワニスから得られる絶縁膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁膜において、中でも半導体用の層間絶縁膜としては、化学気相法等で作製した酸化膜が使用されている。しかしながら、酸化膜等の無機絶縁膜は誘電率が高く、高速化、高性能化のため、絶縁膜として有機材料の適用が検討されている。半導体用途の有機材料としては、耐熱性、電気特性、機械的特性などに優れたポリイミド樹脂が用いられている。近年、半導体の高機能化、高性能化にともない、さらに、耐熱性、電気特性、吸湿性、熱膨張係数等の著しい向上の要求があり、更に高性能な樹脂が必要とされるようになっている。
【0003】
このような事情から、ポリイミド樹脂に比べて、吸水性、電気特性に関して優れた性能を示すポリベンゾオキサゾール樹脂を、半導体用途の絶縁材料に適用することが試みられている。ポリベンゾオキサゾール樹脂は、熱特性、電気特性、機械的特性、物理特性に優れており、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸からなるポリベンゾオキサゾール樹脂や、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとテレフタル酸からのポリベンゾオキサゾール樹脂等がある。しかしながら、近年のさらなる低誘電率化の要求は厳しく、有機樹脂等の高密度膜では、要求される誘電率を満足することが難しくなってきているため、有機膜の膜中に孔を開けることにより、誘電率を低減させる方法が行われているが、比誘電率のみならず、機械特性、電気特性、耐吸水性、耐熱性を満足させながら、微細孔を有する絶縁膜を得るためには、樹脂や熱分解性成分などの組合せの選択が非常に限定されると共に、樹脂の溶解性や保存性など膜の加工性などにも問題があり、すべての特性を満足できるものは得られていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱特性、電気特性、物理特性及び機械特性のすべてに優れ、しかもフィルム加工性も良好な絶縁膜用コーティングワニスおよびこれから得られる、特に、半導体用途に好適な、誘電率が極めて低く、高耐熱性の絶縁膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記のような従来の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定構造のポリベンゾオキサゾール前駆体に、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を加えて調製した、ワニスを用いて作製したポリベンゾオキサゾールの膜が、本発明の目標を満たし得ることを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(1)一般式(A)、又は一般式(A)及び一般式(F)で表わされる構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、
(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、並びに、
(3)上記成分(1)及び成分(2)を同時に溶解もしくは分散することが可能な有機溶媒、からなることを特徴とする、絶縁膜用コーティングワニスである。
【化7】
[式中、m及びnは、その合計が2〜1000で、かつ、次式を満たす整数である。
0.05≦(m/(m+n))≦1
また、R1〜R4は、水素原子または一価の有機基を示し、Xは式(B)で表される四価の基より選ばれる基を示し、それぞれ同一でも異なっていても良く、Y1は式(C)で表される二価の基、Y2は式(D)で表される二価の基より、それぞれ選ばれる基を示す。]
【化8】
[式(F)中、lは1〜1000の整数であり、R5〜R6は、Hまたは一価の有機基を示し、Xは式(B)で表される四価の基、およびY2は式(D)で表されるで表される二価の基より、それぞれ選ばれる基を示す。]
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
[式(B)及び式(D)中、X1は式(E)で表される二価の基より選ばれる基を示し、式(B)〜式(E)の構造中、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、およびフェニル基の中から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていても良い。]
【0007】
また、さらに本発明は、前記のコーティング用ワニスから作製したことを特徴とする、絶縁膜である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる一般式(A)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物と、式(C)で表される二価の基を有するイソシアネート構造含有カルボン酸、及び式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸とから、一般式(F)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は、式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物と式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸とから、従来の酸クロリド法、活性化エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法により得ることができる。
【0009】
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(B)で表される四価の基を有するビスアミノフェノール化合物としては、2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス−(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のビスアミノフェノール化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0010】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(C)で表される二価の基を有するイソシアネート構造含有カルボン酸の例としては、3−イソシアナトフタル酸、4−イソシアナトフタル酸、2−イソシアナトイソフタル酸、4−イソシアナトイソフタル酸、5−イソシアナトイソフタル酸、2−イソシアナトテレフタル酸、3−イソシアナトテレフタル酸、2−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−イソシアナト−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジイソシアナト−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジイソシアナト−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−イソシアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−イソシアナト−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−イソシアナト−2,2−ジカルボキシシクロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種以上のイソシアネート構造含有カルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0011】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体において、式(D)で表される二価の基を有するジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のジカルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0012】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法の中で、例えば、酸クロリド法では、使用する酸クロリドは、まず、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下で、ジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより得ることができる。また、イソシアネート構造含有カルボン酸も、同様にして、酸クロリドとすることができる。このようにして製造した酸クロリドを、ビスアミノフェノール化合物と共に、通常N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、室温ないし−30℃で反応させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることが出来る。
本発明に用いる一般式(A)で表されるポリベンゾオキサゾール骨格に含まれているイソシアネート構造は、互いに反応して三量化して環構造を形成する。この架橋構造により高耐熱性と低誘電率化を両立させている。
【0013】
本発明に用いる熱分解可能温度が200℃〜400℃の有機化合物の例としては、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシイソプロピレン、ポリオキシメチレン−オキシエチレン共重合体、ポリオキシメチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレンや、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等が、好ましく挙げられる。必要により、前記有機化合物の片末端又は両末端に、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アリル基、ビニル基、アセチレン基、メタクリル基等の官能基を、導入したものを用いることが出来る。また、これらをポリベンゾオキサゾール前駆体の末端のカルボキシ基、アミノ基、水酸基、または主鎖構造中の水酸基に反応させて、共重合体として用いる事も可能である。また、これらを2種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0014】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体及び熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を、同時に溶解もしくは分散することが可能な有機溶媒としては、用いる溶質の構造により、それぞれ異なるが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を、1種、または2種以上混合して用いることが出来る。
【0015】
本発明のコーティングワニスの製造方法としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体と熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物とを、有機溶媒中で溶解させるか、均一に分散させて得られる。また、前駆体(A)10gに対して、前駆体(F)は0〜90g、望ましくは0〜40g、さらに望ましくは0〜30gの割合が好ましい。また前駆体(A)10gに対して、有機化合物は0.01〜20g、望ましくは2〜18g、さらに望ましくは4〜14gの割合が好ましい。また、溶媒に関して、前駆体(A)と前駆体(F)の総量10gに対して、5〜200g、望ましくは10〜150g、さらに望ましくは15〜100gの割合が好ましい。
【0016】
このワニスには、必要により、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、酸素ラジカルやイオウラジカルを加熱により発生するラジカル開始剤等の各種添加剤を添加することができ、このようにして得られた絶縁膜用コーティングワニスは、半導体用層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に用いることが出来る。
【0017】
本発明において、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体は、加熱することにより縮合反応及び架橋反応を生じさせ、ポリベンゾオキサゾール樹脂とすることができる。式(A)で示した構造中のm及びnは、前記のようにその合計が2〜1000までの整数であるが、好ましくは、5〜100までとするのが良い。ここで、1001以上の場合は、例えば有機溶剤へ溶解した際にワニスの粘度が高く、取り扱いが非常に困難になり実用的ではない。また、m及びnは次式の範囲の整数であるが、
0.05≦(m/(m+n))≦1
好ましくは、次式の範囲とするのが良い。
0.5≦(m/(m+n))≦1
ここで、次式の条件を満たす場合には、
(m/(m+n))<0.05
架橋反応の割合が少ないため、耐熱性向上の効果が非常に小さくなる。
【0018】
また、本発明におけるポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記一般式(A)で表される前駆体の構造中の、R1及びR2、R3及びR4の少なくとも一方、又、一般式(F)で表される前駆体のR5及びR6の少なくとも一方がHである場合は、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、ポジ型の感光性樹脂組成物ワニスとして、また、R1及びR2、R3及びR4の少なくとも一方、又、R5及びR6の少なくとも一方が、メタクリロイル基のような光架橋性基を有する基である場合は、光開始剤を用いることでネガ型感光性樹脂組成物ワニスとして用いることが可能である。
【0019】
本発明の絶縁膜の製造方法としては、まず、コーティングワニスを適当な支持体、例えば、シリコーンウエハーやセラミック基盤等に塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、乾燥し、加熱処理をして、絶縁膜とすることができるが、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、ポリベンゾオキサゾール樹脂架橋体に変換することが好ましい。また、ジカルボン酸成分を選択することにより、溶剤に可溶なポリベンゾオキサゾール樹脂としてから、膜を形成することもできる。
【0020】
本発明に用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、加熱することにより環化反応によって架橋を生じ、また、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物は、この熱分解温度より高い温度で加熱することで、このとき熱分解して揮散し、ポリベンゾオキサゾール樹脂の膜に微細孔を形成させるので、本発明によるコーティング用ワニスを用いることにより、多孔質の絶縁膜を得ることができる。
本発明の絶縁膜は、特に半導体用層間絶縁膜、保護膜などの半導体用途に、好適である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【0022】
実施例及び比較例で合成したポリマーより得られたワニス及びこのワニスから作製した絶縁膜を用いて、特性評価のため、ガラス転移温度、熱分解温度、溶解性、比誘電率を測定した。各特性の測定方法は次の通りとし、その測定結果は表1にまとめて示した。
1.ガラス転移温度
セイコーインスツルメンツ(株)製DMS6100を用いて、窒素ガス300ml/min.フロー下、昇温速度3℃/min. 、周波数1Hzの条件により測定し、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。
2.熱分解温度
セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220を用いて、窒素ガス200ml/min.フロー下、昇温速度10℃/min.の条件により測定し、重量の減少が5%に到達した温度を熱分解温度とした。
3.溶解性
ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体1gと、N−メチル−2−ピロリドン3gを、蓋付きのガラス製サンプル容器に精秤し、攪拌子で1時間攪拌後の不溶物の有無により判断した。
4.比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100KHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて絶縁膜の容量測定を行い下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×絶縁膜の厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
【0023】
「実施例1」
窒素ガスフロー下で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解し、ピリジン15.8g(0.2mol)を添加した後、−15℃に冷却し、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)を、少しずつ添加した。添加終了後、−15℃で、1時間攪拌後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。得られたポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、17500であった。
このポリベンゾオキサゾール前駆体35gを、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)15gと共に、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解し、孔径0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過し、ワニスを得た。このワニスを、ガラス板上にギャップ300μmのドクターナイフを用いて塗布した。その後、オーブン中で70℃1時間乾燥し、はく離して膜厚20μmのポリベンゾオキサゾール前駆体フィルムを得た。そのフィルムを金枠で固定し、150℃/30分、250℃/30分、350℃/30分の順で、窒素雰囲気下で加熱し、ポリベンゾオキサゾール樹脂絶縁膜を得た。この絶縁膜を用いて、各種特性の評価を行なった。
【0024】
「実施例2」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、2−イソシアナトテレフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)を用い、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)の代わりに、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、17700であった。このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を得た。
【0025】
「実施例3」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、5,5’−ジイソシアナト−3,3’−ビフェニルジカルボン酸クロリド34.1g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、16800であった。このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を得た。
【0026】
「実施例4」
実施例1において、5―イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド12.2g(0.050mol)およびイソフタル酸クロリド9.1g(0.045mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、18900であった。
【0027】
「実施例5」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリドの19.3g(0.095mol)を用いて調製した、ポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量22000)10g、および、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)樹脂10g、および、実施例1において作成したポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量17500)20gを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解したワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。
【0028】
「実施例6」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリドの19.3g(0.095mol)を用いて調製した、ポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量22000)8g、および、ポリα−メチルスチレン(数平均分子量:40000)樹脂12g、および、実施例2において作成したポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量17700)15gを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解したワニスを用いて、実施例1と同様にして、絶縁膜を作製した。
【0029】
「比較例1」
実施例1において、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)の代わりに、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル21.6g(0.1mol)を、また、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、テレフタル酸クロリド19.3g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
このポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を用いて、実施例1と同様にしてワニスを作製しようと試みたが、ワニス中に不溶物が多く、フィルムを作製することが出来なかった。そのため、サンプルの作製は、粉末状のポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を、実施例1と同様の加熱条件で処理を行い、ガラス転移温度はMDSC(温度サイクルモード示差操作熱量計:TAインスツルメント製2910MDSC)により、昇温速度2℃/分、温度振幅±2℃/分、窒素ガス30ml/分の条件で測定を試みたが、変位点は観測されなかった。また、熱分解温度は、フィルムの場合と同様に測定した。
【0030】
「比較例2」
実施例1において、5−イソシアナトイソフタル酸クロリド23.2g(0.095mol)の代わりに、イソフタル酸クロリド19.3g(0.095mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。この樹脂の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、13000であった。このポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を用いて、実施例1と同様にして、フィルムを調製した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1にまとめた結果から明らかなように、本発明のワニスを用いて作製した、実施例のポリベンゾオキサゾール樹脂絶縁膜は、いずれも誘電率が2.5〜2.6と低く、さらに耐熱性が高く、可溶性を有し、良好な特性を示した。これに対して、比較例1のポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体では、N−メチル−2−ピロリドンへの溶解性が低く、フィルムへの加工ができず、また、比較例2では、N−メチル−2−ピロリドンへ溶解し、フィルムを作製できたが、ガラス転移温度が低く、耐熱性が不十分であった。本発明による実施例では、N−メチル−2−ピロリドンへの溶解性を示しフィルムが作製でき、かつ、耐熱性が極めて優れるものとなり、本発明の目的を十分満足させるものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた熱特性、電気特性、機械特性、及び物理特性を達成することができ、特に、誘電率の極めて低い絶縁膜を形成させることが出来、フィルム加工性も良好な絶縁膜用コーティングワニスを提供でき、これから得られる絶縁膜は、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に、好適に使用することができる。
Claims (3)
- (1)一般式(A)、又は一般式(A)及び一般式(F)で表わされる構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、
(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、並びに、
(3)上記成分(1)及び成分(2)を同時に溶解もしくは分散することが可能な有機溶媒、からなることを特徴とする、絶縁膜用コーティングワニス。
0.05≦(m/(m+n))≦1
また、R1〜R4は、水素原子または一価の有機基を示し、Xは式(B)で表される四価の基より選ばれる基を示し、それぞれ同一でも異なっていても良く、Y1は式(C)で表される二価の基、Y2は式(D)で表される二価の基より、それぞれ選ばれる基を示す。]
- 熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物が、ポリオキシアルキレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、およびポリα−メチルスチレンの中から選ばれる、少なくとも1種である、請求項1記載のコーティングワニス。
- 請求項1又は請求項2記載の、コーティングワニスから作製したことを特徴とする絶縁膜。
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