JP2004091635A - 水溶性重合体及びその用途 - Google Patents

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津守 隆弘
Junro Yoneda
米田 淳郎
Akiko Henmi
逸見 暁子
Shigeru Yamaguchi
山口 繁
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Abstract

【課題】高カルシウムイオン捕捉作用を示し、高硬度水下においても高クレー分散作用を示し、かつ相溶性の優れた特定の水溶性重合体、及び該重合体を含有してなる洗剤及び液体洗剤用ビルダー、並びに洗剤及び液体洗剤を提供すること。
【解決手段】カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上であり、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である水溶性重合体、該重合体を含有してなる洗剤及び液体洗剤用ビルダー、並びに洗剤及び液体洗剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の機能を有する水溶性重合体、及び該重合体を含有してなる洗剤その他、前記水溶性重合体の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗剤の主成分としてはアニオン系やノニオン系の界面活性剤が使用されている。このうちアニオン系の界面活性剤は、水中に硬度成分であるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等が存在していると、これらと塩を形成し不溶化するため、洗浄力が顕著に低下する傾向にある。そこで、これら硬度成分を捕捉し、洗剤の洗浄力を向上させるため、高いカルシウムイオン捕捉能を有する重合体をビルダーとして添加している。また、泥汚れ、即ち無機粒子(クレー)に対する分散作用、これは洗浄においては白布に対する再汚染防止作用として顕著に表れるが、これらに対する作用としては、水溶性ポリカルボン酸系重合体が非常に特徴あるものである。
【0003】
上記水溶性ポリカルボン酸系重合体の1種である、多くのカルボキシル基を有するアクリル酸系重合体、マレイン酸/アクリル酸系共重合体等は、従来から、カルシウムイオン捕捉作用およびクレー分散作用を有することが知られている。アクリル酸系重合体の製造方法としては、特開昭62−270605、特開平5−239114等、またマレイン酸/アクリル酸系共重合体の製造方法としては、特開平5−247143、特公平3−2167、特公平3−14046、特許第2574144号等種々開示されており、これらの作用を向上させる工夫がなされている。これらポリカルボン酸系重合体は、前記作用を有する特徴を活かし、前記例示文献の他、特開平11−35989等非常に種々の文献により洗剤として好適であると開示されている。
ところで、マレイン酸/アクリル酸系共重合体は、非常に高いカルシウムイオン捕捉作用を有するものの、クレー分散作用に関しては、低硬度条件下では満足させるものの、特に水の硬度の高い条件下においては殆どその効果を示さない。他方、アクリル酸系重合体では、高硬度水下においてもクレー分散作用は有するが、カルシウムイオン捕捉作用に関しては非常に劣るものである。これは、一般的に、分子量が高いほど、カルシウムイオン捕捉作用は高くなるが、クレー分散作用は低くなり、特に高硬度水下においては顕著に低くなる傾向にあり、また分子量が低いほど、クレー分散作用は高くなるがカルシウムイオン捕捉作用は低くなる傾向にあるためである。従って、一方の性能を求めれば他方の性能が悪化すると言うジレンマに陥ってしまうという問題点を抱えていた。
【0004】
そのため、カルシウムイオン等の硬度成分を捕捉する作用、及び無機粒子に対する分散作用の両者の性能を同時に求めることは、洗剤の洗浄力を向上させるため、特に高硬度水下における洗浄力を高めるためには、非常に重要であり、従来、種々の工夫がなされている。
例えば、上記文献の例示のごとく、あるカルボキシル基を有する重合体においてその重合体の分子量や製法等の改善が試みられている。しかし、結果的には、一方の特徴は一定のレベルで抑えて他方の特徴を非常に活かすような重合体の設計とするか、或は両者の性能をバランス良く、即ち、両者ともある一定レベルの重合体の設計とする工夫が限界であり、必ずしも双方の特徴を高いレベルで活かすことはできていなかった。その結果、洗剤として十分な効果を発揮しているとは必ずしも言えるものではなかった。
【0005】
これらとは全く別に、特開平11−100592には特定の2種以上の重合体を組み合わせてなる洗剤が開示されている。しかし、これら組み合わせるべき個々の重合体の前記両性能に対する作用効果が規定されておらず、そのため、組み合わせることによって得られた重合体の混合物においても前記両性能に対する作用効果が向上したと言えるものではなく、両性能を同時に高いレベルにするという工夫はなされていなかった。従って、洗剤として、特に高硬度水下においての洗浄力は十分ではなかった。
【0006】
そこで、本出願人はカルシウムイオン捕捉能及び高硬度水下におけるクレー分散能が、優れた水溶性重合体を提案した(特開2002−12627号公報)。このような水溶性重合体は、例えば、カルシウムイオン捕捉能の優れたアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)とクレー分散能の優れたアクリル酸系重合体あるいはスルホン基含有ポリマーをブレンドしたものである。
しかしながら、このようなブレンドした水溶性重合体はそれぞれの重合体同士の相溶性が低く、濁りが生じ、分離してしまうため、洗剤への配合が困難であるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、高カルシウムイオン捕捉作用を示し、高硬度水下においても高クレー分散作用を示し、かつ分離せず、透明性の高い特定の水溶性重合体、及び該重合体を含有してなる洗剤及び液体洗剤用ビルダー、並びに洗剤及び液体洗剤、さらには該水溶性重合体の特徴を活かした洗剤以外の用途を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため、洗剤として、特に高硬度水下において非常に高い洗浄力を有するためには、高いカルシウムイオン捕捉作用を有し、高硬度水下におけるクレー分散作用も高レベルで有し、かつ分離せず、透明性の高い重合体を見出すことが特に重要と考え鋭意検討を行った。その結果、その重合体が持つ物性として、カルシウムイオン捕捉能270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下であることが、例えば洗剤用の重合体として非常に有用であることを見出した。
このような物性は、ポリカルボン酸系重合体の1種のみ、すなわち、単独で得ることも出来るが、例えば、それぞれ異なる特定の機能を有する2種の重合体を組み合わせることにより得ることも出来る。そして、後者のようにして得られる重合体混合物が、高カルシウムイオン捕捉作用を示し、高硬度水下においても高いクレー分散作用を有し、かつ優れた透明性を有することを確認した。そして、上記特定の物性を有する、これら重合体単独および/または混合物を含有してなる洗剤が高硬度水下においても非常に高い洗浄力を有することを確認した。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1)カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上であり、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である水溶性重合体。
(2)モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体及び/またはモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体を必須とする上記(1)記載の水溶性重合体。
(3)前記水溶性重合体は、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる重合体混合物である上記(1)または(2)記載の水溶性重合体。
(4) 上記(3)記載の重合体Aがアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)であり、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下である上記(3)記載の水溶性重合体。
(5)配合割合が質量比で重合体A/重合体B=1/99〜99/1の比率である上記(3)または(4)記載の水溶性重合体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる洗剤用ビルダー。
(7)好ましくは上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる液体洗剤用ビルダー。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる洗剤。
(9)好ましくは上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる液体洗剤。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明である、高カルシウムイオン捕捉作用を示し、高硬度水下においても高クレー分散作用を示し、かつ優れた透明性を示す特定の水溶性重合体、及び該重合体を含有してなる洗剤用ビルダー、液体洗剤用ビルダー、洗剤並びに液体洗剤、さらには該水溶性重合体の特徴を活かした洗剤以外の用途について詳細に説明する。
【0011】
[特定の重合体]
本発明における特定の水溶性重合体は、単一物または混合物であって、そのカルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上で、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下であることを特徴とする。このような物性を備える特定の重合体の好ましい例としては、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体及び/又はモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物を挙げることが出来る。
具体的には、例えば、前記水溶性重合体は、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる重合体混合物であり、この混合物において、さらに好ましくは、重合体Aがアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)であり、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下で、配合割合が質量比で重合体A/重合体B=1/99〜99/1の比率であるものである。
【0012】
なお、カルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能及び40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下についての定義及び測定方法については、実施例の項で説明する。
このように、例えば、それぞれ異なる物性を持つ、重合体Aと重合体Bを混合することで、本発明の特定の物性を持つ水溶性重合体を得ることができるが、本発明の重合体を得る方法は混合する方法に限定されるものではない。
上記特定のパラメータを満たす本発明の水溶性重合体の好ましい例においては、上記した様に、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位及び/又はモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物を必須とするが、これら水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物の、本発明にかかる水溶性重合体への含有量(配合量)は、水溶性重合体全体としての物性が上記特定のパラメータを満たせば特に限定されるものではない。
【0013】
本発明の水溶性重合体の全体を100質量%とすると、好ましくは、上記水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物の含有量が、50質量%以上である(具体的には50〜100質量%の範囲の含有量である)。より好ましくは70質量%以上(具体的には70〜100質量%の範囲の含有量)、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上(具体的には90〜100質量%の範囲の含有量)である。
本発明の水溶性重合体における、上記水溶性ポリカルボン酸系該重合体或は重合体混合物の含有量(配合量)が、50質量%未満である場合には、本発明の特徴であるカルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能並びにカオリン濁度の各パラメータの何れかを満たさなくなる恐れがあり好ましくない。特に、高硬度の水下における洗浄力を持たせることが困難になる。なお、本発明の水溶性重合体における、上記該水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物以外の他の配合成分としては、特に限定されるものではなく、必要に応じ目的に合わせて、上記範囲内で配合すれば良い。
【0014】
ここで、本発明の水溶性重合体の実施形態においては、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる重合体混合物を含有することが好ましい。より好ましくは重合体Aがアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)であり、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下で、配合割合が質量比で重合体A/重合体B=1/99〜99/1の比率であるものである。
この実施形態において、配合する対象が、上記に該当する、重合体Aと重合体Bを必須的に含む重合体混合物である場合には、重合体Aと重合体Bの合計量が、本発明の水溶性重合体への配合量(含有量)と考える。本発明の水溶性重合体においては、本発明で規定する特定のパラメータ物性を満たす、本発明の水溶性重合体全体を100質量%とした時の含有量がわかれば、上記の質量比で、重合体Aと重合体Bの実際の配合量(含有量)を算出することが可能である。
【0015】
例えば、本発明の実施形態の1つである、上記重合体混合物を含有することによって得られた本発明の水溶性重合体にあっても、重合体Aと重合体Bの合計量で算出できるその含有量(本発明にかかわる水溶性重合体全体に対する含有量)は、結果としての水溶性重合体全体が上記の特定のパラメータを満たせば特に限定されるものではない。
上記特定のパラメータを満たす本発明の水溶性重合体において含有される、上記の、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位及び/又はモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物は、より具体的には、本明細書に記載されている、所定の重合体を製造する原料である、各種単量体を含む単量体成分を用いて重合することによって得ることができる。
より具体的には、これら本発明の水溶性重合体を得るために、使用する水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物にあっては、本明細書で記載されている、所定の水溶性ポリカルボン酸系重合体を製造する原料である、各種単量体を含む単量体成分を用いて重合することによって得られた、エチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位及び/又はモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体或は重合体混合物を用いることが好ましい形態である。
【0016】
以下、本発明における特定の水溶性重合体における各構成要件について、具体的にさらに詳細に説明する。
(水溶性重合体の物性)
本発明における特定の水溶性重合体の物性は、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下、好ましくはカルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.2以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が150mg/L以下であり、更に好ましくは、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.3以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が100mg/L以下であり、最も好ましくは、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、クレー分散能が0.4以上、かつカオリン濁度が50mg/L以下である。
別に好ましくは、カルシウムイオン捕捉能が290mgCaCO/g以上、クレー分散能が0.2以上、かつカオリン濁度が200mg/L以下である。更に好ましくは、カルシウムイオン捕捉能が310mgCaCO/g以上、クレー分散能が0.3以上、かつカオリン濁度が200mg/L以下、最も好ましくは、カルシウムイオン捕捉能が330mgCaCO/g以上、クレー分散能が0.4以上、かつカオリン濁度が200mg/L以下である。
これらカルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能及びカオリン濁度の各パラメータを満たすことで、例えば、該水溶性重合体を含有させてなる洗剤は、低硬度水では勿論、高硬度水下においても非常に優れた洗浄力を発揮する。カルシウムイオン捕捉能270mgCaCO/g未満では、カルシウム等の硬度成分の捕捉が十分でなく、前述の通り特に高硬度水下において、界面活性剤の不溶化を招き洗浄力が低下する恐れがあり好ましくない。また、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1未満では泥汚れ(無機粒子)に対する分散作用が十分でないため、特に白布の再汚染防止能が悪化する恐れがあり好ましくない。更に、カオリン濁度が200mg/Lを超えると透明性が劣り、洗剤への配合が困難である。
【0017】
(水溶性ポリカルボン酸系重合体)
本発明における水溶性ポリカルボン酸系重合体は、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体及び/又はモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造を有する水溶性の重合体である。
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体としては、具体的には、例えば、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)、クロトン酸(塩)、α−ヒドロキシアクリル酸(塩)等が挙げられ、これらを単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。これらの中で特に好ましくはアクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)及びこれらの混合物である。
ここで(塩)とは、本発明においては、酸型でも、部分塩型でも、完全塩型でも、あるいはこれらの混合物でも良いことを表し、以下これらを単に(塩)とのみ表記する。塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらの塩は単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。塩とする場合においての好ましい形態は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩であり、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0018】
モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体としては、具体的には、例えば、マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、イタコン酸(塩)、シトラコン酸(塩)、或はこれらのうち無水物が存在するものはその無水物等が挙げられ、これらを単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。これらの中で特に好ましくはマレイン酸(塩)、及びその無水物、フマル酸(塩)、或はこれらの混合物である。
本発明における該水溶性重合体においては、必要に応じて、スルホン酸(塩)基を含有するモノエチレン性単量体(塩)由来の構造を有しても良く、さらに場合によっては、他の共重合体可能な、例えば水酸基を含有するようなモノエチレン性不飽和単量体由来の構造を有しても良い。スルホン酸基を導入することで、場合によっては本発明の課題の一つである高硬度水下におけるクレー分散能が非常に向上することがある。
スルホン酸(塩)基を含有するモノエチレン性単量体(塩)としては、例えば、ビニルスルホン酸(塩)、アリルスルホン酸(塩)、メタリルスルホン酸(塩)、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上の混合物で用いても良い。好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)である。また水酸基を有する単量体としては、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アリルアルコール等の不飽和アルコール1モルに対して、アルキレンオキサイドを1〜300モル、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル付加した化合物を挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等を挙げることができるが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを併用する場合、その結合順序に制限はない。
【0019】
本発明における該水溶性重合体の重量平均分子量は、特には限定されないが、好ましくは1000〜80000、より好ましくは1500〜50000であり、特に好ましくは、2000〜40000である。重量平均分子量が500未満ではカルシウムイオン捕捉能が著しく低下する恐れがあり好ましくなく、また、重量平均分子量が80000を越えると高硬度水下におけるクレー分散能が著しく悪化する恐れがあり好ましくない。なお、重量平均分子量の測定方法については、実施例の項で説明する。
本発明における該水溶性重合体の実施の形態としては、勿論、一の製造工程において得られるいわゆる一剤の重合体であっても良いし、それぞれ別の製造工程において製造された2種以上の重合体を含む混合物であっても良い。
2種の重合体の混合物としては、具体的には、例えば、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる重合体混合物であり、好ましくは重合体Aがアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)であり、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下で、配合割合が質量比で重合体A/重合体B=1/99〜99/1の比率であるものである。本発明における水溶性重合体が混合物である形態を、以下では本発明における特定の重合体混合物と表記し、以下で詳細に説明する。
【0020】
(本発明における特定の重合体混合物)
本発明における特定の重合体混合物は、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる。
これにより、本発明の本質的な目的である、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上であり、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上であり、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である水溶性重合体を得ることができる。
上記重合体Aと重合体Bの配合比率は、上記特定のパラメータを満たせば特に限定されるものではないが、好ましくは、質量比で、重合体A/重合体B=1/99〜99/1、更に好ましくは10/90〜98/2、特に好ましくは20/80〜97/3、最も好ましくは30/70〜96/4である。これらの配合比率から外れると、カルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能あるいはカオリン濁度の何れかのパラメータが満たされなくなる恐れがあり好ましくない。
【0021】
次に、本発明の重合体混合物における必須成分である重合体A及び重合体Bについて説明する。
<重合体A>
本発明の重合体混合物における必須成分である重合体Aは、カルシウムイオン捕捉能が好ましくは280mgCaCO/g以上、更に好ましくは300mgCaCO/g以上、特に好ましくは、320mgCaCO/g以上、最も好ましくは340mgCaCO/g以上となる物性を有する重合体であり、高いカルシウムイオン捕捉能を有することを特徴とする。該重合体Aは、上記パラメータを満たせば特に限定されるものではないが、好ましくは以下に示す水溶性ポリカルボン酸系重合体である。
上記カルシウムイオン捕捉能を満たす水溶性ポリカルボン酸系重合体としては、例えば、マレイン酸(系)重合体(塩)、フマル酸(系)重合体(塩)、アクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)、メタクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)、アクリル酸/フマル酸(系)共重合体(塩)、メタクリル酸/フマル酸(系)共重合体(塩)等が挙げられ、これらは1種のみを用いても良く、2種以上の混合物として用いても良い。これら重合体のうち、特に好ましくは、アクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)、アクリル酸/フマル酸(系)共重合体(塩)である。共重合体の組成比率は適宜選定される。
【0022】
これら重合体の重量平均分子量は、適宜選定されるが、中でもアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)の重量平均分子量は、積(MA×Mw)が400000以下を満足することが好ましく、そのために好ましくは1000〜80000、より好ましくは4400〜40000、更に好ましくは5000〜27000、最も好ましくは5700〜20000である。重量平均分子量が1000未満であるとカルシウムイオン捕捉能が著しく低下する恐れがあり好ましくない。また、重量平均分子量が80000を越えると、例えば洗剤として使用する場合、水への溶解性が問題となるが、80000を越える高分子量体はたとえ水溶性を有していても、その溶解速度が著しく遅くなる恐れがあり、そのため結果的に十分な効果が得られなく恐れがあり好ましくない。
【0023】
本発明において(系)とは、例えば、マレイン酸(系)重合体においては、マレイン酸由来の構造単位の含有量が90mol%以上であり他の共重合可能な単量体由来の構造単位が10mol%以下で含有している重合体、マレイン酸/アクリル酸(系)重合体(塩)においては、マレイン酸(塩)とアクリル酸(塩)のそれぞれの単量体由来の構造単位の合計量が90mol%以上であり他の共重合可能な単量体由来の構造単位が10mol%以下で含有している重合体であることを表し、以下これらを単に(系)とのみ表記する。他の共重合可能な単量体としては、上記重合体Aの物性を損なわないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スチレン;スチレンスルホン酸;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;ブチル(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;アリルアルコール;3−メチル−3−ブテン−1−オール;3−メチル−2−ブテン−1−オール;2−メチル−3−ブテン−2−オール;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンホスフェートおよびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、または、炭素数1〜4のアルキル基のモノもしくはジエステル;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンサルフェートおよびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、または、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、または、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−(メタ)アクリロキシ−2−(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、または、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−(メタ)アクリロキシ−2−(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、または、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−アリルオキシプロパン−1,2−ジオール;3−アリルオキシプロパン−1,2−ジオールホスフェート;3−アリルオキシプロパン−1,2−ジオールスルホネート;3−アリルオキシプロパン−1,2−ジオールサルフェート;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンホスフェート;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホネート;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパン;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンホスフェート;3−アリルオキシ1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホネート;6−アリルオキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール;6−アリルオキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールホスフェート;6−アリルオキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールスルホネート;6−アリルオキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシエチレンエーテルヘキサン;6−アリルオキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシプロピレンエーテルヘキサン;3−アリルオキシ2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは、有機アミン塩、または、これらの化合物のリン酸エステルもしくは硫酸エステルおよびそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、または、有機アミン塩;3−アリルオキシ2−(ポリ)オキシエチレンプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは、有機アミン塩、または、これらの化合物のリン酸エステルもしくは硫酸エステルおよびそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、または、有機アミン塩;3−アリルオキシ2−(ポリ)オキシプロピレンプロパンスルホン酸およびその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは、有機アミン塩、または、これらの化合物のリン酸エステルもしくは硫酸エステルおよびそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、または、有機アミン塩;3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アリルアルコール等の不飽和アルコール1モルに対して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1〜300モル、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル付加した化合物;などを挙げることができる。
【0024】
上記重合体における、他の共重合可能な単量体由来の構造単位の含有量は、好ましくは10mol%以下であるが、より好ましくは5mol%未満であり、さらに好ましくは、3mol%未満であり、最も好ましくは含有されていないことである。
上記共重合体を製造するための共重合の方法としては、特に限定されず、例えば、従来公知の方法によることができる。具体的には、例えば、水、有機溶剤、あるいは、水可溶性有機溶剤と水との混合溶剤等の溶剤中での重合を挙げることができる。これら重合に用いることができる触媒系としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸塩や過酸化水素などが挙げられ、促進剤(亜硫酸水素塩やアスコルビン酸等)を併用することもできる。その他、アゾ系開始剤や有機過酸化物等も用いることができ、アミン化合物等の促進剤も併用できる。反応を有利に進める点で、過硫酸塩や、過酸化水素とアスコルビン酸を併用した触媒系が好ましい。また、分子量の調整剤として、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの連鎖移動剤を併用してもよい。
【0025】
重合体Aとしては、アクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)が好ましく、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下であるものが好ましい。
MAは5以上が好ましく、より好ましくは10〜90、更に好ましくは15〜80、最も好ましくは20〜70である。
塩である場合はナトリウム塩、カリウム塩であることが好ましい。そして、最も好ましい形態は、他の成分が含有されていない上記のアクリル酸/マレイン酸共重合体(塩)であり、塩である場合はナトリウム塩、カリウム塩である。
この重合体Aにおいて、MA及び積(MA×Mw)を限定する理由は、本発明の水溶性重合体の3パラメーターの特にカオリン濁度を満足するためであり、また、マレイン酸(塩)単位の割合が多くなるにつれ、また分子量が大きくなるにつれ、カルシウムイオン捕捉能は上昇するが、クレー分散能は低下する傾向があるため、カルシウムイオン捕捉能及びクレー分散能を確保するためである。いくつか例示するならば、MAが5以上ではMwは80,000以下であり、MAが10〜90ではMwは4400〜40000であり、MAが15〜80ではMwは5000〜27000、MAが20〜70ではMwは5700〜20000であることが好ましいこととなる。
【0026】
なお、アクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)は、アクリル酸(塩)単位:マレイン酸(塩)単位がモル比で95〜1/5〜99となるように少なくともアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)を含むものである。なお、特に限定されるものではないが、重合体Aの製造法としては、従来公知の方法が援用される等して良く、上記特に好ましい形態であるアクリル酸/マレイン酸共重合体(塩)等を製造する際には、好ましくは、水系溶媒中で攪拌均一重合を行うことである。
【0027】
<重合体B>
本発明の重合体混合物におけるもう一方の必須成分である重合体Bは、高硬度水下におけるクレー分散能が好ましくは0.15以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.30以上、最も好ましくは0.35以上となる物性を有する重合体であり、高硬度水下においても非常に高いクレー分散能を有することを特徴とする。該重合体Bは、上記パラメータを満たせば特に限定されるものではないが、好ましくは以下に示す水溶性ポリカルボン酸系重合体である。
上記高硬度水下におけるクレー分散能を満たす水溶性ポリカルボン酸系重合体としては、例えば、アクリル酸(系)重合体(塩)、メタクリル酸(系)重合体(塩)、α−ヒドロキシアクリル酸(系)重合体(塩)、アクリル酸/スルホン酸基含有単量体(系)共重合体(塩)、メタクリル酸/スルホン酸基含有単量体(系)共重合体(塩)、アクリル酸/水酸基含有単量体(系)共重合体(塩)、メタクリル酸/水酸基含有単量体(系)共重合体(塩)(上記水酸基含有単量体としては、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アリルアルコール等の不飽和アルコール1モルに対して、アルキレンオキサイドを1〜300モル、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル付加した化合物を挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等を挙げることができるが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。)等が挙げられる。これらは1種のみを用いても良く、2種以上の混合物として用いても良い。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを併用する場合、その結合順序に制限はない。これら重合体のうち、特に好ましくは、アクリル酸(系)重合体(塩)、アクリル酸/スルホン酸基含有単量体(系)共重合体(塩)である。
【0028】
アクリル酸(系)重合体(塩)の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1000〜100,000、より好ましくは1000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000であり、最も好ましくは4,000〜20,000である。
アクリル酸(系)重合体(塩)の高硬度水下におけるクレー分散能は0.15以上が好ましく、0.25以上がさらに好ましく、0.35以上が特に好ましく、0.40以上が最も好ましい。
アクリル酸(系)重合体(塩)のカルシウムイオン捕捉能は100mgCaCO/g以上が好ましく、150mgCaCO/g以上がさらに好ましく、200mgCaCO/g以上が特に好ましく、220mgCaCO/g以上が最も好ましい。
アクリル酸(系)重合体(塩)は、本発明の水溶性重合体/アクリル酸(系)重合体(塩)が質量比で、好ましくは10/90〜100/0、更に好ましくは20/80〜100/0、特に好ましくは30/70〜100/0、最も好ましくは50/50〜100/0となるように配合することができる。
【0029】
また、スルホン酸基含有単量体由来の構造単位の含有量は、好ましくは5〜50mol%、より好ましくは6〜40mol%、更に好ましくは7〜30mol%、最も好ましくは8〜20mol%である。
【0030】
スルホン酸基含有単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸(塩)、アリルスルホン酸(塩)、メタリルスルホン酸(塩)、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上の混合物で用いても良い。好ましくは、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)である。なお、塩である場合は、ナトリウム塩、カリウム塩、またはアミン塩が好ましい。これら重合体の重量平均分子量は、特には限定されないが、好ましくは1000〜100000、より好ましくは1500〜50000、更に好ましくは2000〜30000、最も好ましくは3000〜20000である。重量平均分子量がこれらの範囲より逸脱すると、高硬度水下におけるクレー分散能は著しく低下する恐れがあり好ましくない。
これら重合体の高硬度水下におけるクレー分散能は0.15以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.30以上が更に好ましく、0.35以上が最も好ましい。
【0031】
重合体Bの製造においても、重合体Aの製造と同様に、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を援用すれば良いが、上記特に好ましい形態であるアクリル酸重合体(塩)、アクリル酸/スルホン酸基含有単量体共重合体(塩)等の製造をする際には、例えば、水、有機溶剤、あるいは、水可溶性有機溶剤と水との混合溶剤等の溶剤中での重合を挙げることができる。これら重合に用いることができる触媒系としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸塩や過酸化水素などが挙げられ、促進剤(亜硫酸水素塩やアスコルビン酸等)を併用することもできる。その他、アゾ系開始剤や有機過酸化物等も用いることができ、アミン化合物等の促進剤も併用できる。反応を有利に進める点で、過硫酸塩や、過酸化水素とアスコルビン酸を併用した触媒系が好ましい。また、分子量の調整剤として、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの連鎖移動剤を併用してもよい。
【0032】
<特定の水溶性重合体の製造方法>
次に、本発明の特定の水溶性重合体の製造方法について詳細に説明する。
本発明におけるカルシウムイオン捕捉能270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である特定の水溶性重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、具体的に好ましくは、例えば、カルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを混合し、該重合体混合物を50質量%以上配合する方法である。
ここで、重合体A及び重合体Bは前述の通りである。また、重合体Aと重合体Bの混合比率も前述の通りである。さらに、該重合体混合物の、特定の水溶性重合体における配合量についても、前述の通りであり、重合体Aと重合体Bの合計量で50質量%以上、より好ましくは70質量%、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0033】
以下では、本発明の製造方法における重合体Aと重合体Bの混合方法について説明する。重合体Aと重合体Bの混合方法は、特には限定されないが、例えば、次に示すような方法が挙げられる。
▲1▼ 重合体A及び重合体B双方とも予め製造した後、所望の比率となるようにこれらを混合する。
▲2▼ 一方の重合体を予め製造する。次に、他方の重合体を製造しながら、この予め製造された重合体を、所望の比率となるように添加して、結果として混合物を製造する。
▲3▼ 一方の重合体を製造し、所望の比率となるように、引き続き他方の重合体の製造を行ない、結果として混合物を製造する。
これらのうち、重合体混合物の設計の簡便さ、及び品質の安定性の面から、▲1▼の方法が好ましい。
【0034】
次に、上記▲1▼〜▲3▼についてさらに詳しく説明する。
▲1▼の方法については、具体的には、双方を溶液状態で混合する溶液−溶液混合、双方を粉末状態で混合する粉末−粉末混合、また一方が溶液で他方が粉末状態で混合する溶液−粉末混合等が挙げられる。混合後の状態が溶液状態である溶液−溶液混合及び溶液−粉末混合においては、攪拌することにより、全体として均一である混合物溶液が得られる。混合後の状態が粉末状態である粉末−粉末混合においては、全体として均一とするためには、好ましくは双方の重合体が微粉砕された粉末で、十分に混合攪拌されている必要がある。全体として均一でない場合、即ち、混合物成分に偏りがある場合、その偏りのある特定の部分では、本発明の特徴であるカルシウムイオン捕捉能270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である特定の機能を満たさなく恐れがある。
【0035】
本方法においては、重合体A及び重合体Bを予め製造しておく場合があるが、これらの製造方法については、前述の通り、特に限定はされるものではないが、好ましくは水系溶媒中での攪拌均一重合である。双方または何れか一方を粉末状態として用いる際の、粉末化方法においても、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により粉末化すれば良い。なお、ここで粉末状態とは広い意味で用いることとし、いわゆる粉末状、顆粒状、ペレット状、さらには場合によっては、ペースト状、ゲル状等の全てを含むものとする。
以上の通りの方法により、全体として均一な混合物が溶液状、あるいは粉末状で得られる。勿論、混合物の性状は目的に応じた状態とすれば良く、溶液状で得られた混合物を場合によっては粉末状にしても良く、粉末状で得られた混合物でも場合によっては溶液状として使用しても構わない。
【0036】
次に▲2▼の方法について説明する。この方法は、一方の重合体の製造中に、他方の予め製造されている重合体を、所望の比率となるように添加することにより、混合物を得るというものである。重合体の製造方法については前述の通りである。予め製造されている重合体の添加方法については、特に限定されるものではなく、重合初期、重合途中、重合終了間際の何れの時においても良く、一括投入でも、間欠投入でも、連続投入でも良く、また均一投入でも、不均一投入でも構わない。溶液状で添加しても粉末状で添加しても構わない。目的に合わせ必要に応じて、適宜設定すれば良い。但し、実質上重合が終了した後に、予め製造されている重合体を添加するのは、上記▲1▼の方法に他ならないことになる。
【0037】
さらに▲3▼の方法について説明する。この方法は、一方の重合体を製造し、所望の比率となるように、さらに引き続いて他方の重合体を製造するものである。この方法は、上記▲2▼の方法における、一方の重合体の製造中において予め製造されている重合体を初期一括添加する方法の変形方法である。▲2▼の方法との相違点は、一方の重合体の製造が完了しないうちに他方の重合体の製造も開始することであり、一種の連続重合的要素をもつ。この一種の連続重合的方法は、同一の反応釜において行われても良いし、2以上の反応釜において連続的に製造されても良い。
【0038】
[特定の水溶性重合体を含有してなる洗剤用ビルダー及び洗剤]
引き続いて、本発明のさらに別の課題である特定の水溶性重合体を含有してなる洗剤用ビルダー及び洗剤について説明する。
本発明における洗剤用ビルダー及び洗剤は、上記水溶性重合体、即ち、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である水溶性重合体を含有してなることを特徴とする。
本発明の洗剤用ビルダーは、水溶性重合体のみからなっていてもよいし、後述の他のビルダーを配合したものでもよい。本発明の洗剤用ビルダーは粉末洗剤用でも液体洗剤用でもよいが、後者に特に好適に用いられる。尚、液体洗剤用ビルダーは、塊状、粉末状、ゾル状、ゲル状等の粉末状態であってもよいし、溶液(例えば、水溶液)であってもよい。
本発明の洗剤用ビルダーには、水溶性重合体が1〜100質量%含まれることが好ましく、2〜99質量%含まれることがより好ましく、3〜98質量%含まれることが更に好ましく、4〜97質量%含まれることが最も好ましい。ただし、この配合割合では液体洗剤用ビルダーの場合には含まれ得る水を除いて算出する。
【0039】
また、本発明の洗剤は、本発明の洗剤用ビルダーを含有してなる。
本発明の洗剤においては、該水溶性重合体の配合量、すなわち洗剤を100質量%とした時の、本発明の水溶性重合体の含有量が洗剤全体の0.1〜60質量%であることが好ましく、0.2〜30質量%であることがより好ましく、0.3〜15質量%であることが更に好ましく、0.4〜10質量%であることが最も好ましい。界面活性剤の配合量が洗剤全体の5〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、15〜60質量%であることが更に好ましく、20〜55質量%であることが最も好ましく、場合により酵素を5質量%以下の範囲で添加しても良い。
該水溶性重合体の配合量が0.1質量%未満であると添加効果が現れず、また60質量%を超えると、もはや添加した効果が洗浄力の向上につながらず経済的にも不利となり好ましくない。洗剤の主剤である界面活性剤の量が上記の範囲を外れると、他の成分とのバランスが崩れ洗剤の洗浄力に悪影響を及ぼす恐れがあり好ましくない。酵素を配合した場合、洗浄力の向上に寄与するが、5質量%を超えると、もはや添加した効果が現れず経済的にも不利となり好ましくない。
【0040】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびカチオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを使用することができる。これらの界面活性剤を2種以上用いる場合、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤を合わせた使用量は、界面活性剤全体を100質量%とすると、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。アニオン界面活性剤としては、特には限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩等を挙げることができる。
ノニオン界面活性剤としては、特には限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等を挙げることができる。
【0041】
両性界面活性剤としては、特には限定されないが、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができ、カチオン界面活性剤としては、特には限定されないが、例えば、第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
これらのアニオン、ノニオン、両性、カチオン界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
本発明における洗剤に配合される酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等を使用することができる。特に、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼおよびアルカリセルラーゼが好ましい。
本発明の洗剤用ビルダーまたは洗剤には、必要に応じて、公知の洗剤用ビルダー、再付着防止剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、蛍光剤、漂白剤、漂白助剤、香料、起泡剤、泡安定剤、溶媒、pH調整剤、着色剤、殺菌剤、つや出し剤、染料等の洗剤に常用される成分を配合してもよい。
上記の公知の洗剤用ビルダーとしては、珪酸(塩)、炭酸(塩)、硫酸(塩)、トリポリリン酸(塩)、ジグリコール酸(塩)、オキシカルボン酸(塩)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸(塩))、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸(塩))、クエン酸(塩)、ゼオライト等を必要に応じて使用することができる。塩の場合は、ナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩が好ましい。公知の水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを本発明の効果を損なわない範囲で使用しても良い。
【0042】
[特定の水溶性重合体におけるその他の用途]
最後に、本発明のさらに別の課題である、本発明の特定の水溶性重合体の特徴を活かした洗剤以外の他の用途について説明する。具体的には、本発明の特定の水溶性重合体は、無機顔料分散剤、水処理剤、繊維処理剤等の用途に用いることができる。以下、これらの好ましい実施形態について説明する。
(無機顔料分散剤)
上記水溶性重合体を含んでなる無機顔料分散剤は、好ましくは、本発明の水溶性重合体からなり、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明の無機顔料分散剤中における、本発明の水溶性重合体の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、5〜100質量%である。性能、効果に影響しない範囲で、公知の水溶性重合体を含んでいてもよい。
何れの場合においても、この分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレー等の無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮する。例えば、本発明の無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
本発明の無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100質量部に対して0.05〜2.0質量部が好ましい。使用量が0.05部より少ないと、充分な分散効果が得られず、逆に2.0質量部を超えると、もはや添加量に見合った効果が得られず経済的にも不利となる恐れがあるため好ましくない。
【0043】
(水処理剤)
上記水溶性重合体を含んでなる水処理剤は、好ましくは、本発明の水溶性重合体からなり、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を配合した組成物とすることもできる。性能、効果に影響しない範囲で公知の水溶性重合体を含んでもよい。いずれの場合でも、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。
【0044】
(繊維処理剤)
上記水溶性重合体を含んでなる繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の上記水溶性重合体を含む。本発明の繊維処理剤における本発明の水溶性重合体の含有量は、特に限定されるものではなく、好ましくは、1〜100質量%である。より好ましくは、5〜100質量%である。性能、効果に影響しない範囲で公知の水溶性重合体を含んでいてもよい。しかし、物性を考慮して、繊維処理剤中の重合体成分としては、本発明の水溶性重合体からなる、繊維処理剤の形態がより好ましい。
【0045】
以下に、より実施形態に近い形での、本発明の繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
上記共重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、たとえば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明の水溶性重合体1質量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100質量部という割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
例えば、上記純分換算で配合された繊維処理剤の所定濃度の水溶液状態が、本発明の繊維処理剤の実施形態の好ましい一つである。使用形態、使用目的により、その所定の濃度を決めることができる。特に限定されるものではない。
本発明の繊維処理剤を使用できる繊維は、特に限定されないが、たとえば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0046】
本発明の繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明の共重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合には、本発明の共重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合するのが好ましい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」は「質量%」を示す。
(物性測定方法)
まず、本発明において根幹をなす重要なパラメータであるカルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能及びカオリン濁度の測定方法を述べる。参考のため、使用する重合体の重量平均分子量をも測定したので、重量平均分子量の測定方法についても併せて記載する。
【0048】
<カルシウムイオン捕捉能>
検量線用カルシウムイオン標準液として、塩化カルシウム2水和物を用いて、0.01mol/l、0.001mol/l、0.0001mol/lの水溶液を50g調製し、4.8%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調製し、更に4mol/lの塩化カリウム水溶液(以下4M−KCl水溶液と略す)を1ml添加し、更にマグネチックスターラーを用いて十分に攪拌して検量線用サンプル液を作製した。また、試験用カルシウムイオン標準液として、同じく塩化カルシウム2水和物を用いて、0.001mol/lの水溶液を必要量(1サンプルにつき50g)調製した。
次いで、100ccビーカーに試験サンプル(重合体)を固形分換算で10mg秤量し、上記の試験用カルシウムイオン標準液50gを添加し、マグネチックスターラーを用いて十分に攪拌した。更に、検量線用サンプルと同様に、4.8%NaOH水溶液でpH9〜11の範囲に調製し、4M―KCl水溶液を1ml添加して、試験用サンプル液を作製した。
この様にして、作製した検量線用サンプル液、試験用サンプル液を平沼産業株式会社製滴定装置COMTITE−550を用いて、オリオン社製カルシウムイオン電極93−20,比較電極90−01により測定を行なった。
検量線及び試験用のサンプル液の測定値より、サンプル(重合体)が捕捉したカルシウムイオン量を計算により求め、その値を重合体固形分1gあたりの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数で表し、この値をカルシウムイオン捕捉能値とした。
【0049】
<高硬度水下におけるクレー分散能>
グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加え、600gとした(これをバッファー・とする)。バッファー・60gに塩化カルシウム二水和物0.3268gを加え、更に純水を加え、1000gとした(これをバッファー・とする)。測定対象の共重合体の0.1質量%水溶液(固形分質量換算)4gに、バッファー・を36g加え、攪拌し分散液とした。試験管(IWAKI GLASS製:直径18mm、高さ180mm)にクレー(社団法人日本粉体工業技術協会製、試験用ダスト11種)0.3gを入れた後、上記の分散液を30g加え、密封する。
試験管を振り、クレーを均一に分散させた。その後、試験管を暗所に20時間静置した。20時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所、UV−1200;1cmセル、波長380nm)で吸光度を測定した。
【0050】
<カオリン濁度>
水溶性共重合体の40質量%水溶液の気泡を除いた直後、25℃での濁度値を測定した。濁度値は、日本電色株式会社製NDH2000(濁度計)を用いてTurbidity(カオリン濁度:mg/l)を測定した。
【0051】
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
▲1▼ GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。測定に用いたカラムはG−3000PWXL(東ソー製)であり、移動相はリン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウ2水和物46.2g(何れも試薬特級、以下測定に用いる試薬は全て特級を使用)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液を用いた。
▲2▼ ポンプはL−7110(日立製)を使用し、移動相の流量を0.5ml/minに設定して、検出器としてはUVで波長214nm(ウォーターズ製モデル481型)とした。その際、カラム温度は35℃一定とした。
▲3▼ さらに検量線としては、ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(創和科学製)を用い、これらにより重合体の重量平均分子量を測定した。
【0052】
(合成例1)
共重合体1の合成
重合体Aとして、モル比で71/29のアクリル酸/マレイン酸共重合体である共重合体1を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水(以下、純水と記す)35.7g、40%マレイン酸2ナトリウム水溶液(以下、40%MANaと記す)722gを初期仕込し、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと記す)401.7g、35%過酸化水素水溶液(以下、35%Hと記す)89.3gを重合開始から240分間に渡って、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと記す)124.7gを重合開始から245分間に渡って、純水177.5gを重合開始90分から156分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持して、重合を完了した後、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと記す)263gを加え、30分間攪拌した。その後、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%亜硫酸水素Naと記す)27.9g、48%NaOH50.9gおよび純水128.6gを加え、固形分36%の共重合体1を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ11000であった。また、共重合体1のカルシウムイオン捕捉能を前記の通り測定したところ、346であり、本発明における重合体Aのパラメータを満たしていることが確認できた。
【0053】
(合成例2)
共重合体2の合成
重合体Aとして、モル比で52/48のアクリル酸/マレイン酸共重合体である共重合体2を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水34.5g、40%MANa1155.7gを初期仕込し、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%AA287.1g、35%H73gを重合開始から264分間に渡って、15%NaPS85.5gを重合開始から275分間に渡って、純水137.9gを重合開始95分から180分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持して、重合を完了した後、48%NaOH87.9gを加え、30分間攪拌した。その後、35%亜硫酸水素Na21.1g、48%NaOH14gおよび純水106.9gを加え、固形分37%の共重合体2を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ5000であった。また、共重合体2のカルシウムイオン捕捉能を前記の通り測定したところ、384であり、本発明における重合体Aのパラメータを満たしていることが確認できた。
【0054】
(合成例3)
重合体3の合成例
重合体Bとして、低分子量のアクリル酸単独重合体である重合体3を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水560gを初期仕込し、攪拌下、沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、360gの80%AA、及び283gの48%NaOHを重合開始から240分間に渡って、56gの15%NaPS及び600gの純水を重合開始から250分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持して、重合を完了し、濃度調整をして固形分45%の重合体3を得た。同様に重量平均分子量を測定したところ3500であった。
また、重合体3の高硬度水下におけるクレー分散能を測定したところ0.43であり、本発明における重合体Bのパラメータを満たしていることが確認できた。
【0055】
(合成例4)
共重合体4の合成例
重合体Bとしてモル比で80/20のアクリル酸/3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸Na(HAPS)共重合体である共重合体4を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水422gを初期仕込みし、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%AA37.5g、37%アクリル酸ナトリウム(以下、37%SAと記す)743.3g、25%HAPS水溶液(以下、25%HAPSと記す)728.2g、35%H12.1gを重合開始から120分間に渡って、15%NaPS86.2gを重合開始から140分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持した後、重合を完了し、濃度調整をし、固形分50%の共重合体4を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ5000であった。また、共重合体4のクレー分散能を前記の通り測定したところ、0.46であり、本発明における重合体Bのパラメータを満たしていることが確認できた。
【0056】
(合成例5)
共重合体5の合成例
重合体Bとしてモル比で91/9のアクリル酸/3−アリルオキシ−2ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸Na(HAPS)共重合体である共重合体5を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水を774gを初期仕込みし、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%AA47.8g、37%SA957.7g、35%H9.6gを重合開始から120分間に渡って、25%HAPS370.9gを重合開始から90分間に渡って、15%NaPS97.2gを重合開始から140分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持した後、重合を完了し、濃度調整をし、固形分50%の共重合体5を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ3000であった。また、共重合体5のクレー分散能を前記の通り測定したところ、0.44であり、本発明における重合体Bのパラメータを満たしていることが確認できた。
【0057】
(合成例6)
共重合体6の合成例
重合体Aとして、モル比で70/30のアクリル酸/マレイン酸共重合体である共重合体6を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水を83.0g、48%NaOHを250g、及び無水マレイン酸(以下、無水MAと記す)147.0gを初期仕込し、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%AA315.0gを重合開始から120分間に渡って、15%NaPS66.7g、及び純水393.3gを重合開始から130分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持して、重合を完了し、固形分40%の共重合体6を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ50000であった。また、共重合体6のカルシウムイオン捕捉能を前記の通り測定したところ、421であった。
【0058】
(合成例7)
共重合体7の合成例
重合体Aとして、モル比で50/50のアクリル酸/マレイン酸共重合体である共重合体7を製造した。即ち、温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに純水132.8g、48%NaOH400g、及び無水MA235.2gを初期仕込し、攪拌下、該水溶液を沸点還流状態まで昇温した。次いで、攪拌下、還流状態を維持しながら、80%AA216gを重合開始から180分間に渡って、35%H57.6gを重合開始から90分間に渡って、15%NaPS96g、及び純水160gを重合開始90分後から190分後まで100分間に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後30分間に渡って、沸点還流状態を維持して、重合を完了し、固形分45%の共重合体7を得た。上記の通り重量平均分子量を測定したところ10000であった。また、共重合体7のカルシウムイオン捕捉能を前記の通り測定したところ、440であった。
【0059】
(実施例)
実施例では、合成例で得られたカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体A(共重合体1及び共重合体2)、また高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体B(重合体3、共重合体4及び共重合体5)を用いて、本発明の水溶性重合体を製造した。
なお、カルシウムイオン捕捉能とクレー分散能の測定は、比較例では該重合体水溶液同士の相溶性が悪く、分離してしまうため、乾燥させた重合体同士を混合して測定した。カオリン濁度は重合体水溶液同士を混合して測定した。
【0060】
(実施例1−1)
重合体Aとして合成例1で得られた共重合体1を乾燥して得られた粉末9gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3を乾燥して得られた粉末1gとを乳鉢に入れ、乳棒で完全に均一になるまで混合した。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−2)
実施例1−1において、重合体Aとして共重合体2を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−3)
実施例1−2において、重合体Bとして共重合体4を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−4)
実施例1−1において、重合体Bとして共重合体5を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−5)
重合体Aとして合成例1で得られた共重合体1を乾燥して得られた粉末7gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3を乾燥して得られた粉末3gとを乳鉢に入れ、乳棒で完全に均一になるまで混合した。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である水溶性重合体を製造した。
【0061】
(実施例1−6)
実施例1−5において、重合体Aとして共重合体2を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−7)
実施例1−6において、重合体Bとして共重合体4を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である水溶性重合体を製造した。
(実施例1−8)
実施例1−5において、重合体Bとして共重合体5を用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である水溶性重合体を製造した。
【0062】
(比較例1−1)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6を乾燥して得られた粉末9gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3を乾燥して得られた粉末1gとを乳鉢に入れ、乳棒で完全に均一になるまで混合した。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である比較水溶性重合体を製造した。
(比較例1−2)
比較例1−1において重合体Aとして共重合体7を用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である比較水溶性重合体を製造した。
(比較例1−3)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6を乾燥して得られた粉末7gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3を乾燥して得られた粉末3gとを乳鉢に入れ、乳棒で完全に均一になるまで混合した。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である比較水溶性重合体を製造した。
(比較例1−4)
比較例1−3において重合体Aとして共重合体7を用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である比較水溶性重合体を製造した。
(比較例1−5)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6を乾燥して得られた粉末9gと、重合体Bとして合成例4で得られた共重合体4を乾燥して得られた粉末1gとを乳鉢に入れ、乳棒で完全に均一になるまで混合した。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である比較水溶性重合体1−5を製造した。(比較例1−6)
比較例1−4において重合体Bとして共重合体5を用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である比較水溶性重合体1−6を製造した。
上記のようにして得られた各水溶性重合体のカルシウムイオン捕捉能、高硬度水下におけるクレー分散能、及び40質量%水溶液のカオリン濁度(実施例2−1〜2−8、比較例2−1〜2−6で得られた各重合体水溶液を用いて測定した)の測定結果は表1に示した。
【0063】
(実施例2−1)
重合体Aとして合成例1で得られた共重合体1水溶液25gと重合体Bとして合成例3で得られた重合体3水溶液2.2gを完全に均一になるまで混合し、濃度調整をして固形分40質量%水溶液とした。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である重合体水溶液を製造した。
(実施例2−2)
実施例2−1において、重合体Aとして共重合体2水溶液を24.3gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である固形分40%の重合体水溶液を製造した。
(実施例2−3)
実施例2−2において、重合体Bとして共重合体4水溶液2gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である固形分40%の水溶性重合体を製造した。
(実施例2−4)
実施例2−1において、重合体Bとして共重合体5水溶液2gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である固形分40%の水溶性重合体を製造した。
(実施例2−5)
重合体Aとして合成例1で得られた共重合体1水溶液19.4gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3水溶液6.7gとを完全に均一になるまで混合し、濃度調整をして、固形分40質量%水溶液とした。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である重合体水溶液を製造した。
【0064】
(実施例2−6)
実施例2−5において、重合体Aとして共重合体2水溶液18.9gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である重合体水溶液を製造した。
(実施例2−7)
実施例2−6において、重合体Bとして共重合体4水溶液6gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である固形分40%の重合体水溶液を製造した。
(実施例2−8)
実施例2−5において、重合体Bとして共重合体5水溶液6gを用いる以外は同様の操作を行ない、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である固形分40%の重合体水溶液を製造した。
【0065】
(比較例2−1)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6水溶液22.5gと重合体Bとして合成例3で得られた重合体3水溶液2.2gとを完全に均一になるまで混合し、濃度調整をして、固形分40%の重合体水溶液とした。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である比較重合体水溶液を製造した。
(比較例2−2)
比較例2−1において重合体Aとして共重合体7水溶液20gを用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である固形分40%の比較重合体水溶液を製造した。
(比較例2−3)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6水溶液17.5gと、重合体Bとして合成例3で得られた重合体3水溶液6.7gとを完全に均一になるまで混合し、濃度調整をして、固形分40%の重合体水溶液とした。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である比較重合体水溶液を製造した。
(比較例2−4)
比較例2−3において重合体Aとして共重合体7水溶液15.6gを用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である固形分40%の比較重合体水溶液を製造した。
(比較例2−5)
重合体Aとして合成例6で得られた共重合体6水溶液22.5gと、重合体Bとして合成例4で得られた共重合体4水溶液2gとを完全に均一になるまで混合し、濃度調整をして、固形分40%の重合体水溶液とした。このようにして、重合体A/重合体Bの質量比が90/10である固形分40%の比較重合体水溶液を製造した。
(比較例2−6)
比較例2−4において重合体Bとして共重合体5水溶液6gを用いる以外は、同様の操作を行い、重合体A/重合体Bの質量比が70/30である固形分40%の比較重合体水溶液を製造した。
【0066】
【表1】
Figure 2004091635
【0067】
以上の結果より、本発明の水溶性重合体は、カルシウムイオン捕捉能及び高硬度水下におけるクレー分散能双方において、同時に高い作用を示し、且つ40質量%水溶液とした時に透明であることが確認された。
【0068】
なお、本発明における高硬度の水とは、実施例で記載されたように、所定条件下で調整された水のことで、JIS試験用粉体I,11種(関東ローム,微粒:日本粉体工業技術協会)のクレー0.3gを使用し、試験管等で所定の条件で調整することによって得た、カルシウム濃度が炭酸カルシウム換算で200ppmとなっている水のことである。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上で、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上と言う、カルシウムイオン捕捉能と高硬度水下におけるクレー分散能の双方において非常に優れる水溶性重合体を提供することが出来ると共に40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下と透明性に優れるために洗剤用ビルダー、液体洗剤用ビルダー、洗剤または液体洗剤に含有した場合に、低硬度水では勿論、高硬度水下においても非常に優れた洗浄力を発揮する。
本発明によれば、洗剤用ビルダーまたは洗剤と同様にして、本発明の水溶性重合体を用いることにより優れた無機顔料分散剤や水処理剤や繊維処理剤をも提供することが出来る。

Claims (7)

  1. カルシウムイオン捕捉能が270mgCaCO/g以上、高硬度水下におけるクレー分散能が0.1以上であり、かつ40質量%水溶液とした時のカオリン濁度が200mg/L以下である水溶性重合体。
  2. モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体及び/またはモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を有する水溶性ポリカルボン酸系重合体を必須とする請求項1記載の水溶性重合体。
  3. 前記水溶性重合体は、必須成分としてカルシウムイオン捕捉能が280mgCaCO/g以上である重合体Aと高硬度水下におけるクレー分散能が0.15以上である重合体Bを配合してなる重合体混合物である請求項1または2記載の水溶性重合体。
  4. 請求項3記載の重合体Aがアクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)100モル%に対しマレイン酸(塩)を5モル%以上含むアクリル酸/マレイン酸(系)共重合体(塩)であり、該共重合体(塩)の重量平均分子量Mwと該共重合体(塩)における該マレイン酸(塩)の割合[MA(モル%)]との積(MA×Mw)が400000以下である請求項3記載の水溶性重合体。
  5. 配合割合が質量比で重合体A/重合体B=1/99〜99/1の比率である請求項3または4記載の水溶性重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる洗剤用ビルダー。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性重合体を含んでなる洗剤。
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