JP2004091589A - 熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート - Google Patents
熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】自己粘着性合成樹脂シート中に、可視光透過性のある無機系赤外線遮蔽剤を分散含有させてなる。
可視光透過性は、可視光透過率が60%以上で、日射透過率が可視光透過率より10%以上低く、自己粘着性合成樹脂は、塩化ビニル系樹脂かオレフィン系樹脂であり、無機系赤外線遮蔽剤は、アンチモン含有酸化錫であることが好ましい。
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、建物や乗り物の窓ガラス等に貼着して好適に使用することができる熱遮蔽効果を持つ透明乃至は半透明シートであって、しかも接着剤や粘着剤を使用することなく、自己粘着力により容易に貼り付けることができるとともに、容易に剥離(脱着)することができ、必要に応じて着脱が自在なシートに関する。
【0002】
【技術背景】
従来、建物や乗り物の窓ガラス等において、暑さの軽減を図るために、これらの表面に貼着して使用される着色フィルムや金属蒸着フィルム等が提案されている。
しかし、着色フィルムや金属蒸着フィルムは、熱遮蔽効果は認められるものの、可視光透過性が低く透明性(内部の視認性)が損なわれる。
その上、金属蒸着フィルムは、金属による光沢反射もあり外観上好ましくないばかりか、製造コストも高い。
また、着色フィルムや金属蒸着フィルムは、被貼着面全面に接着剤や粘着剤を用いて貼着するため、長時間の使用により傷付いたり、模様替え等で剥がす際に、剥離作業自体が困難であるのみならず、剥がした後の面に接着剤や粘着剤が残存し、これらの残存物を除去するための困難な作業を必要とする。
【0003】
上記着色フィルムや金属蒸着フィルムの他にも、例えば、可視光線は透過するが赤外線を遮蔽する材料として有機系赤外線吸収剤を使用したフィルム等が提案されている。
しかし、このフィルムも、経時的な耐候性、耐熱性が低く、効果の持続性に問題があるばかりか、製造コストも高い。
【0004】
また、基材フィルム上に、赤外線遮蔽剤を含有する赤外線遮蔽層を設けてなる様々な赤外線遮蔽フィルムが提案されている(特開平7−100996号公報、同平8−281860号公報、同平9−108621号公報、同平9−156025号公報等)。
しかし、これらの赤外線遮蔽フィルムは、粘着に際し接着剤等を使用するため、剥離に際して上記のような問題がある。
【0005】
一方、熱遮蔽を要する場合と、熱透過や熱放散を要する場合とがあるような箇所(対象)、例えば、建物や乗物の窓ガラスにおける夏期や冬期の外気温(高温、低温)の遮蔽と、晴天時の冬期の外気温(暖温)の透過等を要する際には、貼着したり、剥離することが容易にできれば便利であるが、上記のような従来のフィルムでは、このような使用は不可能である。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、以上のような実情を考慮し、透明乃至は半透明で熱遮蔽効果を有し、しかも接着剤等を使用せずに容易に貼着できるとともに、容易に剥離することができ、従って必要に応じて着脱が自在な自己粘着性をも有する合成樹脂シートを提供することを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
上記目的を達成するために、本発明は、透明乃至は半透明な自己粘着性合成樹脂シートであって、該シートを構成する合成樹脂中に、可視光透過性のある無機系赤外線遮蔽剤を分散含有させてなる熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シートを要旨とする。
本発明において、可視光透過性は、可視光透過率が60%以上で、かつ日射透過率が可視光透過率より10%以上低いことが好ましく、また自己粘着性合成樹脂は、自己粘着性塩化ビニル系樹脂または自己粘着性オレフィン系樹脂であることが好ましく、更に無機系赤外線遮蔽剤は、アンチモン含有酸化錫(以下、ATO)であることが好ましい。
【0008】
太陽光エネルギーの波長分布は、紫外線領域(200〜380nm)が3%、可視光線領域(380〜780nm)が47%、近赤外線領域(780〜2100nm)が50%と言われている。
本発明における可視光透過率および日射透過率は、JIS A 5759に示す各波長での透過率と各波長での太陽光エネルギーの重価係数を掛け合わせた和(可視光透過率は380〜780nm、日射透過率は280〜2100nm)の百分率である。
【0009】
ところで、紫外線カットフィルムであれば、日射透過率が可視光透過率よりも3%低いことになり、近赤外線を遮蔽していない限り10%以上低くなることはあり得ない。
太陽光により物体の温度が上昇する理由は、主に近赤外線領域の光エネルギーが物体に当たって熱エネルギーに変化することによるものであるから、紫外線カットフィルムの場合、熱遮蔽効果はあまり期待できないことは明らかである。
これに対し、本発明のシートは、近赤外線を透過させずに吸収することにより、優れた熱遮蔽効果を奏するものである。
【0010】
本発明に用いられる透明乃至は半透明な自己粘着性合成樹脂シートの母体である合成樹脂は、シート化した際にこのような特性を発現するものであれば、どのような合成樹脂であってもよく、自己粘着性の付与のし易さ、入手の容易性、コスト、二次加工のし易さ、使用済シートの処理のし易さ等の面からは、塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂が好ましく使用できる。
【0011】
このうち、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合樹脂、塩化ビニルと他のモノマーとの共重合樹脂、これらの2種以上を混合したもの、あるいは塩化ビニルの単独重合樹脂や共重合樹脂(以下、これらを纏めて塩化ビニル樹脂と称す)と他の樹脂をブレンドしたもの等も使用できる。
塩化ビニルと共重合させる他のモノマーとしては、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレイン酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、高級ビニルエーテル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。
塩化ビニル樹脂にブレンドする他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂、ポリメタクリレート樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上をブレンドすることができる。
【0012】
これらの合成樹脂には、可塑剤、安定剤の他、必要に応じて、粘着性付与剤、着色剤、その他各種の添加剤が配合されるが、添加剤の種類や添加量については、シート化したものが透明乃至は半透明であって自己粘着性を示すことができる種類の添加剤を、必要量添加すればよく、使用する樹脂の種類や、求められる透明度、自己粘着性、あるいはシーティング加工のし易さ等によって適宜選択される。
シーティング法としては、カレンダー法や押出法等が挙げられる。
【0013】
上記の可塑剤として、具体的には、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタルート(DINP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)等のフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)等のリン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)等のアジピン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)等のセバシン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エステル系可塑剤、ポリプロピレンアジペート(PPA)等のポリエステル系可塑剤、エポシキ化大豆油等のエポシキ系可塑剤、塩化パラフィン等の塩素化脂肪族エステル系可塑剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。
【0014】
安定剤としては、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、エポシキ化大豆油等のエポキシ化合物、ジフェニルデシルホスファイト等の有機ホスファイト系安定剤、ジブチル錫ジラウレート等の錫系安定剤等が使用でき、これらは、単独でまたは2種以上を併用することもできる。
【0015】
また、オレフィン系樹脂は、炭素原子と水素原子、あるいはこれらと酸素原子からなる合成樹脂であって、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−1−ブテン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。
これらには、必要に応じて、粘着性付与剤、着色剤等の各種添加剤を配合することもできる。
【0016】
粘着性付与剤としては、グリセリンエステルロジン、ペンタエリスリットエステルロジン等のロジンや変性ロジン、テルペンフェノール等のテルペン変性体、アルキルフェノール、変性フェノール等のフェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0017】
本発明のシートは、透明乃至は半透明であることが重要であり、不透明であれば、本発明のシートを貼着した窓ガラス等の内部を見ることができなくなる。
従って、本発明における透明乃至は半透明の程度は、本発明のシートを貼着した後に内部が透視できる程度であればよく、具体的には可視光線が60〜100%程度透過できる程度であればよい。
【0018】
本発明に用いられる無機系赤外線遮蔽剤としては、ATOの他に、インジウム含有酸化錫(以下、ITO)、あるいは、酸化錫等を用いることができるが、好ましいのはATOである。
赤外線遮蔽剤含有量は、塩化ビニル系樹脂シート、オレフィン系樹脂シートの何れの場合も、1〜10g/m2であることが好ましく、より好ましくは3〜8g/m2である。1g/m2より少ないと、可視光線透過率は60%以上となるが、可視光線透過率と日射透過率の差がなく、熱遮蔽効果が少ない。10g/m2より多いと、日射透過率が可視光線透過率より10%以上低くなるが、可視光線透過率は60%以下となり、熱遮蔽効果はあるが、透明乃至は半透明性が悪くなる。
【0019】
本発明のシートは、上記した塩化ビニル系樹脂あるいはオレフィン系樹脂に、赤外線遮蔽剤の所要量を、他の添加剤と共に配合し、混練し、これをカレンダー法、押出法、その他適宜のシーティング方法によりシーティング化して得ることができる。
このようにして得られる本発明のシートは、更に、表面の傷付き防止やすべり性の向上を目的とした保護層、あるいはデザイン性の向上を目的とした意匠層等を設けることもできる。
【0020】
以上詳述した本発明のシートは、使用目的、使用時期、あるいは貼着される対象物の状態や本発明のシートの表面状態等により、随時貼着したり剥離したりすることができ、美観や商品価値等を損なうことがなく、効果的に熱遮蔽を行うことができるため、次のような用途において、好適に作用する。
【0021】
建物や乗り物の窓ガラス等に対して、接着剤等を使用することなく容易に貼着でき、また脱着も容易であり、しかも内部の視認が容易な透明乃至は半透明であって、例えば、雨滴や塵埃によりシート表面が汚れて内部視認が困難になった際等には、拭き取ることもできるが、脱着して洗浄し再び貼着する等の作業が極めて容易に行うことができる。
【0022】
【実施例】
実施例1〜4,比較例1〜4
表1に示す組成の配合物と、表3に示す割合となる量のATO(石原テクノ社製商品名“SN−100P”)とをバンバリミキサーで混練し、次いで最終ロール温度175℃のカレンダーで厚み0.2mmの熱遮蔽効果を持つ自己粘着性塩化ビニル樹脂シートを得た。
【0023】
【表1】
【0024】
表2に示す組成の配合物と、表3に示す割合となる量のATO(石原テクノ社製商品名“SN−100P”)とを混練し、押出法により厚み0.2mmの熱遮蔽効果を持つ自己粘着性オレフィン系樹脂シートを得た。
【0025】
【表2】
【0026】
得られた実施例および比較例の各シートについて、可視光透過率、日射透過率、被貼着対象物への着脱性を調べた。その結果を表3に示す。
なお、可視光線透過率および日射透過率はJIS A 5759に規定される方法により測定した。
可視光線透過率は、60%以上の場合を○、60%以下の場合を×とした。
可視光線透過率−日射透過率は、10%以上の場合を○、10%以下の場合を×とした。
着脱性は、ガラス板に貼着したものを剥離した際にガラス板に残留物がなく、かつ再貼着できる場合を○、いずれか一方もしくは両方ともできない場合を×とした。
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシートによれば、次のような効果を得ることができる。
(1)透明乃至は半透明性を損なうことなく、優れた熱遮蔽効果を有する。
(2)接着剤や粘着剤を使用せずに、被貼着対象への貼着のみならず、脱着も容易であり、必要に応じて随時貼着・脱着使用を繰り返し行うことができる。
Claims (4)
- 自己粘着性合成樹脂シート中に、可視光透過性のある無機系赤外線遮蔽剤を分散含有させてなる熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート。
- 前記可視光透過性は、可視光透過率が60%以上で、かつ日射透過率が可視光透過率より10%以上低いことを特徴とする請求項1に記載の熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート。
- 前記自己粘着性合成樹脂が、自己粘着性塩化ビニル系樹脂または自己粘着性オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート。
- 前記無機系赤外線遮蔽剤が、アンチモン含有酸化錫であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱遮蔽効果を持つ自己粘着性合成樹脂シート。
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WO2008078833A1 (en) * | 2006-12-27 | 2008-07-03 | Achilles Corporation | Heat shielding sheet |
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2002
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JP2010514844A (ja) * | 2006-12-27 | 2010-05-06 | アキレス株式会社 | 熱線遮蔽シート |
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