JP2004091229A - 板状チタン酸複合酸化物粒子およびその製造方法 - Google Patents

板状チタン酸複合酸化物粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電材料や圧電材料、電歪材料、透明セラミックさらには高屈折率材料などに特に適した特定の粒子形状を有するチタン酸複合酸化物粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ水溶液にチタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属の塩との混合水溶液を添加して、チタンおよび前記金属元素の水酸化物あるいは水和物を得る。この水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥してチタン酸複合酸化物粒子とする。これにより、化学式ATiO (式中のAは、Sr,Ca,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の金属元素)で表され、粒子形状が板状で、その板面方向の平均粒子径が1nmから30nmの範囲にある、結晶性の良好なチタン酸複合酸化物粒子を得る。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば誘電材料や圧電材料、電歪材料、透明セラミック材料、高屈折率材料等として好適に用いることのできる板状チタン酸複合酸化物粒子と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタン酸バリウム(BaTiO )やチタン酸ストロンチウム(SrTiO )などのペロブスカイト構造を有するチタン酸複合酸化物は、一般に化学式ATiO (式中のAは、Sr,Ca,Ba,Pb等の中から選ばれる少なくとも一種の金属元素である)で表される。このチタン酸複合酸化物の焼成体は、極めて高い誘電率を示すことが知られている。この高い誘電率を利用することにより、小型で大容量のコンデンサが実現でき、さらには圧電材料、電歪材料などとして多量に用いられている。特にコンデンサについては、薄型化を図るため、焼成体を得る際に原料となるチタン酸複合酸化物粒子を微粒子化することが求められている。この他、透明セラミック材料として用いる際にも、その特性を向上させるため微粒子化が求められている。
【0003】
チタン酸複合酸化物粒子の製造法としては、各種の方法が知られている。例えばチタン酸バリウム粒子については、一般的には、固相反応で作製したチタン酸バリウムをボールミル等で粉砕することにより微粒子化されている。しかし、この方法で作製したチタン酸バリウム粒子は、粒子サイズ分布が広く、さらに機械的に粉砕するため、粒子サイズとしては、サブミクロンサイズが限界で、さらに微粒子化することは困難である。
【0004】
また、硫酸チタニル水溶液を加水分解して含水酸化チタンを得たのち、水酸化バリウムを加えて水中で加熱することによりチタン酸バリウム粒子を得る方法が知られている(特開平6−227817号公報)。この方法では、比較的均一で粒子径の小さいチタン酸バリウム粒子を得ることはできるが、工程が複雑であり、製造コストも高い欠点がある。さらに、得られるチタン酸バリウム粒子の粒子径も、高々0.05〜0.3μm程度であり、さらに微粒子化することは困難である。
【0005】
一方、あらかじめ大きさを数十nmに調整した二酸化チタン粒子と水溶性バリウム化合物をアルカリ水溶液中、130℃以上で水熱処理を行い、数十nmのチタン酸バリウム粒子とする製造方法がある(特開平8−119633号公報)。この方法では、原料に用いる二酸化チタン粒子の粒子径が、得られるチタン酸バリウム粒子の粒子径となるため、実際には、まず第一段階において微粒子の二酸化チタンを製造する必要があり、工程が長くなり、製造に時間がかかる。さらに、この方法では、30nm以下の微細なチタン酸バリウム粒子は得られていない。
【0006】
以上述べたように、これまでコンデンサなどの誘電材料や圧電材料、電歪材料、さらには透明セラミック材料などとして使用するために、微粒子で結晶性の良好なチタン酸バリウムを含むチタン酸複合酸化物粒子が要求されているが、粒子径としては30nm程度が限界であり、またその粒子径分布においても、満足いくものが得られなかったのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に照らし、誘電材料や圧電材料、電歪材料、透明セラミックさらには高屈折率材料などに特に適した特定の粒子形状を有するチタン酸複合酸化物粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、従来のチタン酸複合酸化物粒子の製造方法とは全く異なる新規な製造方法を完成した。その結果、これまでの製造方法では不可能であった、粒子の形状が板状で、かつ平均粒子径が、1nmから30nmの範囲にある微粒子でかつ結晶性の良好な、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸複合酸化物微粒子の開発に初めて成功したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、形状が板状で平均粒子径が1nmから30nmの範囲にあり、化学式ATiO (式中のAは、Sr,Ca,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の金属元素)で表されるチタン酸複合酸化物微粒子に関するもので、アルカリ水溶液にチタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属の塩との混合水溶液を添加し、得られたチタンおよび前記金属元素の水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で水熱処理することにより、粒子形状が板状で、かつ目的とする粒子径を有する、結晶性の良好なチタン酸複合酸化物粒子を得るものである。
【0010】
このようにチタン酸複合酸化物粒子の製造において、先ず特定の条件下で、チタンと各種の金属元素とを含む水酸化物あるいは水和物粒子を作製し、次にこの水酸化物あるいは水和物を水熱処理することにより、乾燥状態での加熱工程を一切経ることなく、粒子の形状が板状で、かつその板面方向の平均粒子径が1nmから30nmの範囲にあるチタン酸複合酸化物粒子を合成することに初めて成功したものである。
【0011】
従来のチタン酸複合酸化物粒子の形状が粒状あるいは不定形であったのに対して、本発明のチタン酸複合酸化物粒子は、形状が板状で、かつ粒子径が1nmから30nmと極めて微粒子であり、しかも乾燥状態を一切経ない分散液状態で得られるという、大きな特徴を有する。通常、このような粒子径の小さい粒子では、加熱処理は言うに及ばず、室温で乾燥した場合であっても、極めて強力な粒子間凝集が発生し、元の一次粒子の状態にまで分散させることは、ほとんど不可能である。
【0012】
先のような工程により製造した本発明のチタン酸複合酸化物粒子のうち、粒子径が20nm以下のものは、コンデンサ用の誘電材料や透明セラミック材料、さらには微粒子であることを利用した透明高屈折率塗膜用の材料として特に好ましい。これまでは、このような範囲の粒子径を有するチタン酸複合酸化物粒子で満足な特性を有するものはなく、本発明により、初めて実現したものである。
【0013】
また、チタン酸複合酸化物粒子を誘電材料や圧電材料、電歪材料として用いる場合には、その純度が重要になり、高純度のものが要求される。これまでの固相反応、粉砕法で作製したものでは、ある程度の不純物の混入は避けられないが、本発明の方法では本質的に高純度のものが得られやすく、ペロブスカイト型結晶構造の組成制御が正確にできるという特長がある。
【0014】
加えて、本発明者らは、透明高屈折率塗膜にチタン酸複合酸化物粒子を添加・使用する場合には、粒子径が微細であることのみならず、形状が板状であることが透明性を向上させる上で有効であることも見出した。
【0015】
以上のように、本発明では、粒子径が微細で形状が板状で、ATiO (AはCa,Sr,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の元素)で表されるチタン酸複合酸化物粒子の製造に初めて成功したものである。本発明により得られたチタン酸複合酸化物粒子は、誘電材料や圧電材料、電歪材料、さらには透明高屈折率塗膜用の材料など、広範囲の用途に適用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明では、原料となる、チタンを含む化合物と、Ca,Sr,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の元素を含む化合物とを水に溶解して混合水溶液を作製し、得られた混合水溶液をアルカリ水溶液に滴下して、前記チタンおよび元素の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。次に、この水酸化物あるいは水和物の懸濁液を、オートクレーブなどを使用して水熱処理したのち、ろ過し、乾燥することにより、ATiO (A=Ca,Sr,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の元素)で表されるチタン酸複合酸化物粒子とする。以下、本発明に係るチタン酸複合酸化物粒子の製造方法について詳細に説明する。
【0017】
(沈殿物ないし懸濁液の作製)
塩化チタン、硝酸チタン、硫酸チタンなどのチタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の元素の、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの金属塩を水に溶解し、チタンイオンとこれらのペロブスカイト構造を構成するための元素のイオンを含有する混合水溶液を作製する。チタン塩およびペロブスカイト構成元素の塩のうち、結晶性の良好なチタン酸複合酸化物粒子を得る上で、塩化物が最も好ましい。これとは別にアルカリ溶液を作製する。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などを用いる。
【0018】
次に、このアルカリ水溶液中に前記混合水溶液を滴下することにより、前記チタンおよび元素の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含んだ懸濁液を作製する。このとき、アルカリを過剰にしておくことで滴下後のpHを高アルカリに保つ。このpH調整は、その後の水熱反応時でのチタン酸複合酸化物の結晶成長を効果的に行わせる上で重要である。また、この懸濁液を、60〜95℃で1日程度熟成することが好ましい。この熟成も、水熱反応を効果的に行わせる上で効果的である。
【0019】
(水熱処理)
チタンおよびペロブスカイト構成元素の水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含む懸濁液を、オートクレーブ等を用いて水熱処理を行う。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む縣濁液をそのまま水熱処理を行っても構わないが、水洗により上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後NaOHなどにより再度pH調整してもよい。この時のpHの値は、10〜14とすることが好ましい。このpHより低いと水熱処理時に結晶成長が不十分になるおそれがある。
【0020】
水熱処理温度は、110℃から300℃の範囲とすることが好ましい。この温度より低いと、特定の形状を有するチタン酸複合酸化物が得られにくく、またこの温度より高いと発生圧力が高くなるため装置が高価なものとなり、メリットはない。
【0021】
水熱処理時間は、2時間から6時間の範囲が好ましい。水熱処理時間が短すぎると、特定の形状への成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、特定の形状への成長は飽和し、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
【0022】
この水熱処理によりペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸複合酸化物粒子が得られるが、ろ過する前に水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。
【0023】
以上のようにして、分散液状態でATiO (AはCa,Sr,Ba,Pb等から選ばれた少なくとも一種の元素)で表されるチタン酸複合酸化物粒子が得られるため、この分散状態で使用することが好ましいが、使用目的に応じて、ろ過し、乾燥させた状態で使用することも、もちろん可能である。
【0024】
このようにして得られたチタン酸複合酸化物粒子は、粒子径が1nmから30nmの範囲であり、このうち誘電材料や透明高屈折率塗膜用の材料として使用する上では、5nm〜20nmの範囲にある、板状の形状を有するものがより好ましい。このように本発明のチタン酸複合酸化物粒子は、これまでの製造法では得られなかった板状でかつ粒子径分布が極めて良好で、さらに結晶性の良好な微粒子のチタン酸複合酸化物である。加えて、乾燥工程を一切経ない分散状態において目的とする特性を有していることも本発明のチタン酸複合酸化物粒子の大きな特徴の一つである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】
〈実施例1〉
2.22モルの水酸化ナトリウムを1600mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を作製した。このアルカリ水溶液とは別に、チタンにして0.074モル相当の塩化チタン(IV)水溶液と0.074モルの無水塩化バリウムを800mlの水に溶解して、塩化チタンおよび塩化バリウムの混合水溶液を作製した。前記アルカリ水溶液に、前記塩化チタンおよび塩化バリウムの混合水溶液を滴下して、チタンおよびバリウムの水酸化物を含む沈殿物を作製した。このときのpHは14以上という高アルカリであった。この沈殿物を懸濁液の状態で、90℃で20時間熟成させた。
【0027】
次に、上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、塩酸溶液を用いてpH13.5に調整し、圧力容器に仕込み、180℃で5時間、水熱処理を施した。水熱処理生成物を約1000倍の水で洗浄し、チタン酸バリウム粒子とした。
【0028】
得られたチタン酸バリウム粒子のX線回折スペクトルを測定するために、チタン酸バリウム粒子の分散液をろ過し、90℃で空気中乾燥した。X線回折スペクトルを測定した結果、立方晶ペロブスカイト型構造が確認された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が約10nmの板状粒子であることがわかった。
【0029】
このチタン酸バリウム粒子のX線回折スペクトルを図1に、20万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を図2に、30万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。また、透過型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径などを表1にまとめて示す。
【0030】
〈実施例2〉
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成方法において、0.444モルの水酸化ナトリウムを1600mlの水に溶解し、このアルカリ水溶液に、塩化チタンおよび塩化バリウムの混合水溶液を滴下して、チタンおよびバリウムの水酸化物を含む沈殿物を作製した。この沈殿物を懸濁液を、熟成・上澄み除去後、pHを11に調整して水熱処理を施した以外は、実施例1と同様にして、水洗、ろ過、乾燥して、チタン酸バリウム粒子を作製した。
【0031】
このチタン酸バリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様、ペロブスカイト型の結晶構造を示すスペクトルが観測された。また、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が10〜15nmの板状粒子であった。
【0032】
このチタン酸バリウム粒子の、20万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を図4に示す。透過型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径を表1にまとめて示す。
【0033】
〈実施例3〉
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成方法において、チタンおよびバリウムの水酸化物を含有する沈殿物を生成させ、その後室温(26℃)で20時間熟成させた以外は、実施例1と同様にして水熱処理を施してチタン酸バリウム粒子を作製した。
【0034】
得られたチタン酸バリウム粒子についてX線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様、ペロブスカイト型の結晶構造を示すスペクトルが観測された。また、透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が5〜7nmの板状粒子であった。このチタン酸バリウム粒子について、透過型電子顕微鏡察写真から求めた平均粒子径を表1にまとめて示す。
【0035】
〈実施例4〉
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成方法において、水熱処理時の温度を、180℃から150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、水熱処理を施し、チタン酸バリウム粒子を作製した。
【0036】
得られたチタン酸バリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様、ペロブスカイト型の結晶構造を示すスペクトルが観測された。また、透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径が5〜10nmの板状粒子であった。このチタン酸バリウム粒子について、透過型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径を表1にまとめて示す。
【0037】
〈比較例1〉
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成方法において、水熱処理を行なうことなく、水洗、ろ過し、90℃で乾燥した以外は、実施例1と同様にして粒子を作製した。
【0038】
得られた粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、結晶構造を持たない、アモルファス状のスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡観察を行ったところ不定形粒子であった。
【0039】
〈比較例2〉
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成方法において、チタンとバリウムの水酸化物を含有する沈殿物を生成、熟成した後、pHを8に調整し、180℃で5時間の水熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、チタン酸バリウム粒子を作製した。
【0040】
得られたチタン酸バリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、ペロブスカイト型構造を示すスペクトルが観測され、高倍率の透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、その結晶体のサイズは1nm〜2nmの極めて微細な粒子であったが、特定の粒子形状は認められない粒状に近い不定形であった。このチタン酸バリウム粒子についても、透過型電子顕微鏡観察結果による平均粒子径を、表1にまとめて示す。
【0041】
(透過型電子顕微鏡観察結果)
図2および図3は、それぞれ、実施例1および実施例2で作製したチタン酸バリウム粒子の、20万倍および30万倍の透過型電子顕微鏡写真を示したものである。
【0042】
実施例1および実施例2では、水熱処理時のpHがそれぞれ、pH13.5、pH11である。チタン酸バリウム粒子の粒子サイズは、pH13.5では約10nm、pH11では10〜15nmのものとなり、平均粒子径はpHが増大するにしたがって減少する。これは、水熱処理時のpHの値により平均粒子径を変化させることができることを示している。
【0043】
実施例1および実施例3では、水熱処理前の熟成温度がそれぞれ90℃、26℃(室温)である。チタン酸バリウムの粒子サイズは、90℃では約10nmであるのに対し、26℃では約7nmと小さくなる傾向にある。これは、水熱処理前の熟成において、熟成温度を高くしたことにより、核晶の成長が促進されたためと考えられる。
【0044】
上記実施例および比較例のチタン酸バリウム粒子の合成条件、X線回折スペクトルから求めたチタン酸バリウム粒子の結晶構造、透過電子顕微鏡写真から見積もった平均粒子径を表1にまとめて示す。なお、透過電子顕微鏡写真から見積もった平均粒子径は、300個の粒子の平均粒子径から求めた。
【0045】
【表1】
Figure 2004091229
【0046】
表1から明らかなように、各実施例で得られたチタン酸バリウム粒子は、いずれも形状は板状で結晶性に優れ、かつ粒子径(粒子の板面方向の平均粒子径)も30nm以下という微粒子であることがわかる。一方、比較例1では、水熱処理を行なわなかったため、チタン酸バリウム粒子が得られず、結晶化していないアモルファス状態である。さらに、比較例2に係るチタン酸バリウム粒子では、特定の形状を持たない不定形の、極めて微細な粒子であることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、化学式ATiO (式中のAはSr,Ca,Ba,Pbから選ばれた少なくとも一種の金属元素)で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有し、かつ粒子の形状が板状で、その板面方向の平均粒子径が1nmから30nmの範囲にある、チタン酸バリウム粒子をはじめとするチタン酸複合酸化物粒子が得られる。このチタン酸複合酸化物粒子は、乾燥工程を一切経ない分散状態において目的とする特性を示す。
【0048】
本発明により得られるチタン酸複合酸化物粒子は、コンデンサなどの誘電材料や圧電材料、電歪材料さらには透明高屈折率塗膜用材料等として特に適しており、その産業上の利用価値は極めて大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子の粉末X線回折スペクトルを示した図である。
【図2】実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を示した図である。
【図3】実施例1で得られたチタン酸バリウム粒子の30万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を示した図である。
【図4】実施例2で得られたチタン酸バリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を示した図である。

Claims (7)

  1. ペロブスカイト型結晶構造を有し、粒子の形状が板状で、かつ粒子の板面方向の平均粒子径が1〜30nmの範囲にあることを特徴とする板状チタン酸複合酸化物粒子。
  2. 化学式ATiO で表され、この化学式中のAが、ストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)の中から選ばれた少なくとも一種の金属元素である、請求項1記載の板状チタン酸複合酸化物粒子。
  3. 請求項1または請求項2に記載した板状チタン酸複合酸化物粒子を製造する方法であって、
    アルカリ水溶液に、チタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属の塩との混合水溶液を添加することにより、チタンと、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属とを含む水酸化物あるいは水和物を得る工程と、
    得られた水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程と、
    この加熱処理により得られた生成物を、ろ過、乾燥してチタン酸複合酸化物粒子とする工程とを有することを特徴とする板状チタン酸複合酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記アルカリ水溶液に、チタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属の塩との混合水溶液を添加することにより、チタンと、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属とを含む水酸化物あるいは水和物を得る工程において、
    前記水酸化物あるいは水和物の生成後の懸濁液のpHが8〜14の範囲になるように調整する、請求項3記載の板状チタン酸複合酸化物粒子の製造方法。
  5. 前記アルカリ水溶液に、チタン塩と、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属の塩との混合水溶液を添加することにより、チタンと、Sr,Ca,Ba,Pbの中から選ばれた少なくとも一種の金属とを含む水酸化物あるいは水和物を得る工程と、
    得られた水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程との間に、
    前記水酸化物あるいは水和物を水洗して、水酸化物あるいは水和物以外の生成物または残存物を除去した後、pHを8〜14の範囲に調整する工程を有する、請求項3記載の板状チタン酸複合酸化物粒子の製造方法。
  6. 前記水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程後に、得られた生成物をさらに珪素化合物で処理する、請求項3ないし5記載のいずれかに記載の板状チタン酸複合酸化物粒子の製造方法。
  7. 前記水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する工程後、得られた生成物を、ろ過、乾燥する前に、前記生成物を含んだ懸濁液のPHを6〜9の範囲に調整する、請求項3ないし6のいずれかに記載の板状チタン酸複合酸化物粒子の製造方法。
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