JP2004090792A - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】指定された反力トルクが小さい場合であっても、指定された反力トルクを複数のモータによって確実に発生させる。
【解決手段】反力装置用コントローラ毎に発生すべき反力トルクに応じた必要反力電流Iaを算出し(ステップS6)、これを反力発生モータの数、この場合“2”で等分し、この必要反力電流Iaの|Ia/2|が、反力発生モータの不感帯域に応じて設定したしきい値It以上ならば、Ia/2をモータ指令電流Imとして各反力発生モータを駆動し(ステップS8、S10)、しきい値Itより小さければ、予め設定された優先順位の高い方の反力装置用コントローラでは、必要反力電流Iaをモータ指令電流Imとして反力発生モータを駆動し(ステップS14)、優先順位の低い方の反力装置用コントローラでは、モータ指令電流Imを零にし、且つ反力発生モータのクラッチ機構を遮断する(ステップS16)。
【選択図】 図2
【解決手段】反力装置用コントローラ毎に発生すべき反力トルクに応じた必要反力電流Iaを算出し(ステップS6)、これを反力発生モータの数、この場合“2”で等分し、この必要反力電流Iaの|Ia/2|が、反力発生モータの不感帯域に応じて設定したしきい値It以上ならば、Ia/2をモータ指令電流Imとして各反力発生モータを駆動し(ステップS8、S10)、しきい値Itより小さければ、予め設定された優先順位の高い方の反力装置用コントローラでは、必要反力電流Iaをモータ指令電流Imとして反力発生モータを駆動し(ステップS14)、優先順位の低い方の反力装置用コントローラでは、モータ指令電流Imを零にし、且つ反力発生モータのクラッチ機構を遮断する(ステップS16)。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステアリングホイールの操作に応じてアクチュエータにより転舵を行うようにした車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータにより転舵輪を転舵するようにした操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
【0003】
この種の操舵装置では、運転者が操舵するステアリングホイールが機械的に転舵輪と連結されていないために、ステアリングホイールを操舵しても運転者に操舵反力が伝わらず、運転者に違和感を与えることを回避するために、ステアリングホイールにアクチュエータを設け、このアクチュエータをモータで駆動することによって操舵反力を発生させるようにしている。
【0004】
前記操舵反力を与えるためのアクチュエータを備えた反力装置は、例えば、アクチュエータを動作させるための2つの反力発生モータ、この反力発生モータの角度を測定するための3個の角度センサ及び各反力発生モータを駆動させるための2台のコントローラ等を含んで構成されている。そして、例えば転舵輪を転舵するためのアクチュエータを駆動する転舵モータのモータ電流に見合った反力トルクを算出し、この反力トルクを発生し得るモータ電流の指令値を算出し、このモータ電流指令値を2台の反力発生モータで均等に分割し、各反力発生モータを駆動することによって、これら2つの反力発生モータにより、操舵反力に見合った反力トルクを発生させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータは通常、電流を流してもトルクを発生しないような不感帯を持つ。上述のように、電流指令値を2つのモータで均等に分割した場合、電流指令値が小さければ各モータへの指令値がさらに小さくなり不感帯に属する状態となり易い。
【0006】
したがって、複数のモータによってトルクを発生させる場合、電流指令値に対してトルクが発生されない不感帯幅が増加することになる。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、複数のモータによってトルクを発生させることに起因して不感帯幅が増加することを回避することの可能な車両の操舵装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両の操舵装置は、複数のモータのうち少なくとも一つのモータへの指令電流がしきい値以下であるときには、このモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ前記複数のモータへの指令電流の総和が変化しないように、各モータへの指令電流を調整する。
【0008】
したがって、モータがトルクを発生しない不感帯域に応じて前記しきい値を設定すれば、各モータは指令電流に応じたトルクを発生することになり、且つ指令電流の総和は変化しないから、各モータへの指令電流を調整しても複数のモータによって発生されるトルクの総和が変化することはなく、全体としては指定されたトルクが発生されることになる。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る車両の操舵装置によれば、複数のモータのうち少なくとも一つのモータへの指令電流がしきい値以下であるときには、このモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ調整前後の前記複数のモータへの指令電流の総和が変化しないように、各モータへの指令電流を調整するようにしたから、例えば、モータへの指令電流が、モータがトルクを発生しない不感帯域に応じたしきい値以下である場合には、各モータへの指令電流がしきい値を上回るように調整され、且つその総和が変化しないように調整されるから、モータへの指令電流が不感帯域であることに起因して指定されたトルクが発生されないといったことを回避することができ、複数のモータ全体として、指定されたトルクを発生させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。
図1中、10は、ステアリングホイール1に対して操舵反力を付与するための反力装置、20は、ステアリングホイール1とは機械的に切り離された転舵装置である。
【0011】
この転舵装置20は、公知の操舵装置と同等に構成され、ステアリングホイール1の操作量、図示しない車速センサによって検出した車速等に基づいて転舵輪2L、2Rの目標転舵角を算出し、これに基づいて発生すべき目標転舵トルクを算出し、この目標転舵トルクを発生するよう図示しない転舵モータを駆動する。この転舵モータで発生された目標転舵トルクを前記転舵輪2L、2Rを転舵させるためのラックアンドピニオン機構等で構成される図示しない転舵機構に付与することによって、ステアリングホイール1の操作量に応じて転舵輪2L、2Rを転舵するようになっている。
【0012】
また、転舵装置20には、前記転舵モータに供給される、前記目標転舵トルクを発生させるための転舵電流を検出する転舵電流検出手段20aが設けられ、この転舵電流検出手段20aで検出された転舵電流は、前記反力装置10に入力されるようになっている。
一方、前記反力装置10は、図1に示すように、ステアリングホイール1の回転中心部に接続されたコラムシャフト3に取り付けられた、反力発生モータ11a、11bと、これら反力発生モータ11a、11bをそれぞれ駆動制御する反力装置用コントローラ13a、13bと、前記反力発生モータ11aの回転角度を検出するための角度センサ15、16、前記反力発生モータ11bの回転角度を検出するための角度センサ17とから構成されている。
【0013】
前記反力発生モータ11a、11bは、同一の機能構成を有し、前記コラムシャフト3にそれぞれクラッチ機構12a及び12bを介して取り付けられ、このクラッチ機構12a、12bを制御することによって、前記反力発生モータ11a及び11bと、コラムシャフト3との間での動力の伝達を遮断できるようになっている。
【0014】
前記反力装置用コントローラ13a、13bは、同一の機能構成を有し、公知の反力装置用コントローラと同様に構成され、前記転舵装置20の転舵電流検出手段20aからの転舵モータへ供給される転舵電流の電流値に基づいて反力装置10において発生すべき反力トルクTaを算出し、この反力トルクTaを発生するために必要な電流値を必要反力電流Iaとして算出し、これを二等分した電流値(Ia/2)を前記反力発生モータ11a及び11bのモータ指令電流Imとし、このモータ指令電流Imを反力発生モータ11a、11bに供給しこれらを駆動する。つまり、前記反力トルクTaを前記反力発生モータ11a、11bで分担し、これら反力発生モータ11a、11bのそれぞれで発生するトルクの総和によって、前記反力トルクTaを発生させる。
【0015】
また、このとき、角度センサ15〜17の検出信号に基づいて反力発生モータ11a、11bの動作状況や、前記反力発生モータ11a及び11bのモータ指令電流Imを監視し、反力発生モータ11a、11bが正常に動作しているかどうか、また、モータ指令電流Imが予め設定したしきい値Itを下回るか否かに応じて、駆動する反力発生モータの数を調整し、また、モータ指令電流Imの電流値を調整する。
【0016】
そして、上位コントローラ30では、これら反力装置10及び転舵装置20の動作状況を監視すると共に、前記反力装置10に対し、反力発生モータ11a、11bの優先順位を通知する。
図2は、前記反力装置用コントローラ13a及び13bで実行される反力制御処理の処理手順の一例を示したものであって、前記反力装置用コントローラ13a及び13bでは同一の動作を行うため、ここでは、反力装置用コントローラ13aについて説明する。
【0017】
この反力装置用コントローラ13aでは、イグニッションスイッチが投入されるとこの反力制御処理を開始し、まず、ステップS2で、転舵電流検出手段20aからの転舵装置20における転舵電流と、角度センサ15〜17のうち、反力装置用コントローラ13aの駆動対象である反力発生モータ11aに取り付けられた角度センサ15及び16の検出信号を読み込む。
【0018】
次いで、ステップS4に移行し、前記角度センサ15、16の検出信号に基づいて、反力発生モータ11aが正常に動作しているかどうかを判断する。
この判断は、例えば、前記角度センサ15、16の検出信号に基づいて、反力発生モータ11aの回転速度が反力発生モータ11aが正常であるとみなすことの可能な、予め設定した許容範囲内であるかどうかに基づいて行う。また、角度センサ15及び16の検出信号に基づく回転速度の差が許容範囲内であるかどうかに基づいて角度センサ15及び16が正常に動作しているか等の判断も行う。
【0019】
そして、反力発生モータ11a或いは角度センサ15、16が正常ではないと判定されたときには、ステップS4からステップS20に移行し、駆動対象である反力発生モータ11aのクラッチ機構12aを遮断し、反力発生モータ11aをコラムシャフト3から切り離す。そして、例えば、上位コントローラ30に対し、反力発生モータ11a或いは角度センサ15、16に異常が発生したことを通知し、以後、この反力発生モータ11aは用いず、正常な反力発生モータのみを用いて反力を発生させる等といった異常検出時の処理を行う。
【0020】
一方、前記ステップS4において、駆動対象の反力発生モータ11aが正常であり且つ角度センサ15、16が正常であると判定された場合には、ステップS6に移行し、操舵反力に見合った反力トルクTaを付与するために必要な必要反力電流Iaの算出を行う。
この必要反力電流Iaの算出は公知の手順で行えばよく、例えば、転舵電流検出手段20aで検出した転舵電流に基づいて転舵装置20で発生した転舵トルクを推定し、この推定した転舵トルクに基づいてこれに見合った反力トルクTaを算出する。そして、この反力トルクTaを発生し得る電流値を算出し、これを必要反力電流Iaとする。
【0021】
次いで、ステップS8に移行し、ステップS6で算出した必要反力電流Iaを反力発生モータの数、この場合“2”で等分し、この必要反力電流Iaを二等分した値の絶対値が、しきい値It以下であるかどうかを判断する。
前記しきい値Itは、前記反力発生モータ11a及び11bの、供給電流と発生トルクとの対応を表す電流−トルク特性に応じて設定される。
【0022】
図3は、反力発生モータ11a及び11bの電流−トルク特性の一例を示したものであって、横軸は、反力発生モータ11a、11bに供給される電流I、縦軸は、この電流Iを反力発生モータ11a、11bに供給したときに反力発生モータ11a、11bから発生されるトルクTである。
図3に示すように、電流値が正値の場合、電流値が、電流値Itより大きい場合には、電流値が増加するとトルクTはこれに比例して増加するが、電流値が、It以下である間は、電流を供給してもトルクTは零となる。同様に、電流値が負値の場合も同様に、電流値が負方向に増加するとトルクTはこれに比例して増加するが、電流値の絶対値がIt以下の場合には、電流を供給してもトルクTは零となる。つまり、電流値の絶対値がIt以下である領域は、不感帯領域となっている。この不感帯領域を特定する電流値Itを、前記しきい値として設定する。
【0023】
そして、ステップS8の処理で、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値|Ia/2|が、しきい値It以下でない場合、つまり、反力発生モータ11aに供給される電流値が、これを反力発生モータ11aに供給した場合にトルクを発生する電流値であると判定された場合には、ステップS10に移行し、必要反力電流Iaの二等分値Ia/2を反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして設定し、これを反力発生モータ11aに供給する。そして、ステップS2に戻る。
【0024】
一方、ステップS8で、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値|Ia/2|が、しきい値It以下である場合には、ステップS12に移行し、上位コントローラ30から通知された、モータの優先順位に基づいて、反力発生モータ11aと11bとの優先順位を比較し、反力発生モータ11aの方が、優先順位が高い場合には、反力発生モータ11aは駆動すべきモータであると判定し、ステップS14に移行して、反力発生モータ11aのモータ指令電流Imとして、必要反力電流Iaを設定する。そして、ステップS2に戻る。
【0025】
一方、前記ステップS12で、反力発生モータ11aの方が優先順位が低い場合には、反力発生モータ11aは駆動すべきモータではないと判断し、ステップS16に移行して反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imを零に設定すると共に、クラッチ機構12aを遮断制御する。そして、ステップS2に戻る。
なお、前記上位コントローラ30において優先順位を設定する方法としては、例えば、反力発生モータ11aと11bとで定格出力が異なる場合には、その大小に基づいて反力発生モータ11a及び11bの優先順位を設定し、この優先順位を固定として用いるようにしてもよく、また、反力発生モータ11a及び11bの使用頻度、稼動頻度を計測するようにし、その都度、使用頻度の低い方を優先順位が高いとして設定するようにしてもよい。このように使用頻度や稼動頻度に応じて設定することによって、モータ発熱量が小さい方を駆動することになり、熱環境がより悪化することを回避することができる。
【0026】
以上は反力装置用コントローラ13aにおける反力制御処理として説明したが、反力装置用コントローラ13bにおける反力制御処理も同様である。ただし、反力装置用コントローラ13bにおいては、角度センサ17の検出信号に基づいて反力発生モータ11bの異常監視を行う。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
【0027】
反力装置用コントローラ13a、13bでは、イグニッションスイッチがオン状態となると、前記反力制御処理を開始する。そして、転舵電流検出手段20aで検出される転舵電流及び角度センサ15〜17からの反力発生モータ11a、11bの回転角度を読み込み、これらに基づいて反力発生モータ11a、11bが正常であるか、また、反力装置用コントローラ13aにおいては角度センサ15及び16が正常であるかどうかの判断等も行う(ステップS2、S4)。具体的には、反力発生モータ11a、11bの角度センサ15〜17からの各検出信号に基づき反力発生モータ11a、11bの回転速度をそれぞれ検出し、角度センサ15、16の検出信号に基づく反力発生モータ11aの回転速度の偏差が許容範囲外である場合、或いは角度センサ15〜17の検出信号に基づく回転速度の何れかが許容範囲外である場合には、反力発生モータ側或いは角度センサ側が異常であると判断し、それぞれ対応する反力発生モータのクラッチ機構を遮断状態に制御し、且つ対応する反力発生モータへのモータ指令電流を零に設定する。そして、上位コントローラ30に異常が検出されたことを通知する等の処理を行う(ステップS20)。
【0028】
そして、反力発生モータ或いは角度センサの異常が検出されないときには、ステップS4からステップS6に移行し、転舵電流検出手段20aからの転舵電流に基づいて、反力装置10で発生すべき反力トルクTaを算出し、これに応じた必要反力電流Iaを算出する。
ここで、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、転舵装置20において図示しない転舵モータは駆動されないから、反力トルクTaは略零となり、必要反力電流Iaは略零となるから、ステップS6からステップS8を経てステップS12に移行する。このとき、上位コントローラ30から、反力発生モータ11aの方が、反力発生モータ11bよりも優先順位が高いとして通知されている場合には、反力発生モータ11aを駆動制御する反力装置用コントローラ13aでは、ステップS12からステップS14に移行し、必要反力電流Iaを反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして出力するが、この場合、必要反力電流Iaは略零であるから、反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imも略零となり、反力発生モータ11aは駆動されない。
【0029】
一方、反力発生モータ11bを駆動制御する反力装置用コントローラ13bでは、反力発生モータ11bは反力発生モータ11aよりも優先順位が低いから、ステップS12からステップS16に移行し、反力発生モータ11bへのモータ指令電流Imを零に設定し、クラッチ機構12bを遮断状態に制御する。
したがって、反力発生モータ11a及び11bは共に駆動されないから、ステアリングホイール1が操舵されないときには、反力トルクは発生されない。
【0030】
この状態から、運転者がステアリングホイール1を操舵すると、転舵装置20では、公知の手順で動作し、ステアリングホイール1の操舵量に応じた操舵トルクを発生させるための転舵電流を算出し、これを図示しない操舵モータに供給して操舵モータを駆動する。これによって、転舵装置20の転舵機構が動作し、転舵輪2L、2Rが転舵される。
【0031】
一方、反力装置10の各反力装置用コントローラ13a、13bでは、転舵電流検出手段20aで検出された転舵電流に基づいて、転舵トルクを推定し、この転舵トルクに見合った反力トルクTaを算出し、この反力トルクTaを発生し得える必要反力電流Iaを算出する(ステップS6)。そして、この必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値It以下であるかどうかを判定する。
【0032】
ここで、運転者によって比較的大きく操舵が行われ、転舵装置20における転舵電流が比較的大きくこの転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超えた場合には、ステップS8からステップS10に移行し、各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imをそれぞれ必要反力電流Iaの絶対値の二等分値として設定し、これを反力発生モータ11a、11bに出力する。
【0033】
これによって、各反力発生モータ11a、11bは、必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)の電流値によってそれぞれ駆動され、この必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)はしきい値Itを超えているから、各反力発生モータ11a、11bからは、必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)に応じたトルクが発生されることになる。
【0034】
このとき、各反力発生モータ11a、11bの発生トルクは、図3に示すように供給される電流値に比例するから、各反力発生モータ11a、11bで発生するトルクは、これら反力発生モータ11a、11bに供給される電流値Ia/2に応じたトルクとなるが、各反力発生モータ11a、11bで発生される各トルクがコラムシャフト3に付与されるから、コラムシャフト3には結果的に、必要反力電流Iaに応じた反力トルクTaが付与されることになり、運転者は、ステアリングホイール1の操作量に応じた操舵反力を受けることになる。
【0035】
一方、運転者が比較的小さく操舵を行い、この操舵に伴う転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超えない場合には、ステップS8からステップS12に移行する。
反力装置用コントローラ13aでは、上位コントローラ30から反力発生モータ11aの方が優先順位が高いとして通知されているから、ステップS12からステップS14に移行し、ステップS6で算出された必要反力電流Iaを、反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして設定し、これに応じて反力発生モータ11aを駆動する。
【0036】
一方、反力装置用コントローラ13bでは、上位コントローラ30から反力発生モータ11bの方が優先順位が低いとして通知されているから、ステップS12からステップS16に移行し、クラッチ機構12bを遮断状態にし、反力発生モータ11bへのモータ指令電流Imを零として設定する。
したがって、反力発生モータ11bは駆動されず、反力発生モータ11aのみが駆動されることになり、反力発生モータ11bからトルクは発生されないが、反力発生モータ11aによって必要反力電流Iaに応じたトルクつまり発生すべき反力トルクTaが発生されることになる。よって、運転者は、ステアリングホイール1の操作量に応じた操舵反力を受けることになる。
【0037】
そして、この状態から、運転者が大きく操舵を行い、この操舵に伴う転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超える状態となると、ステップS8からステップS10に移行し、各反力装置用コントローラ13a及び13bでは、必要反力電流Iaの二等分値を、各反力発生モータ11a、11bのモータ指令電流Imとして設定し、これに応じて反力発生モータ11a及び11bを駆動する。また、このとき、反力発生モータ11bでは、前回処理実行時に、クラッチ機構12bを遮断状態に制御しているから、クラッチ機構12bを動力伝達可能状態に切り替えた後、反力発生モータ11bを駆動する。
【0038】
これによって、反力発生モータ11a及び11bで発生するトルクがそれぞれクラッチ機構12a、12bを介して、コラムシャフト3に伝達されることになる。
この状態から、例えば、反力装置用コントローラ13aにおいて、反力発生モータ11aの異常を検出した場合には、ステップS4で反力発生モータ11aの異常判定が行われたときにこれが検出されるから、ステップS4からステップS20に移行し、反力発生モータ11aのクラッチ機構12aを遮断状態にし、異常を上位コントローラ30に通知する等の処理を行う。
【0039】
これによって、反力発生モータ11aが例えば反力装置用コントローラ13aの制御に関係なく異常回転したとしても反力発生モータ11aはクラッチ機構12aによって、コラムシャフト3から切り離されているから、反力発生モータ11aの異常発生トルクがコラムシャフト3に伝達されることはない。
そして、例えば、上位コントローラ30が反力装置用コントローラ13aからの異常通知を受けて、反力装置用コントローラ13bに反力装置用コントローラ13aの異常を通知することにより、反力装置用コントローラ13bでは、以後、駆動すべきモータであると認識し、算出した必要反力電流Iaに基づいて、反力発生モータ11bを駆動する。つまり、反力装置用コントローラ13bでは、反力装置用コントローラ13aの異常が通知された場合には、以後、駆動すべきモータであると認識し、正常な反力発生モータは11bのみであるから、必要反力電流Iaをモータ指令電流Imとして反力発生モータ11bを駆動する。
【0040】
ここで、転舵電流に基づき算出された必要反力電流Iaの二等分値が、しきい値Itを下回った場合、この必要反力電流Iaの二等分値は図3に示すように反力発生モータ11a、11bがトルクを発生しない不感帯領域に属すことから、必要反力電流Iaの二等分値を各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流として設定した場合、各反力発生モータ11a、11bにおいてはトルクが発生されない。つまり、反力トルクを発生すべきであるのに、トルクが発生されないことになり、操舵を行っているにも関わらず、操舵反力が付与されないことになり、運転者に違和感を与えることになる。
【0041】
しかしながら、上述のように、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値It以下であり不感帯領域に属するときには、二つの反力発生モータ11a、11bによって反力トルクを分担して発生せずに、何れか一方の反力発生モータによって、反力トルクを発生させるようにしたから、必要反力電流Iaに応じた反力トルクを発生させることができ、すなわち、操舵反力に見合った反力トルクを発生させることができる。
【0042】
上述のように、前記必要反力電流Iaの二等分値を、各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imとして設定した場合、これら反力発生モータは、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値が、しきい値Itを超えているときにのみトルクを発生することになる。つまり、一つの反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合には、必要反力電流Iaの絶対値が、しきい値Itを超えたときにトルクを発生することができるのに対し、二つの反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合には、必要反力電流Iaの絶対値が、2×Itよりも大きい範囲で、トルクを発生することが可能となる。したがって、二つの反力発生モータを用いることに起因して、必要反力電流Iaに対してこれに応じたトルクを発生することができない不感帯幅が増加することになる。
【0043】
しかしながら、予め必要反力電流Iaの絶対値の二等分値が、しきい値Itを超えるかどうかを判定し、これに応じて駆動する反力発生モータの数を調整するようにしたから、複数の反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合であっても、不感帯幅が増加することなく、的確に反力トルクを発生させることができる。
【0044】
また、このとき、一方の反力発生モータを停止させた場合には、他方の反力発生モータへのモータ指令電流Imとして必要反力電流Iaを設定するようにしているから、一方の反力発生モータしか駆動しなくとも、必要とする反力トルクTaを確実に発生させることができる。
また、駆動しない方の反力発生モータについては、クラッチ機構を遮断状態とするだけでなく、モータ指令電流Imを零として設定し、この反力発生モータを駆動しないようにしているから、その分この反力発生モータにおける熱の発生を低減することができ、熱に対する保護を行うことができる。
【0045】
また、各角度センサ15〜17の検出信号に基づいて、各反力発生モータ11a、11bの異常検出を行うと共に、角度センサ15〜17の異常も検出するようにし、反力発生モータ又は角度センサの異常を検出した場合には、異常を検出し反力発生モータのクラッチ機構を遮断状態にし、また、角度センサの異常を検出した場合には、この異常が生じた角度センサに対応する反力発生モータについてもクラッチ機構を遮断する等といった対処を行うようにしているから、異常が発生した反力発生モータが過剰回転する等といった異常動作を行った場合であっても、この異常動作に伴う過剰トルクがコラムシャフト3に付与されることを回避することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態においては、2つの反力発生モータ11a及び11bによって、反力トルクを発生させるようにした場合について説明したが、これに限らず、3つ以上の反力発生モータを用いて反力トルクを発生させるようにした場合であっても適用することができる。
この場合には、必要反力電流Iaを反力発生モータの個数で等分した値が、しきい値Itを超えるかどうかを判断し、しきい値It以下である場合には、何れかの反力発生モータ、例えば優先順位の一番低いものに対応するクラッチ機構を遮断状態にすると共に、この反力発生モータへのモータ指令電流を零に設定し、残りの反力発生モータの個数で必要反力電流Iaを等分した値をこれら各反力発生モータへのモータ指令電流として反力発生モータを駆動するようにすればよい。また、このとき必要反力電流Iaを等分した値が、しきい値Itを超えるかどうかを再度判定し、しきい値Itを超える状態となるまで駆動する反力発生モータの数を優先順位の低いものから順に削減し、しきい値Itを超えたときの反力発生モータの個数分の反力発生モータだけ駆動させるようにしてもよい。或いは、何れか一つの反力発生モータのみを駆動するようにしてもよく、また、モータ指令電流がしきい値Itを超えたときの反力発生モータの数以下の数の反力発生モータを駆動するようにしてもよい。
【0047】
また、このとき、何れかの反力発生モータ或いはこれに対応する角度センサの異常を検出したときには、上位コントローラ30を介して各反力装置用コントローラにこれを通知し、他の反力装置用コントローラから異常が通知された側の反力装置用コントローラにおいては、正常に動作可能な反力発生モータの数を認識し、この数に応じて、必要反力電流Iaを等分した値をモータ指令電流Imとして設定するようにすればよい。
【0048】
また、上記実施の形態においては、必要反力電流Iaを二つの反力発生モータ11a、11bによって、二等分した値をモータ指令電流として設定するようにした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、前記必要反力電流Iaをある割合で二分割し、これを、前記反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imとして設定するようにしてもよく、この場合には、前記割合で分割した各モータ指令電流Imと、しきい値Itとを比較し、何れかのモータ指令電流Imがしきい値Itを下回るときには、割合調整手段によって、前記必要反力電流の分割割合を調整し、調整後のモータ指令電流Imが共にしきい値Itを超えるように調整するようにしてもよく、また、何れか一方の反力発生モータのみを駆動させるようにしてもよい。また、このとき必要反力電流Iaの分担割合を調整する際に、各反力発生モータへのモータ指令電流Imの総和が必要反力電流Iaとなるように調整することによって、発生すべき反力トルクTaとして算出されたトルクを過不足なく発生させることができると共に、必要反力電流Iaの分割割合を調整するようにしているから、一方の反力発生モータへのモータ指令電流を増大させた場合には、他の反力発生モータへのモータ指令電流が減少することになり、モータ指令電流を増加させることによって、その分発熱量も増加することになるが、その分他のモータ指令電流が減少し発熱量が減少することから、モータ指令電流を調整することに起因する総合的なモータの発熱量の増加を低減することができる。
【0049】
また、上記実施の形態においては、反力装置10に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。前記転舵装置20が、上記反力装置10と同様に、複数の転舵モータによって転舵機構に転舵トルクを付与するようにした構成であれば、前記転舵装置20に適用することも可能である。すなわち、ステアリングホイール1の操作量に応じた転舵トルクを発生させるために必要な転舵電流を算出し、これを転舵モータの個数で等分した値が、転舵モータの電流−トルク特性に応じて設定されるしきい値を超えるかどうかを判定し、これに応じて、上記と同様に、駆動する転舵モータの数を調整し、また、転舵モータに供給する指令電流を調整するようにすればよい。このようにすることによって、転舵装置20においても上記と同等の作用効果を得ることができる。
ここで、上記実施の形態において、図2のステップS4の処理がモータ異常検出手段に対応し、ステップS8の処理が監視手段に対応し、ステップS12〜S16の処理が調整手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の反力装置用コントローラにおける反力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1の反力発生モータの電流−トルク特性の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2L、2R 転舵輪
3 コラムシャフト
10 反力装置
11a、11b 反力発生モータ
12a、12b クラッチ機構
13a、13b 反力装置用コントローラ
15、16、17 角度センサ
20 転舵装置
30 上位コントローラ
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステアリングホイールの操作に応じてアクチュエータにより転舵を行うようにした車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータにより転舵輪を転舵するようにした操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
【0003】
この種の操舵装置では、運転者が操舵するステアリングホイールが機械的に転舵輪と連結されていないために、ステアリングホイールを操舵しても運転者に操舵反力が伝わらず、運転者に違和感を与えることを回避するために、ステアリングホイールにアクチュエータを設け、このアクチュエータをモータで駆動することによって操舵反力を発生させるようにしている。
【0004】
前記操舵反力を与えるためのアクチュエータを備えた反力装置は、例えば、アクチュエータを動作させるための2つの反力発生モータ、この反力発生モータの角度を測定するための3個の角度センサ及び各反力発生モータを駆動させるための2台のコントローラ等を含んで構成されている。そして、例えば転舵輪を転舵するためのアクチュエータを駆動する転舵モータのモータ電流に見合った反力トルクを算出し、この反力トルクを発生し得るモータ電流の指令値を算出し、このモータ電流指令値を2台の反力発生モータで均等に分割し、各反力発生モータを駆動することによって、これら2つの反力発生モータにより、操舵反力に見合った反力トルクを発生させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータは通常、電流を流してもトルクを発生しないような不感帯を持つ。上述のように、電流指令値を2つのモータで均等に分割した場合、電流指令値が小さければ各モータへの指令値がさらに小さくなり不感帯に属する状態となり易い。
【0006】
したがって、複数のモータによってトルクを発生させる場合、電流指令値に対してトルクが発生されない不感帯幅が増加することになる。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、複数のモータによってトルクを発生させることに起因して不感帯幅が増加することを回避することの可能な車両の操舵装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両の操舵装置は、複数のモータのうち少なくとも一つのモータへの指令電流がしきい値以下であるときには、このモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ前記複数のモータへの指令電流の総和が変化しないように、各モータへの指令電流を調整する。
【0008】
したがって、モータがトルクを発生しない不感帯域に応じて前記しきい値を設定すれば、各モータは指令電流に応じたトルクを発生することになり、且つ指令電流の総和は変化しないから、各モータへの指令電流を調整しても複数のモータによって発生されるトルクの総和が変化することはなく、全体としては指定されたトルクが発生されることになる。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る車両の操舵装置によれば、複数のモータのうち少なくとも一つのモータへの指令電流がしきい値以下であるときには、このモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ調整前後の前記複数のモータへの指令電流の総和が変化しないように、各モータへの指令電流を調整するようにしたから、例えば、モータへの指令電流が、モータがトルクを発生しない不感帯域に応じたしきい値以下である場合には、各モータへの指令電流がしきい値を上回るように調整され、且つその総和が変化しないように調整されるから、モータへの指令電流が不感帯域であることに起因して指定されたトルクが発生されないといったことを回避することができ、複数のモータ全体として、指定されたトルクを発生させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。
図1中、10は、ステアリングホイール1に対して操舵反力を付与するための反力装置、20は、ステアリングホイール1とは機械的に切り離された転舵装置である。
【0011】
この転舵装置20は、公知の操舵装置と同等に構成され、ステアリングホイール1の操作量、図示しない車速センサによって検出した車速等に基づいて転舵輪2L、2Rの目標転舵角を算出し、これに基づいて発生すべき目標転舵トルクを算出し、この目標転舵トルクを発生するよう図示しない転舵モータを駆動する。この転舵モータで発生された目標転舵トルクを前記転舵輪2L、2Rを転舵させるためのラックアンドピニオン機構等で構成される図示しない転舵機構に付与することによって、ステアリングホイール1の操作量に応じて転舵輪2L、2Rを転舵するようになっている。
【0012】
また、転舵装置20には、前記転舵モータに供給される、前記目標転舵トルクを発生させるための転舵電流を検出する転舵電流検出手段20aが設けられ、この転舵電流検出手段20aで検出された転舵電流は、前記反力装置10に入力されるようになっている。
一方、前記反力装置10は、図1に示すように、ステアリングホイール1の回転中心部に接続されたコラムシャフト3に取り付けられた、反力発生モータ11a、11bと、これら反力発生モータ11a、11bをそれぞれ駆動制御する反力装置用コントローラ13a、13bと、前記反力発生モータ11aの回転角度を検出するための角度センサ15、16、前記反力発生モータ11bの回転角度を検出するための角度センサ17とから構成されている。
【0013】
前記反力発生モータ11a、11bは、同一の機能構成を有し、前記コラムシャフト3にそれぞれクラッチ機構12a及び12bを介して取り付けられ、このクラッチ機構12a、12bを制御することによって、前記反力発生モータ11a及び11bと、コラムシャフト3との間での動力の伝達を遮断できるようになっている。
【0014】
前記反力装置用コントローラ13a、13bは、同一の機能構成を有し、公知の反力装置用コントローラと同様に構成され、前記転舵装置20の転舵電流検出手段20aからの転舵モータへ供給される転舵電流の電流値に基づいて反力装置10において発生すべき反力トルクTaを算出し、この反力トルクTaを発生するために必要な電流値を必要反力電流Iaとして算出し、これを二等分した電流値(Ia/2)を前記反力発生モータ11a及び11bのモータ指令電流Imとし、このモータ指令電流Imを反力発生モータ11a、11bに供給しこれらを駆動する。つまり、前記反力トルクTaを前記反力発生モータ11a、11bで分担し、これら反力発生モータ11a、11bのそれぞれで発生するトルクの総和によって、前記反力トルクTaを発生させる。
【0015】
また、このとき、角度センサ15〜17の検出信号に基づいて反力発生モータ11a、11bの動作状況や、前記反力発生モータ11a及び11bのモータ指令電流Imを監視し、反力発生モータ11a、11bが正常に動作しているかどうか、また、モータ指令電流Imが予め設定したしきい値Itを下回るか否かに応じて、駆動する反力発生モータの数を調整し、また、モータ指令電流Imの電流値を調整する。
【0016】
そして、上位コントローラ30では、これら反力装置10及び転舵装置20の動作状況を監視すると共に、前記反力装置10に対し、反力発生モータ11a、11bの優先順位を通知する。
図2は、前記反力装置用コントローラ13a及び13bで実行される反力制御処理の処理手順の一例を示したものであって、前記反力装置用コントローラ13a及び13bでは同一の動作を行うため、ここでは、反力装置用コントローラ13aについて説明する。
【0017】
この反力装置用コントローラ13aでは、イグニッションスイッチが投入されるとこの反力制御処理を開始し、まず、ステップS2で、転舵電流検出手段20aからの転舵装置20における転舵電流と、角度センサ15〜17のうち、反力装置用コントローラ13aの駆動対象である反力発生モータ11aに取り付けられた角度センサ15及び16の検出信号を読み込む。
【0018】
次いで、ステップS4に移行し、前記角度センサ15、16の検出信号に基づいて、反力発生モータ11aが正常に動作しているかどうかを判断する。
この判断は、例えば、前記角度センサ15、16の検出信号に基づいて、反力発生モータ11aの回転速度が反力発生モータ11aが正常であるとみなすことの可能な、予め設定した許容範囲内であるかどうかに基づいて行う。また、角度センサ15及び16の検出信号に基づく回転速度の差が許容範囲内であるかどうかに基づいて角度センサ15及び16が正常に動作しているか等の判断も行う。
【0019】
そして、反力発生モータ11a或いは角度センサ15、16が正常ではないと判定されたときには、ステップS4からステップS20に移行し、駆動対象である反力発生モータ11aのクラッチ機構12aを遮断し、反力発生モータ11aをコラムシャフト3から切り離す。そして、例えば、上位コントローラ30に対し、反力発生モータ11a或いは角度センサ15、16に異常が発生したことを通知し、以後、この反力発生モータ11aは用いず、正常な反力発生モータのみを用いて反力を発生させる等といった異常検出時の処理を行う。
【0020】
一方、前記ステップS4において、駆動対象の反力発生モータ11aが正常であり且つ角度センサ15、16が正常であると判定された場合には、ステップS6に移行し、操舵反力に見合った反力トルクTaを付与するために必要な必要反力電流Iaの算出を行う。
この必要反力電流Iaの算出は公知の手順で行えばよく、例えば、転舵電流検出手段20aで検出した転舵電流に基づいて転舵装置20で発生した転舵トルクを推定し、この推定した転舵トルクに基づいてこれに見合った反力トルクTaを算出する。そして、この反力トルクTaを発生し得る電流値を算出し、これを必要反力電流Iaとする。
【0021】
次いで、ステップS8に移行し、ステップS6で算出した必要反力電流Iaを反力発生モータの数、この場合“2”で等分し、この必要反力電流Iaを二等分した値の絶対値が、しきい値It以下であるかどうかを判断する。
前記しきい値Itは、前記反力発生モータ11a及び11bの、供給電流と発生トルクとの対応を表す電流−トルク特性に応じて設定される。
【0022】
図3は、反力発生モータ11a及び11bの電流−トルク特性の一例を示したものであって、横軸は、反力発生モータ11a、11bに供給される電流I、縦軸は、この電流Iを反力発生モータ11a、11bに供給したときに反力発生モータ11a、11bから発生されるトルクTである。
図3に示すように、電流値が正値の場合、電流値が、電流値Itより大きい場合には、電流値が増加するとトルクTはこれに比例して増加するが、電流値が、It以下である間は、電流を供給してもトルクTは零となる。同様に、電流値が負値の場合も同様に、電流値が負方向に増加するとトルクTはこれに比例して増加するが、電流値の絶対値がIt以下の場合には、電流を供給してもトルクTは零となる。つまり、電流値の絶対値がIt以下である領域は、不感帯領域となっている。この不感帯領域を特定する電流値Itを、前記しきい値として設定する。
【0023】
そして、ステップS8の処理で、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値|Ia/2|が、しきい値It以下でない場合、つまり、反力発生モータ11aに供給される電流値が、これを反力発生モータ11aに供給した場合にトルクを発生する電流値であると判定された場合には、ステップS10に移行し、必要反力電流Iaの二等分値Ia/2を反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして設定し、これを反力発生モータ11aに供給する。そして、ステップS2に戻る。
【0024】
一方、ステップS8で、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値|Ia/2|が、しきい値It以下である場合には、ステップS12に移行し、上位コントローラ30から通知された、モータの優先順位に基づいて、反力発生モータ11aと11bとの優先順位を比較し、反力発生モータ11aの方が、優先順位が高い場合には、反力発生モータ11aは駆動すべきモータであると判定し、ステップS14に移行して、反力発生モータ11aのモータ指令電流Imとして、必要反力電流Iaを設定する。そして、ステップS2に戻る。
【0025】
一方、前記ステップS12で、反力発生モータ11aの方が優先順位が低い場合には、反力発生モータ11aは駆動すべきモータではないと判断し、ステップS16に移行して反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imを零に設定すると共に、クラッチ機構12aを遮断制御する。そして、ステップS2に戻る。
なお、前記上位コントローラ30において優先順位を設定する方法としては、例えば、反力発生モータ11aと11bとで定格出力が異なる場合には、その大小に基づいて反力発生モータ11a及び11bの優先順位を設定し、この優先順位を固定として用いるようにしてもよく、また、反力発生モータ11a及び11bの使用頻度、稼動頻度を計測するようにし、その都度、使用頻度の低い方を優先順位が高いとして設定するようにしてもよい。このように使用頻度や稼動頻度に応じて設定することによって、モータ発熱量が小さい方を駆動することになり、熱環境がより悪化することを回避することができる。
【0026】
以上は反力装置用コントローラ13aにおける反力制御処理として説明したが、反力装置用コントローラ13bにおける反力制御処理も同様である。ただし、反力装置用コントローラ13bにおいては、角度センサ17の検出信号に基づいて反力発生モータ11bの異常監視を行う。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
【0027】
反力装置用コントローラ13a、13bでは、イグニッションスイッチがオン状態となると、前記反力制御処理を開始する。そして、転舵電流検出手段20aで検出される転舵電流及び角度センサ15〜17からの反力発生モータ11a、11bの回転角度を読み込み、これらに基づいて反力発生モータ11a、11bが正常であるか、また、反力装置用コントローラ13aにおいては角度センサ15及び16が正常であるかどうかの判断等も行う(ステップS2、S4)。具体的には、反力発生モータ11a、11bの角度センサ15〜17からの各検出信号に基づき反力発生モータ11a、11bの回転速度をそれぞれ検出し、角度センサ15、16の検出信号に基づく反力発生モータ11aの回転速度の偏差が許容範囲外である場合、或いは角度センサ15〜17の検出信号に基づく回転速度の何れかが許容範囲外である場合には、反力発生モータ側或いは角度センサ側が異常であると判断し、それぞれ対応する反力発生モータのクラッチ機構を遮断状態に制御し、且つ対応する反力発生モータへのモータ指令電流を零に設定する。そして、上位コントローラ30に異常が検出されたことを通知する等の処理を行う(ステップS20)。
【0028】
そして、反力発生モータ或いは角度センサの異常が検出されないときには、ステップS4からステップS6に移行し、転舵電流検出手段20aからの転舵電流に基づいて、反力装置10で発生すべき反力トルクTaを算出し、これに応じた必要反力電流Iaを算出する。
ここで、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、転舵装置20において図示しない転舵モータは駆動されないから、反力トルクTaは略零となり、必要反力電流Iaは略零となるから、ステップS6からステップS8を経てステップS12に移行する。このとき、上位コントローラ30から、反力発生モータ11aの方が、反力発生モータ11bよりも優先順位が高いとして通知されている場合には、反力発生モータ11aを駆動制御する反力装置用コントローラ13aでは、ステップS12からステップS14に移行し、必要反力電流Iaを反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして出力するが、この場合、必要反力電流Iaは略零であるから、反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imも略零となり、反力発生モータ11aは駆動されない。
【0029】
一方、反力発生モータ11bを駆動制御する反力装置用コントローラ13bでは、反力発生モータ11bは反力発生モータ11aよりも優先順位が低いから、ステップS12からステップS16に移行し、反力発生モータ11bへのモータ指令電流Imを零に設定し、クラッチ機構12bを遮断状態に制御する。
したがって、反力発生モータ11a及び11bは共に駆動されないから、ステアリングホイール1が操舵されないときには、反力トルクは発生されない。
【0030】
この状態から、運転者がステアリングホイール1を操舵すると、転舵装置20では、公知の手順で動作し、ステアリングホイール1の操舵量に応じた操舵トルクを発生させるための転舵電流を算出し、これを図示しない操舵モータに供給して操舵モータを駆動する。これによって、転舵装置20の転舵機構が動作し、転舵輪2L、2Rが転舵される。
【0031】
一方、反力装置10の各反力装置用コントローラ13a、13bでは、転舵電流検出手段20aで検出された転舵電流に基づいて、転舵トルクを推定し、この転舵トルクに見合った反力トルクTaを算出し、この反力トルクTaを発生し得える必要反力電流Iaを算出する(ステップS6)。そして、この必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値It以下であるかどうかを判定する。
【0032】
ここで、運転者によって比較的大きく操舵が行われ、転舵装置20における転舵電流が比較的大きくこの転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超えた場合には、ステップS8からステップS10に移行し、各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imをそれぞれ必要反力電流Iaの絶対値の二等分値として設定し、これを反力発生モータ11a、11bに出力する。
【0033】
これによって、各反力発生モータ11a、11bは、必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)の電流値によってそれぞれ駆動され、この必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)はしきい値Itを超えているから、各反力発生モータ11a、11bからは、必要反力電流Iaの二等分値(Ia/2)に応じたトルクが発生されることになる。
【0034】
このとき、各反力発生モータ11a、11bの発生トルクは、図3に示すように供給される電流値に比例するから、各反力発生モータ11a、11bで発生するトルクは、これら反力発生モータ11a、11bに供給される電流値Ia/2に応じたトルクとなるが、各反力発生モータ11a、11bで発生される各トルクがコラムシャフト3に付与されるから、コラムシャフト3には結果的に、必要反力電流Iaに応じた反力トルクTaが付与されることになり、運転者は、ステアリングホイール1の操作量に応じた操舵反力を受けることになる。
【0035】
一方、運転者が比較的小さく操舵を行い、この操舵に伴う転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超えない場合には、ステップS8からステップS12に移行する。
反力装置用コントローラ13aでは、上位コントローラ30から反力発生モータ11aの方が優先順位が高いとして通知されているから、ステップS12からステップS14に移行し、ステップS6で算出された必要反力電流Iaを、反力発生モータ11aへのモータ指令電流Imとして設定し、これに応じて反力発生モータ11aを駆動する。
【0036】
一方、反力装置用コントローラ13bでは、上位コントローラ30から反力発生モータ11bの方が優先順位が低いとして通知されているから、ステップS12からステップS16に移行し、クラッチ機構12bを遮断状態にし、反力発生モータ11bへのモータ指令電流Imを零として設定する。
したがって、反力発生モータ11bは駆動されず、反力発生モータ11aのみが駆動されることになり、反力発生モータ11bからトルクは発生されないが、反力発生モータ11aによって必要反力電流Iaに応じたトルクつまり発生すべき反力トルクTaが発生されることになる。よって、運転者は、ステアリングホイール1の操作量に応じた操舵反力を受けることになる。
【0037】
そして、この状態から、運転者が大きく操舵を行い、この操舵に伴う転舵電流に基づき算出される必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値Itを超える状態となると、ステップS8からステップS10に移行し、各反力装置用コントローラ13a及び13bでは、必要反力電流Iaの二等分値を、各反力発生モータ11a、11bのモータ指令電流Imとして設定し、これに応じて反力発生モータ11a及び11bを駆動する。また、このとき、反力発生モータ11bでは、前回処理実行時に、クラッチ機構12bを遮断状態に制御しているから、クラッチ機構12bを動力伝達可能状態に切り替えた後、反力発生モータ11bを駆動する。
【0038】
これによって、反力発生モータ11a及び11bで発生するトルクがそれぞれクラッチ機構12a、12bを介して、コラムシャフト3に伝達されることになる。
この状態から、例えば、反力装置用コントローラ13aにおいて、反力発生モータ11aの異常を検出した場合には、ステップS4で反力発生モータ11aの異常判定が行われたときにこれが検出されるから、ステップS4からステップS20に移行し、反力発生モータ11aのクラッチ機構12aを遮断状態にし、異常を上位コントローラ30に通知する等の処理を行う。
【0039】
これによって、反力発生モータ11aが例えば反力装置用コントローラ13aの制御に関係なく異常回転したとしても反力発生モータ11aはクラッチ機構12aによって、コラムシャフト3から切り離されているから、反力発生モータ11aの異常発生トルクがコラムシャフト3に伝達されることはない。
そして、例えば、上位コントローラ30が反力装置用コントローラ13aからの異常通知を受けて、反力装置用コントローラ13bに反力装置用コントローラ13aの異常を通知することにより、反力装置用コントローラ13bでは、以後、駆動すべきモータであると認識し、算出した必要反力電流Iaに基づいて、反力発生モータ11bを駆動する。つまり、反力装置用コントローラ13bでは、反力装置用コントローラ13aの異常が通知された場合には、以後、駆動すべきモータであると認識し、正常な反力発生モータは11bのみであるから、必要反力電流Iaをモータ指令電流Imとして反力発生モータ11bを駆動する。
【0040】
ここで、転舵電流に基づき算出された必要反力電流Iaの二等分値が、しきい値Itを下回った場合、この必要反力電流Iaの二等分値は図3に示すように反力発生モータ11a、11bがトルクを発生しない不感帯領域に属すことから、必要反力電流Iaの二等分値を各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流として設定した場合、各反力発生モータ11a、11bにおいてはトルクが発生されない。つまり、反力トルクを発生すべきであるのに、トルクが発生されないことになり、操舵を行っているにも関わらず、操舵反力が付与されないことになり、運転者に違和感を与えることになる。
【0041】
しかしながら、上述のように、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値がしきい値It以下であり不感帯領域に属するときには、二つの反力発生モータ11a、11bによって反力トルクを分担して発生せずに、何れか一方の反力発生モータによって、反力トルクを発生させるようにしたから、必要反力電流Iaに応じた反力トルクを発生させることができ、すなわち、操舵反力に見合った反力トルクを発生させることができる。
【0042】
上述のように、前記必要反力電流Iaの二等分値を、各反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imとして設定した場合、これら反力発生モータは、必要反力電流Iaの絶対値の二等分値が、しきい値Itを超えているときにのみトルクを発生することになる。つまり、一つの反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合には、必要反力電流Iaの絶対値が、しきい値Itを超えたときにトルクを発生することができるのに対し、二つの反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合には、必要反力電流Iaの絶対値が、2×Itよりも大きい範囲で、トルクを発生することが可能となる。したがって、二つの反力発生モータを用いることに起因して、必要反力電流Iaに対してこれに応じたトルクを発生することができない不感帯幅が増加することになる。
【0043】
しかしながら、予め必要反力電流Iaの絶対値の二等分値が、しきい値Itを超えるかどうかを判定し、これに応じて駆動する反力発生モータの数を調整するようにしたから、複数の反力発生モータで反力トルクを発生させるようにした場合であっても、不感帯幅が増加することなく、的確に反力トルクを発生させることができる。
【0044】
また、このとき、一方の反力発生モータを停止させた場合には、他方の反力発生モータへのモータ指令電流Imとして必要反力電流Iaを設定するようにしているから、一方の反力発生モータしか駆動しなくとも、必要とする反力トルクTaを確実に発生させることができる。
また、駆動しない方の反力発生モータについては、クラッチ機構を遮断状態とするだけでなく、モータ指令電流Imを零として設定し、この反力発生モータを駆動しないようにしているから、その分この反力発生モータにおける熱の発生を低減することができ、熱に対する保護を行うことができる。
【0045】
また、各角度センサ15〜17の検出信号に基づいて、各反力発生モータ11a、11bの異常検出を行うと共に、角度センサ15〜17の異常も検出するようにし、反力発生モータ又は角度センサの異常を検出した場合には、異常を検出し反力発生モータのクラッチ機構を遮断状態にし、また、角度センサの異常を検出した場合には、この異常が生じた角度センサに対応する反力発生モータについてもクラッチ機構を遮断する等といった対処を行うようにしているから、異常が発生した反力発生モータが過剰回転する等といった異常動作を行った場合であっても、この異常動作に伴う過剰トルクがコラムシャフト3に付与されることを回避することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態においては、2つの反力発生モータ11a及び11bによって、反力トルクを発生させるようにした場合について説明したが、これに限らず、3つ以上の反力発生モータを用いて反力トルクを発生させるようにした場合であっても適用することができる。
この場合には、必要反力電流Iaを反力発生モータの個数で等分した値が、しきい値Itを超えるかどうかを判断し、しきい値It以下である場合には、何れかの反力発生モータ、例えば優先順位の一番低いものに対応するクラッチ機構を遮断状態にすると共に、この反力発生モータへのモータ指令電流を零に設定し、残りの反力発生モータの個数で必要反力電流Iaを等分した値をこれら各反力発生モータへのモータ指令電流として反力発生モータを駆動するようにすればよい。また、このとき必要反力電流Iaを等分した値が、しきい値Itを超えるかどうかを再度判定し、しきい値Itを超える状態となるまで駆動する反力発生モータの数を優先順位の低いものから順に削減し、しきい値Itを超えたときの反力発生モータの個数分の反力発生モータだけ駆動させるようにしてもよい。或いは、何れか一つの反力発生モータのみを駆動するようにしてもよく、また、モータ指令電流がしきい値Itを超えたときの反力発生モータの数以下の数の反力発生モータを駆動するようにしてもよい。
【0047】
また、このとき、何れかの反力発生モータ或いはこれに対応する角度センサの異常を検出したときには、上位コントローラ30を介して各反力装置用コントローラにこれを通知し、他の反力装置用コントローラから異常が通知された側の反力装置用コントローラにおいては、正常に動作可能な反力発生モータの数を認識し、この数に応じて、必要反力電流Iaを等分した値をモータ指令電流Imとして設定するようにすればよい。
【0048】
また、上記実施の形態においては、必要反力電流Iaを二つの反力発生モータ11a、11bによって、二等分した値をモータ指令電流として設定するようにした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、前記必要反力電流Iaをある割合で二分割し、これを、前記反力発生モータ11a、11bへのモータ指令電流Imとして設定するようにしてもよく、この場合には、前記割合で分割した各モータ指令電流Imと、しきい値Itとを比較し、何れかのモータ指令電流Imがしきい値Itを下回るときには、割合調整手段によって、前記必要反力電流の分割割合を調整し、調整後のモータ指令電流Imが共にしきい値Itを超えるように調整するようにしてもよく、また、何れか一方の反力発生モータのみを駆動させるようにしてもよい。また、このとき必要反力電流Iaの分担割合を調整する際に、各反力発生モータへのモータ指令電流Imの総和が必要反力電流Iaとなるように調整することによって、発生すべき反力トルクTaとして算出されたトルクを過不足なく発生させることができると共に、必要反力電流Iaの分割割合を調整するようにしているから、一方の反力発生モータへのモータ指令電流を増大させた場合には、他の反力発生モータへのモータ指令電流が減少することになり、モータ指令電流を増加させることによって、その分発熱量も増加することになるが、その分他のモータ指令電流が減少し発熱量が減少することから、モータ指令電流を調整することに起因する総合的なモータの発熱量の増加を低減することができる。
【0049】
また、上記実施の形態においては、反力装置10に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。前記転舵装置20が、上記反力装置10と同様に、複数の転舵モータによって転舵機構に転舵トルクを付与するようにした構成であれば、前記転舵装置20に適用することも可能である。すなわち、ステアリングホイール1の操作量に応じた転舵トルクを発生させるために必要な転舵電流を算出し、これを転舵モータの個数で等分した値が、転舵モータの電流−トルク特性に応じて設定されるしきい値を超えるかどうかを判定し、これに応じて、上記と同様に、駆動する転舵モータの数を調整し、また、転舵モータに供給する指令電流を調整するようにすればよい。このようにすることによって、転舵装置20においても上記と同等の作用効果を得ることができる。
ここで、上記実施の形態において、図2のステップS4の処理がモータ異常検出手段に対応し、ステップS8の処理が監視手段に対応し、ステップS12〜S16の処理が調整手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の反力装置用コントローラにおける反力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1の反力発生モータの電流−トルク特性の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2L、2R 転舵輪
3 コラムシャフト
10 反力装置
11a、11b 反力発生モータ
12a、12b クラッチ機構
13a、13b 反力装置用コントローラ
15、16、17 角度センサ
20 転舵装置
30 上位コントローラ
Claims (7)
- 操舵機構の操舵量に応じて、当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、
前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、トルクを発生するための複数のモータを含んで構成され、且つ指定されたトルクを各モータで分担して発生するようにした車両の操舵装置であって、
前記複数のモータのうち少なくとも一つのモータへの指令電流がしきい値以下であるときには、このモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ前記複数のモータへの指令電流の総和が変化しないように、各モータへの指令電流を調整するようにしたことを特徴とする車両の操舵装置。 - 操舵機構の操舵量に応じて、当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、
前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、トルクを発生するための複数のモータを含んで構成され、且つ指定されたトルクを各モータで分担して発生するようにした車両の操舵装置であって、
前記各モータへの指令電流がしきい値以下であるかどうかを監視する監視手段と、
当該監視手段で何れかのモータへの指令電流が前記しきい値以下であることを検出したとき前記各モータへの指令電流を調整する調整手段と、を備え、
当該調整手段は、全てのモータへの指令電流がしきい値を上回り、且つ調整前後の前記各モータへの指令電流の総和が変化しないように前記調整を行うことを特徴とする車両の操舵装置。 - 前記モータと前記転舵機構又は操舵機構との間に、これら間の動力伝達経路を遮断するクラッチ機構を備え、
前記調整手段は、前記何れかのモータへの指令電流が前記しきい値以下のときには、前記複数のモータのうちの指定されたモータの前記クラッチ機構を遮断状態にすると共にこのモータへの指令電流を零にし、且つ、残りのモータへの指令電流の調整後の総和が、調整前の前記指定されたモータを含む各モータへの指令電流の総和と一致するように調整を行うことを特徴とする請求項2記載の車両の操舵装置。 - 前記モータへの指令電流は、前記指定されたトルクを発生させるために必要な必要電流を、前記モータの数で等分した値に設定され、
前記調整手段は、前記モータへの指令電流が前記しきい値以下のときには、前記指定されたモータを除く残りのモータのモータ数で前記必要電流を等分した値を前記指定されたモータを除く残りのモータへの指令電流として設定することを特徴とする請求項3記載の車両の操舵装置。 - 前記調整手段は、予め設定された優先順位の低いモータへの指令電流を零に設定すると共に、このモータのクラッチ機構を遮断するようになっていることを特徴とする請求項3又は4記載の車両の操舵装置。
- 前記モータの異常を検出するモータ異常検出手段を備え、
前記調整手段は、前記モータ異常検出手段でモータの異常を検出したときには、異常を検出したモータに該当するクラッチ機構を遮断すると共に、当該モータへの指令電流を零に設定し、且つ、残りのモータへの指令電流の調整後の総和が、調整前の前記異常を検出したモータを含む各モータへの指令電流の総和と一致するように調整を行うことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の車両の操舵装置。 - 前記モータへの指令電流は、指定されたトルクを発生させるために必要な必要電流を、前記モータの数で等分した値に設定され、
前記調整手段は、前記モータ異常検出手段でモータの異常を検出したときには、正常なモータのモータ数で前記必要電流を等分した値を前記正常なモータへの指令電流として設定することを特徴とする請求項6記載の車両の操舵装置。
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JP2002255071A JP2004090792A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 車両の操舵装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006182058A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-13 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用操舵制御装置 |
JP2008221916A (ja) * | 2007-03-09 | 2008-09-25 | Nissan Motor Co Ltd | 駆動制御装置およびそれを用いた操舵制御装置 |
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-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255071A patent/JP2004090792A/ja active Pending
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