JP2004087626A - 放熱シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマディスプレイパネル(PDP)とアルミ冷却パネルとを、密着一体化できる放熱シートを提供する。
【解決手段】2枚の両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状の熱伝導性シリコーンゲルシート1を相互に一定の距離をおいて並列的に配置し、前記三者を一体化する。前記熱伝導性シリコーンゲルシート1は、付加反応型シリコーンゲル前駆体(液状)に、酸化アルミニウム等の金属酸化物およびシランカップリング剤を混合し、これを前記両面粘着シート2a、2bの間に、断続的に供給し、加圧して帯状に成型し、加熱加硫すれば形成できる。この加熱加硫により、前記2つの両面粘着シート2a、2bと前記熱伝導性シリコーンゲルシートとが、シランカップリング剤の効果により強固に接着し、一体化する。この放熱シートは、優れた密着接着性を有するから、PDPと冷却パネルとを接着できる。
【選択図】 図1
【解決手段】2枚の両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状の熱伝導性シリコーンゲルシート1を相互に一定の距離をおいて並列的に配置し、前記三者を一体化する。前記熱伝導性シリコーンゲルシート1は、付加反応型シリコーンゲル前駆体(液状)に、酸化アルミニウム等の金属酸化物およびシランカップリング剤を混合し、これを前記両面粘着シート2a、2bの間に、断続的に供給し、加圧して帯状に成型し、加熱加硫すれば形成できる。この加熱加硫により、前記2つの両面粘着シート2a、2bと前記熱伝導性シリコーンゲルシートとが、シランカップリング剤の効果により強固に接着し、一体化する。この放熱シートは、優れた密着接着性を有するから、PDPと冷却パネルとを接着できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、消費電力が大きく、PDP自体から多くの熱が発生する。PDP表面の温度は、PDPの表示状態によって部位的に温度差があるので、そのPDP面の温度差を少なくし、かつPDP面の温度を均一にする目的で、PDP背面には熱伝導性の良いアルミ冷却パネルが配置されている。PDPとアルミ冷却パネルとの間には、約1〜2mmの一定の間隙があり、この間隙を埋めて、前記両者を密着一体化させるために、アクリル系接着シート、ゴム系接着シートに熱伝導性シリコーンゲルシートが併用され、前記両者の間隙に配置されるのが一般的である。熱伝導性シリコーンゲルシートは、シリコーンゲルに、熱伝導性が高い金属酸化物粉や酸化ケイ素粉を高い割合で配合し、シート状に成型したものである。
【0003】
しかし、前記熱伝導性シリコーンゲルシートは、放熱性に優れるものの、それ自体にPDPとアルミ冷却パネルとを密着一体化する機能がないため、PDPとアルミ冷却パネルは、上記の方法により固定されている。また、従来のアクリル系接着シートもしくはゴム系接着シートと熱伝導性シリコーンゲルシートとを併用する方法では、大面積のPDPとアルミ冷却パネルとを張り合わせる場合、シートが部分的に密着せず、その結果、PDPやアルミ冷却パネルの部分的な浮き上がりが生じ、充分に放熱できない場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、PDPと冷却パネルとを密着一体化させることができる放熱シートの提供を、第1の目的とし、大面積のPDPであっても、部分的な浮き上がりを生じることなく冷却パネルと均一に密着一体化できる放熱シートの提供を、第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するために、本発明の第1の放熱シートは、熱伝導性シリコーンゲルシートの上下両面の全部若しくは一部に両面粘着シートが貼着されている放熱シートである。
【0006】
この放熱シートによれば、前記両面粘着シートにより、PDPと冷却パネルとを密着一体化できる。
【0007】
前記第2の目的を達成するために、本発明の第2の放熱シートは、前記第1の放熱シートにおいて、前記熱伝導性シリコーンゲルシートが複数あり、これらが相互に一定の距離をおいて配置されているシートである。
【0008】
本発明者等は、大面積の場合に、PDP等が部分的に浮き上がる原因の解明を目的に一連の研究を重ねたところ、貼りあわせの際に、内部にある空気がうまく抜けないことが原因であることを突き止めた。そして、この空気を抜くことを中心に、さらに研究を続けた結果、前記熱伝導性シリコーンゲルシートを複数に分断し、これらの間に間隙を設けることによって、PDPと冷却パネル間に設置した前記熱伝導性シリコーンゲルシート接着面から空気が抜け、かつ、PDPと冷却パネル双方のわずかな歪みを吸収でき、かつ、PDP等の浮き上がりが防止できることを見出し、本発明の第2の放熱シートに到達した。これにより、大面積のPDPと冷却パネルであっても、浮き上がりが生じることなく、両者を均一に密着一体化できる。
【0009】
つぎに、本発明のPDPは、例えば、その背面に冷却パネルを有するPDPであって、さらに、前記両者の間に、本発明の放熱シートを有し、これによって前記冷却パネルと一体化しているPDPである。前記冷却パネルとしては、例えば、アルミ冷却パネル等がある。なお、本発明の放熱シートは、PDPに最適であるが、これには限定されず、その他の用途に使用してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を、さらに詳しく説明する。
【0011】
本発明の第2の放熱シートにおいて、前記複数の熱伝導性シリコーンゲルシートのそれぞれの形状が帯状であり、これらが相互に一定の距離をおいて並列的に配置されていることが好ましい。このようにすれば、大面積のPDPと冷却パネルとを貼りあわせる際、さらに効率良く空気を抜くことができ、よりいっそう効果的に浮き上がりを防止できる。
【0012】
本発明において、前記熱伝導性シリコーンゲルシートは、例えば、シリコーンゲルおよび熱伝導性充填剤を含む。
【0013】
前記シリコーンゲルは、例えば、付加反応型シリコーンゲル、縮合反応型シリコーンゲル等が使用でき、好ましくは、付加反応型シリコーンゲルである。
【0014】
前記熱伝導性充填剤として、例えば、金属酸化物粉、酸化ケイ素粉、窒化ホウ素粉、窒化ケイ素粉および炭化ケイ素粉等がある。このなかで好ましいのは、金属酸化物粉および酸化ケイ素粉である、金属酸化物粉としては、例えば、酸化アルミニュウム粉、水酸化アルミニュウム粉、酸化亜鉛粉、酸化チタン粉等があり、このなかで好ましいのは、酸化アルミニュウムである。これらの熱伝導性充填剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。熱伝導性充填剤の配合割合は、シリコーンゲル100重量部に対し、例えば、100〜3000重量部であり、より好ましくは200〜1700重量部である。
【0015】
本発明において、熱伝導性シリコーンゲルシートは、シランカップリング剤により、前記両面粘着シートとさらに強固に密着一体化していることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、アルキルシラン、アミノアルキルシラン、エポキシアルキルシラン、メタクリロキシアルキルシラン、メルカプトアルキルシラン等があり、より好ましいのは、アルキルシランであるメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランである。シランカップリング剤の配合割合は、シリコーンゲル前駆体(液状シリコーン)100重量部に対し、例えば、0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.5〜4.0重量部である。
【0016】
本発明において、前記両面粘着シートは、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を、不織布等のシート基材の両面に塗布したものが使用できる。このなかでも、アクリル系両面粘着シートが好ましい。
【0017】
つぎに、本発明の第2の放熱シートの一例を、図1に示す。同図において、(a)は、前記放熱シートの平面図であり、(b)は、その側面図である。図示のように、この放熱シートは、2つの両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状の熱伝導性シリコーンゲル1が並列的に配置され、前記三者は、一体化されている。同図において、11は、熱伝導性シリコーンゲル1間の間隙である。また、この放熱シートでは、使用前であるため、前記二つの両面粘着シートの各表面に離型紙3a、3bが貼着されている。使用にあたっては、これらの離型紙は剥がされる。
【0018】
本発明の放熱シートの全体および各部の大きさは、PDP等の大きさにより適宜決定される。本発明の放熱シートの全体の大きさは、例えば、縦200〜900mm、横1000〜1500mmであり、好ましくは、縦550〜700mm、横900〜1200mmである。また、前記両面粘着シートの厚みは、例えば、0.03〜2.0mmであり、より好ましくは0.1〜1.0mmである。前記熱伝導性シリコーンゲルシートの厚みは、例えば、0.5〜5.0mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmである。また、前記熱伝導性シリコーンゲルが、帯状で複数ある場合、これらの間隙は、例えば、1〜30mmであり、より好ましくは5〜20mmであり、前記帯状の熱伝導性シリコーンゲルの幅は、例えば、1〜100mmであり、より好ましくは10〜30mmである。
【0019】
つぎに、本発明の第2の放熱シートは、例えば、図2に示すようにして、製造方法される。すなわち、まず、供給ロール4a、4bから、両面粘着シート2a、2bを、一定の空隙をもって互いに対面させた状態で加圧ロール8に供給する。他方、シリコーンゲル前駆体(液状物)に、熱伝導性充填剤および必要に応じてシランカップリング剤を配合し、攪拌機で十分に攪拌混合した後、脱泡機を用いて脱泡し、これを、複数の吐出ノズル6を有する吐出機5に供給する。そして、図示のように、前記各吐出ノズル6から、加圧ロール8に供給前の前記両面粘着シート2a、2bの間に、複数の円柱状の配合物7aを連続的に供給する。この状態を図3に示す。なお、同図において、図2と同じ部分には、同じ符号を付している。図示のように、複数の吐出ノズル6から円柱状の配合物7aが連続的に供給され、両面粘着シート2bの上に筋状に配置される。この円柱状配合物7aは、加圧ロール8によって加圧されて所定厚みの帯状配合物7bとなる。そして、この帯状の配合物7bは、連続加熱炉9に導入され、ここで、前記配合物中のシリコーンゲル前駆体(液状物)が、加熱加硫されて熱伝導性シリコーンゲルシート1になり、これと前記両面粘着シート2a、2bとが密着一体化する。なお、シランカップリング剤が配合されている場合は、この作用により、熱伝導性シリコーンゲルシート1と両面粘着シート2a、2bとは、より強固に密着一体化する。そして、出来上がった放熱シートは、巻き取りロール10に巻き取られる。このようにして、図1に示すような、2つの両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルが相互に一定の距離をおいて並列的に配置された放熱シートが製造できる。なお、本発明の第2の放熱シートは、この製造方法以外で製造してもよい。
【0020】
本発明の第1の放熱シートは、例えば、前記第2の放熱シートの例において、2つの両面粘着シート2a,2bの間に、シリコーンゲル前駆体(液状物)に、熱伝導性充填剤および必要に応じてシランカップリング剤を配合して混合したもの(さらに脱泡することが好ましい)を、連続的に供給し、その他の操作、条件等は前記と同様にすることにより、製造できる。なお、本発明の第1の放熱シートは、この製造方法以外の方法で製造してもよい。
【0021】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0022】
(実施例1)
付加反応型シリコーンゲル前駆体(液状物、東レダウコーニング社製、製品名CF−5038、以下同じ)100重量部、酸化アルミニュウム(平均粒子径5μm、昭和電工社製、以下同じ)300重量部およびシランカップリング剤(東レダウコーニング社製、商品名SZ6072、以下同じ)2重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、図2に示すように、この混合物を、複数の吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2b(製品名#500、日東電工社製、以下同じ)の間に、円柱状(直径約8mm)に連続的(各間隙が約35mmになるように)に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、2つのアクリル系粘着シートの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートが一定の距離をおいて並列的に配置され、かつ前記三者が強固に密着一体化した放熱シートを得た。
【0023】
(実施例2)
付加反応型シリコーンゲル前駆体100重量部、酸化ケイ素粉(平均粒子径50μm、旭工業社製)400重量部およびシランカップリング剤3重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、図2に示すように、この混合物を、複数の吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2bの間に、円柱状(直径約8mm)に連続的(各間隙が約35mmになるように)に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、2つのアクリル系粘着シートの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートが一定の距離をおいて並列的に配置され、かつ前記三者が強固に密着一体化した放熱シートを得た。
【0024】
(比較例1)
アクリル系接着シート(商品名VHBテープ、住友3M社製)単体を放熱シートとして用いた。
【0025】
(比較例2)
熱伝導性シリコーンゲルシート単体を放熱シートとして用いた。
【0026】
このようにして得られた実施例1、2および比較例1、2の放熱シートを用い、PDPおよびアルミ冷却パネルを実際に接着して一体化し、その密着有効面積を調べた。その結果を、下記の表1に示す。密着有効面積は、目視観察により、密着部と浮き上がり部とを判定して、これらの面積を測定し、全面積に対する密着面積の割合(%)で示した。
【0027】
【0028】
前記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例の放熱シートは、従来の放熱シート(比較例)に比べ、優れた密着性であった。
【0029】
(実施例3)
付加反応型シリコーンゲル前駆体100重量部、酸化アルミニュウム300重量部およびシランカップリング剤2重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、この混合物を、吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2bの間に、連続的に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、一枚の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートの両面のそれぞれにアクリル系両面粘着シートが貼着された放熱シートを得た。この放熱シートにより、PDPとアルミ冷却パネルとを、密着一体化することができた。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明の放熱シートは、これ自身が両面粘着性を有するため、従来のように相互接着のためのアクリル系接着シートと熱伝導のためのシリコーンゲルシートとを併用した方法と比較して、PDPと冷却パネルとを高い有効面積で密着一体化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放熱シートの一例を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図2】本発明の放熱シートの製造方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の放熱シートの製造の一例における配合物7aの供給方法の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 熱伝導性シリコーンゲルシート
2a,2b 両面粘着シート
3a、3b 離型紙
4a、4b 供給ロール
5 吐出機
6 吐出ノズル
7a 円柱状の配合物
7b 帯状の配合物
8 加圧ロール
9 連続加熱炉
10 巻き取りロール
11 間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、消費電力が大きく、PDP自体から多くの熱が発生する。PDP表面の温度は、PDPの表示状態によって部位的に温度差があるので、そのPDP面の温度差を少なくし、かつPDP面の温度を均一にする目的で、PDP背面には熱伝導性の良いアルミ冷却パネルが配置されている。PDPとアルミ冷却パネルとの間には、約1〜2mmの一定の間隙があり、この間隙を埋めて、前記両者を密着一体化させるために、アクリル系接着シート、ゴム系接着シートに熱伝導性シリコーンゲルシートが併用され、前記両者の間隙に配置されるのが一般的である。熱伝導性シリコーンゲルシートは、シリコーンゲルに、熱伝導性が高い金属酸化物粉や酸化ケイ素粉を高い割合で配合し、シート状に成型したものである。
【0003】
しかし、前記熱伝導性シリコーンゲルシートは、放熱性に優れるものの、それ自体にPDPとアルミ冷却パネルとを密着一体化する機能がないため、PDPとアルミ冷却パネルは、上記の方法により固定されている。また、従来のアクリル系接着シートもしくはゴム系接着シートと熱伝導性シリコーンゲルシートとを併用する方法では、大面積のPDPとアルミ冷却パネルとを張り合わせる場合、シートが部分的に密着せず、その結果、PDPやアルミ冷却パネルの部分的な浮き上がりが生じ、充分に放熱できない場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、PDPと冷却パネルとを密着一体化させることができる放熱シートの提供を、第1の目的とし、大面積のPDPであっても、部分的な浮き上がりを生じることなく冷却パネルと均一に密着一体化できる放熱シートの提供を、第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するために、本発明の第1の放熱シートは、熱伝導性シリコーンゲルシートの上下両面の全部若しくは一部に両面粘着シートが貼着されている放熱シートである。
【0006】
この放熱シートによれば、前記両面粘着シートにより、PDPと冷却パネルとを密着一体化できる。
【0007】
前記第2の目的を達成するために、本発明の第2の放熱シートは、前記第1の放熱シートにおいて、前記熱伝導性シリコーンゲルシートが複数あり、これらが相互に一定の距離をおいて配置されているシートである。
【0008】
本発明者等は、大面積の場合に、PDP等が部分的に浮き上がる原因の解明を目的に一連の研究を重ねたところ、貼りあわせの際に、内部にある空気がうまく抜けないことが原因であることを突き止めた。そして、この空気を抜くことを中心に、さらに研究を続けた結果、前記熱伝導性シリコーンゲルシートを複数に分断し、これらの間に間隙を設けることによって、PDPと冷却パネル間に設置した前記熱伝導性シリコーンゲルシート接着面から空気が抜け、かつ、PDPと冷却パネル双方のわずかな歪みを吸収でき、かつ、PDP等の浮き上がりが防止できることを見出し、本発明の第2の放熱シートに到達した。これにより、大面積のPDPと冷却パネルであっても、浮き上がりが生じることなく、両者を均一に密着一体化できる。
【0009】
つぎに、本発明のPDPは、例えば、その背面に冷却パネルを有するPDPであって、さらに、前記両者の間に、本発明の放熱シートを有し、これによって前記冷却パネルと一体化しているPDPである。前記冷却パネルとしては、例えば、アルミ冷却パネル等がある。なお、本発明の放熱シートは、PDPに最適であるが、これには限定されず、その他の用途に使用してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を、さらに詳しく説明する。
【0011】
本発明の第2の放熱シートにおいて、前記複数の熱伝導性シリコーンゲルシートのそれぞれの形状が帯状であり、これらが相互に一定の距離をおいて並列的に配置されていることが好ましい。このようにすれば、大面積のPDPと冷却パネルとを貼りあわせる際、さらに効率良く空気を抜くことができ、よりいっそう効果的に浮き上がりを防止できる。
【0012】
本発明において、前記熱伝導性シリコーンゲルシートは、例えば、シリコーンゲルおよび熱伝導性充填剤を含む。
【0013】
前記シリコーンゲルは、例えば、付加反応型シリコーンゲル、縮合反応型シリコーンゲル等が使用でき、好ましくは、付加反応型シリコーンゲルである。
【0014】
前記熱伝導性充填剤として、例えば、金属酸化物粉、酸化ケイ素粉、窒化ホウ素粉、窒化ケイ素粉および炭化ケイ素粉等がある。このなかで好ましいのは、金属酸化物粉および酸化ケイ素粉である、金属酸化物粉としては、例えば、酸化アルミニュウム粉、水酸化アルミニュウム粉、酸化亜鉛粉、酸化チタン粉等があり、このなかで好ましいのは、酸化アルミニュウムである。これらの熱伝導性充填剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。熱伝導性充填剤の配合割合は、シリコーンゲル100重量部に対し、例えば、100〜3000重量部であり、より好ましくは200〜1700重量部である。
【0015】
本発明において、熱伝導性シリコーンゲルシートは、シランカップリング剤により、前記両面粘着シートとさらに強固に密着一体化していることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、アルキルシラン、アミノアルキルシラン、エポキシアルキルシラン、メタクリロキシアルキルシラン、メルカプトアルキルシラン等があり、より好ましいのは、アルキルシランであるメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランである。シランカップリング剤の配合割合は、シリコーンゲル前駆体(液状シリコーン)100重量部に対し、例えば、0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.5〜4.0重量部である。
【0016】
本発明において、前記両面粘着シートは、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を、不織布等のシート基材の両面に塗布したものが使用できる。このなかでも、アクリル系両面粘着シートが好ましい。
【0017】
つぎに、本発明の第2の放熱シートの一例を、図1に示す。同図において、(a)は、前記放熱シートの平面図であり、(b)は、その側面図である。図示のように、この放熱シートは、2つの両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状の熱伝導性シリコーンゲル1が並列的に配置され、前記三者は、一体化されている。同図において、11は、熱伝導性シリコーンゲル1間の間隙である。また、この放熱シートでは、使用前であるため、前記二つの両面粘着シートの各表面に離型紙3a、3bが貼着されている。使用にあたっては、これらの離型紙は剥がされる。
【0018】
本発明の放熱シートの全体および各部の大きさは、PDP等の大きさにより適宜決定される。本発明の放熱シートの全体の大きさは、例えば、縦200〜900mm、横1000〜1500mmであり、好ましくは、縦550〜700mm、横900〜1200mmである。また、前記両面粘着シートの厚みは、例えば、0.03〜2.0mmであり、より好ましくは0.1〜1.0mmである。前記熱伝導性シリコーンゲルシートの厚みは、例えば、0.5〜5.0mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmである。また、前記熱伝導性シリコーンゲルが、帯状で複数ある場合、これらの間隙は、例えば、1〜30mmであり、より好ましくは5〜20mmであり、前記帯状の熱伝導性シリコーンゲルの幅は、例えば、1〜100mmであり、より好ましくは10〜30mmである。
【0019】
つぎに、本発明の第2の放熱シートは、例えば、図2に示すようにして、製造方法される。すなわち、まず、供給ロール4a、4bから、両面粘着シート2a、2bを、一定の空隙をもって互いに対面させた状態で加圧ロール8に供給する。他方、シリコーンゲル前駆体(液状物)に、熱伝導性充填剤および必要に応じてシランカップリング剤を配合し、攪拌機で十分に攪拌混合した後、脱泡機を用いて脱泡し、これを、複数の吐出ノズル6を有する吐出機5に供給する。そして、図示のように、前記各吐出ノズル6から、加圧ロール8に供給前の前記両面粘着シート2a、2bの間に、複数の円柱状の配合物7aを連続的に供給する。この状態を図3に示す。なお、同図において、図2と同じ部分には、同じ符号を付している。図示のように、複数の吐出ノズル6から円柱状の配合物7aが連続的に供給され、両面粘着シート2bの上に筋状に配置される。この円柱状配合物7aは、加圧ロール8によって加圧されて所定厚みの帯状配合物7bとなる。そして、この帯状の配合物7bは、連続加熱炉9に導入され、ここで、前記配合物中のシリコーンゲル前駆体(液状物)が、加熱加硫されて熱伝導性シリコーンゲルシート1になり、これと前記両面粘着シート2a、2bとが密着一体化する。なお、シランカップリング剤が配合されている場合は、この作用により、熱伝導性シリコーンゲルシート1と両面粘着シート2a、2bとは、より強固に密着一体化する。そして、出来上がった放熱シートは、巻き取りロール10に巻き取られる。このようにして、図1に示すような、2つの両面粘着シート2a、2bの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルが相互に一定の距離をおいて並列的に配置された放熱シートが製造できる。なお、本発明の第2の放熱シートは、この製造方法以外で製造してもよい。
【0020】
本発明の第1の放熱シートは、例えば、前記第2の放熱シートの例において、2つの両面粘着シート2a,2bの間に、シリコーンゲル前駆体(液状物)に、熱伝導性充填剤および必要に応じてシランカップリング剤を配合して混合したもの(さらに脱泡することが好ましい)を、連続的に供給し、その他の操作、条件等は前記と同様にすることにより、製造できる。なお、本発明の第1の放熱シートは、この製造方法以外の方法で製造してもよい。
【0021】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0022】
(実施例1)
付加反応型シリコーンゲル前駆体(液状物、東レダウコーニング社製、製品名CF−5038、以下同じ)100重量部、酸化アルミニュウム(平均粒子径5μm、昭和電工社製、以下同じ)300重量部およびシランカップリング剤(東レダウコーニング社製、商品名SZ6072、以下同じ)2重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、図2に示すように、この混合物を、複数の吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2b(製品名#500、日東電工社製、以下同じ)の間に、円柱状(直径約8mm)に連続的(各間隙が約35mmになるように)に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、2つのアクリル系粘着シートの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートが一定の距離をおいて並列的に配置され、かつ前記三者が強固に密着一体化した放熱シートを得た。
【0023】
(実施例2)
付加反応型シリコーンゲル前駆体100重量部、酸化ケイ素粉(平均粒子径50μm、旭工業社製)400重量部およびシランカップリング剤3重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、図2に示すように、この混合物を、複数の吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2bの間に、円柱状(直径約8mm)に連続的(各間隙が約35mmになるように)に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、2つのアクリル系粘着シートの間に、複数の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートが一定の距離をおいて並列的に配置され、かつ前記三者が強固に密着一体化した放熱シートを得た。
【0024】
(比較例1)
アクリル系接着シート(商品名VHBテープ、住友3M社製)単体を放熱シートとして用いた。
【0025】
(比較例2)
熱伝導性シリコーンゲルシート単体を放熱シートとして用いた。
【0026】
このようにして得られた実施例1、2および比較例1、2の放熱シートを用い、PDPおよびアルミ冷却パネルを実際に接着して一体化し、その密着有効面積を調べた。その結果を、下記の表1に示す。密着有効面積は、目視観察により、密着部と浮き上がり部とを判定して、これらの面積を測定し、全面積に対する密着面積の割合(%)で示した。
【0027】
【0028】
前記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例の放熱シートは、従来の放熱シート(比較例)に比べ、優れた密着性であった。
【0029】
(実施例3)
付加反応型シリコーンゲル前駆体100重量部、酸化アルミニュウム300重量部およびシランカップリング剤2重量部を、攪拌機で均一に攪拌混合した後、この混合物を、脱泡機を用いて脱泡した。そして、この混合物を、吐出ノズル6から、2つのアクリル系両面粘着シート2a、2bの間に、連続的に供給し、これを加圧ローラ8で加圧し、続いて連続加熱炉9で加熱加硫した。その結果、一枚の帯状熱伝導性シリコーンゲルシートの両面のそれぞれにアクリル系両面粘着シートが貼着された放熱シートを得た。この放熱シートにより、PDPとアルミ冷却パネルとを、密着一体化することができた。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明の放熱シートは、これ自身が両面粘着性を有するため、従来のように相互接着のためのアクリル系接着シートと熱伝導のためのシリコーンゲルシートとを併用した方法と比較して、PDPと冷却パネルとを高い有効面積で密着一体化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放熱シートの一例を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図2】本発明の放熱シートの製造方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の放熱シートの製造の一例における配合物7aの供給方法の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 熱伝導性シリコーンゲルシート
2a,2b 両面粘着シート
3a、3b 離型紙
4a、4b 供給ロール
5 吐出機
6 吐出ノズル
7a 円柱状の配合物
7b 帯状の配合物
8 加圧ロール
9 連続加熱炉
10 巻き取りロール
11 間隙
Claims (7)
- 熱伝導性シリコーンゲルシートの上下両面の全部若しくは一部に両面粘着シートが貼着された放熱シート。
- 前記熱伝導性シリコーンゲルシートが複数あり、これらが互いに一定の距離をおいて配置されている請求項1記載の放熱シート。
- 前記複数の熱伝導性シリコーンゲルシートのそれぞれの形状が帯状であり、これらが一定の距離をおいて並列的に配置されている請求項2記載の放熱シート。
- 前記熱伝導性シリコーンゲルシートが、シリコーンゲルおよび熱伝導性充填剤を含む請求項1から3のいずれかに記載の放熱シート。
- 前記熱伝導性シリコーンゲルシートと前記両面粘着シートとが、シランカップリング剤によって強固に密着一体化している請求項4記載の放熱シート。
- 前記両面粘着シートが、アクリル系両面粘着シートおよびゴム系両面粘着シートの少なくとも一方である請求項1から5のいずれかに記載の放熱シート。
- その背面に冷却パネルを有するプラズマディスプレイパネルであって、さらに、前記両者の間に、請求項1から6のいずれかに記載の放熱シートを有し、これによって前記冷却パネルと一体化しているプラズマディスプレイパネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002244195A JP2004087626A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 放熱シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002244195A JP2004087626A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 放熱シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル |
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ID=32052757
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JP2002244195A Withdrawn JP2004087626A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 放熱シートおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004087626A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100721487B1 (ko) | 2004-09-22 | 2007-05-23 | 주식회사 엘지화학 | 열전도성이 우수한 점착 방열시트 및 그 제조방법 |
-
2002
- 2002-08-23 JP JP2002244195A patent/JP2004087626A/ja not_active Withdrawn
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