JP2004086511A - 電子機器およびポインタ移動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯型電子機器の表示デバイスにおけるポインタ移動を簡便に行う。
【解決手段】慣性センサ50をモバイル型パーソナルコンピュータ10のハウジング53内に搭載する。慣性センサ50は、パソコン10自体の変位を検出し、ポインタのX,Y座標系における移動方向に変換する。慣性センサ50はCPU20によってオン/オフ制御され、ユーザが入力デバイス30の所定のキーを押している間はオン状態、当該キーを離すとオフ状態となる。ユーザは所定のキーを押しながらパソコン10を変位させてポインタを移動させ、さらにキーを離すことにより選択したいオブジェクトの位置まで移動したポインタを停止させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】慣性センサ50をモバイル型パーソナルコンピュータ10のハウジング53内に搭載する。慣性センサ50は、パソコン10自体の変位を検出し、ポインタのX,Y座標系における移動方向に変換する。慣性センサ50はCPU20によってオン/オフ制御され、ユーザが入力デバイス30の所定のキーを押している間はオン状態、当該キーを離すとオフ状態となる。ユーザは所定のキーを押しながらパソコン10を変位させてポインタを移動させ、さらにキーを離すことにより選択したいオブジェクトの位置まで移動したポインタを停止させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器および電子機器の画面におけるポインタ移動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、モバイル型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機等、ユーザが携帯し、ユーザによって操作が行なわれ、操作情報を表示可能なデータ表示機能を有する表示装置を備えた携帯型電子機器が数多く流通している。
【0003】
これらの携帯型電子機器は、それらが本来有する機能に加え、種々の付加機能の搭載が試みられている。例えば、モバイル型パーソナルコンピュータにあっては計算機能、文章作成機能、通信機能に加えて、テレビジョンチューナーを設けて放送電波の取り込み及び表示を行なう機能の付加の試みがなされている。携帯型電話機にあっては通信機能に加えて、配信された音楽情報、映像情報のダウンロード、地図データの取り込みが行なわれ、この情報を表示する機能の付加の試みがなされている(例えば、特開2002−64451号公報、特開2002−41062号公報および特開2001−122039号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
携帯型電子機器にこのような付加機能を搭載した場合、機器が有する操作釦による操作のみでは、種々の付加機能に対応することが煩雑となることが予想される。
【0005】
例えば、ユーザが所望する付加機能を実現するために、テキスト、グラフィックその他のオブジェクトを機器の画面に表示してその中からユーザが所望するオブジェクトを選択するとする。表示されたオブジェクトをスクロールさせ、所望のオブジェクトの位置まで移動するための操作を、携帯型電子機器が有する操作釦による操作のみで実現することは煩雑である。必然的に多数回の釦操作が必要になるからである。
【0006】
より具体的には、モバイル型パーソナルコンピュータにテレビジョンチューナー機能が設けられている場合、画面に各チャンネルを表すオブジェクトを表示するだけでなく、表示されたオブジェクトの中からユーザが所望するものを選択するチャンネル選択、表示画面の明るさ調整、音声調整等、多種多様な操作が要求される。また携帯型電話機にあっても同様に、音楽情報、映像情報あるいは地図データの取り込みのための画面を表示するだけでなく、ユーザが所望する楽曲、映像あるいは地域の選択のための操作が要求される。
【0007】
一方、据置型のテレビジョンモニタのように、画面上にオブジェクトを表示しておき、これをリモートコントローラによってスクロールさせてユーザが所望するオブジェクトを選択可能とすれば簡易な操作となるが、モバイル型コンピュータや携帯型電話機のような携帯型電子機器に新たにリモートコントローラを準備することは得策ではない。
【0008】
特開昭62−143124号公報には、オペレータの頭部に装着するジャイロを利用した変位検出装置が提案されていて、オペレータの頭部の動きによってディスプレイ上の位置表示マークが移動する。しかしこのような装置はオペレータを拘束するため、携帯型電話機のような携帯型電子機器に付属させることは得策ではない。
【0009】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、ポインタ移動が簡便な電子機器およびポインタ移動方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、画面にポインタを表示するポインタ表示手段を含む電子機器において、所定の基準平面に対して変位した機器の姿勢に対応する、画面におけるポインタの移動方向を決定する慣性センサを含み、これによって、前記ポインタ表示手段は、前記移動方向に前記ポインタを移動させる。
【0011】
本発明によれば、基準平面に対して電子機器を変位させると、あたかも水平に保たれていた台の上に置かれていた物が台を変位させたことによって台から滑り落ちるように、画面上をポインタが移動する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による携帯型電子機器の実施例を詳細に説明する。なお、各図面において、本発明に直接関係のない要素は省略し、同様の要素は同一の参照符号によって表示するものとする。信号はそれが現れる信号線の符号によって表示するものとする。
【0013】
図2は本発明による携帯型電子機器の第1の実施例であるモバイル型パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と略称する)を示す。図2に示すように、モバイル型パソコン10の液晶ディスプレイ12Aには、ユーザにより選択されるグラフィックオブジェクトが、一例として碁盤目状に配列されている。これらのうち、ユーザがオブジェクト14を選択する場合、ユーザは、ポインタ16を図2に示す現在の位置からオブジェクト14の位置まで移動させる必要がある。
【0014】
図1は図2に示すモバイル型パソコン10の機能ブロック図である。パソコン10は表示制御部18を含み、これは液晶ディスプレイ12Aおよびバックライト12Bを含む表示デバイス12を制御し、表示デバイス12の表示内容に応じたメッセージをスピーカ19から発する。表示制御部18は液晶ディスプレイ12Aにディスプレイ12A内を移動するポインタ16を表示する。
【0015】
表示制御部18は、ポインタ16の現在の位置をディスプレイ12Aの表示領域における座標値(X0,Y0)として保持するとともに、ポインタ16の移動方向および移動速度をベクトル(X1,Y1)として保持する。移動方向はベクトル(X1,Y1)の方向であり、移動速度はベクトル(X1,Y1)の長さによって決定すればよい。これらの座標値(X0,Y0)およびベクトル(X1,Y1)に基づいて、表示制御部18はディスプレイ12Aの所定の位置にポインタ16を表示する。ただし、ポインタ16が移動するためには少なくとも移動方向が分かっていればよく、ポインタの速度まで可変とする必要はない。したがって、ベクトル(X1,Y1)は長さが一定の、例えば単位ベクトルに正規化してもよい。その場合、ポインタ16は一定の速度で移動させればよい。
【0016】
CPU(Central Processing Unit)20はアンテナ22からの電波を整調・増幅するチューナ・アンプ部24と、通信デバイス26を制御する通信制御部28と、キーパット30Aおよびマウス30Bを含む入力デバイス30を制御する入力制御部32と、LED(Light−Emitting Diode; 発光ダイオード)デバイス34を制御するLED制御部36と、電源デバイス38を制御する電源制御部40とにそれぞれ接続され、各制御部から制御情報を受信し、必要な命令を発する。
【0017】
この他パソコン10にはデータ書き換え可能なメモリ42と、書き換え不能なメモリ44と、慣性センサ50とを備え、これらはCPU20によってアクセス可能に接続されている。
【0018】
図3は図2に示す慣性センサ50の一例であるバーチカルジャイロ(Vertical Gyro)50Aの原理図である。バーチカルジャイロは、例えば、多摩川精機株式会社編「ジャイロ活用技術入門―その原理・機能・応用のポイントを詳述―」工業調査会、2002年1月20日、p.45−47に記載されている。本発明の特徴はバーチカルジャイロ50Aを一例とする慣性センサ50がパソコン10のハウジング53内部に設けられていることであり、慣性センサ50はCPU20および表示制御部18に接続され、CPU20によって機能のオン/オフ制御されるとともに、オン状態において検出した情報をCPU20の制御に基づいて表示制御部18に提供する。慣性センサ50は表示制御部18の保有する、ポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)を検出する装置である。
【0019】
バーチカルジャイロ50Aは、「こま」の力学を利用した慣性センサである。バーチカルジャイロ50Aは、高速回転するジャイロロータ55と、ジャイロロータ55を支える支持枠である内ジンバル57および外ジンバル59と、ジャイロロータ55の回転軸であるスピン軸61の鉛直方向に対する傾きを検出する鉛直検出器63と、鉛直検出器63からの信号73を受信してスピン軸を鉛直方向に修正するトルクモータ65と、各ジンバル57、59に取り付けられ鉛直基準に対する変位を検出する角度検出器67、69とを含む。図3に示すジャイロ50Aは、鉛直検出器63からの信号75を受信しマグネットおよびコイルの組み合わせから成るトルカ71を、スピン軸61を鉛直方向に保つための起立機構として用いるものである。
【0020】
バーチカルジャイロ50Aによれば、鉛直軸を基準として水平面内の2軸まわりの運動変位角、すなわちX軸周りの運動変位角であるピッチ角θp(±90°)と、Y軸周りの運動変位角であるロール角θr(±90°)とを、各検出器67、69からのピッチ角出力信号77およびロール角出力信号79として検出することができる。
【0021】
このようなバーチカルジャイロ50Aを慣性センサ50として用いれば、所定の仮想平面52に対して変位したパソコン10の姿勢に対応する、液晶ディスプレイ12Aにおけるポインタ16の移動方向を決定することができる。本実施例では、図2に示すように、仮想平面52を、パソコン10のハウジング53内に装着された慣性センサ50(図3では図示を省略)の位置を通る水平面としている。ただし仮想平面52は水平面に限られるものではなく、例えば、慣性センサ50の駆動開始時にハウジング53あるいはディスプレイ12Aに実質的に平行な平面として初期設定してもよい。
【0022】
慣性センサ50を、例えば姿勢ジャイロの一種であるバーチカルジャイロ50Aとした場合、図2に示すX軸、Y軸が設定された仮想平面52に対してパソコン10が変位すると、その変位をX軸周りの運動変位角であるピッチ角θp(±90°)およびY軸周りの運動変位角であるロール角θr(±90°)によって特定することができる。例えば運動変位角の正弦(sinθr,sinθp)をポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)とすることができる。
【0023】
ベクトル(X1,Y1)の決定方法は必ずしも上述の正弦を用いた方法に限られない。運動変位角θr、θp相互間の大小関係を保つことのできるあらゆる変換方法によってベクトル(X1,Y1)を決定してよい。例えばピッチ角θpおよびロール角θrから成るベクトル(θr,θp)をそのままベクトル(X1,Y1)としてもよい。
【0024】
このように運動変位角θr、θpに基づいて決定された、ポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)は、表示制御部18によって取得され、表示制御部18は、ベクトル(X1,Y1)によって特定される移動方向にポインタ16を移動させる。また表示制御部18は、運動変位角の大きさに対応した移動速度でポインタ16を移動させてもよく、その場合、ポインタ16の移動速度はベクトル(X1,Y1)の長さによって決定すればよい。
【0025】
以上のような慣性センサ50によれば、パソコン10を変位させると、あたかも水平に保たれていた台の上に置かれていた物が台を変位させたことによって台から滑り落ちるように、ポインタ16が移動する。なお画面内に選択すべきオブジェクトが入りきらず、画面をスクロールしなければ表示されないオブジェクトを選択する場合であっても、ポインタ16の移動に伴って当該移動方向に自動的に画面をスクロールさせることができることは言うまでもない。
【0026】
慣性センサ50は、キーパット30Aの所定のキーを押している間のみ運動変位角を検出するように設定するとよい。この場合、所定のキーが押されたことを検知したCPU20は、慣性センサ50の駆動をオン/オフするスイッチング手段として機能する。これによれば、ポインタ16は、所定のキーが押されている間のみ移動可能となるから、ユーザが当該所定のキーを押しながらパソコン10を変位させた場合のみ、検出された運動変位角に基づきポインタ16が移動する。そしてユーザがキーを離すことにより、所望の位置にポインタ16を停止させることができる。なおスイッチング手段としてキーを用いるのは一例にすぎず、他の手段によって慣性センサ50の駆動をスイッチングしてもよいことは言うまでもない。
【0027】
このようなジャイロを用いてポインタ位置を移動させる技術は、例えば、米国特許第5,898,421号明細書にも記載されている。米国特許第5,898,421号明細書は、装置のディスプレイに表示されたポインタ位置を、装置とは別個に設けた、ジャイロなどの慣性センサを用いたコントローラの運動に対応して動かすようにしたものである。しかし米国特許第5,898,421号明細書と異なり、本発明が特徴とするのは、慣性センサを電子機器のハウジング内部に装填したことである。本発明によれば、とりわけ、携帯型の電子機器に本発明を適用した場合、米国特許第5,898,421号明細書のような別個のコントローラを設けるまでもなく、変位させることが容易な携帯型電子機器のハウジングを変位させることによって、ユーザが所望する位置までポインタを移動させることができる。
【0028】
本実施例では慣性センサとしてバーチカルジャイロを利用したが、慣性センサにはジャイロ以外にも傾斜計、加速度計など様々な種類、駆動方式のものがあり、ジャイロ自体も、「こま」の力学を利用したものの他、コリオリの力やサニャック効果を原理としたものなど、様々な種類、駆動方式に分類される。したがって、本発明において最低限必要とされるポインタの移動方向を検出することのできるものであれば、あらゆる種類、原理、駆動方式の慣性センサを用いてよい。
【0029】
図4は慣性センサ50の他の一例である熱加速度計50Bの平面図である。この熱加速度計50Bは、例えば米国特許第6,182,509号明細書に記載されている。熱加速度計50Bは、微細加工技術によって、3mm四方程度の半導体チップサイズのシリコン基板54にエッチング処理によって空洞56を形成し、空洞56の上に構造体58を張り渡して構成する。この張り渡された構造体58の中央には小さな加熱器60がある。そして加熱器60から四方にそれぞれ等しい距離に、4つの温度センサ62、64、66および68が配置される。
【0030】
図5は熱加速度計50Bの側断面図である。図5に示すように、構造体58の上にはドーム型のキャノピー70が被せてあり、その中にガスが封入されている。熱加速度計50Bが水平状態に保たれている場合、すなわちパソコン10が仮想平面52に対して変位していない場合には、熱加速度計50Bの中央には、中央の加熱器60によって温められたホットガス72Hが滞留し、その周囲を、ホットガス72Hより比重の大きいコールドガス72Cが取り巻く。したがって、熱加速度計50Bの温度分布は図6の実線74に示すように左右対称となり、中央の加熱器60からの距離が大きくなるに従って温度が低下する。図6に示す温度分布は、4つの温度センサ62、64、66および68によって検出される温度が等しくなることによって知ることができる。
【0031】
図7は熱加速度計50Bに重力による加速度がかかった場合の側断面図である。パソコン10が仮想平面52に対して変位することにより、図7の熱加速度計50Bの左端は右端より低い位置になっている。これにより、図7の右から左へ向かう方向に重力による加速度がかかる。すると、比重の小さいホットガス72Hは右方向に移動する。その結果、図8に示すように、実線74で示していた重力による加速度がかかっていない平衡状態での温度分布から、点線76で示すものに、温度分布が変化する。かかる加速度のうち、X軸方向に加えられる加速度成分は、センサ62、66が感知する温度変化として検出され、同様に、Y軸方向に加えられる加速度成分は、センサ68、64によって検出される。これにより、パソコン10がいかなる姿勢に変位したかを知ることができ、ポインタ16の移動すべき方向が決定される。
【0032】
図9は本発明による携帯型電子機器の第2の実施例である携帯型電話機を示す。図2に示したパソコン10について説明したのと同様に、図9に示す携帯型電話機80においても、ユーザは液晶ディスプレイ82におけるオブジェクト84を選択するためポインタ86を図9に示す現在の位置からオブジェクト84の位置まで移動させる必要があり、当該移動のために慣性センサ50を利用する。
【0033】
図10は図9に示す携帯型電話機の機能ブロック図である。送受共用アンテナ90から到来する電波は、高周波回路92により送受分波処理され、さらにベースバンド処理部94により中間周波で増幅されてベースバンド信号になる。そして信号処理部96において音声コーデック96Aによりアナログ音声信号となり、スピーカ98に出力される。マイク100からのアナログ音声信号は上述と逆の経路をたどってアンテナ90から送信される。信号処理部96には伸長回路96Bも含まれていて、音声をヘッドフォン102から出力することもできる。
【0034】
MPU(Micro Processing Unit)104は、ディスプレイ82を制御する。MPU104は、図1における表示制御部18と同様の機能を果たす。すなわち、ポインタ86の現在の位置をディスプレイ82の表示領域における座標値(X0,Y0)として保持するとともに、ポインタ86の移動方向および移動速度をベクトル(X1,Y1)として保持する。
【0035】
MPU104はベースバンド処理部94の他、キーパット106と、ファイルストレージ用フラッシュメモリ108と、データ書き換え可能なメモリ110とをそれぞれ制御し、書き換え不能なメモリ112を内部に含んでいる。
【0036】
図1について説明したのと同様の慣性センサ50は、MPU104によって機能のオン/オフ制御されるとともに、オン状態において検出した情報をMPU104に与える。これにより、ディスプレイ82に表示されるポインタ86の位置が決定される。
【0037】
なお図2に示す、慣性センサ50の搭載位置を通る水平面として設定された仮想平面52と異なり、図9に示す仮想平面114は、携帯型電話機80のディスプレイ82の中央を通る水平面に設定されている。パソコン10の場合、通常の使用状態では、慣性センサ50を内部に含むハウジング53が水平に保たれているのに対し、パソコン10より軽量な携帯型電話機80においては、必ずしもキーパット106を水平にして使用しないからである。仮想平面52と同様に、仮想平面114は、図9に示す水平面に限らず、携帯型電子機器の種類に応じて自由に初期設定してよい。
【0038】
以上の本発明による携帯型電子機器の第1および第2の実施例の構成によれば、ユーザは仮想平面52、114に対して電子機器10、80自体を変位させることにより、変位させた機器10、80の姿勢に対応する、ディスプレイ12A、82におけるポインタ16、86の移動方向を慣性センサ50を用いて決定し、表示制御部18またはMPU104によって、当該移動方向にポインタ16、86を移動させることができる。そして所望の位置へ移動したポインタ16、86により、オブジェクトを選択することができる。
【0039】
また第1および第2の実施例の構成によれば、第1に慣性センサ50の駆動をオン/オフ制御する所定のキーを押してオンにし、第2に当該キーを押している間に機器10、80を変位させてポインタ16、86の移動を行い、第3に当該キーを離して慣性センサ50の駆動をオフにすることにより、ポインタ16、86の移動を停止させることができる。これにより、ポインタ16、86を移動させる意図なく機器10、80を変位させた場合に生ずる、意に添わないポインタ16、86の動きを制限できる。
【0040】
以上、本発明による携帯型電子機器をモバイル型パソコンおよび携帯型電話機を実施例として説明した。携帯型電子機器は、無論、これらの実施例に限られるものではなく、ディスプレイ上のオブジェクトをポインタの移動によって選択して操作を行うあらゆる機器に本発明は適用可能である。
【0041】
また、本願では平面座標におけるポインタの位置を移動させるために慣性センサを使用しているが、慣性センサを用いれば、空間座標におけるポインタの位置を移動させることも容易である。例えば3次元CAD(Computer Aided Design)や3次元コンピュータグラフィックス作成ソフトウェアにおいて空間座標におけるポインタの位置を指定することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
このように本発明によれば、電子機器の画面にテキストあるいはグラフィックデータなどのオブジェクトを表示させた状態で、ポインタを移動させ、場合によってはさらにオブジェクトをスクロールさせて、ユーザが所望するオブジェクトを選択する操作を、電子機器のハウジングそのものを変位させることによって行なうことができる。とりわけ、携帯型電子機器はユーザが保持した状態にて操作が行なわれものであるから、このような機器そのものを変位させることは容易であり、別個のポインティングデバイスを必要としない点でも、携帯型電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による携帯型電子機器の第1の実施例であるモバイル型パソコンの機能ブロック図である。
【図2】図1に示すモバイル型パソコンの外観図である。
【図3】図1または図10に示す慣性センサの一例であるバーチカルジャイロの原理図である。
【図4】図1または図10に示す慣性センサの他の一例である熱加速度計の平面図である。
【図5】図4に示す熱加速度計の側断面図である。
【図6】図5に示す熱加速度計の温度分布図である。
【図7】図4に示す熱加速度計に重力による加速度がかかった場合の側断面図である。
【図8】図7に示す熱加速度計の温度分布図である。
【図9】本発明による携帯型電子機器の第2の実施例である携帯型電話機の外観図である。
【図10】図9に示す携帯型電子機器の機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 モバイル型パソコン
16、86 ポインタ
50 慣性センサ
50A バーチカルジャイロ
50B 熱加速度計
80 携帯型電話機
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器および電子機器の画面におけるポインタ移動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、モバイル型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機等、ユーザが携帯し、ユーザによって操作が行なわれ、操作情報を表示可能なデータ表示機能を有する表示装置を備えた携帯型電子機器が数多く流通している。
【0003】
これらの携帯型電子機器は、それらが本来有する機能に加え、種々の付加機能の搭載が試みられている。例えば、モバイル型パーソナルコンピュータにあっては計算機能、文章作成機能、通信機能に加えて、テレビジョンチューナーを設けて放送電波の取り込み及び表示を行なう機能の付加の試みがなされている。携帯型電話機にあっては通信機能に加えて、配信された音楽情報、映像情報のダウンロード、地図データの取り込みが行なわれ、この情報を表示する機能の付加の試みがなされている(例えば、特開2002−64451号公報、特開2002−41062号公報および特開2001−122039号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
携帯型電子機器にこのような付加機能を搭載した場合、機器が有する操作釦による操作のみでは、種々の付加機能に対応することが煩雑となることが予想される。
【0005】
例えば、ユーザが所望する付加機能を実現するために、テキスト、グラフィックその他のオブジェクトを機器の画面に表示してその中からユーザが所望するオブジェクトを選択するとする。表示されたオブジェクトをスクロールさせ、所望のオブジェクトの位置まで移動するための操作を、携帯型電子機器が有する操作釦による操作のみで実現することは煩雑である。必然的に多数回の釦操作が必要になるからである。
【0006】
より具体的には、モバイル型パーソナルコンピュータにテレビジョンチューナー機能が設けられている場合、画面に各チャンネルを表すオブジェクトを表示するだけでなく、表示されたオブジェクトの中からユーザが所望するものを選択するチャンネル選択、表示画面の明るさ調整、音声調整等、多種多様な操作が要求される。また携帯型電話機にあっても同様に、音楽情報、映像情報あるいは地図データの取り込みのための画面を表示するだけでなく、ユーザが所望する楽曲、映像あるいは地域の選択のための操作が要求される。
【0007】
一方、据置型のテレビジョンモニタのように、画面上にオブジェクトを表示しておき、これをリモートコントローラによってスクロールさせてユーザが所望するオブジェクトを選択可能とすれば簡易な操作となるが、モバイル型コンピュータや携帯型電話機のような携帯型電子機器に新たにリモートコントローラを準備することは得策ではない。
【0008】
特開昭62−143124号公報には、オペレータの頭部に装着するジャイロを利用した変位検出装置が提案されていて、オペレータの頭部の動きによってディスプレイ上の位置表示マークが移動する。しかしこのような装置はオペレータを拘束するため、携帯型電話機のような携帯型電子機器に付属させることは得策ではない。
【0009】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、ポインタ移動が簡便な電子機器およびポインタ移動方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、画面にポインタを表示するポインタ表示手段を含む電子機器において、所定の基準平面に対して変位した機器の姿勢に対応する、画面におけるポインタの移動方向を決定する慣性センサを含み、これによって、前記ポインタ表示手段は、前記移動方向に前記ポインタを移動させる。
【0011】
本発明によれば、基準平面に対して電子機器を変位させると、あたかも水平に保たれていた台の上に置かれていた物が台を変位させたことによって台から滑り落ちるように、画面上をポインタが移動する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による携帯型電子機器の実施例を詳細に説明する。なお、各図面において、本発明に直接関係のない要素は省略し、同様の要素は同一の参照符号によって表示するものとする。信号はそれが現れる信号線の符号によって表示するものとする。
【0013】
図2は本発明による携帯型電子機器の第1の実施例であるモバイル型パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と略称する)を示す。図2に示すように、モバイル型パソコン10の液晶ディスプレイ12Aには、ユーザにより選択されるグラフィックオブジェクトが、一例として碁盤目状に配列されている。これらのうち、ユーザがオブジェクト14を選択する場合、ユーザは、ポインタ16を図2に示す現在の位置からオブジェクト14の位置まで移動させる必要がある。
【0014】
図1は図2に示すモバイル型パソコン10の機能ブロック図である。パソコン10は表示制御部18を含み、これは液晶ディスプレイ12Aおよびバックライト12Bを含む表示デバイス12を制御し、表示デバイス12の表示内容に応じたメッセージをスピーカ19から発する。表示制御部18は液晶ディスプレイ12Aにディスプレイ12A内を移動するポインタ16を表示する。
【0015】
表示制御部18は、ポインタ16の現在の位置をディスプレイ12Aの表示領域における座標値(X0,Y0)として保持するとともに、ポインタ16の移動方向および移動速度をベクトル(X1,Y1)として保持する。移動方向はベクトル(X1,Y1)の方向であり、移動速度はベクトル(X1,Y1)の長さによって決定すればよい。これらの座標値(X0,Y0)およびベクトル(X1,Y1)に基づいて、表示制御部18はディスプレイ12Aの所定の位置にポインタ16を表示する。ただし、ポインタ16が移動するためには少なくとも移動方向が分かっていればよく、ポインタの速度まで可変とする必要はない。したがって、ベクトル(X1,Y1)は長さが一定の、例えば単位ベクトルに正規化してもよい。その場合、ポインタ16は一定の速度で移動させればよい。
【0016】
CPU(Central Processing Unit)20はアンテナ22からの電波を整調・増幅するチューナ・アンプ部24と、通信デバイス26を制御する通信制御部28と、キーパット30Aおよびマウス30Bを含む入力デバイス30を制御する入力制御部32と、LED(Light−Emitting Diode; 発光ダイオード)デバイス34を制御するLED制御部36と、電源デバイス38を制御する電源制御部40とにそれぞれ接続され、各制御部から制御情報を受信し、必要な命令を発する。
【0017】
この他パソコン10にはデータ書き換え可能なメモリ42と、書き換え不能なメモリ44と、慣性センサ50とを備え、これらはCPU20によってアクセス可能に接続されている。
【0018】
図3は図2に示す慣性センサ50の一例であるバーチカルジャイロ(Vertical Gyro)50Aの原理図である。バーチカルジャイロは、例えば、多摩川精機株式会社編「ジャイロ活用技術入門―その原理・機能・応用のポイントを詳述―」工業調査会、2002年1月20日、p.45−47に記載されている。本発明の特徴はバーチカルジャイロ50Aを一例とする慣性センサ50がパソコン10のハウジング53内部に設けられていることであり、慣性センサ50はCPU20および表示制御部18に接続され、CPU20によって機能のオン/オフ制御されるとともに、オン状態において検出した情報をCPU20の制御に基づいて表示制御部18に提供する。慣性センサ50は表示制御部18の保有する、ポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)を検出する装置である。
【0019】
バーチカルジャイロ50Aは、「こま」の力学を利用した慣性センサである。バーチカルジャイロ50Aは、高速回転するジャイロロータ55と、ジャイロロータ55を支える支持枠である内ジンバル57および外ジンバル59と、ジャイロロータ55の回転軸であるスピン軸61の鉛直方向に対する傾きを検出する鉛直検出器63と、鉛直検出器63からの信号73を受信してスピン軸を鉛直方向に修正するトルクモータ65と、各ジンバル57、59に取り付けられ鉛直基準に対する変位を検出する角度検出器67、69とを含む。図3に示すジャイロ50Aは、鉛直検出器63からの信号75を受信しマグネットおよびコイルの組み合わせから成るトルカ71を、スピン軸61を鉛直方向に保つための起立機構として用いるものである。
【0020】
バーチカルジャイロ50Aによれば、鉛直軸を基準として水平面内の2軸まわりの運動変位角、すなわちX軸周りの運動変位角であるピッチ角θp(±90°)と、Y軸周りの運動変位角であるロール角θr(±90°)とを、各検出器67、69からのピッチ角出力信号77およびロール角出力信号79として検出することができる。
【0021】
このようなバーチカルジャイロ50Aを慣性センサ50として用いれば、所定の仮想平面52に対して変位したパソコン10の姿勢に対応する、液晶ディスプレイ12Aにおけるポインタ16の移動方向を決定することができる。本実施例では、図2に示すように、仮想平面52を、パソコン10のハウジング53内に装着された慣性センサ50(図3では図示を省略)の位置を通る水平面としている。ただし仮想平面52は水平面に限られるものではなく、例えば、慣性センサ50の駆動開始時にハウジング53あるいはディスプレイ12Aに実質的に平行な平面として初期設定してもよい。
【0022】
慣性センサ50を、例えば姿勢ジャイロの一種であるバーチカルジャイロ50Aとした場合、図2に示すX軸、Y軸が設定された仮想平面52に対してパソコン10が変位すると、その変位をX軸周りの運動変位角であるピッチ角θp(±90°)およびY軸周りの運動変位角であるロール角θr(±90°)によって特定することができる。例えば運動変位角の正弦(sinθr,sinθp)をポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)とすることができる。
【0023】
ベクトル(X1,Y1)の決定方法は必ずしも上述の正弦を用いた方法に限られない。運動変位角θr、θp相互間の大小関係を保つことのできるあらゆる変換方法によってベクトル(X1,Y1)を決定してよい。例えばピッチ角θpおよびロール角θrから成るベクトル(θr,θp)をそのままベクトル(X1,Y1)としてもよい。
【0024】
このように運動変位角θr、θpに基づいて決定された、ポインタ16の移動方向を示すベクトル(X1,Y1)は、表示制御部18によって取得され、表示制御部18は、ベクトル(X1,Y1)によって特定される移動方向にポインタ16を移動させる。また表示制御部18は、運動変位角の大きさに対応した移動速度でポインタ16を移動させてもよく、その場合、ポインタ16の移動速度はベクトル(X1,Y1)の長さによって決定すればよい。
【0025】
以上のような慣性センサ50によれば、パソコン10を変位させると、あたかも水平に保たれていた台の上に置かれていた物が台を変位させたことによって台から滑り落ちるように、ポインタ16が移動する。なお画面内に選択すべきオブジェクトが入りきらず、画面をスクロールしなければ表示されないオブジェクトを選択する場合であっても、ポインタ16の移動に伴って当該移動方向に自動的に画面をスクロールさせることができることは言うまでもない。
【0026】
慣性センサ50は、キーパット30Aの所定のキーを押している間のみ運動変位角を検出するように設定するとよい。この場合、所定のキーが押されたことを検知したCPU20は、慣性センサ50の駆動をオン/オフするスイッチング手段として機能する。これによれば、ポインタ16は、所定のキーが押されている間のみ移動可能となるから、ユーザが当該所定のキーを押しながらパソコン10を変位させた場合のみ、検出された運動変位角に基づきポインタ16が移動する。そしてユーザがキーを離すことにより、所望の位置にポインタ16を停止させることができる。なおスイッチング手段としてキーを用いるのは一例にすぎず、他の手段によって慣性センサ50の駆動をスイッチングしてもよいことは言うまでもない。
【0027】
このようなジャイロを用いてポインタ位置を移動させる技術は、例えば、米国特許第5,898,421号明細書にも記載されている。米国特許第5,898,421号明細書は、装置のディスプレイに表示されたポインタ位置を、装置とは別個に設けた、ジャイロなどの慣性センサを用いたコントローラの運動に対応して動かすようにしたものである。しかし米国特許第5,898,421号明細書と異なり、本発明が特徴とするのは、慣性センサを電子機器のハウジング内部に装填したことである。本発明によれば、とりわけ、携帯型の電子機器に本発明を適用した場合、米国特許第5,898,421号明細書のような別個のコントローラを設けるまでもなく、変位させることが容易な携帯型電子機器のハウジングを変位させることによって、ユーザが所望する位置までポインタを移動させることができる。
【0028】
本実施例では慣性センサとしてバーチカルジャイロを利用したが、慣性センサにはジャイロ以外にも傾斜計、加速度計など様々な種類、駆動方式のものがあり、ジャイロ自体も、「こま」の力学を利用したものの他、コリオリの力やサニャック効果を原理としたものなど、様々な種類、駆動方式に分類される。したがって、本発明において最低限必要とされるポインタの移動方向を検出することのできるものであれば、あらゆる種類、原理、駆動方式の慣性センサを用いてよい。
【0029】
図4は慣性センサ50の他の一例である熱加速度計50Bの平面図である。この熱加速度計50Bは、例えば米国特許第6,182,509号明細書に記載されている。熱加速度計50Bは、微細加工技術によって、3mm四方程度の半導体チップサイズのシリコン基板54にエッチング処理によって空洞56を形成し、空洞56の上に構造体58を張り渡して構成する。この張り渡された構造体58の中央には小さな加熱器60がある。そして加熱器60から四方にそれぞれ等しい距離に、4つの温度センサ62、64、66および68が配置される。
【0030】
図5は熱加速度計50Bの側断面図である。図5に示すように、構造体58の上にはドーム型のキャノピー70が被せてあり、その中にガスが封入されている。熱加速度計50Bが水平状態に保たれている場合、すなわちパソコン10が仮想平面52に対して変位していない場合には、熱加速度計50Bの中央には、中央の加熱器60によって温められたホットガス72Hが滞留し、その周囲を、ホットガス72Hより比重の大きいコールドガス72Cが取り巻く。したがって、熱加速度計50Bの温度分布は図6の実線74に示すように左右対称となり、中央の加熱器60からの距離が大きくなるに従って温度が低下する。図6に示す温度分布は、4つの温度センサ62、64、66および68によって検出される温度が等しくなることによって知ることができる。
【0031】
図7は熱加速度計50Bに重力による加速度がかかった場合の側断面図である。パソコン10が仮想平面52に対して変位することにより、図7の熱加速度計50Bの左端は右端より低い位置になっている。これにより、図7の右から左へ向かう方向に重力による加速度がかかる。すると、比重の小さいホットガス72Hは右方向に移動する。その結果、図8に示すように、実線74で示していた重力による加速度がかかっていない平衡状態での温度分布から、点線76で示すものに、温度分布が変化する。かかる加速度のうち、X軸方向に加えられる加速度成分は、センサ62、66が感知する温度変化として検出され、同様に、Y軸方向に加えられる加速度成分は、センサ68、64によって検出される。これにより、パソコン10がいかなる姿勢に変位したかを知ることができ、ポインタ16の移動すべき方向が決定される。
【0032】
図9は本発明による携帯型電子機器の第2の実施例である携帯型電話機を示す。図2に示したパソコン10について説明したのと同様に、図9に示す携帯型電話機80においても、ユーザは液晶ディスプレイ82におけるオブジェクト84を選択するためポインタ86を図9に示す現在の位置からオブジェクト84の位置まで移動させる必要があり、当該移動のために慣性センサ50を利用する。
【0033】
図10は図9に示す携帯型電話機の機能ブロック図である。送受共用アンテナ90から到来する電波は、高周波回路92により送受分波処理され、さらにベースバンド処理部94により中間周波で増幅されてベースバンド信号になる。そして信号処理部96において音声コーデック96Aによりアナログ音声信号となり、スピーカ98に出力される。マイク100からのアナログ音声信号は上述と逆の経路をたどってアンテナ90から送信される。信号処理部96には伸長回路96Bも含まれていて、音声をヘッドフォン102から出力することもできる。
【0034】
MPU(Micro Processing Unit)104は、ディスプレイ82を制御する。MPU104は、図1における表示制御部18と同様の機能を果たす。すなわち、ポインタ86の現在の位置をディスプレイ82の表示領域における座標値(X0,Y0)として保持するとともに、ポインタ86の移動方向および移動速度をベクトル(X1,Y1)として保持する。
【0035】
MPU104はベースバンド処理部94の他、キーパット106と、ファイルストレージ用フラッシュメモリ108と、データ書き換え可能なメモリ110とをそれぞれ制御し、書き換え不能なメモリ112を内部に含んでいる。
【0036】
図1について説明したのと同様の慣性センサ50は、MPU104によって機能のオン/オフ制御されるとともに、オン状態において検出した情報をMPU104に与える。これにより、ディスプレイ82に表示されるポインタ86の位置が決定される。
【0037】
なお図2に示す、慣性センサ50の搭載位置を通る水平面として設定された仮想平面52と異なり、図9に示す仮想平面114は、携帯型電話機80のディスプレイ82の中央を通る水平面に設定されている。パソコン10の場合、通常の使用状態では、慣性センサ50を内部に含むハウジング53が水平に保たれているのに対し、パソコン10より軽量な携帯型電話機80においては、必ずしもキーパット106を水平にして使用しないからである。仮想平面52と同様に、仮想平面114は、図9に示す水平面に限らず、携帯型電子機器の種類に応じて自由に初期設定してよい。
【0038】
以上の本発明による携帯型電子機器の第1および第2の実施例の構成によれば、ユーザは仮想平面52、114に対して電子機器10、80自体を変位させることにより、変位させた機器10、80の姿勢に対応する、ディスプレイ12A、82におけるポインタ16、86の移動方向を慣性センサ50を用いて決定し、表示制御部18またはMPU104によって、当該移動方向にポインタ16、86を移動させることができる。そして所望の位置へ移動したポインタ16、86により、オブジェクトを選択することができる。
【0039】
また第1および第2の実施例の構成によれば、第1に慣性センサ50の駆動をオン/オフ制御する所定のキーを押してオンにし、第2に当該キーを押している間に機器10、80を変位させてポインタ16、86の移動を行い、第3に当該キーを離して慣性センサ50の駆動をオフにすることにより、ポインタ16、86の移動を停止させることができる。これにより、ポインタ16、86を移動させる意図なく機器10、80を変位させた場合に生ずる、意に添わないポインタ16、86の動きを制限できる。
【0040】
以上、本発明による携帯型電子機器をモバイル型パソコンおよび携帯型電話機を実施例として説明した。携帯型電子機器は、無論、これらの実施例に限られるものではなく、ディスプレイ上のオブジェクトをポインタの移動によって選択して操作を行うあらゆる機器に本発明は適用可能である。
【0041】
また、本願では平面座標におけるポインタの位置を移動させるために慣性センサを使用しているが、慣性センサを用いれば、空間座標におけるポインタの位置を移動させることも容易である。例えば3次元CAD(Computer Aided Design)や3次元コンピュータグラフィックス作成ソフトウェアにおいて空間座標におけるポインタの位置を指定することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
このように本発明によれば、電子機器の画面にテキストあるいはグラフィックデータなどのオブジェクトを表示させた状態で、ポインタを移動させ、場合によってはさらにオブジェクトをスクロールさせて、ユーザが所望するオブジェクトを選択する操作を、電子機器のハウジングそのものを変位させることによって行なうことができる。とりわけ、携帯型電子機器はユーザが保持した状態にて操作が行なわれものであるから、このような機器そのものを変位させることは容易であり、別個のポインティングデバイスを必要としない点でも、携帯型電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による携帯型電子機器の第1の実施例であるモバイル型パソコンの機能ブロック図である。
【図2】図1に示すモバイル型パソコンの外観図である。
【図3】図1または図10に示す慣性センサの一例であるバーチカルジャイロの原理図である。
【図4】図1または図10に示す慣性センサの他の一例である熱加速度計の平面図である。
【図5】図4に示す熱加速度計の側断面図である。
【図6】図5に示す熱加速度計の温度分布図である。
【図7】図4に示す熱加速度計に重力による加速度がかかった場合の側断面図である。
【図8】図7に示す熱加速度計の温度分布図である。
【図9】本発明による携帯型電子機器の第2の実施例である携帯型電話機の外観図である。
【図10】図9に示す携帯型電子機器の機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 モバイル型パソコン
16、86 ポインタ
50 慣性センサ
50A バーチカルジャイロ
50B 熱加速度計
80 携帯型電話機
Claims (6)
- 画面にポインタを表示するポインタ表示手段を含む電子機器において、該機器は、
所定の基準平面に対して変位した該機器の姿勢に対応する、前記画面におけるポインタの移動方向を決定する慣性センサを含み、
これによって、前記ポインタ表示手段は、前記移動方向に前記ポインタを移動させることを特徴とする電子機器。 - 請求項1に記載の機器において、前記慣性センサは、該機器の前記基準平面内の2軸まわりの運動変位角を検出し、該運動変位角に基づいて前記ポインタの移動方向を決定することを特徴とする電子機器。
- 請求項2に記載の機器において、前記ポインタ表示手段は、前記運動変位角の大きさに対応した移動速度で前記ポインタを移動させることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の機器において、該機器はさらに、前記慣性センサの駆動をオン/オフするスイッチング手段を含み、
これによって、前記ポインタは、該スイッチング手段がオンにされている間のみ移動可能であることを特徴とする電子機器。 - 電子機器の画面にポインタ表示手段によって表示されるポインタを移動させるポインタ移動方法において、
所定の基準平面に対して前記機器を変位させる工程と、
該変位させた前記機器の姿勢に対応する、前記画面におけるポインタの移動方向を慣性センサを用いて決定する工程と、
前記ポインタ表示手段によって、前記移動方向に前記ポインタを移動させる工程とを含むことを特徴とするポインタ移動方法。 - 請求項5に記載の方法において、該方法はさらに、
前記慣性センサの駆動をオン/オフするスイッチング手段をオンにする工程と、
該スイッチング手段をオフにする工程とを含み、
これによって、該スイッチング手段がオンにされている間のみ前記ポインタを移動させることを特徴とするポインタ移動方法。
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