JP2004086195A - ロッドレンズおよびこれを用いたロッドレンズアレイ並びにロッドレンズプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な出射光量を有しながら、共役長が短く光学系のコンパクト化が容易であり、また、カラー特性の良好なロッドレンズを提供する。
【解決手段】中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッドレンズであって、中心軸に垂直な断面において、半径rが0.04mm以上0.2mm以下であり、少なくとも中心軸から0.3rと0.7rとの間の範囲における屈折率分布が、式(1)で規定される2次曲線で近似される分布を有するロッドレンズ。
【選択図】 なし
【解決手段】中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッドレンズであって、中心軸に垂直な断面において、半径rが0.04mm以上0.2mm以下であり、少なくとも中心軸から0.3rと0.7rとの間の範囲における屈折率分布が、式(1)で規定される2次曲線で近似される分布を有するロッドレンズ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光集束性棒状レンズ、光センサー等の光伝送路として利用できるロッドレンズおよびこれを用いたロッドレンズアレイ、ロッドレンズプレート、イメージセンサ、指紋認証装置、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、プリンタ並びに表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロッドレンズは、一般的に、その両端面が中心軸に垂直な平行平面になるように鏡面研磨され、単体で微小レンズとして使用されている。また、多数ロッドレンズを配列して接着一体化したロッドレンズアレイの形態で、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等におけるイメージセンサ用の部品として、またLEDプリンタ等の書き込みデバイス等として広く用いられている。なかでも、プラスチック製のロッドレンズは低コスト等の理由から広い用途で使用されてきている。
【0003】
例えば、薄型のフラットベッドスキャナや小型のハンドスキャナ等においては、スキャナ本体のサイズが小さいことが要求されるので、開口角が比較的大きく、10mm前後の共役長を有するロッドレンズアレイが用いられることが多い。しかし、このようなスキャナを高解像度のカラー画像の伝送用途に適用した場合は、ロッドレンズアレイの色収差により、読み取り画像の色のにじみが発生する場合がある。
【0004】
また、特開2001−27713号公報(特許文献1)においては、光学系をコンパクトにするため、ロッドレンズを細径化することが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されているロッドレンズは、レンズ径(2r)が0.35mm、屈折率分布定数(g)が0.865mm−1、共役長(Tc)が10.4mmのものであり、共役長が長く、光学系を十分にコンパクトにすることができなかった。また、g・rは0.151であり、ロッドレンズとしての出射光量も小さかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−27713号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、十分な出射光量を有しながら、共役長が短く光学系のコンパクト化が容易であるとともに、カラー特性の良好なロッドレンズ、これをロッドレンズアレイおよびロッドレンズプレート、並びにこれらを用いたイメージセンサ、指紋認証装置、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、プリンタ、表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のロッドレンズは、中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッドレンズであって、
中心軸に垂直な断面において、半径rが0.04mm以上0.2mm以下であり、少なくとも中心軸から0.3rと0.7rとの間の範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線で近似される分布を有しており、
【数2】
(式中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率であり、Lはロッドレンズの中心軸からの距離であり、gはロッドレンズの屈折率分布定数であり、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率である。)
前記式(1)で示される屈折率分布定数gは、525nmの波長において、1.2mm−1≦g≦6.6mm−1および0.2<g・r≦0.3を満たすことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のロッドレンズアレイは、上記のようなロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように1列以上に配列してなることを特徴とする。また、本発明のロッドレンズプレートは、上記のようなロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2次元に俵積み状に配列してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のイメージセンサは、上記のようなロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。また、本発明の指紋認証装置は、上記のようなロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。また、本発明の携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータは、上記のようなイメージセンサまたは指紋認証装置を内蔵したことを特徴とする。また、本発明のプリンタは、上記のようなロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。さらに、本発明の表示装置は、上記のようなロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のロッドレンズは、円柱形状を有し、中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少しており、その屈折率分布が中心軸に垂直な断面において、半径rとしたとき、少なくとも中心軸から外周部に向かう0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線分布に近似される。
【0011】
【数3】
なお、式中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率(中心屈折率)であり、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)であり、gはロッドレンズの屈折率分布定数であり、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率である。
【0012】
本発明のロッドレンズは、プラスチックから構成することにより、材料を幅広く選択することができ、ロッドレンズの中心屈折率n0を広範囲に設定することができる。本発明においては、中心屈折率n0は1.4≦n0≦1.6とすることが好ましい。
【0013】
本発明のロッドレンズは、半径(r)を0.04mm以上0.2mm以下とすることが必要である。これは、半径(r)を0.2mm以下とすることにより、屈折率分布定数(g)を大きくして共役長を短くすることができ、光学系をコンパクト化できるためである。また、半径(r)を0.2mm以下とすることにより共役長を短くすることができ、波長470nmと630nmにおける共役長の差が小さくなり、カラーイメージセンサ等のカラー画像を伝送する用途に用いる場合の結像特性(カラー特性)が向上する。一方、半径(r)を0.04mm以上とすることにより、ロッドレンズアレイを作製する際の加工や取り扱いを容易に行うことができるとともに、イメージセンサ等を作製する際に光源や受光センサーとの中心ズレが起きにくくなり、生産管理を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明のロッドレンズは、光学系のコンパクト化とロッドレンズの取り扱い性を両立させる点から、屈折率分布定数(g)は、525nmの波長において1.2mm−1≦g≦6.6mm−1とすることが必要である。これは、屈折率分布定数(g)が6.6mm−1より大きいと、ロッドレンズの1周期長が小さくなり、レンズ長が短くなり過ぎ、ロッドレンズアレイを作製する際にロッドレンズの取り扱い性が悪くなる傾向にあるためである。また、屈折率分布定数(g)が1.2mm−1より小さいと、ロッドレンズの1周期長が大きくなり、共役長(Tc)が大きくなり過ぎ、光学系のコンパクト化が困難となる傾向にある。
【0015】
また、本発明のロッドレンズは、屈折率分布定数(g)と半径(r)の積(g・r)を0.2<g・r≦0.3とすることが必要である。g・rをこの範囲とすることにより、共役長(Tc)が短く、出射光量の大きいロッドレンズを得ることができる。g・rが小さいと、焦点深度が深いロッドレンズは得やすくなるが、0.2以下となると取り込める光量が少なくなる傾向にある。また、g・rが大きいと、共役長(Tc)が短く出射光量の大きいロッドレンズは得やすくなるが、0.3より大きくなると焦点深度を深くすることが困難となる傾向にある。
【0016】
本発明において、フレア光やロッドレンズアレイ等でのクロストーク光を除去してレンズ性能を高めるために、中心軸に垂直な断面においてレンズ外周面から中心軸に向かう50μm以内の範囲であって中心軸から0.6r以上の範囲に、可視光および近赤外光の領域のうち少なくとも一部の波長域の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収剤含有層が形成することが好ましい。
【0017】
光吸収剤含有層が上記の範囲内のロッドレンズの外周部に形成されていることにより、出射光量を大幅に低減することなく、ロッドレンズ外周部に形成された屈折率分布の不整部分に起因するフレア光やクロストーク光の発生を抑止することができる。光吸収剤含有層を中心軸から0.6rよりも中心軸側に形成したり、ロッドレンズ外周面から中心軸に向かう50μmを超える領域に光吸収剤含有層を形成すると、出射光量が低下する場合がある。
【0018】
また、本発明のロッドレンズにおいては、525nmの波長の光についての有効半径(R)を0.6r〜0.8rとすることが好ましい。これは、有効半径(R)が0.6r未満では、ロッドレンズの出射光量が低下する傾向にあり、有効半径(R)が0.8rを超えるとロッドレンズ外周部に存在する屈折率分布の不整部分の影響によりレンズ性能が低下する傾向にあるためである。なお、本発明において、ロッドレンズの有効半径(R)とは、525nmの波長の光に対して吸収が実質的に存在しない、レンズ中心から半径方向の連続した部分の半径をいう。例えば、光吸収剤含有層を外周部に形成したロッドレンズにおいては、光吸収剤含有層の内周縁の半径が有効半径(R)となる。
【0019】
光吸収剤含有層に使用される光吸収剤としては、ロッドレンズが用いられる光学系で使用される波長の光を吸収し得る種々の染料、顔料、色素等が使用できる。これらの光吸収剤は、特定波長域のみを吸収する光吸収剤であって、吸収する波長がそれぞれ異なる光吸収剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、ロッドレンズアレイとしてカラースキャナに用いる場合には、RGB各波長の光を吸収する染料を組み合わせて用いることができる。また、光吸収剤としては、上記のように可視光(400nm〜700nm程度)および近赤外(700nm〜1000nm程度)の領域のうち特定波長域のみを吸収するものを用いてもよいし、全波長域を吸収するものを用いてもよい。可視光領域の全ての光を吸収する層を形成する場合は、複数種類の光吸収剤を混合して黒色としたものや、カーボンブラックやグラファイトカーボン等の黒色の光吸収剤を用いることができる。
【0020】
また、光吸収剤は、光吸収剤含有層においてほぼ均一に存在させることが好ましく、光吸収剤含有層を構成する材料に光吸収剤分子が均一に分散あるいは結合されていることが好ましい。光吸収剤含有層における光吸収剤の含有量は、0.001〜10質量%とするが好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0021】
このように、本発明のロッドレンズにおいては、十分な出射光量を有しながら、共役長(Tc)が短くすることができるため、カラー画像の伝送用途等に適したカラー特性を有している。また、ロッドレンズアレイ等として用いた場合にも、光学系をコンパクト化することが容易となる。
【0022】
本発明のレンズを製造するために好適に用いられる製造方法について説明する。
まず、硬化後の屈折率nがn1>n2>・・・・>nN(N≧3)なるN個の未硬化状物を、中心から外周部に向かって順次屈折率が低くなるようなに、同心円状に積層した未硬化状の積層糸状体に賦形し、積層糸状体の各層間の屈折率分布が連続的になるように隣接層間の物質の相互拡散処理を行いながら、あるいは相互拡散処理を行った後に、積層糸状体を硬化処理しロッドレンズとなる原糸を得る。
【0023】
次いで、得られた原糸を加熱延伸した後、緩和処理を行い、適宜、所定のサイズに切断して、本発明のレンズを得ることができる。得られるロッドレンズの屈折率分布を理想的な分布に近づけるためには、用いる未硬化状物の数Nは4〜6の範囲とすることが好ましい。
【0024】
未硬化状物の粘度は、102〜107Pa・sであることが好ましい。この粘度が小さすぎると、賦形の際に糸切れが生じやすくなり、積層糸状体の賦形が困難となる傾向にある。また、粘度が大きすぎると賦形時の操作性が不良となり各層の同心円性が損なわれたり、積層糸状体の太さの斑が大きくなる傾向にある。
【0025】
この未硬化状物を構成する物質としては、ラジカル重合性ビニル単量体、またはラジカル重合性ビニル単量体と該単量体に可溶な重合体とよりなる組成物等を用いることができる。
【0026】
ラジカル重合性ビニル単量体としては、例えば、メチルメタクリレート(n=1.49)、スチレン(n=1.59)、クロルスチレン(n=1.61)、酢酸ビニル(n=1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(n=1.37〜1.44)、あるいは、エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
これら未硬化状物から積層糸状体を形成する際の未硬化状物の粘度調整を容易にするとともに、積層糸状体の中心から外周へ向って連続的な屈折率分布を形成させるために、未硬化状物としては単量体とこれに可溶な重合体(可溶性重合体)との組成物で構成されていることが好ましい。
【0028】
可溶性重合体としては、前記のラジカル重合性ビニル単量体から生成する重合体と相溶性が良いものが用いられ、例えば、ポリメチルメタクリレート(n=1.49)、ポリメチルメタクリレート系共重合体(n=1.47〜1.50)、ポリ4−メチルペンテンー1(n=1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(n=1.46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(n=1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(n=1.40〜1.46)、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系重合体等が挙げられる。
【0029】
未硬化状物の粘度調整にあったては、各層に同一の屈折率を有する可溶性重合体を用いることが、中心から外周に向かって連続的な屈折率分布を有するレンズが得られやすいことから好ましい。特に、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れるとともに、比較的高い屈折率を有することから、本発明のロッドレンズを製造するに際して用いる可溶性重合体として好適である。
【0030】
未硬化状物には、熱硬化触媒あるいは光硬化触媒を添加しておくことが好ましい。熱硬化触媒としては、パーオキサイド系またはアゾ系等の触媒が用いられる。光硬化触媒としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン等を用いることができる。
【0031】
未硬化状物は、熱硬化触媒および/または光硬化触媒を含有する積層糸状体を熱硬化処理あるいは光硬化処理を施すことにより硬化させる。未硬化状物が熱硬化触媒と光硬化触媒の両方を含有している場合は、熱硬化処理と光硬化処理の両方を施すことができる。
【0032】
光硬化処理としては、光触媒を含有させた未硬化状物に周囲から紫外線等の光を照射することにより行うことができる。光硬化処理に用いる光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等を用いることができる。また、重合率を上げるためにこれらの光源を適宜組み合わせて使用してもよい。熱硬化処理としては、熱硬化触媒を含有させた未硬化状物を、加熱炉等の一定の温度に制御された硬化処理部で所定時間熱処理することにより行うことができる。
【0033】
積層糸状体を硬化して得られたロッドレンズ原糸は、必要に応じて加熱延伸、緩和処理を行ってもよい。加熱延伸は、ロッドレンズ原糸をそのまま連続して加熱延伸を行ってもよいし、いったんボビン等に巻き取ってから加熱延伸を行ってもよい。加熱延伸はバッチ方式で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。また、加熱延伸工程と緩和工程は連続的に行ってもよいし、それぞれ分離して行ってもよい。
【0034】
加熱延伸は、公知の方法により行うことができる。例えば、硬化して得られたロッドレンズ原糸を第1ニップローラーで加熱炉に供給し、加熱炉を通過したロッドレンズ原糸を第2ニップローラーで第1ニップローラーよりも速い速度で引き取って延伸する方法等があげられる。加熱延伸の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)より20℃低い温度以上とすることが好ましい。また、延伸倍率はロッドレンズ原糸の径および所望のレンズ径により適宜決定され、第1および第2ニップローラーの周速度比により調節することができる。なお、本発明において、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値をいう。
【0035】
緩和処理は、公知の方法により行うことができる。例えば、延伸されたロッドレンズ原糸を第3ニップローラーで加熱炉に供給し、加熱炉を通過したロッドレンズ原糸を第4ニップローラーで第3ニップローラーよりも遅い速度で引き取って緩和する方法等が挙げられる。緩和処理の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)以上とすることが好ましい。また、緩和率(緩和処理後の長さ/緩和処理前の長さ)は、第3および第4ニップローラーの周速度比で調節することができ、所望のレンズ径により適宜決定されるが、99/100〜4/5程度となるようにすることが好ましい。このような緩和処理を行うことにより、ロッドレンズの収縮を抑制することができる。また、緩和率が小さすぎるとレンズ径の斑が大きくなる傾向にある。
【0036】
本発明におけるロッドレンズ原糸の製造装置の一例を図1および図2に示す。
図1は本発明のレンズ原糸の製造装置の概略図であり、相互拡散部および硬化処理部の部分を縦断面図で示している。図1において、13は同心円状複合紡糸ノズル、5は押し出された未硬化の積層糸状体、6は積層糸状体を構成する各層の単量体を相互に拡散させて連続的な屈折率分布を与えるための相互拡散部、7は未硬化状物を硬化させるための硬化処理部、8は引き取りローラー、9はレンズ原糸、11は不活性ガス導入口、12は不活性ガス排出口である。
【0037】
積層糸状体5から遊離する単量体等の揮発性物質を相互拡散部6および硬化処理部7から除去するため、不活性ガス導入口11から不活性ガス例えば窒素ガスが導入され不活性ガス排出口12から排出される。
【0038】
得られたレンズ原糸9は、上記製造装置から連続的に、あるいは一旦ボビン等に巻き取った後、図2に示す加熱延伸および緩和処理を行う装置に供給される。図2に示す装置において、加熱延伸は第1引き取りローラー14と第2引き取りローラー15の間の加熱炉17で行われ、緩和処理は第2引き取りローラー15と第3引き取りローラー16の間の加熱炉18で行われる。加熱炉17、18としては公知の構造のものが使用できる。
このようにして得られたレンズ原糸はそのまま連続的に所望の長さに切断してもよく、ボビン等に巻き取った後に所望の長さに切断してもよい。
【0039】
次に、本発明のロッドレンズアレイについて説明する。
本発明のロッドレンズアレイは、本発明のロッドレンズの複数本がロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2枚の基板間に1列以上に配列されて構成される。ロッドレンズと基板との固定には接着剤等が用いられる。隣接するレンズは互いに密着していてもよいし、一定の隙間をおいて配列していてもよく、ロッドレンズとロッドレンズの間の隙間は一定であることが好ましい。また、ロッドレンズを2段以上に積み重ねて配列されてなるロッドレンズアレイの場合は、ロッドレンズ間の隙間が最小になるように俵積み状に配列されていることが好ましい。
【0040】
本発明のロッドレンズアレイは、m=X0/D(X0:視野半径、D:ロッドレンズの配列ピッチ、X0=−r1cos(Z0π/P)、r1は屈折率分布型ロッドレンズの有効半径、Z0は屈折率分布型ロッドレンズの長さ、Pは屈折率分布型ロッドレンズの周期長すなわちP=2π/gである。)で表される重なり度(m)が、1段配列のロッドレンズアレイの場合は1.05≦m≦1.28、1.53≦m≦1.8、2.03≦m≦2.3、または、m≧2.5であることが好ましい。重なり度(m)を上記の範囲内とすることにより光量斑を小さくすることができる。2段配列のロッドレンズアレイの場合は0.87≦m≦1、1.1≦m≦1.23、または、m≧1.33であることが好ましい。また、出射光量を大きくする目的で、1段配列のロッドレンズアレイの場合に1.05≦m≦1.28、または、1.53≦m≦1.8、2段配列のロッドレンズアレイの場合に0.87≦m≦1、または、1.1≦m≦1.23とすることがより好ましい。重なり度(m)をこれらの範囲にすることにより、ロッドレンズアレイの出射光量を大きくできるとともに、光量斑を比較的小さくすることができる。また、共役長(Tc)を短くすることができ、光学系をコンパクトにすることもできる。
【0041】
本発明のロッドレンズアレイは、共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズアレイを用いてイメージセンサを構成した場合に、非常にコンパクトなサイズにすることができ、小型のハンドスキャナ等に適している。また、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラーイメージセンサを得ることができる。さらに、出射光量が大きいため、高速の読み取りが可能なイメージセンサを得ることができる。
【0042】
本発明のロッドレンズアレイは公知の方法で製造される。例えば、まず、一定の長さに切断したロッドレンズを、2枚の基板間にロッドレンズ同士が密着するように平行に配列して固定する。この状態で、カーボンブラック等の遮光剤の入った接着剤をロッドレンズ間およびロッドレンズと基板間に形成される隙間に注入して硬化させる。その後、必要に応じてこのロッドレンズアレイを所望の長さに切断し、ダイヤモンド切削等による端面の鏡面化処理を施す。
【0043】
次に、本発明のロッドレンズプレートについて説明する。
本発明のロッドレンズプレートは、本発明のロッドレンズの複数本がロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2次元配列され、ロッドレンズの光軸に垂直な平面上においてロッドレンズが互いに異なる二つの方向に配列されて構成される。ロッドレンズ間の固定には接着剤等が用いられる。隣接するレンズは互いに密着させ俵積み状に配列してもよいし、一定の隙間をおいて配列してもよい。この場合、ロッドレンズとロッドレンズの間の隙間は一定とすることが好ましい。
【0044】
本発明のロッドレンズプレートは、2次元配列されているため広い面積の情報を読み取るイメージセンサ等に用いることができる。また、本発明のロッドレンズプレートは共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズプレートを用いてイメージセンサを構成した場合に、非常にコンパクトにすることができ、指紋認証用の小型のイメージセンサ等に適している。また、本発明のロッドレンズプレートは共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズプレートを用いて表示装置を構成した場合に、非常にコンパクトなサイズにすることができるため、モバイル機器用の小型の表示装置等に適している。さらに、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラーイメージセンサやカラー画像の表示装置を得ることができる。さらに、出射光量が大きいため、高速の読み取りが可能なイメージセンサや明るい表示装置を得ることができる。
【0045】
本発明のロッドレンズプレートは公知の方法で製造される。例えば、まず、一定の長さに切断したロッドレンズを俵積み状に2次元にレンズ同士が密着するように平行に配列して固定する。この状態でカーボンブラック等の遮光剤の入った接着剤をレンズ間に形成される隙間に注入して硬化させる。その後、必要に応じてこのロッドレンズプレートを所望の長さに切断し、ダイヤモンド切削や光学研磨等の手段を用いて端面に鏡面化処理を施す。また、ロッドレンズプレート端面での反射による光量の損失を小さくするために反射防止コーティングを施してもよい。
【0046】
次に、本発明のイメージセンサについて説明する。
本発明のイメージセンサは、光を受光し電気信号に変換する光電変換素子と、読み取り原稿を照明するための光源と、読み取り原稿からの反射光を前記光電変換素子に結像する本発明のロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを基本構成とする。さらに、原稿を安定に固定するためのカバーガラス等を備えていてもよい。
【0047】
本発明のイメージセンサで用いる光源は、原稿面を照明するためのものであり、白熱電球、冷陰極管、LED等が用いられ、特定波長の光を利用しやすい点からLEDが好ましい。これら光源は、特定波長をカットする目的でフィルタ素子と組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明のイメージセンサは、発光波長の異なる複数種のLEDを用いてカラーイメージセンサとすることもできる。この場合、光源が、青色、緑色および赤色(RGB)の3色にそれぞれ相当する発光波長の異なる複数のLEDから構成されていることが好ましい。カラーイメージセンサとして用いる場合、LEDの発光波長のピークは、色再現性を良くする目的から、それぞれ450〜480nm(青)、510〜560nm(緑)、600〜660nm(赤)とすることが好ましい。このような光源を備えた照明装置においては、光源から導光体に光が入射し、導光体からの出射光が原稿面を照明するように構成されている。
【0049】
例えば、照明装置は、光源である赤色のLED、緑色のLED、青色のLEDの3色のLEDが一つにパッケージングされたRGBの3色のLED光源と、アクリル樹脂等の光透過性に優れた部材からなる導光体とから構成される。RGBの3色のLED光源は、導光体の長手方向の端部の片側あるいは端部の両側に導光体へ光が入射するように配置されており、入射した光は導光体と空気との界面で全反射を繰り返し導光体中を伝搬していく。
【0050】
次に、本発明のイメージセンサの動作について、カラーイメージセンサを例に挙げて説明する。カバーガラスへ押しつけられて支持された原稿に、照明装置により斜め方向からRGBの3色の光を切り替えて順次照明する。原稿から反射したRGBの3色の色情報を持った光は、ロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートにより光電変換素子上へ結像される。光電変換素子は、RGBの3色の色情報を持った光を電気信号に変換する。電気信号に変換された画像情報は、コンピュータ等を備えたシステム部へ伝送され、システム部において、RGBの3色の電気信号を処理してカラー画像が再現される。
【0051】
本発明のイメージセンサは、光学系がコンパクトであるため、ハンドスキャナ等の読取装置に用いた場合に装置自体を小型化できる。また、本発明のイメージセンサはカラー特性に優れているため、鮮明なカラー画像の読み取りが可能であり、高解像度のカラースキャナ等に用いることができる。さらに、本発明のイメージセンサは出射光量の大きいロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートを用いているため、光源の出力を小さくしても十分に画像を伝送することができ、低消費電力で高速の読み取りが可能である。
【0052】
次に、本発明の指紋認証装置について説明する。
本発明の指紋認証装置は、本発明のロッドレンズプレートを用いた本発明のイメージセンサと、電気信号に変換された画像情報を処理し、あらかじめ登録された指紋と照合するコンピュータ等を備えたシステム部等から構成される。
【0053】
本発明の指紋認証装置の動作について説明する。カバーガラス等の上から所定の位置に押しつけて支持した指先に、照明装置により所定の波長の光を照明する。指先の指紋から反射した光は、ロッドレンズプレートにより光電変換素子上へ結像される。光電変換素子により電気信号に変換された指紋の画像情報は、コンピュータ等を備えたシステム部へ伝送され、システム部において処理され、あらかじめ登録された指紋と照合が行われる。あらかじめ登録された指紋と一致した場合は、システム部から開錠等の指令が出され、開錠等が行われる。また、あらかじめ登録された指紋と一致しない場合は、システム部からロックや警告等の指令が出され、ロックや警告等が行われる。
【0054】
本発明の指紋認証装置は、光学系がコンパクトであるため、適用する装置を小型化することができる。また、本発明の指紋認証装置は、出射光量の大きいロッドレンズプレートを用いているため、光源の出力が小さくても十分に画像を伝送することができ低消費電力となる。
【0055】
次に、本発明の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータについて説明する。 本発明の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータは、本発明のイメージセンサまたは指紋認証装置を内蔵することを特徴とする。本発明のイメージセンサを携帯電話、携帯情報端末またはコンピュータに内蔵させる場合、イメージセンサを用いて名刺や画像等の情報を読み取り、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータで加工し、通信手段を利用して情報を送信することができる。イメージセンサで画像情報等を読み取る際には、携帯電話や携帯情報端末の場合は例えば内蔵されたイメージセンサをハンドスキャンして画像を読み取ることができ、コンピュータの場合はキーボード部分または液晶パネル部分にシートフィード型スキャナとして内蔵させ、これを用いて画像を読み取ることができる。
【0056】
また、本発明の指紋認証装置が内蔵されている携帯電話、携帯情報端末またはコンピュータにおいては、内蔵されている本発明の指紋認証装置により、あらかじめ登録された指紋と照合することにより使用者本人であるかを確認し、登録された指紋と一致して本人であることが確認された場合に、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータを使用可能とすることができる。
さらに、本発明の携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータは、本発明のイメージセンサまたは指紋認証装置を使用しているためコンパクトで、低消費電力である。
【0057】
また、これら携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータ(ノート型パーソナルコンピュータ)は、室内で据え置きの状態で用いられるばかりでなく、室外や屋外で移動中に用いられることがあり、ガラス製のロッドレンズアレイを用いた場合はロッドレンズの割れや欠けによる特性の劣化のおそれがあるが、プラスチック製のロッドレンズアレイを用いる場合は、移動時での使用における衝撃を受けても割れや欠けのおそれがなくなる。
【0058】
次に、本発明のプリンタについて説明する。
本発明のプリンタは、本発明のロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いて構成されたものであり、例えば、光源であるLEDをアレイ状に配列したLEDチップ、本発明のロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートと感光ドラムからなるLEDヘッド、感光ドラム上において検知された光学情報に基づいてトナーを紙に転写する印画部とから構成される。本発明のプリンタにおいて、印刷方式は特に限定されるものではないが、タンデム方式を採用することが、高速のカラー印刷が可能となることから好ましい。
【0059】
本発明のプリンタは、本発明のロッドレンズアレイあるいははロッドレンズプレートを使用することにより、光学系が非常にコンパクトになり、解像度も高いため600dpi以上の高解像度としても印画斑を抑制することができ、優れた印字特性を有する。
また、本発明におけるプリンタの光源は、LEDアレイに限られるものではなく、液晶シャッター、ELアレイ等の光源を使用することもできる。
【0060】
次に、本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は、本発明のロッドレンズプレートを用いて構成されたものであり、例えば、表示画像を形成する画像光源としてのディスプレイと、本発明のロッドレンズプレートと、スクリーンまたは空間とから構成される。ディスプレイ、ロッドレンズプレート、スクリーンまたは空間の配置は、ロッドレンズプレートを通してディスプレイの表示画像の正立等倍像をスクリーン(または空間)に結像させるように配置することが好ましく、ロッドレンズプレートとディスプレイの表示画像位置との空気層換算の光学距離が、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との空気層換算の光学距離とほぼ等しく、その空気層換算の光学距離の2倍とロッドレンズプレート厚み(レンズ長)の合計がロッドレンズプレートの共役長となるように配置されていることが好ましい。
【0061】
本発明の表示装置において、ディスプレイは特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管等の2次元表示が可能なディスプレイを用いることができる。また、スクリーンとしては、一般的に使用されている公知のものを用いることができる。また、ディスプレイとロッドレンズプレートとの間、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との間には、透明なカバーガラス、プラスチックフィルム、フィルター、マイクロレンズ等を配置してもよい。また、ディスプレイとロッドレンズプレートの間、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間の間には、目的に応じて拡大または縮小のためのレンズを配置してもよい。この場合、ディスプレイとロッドレンズプレートとの間隙、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との間隔は適宜設定することができる。
【0062】
本発明の表示装置は、本発明のロッドレンズプレートを使用することにより、画像光源としてのディスプレイに表示された画像を、ディスプレイの画像表示位置から離れた位置にあるスクリーンまたは空間に結像することができるため、画像が見やすくなるとともに、画像が浮き上がったよう見える等の効果が得られる。特に、空間に結像させる場合は、画像が空中に浮かんでいるように見えるため、臨場感ある画像を表示することができる。また、本発明のロッドレンズプレートを用いることにより表示装置の厚さを薄くすることができる。このため、モバイル機器用の小型の表示装置等に特に適している。また、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラー画像を表示することができる。さらに、出射光量が大きいため、明るい表示装置を形成することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例において屈折率分布の測定は、カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて公知の方法で行った。
【0064】
(実施例1)
第1層形成原液
ポリメチルメタクリレート52質量部、ベンジルメタクリレート35質量部、メチルメタクリレート13質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部およびハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液とした。
【0065】
第2層形成原液
ポリメチルメタクリレート48質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、メチルメタクリレート35質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート7質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液とした。
【0066】
第3層形成原液
ポリメチルメタクリレート47質量部、メチルメタクリレート30質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート23質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液とした。
【0067】
第4層形成原液
ポリメチルメタクリレート40質量部、メチルメタクリレート18質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート42質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液とした。
【0068】
第5層形成原液
ポリメチルメタクリレート37質量部、メチルメタクリレート4質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート59質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液とした。
【0069】
なお、クロストーク光やフレア光を抑制する目的で、加熱混練前の第3層、4層および第5層用の各原液中には、原液全体に対して青色染料(日本化薬社製Blue ACR)0.12質量%、黄色染料(三井東圧染料社製MS Yellow HD−180)0.10質量%、マゼンダ染料(三井東圧染料社製MS Magenta HM−1450)0.08質量%を添加した。
【0070】
この5種類の原液を、中心から順次、硬化後の屈折率が低くなるように配列して同心円状の5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、5層構造の積層糸状体とした。複合紡糸ノズルの温度は40℃であった。各層の吐出量比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(1層目においては半径)の比に換算して、1層目/2層目/3層目/4層目/5層目=35/38/20/6/1とした。
【0071】
次いで、複合紡糸ノズルから押し出された積層糸状体を、ニップローラーで300cm/分の速度で引き取り、長さ30cmの相互拡散処理部(窒素流量は72L/分)を通した。次いで、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(第1光照射部)、2kWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(第2光照射部)の中心上に、積層糸状体を順次通過させて硬化させた。得られたレンズ原糸の半径は0.24mmであった。
【0072】
このレンズ原糸を125℃の雰囲気下で2.2倍に延伸し、140℃の雰囲気下で緩和率が10/11になるように緩和処理を行いロッドレンズを得た。得られたロッドレンズは、半径が0.17mm、中心屈折率が1.513、中心軸から外周部に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(1)に近似され、525nmの波長における屈折率分布定数(g)が1.51mm−1であった。また、ロッドレンズの外周面から中心部に向かって約47μmの範囲に染料がほぼ均一に分散された光吸収剤含有層が形成されていた。
【0073】
得られたロッドレンズを、中心軸に垂直な面で両端面が鏡面となるようにダイヤモンド切削してレンズ長2.52mmとした。このロッドレンズの525nmにおける共役長(Tc)は5.03mm、630nmにおける共役長(Tc)は5.33mm、470nmにおける共役長(Tc)は4.79mmであった。
【0074】
(実施例2)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ667本を、2枚のフェノール樹脂製基板(厚さ0.5mm)の間に俵積み状に2列に密着配列し、その隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間およびロッドレンズと基板間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、実施例1と同様にダイヤモンド刃で鏡面切削し、レンズ長が2.52mmのA4サイズ(幅227mm)のロッドレンズアレイを製造した。
【0075】
このロッドレンズアレイの470nm、525nm、630nmにおける共役長(Tc)は、それぞれ4.79mm、5.03mm、5.33mmであり、630nmと470nmの共役長(Tc)の差は0.54mmであった。また、525nmにおける重なり度(m)は1.11であった。
【0076】
このロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーを備えたシートフィードタイプの非常にコンパクトなカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられたカラー画像が得られた。
【0077】
(実施例3)
実施例2と同様にして作製されたA4サイズのロッドレンズアレイを幅5cmに切断したものと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーを備えた超コンパクトタイプのカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみのないカラー画像が得られた。
【0078】
(実施例4)
実施例2と同様にして作製されたA4サイズのロッドレンズアレイを用いて、解像度600dpiのコンパクトなLEDプリンタ(LEDの発光波長630nm)を作製した。このプリンタで600dpiのテストチャートをプリントしてみたところ良好な印字が得られた。
【0079】
(実施例5)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ約4000本を、縦20mm、横20mmの枠内にロッドレンズの光軸が互いに平行になるように2次元に俵積み状に密着配列し、ロッドレンズの隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、実施例1と同様にダイヤモンド切削によりで鏡面化し、レンズ長が2.52mmの縦20mm×横20mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、5.03mmであった。
【0080】
このロッドレンズプレートと、発光波長525nmのLEDと、受光センサーと、システム部とを備えた指紋認証装置を作製し、この指紋認証装置を内蔵した携帯電話を作製した。指紋認証装置の指紋読み取り部分は、縦20mm×横20mm程度であり、厚みも10mm以下であるため、内蔵させても携帯電話のコンパクト性を損なうことはなかった。なお、指紋認証装置は、あらかじめ登録された使用者本人の指紋であることが照合により確認された場合に携帯電話が使用できるようになり、確認されない場合には携帯電話が使用できないというように動作するように設定した。
【0081】
この携帯電話の指紋認証装置を用いて、使用者本人が指紋を読み取らせたところ、指紋を正常に読み取り、照合により本人の指紋であることが確認され、携帯電話が使用可能になった。次に、他人の指紋を読み取らせたところ、照合により本人の指紋でないことが確認されたため、携帯電話は使用できなかった。
【0082】
(比較例1)
ニップローラーでの引き取り速度を200cm/分に変え、延伸処理および緩和処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして、半径0.294mmのロッドレンズを得た。得られたロッドレンズは、中心屈折率は1.513、中心軸から外周部に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(1)に近似され、525nmの波長における屈折率分布定数(g)が0.89mm−1であった。また、ロッドレンズの外周面から中心部に向かって約79μmの範囲に染料がほぼ均一に分散する光吸収剤含有層が形成されていた。
【0083】
得られたロッドレンズを、中心軸に垂直な面で両端面が鏡面となるようにダイヤモンド切削してレンズ長4.1mmとした。このロッドレンズの525nmにおける共役長(Tc)は9.8mm、630nmにおける共役長(Tc)は10.6mm、470nmにおける共役長(Tc)は9.2mmであった。
【0084】
(比較例2)
比較例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ386本を用いて、実施例2と同様にして、レンズ長が4.1mmのA4サイズのロッドレンズアレイを製造した。このロッドレンズアレイの470nm、525nm、630nmにおける共役長(Tc)は、それぞれ9.2mm、9.8mm、10.6mmであり、630nmと470nmの共役長(Tc)の差は1.4mmであった。また、525nmにおける重なり度(m)は1.72であった。
【0085】
このロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーとを備えたシートフィードタイプのコンパクトなカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0086】
(比較例3)
比較例2と同様にして作製されたロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーとを備えたカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0087】
(実施例6)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ約100000本を、縦100mm、横100mmの枠内にロッドレンズの光軸が互いに平行になるように2次元に俵積み状に密着配列し、ロッドレンズの隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、両端面を光学研磨して鏡面とし、レンズ長が2.40mmの縦100mm×横100mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。
【0088】
このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、5.90mmであった。このロッドレンズプレートと、縦100mm×横100mmのサイズの液晶ディスプレイ、厚さ2.61mmのポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)製の透明なカバープレートを、液晶ディスプレイの表示位置とロッドレンズプレートの空気層換算の光学距離が1.75mmになるように平行に配置し、ロッドレンズプレートの反対側の面にカバープレートを密着させて配置させて表示装置を構成した。
【0089】
この表示装置を用いて、液晶ディスプレイのカラーの表示画像をロッドレンズプレートを通して、カバープレートのロッドレンズプレートに接していない側の面上に正立等倍像を結像させて表示した。この表示装置は、カバープレート上にカラー画像が表示されているように見えるため非常に見やすかった。
【0090】
(実施例7)
実施例6と同様の方法で、レンズ長が2.15mmの縦100mm×横100mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、17.85mmであった。このロッドレンズプレートと、縦100mm×横100mmのサイズの液晶ディスプレイ、厚さ2.61mmのポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)製の透明なカバープレートを、液晶ディスプレイの表示位置とロッドレンズプレートの空気層換算の光学距離が7.85mmになるように平行に配置し、ロッドレンズプレートの反対側の面にカバープレートを密着させて配置させて表示装置を構成した。
【0091】
この表示装置を用いて、液晶ディスプレイのカラー表示画像をロッドレンズプレートを通して、カバープレート側の空間に正立等倍像を結像させて、表示した。この表示装置は、カバープレートから6.1mm離れた空間に画像が浮き上がって表示されているように見え、臨場感あふれるカラー画像の表示が可能であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、カラー特性に優れ、更に共役長が短く光学系のコンパクト化が可能なロッドレンズ、およびこれを用いたロッドレンズアレイ並びにロッドレンズプレートを提供することができる。また、このようなロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートを用いることで、コンパクトで高速の読み取りが可能なイメージセンサ、コンパクトで低消費電力の指紋認証装置、コンパクトでカラー特性に優れた表示装置を提供することができる。また、このような指紋認証装置を内蔵することで、コンパクトで低消費電力の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロッドレンズの原糸を製造するための装置を示す概略構成図である。
【図2】ロッドレンズの原糸の加熱延伸および緩和処理を行う装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
5 積層糸状体
6 相互拡散部
7 硬化処理部
8 引き取りローラー
9 レンズ原糸
11 不活性ガス導入口
12 不活性ガス排出口
13 同心円状複合紡糸ノズル
14 第1引き取りローラー
15 第2引き取りローラー
16 第3引き取りローラー
17 加熱炉(延伸)
18 加熱炉(緩和)
【発明の属する技術分野】
本発明は、光集束性棒状レンズ、光センサー等の光伝送路として利用できるロッドレンズおよびこれを用いたロッドレンズアレイ、ロッドレンズプレート、イメージセンサ、指紋認証装置、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、プリンタ並びに表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロッドレンズは、一般的に、その両端面が中心軸に垂直な平行平面になるように鏡面研磨され、単体で微小レンズとして使用されている。また、多数ロッドレンズを配列して接着一体化したロッドレンズアレイの形態で、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等におけるイメージセンサ用の部品として、またLEDプリンタ等の書き込みデバイス等として広く用いられている。なかでも、プラスチック製のロッドレンズは低コスト等の理由から広い用途で使用されてきている。
【0003】
例えば、薄型のフラットベッドスキャナや小型のハンドスキャナ等においては、スキャナ本体のサイズが小さいことが要求されるので、開口角が比較的大きく、10mm前後の共役長を有するロッドレンズアレイが用いられることが多い。しかし、このようなスキャナを高解像度のカラー画像の伝送用途に適用した場合は、ロッドレンズアレイの色収差により、読み取り画像の色のにじみが発生する場合がある。
【0004】
また、特開2001−27713号公報(特許文献1)においては、光学系をコンパクトにするため、ロッドレンズを細径化することが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されているロッドレンズは、レンズ径(2r)が0.35mm、屈折率分布定数(g)が0.865mm−1、共役長(Tc)が10.4mmのものであり、共役長が長く、光学系を十分にコンパクトにすることができなかった。また、g・rは0.151であり、ロッドレンズとしての出射光量も小さかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−27713号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、十分な出射光量を有しながら、共役長が短く光学系のコンパクト化が容易であるとともに、カラー特性の良好なロッドレンズ、これをロッドレンズアレイおよびロッドレンズプレート、並びにこれらを用いたイメージセンサ、指紋認証装置、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ、プリンタ、表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のロッドレンズは、中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッドレンズであって、
中心軸に垂直な断面において、半径rが0.04mm以上0.2mm以下であり、少なくとも中心軸から0.3rと0.7rとの間の範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線で近似される分布を有しており、
【数2】
(式中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率であり、Lはロッドレンズの中心軸からの距離であり、gはロッドレンズの屈折率分布定数であり、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率である。)
前記式(1)で示される屈折率分布定数gは、525nmの波長において、1.2mm−1≦g≦6.6mm−1および0.2<g・r≦0.3を満たすことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のロッドレンズアレイは、上記のようなロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように1列以上に配列してなることを特徴とする。また、本発明のロッドレンズプレートは、上記のようなロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2次元に俵積み状に配列してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のイメージセンサは、上記のようなロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。また、本発明の指紋認証装置は、上記のようなロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。また、本発明の携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータは、上記のようなイメージセンサまたは指紋認証装置を内蔵したことを特徴とする。また、本発明のプリンタは、上記のようなロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。さらに、本発明の表示装置は、上記のようなロッドレンズプレートを用いたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のロッドレンズは、円柱形状を有し、中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少しており、その屈折率分布が中心軸に垂直な断面において、半径rとしたとき、少なくとも中心軸から外周部に向かう0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線分布に近似される。
【0011】
【数3】
なお、式中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率(中心屈折率)であり、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)であり、gはロッドレンズの屈折率分布定数であり、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率である。
【0012】
本発明のロッドレンズは、プラスチックから構成することにより、材料を幅広く選択することができ、ロッドレンズの中心屈折率n0を広範囲に設定することができる。本発明においては、中心屈折率n0は1.4≦n0≦1.6とすることが好ましい。
【0013】
本発明のロッドレンズは、半径(r)を0.04mm以上0.2mm以下とすることが必要である。これは、半径(r)を0.2mm以下とすることにより、屈折率分布定数(g)を大きくして共役長を短くすることができ、光学系をコンパクト化できるためである。また、半径(r)を0.2mm以下とすることにより共役長を短くすることができ、波長470nmと630nmにおける共役長の差が小さくなり、カラーイメージセンサ等のカラー画像を伝送する用途に用いる場合の結像特性(カラー特性)が向上する。一方、半径(r)を0.04mm以上とすることにより、ロッドレンズアレイを作製する際の加工や取り扱いを容易に行うことができるとともに、イメージセンサ等を作製する際に光源や受光センサーとの中心ズレが起きにくくなり、生産管理を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明のロッドレンズは、光学系のコンパクト化とロッドレンズの取り扱い性を両立させる点から、屈折率分布定数(g)は、525nmの波長において1.2mm−1≦g≦6.6mm−1とすることが必要である。これは、屈折率分布定数(g)が6.6mm−1より大きいと、ロッドレンズの1周期長が小さくなり、レンズ長が短くなり過ぎ、ロッドレンズアレイを作製する際にロッドレンズの取り扱い性が悪くなる傾向にあるためである。また、屈折率分布定数(g)が1.2mm−1より小さいと、ロッドレンズの1周期長が大きくなり、共役長(Tc)が大きくなり過ぎ、光学系のコンパクト化が困難となる傾向にある。
【0015】
また、本発明のロッドレンズは、屈折率分布定数(g)と半径(r)の積(g・r)を0.2<g・r≦0.3とすることが必要である。g・rをこの範囲とすることにより、共役長(Tc)が短く、出射光量の大きいロッドレンズを得ることができる。g・rが小さいと、焦点深度が深いロッドレンズは得やすくなるが、0.2以下となると取り込める光量が少なくなる傾向にある。また、g・rが大きいと、共役長(Tc)が短く出射光量の大きいロッドレンズは得やすくなるが、0.3より大きくなると焦点深度を深くすることが困難となる傾向にある。
【0016】
本発明において、フレア光やロッドレンズアレイ等でのクロストーク光を除去してレンズ性能を高めるために、中心軸に垂直な断面においてレンズ外周面から中心軸に向かう50μm以内の範囲であって中心軸から0.6r以上の範囲に、可視光および近赤外光の領域のうち少なくとも一部の波長域の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収剤含有層が形成することが好ましい。
【0017】
光吸収剤含有層が上記の範囲内のロッドレンズの外周部に形成されていることにより、出射光量を大幅に低減することなく、ロッドレンズ外周部に形成された屈折率分布の不整部分に起因するフレア光やクロストーク光の発生を抑止することができる。光吸収剤含有層を中心軸から0.6rよりも中心軸側に形成したり、ロッドレンズ外周面から中心軸に向かう50μmを超える領域に光吸収剤含有層を形成すると、出射光量が低下する場合がある。
【0018】
また、本発明のロッドレンズにおいては、525nmの波長の光についての有効半径(R)を0.6r〜0.8rとすることが好ましい。これは、有効半径(R)が0.6r未満では、ロッドレンズの出射光量が低下する傾向にあり、有効半径(R)が0.8rを超えるとロッドレンズ外周部に存在する屈折率分布の不整部分の影響によりレンズ性能が低下する傾向にあるためである。なお、本発明において、ロッドレンズの有効半径(R)とは、525nmの波長の光に対して吸収が実質的に存在しない、レンズ中心から半径方向の連続した部分の半径をいう。例えば、光吸収剤含有層を外周部に形成したロッドレンズにおいては、光吸収剤含有層の内周縁の半径が有効半径(R)となる。
【0019】
光吸収剤含有層に使用される光吸収剤としては、ロッドレンズが用いられる光学系で使用される波長の光を吸収し得る種々の染料、顔料、色素等が使用できる。これらの光吸収剤は、特定波長域のみを吸収する光吸収剤であって、吸収する波長がそれぞれ異なる光吸収剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、ロッドレンズアレイとしてカラースキャナに用いる場合には、RGB各波長の光を吸収する染料を組み合わせて用いることができる。また、光吸収剤としては、上記のように可視光(400nm〜700nm程度)および近赤外(700nm〜1000nm程度)の領域のうち特定波長域のみを吸収するものを用いてもよいし、全波長域を吸収するものを用いてもよい。可視光領域の全ての光を吸収する層を形成する場合は、複数種類の光吸収剤を混合して黒色としたものや、カーボンブラックやグラファイトカーボン等の黒色の光吸収剤を用いることができる。
【0020】
また、光吸収剤は、光吸収剤含有層においてほぼ均一に存在させることが好ましく、光吸収剤含有層を構成する材料に光吸収剤分子が均一に分散あるいは結合されていることが好ましい。光吸収剤含有層における光吸収剤の含有量は、0.001〜10質量%とするが好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0021】
このように、本発明のロッドレンズにおいては、十分な出射光量を有しながら、共役長(Tc)が短くすることができるため、カラー画像の伝送用途等に適したカラー特性を有している。また、ロッドレンズアレイ等として用いた場合にも、光学系をコンパクト化することが容易となる。
【0022】
本発明のレンズを製造するために好適に用いられる製造方法について説明する。
まず、硬化後の屈折率nがn1>n2>・・・・>nN(N≧3)なるN個の未硬化状物を、中心から外周部に向かって順次屈折率が低くなるようなに、同心円状に積層した未硬化状の積層糸状体に賦形し、積層糸状体の各層間の屈折率分布が連続的になるように隣接層間の物質の相互拡散処理を行いながら、あるいは相互拡散処理を行った後に、積層糸状体を硬化処理しロッドレンズとなる原糸を得る。
【0023】
次いで、得られた原糸を加熱延伸した後、緩和処理を行い、適宜、所定のサイズに切断して、本発明のレンズを得ることができる。得られるロッドレンズの屈折率分布を理想的な分布に近づけるためには、用いる未硬化状物の数Nは4〜6の範囲とすることが好ましい。
【0024】
未硬化状物の粘度は、102〜107Pa・sであることが好ましい。この粘度が小さすぎると、賦形の際に糸切れが生じやすくなり、積層糸状体の賦形が困難となる傾向にある。また、粘度が大きすぎると賦形時の操作性が不良となり各層の同心円性が損なわれたり、積層糸状体の太さの斑が大きくなる傾向にある。
【0025】
この未硬化状物を構成する物質としては、ラジカル重合性ビニル単量体、またはラジカル重合性ビニル単量体と該単量体に可溶な重合体とよりなる組成物等を用いることができる。
【0026】
ラジカル重合性ビニル単量体としては、例えば、メチルメタクリレート(n=1.49)、スチレン(n=1.59)、クロルスチレン(n=1.61)、酢酸ビニル(n=1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(n=1.37〜1.44)、あるいは、エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
これら未硬化状物から積層糸状体を形成する際の未硬化状物の粘度調整を容易にするとともに、積層糸状体の中心から外周へ向って連続的な屈折率分布を形成させるために、未硬化状物としては単量体とこれに可溶な重合体(可溶性重合体)との組成物で構成されていることが好ましい。
【0028】
可溶性重合体としては、前記のラジカル重合性ビニル単量体から生成する重合体と相溶性が良いものが用いられ、例えば、ポリメチルメタクリレート(n=1.49)、ポリメチルメタクリレート系共重合体(n=1.47〜1.50)、ポリ4−メチルペンテンー1(n=1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(n=1.46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(n=1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(n=1.40〜1.46)、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系重合体等が挙げられる。
【0029】
未硬化状物の粘度調整にあったては、各層に同一の屈折率を有する可溶性重合体を用いることが、中心から外周に向かって連続的な屈折率分布を有するレンズが得られやすいことから好ましい。特に、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れるとともに、比較的高い屈折率を有することから、本発明のロッドレンズを製造するに際して用いる可溶性重合体として好適である。
【0030】
未硬化状物には、熱硬化触媒あるいは光硬化触媒を添加しておくことが好ましい。熱硬化触媒としては、パーオキサイド系またはアゾ系等の触媒が用いられる。光硬化触媒としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン等を用いることができる。
【0031】
未硬化状物は、熱硬化触媒および/または光硬化触媒を含有する積層糸状体を熱硬化処理あるいは光硬化処理を施すことにより硬化させる。未硬化状物が熱硬化触媒と光硬化触媒の両方を含有している場合は、熱硬化処理と光硬化処理の両方を施すことができる。
【0032】
光硬化処理としては、光触媒を含有させた未硬化状物に周囲から紫外線等の光を照射することにより行うことができる。光硬化処理に用いる光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等を用いることができる。また、重合率を上げるためにこれらの光源を適宜組み合わせて使用してもよい。熱硬化処理としては、熱硬化触媒を含有させた未硬化状物を、加熱炉等の一定の温度に制御された硬化処理部で所定時間熱処理することにより行うことができる。
【0033】
積層糸状体を硬化して得られたロッドレンズ原糸は、必要に応じて加熱延伸、緩和処理を行ってもよい。加熱延伸は、ロッドレンズ原糸をそのまま連続して加熱延伸を行ってもよいし、いったんボビン等に巻き取ってから加熱延伸を行ってもよい。加熱延伸はバッチ方式で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。また、加熱延伸工程と緩和工程は連続的に行ってもよいし、それぞれ分離して行ってもよい。
【0034】
加熱延伸は、公知の方法により行うことができる。例えば、硬化して得られたロッドレンズ原糸を第1ニップローラーで加熱炉に供給し、加熱炉を通過したロッドレンズ原糸を第2ニップローラーで第1ニップローラーよりも速い速度で引き取って延伸する方法等があげられる。加熱延伸の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)より20℃低い温度以上とすることが好ましい。また、延伸倍率はロッドレンズ原糸の径および所望のレンズ径により適宜決定され、第1および第2ニップローラーの周速度比により調節することができる。なお、本発明において、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値をいう。
【0035】
緩和処理は、公知の方法により行うことができる。例えば、延伸されたロッドレンズ原糸を第3ニップローラーで加熱炉に供給し、加熱炉を通過したロッドレンズ原糸を第4ニップローラーで第3ニップローラーよりも遅い速度で引き取って緩和する方法等が挙げられる。緩和処理の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)以上とすることが好ましい。また、緩和率(緩和処理後の長さ/緩和処理前の長さ)は、第3および第4ニップローラーの周速度比で調節することができ、所望のレンズ径により適宜決定されるが、99/100〜4/5程度となるようにすることが好ましい。このような緩和処理を行うことにより、ロッドレンズの収縮を抑制することができる。また、緩和率が小さすぎるとレンズ径の斑が大きくなる傾向にある。
【0036】
本発明におけるロッドレンズ原糸の製造装置の一例を図1および図2に示す。
図1は本発明のレンズ原糸の製造装置の概略図であり、相互拡散部および硬化処理部の部分を縦断面図で示している。図1において、13は同心円状複合紡糸ノズル、5は押し出された未硬化の積層糸状体、6は積層糸状体を構成する各層の単量体を相互に拡散させて連続的な屈折率分布を与えるための相互拡散部、7は未硬化状物を硬化させるための硬化処理部、8は引き取りローラー、9はレンズ原糸、11は不活性ガス導入口、12は不活性ガス排出口である。
【0037】
積層糸状体5から遊離する単量体等の揮発性物質を相互拡散部6および硬化処理部7から除去するため、不活性ガス導入口11から不活性ガス例えば窒素ガスが導入され不活性ガス排出口12から排出される。
【0038】
得られたレンズ原糸9は、上記製造装置から連続的に、あるいは一旦ボビン等に巻き取った後、図2に示す加熱延伸および緩和処理を行う装置に供給される。図2に示す装置において、加熱延伸は第1引き取りローラー14と第2引き取りローラー15の間の加熱炉17で行われ、緩和処理は第2引き取りローラー15と第3引き取りローラー16の間の加熱炉18で行われる。加熱炉17、18としては公知の構造のものが使用できる。
このようにして得られたレンズ原糸はそのまま連続的に所望の長さに切断してもよく、ボビン等に巻き取った後に所望の長さに切断してもよい。
【0039】
次に、本発明のロッドレンズアレイについて説明する。
本発明のロッドレンズアレイは、本発明のロッドレンズの複数本がロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2枚の基板間に1列以上に配列されて構成される。ロッドレンズと基板との固定には接着剤等が用いられる。隣接するレンズは互いに密着していてもよいし、一定の隙間をおいて配列していてもよく、ロッドレンズとロッドレンズの間の隙間は一定であることが好ましい。また、ロッドレンズを2段以上に積み重ねて配列されてなるロッドレンズアレイの場合は、ロッドレンズ間の隙間が最小になるように俵積み状に配列されていることが好ましい。
【0040】
本発明のロッドレンズアレイは、m=X0/D(X0:視野半径、D:ロッドレンズの配列ピッチ、X0=−r1cos(Z0π/P)、r1は屈折率分布型ロッドレンズの有効半径、Z0は屈折率分布型ロッドレンズの長さ、Pは屈折率分布型ロッドレンズの周期長すなわちP=2π/gである。)で表される重なり度(m)が、1段配列のロッドレンズアレイの場合は1.05≦m≦1.28、1.53≦m≦1.8、2.03≦m≦2.3、または、m≧2.5であることが好ましい。重なり度(m)を上記の範囲内とすることにより光量斑を小さくすることができる。2段配列のロッドレンズアレイの場合は0.87≦m≦1、1.1≦m≦1.23、または、m≧1.33であることが好ましい。また、出射光量を大きくする目的で、1段配列のロッドレンズアレイの場合に1.05≦m≦1.28、または、1.53≦m≦1.8、2段配列のロッドレンズアレイの場合に0.87≦m≦1、または、1.1≦m≦1.23とすることがより好ましい。重なり度(m)をこれらの範囲にすることにより、ロッドレンズアレイの出射光量を大きくできるとともに、光量斑を比較的小さくすることができる。また、共役長(Tc)を短くすることができ、光学系をコンパクトにすることもできる。
【0041】
本発明のロッドレンズアレイは、共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズアレイを用いてイメージセンサを構成した場合に、非常にコンパクトなサイズにすることができ、小型のハンドスキャナ等に適している。また、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラーイメージセンサを得ることができる。さらに、出射光量が大きいため、高速の読み取りが可能なイメージセンサを得ることができる。
【0042】
本発明のロッドレンズアレイは公知の方法で製造される。例えば、まず、一定の長さに切断したロッドレンズを、2枚の基板間にロッドレンズ同士が密着するように平行に配列して固定する。この状態で、カーボンブラック等の遮光剤の入った接着剤をロッドレンズ間およびロッドレンズと基板間に形成される隙間に注入して硬化させる。その後、必要に応じてこのロッドレンズアレイを所望の長さに切断し、ダイヤモンド切削等による端面の鏡面化処理を施す。
【0043】
次に、本発明のロッドレンズプレートについて説明する。
本発明のロッドレンズプレートは、本発明のロッドレンズの複数本がロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2次元配列され、ロッドレンズの光軸に垂直な平面上においてロッドレンズが互いに異なる二つの方向に配列されて構成される。ロッドレンズ間の固定には接着剤等が用いられる。隣接するレンズは互いに密着させ俵積み状に配列してもよいし、一定の隙間をおいて配列してもよい。この場合、ロッドレンズとロッドレンズの間の隙間は一定とすることが好ましい。
【0044】
本発明のロッドレンズプレートは、2次元配列されているため広い面積の情報を読み取るイメージセンサ等に用いることができる。また、本発明のロッドレンズプレートは共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズプレートを用いてイメージセンサを構成した場合に、非常にコンパクトにすることができ、指紋認証用の小型のイメージセンサ等に適している。また、本発明のロッドレンズプレートは共役長(Tc)が短いため、このロッドレンズプレートを用いて表示装置を構成した場合に、非常にコンパクトなサイズにすることができるため、モバイル機器用の小型の表示装置等に適している。さらに、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラーイメージセンサやカラー画像の表示装置を得ることができる。さらに、出射光量が大きいため、高速の読み取りが可能なイメージセンサや明るい表示装置を得ることができる。
【0045】
本発明のロッドレンズプレートは公知の方法で製造される。例えば、まず、一定の長さに切断したロッドレンズを俵積み状に2次元にレンズ同士が密着するように平行に配列して固定する。この状態でカーボンブラック等の遮光剤の入った接着剤をレンズ間に形成される隙間に注入して硬化させる。その後、必要に応じてこのロッドレンズプレートを所望の長さに切断し、ダイヤモンド切削や光学研磨等の手段を用いて端面に鏡面化処理を施す。また、ロッドレンズプレート端面での反射による光量の損失を小さくするために反射防止コーティングを施してもよい。
【0046】
次に、本発明のイメージセンサについて説明する。
本発明のイメージセンサは、光を受光し電気信号に変換する光電変換素子と、読み取り原稿を照明するための光源と、読み取り原稿からの反射光を前記光電変換素子に結像する本発明のロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを基本構成とする。さらに、原稿を安定に固定するためのカバーガラス等を備えていてもよい。
【0047】
本発明のイメージセンサで用いる光源は、原稿面を照明するためのものであり、白熱電球、冷陰極管、LED等が用いられ、特定波長の光を利用しやすい点からLEDが好ましい。これら光源は、特定波長をカットする目的でフィルタ素子と組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明のイメージセンサは、発光波長の異なる複数種のLEDを用いてカラーイメージセンサとすることもできる。この場合、光源が、青色、緑色および赤色(RGB)の3色にそれぞれ相当する発光波長の異なる複数のLEDから構成されていることが好ましい。カラーイメージセンサとして用いる場合、LEDの発光波長のピークは、色再現性を良くする目的から、それぞれ450〜480nm(青)、510〜560nm(緑)、600〜660nm(赤)とすることが好ましい。このような光源を備えた照明装置においては、光源から導光体に光が入射し、導光体からの出射光が原稿面を照明するように構成されている。
【0049】
例えば、照明装置は、光源である赤色のLED、緑色のLED、青色のLEDの3色のLEDが一つにパッケージングされたRGBの3色のLED光源と、アクリル樹脂等の光透過性に優れた部材からなる導光体とから構成される。RGBの3色のLED光源は、導光体の長手方向の端部の片側あるいは端部の両側に導光体へ光が入射するように配置されており、入射した光は導光体と空気との界面で全反射を繰り返し導光体中を伝搬していく。
【0050】
次に、本発明のイメージセンサの動作について、カラーイメージセンサを例に挙げて説明する。カバーガラスへ押しつけられて支持された原稿に、照明装置により斜め方向からRGBの3色の光を切り替えて順次照明する。原稿から反射したRGBの3色の色情報を持った光は、ロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートにより光電変換素子上へ結像される。光電変換素子は、RGBの3色の色情報を持った光を電気信号に変換する。電気信号に変換された画像情報は、コンピュータ等を備えたシステム部へ伝送され、システム部において、RGBの3色の電気信号を処理してカラー画像が再現される。
【0051】
本発明のイメージセンサは、光学系がコンパクトであるため、ハンドスキャナ等の読取装置に用いた場合に装置自体を小型化できる。また、本発明のイメージセンサはカラー特性に優れているため、鮮明なカラー画像の読み取りが可能であり、高解像度のカラースキャナ等に用いることができる。さらに、本発明のイメージセンサは出射光量の大きいロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートを用いているため、光源の出力を小さくしても十分に画像を伝送することができ、低消費電力で高速の読み取りが可能である。
【0052】
次に、本発明の指紋認証装置について説明する。
本発明の指紋認証装置は、本発明のロッドレンズプレートを用いた本発明のイメージセンサと、電気信号に変換された画像情報を処理し、あらかじめ登録された指紋と照合するコンピュータ等を備えたシステム部等から構成される。
【0053】
本発明の指紋認証装置の動作について説明する。カバーガラス等の上から所定の位置に押しつけて支持した指先に、照明装置により所定の波長の光を照明する。指先の指紋から反射した光は、ロッドレンズプレートにより光電変換素子上へ結像される。光電変換素子により電気信号に変換された指紋の画像情報は、コンピュータ等を備えたシステム部へ伝送され、システム部において処理され、あらかじめ登録された指紋と照合が行われる。あらかじめ登録された指紋と一致した場合は、システム部から開錠等の指令が出され、開錠等が行われる。また、あらかじめ登録された指紋と一致しない場合は、システム部からロックや警告等の指令が出され、ロックや警告等が行われる。
【0054】
本発明の指紋認証装置は、光学系がコンパクトであるため、適用する装置を小型化することができる。また、本発明の指紋認証装置は、出射光量の大きいロッドレンズプレートを用いているため、光源の出力が小さくても十分に画像を伝送することができ低消費電力となる。
【0055】
次に、本発明の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータについて説明する。 本発明の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータは、本発明のイメージセンサまたは指紋認証装置を内蔵することを特徴とする。本発明のイメージセンサを携帯電話、携帯情報端末またはコンピュータに内蔵させる場合、イメージセンサを用いて名刺や画像等の情報を読み取り、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータで加工し、通信手段を利用して情報を送信することができる。イメージセンサで画像情報等を読み取る際には、携帯電話や携帯情報端末の場合は例えば内蔵されたイメージセンサをハンドスキャンして画像を読み取ることができ、コンピュータの場合はキーボード部分または液晶パネル部分にシートフィード型スキャナとして内蔵させ、これを用いて画像を読み取ることができる。
【0056】
また、本発明の指紋認証装置が内蔵されている携帯電話、携帯情報端末またはコンピュータにおいては、内蔵されている本発明の指紋認証装置により、あらかじめ登録された指紋と照合することにより使用者本人であるかを確認し、登録された指紋と一致して本人であることが確認された場合に、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータを使用可能とすることができる。
さらに、本発明の携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータは、本発明のイメージセンサまたは指紋認証装置を使用しているためコンパクトで、低消費電力である。
【0057】
また、これら携帯電話、携帯情報端末およびコンピュータ(ノート型パーソナルコンピュータ)は、室内で据え置きの状態で用いられるばかりでなく、室外や屋外で移動中に用いられることがあり、ガラス製のロッドレンズアレイを用いた場合はロッドレンズの割れや欠けによる特性の劣化のおそれがあるが、プラスチック製のロッドレンズアレイを用いる場合は、移動時での使用における衝撃を受けても割れや欠けのおそれがなくなる。
【0058】
次に、本発明のプリンタについて説明する。
本発明のプリンタは、本発明のロッドレンズアレイまたはロッドレンズプレートを用いて構成されたものであり、例えば、光源であるLEDをアレイ状に配列したLEDチップ、本発明のロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートと感光ドラムからなるLEDヘッド、感光ドラム上において検知された光学情報に基づいてトナーを紙に転写する印画部とから構成される。本発明のプリンタにおいて、印刷方式は特に限定されるものではないが、タンデム方式を採用することが、高速のカラー印刷が可能となることから好ましい。
【0059】
本発明のプリンタは、本発明のロッドレンズアレイあるいははロッドレンズプレートを使用することにより、光学系が非常にコンパクトになり、解像度も高いため600dpi以上の高解像度としても印画斑を抑制することができ、優れた印字特性を有する。
また、本発明におけるプリンタの光源は、LEDアレイに限られるものではなく、液晶シャッター、ELアレイ等の光源を使用することもできる。
【0060】
次に、本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は、本発明のロッドレンズプレートを用いて構成されたものであり、例えば、表示画像を形成する画像光源としてのディスプレイと、本発明のロッドレンズプレートと、スクリーンまたは空間とから構成される。ディスプレイ、ロッドレンズプレート、スクリーンまたは空間の配置は、ロッドレンズプレートを通してディスプレイの表示画像の正立等倍像をスクリーン(または空間)に結像させるように配置することが好ましく、ロッドレンズプレートとディスプレイの表示画像位置との空気層換算の光学距離が、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との空気層換算の光学距離とほぼ等しく、その空気層換算の光学距離の2倍とロッドレンズプレート厚み(レンズ長)の合計がロッドレンズプレートの共役長となるように配置されていることが好ましい。
【0061】
本発明の表示装置において、ディスプレイは特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管等の2次元表示が可能なディスプレイを用いることができる。また、スクリーンとしては、一般的に使用されている公知のものを用いることができる。また、ディスプレイとロッドレンズプレートとの間、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との間には、透明なカバーガラス、プラスチックフィルム、フィルター、マイクロレンズ等を配置してもよい。また、ディスプレイとロッドレンズプレートの間、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間の間には、目的に応じて拡大または縮小のためのレンズを配置してもよい。この場合、ディスプレイとロッドレンズプレートとの間隙、ロッドレンズプレートとスクリーンまたは空間との間隔は適宜設定することができる。
【0062】
本発明の表示装置は、本発明のロッドレンズプレートを使用することにより、画像光源としてのディスプレイに表示された画像を、ディスプレイの画像表示位置から離れた位置にあるスクリーンまたは空間に結像することができるため、画像が見やすくなるとともに、画像が浮き上がったよう見える等の効果が得られる。特に、空間に結像させる場合は、画像が空中に浮かんでいるように見えるため、臨場感ある画像を表示することができる。また、本発明のロッドレンズプレートを用いることにより表示装置の厚さを薄くすることができる。このため、モバイル機器用の小型の表示装置等に特に適している。また、異なる波長に対する共役長(Tc)の差が小さくなるために、カラー特性が向上し、高解像度のカラー画像を表示することができる。さらに、出射光量が大きいため、明るい表示装置を形成することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例において屈折率分布の測定は、カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて公知の方法で行った。
【0064】
(実施例1)
第1層形成原液
ポリメチルメタクリレート52質量部、ベンジルメタクリレート35質量部、メチルメタクリレート13質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部およびハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液とした。
【0065】
第2層形成原液
ポリメチルメタクリレート48質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、メチルメタクリレート35質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート7質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液とした。
【0066】
第3層形成原液
ポリメチルメタクリレート47質量部、メチルメタクリレート30質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート23質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液とした。
【0067】
第4層形成原液
ポリメチルメタクリレート40質量部、メチルメタクリレート18質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート42質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液とした。
【0068】
第5層形成原液
ポリメチルメタクリレート37質量部、メチルメタクリレート4質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート59質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液とした。
【0069】
なお、クロストーク光やフレア光を抑制する目的で、加熱混練前の第3層、4層および第5層用の各原液中には、原液全体に対して青色染料(日本化薬社製Blue ACR)0.12質量%、黄色染料(三井東圧染料社製MS Yellow HD−180)0.10質量%、マゼンダ染料(三井東圧染料社製MS Magenta HM−1450)0.08質量%を添加した。
【0070】
この5種類の原液を、中心から順次、硬化後の屈折率が低くなるように配列して同心円状の5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、5層構造の積層糸状体とした。複合紡糸ノズルの温度は40℃であった。各層の吐出量比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(1層目においては半径)の比に換算して、1層目/2層目/3層目/4層目/5層目=35/38/20/6/1とした。
【0071】
次いで、複合紡糸ノズルから押し出された積層糸状体を、ニップローラーで300cm/分の速度で引き取り、長さ30cmの相互拡散処理部(窒素流量は72L/分)を通した。次いで、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(第1光照射部)、2kWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(第2光照射部)の中心上に、積層糸状体を順次通過させて硬化させた。得られたレンズ原糸の半径は0.24mmであった。
【0072】
このレンズ原糸を125℃の雰囲気下で2.2倍に延伸し、140℃の雰囲気下で緩和率が10/11になるように緩和処理を行いロッドレンズを得た。得られたロッドレンズは、半径が0.17mm、中心屈折率が1.513、中心軸から外周部に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(1)に近似され、525nmの波長における屈折率分布定数(g)が1.51mm−1であった。また、ロッドレンズの外周面から中心部に向かって約47μmの範囲に染料がほぼ均一に分散された光吸収剤含有層が形成されていた。
【0073】
得られたロッドレンズを、中心軸に垂直な面で両端面が鏡面となるようにダイヤモンド切削してレンズ長2.52mmとした。このロッドレンズの525nmにおける共役長(Tc)は5.03mm、630nmにおける共役長(Tc)は5.33mm、470nmにおける共役長(Tc)は4.79mmであった。
【0074】
(実施例2)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ667本を、2枚のフェノール樹脂製基板(厚さ0.5mm)の間に俵積み状に2列に密着配列し、その隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間およびロッドレンズと基板間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、実施例1と同様にダイヤモンド刃で鏡面切削し、レンズ長が2.52mmのA4サイズ(幅227mm)のロッドレンズアレイを製造した。
【0075】
このロッドレンズアレイの470nm、525nm、630nmにおける共役長(Tc)は、それぞれ4.79mm、5.03mm、5.33mmであり、630nmと470nmの共役長(Tc)の差は0.54mmであった。また、525nmにおける重なり度(m)は1.11であった。
【0076】
このロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーを備えたシートフィードタイプの非常にコンパクトなカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられたカラー画像が得られた。
【0077】
(実施例3)
実施例2と同様にして作製されたA4サイズのロッドレンズアレイを幅5cmに切断したものと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーを備えた超コンパクトタイプのカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみのないカラー画像が得られた。
【0078】
(実施例4)
実施例2と同様にして作製されたA4サイズのロッドレンズアレイを用いて、解像度600dpiのコンパクトなLEDプリンタ(LEDの発光波長630nm)を作製した。このプリンタで600dpiのテストチャートをプリントしてみたところ良好な印字が得られた。
【0079】
(実施例5)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ約4000本を、縦20mm、横20mmの枠内にロッドレンズの光軸が互いに平行になるように2次元に俵積み状に密着配列し、ロッドレンズの隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、実施例1と同様にダイヤモンド切削によりで鏡面化し、レンズ長が2.52mmの縦20mm×横20mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、5.03mmであった。
【0080】
このロッドレンズプレートと、発光波長525nmのLEDと、受光センサーと、システム部とを備えた指紋認証装置を作製し、この指紋認証装置を内蔵した携帯電話を作製した。指紋認証装置の指紋読み取り部分は、縦20mm×横20mm程度であり、厚みも10mm以下であるため、内蔵させても携帯電話のコンパクト性を損なうことはなかった。なお、指紋認証装置は、あらかじめ登録された使用者本人の指紋であることが照合により確認された場合に携帯電話が使用できるようになり、確認されない場合には携帯電話が使用できないというように動作するように設定した。
【0081】
この携帯電話の指紋認証装置を用いて、使用者本人が指紋を読み取らせたところ、指紋を正常に読み取り、照合により本人の指紋であることが確認され、携帯電話が使用可能になった。次に、他人の指紋を読み取らせたところ、照合により本人の指紋でないことが確認されたため、携帯電話は使用できなかった。
【0082】
(比較例1)
ニップローラーでの引き取り速度を200cm/分に変え、延伸処理および緩和処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして、半径0.294mmのロッドレンズを得た。得られたロッドレンズは、中心屈折率は1.513、中心軸から外周部に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(1)に近似され、525nmの波長における屈折率分布定数(g)が0.89mm−1であった。また、ロッドレンズの外周面から中心部に向かって約79μmの範囲に染料がほぼ均一に分散する光吸収剤含有層が形成されていた。
【0083】
得られたロッドレンズを、中心軸に垂直な面で両端面が鏡面となるようにダイヤモンド切削してレンズ長4.1mmとした。このロッドレンズの525nmにおける共役長(Tc)は9.8mm、630nmにおける共役長(Tc)は10.6mm、470nmにおける共役長(Tc)は9.2mmであった。
【0084】
(比較例2)
比較例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ386本を用いて、実施例2と同様にして、レンズ長が4.1mmのA4サイズのロッドレンズアレイを製造した。このロッドレンズアレイの470nm、525nm、630nmにおける共役長(Tc)は、それぞれ9.2mm、9.8mm、10.6mmであり、630nmと470nmの共役長(Tc)の差は1.4mmであった。また、525nmにおける重なり度(m)は1.72であった。
【0085】
このロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーとを備えたシートフィードタイプのコンパクトなカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0086】
(比較例3)
比較例2と同様にして作製されたロッドレンズアレイと、発光波長がそれぞれ470nm、525nm、630nmの3種のLEDと、受光センサーとを備えたカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0087】
(実施例6)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ約100000本を、縦100mm、横100mmの枠内にロッドレンズの光軸が互いに平行になるように2次元に俵積み状に密着配列し、ロッドレンズの隙間に接着剤(カーボンブラック2質量%を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、ロッドレンズ間の接着剤を硬化した。その後、両端面を切断して、両端面を光学研磨して鏡面とし、レンズ長が2.40mmの縦100mm×横100mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。
【0088】
このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、5.90mmであった。このロッドレンズプレートと、縦100mm×横100mmのサイズの液晶ディスプレイ、厚さ2.61mmのポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)製の透明なカバープレートを、液晶ディスプレイの表示位置とロッドレンズプレートの空気層換算の光学距離が1.75mmになるように平行に配置し、ロッドレンズプレートの反対側の面にカバープレートを密着させて配置させて表示装置を構成した。
【0089】
この表示装置を用いて、液晶ディスプレイのカラーの表示画像をロッドレンズプレートを通して、カバープレートのロッドレンズプレートに接していない側の面上に正立等倍像を結像させて表示した。この表示装置は、カバープレート上にカラー画像が表示されているように見えるため非常に見やすかった。
【0090】
(実施例7)
実施例6と同様の方法で、レンズ長が2.15mmの縦100mm×横100mmのサイズのロッドレンズプレートを製造した。このロッドレンズプレートの525nmにおける共役長(Tc)は、17.85mmであった。このロッドレンズプレートと、縦100mm×横100mmのサイズの液晶ディスプレイ、厚さ2.61mmのポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)製の透明なカバープレートを、液晶ディスプレイの表示位置とロッドレンズプレートの空気層換算の光学距離が7.85mmになるように平行に配置し、ロッドレンズプレートの反対側の面にカバープレートを密着させて配置させて表示装置を構成した。
【0091】
この表示装置を用いて、液晶ディスプレイのカラー表示画像をロッドレンズプレートを通して、カバープレート側の空間に正立等倍像を結像させて、表示した。この表示装置は、カバープレートから6.1mm離れた空間に画像が浮き上がって表示されているように見え、臨場感あふれるカラー画像の表示が可能であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、カラー特性に優れ、更に共役長が短く光学系のコンパクト化が可能なロッドレンズ、およびこれを用いたロッドレンズアレイ並びにロッドレンズプレートを提供することができる。また、このようなロッドレンズアレイあるいはロッドレンズプレートを用いることで、コンパクトで高速の読み取りが可能なイメージセンサ、コンパクトで低消費電力の指紋認証装置、コンパクトでカラー特性に優れた表示装置を提供することができる。また、このような指紋認証装置を内蔵することで、コンパクトで低消費電力の携帯電話、携帯情報端末、コンピュータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロッドレンズの原糸を製造するための装置を示す概略構成図である。
【図2】ロッドレンズの原糸の加熱延伸および緩和処理を行う装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
5 積層糸状体
6 相互拡散部
7 硬化処理部
8 引き取りローラー
9 レンズ原糸
11 不活性ガス導入口
12 不活性ガス排出口
13 同心円状複合紡糸ノズル
14 第1引き取りローラー
15 第2引き取りローラー
16 第3引き取りローラー
17 加熱炉(延伸)
18 加熱炉(緩和)
Claims (12)
- 中心軸から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッドレンズであって、
中心軸に垂直な断面において、半径rが0.04mm以上0.2mm以下であり、少なくとも中心軸から0.3rと0.7rとの間の範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線で近似される分布を有しており、
前記式(1)で示される屈折率分布定数gは、525nmの波長において、1.2mm−1≦g≦6.6mm−1および0.2<g・r≦0.3を満たすロッドレンズ。 - 外周面から中心軸に向かう50μm以内の範囲であって中心軸から0.6r以上の範囲に、可視光および近赤外光の領域のうち少なくとも一部の波長域の光を吸収する光吸収剤を含有する層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズ。
- 525nmの波長の光についての有効半径Rが、0.6r〜0.8rであることを特徴とする請求項1または2に記載のロッドレンズ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように1列以上に配列してなることを特徴とするロッドレンズアレイ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロッドレンズをロッドレンズの光軸方向が互いに平行になるように2次元に俵積み状に配列してなることを特徴とするロッドレンズプレート。
- 請求項4に記載のロッドレンズアレイまたは請求項5に記載のロッドレンズプレートを用いたイメージセンサ。
- 請求項5に記載のロッドレンズプレートを用いた指紋認証装置。
- 請求項6に記載のイメージセンサまたは請求項7に記載の指紋認証装置を内蔵した携帯電話。
- 請求項6に記載のイメージセンサまたは請求項7に記載の指紋認証装置を内蔵した携帯情報端末。
- 請求項6に記載のイメージセンサまたは請求項7に記載の指紋認証装置を内蔵したコンピュータ。
- 請求項4に記載のロッドレンズアレイまたは請求項5に記載のロッドレンズプレートを用いたプリンタ。
- 請求項5に記載のロッドレンズプレートを用いた表示装置。
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- 2003-07-03 JP JP2003191127A patent/JP2004086195A/ja active Pending
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