JP2004085939A - 光導波路部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低損失で光結合できるモード変換部を精度良く、かつ容易に形成できる光導波路部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光導波路部品1の製造方法は、光導波路部品1のコア2にフェムト秒パルスレーザ5を集光照射し、モード変換部7を形成する光導波路部品1の製造方法であって、該コア2の側方よりフェムト秒パルスレーザ5を集光照射し、該モード変換部7を形成する構成とする。前記モード変換部7を、コアの一方端2a側の屈折率が高く、コア2の光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコア2の屈折率となるように形成することが好ましい。またコアの一方端2a側からコア2の光の伝搬方向に沿って、走査速度が連続的に増加するようにフェムト秒パルスレーザ5の集光点6を走査することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の光導波路部品1の製造方法は、光導波路部品1のコア2にフェムト秒パルスレーザ5を集光照射し、モード変換部7を形成する光導波路部品1の製造方法であって、該コア2の側方よりフェムト秒パルスレーザ5を集光照射し、該モード変換部7を形成する構成とする。前記モード変換部7を、コアの一方端2a側の屈折率が高く、コア2の光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコア2の屈折率となるように形成することが好ましい。またコアの一方端2a側からコア2の光の伝搬方向に沿って、走査速度が連続的に増加するようにフェムト秒パルスレーザ5の集光点6を走査することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路のモードフィールド径が異なる光部品を接続する際に、そのモードフィールド径を整合するためのモード変換部を有する光導波路部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に受光素子、発光素子、基板型光導波路部品などの光部品と、光経路となる光ファイバとは、コアの比屈折率差、コア径が異なるため、モードフィールド径が異なった値となる。このため光ファイバを光部品に接続した場合、モードフィールド径の差によって、接続損失が生じる。更に、接続部で信号光の一部が反射され、送信側に到達し、光伝送システムの信号光伝達機能を大幅に低下させてしまうこととなる。このため、このモードフィールド径の差によって生じる不具合を抑えるために、モード変換部を有する光部品が提案されている。モード変換部とは、接続部でのモードフィールド径が、接続する光ファイバなどの光経路や光部品のものと同等となるように、コアの比屈折率差、コア径が調整され、更にこのコアの比屈折率差、コア径が光の伝搬方向に徐々に変化し、光導波路部品のコアと同一の値となるように形成されたものである。これにより光ファイバなどを接続するとき、モードフィールド径の差によって生じる接続損失を低減することができる。
【0003】
例えば、光ファイバ母材を溶融線引きする際、発生する応力が残留するように光ファイバを製造し、この光ファイバの所望の位置を加熱し、コアの残留応力を緩和してコアの比屈折率差を増加させ、モードフィールド径を小さくすることが開示されている(特許文献1参照。)。これにより加熱処理を行った部分のモードフィールド径のみを小さくして、接続する光ファイバや光部品のモードフィールド径との差を低減することができる。この方法では、加熱時間を制御することによって、残留応力の緩和量を調整でき、これによりモードフィールド径を所望の値とすることができる。しかし、調整できるモードフィールド径の値は、光ファイバ母材のコアとなる部分の比屈折率差によって制限される。このため接続する光ファイバや光部品のモードフィールド径に応じて、光ファイバ母材を用意し、モードフィールド変換機能を有する光ファイバを製造する必要がある。
【0004】
また、石英系光導波路部品のコアに炭酸ガスレーザを集光照射し、コアに含有されたドーパントをクラッドに拡散させ、これによりモードフィールド径を所望の値にする方法が開示されている(特許文献2参照。)。この方法では、コアにドーパントを含有していない純粋石英コア光ファイバなどには適用できない問題がある。
【0005】
更に、光部品のコアの一端からフェムト秒パルスレーザを入射させて、一方端側の屈折率が高く、この一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って徐々に屈折率が減少してコアの屈折率となるような屈折率勾配を形成し、モード変換部とする光部品の製造方法が提案されている(特許文献3参照。)。この方法では、4〜6μJの高強度のパルス光を光部品端面に集光照射するため、光部品端面にアブレーション跡が残る問題がある。他の光部品及び光伝送路との接続部分である端面にアブレーションが生じると接続損失は著しく劣化する。またコアの一端からレーザを照射するため、例えばモード変換部を形成しながら、コアにモニタ光を伝搬させて接続損失を測定することができず、精度良く接続損失のほとんどないモード変換部を形成することができない問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−51147号公報
【特許文献2】
特開平9−258049号公報
【特許文献3】
特開2002−182045号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、上記した事情に鑑みなされたものである。すなわち光部品のモードフィールド整合をとり、低損失で光結合できるモード変換部を精度良く、かつ容易に形成できる光導波路部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、光導波路部品のコアにフェムト秒パルスレーザを集光照射し、モード変換部を形成する光導波路部品の製造方法であって、
該コアの側方よりフェムト秒パルスレーザを集光照射し、該モード変換部を形成することを特徴とする光導波路部品の製造方法である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、前記モード変換部を、コアの一方端側の屈折率が高く、コアの光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコアの屈折率となるように形成することを特徴とする請求項1に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0010】
請求項3にかかる発明は、コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が連続的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0011】
請求項4にかかる発明は、コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が段階的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0012】
請求項5にかかる発明は、前記光導波路部品が石英ガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、前記光導波路部品が光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の光導波路部品の製造装置を示す。光導波路部品1には、光経路となるコア2が形成された石英ガラスを使用する。コア2は、例えば屈折率を高める効果を有するゲルマニウムなどのドーパントが、所望量添加されて形成されたものである。この光導波路部品1をXYZステージ(図示省略)に固定し、光導波路部品1を精密にx、y、z軸方向に移動できるようにする。光導波路部品1の上方に、チタンサファイアレーザを用いたレーザ装置3を設け、更に対物レンズ4を設置する。このレーザ装置3からフェムト秒パルスレーザ光5を出射し、対物レンズ4により光導波路部品1のコア2に集光照射する。集光点6において、しきい値以上の電場強度が得られると、集光点6付近に屈折率変化が誘起され、コア2の屈折率が増加する。
【0015】
本実施形態では、集光点6を相対的に走査させ、モード変換部7を形成する。このとき集光点6の走査速度を調整することによって、所望のモード変換部7が形成できる。図2は、予備実験として、純粋石英ガラスにフェムト秒パルスレーザ光を照射したときの屈折率増加量と走査速度との関係を示す。ここで、照射条件は、中心波長800nm、パルス幅180fs、繰り返し周波数200kHzである。集光点6の走査速度が速いほど、単位面積当たりのフェムト秒パルスレーザ光5の照射回数は減少し、誘起による屈折率増加量は減少することがわかる。本実施形態では、この結果をもとにして、モード変換部7を形成する。
【0016】
まず光導波路部品1の上方より、コアの一方端2aにフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射し、このコアの一方端2aでのモードフィールド径が、光導波路部品1に接続する光ファイバや光ファイバアレイなどの光部品のモードフィールド径とほぼ同等とする。
【0017】
次にレーザ装置3を固定した状態で、XYZステージ(図示省略)にて光導波路部品1を移動させることによって、集光点6を相対的に走査させる。図3は、本実施形態の集光点6の走査加速度、走査速度と、形成されたモード変換部7の比屈折率差を示す。0.1mm/s2の一定の加速度で集光点6を走査する。これにより図3(c)に示されたように、コアの一方端2aの比屈折率差が高く、この一方端2aから光の伝搬方向に沿って、比屈折率差が徐々に低減しコア2の比屈折率差となるものとする。このコアの一方端2aから比屈折率差がコア2となるまでが、モード変換部7となる。フェムト秒パルスレーザ光5の集光点6の走査加速度、走査距離(以下、加工長と示す)を適宜調整することによって、モード変換部7の屈折率勾配を所望のものとすることができる。
【0018】
本実施形態では、コア2の上方よりフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射し、更にこの集光点6を走査してモード変換部7を形成する。このため従来のように、コアの一端面2aの表面のみからフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射するものでなく、これによりコアの一端面2aの表面にアブレーション跡が残ることが無い。
【0019】
また接続面となるコアの一方端2aは、光導波路部品1に接続する光部品のモードフィールド径とほぼ同等のモードフィールド径とする。このため形成されたモード変換部7は、接続面となるコアの一方端2aでは、モードフィールド径の差による接続損失を抑制できる。更に一定の加速度で集光点6を走査してモード変換部7を形成しており、これにより図3(c)に示されたように、比屈折率差は急激に変化することなく、緩やかな屈折率勾配とすることができる。このためコアの一方端2aより入射した光は、損失がほとんど無くモード変換部7を伝搬することができる。
【0020】
また、本実施形態では、光導波路部品1が石英ガラスであり、耐薬品性、耐環境性に優れ、比較的安価で入手しやすく、かつパルスレーザ光5による屈折率の増加量が大きい。これによりモード変換部7を有する光導波路部品1を安価で、容易に製造できる。また石英ガラスを用いることによって、光学特性に優れた光導波路部品1を製造できる。光導波路部品1に代えて光ファイバを用いても同様の効果が得られる。
【0021】
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、集光点6を走査する方法として、対物レンズ4の下部にガルバノミラーを設け、光導波路部品1を固定した状態で、このガルバノミラーの傾斜角度を所望の角速度で変化させる方法であっても構わない。また集光点6は、複数回走査しても構わない。フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射したコア2に、再度フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射することによって、コア2に再び屈折率変化を誘起させることが可能である。走査回数を増やすことによって、コア2の屈折率を増加させることができる。このため所望の回数走査することで、コア2の屈折率を所望の値として、モード変換部7を形成できる。
【0022】
このように複数回フェムト秒パルスレーザ光5を走査する場合、一度集光点6を走査した後、モード変換部7の接続損失を測定することが好ましい。例えば、コアの一端部2aに接続する光部品から出射される光と同等のモードフィールド径を有するモニタ光を、コアの一端部2aから入射し、この光の接続損失を測定することで得られる。測定されたモード変換部7の接続損失を用いて、目的とする屈折率勾配を有するモード変換部7を形成するためのフェムト秒パルスレーザ光5の照射条件、走査速度などを算出し、この算出した条件に基づいて、再度フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射することができる。これにより精度良く目的とするモード変換部7を形成できる。
【0023】
[第2の実施形態]
本実施形態の光導波路部品1の製造方法の全体構成は、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、フェムト秒パルスレーザ光5の集光点6を段階的に走査する点である。図4は、本実施形態の集光点の走査速度と、形成されたモード変換部の比屈折率差を示す。図4(a)に示されたように、集光点6を一定の速度で所望の加工長まで走査し、次に更に速い速度とし、この速度を維持したまま所望の加工長まで走査する。これを繰り返し、モード変換部7を形成する。このようにして形成されたモード変換部7は、図4(b)に示されたように、光の伝搬方向に段階的な変化を持った比屈折率差となる。
【0024】
[第3の実施形態]
本実施形態の光導波路部品1の製造方法の全体構成は、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、コアの一方端2aでのモードフィールド径を、このコアの一方端2aに接続する光ファイバや光ファイバアレイなどの光部品のモードフィールド径とほぼ同等とする際、コアの一方端2aでの接続損失を測定しながら行う点である。図1において、光導波路部品1に接続する光部品(図示省略)を調心機(図示省略)に固定し、コアの一方端2aに十分に近づけて対置する。この光部品からコア2に、あるいはコア2から光部品にモニタ光を出射できるようにする。更にコア2の他端又は光部品に、コア2を伝搬したモニタ光の光強度を測定する測定部(図示省略)を設ける。これによりコアの一方端2aでの接続損失を測定できるようにする。
【0025】
まず光導波路部品1の上方より、コアの一方端2aにフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射する。次にフェムト秒パルスレーザ光5の照射を止め、コアの一方端2aに接続する光部品(図示省略)からモニタ光を出射し、このコアの一方端2aでの接続損失を測定する。接続損失が十分に低減し、このコアの一方端2aでのモードフィールド径が、接続する光部品(図示省略)のモードフィールド径とほぼ同等となるまで、この作業を繰り返す。本実施形態では、接続面となるコアの一方端2aでは、モードフィールド径が、接続する光部品(図示省略)のモードフィールド径と同等となるように精度良く形成でき、これによりモードフィールド径の差による接続損失がほとんど発生しない光導波路部品1が実現できる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、請求項1又は2に係る発明によれば、コアの側方よりフェムト秒パルスレーザを集光照射することによって、例えば接続する光部品をコアの一方端に対置させ、モニタ光を出射して接続損失を測定しながら、コアの一方端の比屈折率差を調整できる。これにより精度良くコアの一方端のモードフィールド径を調整でき、コアの一方端での接続損失を十分に低減することができる。
【0027】
また請求項3に係る発明によれば、コアの一方端側の屈折率が高く、コアの光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコアの屈折率となるように形成することによって、緩やかな屈折率勾配を形成でき、これによりコアの一方端より入射した光は、損失がほとんど無くモード変換部を伝搬することができる。
【0028】
更に請求項5又は6に係る発明によれば、耐薬品性、耐環境性に優れ、比較的安価で入手しやすく、かつパルスレーザによる屈折率の増加量が大きい。これによりモード変換部を有する光導波路部品を安価で、容易に製造できる。また光学特性に優れた光導波路部品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の光導波路部品の製造装置の一例を示す概略模式図である。
【図2】比屈折率差と走査速度との関係の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の走査加速度、走査速度と、モード変換部の比屈折率差の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の走査速度と、モード変換部の比屈折率差の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・光導波路部品,2・・・コア,2a・・・コアの一方端,5・・・フェムト秒パルスレーザ,6・・・集光点,7・・・モード変換部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路のモードフィールド径が異なる光部品を接続する際に、そのモードフィールド径を整合するためのモード変換部を有する光導波路部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に受光素子、発光素子、基板型光導波路部品などの光部品と、光経路となる光ファイバとは、コアの比屈折率差、コア径が異なるため、モードフィールド径が異なった値となる。このため光ファイバを光部品に接続した場合、モードフィールド径の差によって、接続損失が生じる。更に、接続部で信号光の一部が反射され、送信側に到達し、光伝送システムの信号光伝達機能を大幅に低下させてしまうこととなる。このため、このモードフィールド径の差によって生じる不具合を抑えるために、モード変換部を有する光部品が提案されている。モード変換部とは、接続部でのモードフィールド径が、接続する光ファイバなどの光経路や光部品のものと同等となるように、コアの比屈折率差、コア径が調整され、更にこのコアの比屈折率差、コア径が光の伝搬方向に徐々に変化し、光導波路部品のコアと同一の値となるように形成されたものである。これにより光ファイバなどを接続するとき、モードフィールド径の差によって生じる接続損失を低減することができる。
【0003】
例えば、光ファイバ母材を溶融線引きする際、発生する応力が残留するように光ファイバを製造し、この光ファイバの所望の位置を加熱し、コアの残留応力を緩和してコアの比屈折率差を増加させ、モードフィールド径を小さくすることが開示されている(特許文献1参照。)。これにより加熱処理を行った部分のモードフィールド径のみを小さくして、接続する光ファイバや光部品のモードフィールド径との差を低減することができる。この方法では、加熱時間を制御することによって、残留応力の緩和量を調整でき、これによりモードフィールド径を所望の値とすることができる。しかし、調整できるモードフィールド径の値は、光ファイバ母材のコアとなる部分の比屈折率差によって制限される。このため接続する光ファイバや光部品のモードフィールド径に応じて、光ファイバ母材を用意し、モードフィールド変換機能を有する光ファイバを製造する必要がある。
【0004】
また、石英系光導波路部品のコアに炭酸ガスレーザを集光照射し、コアに含有されたドーパントをクラッドに拡散させ、これによりモードフィールド径を所望の値にする方法が開示されている(特許文献2参照。)。この方法では、コアにドーパントを含有していない純粋石英コア光ファイバなどには適用できない問題がある。
【0005】
更に、光部品のコアの一端からフェムト秒パルスレーザを入射させて、一方端側の屈折率が高く、この一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って徐々に屈折率が減少してコアの屈折率となるような屈折率勾配を形成し、モード変換部とする光部品の製造方法が提案されている(特許文献3参照。)。この方法では、4〜6μJの高強度のパルス光を光部品端面に集光照射するため、光部品端面にアブレーション跡が残る問題がある。他の光部品及び光伝送路との接続部分である端面にアブレーションが生じると接続損失は著しく劣化する。またコアの一端からレーザを照射するため、例えばモード変換部を形成しながら、コアにモニタ光を伝搬させて接続損失を測定することができず、精度良く接続損失のほとんどないモード変換部を形成することができない問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−51147号公報
【特許文献2】
特開平9−258049号公報
【特許文献3】
特開2002−182045号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、上記した事情に鑑みなされたものである。すなわち光部品のモードフィールド整合をとり、低損失で光結合できるモード変換部を精度良く、かつ容易に形成できる光導波路部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、光導波路部品のコアにフェムト秒パルスレーザを集光照射し、モード変換部を形成する光導波路部品の製造方法であって、
該コアの側方よりフェムト秒パルスレーザを集光照射し、該モード変換部を形成することを特徴とする光導波路部品の製造方法である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、前記モード変換部を、コアの一方端側の屈折率が高く、コアの光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコアの屈折率となるように形成することを特徴とする請求項1に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0010】
請求項3にかかる発明は、コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が連続的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0011】
請求項4にかかる発明は、コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が段階的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法である。
【0012】
請求項5にかかる発明は、前記光導波路部品が石英ガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、前記光導波路部品が光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の光導波路部品の製造装置を示す。光導波路部品1には、光経路となるコア2が形成された石英ガラスを使用する。コア2は、例えば屈折率を高める効果を有するゲルマニウムなどのドーパントが、所望量添加されて形成されたものである。この光導波路部品1をXYZステージ(図示省略)に固定し、光導波路部品1を精密にx、y、z軸方向に移動できるようにする。光導波路部品1の上方に、チタンサファイアレーザを用いたレーザ装置3を設け、更に対物レンズ4を設置する。このレーザ装置3からフェムト秒パルスレーザ光5を出射し、対物レンズ4により光導波路部品1のコア2に集光照射する。集光点6において、しきい値以上の電場強度が得られると、集光点6付近に屈折率変化が誘起され、コア2の屈折率が増加する。
【0015】
本実施形態では、集光点6を相対的に走査させ、モード変換部7を形成する。このとき集光点6の走査速度を調整することによって、所望のモード変換部7が形成できる。図2は、予備実験として、純粋石英ガラスにフェムト秒パルスレーザ光を照射したときの屈折率増加量と走査速度との関係を示す。ここで、照射条件は、中心波長800nm、パルス幅180fs、繰り返し周波数200kHzである。集光点6の走査速度が速いほど、単位面積当たりのフェムト秒パルスレーザ光5の照射回数は減少し、誘起による屈折率増加量は減少することがわかる。本実施形態では、この結果をもとにして、モード変換部7を形成する。
【0016】
まず光導波路部品1の上方より、コアの一方端2aにフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射し、このコアの一方端2aでのモードフィールド径が、光導波路部品1に接続する光ファイバや光ファイバアレイなどの光部品のモードフィールド径とほぼ同等とする。
【0017】
次にレーザ装置3を固定した状態で、XYZステージ(図示省略)にて光導波路部品1を移動させることによって、集光点6を相対的に走査させる。図3は、本実施形態の集光点6の走査加速度、走査速度と、形成されたモード変換部7の比屈折率差を示す。0.1mm/s2の一定の加速度で集光点6を走査する。これにより図3(c)に示されたように、コアの一方端2aの比屈折率差が高く、この一方端2aから光の伝搬方向に沿って、比屈折率差が徐々に低減しコア2の比屈折率差となるものとする。このコアの一方端2aから比屈折率差がコア2となるまでが、モード変換部7となる。フェムト秒パルスレーザ光5の集光点6の走査加速度、走査距離(以下、加工長と示す)を適宜調整することによって、モード変換部7の屈折率勾配を所望のものとすることができる。
【0018】
本実施形態では、コア2の上方よりフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射し、更にこの集光点6を走査してモード変換部7を形成する。このため従来のように、コアの一端面2aの表面のみからフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射するものでなく、これによりコアの一端面2aの表面にアブレーション跡が残ることが無い。
【0019】
また接続面となるコアの一方端2aは、光導波路部品1に接続する光部品のモードフィールド径とほぼ同等のモードフィールド径とする。このため形成されたモード変換部7は、接続面となるコアの一方端2aでは、モードフィールド径の差による接続損失を抑制できる。更に一定の加速度で集光点6を走査してモード変換部7を形成しており、これにより図3(c)に示されたように、比屈折率差は急激に変化することなく、緩やかな屈折率勾配とすることができる。このためコアの一方端2aより入射した光は、損失がほとんど無くモード変換部7を伝搬することができる。
【0020】
また、本実施形態では、光導波路部品1が石英ガラスであり、耐薬品性、耐環境性に優れ、比較的安価で入手しやすく、かつパルスレーザ光5による屈折率の増加量が大きい。これによりモード変換部7を有する光導波路部品1を安価で、容易に製造できる。また石英ガラスを用いることによって、光学特性に優れた光導波路部品1を製造できる。光導波路部品1に代えて光ファイバを用いても同様の効果が得られる。
【0021】
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、集光点6を走査する方法として、対物レンズ4の下部にガルバノミラーを設け、光導波路部品1を固定した状態で、このガルバノミラーの傾斜角度を所望の角速度で変化させる方法であっても構わない。また集光点6は、複数回走査しても構わない。フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射したコア2に、再度フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射することによって、コア2に再び屈折率変化を誘起させることが可能である。走査回数を増やすことによって、コア2の屈折率を増加させることができる。このため所望の回数走査することで、コア2の屈折率を所望の値として、モード変換部7を形成できる。
【0022】
このように複数回フェムト秒パルスレーザ光5を走査する場合、一度集光点6を走査した後、モード変換部7の接続損失を測定することが好ましい。例えば、コアの一端部2aに接続する光部品から出射される光と同等のモードフィールド径を有するモニタ光を、コアの一端部2aから入射し、この光の接続損失を測定することで得られる。測定されたモード変換部7の接続損失を用いて、目的とする屈折率勾配を有するモード変換部7を形成するためのフェムト秒パルスレーザ光5の照射条件、走査速度などを算出し、この算出した条件に基づいて、再度フェムト秒パルスレーザ光5を集光照射することができる。これにより精度良く目的とするモード変換部7を形成できる。
【0023】
[第2の実施形態]
本実施形態の光導波路部品1の製造方法の全体構成は、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、フェムト秒パルスレーザ光5の集光点6を段階的に走査する点である。図4は、本実施形態の集光点の走査速度と、形成されたモード変換部の比屈折率差を示す。図4(a)に示されたように、集光点6を一定の速度で所望の加工長まで走査し、次に更に速い速度とし、この速度を維持したまま所望の加工長まで走査する。これを繰り返し、モード変換部7を形成する。このようにして形成されたモード変換部7は、図4(b)に示されたように、光の伝搬方向に段階的な変化を持った比屈折率差となる。
【0024】
[第3の実施形態]
本実施形態の光導波路部品1の製造方法の全体構成は、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、コアの一方端2aでのモードフィールド径を、このコアの一方端2aに接続する光ファイバや光ファイバアレイなどの光部品のモードフィールド径とほぼ同等とする際、コアの一方端2aでの接続損失を測定しながら行う点である。図1において、光導波路部品1に接続する光部品(図示省略)を調心機(図示省略)に固定し、コアの一方端2aに十分に近づけて対置する。この光部品からコア2に、あるいはコア2から光部品にモニタ光を出射できるようにする。更にコア2の他端又は光部品に、コア2を伝搬したモニタ光の光強度を測定する測定部(図示省略)を設ける。これによりコアの一方端2aでの接続損失を測定できるようにする。
【0025】
まず光導波路部品1の上方より、コアの一方端2aにフェムト秒パルスレーザ光5を集光照射する。次にフェムト秒パルスレーザ光5の照射を止め、コアの一方端2aに接続する光部品(図示省略)からモニタ光を出射し、このコアの一方端2aでの接続損失を測定する。接続損失が十分に低減し、このコアの一方端2aでのモードフィールド径が、接続する光部品(図示省略)のモードフィールド径とほぼ同等となるまで、この作業を繰り返す。本実施形態では、接続面となるコアの一方端2aでは、モードフィールド径が、接続する光部品(図示省略)のモードフィールド径と同等となるように精度良く形成でき、これによりモードフィールド径の差による接続損失がほとんど発生しない光導波路部品1が実現できる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、請求項1又は2に係る発明によれば、コアの側方よりフェムト秒パルスレーザを集光照射することによって、例えば接続する光部品をコアの一方端に対置させ、モニタ光を出射して接続損失を測定しながら、コアの一方端の比屈折率差を調整できる。これにより精度良くコアの一方端のモードフィールド径を調整でき、コアの一方端での接続損失を十分に低減することができる。
【0027】
また請求項3に係る発明によれば、コアの一方端側の屈折率が高く、コアの光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコアの屈折率となるように形成することによって、緩やかな屈折率勾配を形成でき、これによりコアの一方端より入射した光は、損失がほとんど無くモード変換部を伝搬することができる。
【0028】
更に請求項5又は6に係る発明によれば、耐薬品性、耐環境性に優れ、比較的安価で入手しやすく、かつパルスレーザによる屈折率の増加量が大きい。これによりモード変換部を有する光導波路部品を安価で、容易に製造できる。また光学特性に優れた光導波路部品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の光導波路部品の製造装置の一例を示す概略模式図である。
【図2】比屈折率差と走査速度との関係の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の走査加速度、走査速度と、モード変換部の比屈折率差の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の走査速度と、モード変換部の比屈折率差の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・光導波路部品,2・・・コア,2a・・・コアの一方端,5・・・フェムト秒パルスレーザ,6・・・集光点,7・・・モード変換部
Claims (6)
- 光導波路部品のコアにフェムト秒パルスレーザを集光照射し、モード変換部を形成する光導波路部品の製造方法であって、
該コアの側方よりフェムト秒パルスレーザを集光照射し、該モード変換部を形成することを特徴とする光導波路部品の製造方法。 - 前記モード変換部を、コアの一方端側の屈折率が高く、コアの光の伝搬方向に沿って屈折率が徐々に低減してコアの屈折率となるように形成することを特徴とする請求項1に記載の光導波路部品の製造方法。
- コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が連続的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法。
- コアの一方端側からコアの光の伝搬方向に沿って、走査速度が段階的に増加するようにフェムト秒パルスレーザの集光点を走査することを特徴とする請求項2に記載の光導波路部品の製造方法。
- 前記光導波路部品が石英ガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法。
- 前記光導波路部品が光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路部品の製造方法。
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JP2002247404A JP2004085939A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 光導波路部品の製造方法 |
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JP2017173358A (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-28 | 日本電信電話株式会社 | 光導波路部品およびその作製方法 |
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2002
- 2002-08-27 JP JP2002247404A patent/JP2004085939A/ja not_active Withdrawn
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