JP2004085665A - 音環境予測データ作成方法、音環境予測データ作成用プログラムおよび音環境予測システム - Google Patents

音環境予測データ作成方法、音環境予測データ作成用プログラムおよび音環境予測システム Download PDF

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Abstract

【課題】住宅の音環境をシミュレーションした予測音データを作成し、再生することで、音環境を体験することを可能とする。
【解決手段】コンピュータ3から住宅の構造、音源の位置と種類、受音点の位置に関する情報を入力し、サーバーコンピュータ1に転送する。サーバーコンピュータ1に接続されているデータベース2には住宅の各種仕様の透過損失特性などの音響特性に関する情報や音源波形データが格納されており、サーバーコンピュータ1は、入力された音源と受音点の位置から、音源と受音点とを結ぶ各経路について遮音周波数特性を算出し、遮音性能が最も良くない方から所定数番目までの経路のインパルス応答を求め、選択された種類の音源の音源波形データと畳み込み演算することにより、予測音波形データを生成する。これをパース図データとともにプレゼンテーションデータとしてコンピュータ3に返送する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建物における遮音性能などを体験することを可能とする音環境予測データ作成方法、音環境予測データ作成用プログラムおよび音環境予測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
マンションや一戸建てなどの住宅の販売を行うために、モデルルームや販売センター、住宅展示場などが設けられている。顧客は、そこで、住宅の構造や内装などを体験することができる。また、近年では、インターネットを使用した住宅のネット販売も行われており、インターネットに接続したコンピュータを用いて、その住宅の間取り、内装、構造などに関する情報を調査することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、モデルルーム、住宅展示場あるいはインターネット上の情報により、顧客は、物件の間取りや構造、内装などの情報を得ることができる。また、遮音性能などの音環境についても、その防音構造や遮音構造に関する説明図面などの情報を参照することができ、ある程度の知識を得ることができる。
しかしながら、いずれの場合でも、音を聞いてどの程度の遮音性能であるかを体験することはできなかった。
そこで本発明は、住宅の音環境をシミュレーションした予測音データを作成し、該予測音データを実際に再生することで、音環境を体験することを可能とする音環境予測データ作成方法、音環境予測データ作成用プログラムおよび音環境予測システムを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の音環境予測データ作成方法は、住宅の構造に関する情報を入力するステップ、音源の位置および種類を選択するステップ、受音点の位置を決定するステップ、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、前記経路のうち、遮音性能が最も良くない方から所定数の経路を選択するステップ、前記選択された経路のインパルス応答を算出するステップ、および、前記選択された音源の音源波形データと前記算出されたインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成するステップを含むものである。
また、前記予測音データを作成するステップにおいて、受音する部屋の残響特性を用いるようにしたものである。
さらに、前記予測音データを作成するステップにおいて、頭部伝達関数による補正を行うようにしたものである。
さらにまた、前記作成された予測音データに生活雑音データを加えたデータを予測音データとするようにしたものである。
さらにまた、さらに、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記受音点から見た当該住宅内部の様子を示す画像情報を作成するステップを含むものである。
【0005】
さらにまた、本発明の音環境予測データ作成用プログラムは、住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報に基づいて、当該受音点における予測音データを作成する処理をコンピュータに実行させる音環境予測データ作成用プログラムであって、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、前記経路のうち、遮音性能が最も良くない方から所定数の経路を選択するステップと、前記選択された経路のインパルス応答を算出するステップと、前記音源の音源波形データと前記算出したインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成するステップとを含むものである。
【0006】
さらにまた、本発明の音環境予測システムは、表示装置を有するコンピュータと、該コンピュータにネットワークを介して接続されたサーバーコンピュータとを有する音環境予測システムであって、前記コンピュータは、住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報を前記サーバーコンピュータに入力するとともに、前記サーバーコンピュータから出力される予測音データを出力する手段を有し、前記サーバーコンピュータは、前記コンピュータから入力される前記住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、該経路のうち遮音特性が最も良くない方から所定数の経路のインパルス応答を算出し、前記選択された音源の音源波形データと該算出したインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成する手段と、該作成した予測音データを前記コンピュータに転送する手段とを有するものである。
さらにまた、前記サーバーコンピュータは、さらに、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記受音点からみた当該住宅内部の様子を示す画像情報を生成する手段を有しており、前記転送する手段は、前記画像情報と前記予測音データを前記コンピュータに転送し、前記コンピュータは、転送された前記予測音データとともに前記画像情報を出力するようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の音環境予測データ作成方法および該音環境予測データ作成方法が実行される本発明の音環境予測システムの概要について説明する。図1は、本発明の音環境予測データ作成方法が実行される音環境予測システムの一実施の形態の全体構成を示す図であり、図2は、該音環境予測システムで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図1において、1はサーバーコンピュータ、2はサーバーコンピュータ1に接続されたデータベース、3はコンピュータ、4は前記サーバーコンピュータ1とコンピュータ3とを接続するインターネットなどのネットワークである。ここで、コンピュータ3は、例えば、モデルルームや販売センター、住宅展示場などに配置されており、顧客は、このコンピュータ3を用いて本発明により作成された音環境予測データの再生音をスピーカあるいはヘッドホンにより聴取することができる。
【0008】
図2は、本発明の音環境側システムにおいて実行される処理の流れを示す図であ。
ステップS1は、音環境予測データを作成するための各種情報を入力する入力処理であり、音環境の予測(シミュレーション)を行う対象となる住宅の間取り、形状、構造、仕様などの住宅の構造に関する情報と、音源の種類および位置を指定する情報と、受音点の位置を指定する情報が入力される。この処理は、前記コンピュータ3において使用者との間で対話的に実行され、この処理において入力された上述の情報は、前記ネットワーク4を介して前記サーバーコンピュータ1に転送される。
【0009】
次に、サーバーコンピュータ1において、前記ステップS1で入力された各種情報に基づいて、当該構造を有する住宅において、設定した音源からの音が受音点に到達する音(予測音)のデータを作成する音響処理が行われる(ステップS2)。サーバーコンピュータ1に接続されているデータベース2には、住宅の各種仕様(壁、サッシ、ドアなどの各種材料や仕様)についての透過損失表などの情報および上述した各種音源の音源波形データなどの情報が格納されており、前記サーバーコンピュータ1は、前記ステップS1で入力された住宅の構造に関する情報に基づいて前記データベース2を参照して、音源から受音点に到る経路の遮音特性データを算出し、該データと音源の音源波形データとに基づいて受音点における予測音波形データを作成する。
次に、前記入力された住宅の構造に関する情報に基づいて、前記受音点からみた当該住宅の内部の様子を示す画像情報(内観パース図)を作成する(ステップS3)。
そして、前記ステップS2で作成した予測音波形データおよび前記ステップS3で作成した画像情報とを結合して、プレゼンテーションデータを作成し(ステップS4)、これを、前記コンピュータ3に転送する(ステップS5)。
コンピュータ3では、転送されたプレゼンテーションデータを顧客に提示する(ステップS6)。
【0010】
図3は、前記コンピュータ3において実行される入力処理(ステップS1)およびプレゼンテーションデータ表示処理(ステップS6)の一例を示す図である。
図3の(a)は、前記ステップS1において、住宅の構造に関する情報のうちの間取り(平面図)を入力する様子を示す図である。この図に示すように、前記コンピュータ3の画面上に図中破線で示す基本グリッドが表示されており、操作者は、この基本グリッドに当該住宅(この例では、マンションなどの集合住宅の一室)の平面図を入力する。ここで、躯体構造や窓、ドア、サッシなどの各種仕様の標準仕様が予め準備されており、操作者は、それらを順次選択して前記基本グリッド上に配置することにより、容易に平面図を入力することができる。また、隣戸が異なる間取りであるときには、隣戸の平面図も同様にして入力する。
このようにして平面図を入力した後に、音源の種類および位置の選択、受音点の位置の選択を行う。ここで、音源の種類としては、例えば、掃除機、ステレオやホームシアターなどの音響機器、ピアノなどの楽器、人の足音、子供の跳びはねる音、物の落下音などを選択することができる。また、後述するように、音源の位置および受音点の位置は、図3の(a)に示した平面図中に任意に設定することができる。
【0011】
図3の(b)は、前記サーバーコンピュータ1から転送されてきた予測音データの波形を示し、(c)は、受音点からみた当該住宅の内観パース図を示している。このとき、内観パース図は、受音者の向いている方向に対応して作成されており、また、前記予測音データも頭部伝達関数を参酌して作成することにより、より臨場感のあるものとすることができる。さらに、受音室内の内装材料の吸音特性、形状などから受音室の残響特性をシミュレーションし、これを前記予測音に付加することも、臨場感を増すのに有効である。
このように、本発明の音環境予測システムによれば、モデルルームや住宅展示場に設置されたコンピュータ3において、住宅の構造などの各種の条件に基づいて作成した予測音波形データを再生することができ、顧客は、当該住宅の音環境を実感することが可能となる。
【0012】
以下、このような本発明の音環境予測システムにおいて実行される音環境予測データ作成方法について詳細に説明する。
図4は、前記入力処理(S1)の流れを詳細に示すフローチャートである。 前述のように、この処理は、前記コンピュータ3において実行される。
このフローチャートに示すように、まず、シミュレーションの対象となる住戸の平面図を入力し(ステップS11)、次いで、階高および天井高の入力(ステップS12)、躯体仕様(建物の基本構造および壁の仕様)の選択(S13)および各部仕様(住戸内の壁、ドア、サッシなどの仕様)の選択を行う(S14)。このとき、例えば10種類程度の選択肢(標準仕様)から当該建物および住戸の仕様に最も近いものを選択するようにしてもよい。
次に、前記ステップS11で入力した平面図上で、音源の位置を設定し(S15)、その種類を設定する(S16)。これは、画面上に表示されている平面図上にマウス等のポインティングデバイスを用いて音源の位置を指定し、その音源の種類を設定することにより行われる。ここで、音源の位置としては、当該住戸内だけではなく、隣接する住戸内や上下階の住戸内も選択することができるようにする。さらに、音源の数も1つに限らず、複数個の音源を設定することができる。
音源の位置および種類の設定が終了したら(S17がYES)、前記平面図上で受音点の位置を選択する(S18)。このとき、受音位置だけではなく、方向も指定するようにできる。
このようにして、住戸の平面図、階高、天井高、躯体仕様、各部構造の各情報、音源の位置と種類の情報、および、受音点の位置の情報が入力され、前記サーバーコンピュータ1に転送される。
【0013】
次に、上記入力処理により入力された各種のデータに基づき前記サーバーコンピュータ1において実行される音響処理(S2)について図5〜図7のフローチャートを参照して説明する。
音響処理では、まず、図5に示すように、前記入力された音源と受音点の位置関係を判断し、予測する音の種類を決定する(ステップS20)。すなわち、音源の位置が上の階に設定されているときは、上の階で発生した音による床衝撃音の予測を行い、続いて、該予測した床衝撃音を音源とする遮音予測を行う。また、音源の位置が当該住戸内、下の階あるいは隣接する住戸内に設定されているときは、遮音予測のみを行う。
【0014】
図6は、前記床衝撃音予測処理の流れを示すフローチャートである。
この図に示すように、床衝撃音の予測処理では、まず、選択された音源の種類(足音、子供の跳びはねる音、物の落下音など)と躯体仕様から前記データベース2を参照して、音源のスペクトラムと当該床仕様の床衝撃音遮断特性を取得して床衝撃音の周波数特性を予測し(S21)、これに基づいて最小位相法によりインパルス応答を作成する。すなわち、最小位相推移のFIR形デジタルフィルタ特性を作成する(S22)。これに、受音室内の残響を付加するため、受音室の内装材料の吸音特性や形状などから予測した残響特性による補正を行い(S23)、さらに、受聴者の頭部の影響を表わす頭部伝達関数による補正を行い(S24)、このようにして得たインパルス応答と前記データベース2から取得した選択された音源の音源波形データとを畳み込み演算して(S25)、床衝撃音の予測音波形データを作成する。
【0015】
図7は、前記遮音予測処理の流れを示すフローチャートである。
この図に示すように、遮音予測処理では、まず、当該住居の躯体仕様および各種仕様に基づいて前記データベース2を参照し、壁面についての透過損失特性などのデータを取得する(S31)。
次に、設定された音源と受音点の間の伝搬経路のうちの最も遮音特性の良くない方から所定数番目までの遮音有効経路を選択する。すなわち、前記音源と受音点との間の全ての経路について、該経路の長さ(距離)と該経路内に存在する建築仕様(壁、ドア、サッシなど)とに基づいてその経路の遮音性能周波数データを算出し(S32〜S34)、そのなかで、最も減衰の少ない方から所定数番目までの経路を遮音有効経路として選択する(S35)。なお、この処理の詳細については後述する。
【0016】
そして、選択した遮音有効経路の遮音性能周波数データに基づいて、前述と同様に最小位相法によりインパルス応答を作成し(S36)、これに受音室内の残響を付加し(S37)、頭部伝達関数で補正した後(S38)、前記データベース2から取得した前記選択された音源の音源波形データと畳み込み演算を行って、予測音波形データを作成する(S39)。このように頭部伝達関数による補正を行うことにより、受音者の向いている方向の影響を予測音波形データに反映させることができ、臨場感のある予測音を再生することが可能となる。なお、階上の住戸が音源である場合には、前記図6に示した床衝撃音予測処理のステップS25で作成した波形データを音源波形データとして使用する。
【0017】
次に、前記ステップS39において作成した予測音波形データに、テレビの音などの生活雑音データを加えて、最終的な予測音波形データを作成する(ステップS40)。前記ステップS39で作成した予測音波形データのみを再生する場合には、再生側における音量の設定に応じて再生音量が変化し、正確な音量で予測音波形データを再生することが困難であるという問題点がある。そこで、この実施の形態では、標準的な音量のテレビの音声や人の音声などの生活雑音データをバックグラウンドノイズとして前記予測音波形データに加えるようにしている。これにより、前記ステップS39で作成した予測音波形データがどの程度の音量であるかを容易に実感することが可能となる。
【0018】
前記遮音有効経路の選択処理について、図8に示す例を用いて詳細に説明する。
図8の(a)は、当該住戸(RoomB)と隣戸(RoomA)の平面図であり、図示するように、画面上に、位置を指定するための数字と細線のグリッドが、平面図とともに表示されている。ここで、種類が例えばステレオである音源が隣戸(RoomA)の8で示される点に設定されており、受音点が当該住戸(RoomB)における位置14であるものとする。このとき、前記音源(RoomAの位置8)から受音点(RoomBの位置14)に到る全ての経路について、その間に存在する壁やドアなどの構造物の遮音特性(透過損失特性)と放射特性(距離による減衰)を加えあわせてその経路の遮音性能周波数特性を求め、遮音性能が最も良くない(すなわち、減衰量が最も小さい)方から所定数番目までの経路を遮音有効経路と決定する。
【0019】
図8の(b)は、図8の(a)に示した例における遮音有効経路の探索の様子を示す図である。
図示する例において、前記音源と受音点を結ぶ最も短い経路(1)は、両者を直線で結ぶ、Room Aの位置8→9→10→11→住戸内の間仕切り壁B−1→12→13→14→住戸間の壁K−2→Room Bの位置8→9→10→住戸内の間仕切り壁B−1→11→12→13→14(受音点)という経路であり、総距離が13(グリッド間隔を1単位とする)であり、途中に、2つの間仕切り壁B−1と1つの界壁(躯体)K−1が存在している。そこで、この経路の遮音性能周波数特性(遮音特性+放射特性)を、前記距離による減衰+2×前記間仕切り壁B−1の透過損失特性+前記躯体壁K−1の透過損失特性により求める。ここで、前記間仕切り壁B−1の透過損失特性や躯体壁K−1の透過損失特性は、それぞれの仕様毎に周波数特性の形のデータが前記サーバーコンピュータ1に設置されたデータベース2内に記憶されており、これを読み出すことにより取得する。
このように全ての経路についての探索を行い、得られた遮音性能周波数特性が最も良くない方から所定数番目までの経路を遮音有効経路とする。この所定数は1、すなわち、最も遮音性能が悪い経路のみを採用することにしても、精度的に実用上充分であることも多い。
【0020】
図9は、このようにして得られた経路の遮音性能周波数特性(遮音特性+放射特性)の一例を示す図である。図9において、横軸はオクターブバンド中心周波数、左の縦軸は音源と受音点との音圧レベル差を示している。なお、右の縦軸は、遮音等級を示している。この図に示した例では、a、b、cの3種類の遮音性能周波数特性が得られた状態を示しており、このうちのaの遮音性能周波数特性を有する経路が、遮音有効経路として選択される。
【0021】
図10は、前記音源波形データ(O)、前記頭部伝達関数(C)および前記各種バックグラウンドノイズの音源波形データ(N1〜N3)の一例を示す図である。前記図7におけるステップS37〜S40において、前記図9で選択された遮音性能周波数特性(A:遮音特性+B:放射特性)に基づくインパルス応答(以下、A+Bと表わす)と、この図10に示す音源波形データ(O)、受音室内の残響インパルス応答(R)、頭部伝達関数(C)および各種バックグラウンドノイズの音源波形データ(N1,N2,N3…)を用いて、次式で示す予測音波形データが作成される。
予測音波形データ=O*(A+B)*R*C0+N1*R*C1+N2*R*C2+・・・
ここで、*は畳み込み演算を示し、C0,C1,C2,…は音源および各種バックグラウンドノイズ音源の方向に応じた頭部伝達関数による補正項を示す。
このように前記所定数の予測音波形データが求まるので、これを加算して合成された予測音とする。
なお、複数の音源を選択した場合には、それぞれの音源について上記有効遮音経路を求め、各音源から受音点に到達する予測音を加算すればよい。
【0022】
このようにして、作成した予測音波形データと前記ステップS3(図2)で生成したパース図の画像データとを統合してプレゼンテーションデータが作成され、前記コンピュータ3に転送される。前記コンピュータ3は、サーバーコンピュータ1から転送されたプレゼンテーションデータを蓄積しておき、顧客に対して表示することができる。
なお、前記コンピュータ3からの情報入力に応答して、サーバーコンピュータ1において予測音データおよび画像データを生成して、インタラクティブに表示するようにしてもよい。
また、上記においては、コンピュータ3から前記各種の情報を入力して、コンピュータ3にプレゼンテーションデータを転送するようにしていたが、任意の異なるコンピュータにプレゼンテーションデータあるいは予測音データを転送するようにしても良い。
さらに、上記においては、集合住宅を例にとって説明したがこれに限られることはなく、戸建て住宅、事務所などを対象とすることもできる。
さらにまた、上記においては、遮音性能周波数特性の算出に各種仕様における吸音率を含めていなかったが、前記データベース2に各材料の吸音率表を格納しておき、吸音率を含めて遮音性能周波数特性を算出するようにすることもできる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の音環境予測データ作成方法、音環境予測データ作成プログラムおよび音環境予測システムによれば、予測音を実際に再生することにより、住宅の音環境を実感として体験することが可能となる。
また、インパルス応答を求め、これに音源波形データを畳み込むことにより、予測音データを作成しているため、音源の種類を任意に選択あるいは追加することができる。
これに受音室内の残響特性を加えることで、臨場感を高めることができる。
さらに、頭部伝達関数による補正を行う本発明によれば、受音者の向いている方向に対応した予測音を再生することができ、より臨場感を高めることができる。特に、ヘッドホン再生時に顕著な臨場感を得ることが可能である。
さらにまた、生活雑音データを加えた予測音データを用いる本発明によれば、予測音の再生音量による影響をなくすことができる。
さらにまた、住宅内部の様子を示す画像情報を作成する本発明によれば、より臨場感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音環境予測データ作成方法が適用される音環境予測システムの一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の音環境予測データ作成方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の音環境予測システムにおける入力および出力について説明するための図である。
【図4】入力処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】音響処理について説明するためのフローチャートである。
【図6】床衝撃音予測処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】遮音予測処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】遮音予測処理の具体例について説明するための図である。
【図9】遮音性能周波数データの例および有効遮音経路の選択について説明するための図である。
【図10】音源波形データ、頭部伝達関数および各種ノイズ音源波形データの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 サーバーコンピュータ、2 データベース、3 コンピュータ、4 ネットワーク

Claims (8)

  1. 住宅の構造に関する情報を入力するステップ、
    音源の位置および種類を選択するステップ、
    受音点の位置を決定するステップ、
    前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、前記経路のうち、遮音性能が最も良くない方から所定数の経路を選択するステップ、
    前記選択された経路のインパルス応答を算出するステップ、および、
    前記選択された音源の音源波形データと前記算出されたインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成するステップ
    を含むことを特徴とする音環境予測データ作成方法。
  2. 前記予測音データを作成するステップにおいて、受音する部屋の残響特性を用いることを特徴とする請求項1記載の音環境予測データ作成方法。
  3. 前記予測音データを作成するステップにおいて、頭部伝達関数による補正を行うことを特徴とする請求項1或いは2記載の音環境予測データ作成方法。
  4. 前記作成された予測音データに生活雑音データを加えたデータを予測音データとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音環境予測データ作成方法。
  5. さらに、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記受音点から見た当該住宅内部の様子を示す画像情報を作成するステップを含むことを前記請求項1〜4のいずれかに記載の音環境予測データ作成方法。
  6. 住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報に基づいて、当該受音点における予測音データを作成する処理をコンピュータに実行させる音環境予測データ作成用プログラムであって、
    前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、前記経路のうち、遮音性能が最も良くない方から所定数の経路を選択するステップと、
    前記選択された経路のインパルス応答を算出するステップと、
    前記音源の音源波形データと前記算出したインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成するステップと
    を含むことを特徴とする音環境予測データ作成用プログラム。
  7. 表示装置を有するコンピュータと、該コンピュータにネットワークを介して接続されたサーバーコンピュータとを有する音環境予測システムであって、
    前記コンピュータは、住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報を前記サーバーコンピュータに入力するとともに、前記サーバーコンピュータから出力される予測音データを出力する手段を有し、
    前記サーバーコンピュータは、前記コンピュータから入力される前記住宅の構造に関する情報、音源の位置および種類に関する情報、並びに、受音点の位置に関する情報に基づいて、前記音源から前記受音点に到る経路の遮音性能を求め、該経路のうち遮音特性が最も良くない方から所定数の経路のインパルス応答を算出し、前記選択された音源の音源波形データと該算出したインパルス応答に基づいて前記受音点における予測音データを作成する手段と、
    該作成した予測音データを前記コンピュータに転送する手段と
    を有することを特徴とする音環境予測システム。
  8. 前記サーバーコンピュータは、さらに、前記住宅の構造に関する情報に基づいて、前記受音点からみた当該住宅内部の様子を示す画像情報を生成する手段を有しており、
    前記転送する手段は、前記画像情報と前記予測音データを前記コンピュータに転送し、
    前記コンピュータは、転送された前記予測音データとともに前記画像情報を出力することを特徴とする請求項7記載の音環境予測システム。
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