JP2004084926A - 車輪用軸受 - Google Patents

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JP2004084926A JP2003012713A JP2003012713A JP2004084926A JP 2004084926 A JP2004084926 A JP 2004084926A JP 2003012713 A JP2003012713 A JP 2003012713A JP 2003012713 A JP2003012713 A JP 2003012713A JP 2004084926 A JP2004084926 A JP 2004084926A
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Tatsuo Nakajima
中島 達雄
Akinari Ohira
大平 晃也
Arihito Matsui
松井 有人
Kazutoyo Murakami
村上 和豊
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NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】コンパクトな構成で回転検出が行え、特に磁気エンコーダの薄肉化が可能で、耐摩耗性にも優れ、砂粒等の粒子が噛み込まれても磁気エンコーダの被検出面の摩耗や損傷が生じ難い車輪用軸受を提供する。
【解決手段】外方部材2と内方部材1の間に複列の転動体3を介在させ、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受とする。上記外方部材2と内方部材1の間の環状空間の端部にシール装置5を設ける。このシール装置5は、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石14および芯金11を有する磁気エンコーダ10により一部が構成されるものとする。上記多極磁石14を、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンチロックブレーキシステム等のための車輪回転検出用の磁気エンコーダを備えた車輪用軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のスキッドを防止するためのアンチスキッド用回転検出装置として、次のような構造が多く用いられている。すなわち、前記回転検出装置は歯付ローターと感知センサからなっており、その際、軸受を密封するシール装置よりそれぞれ離間させて配置し、一つの独立した回転検出装置を構成しているものが一般的である。
このような従来例は、回転軸に嵌合された歯付ローターを、ナックルに取付られた回転検出センサで感知検出する構造を持ち、使われている軸受は、その側部に独立して設けられたシール装置によって、水分あるいは異物の侵入から守られる。
【0003】
その他の例として特許文献1には、回転検出装置の装着スペースを削減せしめ感知性能を飛躍的に向上させることを目的として、車輪回転検出のための回転検出装置を有したベアリングシールにおいて、そこに使用するスリンガーの径方向に磁性粉の混入された弾性部材を周状に加硫成形接着し、そこに交互に磁極を配設した構造が示されている。
また、特許文献2には、軸方向の寸法を小さくし、回転部材と固定部材との間の密閉度を良好にし、容易に取り付け可能にすることを目的として、回転部材と固定部材との間がシールされ、この回転部材に回転ディスクが取り付けられ、その回転ディスクに多極化されたコーダが取り付けられたコーダ内蔵密閉構造としたものが示されている。使用するコーダは、磁性粒子を添加したエラストマーからなるものが用いられ、このコーダの側面を固定部材の側面とほぼ同一平面としたシール手段とされている。
【0004】
磁性粉や磁性粒子を含有するプラスチック(プラストマー) 製のコーダは、やはり従来の射出成形や圧縮成形等のように、製品形状に適応した金型を使用して賦形したり、つまり金型どおりの形に成形したり、 T形のダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形でシートを成形し打ち抜き加工などにより製品形状にして、その後、金属基板上に接着剤などで接着固定し製作してもよい。またこの場合、インサート成形のようにあらかじめ金型内に金属基板を組込んでおき、その後、溶融樹脂を流し入れて接着工程を同時加工して製作してもよい。
【0005】
【特許文献1】
特許第2816783号公報
【特許文献2】
公開平6−281018
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のうち、特許文献1号や特許文献2に示されるベアリングシールにおいては、そこに使用するスリンガーの径方向に磁性粉の混入された弾性部材を周状に加硫成形接着したり、または多極化されたコーダが取り付けられたコーダ内蔵密閉構造としてそのコーダを磁性粒子が添加したエラストマーにしようとすると、磁性粉や磁性粒子を保持するためのバインダとなるエラストマーや弾性部材成分が必要になる。しかしエラストマーや弾性部材成分をバインダに用いる場合、コーダ形状に賦形前に必ず磁性粉や磁性粒子とエラストマーや弾性部材の混練による分散工程が必要になるが、この工程ではコーダ中のバインダ成分に対する磁性粉や磁性粒子の相対含有率(体積分率)が上げにくいため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力を得ようとするにはコーダの厚み寸法を厚くする必要があった。
【0007】
また、 磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダの成形は、 射出成形や圧縮成形等のように製品形状に適応した金型を使用して賦形し、また加硫工程が必要な場合は金型内に必要とされる加硫時間だけ、加圧しながら保持しなければならず、生産上多くの工程を必要とした。
さらに磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダは、例えば車輪回転検出のための回転検出装置を有したベアリングシールにおいて、回転検出装置の装着スペースを削減せしめ、かつ感知性能を飛躍的に向上させるために、そこに使用するスリンガーの軸方向で近接かつ相対した部位に感知センサを配置しなければならない。しかしこの場合、車両走行中に回転側のベアリングシール表面と固定側の感知センサ表面の間隙に、砂粒などの異物粒子が侵入し噛み込まれると、弾性部材やエラストマー製のコーダ表面は摩耗などによる激しい損傷が認められることがあった。
【0008】
磁性粉や磁性粒子の含有するプラスチック(プラストマー)製のコーダの場合、上述した従来の射出成形や圧縮成形やT形ダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形、およびインサート成形で製造しようとすると、やはり磁性粉や磁性粒子を保持するためのバインダとなる合成樹脂成分が必要になる。しかし合成樹脂成分をバインダに用いる場合も、従来はエラストマーなどと同様に、コーダ形状に賦形前に必ず磁性粉や磁性粒子とプラストマーや弾性部材の混練による分散工程が必要になる。 やはりこの工程では、コーダ中のバインダ成分に対する磁性粉や磁性粒子の相対含有率(体積分率)が上げにくいため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力を得ようとするにはコーダの厚み寸法を厚くする必要があった。また、このように磁性粉や磁性粒子とプラストマーや弾性部材を従来の製造法で混練して製作した成形前材料を、金型内に射出( インジェクション)したり圧縮(コンプレッション)してコーダに賦形する時、またインサート成形などで賦形する時に、材料中に含有される磁性粒子成分は金属の酸化物であるため硬くて量産製造的には金型や成形機の摩耗が問題となり、また磁性粒子成分の含有が高い成形前材料は溶融粘度が高くなり、成形圧力や金型型締力などを上げるなど、成形上の負荷が大きくなるなどの問題があった。
【0009】
T形ダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形の場合でも、材料中に含有される磁性粒子成分は金属酸化物で硬いため、量産製造的にはT形ダイスやカレンダー成形機のロールの摩耗が問題となった。
【0010】
この発明の目的は、コンパクトな構成で回転検出が行え、特に磁気エンコーダの薄肉化が可能で、耐摩耗性にも優れ、砂粒等の粒子が噛み込まれても磁気エンコーダの被検出面の摩耗や損傷が生じ難い車輪用軸受を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の車輪用軸受は、複列の転走面を内周面に形成した外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在された複列の転動体と、上記外方部材と内方部材間の環状空間の端部を密封するシール装置と、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石およびこの多極磁石を支持する芯金を有し上記シール装置の一部を構成する磁気エンコーダとを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受であって、上記磁気エンコーダの上記多極磁石が、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体であることを特徴とする。上記混合粉は2種以上の磁性粉を含むものであっても良く、また2種以上の非磁性金属粉を含むものであっても良い。
この構成の車輪用軸受によると、磁気エンコーダに対向させて磁気センサを設けることにより、回転検出が行える。磁気エンコーダは、シール装置の構成要素としたため、部品点数を増やすことなく、コンパクトな構成で車輪の回転を検出することができる。シール装置に磁気エンコーダを構成した場合、路面環境下に曝されることにより、車両走行中に回転側の多極磁石と固定側の磁気センサとの間隙に砂粒等の粒子が噛み込まれることがあるが、多極磁石は、磁性粉と非磁性金属粉の焼結体からなるため、表面硬度が従来の磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダに比べて硬い。そのため、上記噛み込みが生じても、多極磁石の摩耗や損傷が低減される。
【0012】
特に、多極磁石が磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体であるため、その利点をまとめると次のようになり、コンパクトで種々の面で性能に優れた磁気エンコーダを持つ車輪用軸受とできる。
▲1▼.従来のエラストマーやプラストマーに比べて磁性粉比率を高くすることができ、そのため、単位体積あたりの磁力を大きくすることができる。これにより検出感度の向上、薄肉化が可能になる。
▲2▼.従来の焼結磁石である磁性粉のみを焼結したものに比べて、バインダとなる非磁性金属粉の存在のために割れ難い。
▲3▼.従来のエラストマー等に比べて表面が硬いため、耐摩耗性に優れ、また損傷し難い。
▲4▼.従来のエラストマー等に比べて、生産性に優れる。
【0013】
これらの利点が得られる具体的理由の例を説明する。上記磁性粉と非磁性金属粉とは、予め決められた配合比で粉体混合機を用いて混合し、この混合粉を常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得る。
このとき、非磁性金属粉をバインダとして磁性粉を混入した混合磁性粉からなる焼結体は、その非磁性金属粉と磁性粉の組成比を調整しながら粉体混合機で分散させた粉体同士のドライブレンドができるため、焼結体中の磁性粉の相対的な含有率(体積分率)を上げられる。このため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力が容易に得られ、多極磁石を厚くする必要がない。
しかも、多極磁石とする焼結体の製造においても、粉体同士のドライブレンドによる混合粉の焼結成形法は、従来のエラストマーや弾性部材の場合の射出成形や圧縮成形に比べて加硫工程などがなく、また成形上の負荷が少ないため、生産工程を大幅に簡略化することができる。また、焼結加工での圧粉体の成形の場合、エラストマーや弾性部材の射出成形や圧縮成形に比べ、金型の摩耗などの問題は生じない。
また、この多極磁石とする焼結体の芯金への取付けは、簡便な加締加工や、圧入加工等の機械的固定法で行えることから、たとえ高低温環境下で過酷な条件にさらされても信頼性を保持することができる。
【0014】
上記磁気エンコーダにおける多極磁石の混合粉に使用する磁性粉および非磁性金属粉は、いずれも平均粒径が10μm以上150μm以下であることが良い。
これらの粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が10μmより小さいと、圧粉体を得るときに、金型内に混合粉が流れ込み難く、所定形状の圧粉体を形成できない。これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が150μmより大きいと、圧粉体強度が出ない。
【0015】
また、上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率は、1vol %以上で90vol %以下であることが良い。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が1vol %よりも少ないと、金属バインダとして非磁性金属粉が少ないため、焼結後得られた多極磁石は硬いが脆いものとなる。圧粉体が成形できない場合もある。磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が90vol %より多いと、相対的に磁性成分が少ないため、所望される安定したセンシングの得られる磁力を確保することが難しい。
【0016】
上記混合粉の焼結前の圧粉体は、5vol %以上30vol %以下の空孔を持つものとすることが良い。空孔率が5vol %より少ない場合、成形圧力を除圧する際に原料粉の弾性変形の回復により生じるスプリングバックにより、圧粉体(グリーン体)が破損する可能性がある。また、空孔が30vol %よりも多い場合、焼結体の機械的強度が弱くなるため、芯金上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定することが難しく、また粒子間の密着不足により、圧粉体が成形できない場合がある。
【0017】
上記多極磁石となる焼結体の板厚は、0.3mm以上でかつ5mm以下が良い。磁性粉および非磁性金属粉は高価であることから、板厚は薄い方が好ましいが、板厚が0.3mmよりも薄い場合、圧粉成形が困難である。また、厚すぎるとグリーン成形体の密度むらが発生しやすくなり、焼成後の変形が生じやすくなる。これらの点から、板厚は0.3mm〜5mmが好ましい。
【0018】
この発明の車輪用軸受において、上記シール装置は、上記外方部材または内方部材のうちの回転側部材に嵌合される第1のシール板と、この第1のシール板に対向し、上記外方部材または内方部材のうちの固定側部材に嵌合される断面L字状の第2のシール板とからなり、上記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップ、および円筒部に摺接するラジアルリップが上記第2のシール板に固着され、上記第1のシール板が上記磁気エンコーダにおける芯金となり、その立板部に少なくとも一部を重ねて上記多極磁石が設けられたものであっても良い。
上記第1のシール板は、例えば断面概ね逆Z字状とされて、上記回転側部材に嵌合される嵌合側の円筒部と、立板部と、他筒部とでなるものであっても良い。また、第1のシール板は断面L字状のものとしても良い。
【0019】
これらの構成の車輪用軸受の場合、磁気エンコーダをシール装置の構成要素として効果的に利用でき、部品点数を増やすことなく、より一層コンパクトな構成で車輪の回転を検出することができる。また、この構成の場合、第2のシール板に固着されたサイドリップおよびラジアルリップが第1のシール板に摺接することに等により、優れたシール効果が得られる。
【0020】
この発明の車輪用軸受は、上記外方部材と内方部材のいずれかに車輪取付フランジを設けたものであっても良い。また、上記外方部材と内方部材のいずれかに車体に取付けるためのフランジを設けたものであっても良い。外方部材と内方部材のいずれか一方の部材に車輪取付フランジを設けた場合、車体に取付けるためのフランジは他方の部材に設ける。
また、この発明の車輪用軸受は、上記外方部材に車体に取付けるためのフランジを設け、上記内方部材に車輪取付フランジを設け、上記内方部材に等速ジョイントの構成部品を一体化させたものとしても良い。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。この車輪用軸受は、内方部材1および外方部材2と、これら内外の部材1,2間に収容される複数の転動体3と、内外の部材1,2間の端部環状空間を密封するシール装置5,13とを備える。一端のシール装置5は、磁気エンコーダ10を有するものである。内方部材1および外方部材2は、転動体3の転走面1a,2aを有し、各転走面1a,2aは溝状に形成されている。内方部材1および外方部材2は、各々転動体3を介して互いに回転自在となった内周側の部材および外周側の部材のことであり、軸受内輪および軸受外輪の単独であっても、これら軸受内輪や軸受外輪と別の部品とが組合わさった組立部材であっても良い。また、内方部材1は、軸であっても良い。転動体3は、ボールまたはころからなり、この例ではボールが用いられている。転動体3は各列毎に保持器4で保持されている。
【0022】
この車輪用軸受は、複列の転がり軸受、詳しくは複列のアンギュラ玉軸受とされていて、その軸受内輪は、各転動体列の転走面1a,1aがそれぞれ形成された一対の分割型の内輪18,19からなる。これら内輪18,19は、ハブ輪6の軸部の外周に嵌合し、ハブ輪6と共に上記内方部材1を構成する。ハブ輪6には、等速自在継手7の一端(例えば外輪)が連結され、ハブ輪6のフランジ部6aに車輪(図示せず)がボルト8で取付けられる。等速自在継手7は、その他端(例えば内輪)が駆動軸に連結される。外方部材2は、軸受外輪からなり、懸架装置におけるナックル等からなるハウジング(図示せず)に取付けられる。
【0023】
図4,図5は、磁気エンコーダ付きのシール装置5を拡大して示す。シール装置5は、磁気エンコーダ10と、固定側のシール部材9とで構成される。このシール装置5は、磁気エンコーダ10またはその芯金11がスリンガとなり、内方部材1および外方部材2のうちの回転側の部材に取付けられる。この例では、回転側の部材は内方部材1であるため、磁気エンコーダ10は内方部材1に取付けられる。このシール装置5は、内方部材1と外方部材2に各々取付けられた第1および第2の金属板製の環状のシール板(11),12を有する。第1のシール板(11)は、上記磁気エンコーダ10における上記の芯金11のことであり、以下、芯金11として説明する。この磁気エンコーダ10における多極磁石14に対面して、同図のように磁気センサ15を配置することにより、車輪回転速度の検出用の回転検出装置20が構成される。
【0024】
第2のシール板12は、上記シール部材9(図4)を構成する部材であり、第1のシール板である芯金11の立板部11bに摺接するサイドリップ16aと円筒部11aに摺接するラジアルリップ16b,16cとを一体に有する。これらリップ16a〜16cは、第2のシール板12に加硫接着された弾性部材16の一部として設けられている。これらリップ16a〜16cの枚数は任意で良いが、図示の例では、1枚のサイドリップ16aと、軸方向の内外に位置する2枚のラジアルリップ16c,16bとを設けている。第2のシール板12は、固定側部材である外方部材2との嵌合部に弾性部材16を抱持したものとしてある。すなわち、弾性部材16は、円筒部12aの内径面から先端部外径までを覆う先端覆い部16dを有するものとし、この先端覆い部16dが、第2のシール板12と外方部材2との嵌合部に介在する。第2のシール板12の円筒部12aと第1のシール板である芯金11の他筒部11cとは僅かな径方向隙間をもって対峙させ、その隙間でラビリンスシール17を構成している。
【0025】
上記磁気エンコーダ10は、図2に示すように、金属製の環状の芯金11と、この芯金11の表面に周方向に沿って設けられた多極磁石14とを備える。多極磁石14は周方向に多極に磁化され、交互に磁極N,Sが形成された部材であり、多極に磁化された磁気ディスクからなる。磁極N,Sは、ピッチ円直径PCD(図3)において、所定のピッチpとなるように形成されている。
【0026】
極磁石14は、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体とされている。多極磁石14に混入する磁性粉としては、バリウム系およびストロンチウム系などの等方性または異方性フェライト粉であってもよい。これらのフェライト粉は顆粒状粉体であっても、湿式異方性フェライトコアからなる粉砕粉であっても良い。この湿式異方性フェライトコアからなる粉砕粉を磁性粉とした場合、非磁性金属粉との混合粉を磁場中で成形された異方性のグリーン体とする必要がある。
磁性粉は希土類系磁性材料であっても良い。例えば希土類系磁性材料であるサマリウム鉄(SmFeN)系の磁性粉や、ネオジウム鉄(NdFeB)系磁性粉のそれぞれ単独磁性粉であっても良い。また、磁性粉はマンガンアルミ(MnAl)ガスアトマイズ粉であっても良い。
【0027】
また、上記磁性粉は、サマリウム鉄(SmFeN)系磁性粉、ネオジウム鉄(NdFeB)系磁性粉、およびマンガンアルミ(MnAl)ガスアトマイズ粉のいずれか2種以上を混合させたものであっても良い。例えば、上記磁性粉はサマリウム鉄(SmFeN)系磁性粉とネオジウム鉄(NdFeB)系磁性粉とを混合させたもの、マンガンアルミガスアトマイズ粉とサマリウム鉄系磁性粉とを混合させたもの、およびサマリウム鉄系磁性粉とネオジウム鉄系磁性粉とマンガンアルミガスアトマイズ粉とを混合させたもの、のいずれかであっても良い。
また、例えば、フェライト分だけでは磁力が足りない場合に、フェライト粉に希土類系磁性材料であるサマリウム鉄(SmFeN)系磁性粉やネオジウム鉄(NdFeB)系磁性粉を必要量だけ混合し、磁力向上を図りつつ安価に製作することもできる。
【0028】
また、多極磁石14を形成する非磁性金属粉には、スズ、銅、アルミ、ニッケル、亜鉛、タングステン、マンガンなどの粉体、または非磁性のステンレス系金属粉のいずれか単独(1種)の粉体、もしくは2種以上からなる混合した粉体、もしくは2種以上からなる合金粉末を使用することができる。
【0029】
磁性粉および非磁性金属粉はいずれも平均粒径で10μm以上150μm以下が良く、好ましくは20μm以上130μm以下が好適である。これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が10μmより小さいと、混合粉にして常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得ようとしても、金型内にうまく混合粉が流れ込まないことがあり、所定形状の圧粉体を形成できない。また、これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が150μmより大きいと、混合粉にして常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得ようとしても、圧粉体強度が出ないために、金型から脱型できず成形できない。
上述した平均粒径範囲の磁性粉と非磁性金属粉を予め決められた配合比で粉体混合機を用いて混合し、この混合粉を常温下、金型内で加圧成形することにより圧粉体を得る。
【0030】
多極磁石14を形成する混合粉中の配合において、磁性粉でない非磁性金属粉の体積配合率は、1vol %以上で90vol %以下が良いが、望ましくは5vol %以上85vol %以下、さらに望ましくは10vol %以上80vol %以下が良い。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が1vol %よりも少ないと、金属バインダとして非磁性金属粉が少ないため、焼結後得られた多極磁石14は、硬いが脆い。このため、後述するように、多極磁石14とする焼結体を芯金11上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定しようとしても、割れてしまう。また、金属バインダとして少なすぎるために、圧粉体が成形できない場合がある。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が90vol %より多いと、相対的に磁性成分が少ないため、焼結後、得られた多極磁石14の着磁強度を大きくできず、磁気エンコーダ10に所望される安定したセンシングの得られる磁力を確保することができない。
【0031】
圧粉体作成にあたり、磁性粉と非磁性金属粉の配合時に、例えば、ステアリン酸亜鉛などのような潤滑剤を添加して圧粉体成形性を改善することもできる。
これらの圧粉体(グリーン体)は、5〜30vol %の空孔を持つことが望ましい。好ましくは12〜22vol %、さらに好ましくは14〜19vol %である。空孔率が5vol %より少ない場合、成形圧力を除圧する際に原料粉の弾性変形の回復により生じるスプリングバックにより、圧粉体(グリーン体)が破損する可能性がある。また、空孔が30vol %よりも多い場合、焼結体の機械的強度が弱くなるため、後述するように、芯金11上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定しようとしても割れてしまう。また、粒子間の密着不足により、圧粉体(グリーン体)が成形できない場合がある。
【0032】
磁性粉および非磁性金属粉は高価であることから、板厚は薄い方が好ましい。圧縮成形性およびハンドリングから、好ましい板厚は0.3mm〜5mm、さらに好ましくは0.6mm〜3mmである。板厚が0.3mmよりも薄い場合、金型内への充填が困難であり、グリーン成形体が得難い。また、得られたグリーン成形体もハンドリング時に破損してしまう可能性があるので好ましくない。一方、グリーン成形体の板厚が10mmよりも厚い場合、成形性やハンドリングは向上するが、コスト面では不利となる。また、厚すぎるとグリーン成形体の密度むらが発生しやすくなり、焼成後の変形が生じやすくなるという問題がある。これらの点から、板厚は0.3mm〜5mmが好ましい。
得られたグリーン成形体は、図6のように炉内で加熱焼結することで、ディスク形状の焼結体とされる。この炉内での加熱焼結は、大気中、電気炉で行っても良く、また真空炉により、または不活性ガスを流入しながらプッシャー炉、もしくはイナート炉で行っても良い。
【0033】
磁気エンコーダ10を形成する焼結体は、防錆処理のために、例えば図7のように防錆被膜22を施しても良い。この防錆被膜22は換言すれば防食被膜である。この防錆被膜22には、クリヤー系の高防食性塗料を用いることができる。この塗料は芯金11と焼結体間の接着剤としての効果も期待でき、また焼結多孔質体表層の空孔内部に浸入し、クリヤー塗膜成分のアンカー効果により表面で好適に保持され、長期間の使用においても防錆被膜層として良好な密着性を維持することができる。
【0034】
芯金11の材質となる金属は、磁性体、特に強磁性体となる金属が好ましく、例えば磁性体でかつ防錆性を有する鋼板が用いられる。このような鋼板として、フェライト系のステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)や、防錆処理された圧延鋼板等を用いることができる。
【0035】
芯金11の形状は、種々の円環状の形状とできるが、多極磁石14を固定できる形状が好ましい。特に、加締固定や嵌合固定等の機械的な固定が行える形状が好ましい。
加締固定の場合、芯金11は、例えば図2(B)に示すように、嵌合側となる内径側の円筒部11aと、その一端から外径側へ延びる立板部11bと、外径縁の他筒部11cとでなる断面概ね逆Z字状の円環状とする。
円筒部11a、立板部11b、および他筒部11cは、鋼板等の金属板から一体にプレス成形されたものである。立板部11bは平坦に形成されており、その平坦な立板部11bの表面に重ねて多極磁石14の未着磁の焼結体を組み込み、外周縁の他筒部11cを加締めることで、芯金11の立板部11bに重なり状態に多極磁石14が固定される。上記他筒部11cは、その断面における先端側部分または略全体が、加締部となる。また、この加締部は、芯金11の円周方向の全周に渡って延び、したがって円環状となっている。多極磁石14の加締部である他筒部11cにより固定される部分は、多極磁石14の被検出面となる表面よりも凹む凹み部14aとなっていて、芯金11の加締部である他筒部11cが、多極磁石14の被検出面となる表面から突出しないようにされている。上記凹み部14aは、多極磁石14の被検出面となる表面よりも若干背面側に後退した段差部として形成されている。多極磁石14の外周縁における凹み部14aよりも裏面側の部分は、断面が円弧状の曲面とされ、この曲面部分に沿うように、他筒部11cの加締部分が形成される。加締固定は、図2(A)に断面図で示すように、多極磁石14の外周部を全周にわたって加締固定してもよい。
【0036】
なお多極磁石14は、芯金11に圧入により固定しても良い。その場合、例えば図8に示すように、芯金11を、内径側の円筒部11aと、その一端から外径側へ延びる立板部11b”とでなる断面L字状の円環状とする。円筒部11aと立板部11b”とは、鋼板等の金属板から一体にプレス成形されたものである。立板部11b”は平坦に形成されており、その平坦な立板部11b”まで、多極磁石14となるディスク状の焼結体を円筒部11aの外周に圧入して固定する。立板部11b”の高さは、多極磁石14の内周部付近が当たる高さとされる。
【0037】
また、上記各例では芯金11を鋼板プレス成形品製としたが、図9に示すように、芯金11は、鋼材等の削り出し品からなるものとしても良い。同図の例の芯金11は立板部11bの溝部11baを切削加工溝としている。
【0038】
この構成の車輪用軸受によると、車輪と共に回転する内方部材1の回転が、この内方部材1に取付けられた磁気エンコーダ10を介して、磁気センサ15で検出され、車輪回転速度が検出される。すなわち、多極磁石14の多極に磁化された各磁極N,Sの通過が磁気センサ15で検出され、パルスのかたちで回転が検出される。磁極N,Sのピッチp(図3)は細かく設定でき、例えばピッチpが1.5mm、ピッチ相互差±3%という精度を得ることもでき、これにより精度の高い回転検出が行える。ピッチ相互差は、磁気エンコーダ10から所定距離だけ離れた位置で検出される各磁極間の距離の差を目標ピッチに対する割合で示した値である。
磁気エンコーダ10は、シール装置5の構成要素としたため、部品点数を増やすことなく、車輪の回転を検出することができる。内外の部材1,2間のシールについては、第2のシール板12に設けられた各シールリップ16a〜16cの摺接と、第2のシール板12の円筒部12aに第1のシール板である芯金11の他筒部11cが僅かな径方向隙間で対峙することで構成されるラビリンスシール17とで得られる。
【0039】
また、多極磁石14は、磁性粉の混入した焼結体(混合磁性粉焼結ディスク)からなるため、次に示すように、安定したセンシングの得られる磁力を確保しながら薄肉化できて、磁気エンコーダ10のコンパクト化が図れるうえ、耐摩耗性に優れ、また生産性にも優れたものとなる。
すなわち、非磁性金属粉をバインダとして磁性粉を混入した混合磁性粉焼結磁石ディスク(焼結体)は、その非磁性金属粉と磁性粉の組成比を調整しながら粉体混合機で分散させることで粉体同士のドライブレンドとすることができる。そのため焼結体中の磁性粉の相対的な含有率(体積分率)を上げられる。したがって、磁気センサ15(図4)に安定してセンシングされる磁力が容易に得られ、多極磁石14を厚くする必要がない。車輪用軸受5における軸受端部の空間は、周辺に等速ジョイント7や軸受支持部材(図示せず)があって限られた狭い空間となるが、磁気エンコーダ10の多極磁石14が上記のように薄肉化できるため、回転検出装置20の配置が容易になる。
【0040】
また、多極磁石14の表面硬度は、従来の磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダに比べて硬い。そのため、車両走行中に回転側の多極磁石14の表面と固定側の磁気センサ15の表面の間隙に、砂粒などの粒子が噛み込まれても、多極磁石14の摩耗損傷が生じ難く、従来の弾性体製としたものに比べて、摩耗の大幅な低減効果がある。
なお、金属環状部材である芯金11に周方向に沿って設けられた多極磁石14となる混合磁性粉焼結磁石ディスク表面の平坦度は、200μm以下が良いが、望ましくは100μm以下が良い。ディスク表面の平坦度が200μmより上である場合、磁気センサ15とディスク面の間隙(エアギャップ)が、磁気エンコーダ10の回転中に変化することで、センシング精度を悪化させてしまう。
同様の理由で、磁気エンコーダ10の回転中における、混合磁性粉焼結磁石ディスク表面の面振れも、200μm以下が良く、望ましくは100μm以下が良い。
【0041】
なお、磁気エンコーダ10を軸受のシール装置5の構成要素とする場合等において、多極磁石14を、上記各実施形態とは逆に軸受に対して内向きに設けても良い。すなわち、多極磁石14を芯金11の軸受内側の面に設けても良い。その場合、芯金11は非磁性体製のものとすることが好ましい。
【0042】
さらに、磁気エンコーダ10は、上記各実施形態のように多極磁石14を軸方向に向けたものに限らず、例えば図10に示すように、径方向に向けて設けても良い。同図の例は、シール装置5のスリンガとなるシール板である芯金11Aに、その立板部11bから軸方向の外側へ延びる第2の円筒部11dを設け、第2の円筒部11dの外周に多極磁石14を固定している。すなわち、第2の円筒部11dの先端には外径側へ延びる加締板部11eを一体に設け、この加締板部11eを加締ることで、多極磁石14に第2の円筒部11dの外周面に固定している。立板部11bは円筒部11aから外径側に延びている。すなわち、この例の芯金11Aは、円筒部11a、立板部11b、および第2の円筒部11dが順次続く断面概ね逆Z字状の部分に、その第2の円筒部11dの先端から加締板部11eが外径側へ一体に延びた形状のものとされている。磁気センサ15は、多極磁石14に対して径方向に対面配置する。
【0043】
なお、上記実施形態は、この発明をいわゆる第1世代の車輪用軸受に適用した場合につき説明したが、この発明はいわゆる第2〜第4世代等の世代形式を問わず適用することができる。また、内輪回転および外輪回転のいずれにも適用でき、さらに駆動輪用および従動輪用のいずれの車輪用軸受についても適用することができる。各世代に適用した例を、図11〜図15と共にそれぞれ説明する。なお、これら図11〜図15の実施形態において、特に説明した事項の他は、図1〜図5に示した第1の実施形態と同じ構成である。
【0044】
図11の実施形態は、第2世代で外輪回転タイプの車輪用軸受に適用した例である。外方部材2Aは、外周に車輪取付フランジ2Aaを有している。内輪1Aは、2つの軸受内輪1Aaを軸方向に並べてた分割型のものとされている。外方部材2Aと内方部材1A間の環状空間の端部を設けるシール13,5が両輪にそれぞれ設けられ、一方のシール5に、第1の実施形態に示した磁気エンコーダ付きのものが用いられてる。
【0045】
図12の実施形態は、第3世代の内輪回転タイプで、駆動輪支持用の車輪用軸受である。内方部材1Bは、ハブ輪6Bと単列の内輪1Bbとで構成され、これらハブ輪6Bおよび内輪1Bbに転走面1aが形成されている。ハブ輪6Bに車輪取付フランジ6Baが形成されており、かつ軸心に内径孔30が設けられている。外方部材2Bは一体のものであり、車体(図示せず)に取付けるためのフランジ2Baを有している。外方部材2Bと内方部材3B間の環状空間の端部を設けるシール13,5が両輪にそれぞれ設けられ、一方のシール5に、第1の実施形態に示した磁気エンコーダ付きのものが用いられてる。
【0046】
図13の実施形態は、第3世代の内輪回転タイプで、従動輪支持用の車輪用軸受である。この例の車輪用軸受は、図12の例において、ハブ輪6Bを内径孔のない形式としたものである。その他の構成は図13の例と同じである。
【0047】
図14の実施形態は、第4世代の内輪回転タイプの車輪用軸受である。この車輪用軸受では、内方部材1Dは、ハブ輪6Dと等速ジョイント7の外輪31とで構成され、これらハブ輪6Dおよび等速ジョイント31に転走面1aが形成されている。ハブ輪6Dに車輪取付フランジ6Daが形成されている。外方部材2Bは一体のものであり、車体(図示せず)に取付けるためのフランジ2Baを有している。等速ジョイント外輪31は、カップ部31aの外面中心に突出した軸部31bが段付き軸とされ、その小径軸部31baの外周にハブ輪6Dが嵌合している。小径軸部31baは外径方向へ拡げられて、ハブ輪6Dの内径孔にかしめ固定されることで、等速ジョイント外輪31とハブ輪6Dとが結合されている、いわゆる拡径かしめ結合である。外方部材2Bと内方部材3B間の環状空間の端部を設けるシール13,5が両輪にそれぞれ設けられ、一方のシール5に、第1の実施形態に示した磁気エンコーダ付きのものが用いられている。このシール5は、等速ジョイント外輪31と外方部材2の間に設けられている。等速ジョイント7は、円周方向複数箇所で、外輪31の内面および内輪32の外面に設けられた軸方向に沿うガイド溝間にボール33を介在させ、各ボール33を保持器34で保持したものである。
【0048】
図15の実施形態は、図14の実施形態の車輪用軸受において、等速ジョイント外輪31とハブ輪6Dとを、拡径かしめ結合の代わりに、等速ジョイント外輪31の小径軸部31baの先端に形成した加締部31bbによって結合したものである。その他は図14の実施形態と同じである。
【0049】
【発明の効果】
この発明の車輪用軸受は、外方部材と内方部材の環状空間の端部を密封するシール装置と、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石およびこの多極磁石を支持する芯金を有し上記シール装置の一部を構成する磁気エンコーダとを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受であって、上記磁気エンコーダの上記多極磁石を、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体としたものであるため、コンパクトな構成で回転検出が行え、特に磁気エンコーダの薄肉化が可能で、耐摩耗性にも優れ、砂粒等の粒子が噛み込まれても磁気エンコーダの被検出面の摩耗や損傷が生じ難いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【図2】(A)は同車輪用軸受における磁気エンコーダの部分斜視図、(B)は同磁気エンコーダの組立過程を示す部分斜視図である。
【図3】同磁気エンコーダを正面から示す磁極の説明図である。
【図4】同磁気エンコーダを備えたシール装置と磁気センサとを示す部分破断正面図である。
【図5】同シール装置とその周辺部分を示す部分破断正面図である。
【図6】グリーン体を焼結体とする工程図である。
【図7】磁気エンコーダの変形例の部分斜視図である。
【図8】磁気エンコーダの他の変形例の部分斜視図である。
【図9】磁気エンコーダのさらに他の変形例の部分斜視図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の磁気エンコーダ部分の断面図である。
【図11】この発明の他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【図13】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【図14】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【図15】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【符号の説明】
1…内方部材
2…外方部材
1A〜1D…内方部材
2A〜2D…外方部材
3…転動体
5…シール装置
7…等速ジョイント
2Aa,1Ba,1Da…車輪取付フランジ
2Ba,2Ca,2Da…車体取付用のフランジ
10…磁気エンコーダ
11,11A,11B…芯金(第1のシール板)
12…第2のシール板
14…多極磁石
15…磁気センサ
20…回転検出装置
31…等速ジョイント外輪

Claims (10)

  1. 複列の転走面を内周面に形成した外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、両転走面間に介在された複列の転動体と、上記外方部材と内方部材間の環状空間の端部を密封するシール装置と、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石およびこの多極磁石を支持する芯金を有し上記シール装置の一部を構成する磁気エンコーダとを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受であって、上記磁気エンコーダの上記多極磁石が、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体であることを特徴とする車輪用軸受。
  2. 請求項1において、上記磁気エンコーダにおける多極磁石の上記混合粉に使用する磁性粉および非磁性金属粉は、いずれも平均粒径が10μm以上で150μm以下である車輪用軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、上記磁気エンコーダにおける多極磁石の上記混合粉中の配合における、非磁性金属粉の体積含有率が、1vol %以上で90vol %以下である磁気エンコーダ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずかにおいて、上記磁気エンコーダにおける多極磁石の上記混合粉の焼結前の圧粉体が、5vol %以上で30vol %以下の空孔を持つものとした磁気エンコーダ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずかにおいて、上記磁気エンコーダにおける焼結体からなる多極磁石の板厚が、0.3mm以上で5mm以下である車輪用軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、上記シール装置は、上記外方部材または内方部材のうちの回転側部材に嵌合される第1のシール板と、この第1のシール板に対向し、上記外方部材または内方部材のうちの固定側部材に嵌合される断面L字状の第2のシール板とからなり、上記第1のシール板は、上記回転側部材に嵌合される嵌合側の円筒部と、立板部と、他筒部とでなる断面概ね逆Z字状とされ、上記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップ、および円筒部に摺接するラジアルリップが上記第2のシール板に固着され、上記第1のシール板が上記磁気エンコーダにおける芯金となり、その立板部に重ねて上記多極磁石が設けられる車輪用軸受。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、上記シール装置は、上記外方部材または内方部材のうちの回転側部材に嵌合される断面L字状の第1のシール板と、この第1のシール板に対向し、上記外方部材または内方部材のうちの固定側部材に嵌合される断面L字状の第2のシール板とからなり、上記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップ、および円筒部に摺接するラジアルリップが上記第2のシール板に固着され、上記第1のシール板が上記磁気エンコーダにおける芯金となり、その立板部に少なくとも一部を重ねて上記多極磁石が設けられる車輪用軸受。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずかにおいて、上記外方部材と内方部材のいずれかに車輪取付フランジを設けた車輪用軸受。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずかにおいて、上記外方部材と内方部材のいずれかに車体に取付けるためのフランジを設けた車輪用軸受。
  10. 請求項1ないし請求項7のいずかにおいて、上記外方部材に車体に取付けるためのフランジを設け、上記内方部材に車輪取付フランジを設け、上記内方部材に等速ジョイントの構成部品を一体化させた車輪用軸受。
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