JP2004084502A - 排気浄化フィルタ - Google Patents

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仲野 泰彰
Shinya Hirota
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Abstract

【課題】NOx吸蔵能力の耐久性を向上させた排気浄化フィルタを提供する。
【解決手段】表面及び内部に細孔が設けられた隔壁15であって上記細孔を通って排気ガスが通過可能な隔壁15によって画成される複数の通路11、19を有し、上記細孔内にはNOx吸蔵浄化触媒16が担持されている排気浄化フィルタ10において、上記複数の通路11、19のうちの少なくとも一部の通路19はその上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方のみが閉塞されていて、下流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁15の当該通路側表面と、上流側端部開口のみ閉塞された通路19を画成する隔壁15の当該通路19とは反対側の表面とにSOxトラップ触媒17を担持したことを特徴とする排気浄化フィルタ10を提供する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に搭載される内燃機関、例えばディーゼル機関では、排気ガス中に含まれる煤等の排気微粒子を除去すると共に窒素酸化物(NOx)を除去することが要求されている。そしてこのような要求に対し、従来より、排気浄化手段を内燃機関の排気ガス通路に配置する方法が採られており、その排気浄化手段として、NOx吸蔵浄化触媒を担持したパティキュレートフィルタ(以下、「触媒担持フィルタ」と言う)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような触媒担持フィルタに用いられるパティキュレートフィルタ(以下、単に「フィルタ」と言う)は、通常、多孔質の材料で形成されたハニカム構造体を有しており、このハニカム構造体の複数の通路(以下、フィルタ通路と言う)のうちの幾つかのフィルタ通路がその上流端にて塞がれると共に残りのフィルタ通路がその下流端で塞がれ、フィルタに流入した排気ガスがフィルタ通路を形成している多孔質の壁(以下、フィルタ隔壁と言う)を必ず通ってフィルタから流出するようにされている。そして排気ガスはこのフィルタ隔壁の細孔を通過することができるが排気ガス中の微粒子(パティキュレート)はこれを通過することができないため、ここで排気ガス中の微粒子が捕集され、捕集された微粒子はヒータ加熱等により着火燃焼するか、またはフィルタに担持させた上記触媒の作用によって自己燃焼させることによって除去される。なお、上記のようなフィルタの構成は、排気微粒子を確実に除去するという観点からは好ましい反面、内燃機関の排気系の圧力損失を増大させ、内燃機関の性能に悪影響を与える場合もある。
【0004】
一方、上記のような触媒担持フィルタに用いられるNOx吸蔵浄化触媒は、排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸蔵し、排気ガス中の空燃比が小さくなり、かつ排気ガス中にHCやCO等の還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化する作用(NOxの吸蔵浄化作用)を有する。この作用を利用して、排気ガスの空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOxをNOx吸蔵浄化触媒に吸蔵させ、一定期間使用してNOx吸蔵浄化触媒のNOx吸蔵効率が低下したときまたは低下する前にNOx吸蔵浄化触媒に還元剤(燃料)を供給する等して、NOx吸蔵浄化触媒に吸蔵したNOxの還元浄化を行うようにしている。
【0005】
ところが、上記のようなNOx吸蔵浄化触媒は、排気ガス中にSOxが存在するとNOxの吸蔵を行うのと全く同じメカニズムで排気ガス中のSOxを吸蔵してしまう。そして、NOx吸蔵浄化触媒のSOx蓄積量が増大すると、そのNOx吸蔵容量が減少して排気ガス中のNOxの除去を十分に行うことができなくなる。このため、特に、燃料として比較的硫黄成分を多く含む軽油を使用するディーゼルエンジン等に対して上記触媒担持フィルタを用いた場合には、そのNOx吸蔵能力に関し、十分な耐久性が得られない場合がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−94434号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、NOx吸蔵能力の耐久性を向上させた排気浄化フィルタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された排気浄化フィルタを提供する。
1番目の発明は、表面及び内部に細孔が設けられた隔壁であって上記細孔を通って排気ガスが通過可能な隔壁によって画成される複数の通路を有し、上記細孔内には、流通する排気ガスの空燃比がリーンの時にNOxを吸蔵し流通する排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵浄化触媒が担持されている排気浄化フィルタにおいて、上記複数の通路のうちの少なくとも一部の通路はその上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方のみが閉塞されていて、下流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路側表面と、上流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路とは反対側の表面とにSOxトラップ触媒を担持したことを特徴とする排気浄化フィルタを提供する。
【0009】
本発明によれば、上記複数の通路のうちの少なくとも一部の通路はその上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方が閉塞されている。これにより、排気ガスが隔壁を通過することになり、排気微粒子捕集機能(フィルタ機能)が得られる。
また、本発明では、下流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路側表面と、上流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路とは反対側の表面とにSOxトラップ触媒が担持されている。排気浄化フィルタに流入し、隔壁を通過する排気ガスは、通路の閉塞位置の関係から、主に、これらのSOxトラップ触媒が担持されている表面から流入することになる。排気ガス流入側表面にSOxトラップ触媒が担持されているため、隔壁を通過する排気ガス中にSOxが含まれている場合には、殆どのSOxはその隔壁表面で捕捉される。このため、隔壁の細孔内に担持されたNOx吸蔵浄化触媒が吸蔵してしまうSOx量は低減され、そのNOx吸蔵能力の耐久性が向上される。
【0010】
2番目の発明は1番目の発明において、上記複数の通路の一部の通路は閉塞されずに上記排気浄化フィルタを貫通することを特徴とする。
本発明によれば、上記複数の通路の一部の通路は閉塞されずに上記排気浄化フィルタを貫通する。このため、全ての通路に関し上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方が閉塞されていて、排気ガスが必ず隔壁を通過するようにした排気浄化フィルタに比べ、排気浄化フィルタにおける圧力損失を低減することができる。また、本発明では、例えば、閉塞されていない通路と閉塞されている通路との割合を調整することによって、排気浄化フィルタの圧力損失と排気微粒子捕集性能とを調整することができる。
【0011】
3番目の発明は1番目または2番目の発明において、閉塞された開口は上流側端部開口のみである、または下流側端部開口のみであることを特徴とする。
本発明によっても、1番目または2番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の一実施形態の排気浄化フィルタ10の排気ガス流入側端面図であり、図2は排気浄化フィルタ10の縦断面図である。図1および図2に示したように、排気浄化フィルタ10はハニカム構造をなす隔壁15を具備する。
【0013】
これら隔壁15によって互いに平行をなして延びる複数個の排気通路11、19が画成される。本排気浄化フィルタ10では、これら排気通路のうちほぼ半数の排気通路19がその上流側端部開口を栓13で閉塞されている。以下、これら排気通路19を上流側閉塞通路と称す。一方、残りの半数の排気通路11はその上流側端部開口と下流側端部開口とが何れも閉塞されておらず、排気浄化フィルタ10を貫通している。以下、これら排気通路11を貫通通路と称す。上流側閉塞通路19には4つの貫通通路11が隣接する。一方、貫通通路11には4つの上流側閉塞通路19が隣接する。
【0014】
隔壁15はコージェライトのような多孔質材料からなり、その表面及び内部に細孔を有している。そして、排気ガスはこの細孔を通って隔壁15を通過することができる。また、この細孔内にはNOx吸蔵浄化触媒16が担持されている。NOx吸蔵浄化触媒16は、例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とから成る。NOx吸蔵浄化触媒16は、流通する排気ガスの空燃比がリーンの時にNOxを吸蔵し流通する排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化する作用を有する。なお、本明細書でいう排気ガスの空燃比とは排気浄化フィルタ上流側の排気ガス通路とエンジン燃焼室または吸気通路に供給された空気と燃料との比率をいうものとする。
【0015】
更に本排気浄化フィルタ10においては、上流側閉塞通路19を画成する隔壁の当該上流側閉塞通路19とは反対側の表面、すなわち隣接する貫通通路11側の表面に、SOxを捕捉するSOxトラップ触媒17がコーティングされて担持されている。このSOxトラップ触媒17は、例えばバリウムBaを含むものであり、流通する排気ガスの空燃比がリーンの時にSOxを捕捉し、SOxトラップ触媒17の温度が硫黄分離脱温度以上(例えば600℃以上)に昇温され、且つ流通する排気ガスの空燃比がほぼストイキまたはリッチになると捕捉していたSOxを離脱させる作用を有する。また、このSOxトラップ触媒17のコーティング層は、コーティング粒子の大きさ等を調整し、排気微粒子がこのコーティング層を通過できるように形成される。
【0016】
次に、以上のような構成の排気浄化フィルタ10を排気ガス通路内に配置した場合の作用及び効果について説明する。排気ガス通路内に配置された排気浄化フィルタ10に到達した排気ガスは、上記貫通通路11から流入し、その一部がそのまま貫通通路11を通って排気浄化フィルタ10から出て行く一方、残りは上記隔壁15を通過して、すなわち上記隔壁15の細孔を通って、隣接する上流側閉塞通路19へ流れ込む(図2参照)。
【0017】
上述の説明からも明らかなように、本排気浄化フィルタ10の構成では上記貫通通路11の内面にSOxトラップ触媒17がコーティングされているので、上記隔壁15を通過する排気ガスは、まずSOxトラップ触媒17のコーティング層を通る。そしてその後、NOx吸蔵浄化触媒16が担持された上記隔壁15内の細孔を通って隣接する上流側閉塞通路19へ流れ込む。排気ガスの空燃比がリーンである場合、排気ガスが上記SOxトラップ触媒17のコーティング層を通過する時にSOxが吸蔵される。次いで、NOx吸蔵浄化触媒16によってNOxが除去され、上記隔壁15の細孔によって排気微粒子が捕集される。
【0018】
本実施形態の排気浄化フィルタ10においては、ほぼ半数の排気通路が上流側端部開口と下流側端部開口とが何れも閉塞されていない貫通通路11である。このため、全ての通路に関し上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方が閉塞されていて、排気ガスが必ず隔壁を通過するようにした排気浄化フィルタに比べ、排気浄化フィルタにおける圧力損失を低減することができる。
【0019】
その一方、本排気浄化フィルタ10では、残りのほぼ半数の排気通路がその上流側端部開口を栓13で閉塞された上流側閉塞通路19である。このため、排気ガスの一部は隔壁15を通過することとなり、全ての排気通路が貫通通路11である場合に比べて高い排気微粒子除去性能が得られる。
なお、本排気浄化フィルタ10では、貫通通路11と上流側閉塞通路19がほぼ半数ずつであったが、必要な排気微粒子除去性能や許容される圧力損失等に応じて貫通通路11と上流側閉塞通路19との割合を調整するようにしてもよい。
【0020】
また、上述したように、本排気浄化フィルタ10において、排気ガスが上記隔壁15を通過する場合には、まずSOxトラップ触媒17のコーティング層を通る。このため、排気ガス中にSOxが含まれている場合には、殆どのSOxがこのコーティング層で捕捉され、隔壁15内部へ入ることが抑制される。
【0021】
NOx吸蔵浄化触媒16は、一般に、排気ガスの空燃比がリーンである場合には排気ガス中にSOxが存在するとNOxの吸蔵を行うのと全く同じメカニズムで排気ガス中のSOxを吸蔵してしまう。そして、NOx吸蔵浄化触媒16のSOx蓄積量が次第に増大し、そのNOx吸蔵容量が減少して排気ガス中のNOxの除去を十分に行うことができなくなる、いわゆる硫黄被毒の問題が生じる。
【0022】
本排気浄化フィルタ10では、上述のようにSOxが隔壁15の内部へ入ることが抑制されるので、隔壁15の細孔内に担持されたNOx吸蔵浄化触媒16が吸蔵してしまうSOx量は低減され、硫黄被毒の問題は生じ難くなる。この結果、排気浄化フィルタ10のNOx吸蔵能力の耐久性が向上される。
【0023】
なお、本排気浄化フィルタ10においてSOxトラップ触媒17の捕捉したSOx量がその許容上限値に達した場合には、SOxトラップ触媒17からSOxを離脱させる硫黄分離脱制御を実施する必要がある。この硫黄分離脱制御は、例えばSOxトラップ触媒17の温度を硫黄分離脱温度以上(例えば600℃以上)に昇温し、且つ流通する排気ガスの空燃比をほぼストイキまたはリッチにすることにより行われる。そして、この硫黄分離脱制御の際には、SOxトラップ触媒17に捕捉していたSOxが排気ガス中へ離脱されるので、離脱されたSOxが今度は隔壁15の細孔内に担持されているNOx吸蔵浄化触媒16に吸蔵され、NOx吸蔵浄化触媒16が硫黄被毒されてしまうことが懸念される。
【0024】
しかしながら、実際には、本排気浄化フィルタ10の構成においては、このような場合に離脱されたSOxは隔壁15の細孔内に担持されているNOx吸蔵浄化触媒16にあまり吸蔵されず、硫黄被毒は起こり難いことが確認されている。このメカニズムについては明らかではない部分もあるが、隔壁15の排気ガス流入側表面にSOxトラップ触媒17のコーティング層が形成されるために隔壁15の細孔内を流通する排気ガスの流速が低くなることや、SOxトラップ触媒17から離脱されるSOxの多くが貫通通路11へ離脱されること等が理由として考えられる。
【0025】
次に本発明の他の実施形態の排気浄化フィルタ20について説明する。図3は排気浄化フィルタ20の排気ガス流入側端面図であり、図4は排気浄化フィルタ20の縦断面図である。本排気浄化フィルタ20は、排気ガス浄化フィルタ10と同様、ハニカム構造をなす隔壁15を具備し、これら隔壁15によって互いに平行をなして延びる複数個の排気通路11、23が画成される。
【0026】
本排気浄化フィルタ20では、排気浄化フィルタ10と異なり、これら排気通路のうちほぼ半数の排気通路23がその下流側端部開口を栓21で閉塞されている。以下、これら排気通路23を下流側閉塞通路と称す。一方、残りの半数の排気通路11は、排気浄化フィルタ10と同様、その上流側端部開口と下流側端部開口とが何れも閉塞されていない貫通通路11である。下流側閉塞通路23には4つの貫通通路11が隣接する。一方、貫通通路11には4つの下流側閉塞通路23が隣接する。
【0027】
排気浄化フィルタ10と同様、隔壁15はコージェライトのような多孔質材料からなり、その表面及び内部に細孔を有していて、排気ガスはこの細孔を通って隔壁15を通過することができる。また、この細孔内には上述したNOx吸蔵浄化触媒16が担持されている。
【0028】
更に本排気浄化フィルタ20においては、下流側閉塞通路23を画成する隔壁15の当該下流側閉塞通路23側の表面、すなわち隣接する貫通通路11を画成する隔壁15の当該貫通通路11とは反対側の表面に、SOxを捕捉するSOxトラップ触媒17がコーティングにより担持されている。このSOxトラップ触媒17のコーティング層は、排気浄化フィルタ10と同様のものである。
【0029】
このような構成の排気浄化フィルタ20が排気ガス通路内に配置された場合、排気浄化フィルタ20に到達した排気ガスは、上記貫通通路11と上記下流側閉塞通路23との両方に流入する。上記貫通通路11に流入した排気ガスは主にそのまま貫通通路11を通って排気浄化フィルタ20から出て行く一方、上記下流側閉塞通路23に流入した排気ガスは上記隔壁15を通過して、すなわち上記隔壁15の細孔を通って、隣接する貫通通路11へ流れ込む(図4参照)。
【0030】
上述の説明からも明らかなように、本排気浄化フィルタ20の構成では上記下流側閉塞通路23の内面にSOxトラップ触媒17がコーティングされているので、上記隔壁15を通過する排気ガスは、まずSOxトラップ触媒17のコーティング層を通る。そしてその後、NOx吸蔵浄化触媒16が担持された上記隔壁15内の細孔を通って隣接する貫通通路11へ流れ込む。排気浄化フィルタ10の場合と同様、排気ガスがリーンである場合、排気ガスが上記SOxトラップ触媒17のコーティング層を通過する時にSOxが吸蔵され、次いでNOx吸蔵浄化触媒16によってNOxが吸蔵される。また、排気微粒子は上記隔壁15の細孔によって捕集される。
【0031】
以上の説明からも明らかなように、本排気浄化フィルタ20においても、排気浄化フィルタ10とほぼ同様の作用によってほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、本排気浄化フィルタ20によっても、全ての通路に関し上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方が閉塞されていて、排気ガスが必ず隔壁を通過するようにした排気浄化フィルタに比べ、排気浄化フィルタにおける圧力損失を低減することができる。また同時に、全ての排気通路が貫通通路である場合に比べて高い排気微粒子除去性能が得られる。
【0032】
なお、本排気浄化フィルタ20では、貫通通路11と下流側閉塞通路23がほぼ半数ずつであったが、排気ガス浄化フィルタ10の場合と同様に、必要な排気微粒子除去性能や許容される圧力損失等に応じて貫通通路11と下流側閉塞通路23との割合を調整するようにしてもよい。
【0033】
また、本排気浄化フィルタ20においても、排気ガスが上記隔壁15を通過する場合には、まずSOxトラップ触媒17のコーティング層を通るので、排気ガス中のSOxの殆どがこのコーティング層で捕捉され、隔壁15内部へ入ることが抑制される。これにより、排気ガス浄化フィルタ10の場合と同様に、隔壁15の細孔内に担持されたNOx吸蔵浄化触媒16が吸蔵してしまうSOx量が低減され、硫黄被毒の問題が生じ難くなる。この結果、排気浄化フィルタ20のNOx吸蔵能力の耐久性は向上される。
【0034】
なお、以上で説明した排気浄化フィルタ10、20は、貫通通路11と上流側閉塞通路19との組合せ、または貫通通路11と下流側閉塞通路23との組合せという、いわゆる片栓詰構成とされていて、その圧力損失を低減するような構成となっているが、これにはSOxトラップ触媒17のコーティング層の付加による排気浄化フィルタの圧力損失の増加を抑制するという目的もある。
【0035】
また、その一方で本発明はこのような片栓詰構成に限定されるものではなく、貫通通路11と、上流側閉塞通路19と、下流側閉塞通路23とが任意に組み合わされてもよい。この場合、上記の各種通路11、19、23の割合は必要な排気微粒子除去性能や許容される圧力損失等に応じて決定することができ、例えば、上流側閉塞通路19と下流側閉塞通路23のみが組み合わされてもよい。また、このような場合においても、SOxトラップ触媒17は、上流側閉塞通路19を画成する隔壁15の当該上流側閉塞通路19とは反対側の表面と、下流側閉塞通路23を画成する隔壁15の当該下流側閉塞通路23側表面とに担持される。これによって、上述した排気浄化フィルタ10、20と同様に、排気浄化フィルタのNOx吸蔵能力の耐久性が向上される。
【0036】
【発明の効果】
以上より、本発明によれば、NOx吸蔵能力の耐久性を向上させた排気浄化フィルタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である排気浄化フィルタの排気ガス流入側端面図である。
【図2】図2は、図1の排気浄化フィルタの縦断面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施形態の排気浄化フィルタの排気ガス流入側端面図である。
【図4】図4は、図3の排気浄化フィルタの縦断面図である。
【符号の説明】
10、20…排気浄化フィルタ
11…貫通通路
13…栓
15…隔壁
16…NOx吸蔵浄化触媒
17…SOxトラップ触媒
19…上流側閉塞通路
21…栓
23…下流側閉塞通路

Claims (3)

  1. 表面及び内部に細孔が設けられた隔壁であって上記細孔を通って排気ガスが通過可能な隔壁によって画成される複数の通路を有し、上記細孔内には、流通する排気ガスの空燃比がリーンの時にNOxを吸蔵し流通する排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵浄化触媒が担持されている排気浄化フィルタにおいて、
    上記複数の通路のうちの少なくとも一部の通路はその上流側端部開口と下流側端部開口とのうちの何れか一方のみが閉塞されていて、
    下流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路側表面と、上流側端部開口のみ閉塞された通路を画成する隔壁の当該通路とは反対側の表面とにSOxトラップ触媒を担持したことを特徴とする排気浄化フィルタ。
  2. 上記複数の通路の一部の通路は閉塞されずに上記排気浄化フィルタを貫通することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
  3. 閉塞された開口は上流側端部開口のみである、または下流側端部開口のみであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気浄化フィルタ。
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