JP2004084357A - アスファルト混合物の補修法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮水壁等に用いられたアスファルト混合物に発生したひび割れを,補修箇所が低温ひび割れの発生起点とならないように,補修する。
【解決手段】ひび割れを含む範囲のアスファルト混合物を母材のアスファルト混合物から除去し,その除去した部分を新たなアスファルト混合物で打ち替えるアスファルト混合物の補修法において,ベースアスファルトに石油系配合油と粘着付与剤樹脂を配合して針入度150以上,60℃粘度1000Pa・s以上で3000Pa・s以下,フラース脆化点マイナス20℃以下に調節された改質アスファルトに骨材を混和してなるアスファルト混合物を,前記の打ち替えに用いることを特徴とするアスファルト混合物の補修法である。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,各種構造物や道路舗装に用いられたアスファルト混合物に発生したひび割れを補修する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アスファルト混合物は線膨張係数が大きいため,冬期や標高が高い地域において,常温から低温に移行する過程で収縮する。その収縮が,下層や周囲の砕石,コンクリート,既設アスファルト混合物などによって拘束された場合に,ひび割れが発生する。
【0003】
フィルダム等の表面遮水壁として利用されているアスファルト混合物に,極低温下において温度応力に起因する低温ひび割れが発生した場合には,その遮水機能を著しく損なう恐れがある。フィルダムに限らず,水路,各種貯水施設,ゴミ処分場などのアスファルト混合物にひび割れが発生した場合も,同様に遮水機能が確保できなくなる。また,道路舗装のアスファルト混合物にひび割れが発生した場合には,ひび割れを通して雨水が浸入し,路盤に損傷を与え,ひいては道路舗装体にも上載荷重によるひび割れを発生させる。
【0004】
一般に,上記のような各種構造物や道路舗装に用いるアスファルト混合物にはストレートアスファルトが使用されている。このアスファルト混合物にひび割れが発生してその機能が低下した場合,その補修法として,アスファルト材料をひび割れに注入する方法,または,ひび割れを囲うように母材面に直角にカッターを入れ,ひび割れを含む範囲を母材から除去し,その除去した箇所を,ストレートアスファルトを用いたアスファルト混合物で打ち替える方法,などが従来より採用されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ひび割れ部分にアスファルト材料を注入して補修した場合には,通常は,その注入アスファルトの種類によらず,母材アスファルト混合物のひび割れ発生温度に達する前の高温側で再度ひび割れが発生するようになる。
【0006】
また,ストレートアスファルトを用いた打ち替え法では,ひび割れ補修部の強度が母材以上になることは期待できず,再度常温から低温に温度低下した場合には,最初にひび割れが発生したよりも高い温度で,打ち替え部分或いは打ち替え部分と母材との境界面にひび割れが発生することが多い。
【0007】
したがって,形式的にはひび割れが補修されたとしても,これらの従来法では補修部にひび割れが起こり易くなることがあり,ひび割れ抵抗を付与する補修とはなり得なかった。
【0008】
本発明は,このような問題の解決を目的とし,各種構造物や道路舗装のアスファルト混合物に発生したひび割れを確実に補修すると同時に,補修箇所にひび割れ抵抗を付与することを課題としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,ひび割れを含む範囲のアスファルト混合物を母材のアスファルト混合物から除去し,その除去した部分を新たなアスファルト混合物で打ち替えるアスファルト混合物の補修法において,ベースアスファルトに石油系配合油と粘着付与剤樹脂を配合して針入度150以上,60℃粘度1000Pa・s以上で3000Pa・s以下,フラース脆化点マイナス20℃以下に調節された改質アスファルトに骨材を混和してなるアスファルト混合物を,前記の打ち替えに用いることを特徴とするアスファルト混合物の補修法を提供する。ここで,母材のアスファルト混合物はストレートアスファルトと骨材の混合物である。その母材のアスファルト混合物から,ひび割れを含む範囲を除去するさいに,母材の表面から内部に向けて深くなるほど,除去する穴の面積が小さくなるように内側に傾斜した法面を作って該範囲を母材から除去するのがよく,また,この傾斜した法面にアスファルト乳剤を塗布しておくか,或いは,この法面を含む打継ぎ面を加熱して軟質化しておくのがよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは,実構造物のアスファルト混合物に生じる温度応力を実験室的に評価する手法を用いて,温度降下過程において拘束下でのアスファルト混合物のひび割れ挙動を解析する研究を行ってきた。そして,ストレートアスファルトを用いたアスファルト混合物(母材)に発生したひび割れを補修する方法として,ひび割れの中にアスファルト材料を注入する注入法,ひび割れの上に新たなアスファルト混合物の層を打設する増厚法,または,ひび割れ発生箇所を除去して新たなアスファルト混合物を打設する打ち替え法を採用した場合の補修箇所の温度応力並びにひび割れ挙動について調べた。
【0011】
その結果,注入法では,母材アスファルト混合物のひび割れ発生温度に達する前に,補修部分にひび割れが発生し易くなり,注入材料の改良ではこれを克服するには困難を伴うことがわかった。増厚法では,母材と同じストレートアスファルト混合物で増厚した場合には,やはり母材のひび割れ発生温度に達する前に補修部分にひび割れが発生することがわかった。しかし,増厚するアスファルトに改良を加えた場合には,母材とほぼ同じひび割れ発生温度までひび割れの発生を回避できることがわかった。
【0012】
また,打ち替え法によると,母材と同じストレートアスファルト混合物で打ち替えた場合には,増厚法よりも補修部のひび割れ抵抗は向上するが,それでも母材のひび割れ温度に至る前に補修部にひび割れが発生することがわかった。しかし,打ち替えるアスファルトに改良を加えた場合には,母材と同等若しくはそれ以上のひび割れ抵抗を示すようになることがわかった。
【0013】
打ち替え法に適用する改良されたアスファルトとしては,前記したとおり,ベースアスファルトに石油系配合油と粘着付与剤樹脂を配合して針入度150以上,60℃粘度1000Pa・s以上で3000Pa・s以下,フラース脆化点マイナス20℃以下に調節された改質アスファルトであるのがよく,この改質アスファルトに骨材を混和してなるアスファルト混合物を,打ち替え用のアスファルト混合物として使用するのがよい。
【0014】
以下に,この改質アスファルトについて詳細に説明する。
【0015】
前述の「石油系配合油」は,プロセスオイルとも呼ばれ,芳香族炭素数が全炭素数の35%以上である芳香族系,ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜45%であるナフテン系,およびパラフィン側鎖炭素数が全炭素数の50%以上であるパラフィン系などがある。この石油系配合油の一部または全部を潤滑油で置き換えることもできる。使用できる潤滑油としては,石油系潤滑油,合成潤滑油,脂肪油などが挙げられ,それらの1種または2種以上が適宜使用できる。石油系潤滑油とは,原油の常圧蒸留の蒸留残油として得られる沸点がおよそ30℃以上の重油を,真空蒸留によって各種流出油に分け,それぞれに,例えば脱ロウ,硫酸処理,溶剤抽出,脱アスファルト,白土処理などの適当な精製処理を行って最終製品に仕上げたものである。合成潤滑油とは,有機合成法によって製造される潤滑油であり,一般に用途によって区分けされ,例えばスピンドル油,コンプレッサ油,ダイナモ油,タービン油,マシン油,エンジン油,ジェットエンジン油,作動油などが挙げられる。また石油系配合油に代えて各種の動植物系油脂類,食用油,食用油およびこれらの再油類などを使用しても良く,これらは,上記の石油系配合油および潤滑油と併用してもよい。これらには,アマニ油,エノ油,キリ油,ゴマ油,ナタネ油,綿実油,大豆油,ツギキ油,オリーブ油,ヒマシ油,ヤシ油,パーム核油などがあり,これらを原料に脱酸,脱色,脱臭,脱ガム等を行って精製したものや,各種の合成油や可塑剤などがある。
【0016】
前述の「粘着付与剤樹脂」としては,天然系樹脂および合成系樹脂のいずれをも適用できるが,天然系樹脂ではテルペン樹脂,ロジンとその誘導体およびこれらの水添処理物のいずれかを使用するのがよく,合成系樹脂では石油樹脂,クマロン・インデン樹脂,スチレン性樹脂などの重合系樹脂およびこれらの水添物のいずれかを使用するのがよい。石油樹脂としては,ナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が20〜60℃の留分(C5留分)を主成分とする脂肪族系(C5系)石油樹脂,同じくナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が160〜260℃の留分(C9留分)を主成分とする芳香族系(C9系)石油樹脂,これらC5系およびC9系石油樹脂を共重合させた脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂,および主としてナフサ分解生成物の蒸留により分離される高純度のジシクロペンタジエンを主成分とする脂環族系(DCPD系)石油樹脂,テルペン類とフェノール類を共重合させたテルペンフェノール樹脂などがある。これらの他に,粘着付与剤樹脂として,天然ワックス,合成ワツクス,配合ワックスなどの石油系,石炭系およびポリマ系の各種のワックス類も同様に使用できる。これらには,パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックス,スラックワツクス,フィシャートロプッシュワックス,カスターワックス,水素化ワックス,モンタンワックス,ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどがあり本発明においてはこれらのうちの1種若しくは2種以上が混合して使用される。
【0017】
前述の「ベースアスファルト」はストレートアスファルトを基準とするが,ストレートアスファルトに対してゴムまたは熱可塑性高分子重合体などの改質材を添加したものも使用できる。ベースアスファルトの針入度は60〜200のいずれでもよい。なお,本発明に従うアスファルトに対して,従来のものと同様の添加材を使用することができる。添加材としては例えば熱可塑性固形樹脂,固形状ゴム,液状樹脂,軟化剤,可塑剤等を使用でき,また,耐熱性向上や紫外線等による劣化防止,作業性向上,接着性向上等の目的で,紫外線吸収剤やこれに類するもの,さらには粘度調整剤を添加することもできる。本発明に従って改質したアスファルトに対するこれらの添加剤の配合割合は,通常は20重量%以下である。
【0018】
原料アスファルトの配合は人工アスファルトと石油アスファルトの2つからなる。人工アスファルトは,石油系配合油類と粘着付与剤樹脂類を混合し製造するが,その混合比率は,石油系配合油類/粘着付与樹脂類=100/0〜0/100まで任意に配合することができる。この配合割合は,使用する石油アスファルトの種類と最終製品となる水工用改質アスファルトの目標性能によって異なる。このように製造した人工アスファルトに対し,石油アスファルトを任意の割合で混合し,水工用改質アスファルトの原料アスファルトとする。人工アスファルトと石油アスファルトの割合は,人工アスファルト/石油アスファルト=100/0から0/100まで任意とすることができる。これらの比率は針入度,粘度,フラース脆化点,耐水性,耐候性,低温性状などの混合物性状および現場における施工性などから,現場に要求される性能を満足するように調整する。
【0019】
本発明に従う改質アスファルトの製造について説明すると,上記のように調整した原料アスファルトに,所定量の高分子材料を均一に添加・混合する。使用する高分子材料は,ゴム又は熱可塑性高分子材料で,天然ゴム,環化ゴム,スチレン・ブタジエンゴム,スチレン・イソプレンゴム,イソプレンゴム,ポリイソプレンゴム,ブタジエンゴム,クロロプレンゴム,プチルゴム,ハロゲン化ゴム,塩素化ポリエチレン,クロロスルホン化ポリエチレン,エチレンプロピレンゴム,EPTゴム,アルフィンゴム,スチレン・ブタジェンブロック共重合ゴム,スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム,スチレン・イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム,及び,エチレン・酢酸ビニール共重合物,エチレン・エチルアクリレート共重合物,ポリエチレン,ポリ塩化ビニール,ポリ酢酸ビニール,塩化ビニール・酢酸ビニール共重合物,酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性高分子重混合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑性高分子重混合物は,1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0020】
改質アスファルト中のアスファルトと,ゴム及び熱可塑性高分子重混合物との配合割合は,原料アスファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分子重混合物が,通常2〜20重量部の範囲が好ましい。ゴム及び熱可塑性高分子重混合物の量が2重量部未満では,改質アスファルトとしての性能を発揮することができず,骨材間,骨材と路面間の接着力や把握力が一般のアスファルトと余り変わらないのに対して,ゴム及び熱可塑性高分子重混合物の量が20重量部を越えると,凝集力が強過ぎて,返って骨材からの剥離が生じ,骨材の飛散を起こし易い。なお,本発明の結合材として使用される改質アスファルト中のアスファルトとしては,使用後の特性を考慮して,針入度(25℃)が50〜500程度のものを使用するのが好ましい。
【0021】
また,その他の添加剤として,老化防止剤や酸化防止剤,硫黄等も添加することができる。また,耐熱性向上や,紫外線等による劣化防止,作業性向上,並びに接着性向上等の目的で,紫外線吸収剤や,各種添加剤,粘度調整剤などを添加しても良い。
【0022】
このようにして得られた改質アスファルトに骨材を配合してなる「改質アスファルト混合物」を,構造物や道路舗装などに用いられたストレートアスファルト混合物のひび割れ補修法の一つとしての打ち替え法に適用すると,この補修箇所は母材のストレートアスファルト混合物と同等もしくはそれ以上のひび割れ抵抗を具備することができる。
【0023】
ひび割れを含む範囲のアスファルト混合物を母材のアスファルト混合物から除去し,その除去した部分を,この「改質アスファルト混合物」で打ち替える場合に,次の処法を用いると,一層,補修部のひび割れ抵抗を向上させることができる。
【0024】
第1は,母材のアスファルト混合物から,ひび割れを含む範囲を除去するさいに,母材の表面から内部に向けて,深くなるほど除去する穴の面積が小さくなるように内側に傾斜した法面を作って該範囲を母材から除去することである。すなわち,母材から除去された空洞部分が傾斜した壁を有するようにすることであり,その傾斜の方向は,表面から内部にゆくほど中心に近づくような方向である。これにより,空洞部分を形成する壁面は,母材表面に直角に削り取った垂直壁面よりも面積が大きくなって,打ち替える改質アスファルト混合物と母材との接合界面が増加すると共に,打ち替える改質アスファルト混合物が転圧時に母材にくい込みやすくなり,温度応力を緩和することができる。
【0025】
この法面の傾斜角は20〜60の範囲が適切である。20°未満では打ち継ぐ改質アスファルト混合物の容量が多くなるばかりで,表面付近に改質アスファルト混合物を薄く打設する部位ができてしまうので,あまり好ましいことではない。他方,60°を超えると転圧による新旧アスファルト混合物の一体性が確保できなくなる。したがって母材アスファルト混合物を除去するときの法面の傾斜角を20〜60の範囲とするのがよい。
【0026】
第2は,前記の傾斜した法面にアスファルト乳剤を塗布してから,改質アスファルト混合物を打ち継ぐことである。アスファルト乳剤は,アスファルトの微粒子を乳化剤,安定剤および水からなる溶液中に分散させたものであり,使用するアスファルトとしては,通常のストレートアスファルトを使用することができる。塗布する量には特に制限はないが,傾斜した法面に一様に塗布されると共に除去した空洞の底部に母材アスファルト混合物が存在する場合には,その底部にもアスファルト乳剤を塗布するのがよい。アスファルト乳剤を介して改質アスファルト混合物を打ち継ぐと,打ち継ぎ面の強度が向上して接合部におけるひび割れ抵抗が向上する。
【0027】
第3は,前記の傾斜した法面を加熱処理して軟質化させた状態で,改質アスファルト混合物を打ち継ぐことである。加熱部分は傾斜した法面のみならず母材アスファルト混合物との接合面全体とすることができる。この加熱処理により,母材アスファルトが軟質化し,これによって打ち継ぎ面での母材アスファルトと改質アスファルトとの一体化が図られる。このため,打ち継ぎ面の接合強度が向上し,補修部のひび割れ抵抗が向上する。
【0028】
以下に,本発明者らの行った試験結果に基いて本発明をさらに説明する。
【0029】
試験は,鹿島技術研究所年報第48号2000年9月30日,P45〜50に記載されたリング拘束試験に従ってアスファルト混合物の低温ひび割れ抵抗性を測定したものである。
【0030】
リング拘束試験は,図1に示したように,リング状の拘束体1(線膨張係数が小さいインバール合金からなる高さ40mm,厚さ20mmで外径200mmのリング)の外周面に,図2に示したようにアスファルト材料2を打設して供試体とする(リング拘束試験体という)。このリング拘束試験体を,図3に示したように,槽4内に入れ,エタノールを冷媒として槽4内を冷却させる。この冷却によって,リング拘束体1とアスファルト材料2の線膨張係数の違いからひび割れ3(図2)を発生させ,ひび割れ3が発生する温度,ひび割れ発生時のひずみ(図3のひずみゲージによる)を測定し,このひずみ量の測定値を基にして,リング拘束体1とアスファルト材料2との力の釣合いからひび割れ発生時の引張応力を算定する。
【0031】
これらの測定は,リング拘束試験体(アスファルト高さ40mm)に発生しているひび割れにアスファルトを注入する注入法,ひび割れが発生しているリング拘束試験体(アスファルトの高さ30mm)の上部に新たにアスファルト混合物を打設(打設高さ10mm)する増厚法,および,ひび割れが発生した部分を除去して新たなアスファルト混合物を打ち継ぐ打ち替え法について,それぞれ行った。打ち替え法では,リング状のアスファルト材料2から,上側から下側に向けて45°に傾斜した二つの法面をもってを打ち替え用の切欠部(アスファルト材料2のほぼ1/6を切り欠いた)を作った。そのさい,両方の法面にアスファルト乳剤を塗布する場合と,加熱する場合の効果を調べた。
【0032】
リング拘束試験体(母材)の作成はストレートアスファルト混合物( StAs80/100)を用いた。その配合を表1に示した。前記の3種類の補修に使用したアスファルトはストレートアスファルトと改質アスファルトとした。改質アスファルトは,針入度(25℃)=70,軟化点=70℃,フラース脆化点=−20℃以下のベースアスファルトに, 石油系配合油と粘着付与剤樹脂を配合して,針入度(25℃)=221,軟化点=64.1℃,フラース脆化点=−25℃〜−35℃に調整したものである。
【0033】
注入法では,ストレートアスファルトまたは改質アスファルトをひび割れに注入し,増厚法ではストレートアスファルト混合物または改質アスファルト混合物を増厚し,それらの骨材配合量は母材のストレートアスファルト混合物 (StAs80/100) と同量とした。打ち替え法では,切欠部にストレートアスファルト混合物または改質アスファルト混合物を打設し,それらの骨材配合量は母材のストレートアスファルト (StAs80/100) と同量とした。
【0034】
いずれの場合にも,補修した各試験体は冷媒中において+10℃で1時間保持したあと,温度降下速度10℃/hr で, 試験体に貫通ひび割れが発生するまで温度を降下させた。温度降下過程において, アスファルト混合物, 拘束体の補修部とその対角の円周方向のひずみを測定した。表2に代表的な試験体の試験ケースを示した。表2において「StAs」と「改質」とあるのは, それぞれの補修に使用したストレートアスファルトと改質アスファルトを表している。
【0035】
【表1】
Figure 2004084357
【0036】
【表2】
Figure 2004084357
【0037】
図4に,補修した各試験体の貫通ひび割れ発生温度を対比して示した。なお,リング拘束試験体の母材アスファルトとして,ストレートアスファルト混合物を使用したとき(補修を行わないとき)のひび割れ発生温度は−39℃であり,改質アスファルト混合物を使用したとき(補修を行わないとき)のひび割れ発生温度は−63℃(図4には示していない)である。
【0038】
図4の結果から,注入法では,補修部のひび割れ発生温度は「StAs」「改質」とも−21〜−23℃のレベルであり,母材のひび割れ発生温度(−39℃)に達する前にひび割れが発生したことがわかる。増厚法では,アスファルトの種類が「StAs」では注入法と同レベルの温度でひび割れが発生するが,「改質」に変えると,母材のひび割れ発生温度近くまでひび割れは発生しなくなることがわかる。打ち替え法では「StAs」でも或る程度のひび割れ補修効果が認められる(乳剤塗布または加熱を行わない無処理の場合)が,「改質」に変えると,母材のひび割れ発生温度と同程度まで割れは発生しなくなることがわかる。なお「改質」の場合には,ひび割れが打ち替え補修部と対角する位置で発生する試験体もあった。注入法および増厚法ではひび割れ部に破断が発生した。
【0039】
図5に,各試験体にひび割れが発生した時点でのひずみゲージの測定結果をもとに,拘束体とアスファルト混合物の力の釣合いから算定したひび割れ発生時の引張応力を示した。なお,母材のアスファルト混合物についての破壊試験では圧裂引張強度は6〜7N/mm程度である。この値と,図5の結果を比較すると,注入法以外の増厚法または打ち替え法では「改質」で補修した場合には,母材の引張強度と同程度もしくはそれ以上の応力まで抵抗できることがわかる。
【0040】
図6に,打ち替え法での打ち継ぎ部のひび割れ発生時の破断ひずみを示した。図9の結果から「StAs」で打ち替えるよりも「改質」で打ち替える方が破断時の伸びが大きくなっていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,遮水壁等のアスファルト混合物に発生したひび割れを,その補修箇所でひび割れが再び発生し難くなるように,完全に補修することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アスファルト混合物のリング拘束試験に用いたリングの斜視図である。
【図2】アスファルト混合物のリング拘束試験体の斜視図である。
【図3】アスファルト混合物のリング拘束試験体の試験状態を示す略平面図である。
【図4】補修した各試験体のリング拘束試験において,ひび割れが発生した温度を対比して示した図である。
【図5】補修した各試験体のリング拘束試験において,ひび割れ発生時の引張応力を対比して示した図である。
【図6】打ち替え法で補修した試験体のリング拘束試験において,打ち継ぎ部のひび割れ発生時の破断ひずみを示した図である。
【符号の説明】
1 リング状拘束体
2 アスファルト材料
3 ひび割れ
4 冷却槽

Claims (4)

  1. ひび割れを含む範囲のアスファルト混合物を母材のアスファルト混合物から除去し,その除去した部分を新たなアスファルト混合物で打ち替えるアスファルト混合物の補修法において,ベースアスファルトに石油系配合油と粘着付与剤樹脂を配合して針入度150以上,60℃粘度1000Pa・s以上で3000Pa・s以下,フラース脆化点マイナス20℃以下に調節された改質アスファルトに骨材を混和してなるアスファルト混合物を,前記の打ち替えに用いることを特徴とするアスファルト混合物の補修法。
  2. 母材のアスファルト混合物から,ひび割れを含む範囲を除去するさいに,母材の表面から内部に向けて,深くなるほど除去する穴の面積が小さくなるように内側に傾斜した法面を作って該範囲を母材から除去する請求項1に記載のアスファルト混合物の補修法。
  3. 除去した部分をアスファルト混合物で打ち替えるさいに,除去された母材側の打ち継ぎ面を加熱して軟質化しておく請求項1または2に記載のアスファルト混合物の補修法。
  4. 除去した部分をアスファルト混合物で打ち替えるさいに,傾斜した法面にアスファルト乳剤を塗布しておく請求項2に記載のアスファルト混合物の補修法。
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