JP3799216B2 - アスファルト系組成物、アスファルト系接着剤、アスファルト系組成物による舗装補修方法、及びアスファルト系組成物を用いた構造物の施工方法 - Google Patents
アスファルト系組成物、アスファルト系接着剤、アスファルト系組成物による舗装補修方法、及びアスファルト系組成物を用いた構造物の施工方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルト系組成物、このアスファルト組成物を用いたアスファルト系接着剤、及びこのアスファルト系組成物による舗装補修方法、及びこのアスファルト系組成物を用いた構造物の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アスファルト舗装道路は、通行する自動車などからの荷重の繰り返しにより徐々に破損し、路面に塑性変形や亀裂(ひび割れ、クラック)が発生し、進行していく。このため、所要の道路状態となるように維持するための補修作業が必要となる。
【0003】
道路舗装表面に発生した亀裂に対しては、以下のような対策がとられる。まず、亀裂部やその周囲に、圧縮空気や圧力をかけた水等を吹き付けて清掃する。次に、液状のシール材を亀裂の上方から噴霧器等で散布する。これにより、シール材は、亀裂の内部に浸透して注入される。シール材は、時間の経過により硬化し、亀裂の内部は硬化したシール材で充填され、補修が完成する。
【0004】
このようなシール材のうち、アスファルト系素材に有機溶剤が添加されて液状にされたもの(以下、「アスファルト系液状シール材」という。)等が用いられる場合がある。このようなアスファルト系液状シール材は、亀裂内への注入後、時間が経過すると、有機溶剤が蒸発して粘度が高くなるため、接着効果が発揮され、亀裂の内壁に強固に付着してシール効果を果たす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のアスファルト系液状シール材は、気象条件によっては、有機溶剤があまり蒸発せず、シール材の表面は皮膜状に硬化してもシール材内部に有機溶剤が封入された状態で残留したり、粘度が高いまま維持されるため亀裂内壁等に付着しにくい、といった問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、有機溶剤の蒸発を促進し舗装亀裂内への付着性の良いアスファルト系組成物、この材料を用いた道路補修方法等を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るアスファルト系組成物は、
石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでN,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を前記第1次組成物に常温において混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させること
を特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るアスファルト系組成物は、
石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分と、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を同時に添加して前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、前記中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させること
を特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係るアスファルト系組成物は、
請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記アスファルト系素材は、ストレートアスファルトであること
を特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係るアスファルト系組成物は、
請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記ゴム系素材は、熱可塑性ゴム、又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含むこと
を特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に係るアスファルト系組成物は、
請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記揮発性の石油精製留分は、ガソリン又は灯油であること
を特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に係るアスファルト系組成物は、
請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記第1次組成物は、カットバックアスファルトであること
を特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7に係るアスファルト系接着剤は、
石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでN,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を前記第1次組成物に常温において混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物を加熱して微小な気泡を発生させ、接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させることにより、所要の接着力を発揮すること
を特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8に係るアスファルト系接着剤は、
石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分と、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を同時に添加して前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、前記中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させ、接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させることにより、所要の接着力を発揮すること
を特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項9に係るアスファルト系組成物による舗装補修方法は、
アスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いで前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物をアスファルト混合物又はコンクリートからなる舗装の亀裂の内部に注入し、次いで前記亀裂内に注入された第2次組成物の上方から加熱されたアスファルト系舗装材料を注入又は敷設し、前記アスファルト系舗装材料の熱により前記第2次組成物を加熱して微小な気泡を発生させ、前記第2次組成物の接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させて前記第2次組成物に所要の接着力を発揮させ、前記第2次組成物を前記舗装の亀裂の内壁に接着させるとともに、前記第2次組成物を前記アスファルト系舗装材料に接着させ、前記第2次組成物と前記アスファルト系舗装材料を硬化させることにより、前記舗装の亀裂を補修すること
を特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項10に係るアスファルト系組成物による舗装補修方法は、
前記発泡剤は、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンと、アゾジカルボンアミドを含むこと
を特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項11に係るアスファルト系組成物による舗装補修方法は、
請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記気泡が前記アスファルト系舗装材料の表面に到達したときに、前記アスファルト系舗装材料の表面に粒子状部材を散布することにより、前記気泡の近傍又は内部に前記粒子状部材が接着され、前記アスファルト系舗装材料の表面を粗面とすることにより、硬化後のアスファルト系舗装材料と車輪タイヤとの間の摩擦係数を増加させること
を特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項12に係るアスファルト系組成物による舗装補修方法は、
請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記第2次組成物は、前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させるとともに、0.5〜40重量%の油性物質又は付加型液状シリコーンゴムを混合させることによって生成され、寒冷地における凍結により、前記第2次組成物が前記舗装の亀裂の内壁から剥離すること、又は前記第2次組成物が前記アスファルト系舗装材料から剥離することを防止すること
を特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項13に係るアスファルト系組成物による舗装補修方法は、
請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記第2次組成物は、前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させるとともに、0.1〜10重量%のシランカップリング剤を混合させることによって生成され、前記第2次組成物が前記舗装の亀裂の周囲の舗装骨材とアスファルト系組成物を接合接着させること
を特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項14に係るアスファルト系組成物を用いた構造物の施工方法は、
アスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いで前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成する第1工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記第2次組成物を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる第2工程と、
次いで、冷却により前記第2次組成物を硬化させ、硬化した前記第2次組成物である硬化物と前記骨材とにより、鉄道における道床部、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれか又はこれらの適宜の組み合わせである構造物を形成させる第3工程を
有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態としては、ストレートアスファルトに、ガソリンを添加し、ストレートアスファルトの粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでこの第1次組成物に常温において下記の成分を含む発泡剤を混合させて生成した常温で液状の第2次組成物が挙げられる。ここに、ストレートアスファルトは、アスファルト系素材に相当している。また、ガソリンは、揮発性の石油精製留分に相当しており、ストレートアスファルトを液状化させることで有機溶剤の役割を果たしている。ガソリンの混入量、混入比率は、ストレートアスファルトの重量に対して約20〜70重量%程度が好ましい。
【0023】
ストレートアスファルトは、JIS K2207に記載されている石油アスファルトのうちの1種類で、原油から常圧蒸留装置で軽質分(ガソリン等)を除去し、さらに減圧蒸留装置で重油等を除去した残留物を所定の品質としたものである。
【0024】
ストレートアスファルトは、針入度により分類され、例えば、日本道路協会では、針入度40〜60のもの、針入度60〜80のもの、針入度80〜100のもの、針入度100〜120のものの4種類を舗装用石油アスファルトと定めている。
【0025】
ここに、針入度とは、JIS K 2207に規定する試験法により、規定の温度(例えば25°C)、規定の荷重(例えば100グラム)、及び規定の貫入時間(例えば5秒間)で、規定の形状の針をアスファルトに貫入させ、その貫入深度を1/10mm単位で表わした値であり、一般に針入度の値が小さいほど硬いアスファルトであることを示している。第1実施形態に用いるストレートアスファルトの針入度は、40〜120までのものが使用可能である。
【0026】
上記の発泡剤は、少なくとも、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンと、アゾジカルボンアミドを含んでいる。
【0027】
N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミン(N,N’−dinitrosopentamethylentetramine)は、以下に示す化学式を持つアミンであり、DPTと略称される。
【0028】
【化1】
【0029】
また、アゾジカルボンアミド(azodicarbonamide)は、
H2NOCN=NCONH2
の化学式を持つアミドであり、ADCAと略称される。
【0030】
発泡剤の混入量、混入比率は、ストレートアスファルトの重量に対して約0.6〜25重量%程度、液状の第1次組成物の重量に対して約0.5〜30重量%程度が好ましい。
【0031】
上記の第2次組成物を約150°C〜260°Cの温度程度に加熱すると、発泡剤の作用により、微小な気泡が多数発生する。この気泡は、第2次組成物の外部へ脱出しようとするが、この際、この気泡中にガソリンが気化して入り込む。したがって、気泡が外部に排出されると、ガソリンも一緒に外部に排出される。このような気泡の作用により、第2次組成物内のガソリンの排出が促進される。ガソリンは、ストレートアスファルトの粘度を低下させて液状化させている有機溶剤の役割を担っている。このため、ガソリンが減少すれば、ストレートアスファルトの粘度が増大し、接着力あるいは付着性が強まる。この状態の第2次組成物は、接着剤として利用することができる。
【0032】
上記の第2次組成物の性質を利用して、舗装の補修を行うことができる。図1は、本発明の一実施形態であるアスファルト系組成物による舗装補修方法の内容を説明する概念図である。
【0033】
図1(A)に示すように、舗装部1に略V字状の断面を有する溝状の亀裂部2が存在する場合を考える。この場合、舗装部1は、ストレートアスファルト等の石油アスファルトと砕石等の骨材を混合して練り混ぜたアスファルト混合物を用いるアスファルト舗装であってもよいし、セメントと砕石・砂等の骨材と水を混合して練り混ぜたコンクリートを用いるコンクリート舗装であってもよい。
【0034】
補修に当っては、まず、図1(A)の状態から、圧縮空気や圧力をかけた水等(図示せず)を、亀裂部2の表面に吹き付け、ゴミや破片等を除去して清掃を行う。
【0035】
次に、図1(B)に示すように、上記した液状の第2次組成物3を、舗装部1の亀裂部2の上方から、噴霧器等(図示せず)で散布する。これにより、第2次組成物3は、亀裂部2の内部に浸透して注入され、亀裂部2の内壁表面に皮膜状になって付着する。
【0036】
次に、図1(C)に示すように、亀裂部2の内部に注入された第2次組成物3の上方から、加熱されたアスファルト系舗装材料4を注入又は敷設する。このアスファルト系舗装材料4としては、ストレートアスファルト系又はブローンアスファルト系を加熱して液状化させたもの等が用いられる。加熱温度は、約150°C〜260°C程度である。
【0037】
したがって、図1(D)に示すように、アスファルト系舗装材料4からの熱により、第2次組成物4は約150°C〜260°C程度まで加熱され、内部の発泡剤の作用により、微小な気泡5が多数発生する。これらの気泡5は、第2次組成物3からアスファルト系舗装材料4の中に入り込み、外部へ脱出しようとするが、この際、これらの気泡5中に第2次組成物3の中のガソリンが気化して入り込む。したがって、気泡5が外部に排出されると、ガソリンも一緒に外部に排出される。
【0038】
このような気泡5の作用により、第2次組成物3内のガソリンの排出が促進される。ガソリンは、第2次組成物3中のストレートアスファルトの粘度を低下させることにより液状化させている有機溶剤の役割を担っている。換言すれば、ガソリンは、第2次組成物3の接着性を阻害している。このため、ガソリンが減少すれば、第2次組成物3中のストレートアスファルトの粘度が増大し、第2次組成物3の接着力あるいは付着性が強まる。この作用により、第2次組成物3は、舗装部1の亀裂部2の内壁に強固に接着する。同時に、第2次組成物3は、アスファルト系舗装材料4にも強固に接着する。この状態の第2次組成物3は、アスファルト系接着剤に相当している。
【0039】
この後、時間が経過して温度が低下すれば、図1(E)に示すように、第2次組成物3とアスファルト系舗装材料4は4´のように硬化し、舗装部1の亀裂部2の内部は、硬化したアスファルト系舗装材料4´で充填され、亀裂は補修される。
【0040】
図1(F)は、硬化したアスファルト系舗装材料4´の表面付近の拡大断面図である。この図1(E)に示すように、硬化したアスファルト系舗装材料4´の表面には、表面に到達して外部へ排出された気泡がはじけることによって形成された凹部6が多数存在しており、これによって硬化したアスファルト系舗装材料4´の表面は粗面となっている。したがって、硬化後のアスファルト系舗装材料4´と、自動車等の車輪タイヤとの間の摩擦係数が増加するから、スリップ事故等の防止に役立つ。
【0041】
上記した第1実施形態の第2次組成物は、他の構成によっても実現可能である。例えば、ガソリンのかわりに、灯油(ケロシン)を用いてもよい。一般的には、揮発性の石油精製留分であればよく、他の物質、例えば、トルエン、キシレン等の石油ナフサ系の有機溶剤であってもよい。これらの有機溶剤の添加量、添加比率は、ストレートアスファルトの重量に対して約20〜70重量%程度が好ましい。
【0042】
(2)第2実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第2実施形態としては、第1次組成物としてカットバックアスファルトを用い、次いでこの第1次組成物に、第1実施形態の場合と同様の成分を含む発泡剤を常温において0.5〜30重量%混合させて生成した常温で液状の第2次組成物が挙げられる。
【0043】
カットバックアスファルトは、ストレートアスファルトに、ガソリンや灯油(ケロシン)等の揮発性の石油精製留分を20〜70重量%程度添加したものであり、これらの軽質油を加えることにより、ストレートアスファルトの粘度を一時的に低下させて常温で液状の瀝青材料としたものである。
【0044】
カットバックアスファルトの性質は、原料として使用するストレートアスファルトの性質、添加する揮発性の石油精製留分(有機溶剤)の組成や量によって変化する。揮発性の石油精製留分の蒸発量、蒸発速度は、これらが軽質なほど、周囲の気温が高いほど、周囲の風通しがよいほど多く、速い。日本道路協会規格では、揮発性の石油精製留分の蒸発速度の大小によって、カットバックアスファルトをRC、MCの2種類に分類し、さらにそれぞれを60°Cにおける動粘度(cst)によって70、250、800、3000の4種類に分類し、合計8種類定めている。
【0045】
この第2実施形態の場合も、上記した第1実施形態と同様の作用・効果を発揮する。すなわち、第2実施形態の第2次組成物を約150°C〜260°Cの温度程度に加熱すると、発泡剤の作用により、微小な気泡が多数発生し、気泡が第2次組成物の外部へ脱出しようとする際に、第2次組成物内のガソリンも一緒に外部に排出される。このため、第2次組成物内のストレートアスファルトの粘度が増大し、接着力あるいは付着性が強まり、この状態の第2次組成物は、接着剤として利用することができる。また、この第2次組成物の性質を利用して、図1に示したようにして舗装の補修を行うことができる。
【0046】
(3)第3実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第3実施形態としては、第1実施形態におけるストレートアスファルトの代わりに、ストレートアスファルトと同様の性質を有するアスファルト系素材を用い、このアスファルト系素材に、上記と同様の揮発性の石油精製留分を20〜70重量%程度添加し、アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでこの第1次組成物に、上記と同様の発泡剤を常温において0.5〜30重量%混合させて生成した常温で液状の第2次組成物が挙げられる。
【0047】
上記したアスファルト系素材としては、石油系溶剤抽出油を50〜70重量%含み、かつ石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%含み、かつゴム系素材を0.5〜5.0重量%含み、かつナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むものが挙げられる。
【0048】
上記の石油系溶剤抽出油は、昭和46年11月30日石油連盟発行の「石油製品のできるまで」第101頁、図6−1「一般的な潤滑油製造工程」に記載されているような、原油から潤滑油を製造する過程において、溶剤抽出によって得られる芳香族及びナフテン族に富んだ油状物質をいう。この石油系溶剤抽出油は、一般に、沸点(大気圧下)が350°C以上、粘度が5〜100cst/100°C(好ましくは30〜100cst/100°C)、針入度(JIS K2207)が1000以上、軟化点(JIS K2207)が20°C以下のものである。特に、芳香族成分とナフテン族成分の合計が45体積%以上(環分析による)を占め、引火点が220°C以上のものが好ましい。
【0049】
また、軟化点とは、JIS K 2207に規定する試験法により、規定の金属製環の内部に填充したアスファルトの上に質量3.5グラムの鋼球を載せて水中に入れ、連続的に加熱した場合に、鋼球の自重によりアスファルトが25mmだけ降下したときの温度(°C)で表わした値であり、規定の条件下でのアスファルトのコンシステンシーを示す指標であり、一般に軟化点の値が高いほど硬いアスファルトであることを示している。
【0050】
石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂は、石油系物質、石炭系物質、その他の天然物質、又はこれらの適宜の組み合わせを出発物質とする固体樹脂をいい、一般に、分子量が約200〜3000程度の重合物で、脂肪族、芳香族、脂環式化合物、又はこれらの適宜の組み合わせの1元ないし3元(共)重合物である。
【0051】
これらのうち、石油系樹脂としては、C4〜C9の石油樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうち、C4〜C9の石油樹脂としては、C4,C5混合系石油樹脂、1,3ペンタジエン系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂、水添シクロペンタジエン系石油樹脂、水添C9系石油樹脂、水添ロジングリセリンエステル等が挙げられる。また、テルペン樹脂としては、β−ピネン、ピネン/ジペンテン等が挙げられる。石炭系樹脂としては、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。また、天然系樹脂としては、各種樹脂酸エステルを挙げることができる。これらの各種樹脂は、いずれも、軟化点(環球式)が80〜180°C、比重が1.0以上、針入度が10以下のものが好ましい。
【0052】
また、上記のゴム系素材としては、熱可塑性ゴム、又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)が挙げられる。熱可塑性ゴムとしては、末端セグメントとしてポリスチレンセグメントを有し、ゴム成分セグメントとして、例えばポリブタジエンセグメント、ポリイソプレンセグメント、ポリエチレンセグメント、ブチレンセグメント等を有する鎖状又は枝状のブロック共重合体が挙げられる。熱可塑性ゴムの代表例としては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。これらの熱可塑性ゴムは、分子量が80000以上、ポリスチレン含有量が10〜50体積%、比重が0.9以上のものが好ましい。
【0053】
ナフテン酸は、石油原油中に含まれるナフテン環(シクロパラフィン環の側鎖の末端にカルボキシル基が結合したもの)を有するカルボン酸類を総称するものであり、化学構造上単一の化合物ではなく、主として飽和単環カルボン酸類、飽和二環カルボン酸類、及び脂肪族カルボン酸類を含む。石油酸ともいわれる。ナフテン環は、主として五員環、六員環、及び七員環である。このナフテン酸としては、特に、酸価が50〜300mg KOH/g、引火点(COC)が150°C以上のものが好ましい。
【0054】
このようにして生成した第3実施形態の場合も、上記した第1、第2実施形態と同様の作用・効果を発揮する。すなわち、第3実施形態の第2次組成物を約150°C〜260°Cの温度程度に加熱すると、発泡剤の作用により、微小な気泡が多数発生し、気泡が第2次組成物の外部へ脱出しようとする際に、第2次組成物内のガソリンも一緒に外部に排出される。このため、第2次組成物内のストレートアスファルトの粘度が増大し、接着力あるいは付着性が強まり、この状態の第2次組成物は、接着剤として利用することができる。また、この第2次組成物の性質を利用して、図1に示した方法と同じ方法により舗装の補修を行うことができる。
【0055】
なお、上記した各実施形態のほかに、アスファルト系素材に、揮発性の石油精製留分と発泡剤を同時に添加してアスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させて接着剤として用い、舗装補修等に使用するようにしてもよい。
【0056】
(4)第4実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第4実施形態としては、上記各実施形態で説明したアスファルト系組成物(第2次組成物)を、図1に示した舗装補修方法以外の舗装補修方法に用いる例が挙げられる。
【0057】
この第4実施形態の舗装補修方法は、図1に示した舗装補修方法において、気泡5がアスファルト系舗装材料4の表面に到達したとき(図1(D)参照)に、アスファルト系舗装材料4の表面に砂、又は他の粒子状部材を散布することにより、気泡5の近傍又は内部にこの粒子状部材を接着させ、アスファルト系舗装材料4の表面をさらに積極的に粗面とさせるものである。このようにすることにより、硬化後のアスファルト系舗装材料4´と車輪タイヤとの間の摩擦係数をより積極的に増加させることができる。
【0058】
(5)第5実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第5実施形態としては、上記各実施形態で説明したアスファルト系組成物(第2次組成物)を、図1に示した舗装補修方法以外の舗装補修方法に用いる例が挙げられる。
【0059】
この第5実施形態の舗装補修方法は、図1に示した舗装補修方法において、接着剤として用いる第2次組成物3を、上記の各実施形態における第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させるとともに、油性物質又は付加型液状シリコーンゴムを混合させることによって生成するようにしたものである。このようにすることにより、寒冷地における凍結作用によって、第2次組成物3が舗装部1の亀裂部2の内壁から剥離すること、あるいは、第2次組成物3が硬化したアスファルト系舗装材料4´から剥離することを防止することができる。
【0060】
油性物質又は付加型液状シリコーンゴムの混入量、混入比率は、液状の第2次組成物の重量に対して約0.5〜40重量%程度が好ましい。
【0061】
上記の油性物質としては、流動点が−20°C以下であり、粘度指数100以上の潤滑油が挙げられる。
【0062】
また、上記の付加型液状シリコーンゴムは、素反応として下記の式で示されるヒドロシリル化反応により架橋を起こし、エラストマーとなるものである。
【0063】
また、付加型液状シリコーンゴムは、以下に示す化学式を有する。
【0064】
【化2】
【0065】
付加型液状シリコーンゴムは、主成分として官能基含有シリコーンオイルを含み、架橋剤としてハイドロジェンポリシロキサンを含み、硬化触媒として白金(Pt)化合物を用い、さらに反応抑制剤、補強剤、添加剤を含む。
【0066】
上記の官能基含有シリコーンオイルの官能基としては、脂肪族不飽和結合を含有していればよく、例えばビニル基、メチル基、フェニル基、フッ素置換アルキル基(例えばトリフロロプロピル基など)が用いられる。この官能基含有シリコーンオイルは、オクタメチルテトラシロキサンなどのオルガノポリシロキサン環状体を、KOH、CsOH、R4NOH、R4POH等のアルカリ触媒の存在下で加熱して行う平衡化反応によって合成することができる。
【0067】
上記のハイドロジェンポリシロキサンは、分子中にSiH結合を有する比較的低分子量のポリマーであり、通常は1分子中に3個以上のSiH基を有するものが用いられる。このポリマーの合成方法は、上記した官能基含有シリコーンオイルの合成方法と基本的には同様であるが、分子中にSiHを有するため、平衡化触媒としては、硫酸、トリフロロメタンスルホン酸等の強酸が用いられる。
【0068】
硬化触媒の白金化合物としては、通常、シリコーンオイルの可溶の白金錯体、例えば、アルコール変性錯体、メチルビニルポリシロキサン錯体等が挙げられる。
【0069】
反応抑制剤としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0070】
また、補強剤としては、補強性シリカ、表面処理補強性シリカ、シリコーンオイルに可溶なレジン等が用いられる。
【0071】
添加剤としては、セリウムや鉄等の酸化物又は水酸化物、カーボンファンクショナルシラン、シロキサン、シリコーンオイル、生ゴム、金属脂肪酸塩、さらには、シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム等のセラミックス等が使用される。
【0072】
(6)第6実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第6実施形態としては、上記各実施形態で説明したアスファルト系組成物(第2次組成物)を、図1に示した舗装補修方法以外の舗装補修方法に用いる例が挙げられる。
【0073】
この第6実施形態の舗装補修方法は、図1に示した舗装補修方法において、接着剤として用いる第2次組成物3を、第1次組成物に常温において発泡剤を混合させるとともに、シランカップリング剤を混合させることによって生成するようにしたものである。このようにすることにより、第2次組成物3が舗装部1の亀裂部2の周囲の舗装骨材どうしを接着させる、という効果がある。
【0074】
シランカップリング剤の混入量、混入比率は、液状の第2次組成物の重量に対して約0.1〜10重量%程度が好ましい。
【0075】
上記のカップリング剤は、高分子とガラスや炭素繊維等の界面の接着性を高め、その結果、複合材料の特性を向上させるために用いられる材料をいい、シランカップリング剤は、シランSiH4を主体とするものをいう。このうち、アルキルシランが用いられる。アルキルシランは、下記の式で代表されるものであり、非官能性の有機基を持つシランである。
CH3−(CH2)n−SiX3
n=0〜17
X=OCH3,OC2H5,Cl
【0076】
上記のアルキルシランの化学式において、Xのケイ素官能基は加水分解性基である。加水分解性基は、ほとんどはアルコキシ基であり、ケイ素に直接結合している。加水分解性基は、加水分解し、無機表面へ結合、縮合という過程をへて作用する。
【0077】
シランカップリング剤は、上記のように、第2次組成物を生成する場合に混入してもよいし、第2次組成物を舗装部の亀裂部の内部に注入する際に、単独で同時に散布又は注入するようにしてもよい。このようにしても、舗装部の亀裂の周囲の舗装骨材どうしを接着させることができる。
【0078】
(7)第7実施形態
本発明は、上記以外の他の構成の実施形態によっても実現可能である。本発明の第7実施形態としては、上記各実施形態で説明したアスファルト系組成物(第2次組成物)を、図1に示した舗装補修方法以外の方法に用いる例が挙げられる。
【0079】
この第7実施形態の方法は、構造物の施工方法である。施工される構造物としては、鉄道における道床部、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれか又はこれらの適宜の組み合わせである構造物が対象となる。
【0080】
この第7実施形態の構造物の施工方法は、上記した各実施形態の第2次組成物を用いる。この第2次組成物の生成工程が第1工程である。次に、砕石等の骨材を床状に敷設して予め被填充体を形成しておき、この被填充体に上記の第2次組成物を流し込み、骨材の相互間の間隙を填充させる(第2工程)。次いで、冷却により第2次組成物を硬化させ、硬化した第2次組成物(以下、「硬化物」という。)と骨材とにより上記の構造物を形成させる(第3工程)。
【0081】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げ、比較例と比較して具体的に説明する。なお、以下の各実施例は例示であり、本発明は下記実施例に限定されるものではない。上記各実施形態のアスファルト系組成物について、実際に実験を行ったものの例を以下に示す。
【0082】
A)実施例
アスファルト素材としてストレートアスファルト(針入度120)を用い、このストレートアスファルトの重量に対し57.0重量%のガソリンを添加し、アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成した。次に、この第1次組成物に、常温において3.0重量%の発泡剤を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成した。発泡剤としては、永和化成工業株式会社製の発泡剤「エクセラーAK#2」を使用した。この発泡剤「エクセラーAK#2」には、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンと、アゾジカルボンアミドが含まれている。また、第2次組成物を生成するにあたり、第1次組成物の重量に対し1.0重量%のシリコーン系粘着剤を混合した。シリコーン系粘着剤としては、GE東芝シリコーン株式会社製の「シリコーンPSA6574」を使用した。このシリコーン系粘着剤「シリコーンPSA6574」には、付加型液状シリコーンゴムが含まれている。また、第2次組成物にあたり、第1次組成物の重量に対し0.5重量%のシランカップリング剤を混合した。シランカップリング剤としては、GE東芝シリコーン株式会社製の「XR31−B1410」を使用した。以下、このようにして生成した本実施例の第2次組成物を「TDプライマー」という。
【0083】
B)比較例
下記の配合のアスファルト乳剤を使用した。
ストレートアスファルト 50重量%
水 49重量%
エマルジョン等 1重量%
【0084】
上記した実施例(TDプライマー)と比較例(アスファルト乳剤)について、道路舗装の目地のプライマーとして用いた場合の剥離抵抗性能試験を行い、その効果を検証した。
【0085】
以下に、試験の方法について説明する。
【0086】
試験は、道路舗装における目地舗装を想定し、目地材の剥離抵抗性を試験することを目的とした。このため、アスファルト舗装道路の状態を再現した下地材としてアスファルトコンクリート板(密粒度13、寸法:300×300×50mm)を用いた。以下、これを「アスコン板」という。また、コンクリート舗装を再現した下地材としてセメントコンクリート板(寸法:300×300×50mm)を用いた。以下、これを「セメコン板」という。
【0087】
試験を行った供試体としては、アスコン板、セメコン板のそれぞれについて、
第1供試体…プライマーをまったく塗布しないもの
第2供試体…比較例(アスファルト乳剤)をプライマーとして塗布したもの
第3供試体…実施例(TDプライマー)をプライマーとして塗布したもの
を作製した。
【0088】
上記において、比較例のプライマー(アスファルト乳剤)の塗布量は、アスコン板、セメコン板のいずれについても、1m2当り0.4kgとした。また、実施例のプライマー(TDプライマー)の塗布量は、アスコン板については、1m2当り0.17kgとし、セメコン板については、1m2当り0.26kgとした。
【0089】
第2供試体については、比較例のプライマー(アスファルト乳剤)を塗布した後、約4時間経過させ、自然乾燥させた。また、第3供試体については、実施例のプライマー(TDプライマー)を塗布した後、5分間自然乾燥させた。その後、第1供試体については、下地材の上に直接に、また第2、3供試体については各プライマーの上に、250°Cの加熱ブローンアスファルト系の目地材を5mmの厚さで流し込み、常温下で2日間養生させて硬化させた。
【0090】
次に、各供試体の硬化した目地材の上面にエポキシ樹脂を塗布し、その上に金属製の治具(寸法:40×40mm)を載せて接着した。次に、金属製治具の外周に切り目を入れて供試体とした。第1供試体(プライマーの無いもの)についても同様にして作製した。供試体の断面構造を図2に示す。図2において、Pは引張加重である。
【0091】
剥離抵抗性試験としては、引張強度試験と、剥離状態の観察を行った。引張強度試験は、恒温室内で、温度を0°C、20°C、30°C、40°Cの4段階とし、建研式引張試験機(建設省建築研究所で開発された引張試験機)を用いて治具に引張力を与え、目地材等が剥離するまでの強度を測定した。
【0092】
また、剥離状態の観察とともに、目地材接着面での剥離率を求めた。この剥離率は、全体の剥離面積をS1とし、目地材と下地材の接着面における剥離面積をS2としたとき、下式
剥離率(%)=(S2/S1)×100
により算出した。
【0093】
剥離抵抗性試験の結果を図3〜6に示す。図3は、アスコン板供試体の場合の恒温室内温度0°Cと20°Cにおける引張強度値である。図3から、0°Cと20°Cにおいては、プライマーの有無にかかわらず、各供試体は同様の引張強度値を示すことがわかった。
【0094】
アスコン板供試体の恒温室内温度が0°Cと20°Cの場合は、目視観察すると、プライマーと目地材の接着面での剥離は発生しておらず、治具と目地材との境界(エポキシ樹脂)での破壊や、目地材の内部での破壊が観察された。したがって、プライマーと目地材の接着面での実際の剥離抵抗(引張強度)は、図3の値よりも大きいと推定される。恒温室内温度が30°Cと40°Cの場合は、引張強度が小さく、引張試験機の測定限界以下であった。
【0095】
また、図4は、アスコン板供試体の場合の恒温室内温度20°C〜40°Cにおける目地材接着面での剥離率と温度の関係を示すグラフである。この場合には、実施例のプライマー(TDプライマー)を塗布したもの(図4における1点鎖線)が最も目地材接着面での剥離率が小さく、下地材への接着効果が大きいことがわかった。
【0096】
また、図5は、セメコン板供試体の場合の恒温室内温度0°Cと20°Cにおける引張強度値を示している。下地材がセメコン板の場合は、恒温室内温度が0°Cでは、実施例のプライマー(TDプライマー)の場合も比較例のプライマー(アスファルト乳剤)の場合も、プライマー無しの場合よりも約2倍の引張強度を有することがわかり、プライマーの効果を確認することができた。また、恒温室内温度が20°Cの場合は、プライマーの有無にかかわらず、各供試体は同様の引張強度値を示すことがわかった。
【0097】
セメコン板供試体の恒温室内温度が0°Cと20°Cの場合も、目視観察すると、プライマーと目地材の接着面での剥離は発生しておらず、治具と目地材との境界(エポキシ樹脂)での破壊や、目地材の内部での破壊が観察された。したがって、この場合も、プライマーと目地材の接着面での実際の剥離抵抗(引張強度)は、図5の値よりも大きいと推定される。恒温室内温度が30°Cと40°Cの場合は、引張強度が小さく、引張試験機の測定限界以下であった。
【0098】
また、図6は、セメコン板供試体の場合の恒温室内温度20°C〜40°Cにおける目地材接着面での剥離率と温度の関係を示すグラフである。この場合も、実施例のプライマー(TDプライマー)を塗布したもの(図6における1点鎖線)が最も目地材接着面での剥離率が小さく、下地材への接着効果が大きいことがわかった。
【0099】
上記の試験結果を総合的に判断すると、セメコン板供試体の恒温室内温度0°Cの場合の引張強度値からもわかるように、下地材と目地材との接着を行うためには、プライマーを用いることが効果的であることが確認できた。また、目地材接着面での剥離率の値からわかるように、実施例のプライマー(TDプライマー)の方が、比較例のプライマー(アスファルト乳剤)よりも、目地材接着面での剥離抵抗性にすぐれていることが確認できた。さらに、実施例のプライマー(TDプライマー)は、5分間の乾燥時間でも良好なプライマー効果を発揮でき、現場での施工性も非常にすぐれていることが確認できた。
【0100】
上記した実施例では、アスファルト素材としてストレートアスファルトを用い、このストレートアスファルトに、57重量%の揮発性のガソリン(石油精製留分)を添加し、アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成した。しかし、添加する石油精製留分の比率は、57重量%に限定されるものではない。他の実験等により、添加する石油精製留分の比率は、20〜70重量%の範囲であれば、アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成することができることが確認されている。
【0101】
また、上記した実施例では、第1次組成物に、常温において3.0重量%の発泡剤(N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンと、アゾジカルボンアミドが含む)を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成した。しかし、混合する発泡剤の比率は、3.0重量%に限定されるものではない。他の実験等により、混合する発泡剤の比率は、0.5〜30重量%の範囲であれば、第2次組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させることができることが確認されている。
【0102】
また、上記した実施例では、まず第1次組成物を生成し、その後、第1次組成物に発泡剤を混合させて第2次組成物を生成した。しかし、第2次組成物の生成方法は、この方法に限定されるものではない。他の実験等により、アスファルト系素材に、20〜70重量%の石油精製留分と、0.5〜30重量%の発泡剤を同時に添加してアスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成した場合でも、この中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させることができることが確認されている。この中間組成物は、実施例の方法における第2次組成物に相当するものである。
【0103】
また、上記した実施例では、アスファルト系素材としてストレートアスファルトを用いている。しかし、アスファルト系素材は、ストレートアスファルトに限定されるものではない。他の実験等により、アスファルトの代用品となるアスファルト代替用組成物を用いても、上記の実施例の場合と同様な性質を有するアスファルト系組成物を生成することができることが確認されている。このアスファルト代替用組成物としては、特開平4−100862号公報に記載されているものが挙げられる。上記公報に記載されているアスファルト代替用組成物は、下記の組成を有している。各成分の具体的内容は、上記の実施形態で説明した通りである。
石油系溶剤抽出油 50〜70重量%、
石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂 25〜45重量%、
ゴム系素材 0.5〜5.0重量%、
ナフテン酸 0.3〜4.0重量%
【0104】
また、上記した実施例では、揮発性の石油精製留部としてガソリンを用いている。しかし、揮発性の石油精製留部は、ガソリンに限定されるものではない。他の実験等により、灯油(ケロシン)を用いても、上記の実施例の場合と同様な性質を有するアスファルト系組成物を生成することができることが確認されている。また、灯油以外の物質、例えば、トルエン、キシレン等の石油ナフサ系の有機溶剤も使用可能であることが、他の実験等により確認されている。揮発性の石油精製留分の働きは、アスファルト系素材を溶解させる点にあると考えられるから、アスファルト系素材への添加比率は、上記した比率(アスファルト系素材の重量に対して約20〜70重量%)がそのまま適用できると考えられる。
【0105】
また、本発明は、上記した実施例のプライマーに限定されるものではない。他の実験等により、第1次組成物としてカットバックアスファルトを用いても、上記の実施例の場合と同様な性質を有するアスファルト系組成物を生成することができることが確認されている。カットバックアスファルトは、ストレートアスファルトに、ガソリンや灯油(ケロシン)等の揮発性の石油精製留分を添加したものだからである。この場合の石油精製留分の添加率は、上記の率(ストレートアスファルトの重量に対して約20〜70重量%)がそのまま適用できると考えられる。
【0106】
また、上記した実施例では、第1次組成物に、第1次組成物の重量に対し1.0重量%のシリコーン系粘着剤(付加型液状シリコーンゴムを含む)を混合するとともに、第1次組成物の重量に対し0.5重量%のシランカップリング剤を混合した。しかし、これらは、本発明のアスファルト系組成物の必須の混合成分ではない。他の実験等により、シリコーン系粘着剤とシランカップリング剤の両方をまったく混合しない場合であっても、本発明のアスファルト系組成物の基本的な顕著な効果、すなわち、第2次組成物を加熱することにより微小な気泡が発生するという効果は十分発揮されることが確認されている。
【0107】
シリコーン系粘着剤の果たす役割は、本発明のアスファルト系組成物を用いて道路舗装の補修を行う場合に、寒冷地における凍結により、第2次組成物が舗装の亀裂の内壁から剥離すること、又は第2次組成物がアスファルト系舗装材料から剥離することを防止する作用(以下、「寒冷地での凍結剥離防止作用」という。)を補助する点にある。この作用は、シリコーン系粘着剤だけでなく、上述した付加型液状シリコーンゴムを含む物質を混合することによっても発揮されることが、他の実験等により確認されている。さらに、これら以外にも、上述した油性物質混合することによっても同様の作用が発揮されることが、他の実験等により確認されている。また、油性物質又は付加型液状シリコーンゴムの混合率も、上記した実施例のプライマーの例(第1次組成物の重量に対し1.0重量%)に限定されるものではない。他の実験等により、混合する油性物質又は付加型液状シリコーンゴムの比率は、0.5〜40重量%の範囲であれば、上記した寒冷地での凍結剥離防止作用を発揮できることが確認されている。
【0108】
また、シランカップリング剤の果たす役割は、本発明のアスファルト系組成物を用いて道路舗装の補修を行う場合に、第2次組成物が前記舗装の亀裂の周囲の舗装骨材とアスファルト系組成物を接合接着させる作用(以下、「接合接着作用」という。)を補助する点にある。この作用は、実施例で用いたもの以外のシランカップリング剤を混合することによっても発揮されることが、他の実験等により確認されている。他のシランカップリング剤の成分は、上述の通りである。また、シランカップリング剤の混合率も、上記した実施例のプライマーの例(第1次組成物の重量に対し0.5重量%)に限定されるものではない。他の実験等により、混合するシランカップリング剤の比率は、0.1〜10重量%の範囲であれば、上記した接合接着作用を発揮できることが確認されている。
【0109】
なお、本発明は、上記各実施形態又は実施例に限定されるものではない。上記各実施形態及び実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、揮発性の石油精製留分を添加し、このアスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでN,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を第1次組成物に常温において混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、この第2次組成物を用い、第2次組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させるか、又は石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分と、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を同時に添加して前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、この中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させるようにしたので、接着剤として利用する場合には、所要の接着力を発揮し、舗装の亀裂を補修する場合に好適である。また、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に第2次組成物を流し込み骨材の相互間の間隙を填充させることにより、強固な床状の構造物を迅速に構築することができ、骨材からなる床状の構造物の沈下を有効に防止することができ、かつ工事費用も低廉な価格に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるアスファルト系組成物による舗装補修方法の内容を説明する概念図である。
【図2】本発明の実施例と比較例について行った剥離抵抗性試験の供試体の断面図である。
【図3】本発明の実施例と比較例について行った剥離抵抗性試験の結果を説明するグラフであり、アスコン板供試体の場合の温度0°Cと20°Cにおける引張強度値である。
【図4】本発明の実施例と比較例について行った剥離抵抗性試験の結果を説明するグラフであり、アスコン板供試体の場合の温度20°C〜40°Cにおける目地材接着面での剥離率と温度の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例と比較例について行った剥離抵抗性試験の結果を説明するグラフであり、セメコン板供試体の場合の温度0°Cと20°Cにおける引張強度値である。
【図6】本発明の実施例と比較例について行った剥離抵抗性試験の結果を説明するグラフであり、セメコン板供試体の場合の温度20°C〜40°Cにおける目地材接着面での剥離率と温度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 舗装部
2 亀裂部
3 第2次組成物
4 加熱されたアスファルト系舗装材料
4´ 硬化したアスファルト系舗装材料
5 気泡
6 凹部
Claims (14)
- 石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでN,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を前記第1次組成物に常温において混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させること
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分と、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を同時に添加して前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、前記中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させること
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記アスファルト系素材は、ストレートアスファルトであること
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記ゴム系素材は、熱可塑性ゴム、又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含む
こと
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記揮発性の石油精製留分は、ガソリン又は灯油であること
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 請求項1又は2記載のアスファルト系組成物において、
前記第1次組成物は、カットバックアスファルトであること
を特徴とするアスファルト系組成物。 - 石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いでN,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を前記第1次組成物に常温において混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物を加熱して微小な気泡を発生させ、接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させることにより、所要の接着力を発揮すること
を特徴とするアスファルト系接着剤。 - 石油系溶剤抽出油を50〜70重量%、石油系又は石炭系若しくは天然系樹脂を25〜45重量%、ゴム系素材を0.5〜5.0重量%、ナフテン酸を0.3〜4.0重量%含むアスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分と、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンとアゾジカルボンアミドを含む発泡剤0.5〜30重量%を同時に添加して前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させ常温で液状の中間組成物を生成し、前記中間組成物を加熱することにより微小な気泡を発生させ、接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させることにより、所要の接着力を発揮すること
を特徴とするアスファルト系接着剤。 - アスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いで前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成し、前記第2次組成物をアスファルト混合物又はコンクリートからなる舗装の亀裂の内部に注入し、次いで前記亀裂内に注入された第2次組成物の上方から加熱されたアスファルト系舗装材料を注入又は敷設し、前記アスファルト系舗装材料の熱により前記第2次組成物を加熱して微小な気泡を発生させ、前記第2次組成物の接着性を阻害する溶剤成分を前記気泡とともに外部に排出させて前記第2次組成物に所要の接着力を発揮させ、前記第2次組成物を前記舗装の亀裂の内壁に接着させるとともに、前記第2次組成物を前記アスファルト系舗装材料に接着させ、前記第2次組成物と前記アスファルト系舗装材料を硬化させることにより、前記舗装の亀裂を補修すること
を特徴とするアスファルト系組成物による舗装補修方法。 - 請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記発泡剤は、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミンと、アゾジカルボンアミドを含むこと
を特徴とするアスファルト系組成物による舗装補修方法。 - 請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記気泡が前記アスファルト系舗装材料の表面に到達したときに、前記アスファルト系舗装材料の表面に粒子状部材を散布することにより、前記気泡の近傍又は内部に前記粒子状部材が接着され、前記アスファルト系舗装材料の表面を粗面とすることにより、硬化後のアスファルト系舗装材料と車輪タイヤとの間の摩擦係数を増加させること
を特徴とするアスファルト系組成物による舗装補修方法。 - 請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記第2次組成物は、前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させるとともに、0.5〜40重量%の油性物質又は付加型液状シリコーンゴムを混合させることによって生成され、寒冷地における凍結により、前記第2次組成物が前記舗装の亀裂の内壁から剥離すること、又は前記第2次組成物が前記アスファルト系舗装材料から剥離することを防止すること
を特徴とするアスファルト系組成物による舗装補修方法。 - 請求項9記載のアスファルト系組成物による舗装補修方法において、
前記第2次組成物は、前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させるとともに、0.1〜10重量%のシランカップリング剤を混合させることによって生成され、前記第2次組成物が前記舗装の亀裂の周囲の舗装骨材とアスファルト系組成物を接合接着させること
を特徴とするアスファルト系組成物による舗装補修方法。 - アスファルト系素材に、20〜70重量%の揮発性の石油精製留分を添加し、前記アスファルト系素材の粘度を一時的に低下させて常温で液状の第1次組成物を生成し、次いで前記第1次組成物に常温において0.5〜30重量%の発泡剤を混合させて常温で液状の第2次組成物を生成する第1工程と、
次いで、骨材を床状に敷設して予め形成した被填充体に前記第2次組成物を流し込み前記骨材の相互間の間隙を填充させる第2工程と、
次いで、冷却により前記第2次組成物を硬化させ、硬化した前記第2次組成物である硬化物と前記骨材とにより、鉄道における道床部、道路における舗装、港湾構造物における床状部、空港構造物における床状部、埋立地における床状部、建築物における床状部、又は農業用構造物における床状部のうちのいずれか又はこれらの適宜の組み合わせである構造物を形成させる第3工程を
有することを特徴とするアスファルト系組成物を用いた構造物の施工方法。
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