JP2004083869A - 蛍光体の分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光体から希土類元素を容易に回収することを目的として、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体から、それぞれ各色の蛍光体を好適に分離することを課題とする。
【解決手段】青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体を、pH10以上に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体をそれぞれ分離することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体を、pH10以上に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体をそれぞれ分離することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体から、それぞれ各色の蛍光体を分離する分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
周知のように、蛍光体には種々のものが存在し、蛍光体の種類によって、その蛍光体材料も異なっている。たとえば、青色蛍光体としては、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〔Eu2+を付活元素とすることを意味する〕、及びBaMg2Al16O27:Eu2+が使用され、緑色蛍光体としては、LaPO4:Ce3+、及びLaPO4:Tb3+等が使用され、さらに赤色蛍光体としては、Y2O3:Eu3+等が使用されている。
【0003】
このような蛍光体には、付活元素として希土類元素が用いられているが、これらの希土類元素は世界的にも産出量が少なく、希少価値が高いため、蛍光体から希土類元素を回収する方法が検討されている。
【0004】
たとえば蛍光体をメカノケミカル処理した後、酸に浸出させて処理することにより、目的の希土類元素を抽出する方法等があるが(特開平11−71111 号公報、特開平2000−192167号公報)、このような方法では、蛍光体から希土類元素を単体分離するために酸等の溶媒を多く使用することが必要となり、特に蛍光体が赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体である場合には、工程が煩雑となって経済性が悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、蛍光体から希土類元素を容易に回収することを目的として、上記のような三色混合蛍光体から赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種の蛍光体をそれぞれ好適に分離することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような課題を解決するために、上記のような三色混合蛍光体を溶液に分散させた場合、その三色混合蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれのゼータ電位がpHによって異なる点に着目して本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の蛍光体の分離方法の特徴は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体を、pH10以上に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体をそれぞれ分離することである。
【0008】
pH10以上の領域において、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が異なっており、従って、このpH領域に調整された溶液に三色混合蛍光体を分散させ、捕収剤を添加すれば、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体が、順に凝集、浮遊、沈殿等によって分離されるのである。
これら3種の蛍光体を好適に分離するためには、分散させる溶液のpHが11〜12であることがより好ましい。
【0009】
捕収剤としては、陰イオン性捕収剤及び陽イオン性捕収剤を使用することができる。
【0010】
陰イオン性捕収剤としては、たとえばn−アミルザンセート、ジフェニルチオ尿素、ジクレミール−ジチオフォスフォル酸を含む液剤、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、金属石鹸が例示される。
【0011】
また、陽イオン性捕収剤としては、トリ−n−オクチルアミンやドデシルアンモニウムアセテートが例示される。
【0012】
上記のような捕収剤で蛍光体が捕収される作用について、オレイン酸を例に挙げて説明すると、水中でオレイン酸が蛍光体に近接すると、オレイン酸は蛍光体の表面に付着し、蛍光体の表面はオレイン酸の薄い膜で包まれる。
【0013】
このように蛍光体の表面がオレイン酸の薄い膜で包まれたものが多数集合すれば、蛍光体の粒子がオレイン酸のために互いに連結させられる。オレイン酸は表面張力のために縮まろうとして蛍光体の微粒子を互いに固く密着させようとする。このようにオレイン酸が付着した蛍光体は、オレイン酸を添加することで捕収されたことになる。
【0014】
オレイン酸が蛍光体の表面に付着するための条件は、水中のpHや蛍光体粒子の種類によって異なる。
【0015】
オレイン酸以外の捕収剤、たとえばオレイン酸ナトリウムについても同様の作用で蛍光体を捕収する。オレイン酸やオレイン酸ナトリウムは、蛍光体粒子の表面で疎水性の物質となるために、捕収性が生ずるものと認められる。
【0016】
捕収された蛍光体は、粒子表面に捕収剤が存在するので、それ自体が疎水性のものとなり、従って水相側から油相側へより移動し易くなり、その結果効率的に分離されることとなるのである。
【0017】
さらに、蛍光体からの希土類元素の回収方法の発明の特徴は、上記のような蛍光体の分離方法によって分離された青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれの蛍光体から、希土類元素であるユーロピウム、テルビウム、イットリウムを溶媒で抽出し、分離して回収することである。
【0018】
分離,回収する方法としては、たとえばイオンクロマト法が採用される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
本発明において分離処理の対象となる蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体を混合した三色混合蛍光体である。
【0021】
三色混合蛍光体から、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体をそれぞれ分離する場合について具体的に説明すると、先ずpH11〜12に調整された水溶液を準備する。この水溶液は、水にNaOH等のアルカリやHCl,H3PO4等の酸を添加しつつ、pH11〜12に調整される。
【0022】
次に、この水溶液に、処理対象である三色混合蛍光体を添加して分散させる。
【0023】
その後にn−アミルザンセート、ジフェニルチオ尿素、ジクレミール−ジチオフォスフォル酸を含む液剤、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、金属石鹸等の陰イオン性捕収剤や、トリ−n−オクチルアミンやドデシルアンモニウムアセテート等の陽イオン性捕収剤を添加すれば、pH11〜12における領域において混合蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が異なっているので、それぞれの蛍光体を凝集、浮遊、沈殿等によって分離することが可能となる。
【0024】
さらに、上記のようにしてそれぞれ分離された青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれの蛍光体は、抽出液(溶媒)で抽出され、希土類元素であるユーロピウム、テルビウム、イットリウムが、イオンクロマト法等によって分離,回収されるのである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0026】
(実施例1)
赤色蛍光体〔Y2O3:Eu3+〕、緑色蛍光体〔LaPO4:Tb3+〕、及び青色蛍光体〔(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〕を、試料としてそれぞれ準備し、水溶液中に懸濁させ、その水溶液のpHを変化させ、それぞれのpHにおけるゼータ電位を測定した。
【0027】
ゼータ電位は電気泳動光散乱測定法(レーザードップラー法)により測定し、測定装置としては、ELS800型ゼータ電位測定装置(大塚電子社製)を用いた。試料を懸濁させる水溶液のpHの調整は、H3PO4及びNaOHを用いて行った。
【0028】
測定溶液のイオン濃度を一定に保つために、適量の試料を10mMNaCl水溶液に分散した。H3PO4及びNaOHを用いて測定溶液のpHを調整した。測定溶液を粒子測定用セルに注入し、75Vの印加電圧で2回測定を行い、平均値を計算した。
【0029】
その結果を図1及び表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1からも明らかなように、pH6.0では赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体のゼータ電位にはほとんど差がなく、またpH3.4でも上記3種の蛍光体のゼータ電位にさほど差がなかったが、pH11.6では明らかに差が認められた。
【0032】
図1は測定したゼータ電位の測定値をプロットしてグラフ化したものであるが、この図1から判断すると、pH10以上、好ましくは11以上で赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体のゼータ電位に差が生じて、捕収剤での分離が可能と認められる。
【0033】
(実施例2)
上記実施例1での試験結果を下に、NaOH及びHClを用いてpH約11.6に調整された水溶液を準備し、その水溶液に、三色混合蛍光体を分散させた。
【0034】
次に、その分散液に、捕収剤であるオレイン酸ナトリウムを添加した。その結果、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0035】
(実施例3)
本実施例では、捕収剤として上記実施例2のオレイン酸ナトリウムに代えてドデシル硫酸ナトリウムを用いた。三色混合蛍光体を分散させる水溶液のpHの調整も実施例2と同様に行った。
【0036】
分散液に捕収剤であるドデシル硫酸ナトリウムを添加したところ、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0037】
(実施例4)
本実施例では、捕収剤として上記実施例2のオレイン酸ナトリウムに代えてトリ−n−オクチルアミンを用いた。三色混合蛍光体を分散させる水溶液のpHの調整も実施例2と同様に行った。
【0038】
分散液に捕収剤であるトリ−n−オクチルアミンを添加したところ、青色蛍光体を、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0039】
(その他の実施例)
尚、上記実施例では、青色蛍光体としてリン酸系の青色蛍光体〔(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〕を用いたが、これに限らずアルミナ系の青色蛍光体〔BaMg2Al16O27:Eu2+〕を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体や緑色蛍光体の種類も該実施例に限定されるものではない。
【0040】
さらに、上記実施例では、NaOHとHClを用いて溶液のpH調整を行ったが、これ以外のpH調整剤を用いることも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、三色混合蛍光体を、その蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が相違するpH10以上に調整された溶液、好ましくはpH11〜12に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、それぞれ青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を分離することを可能としたものであるため、分離されたそれぞれ三種の蛍光体から希土類元素を容易に回収することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光体のゼータ電位のpH依存性を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体から、それぞれ各色の蛍光体を分離する分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
周知のように、蛍光体には種々のものが存在し、蛍光体の種類によって、その蛍光体材料も異なっている。たとえば、青色蛍光体としては、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〔Eu2+を付活元素とすることを意味する〕、及びBaMg2Al16O27:Eu2+が使用され、緑色蛍光体としては、LaPO4:Ce3+、及びLaPO4:Tb3+等が使用され、さらに赤色蛍光体としては、Y2O3:Eu3+等が使用されている。
【0003】
このような蛍光体には、付活元素として希土類元素が用いられているが、これらの希土類元素は世界的にも産出量が少なく、希少価値が高いため、蛍光体から希土類元素を回収する方法が検討されている。
【0004】
たとえば蛍光体をメカノケミカル処理した後、酸に浸出させて処理することにより、目的の希土類元素を抽出する方法等があるが(特開平11−71111 号公報、特開平2000−192167号公報)、このような方法では、蛍光体から希土類元素を単体分離するために酸等の溶媒を多く使用することが必要となり、特に蛍光体が赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体である場合には、工程が煩雑となって経済性が悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、蛍光体から希土類元素を容易に回収することを目的として、上記のような三色混合蛍光体から赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種の蛍光体をそれぞれ好適に分離することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような課題を解決するために、上記のような三色混合蛍光体を溶液に分散させた場合、その三色混合蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれのゼータ電位がpHによって異なる点に着目して本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の蛍光体の分離方法の特徴は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体を、pH10以上に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体をそれぞれ分離することである。
【0008】
pH10以上の領域において、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が異なっており、従って、このpH領域に調整された溶液に三色混合蛍光体を分散させ、捕収剤を添加すれば、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体が、順に凝集、浮遊、沈殿等によって分離されるのである。
これら3種の蛍光体を好適に分離するためには、分散させる溶液のpHが11〜12であることがより好ましい。
【0009】
捕収剤としては、陰イオン性捕収剤及び陽イオン性捕収剤を使用することができる。
【0010】
陰イオン性捕収剤としては、たとえばn−アミルザンセート、ジフェニルチオ尿素、ジクレミール−ジチオフォスフォル酸を含む液剤、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、金属石鹸が例示される。
【0011】
また、陽イオン性捕収剤としては、トリ−n−オクチルアミンやドデシルアンモニウムアセテートが例示される。
【0012】
上記のような捕収剤で蛍光体が捕収される作用について、オレイン酸を例に挙げて説明すると、水中でオレイン酸が蛍光体に近接すると、オレイン酸は蛍光体の表面に付着し、蛍光体の表面はオレイン酸の薄い膜で包まれる。
【0013】
このように蛍光体の表面がオレイン酸の薄い膜で包まれたものが多数集合すれば、蛍光体の粒子がオレイン酸のために互いに連結させられる。オレイン酸は表面張力のために縮まろうとして蛍光体の微粒子を互いに固く密着させようとする。このようにオレイン酸が付着した蛍光体は、オレイン酸を添加することで捕収されたことになる。
【0014】
オレイン酸が蛍光体の表面に付着するための条件は、水中のpHや蛍光体粒子の種類によって異なる。
【0015】
オレイン酸以外の捕収剤、たとえばオレイン酸ナトリウムについても同様の作用で蛍光体を捕収する。オレイン酸やオレイン酸ナトリウムは、蛍光体粒子の表面で疎水性の物質となるために、捕収性が生ずるものと認められる。
【0016】
捕収された蛍光体は、粒子表面に捕収剤が存在するので、それ自体が疎水性のものとなり、従って水相側から油相側へより移動し易くなり、その結果効率的に分離されることとなるのである。
【0017】
さらに、蛍光体からの希土類元素の回収方法の発明の特徴は、上記のような蛍光体の分離方法によって分離された青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれの蛍光体から、希土類元素であるユーロピウム、テルビウム、イットリウムを溶媒で抽出し、分離して回収することである。
【0018】
分離,回収する方法としては、たとえばイオンクロマト法が採用される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
本発明において分離処理の対象となる蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体を混合した三色混合蛍光体である。
【0021】
三色混合蛍光体から、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体をそれぞれ分離する場合について具体的に説明すると、先ずpH11〜12に調整された水溶液を準備する。この水溶液は、水にNaOH等のアルカリやHCl,H3PO4等の酸を添加しつつ、pH11〜12に調整される。
【0022】
次に、この水溶液に、処理対象である三色混合蛍光体を添加して分散させる。
【0023】
その後にn−アミルザンセート、ジフェニルチオ尿素、ジクレミール−ジチオフォスフォル酸を含む液剤、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、金属石鹸等の陰イオン性捕収剤や、トリ−n−オクチルアミンやドデシルアンモニウムアセテート等の陽イオン性捕収剤を添加すれば、pH11〜12における領域において混合蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が異なっているので、それぞれの蛍光体を凝集、浮遊、沈殿等によって分離することが可能となる。
【0024】
さらに、上記のようにしてそれぞれ分離された青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれの蛍光体は、抽出液(溶媒)で抽出され、希土類元素であるユーロピウム、テルビウム、イットリウムが、イオンクロマト法等によって分離,回収されるのである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0026】
(実施例1)
赤色蛍光体〔Y2O3:Eu3+〕、緑色蛍光体〔LaPO4:Tb3+〕、及び青色蛍光体〔(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〕を、試料としてそれぞれ準備し、水溶液中に懸濁させ、その水溶液のpHを変化させ、それぞれのpHにおけるゼータ電位を測定した。
【0027】
ゼータ電位は電気泳動光散乱測定法(レーザードップラー法)により測定し、測定装置としては、ELS800型ゼータ電位測定装置(大塚電子社製)を用いた。試料を懸濁させる水溶液のpHの調整は、H3PO4及びNaOHを用いて行った。
【0028】
測定溶液のイオン濃度を一定に保つために、適量の試料を10mMNaCl水溶液に分散した。H3PO4及びNaOHを用いて測定溶液のpHを調整した。測定溶液を粒子測定用セルに注入し、75Vの印加電圧で2回測定を行い、平均値を計算した。
【0029】
その結果を図1及び表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1からも明らかなように、pH6.0では赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体のゼータ電位にはほとんど差がなく、またpH3.4でも上記3種の蛍光体のゼータ電位にさほど差がなかったが、pH11.6では明らかに差が認められた。
【0032】
図1は測定したゼータ電位の測定値をプロットしてグラフ化したものであるが、この図1から判断すると、pH10以上、好ましくは11以上で赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体のゼータ電位に差が生じて、捕収剤での分離が可能と認められる。
【0033】
(実施例2)
上記実施例1での試験結果を下に、NaOH及びHClを用いてpH約11.6に調整された水溶液を準備し、その水溶液に、三色混合蛍光体を分散させた。
【0034】
次に、その分散液に、捕収剤であるオレイン酸ナトリウムを添加した。その結果、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0035】
(実施例3)
本実施例では、捕収剤として上記実施例2のオレイン酸ナトリウムに代えてドデシル硫酸ナトリウムを用いた。三色混合蛍光体を分散させる水溶液のpHの調整も実施例2と同様に行った。
【0036】
分散液に捕収剤であるドデシル硫酸ナトリウムを添加したところ、青色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0037】
(実施例4)
本実施例では、捕収剤として上記実施例2のオレイン酸ナトリウムに代えてトリ−n−オクチルアミンを用いた。三色混合蛍光体を分散させる水溶液のpHの調整も実施例2と同様に行った。
【0038】
分散液に捕収剤であるトリ−n−オクチルアミンを添加したところ、青色蛍光体を、赤色蛍光体、緑色蛍光体をそれぞれ個別に分離することができた。
【0039】
(その他の実施例)
尚、上記実施例では、青色蛍光体としてリン酸系の青色蛍光体〔(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+〕を用いたが、これに限らずアルミナ系の青色蛍光体〔BaMg2Al16O27:Eu2+〕を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体や緑色蛍光体の種類も該実施例に限定されるものではない。
【0040】
さらに、上記実施例では、NaOHとHClを用いて溶液のpH調整を行ったが、これ以外のpH調整剤を用いることも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、三色混合蛍光体を、その蛍光体中の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のゼータ電位が相違するpH10以上に調整された溶液、好ましくはpH11〜12に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、それぞれ青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を分離することを可能としたものであるため、分離されたそれぞれ三種の蛍光体から希土類元素を容易に回収することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光体のゼータ電位のpH依存性を示すグラフである。
Claims (7)
- 青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の3種の蛍光体が混合された三色混合蛍光体を、pH10以上に調整された溶液に分散させ、捕収剤を添加して、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体をそれぞれ分離することを特徴とする蛍光体の分離方法。
- 捕収剤が、陰イオン性捕収剤である請求項1記載の蛍光体の分離方法。
- 陰イオン性捕収剤が、n−アミルザンセート、ジフェニルチオ尿素、ジクレミール−ジチオフォスフォル酸を含む液剤、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、または金属石鹸である請求項2記載の蛍光体の分離方法。
- 捕収剤が、陽イオン性捕収剤である請求項1記載の蛍光体の分離方法。
- 陽イオン性捕収剤が、トリ−n−オクチルアミン又はドデシルアンモニウムアセテートである請求項4記載の蛍光体の分離方法。
- 請求項1乃至5の蛍光体の分離方法によって分離された青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のそれぞれの蛍光体から、希土類元素であるユーロピウム、テルビウム、イットリウムを溶媒で抽出し、分離して回収することを特徴とする蛍光体からの希土類元素の回収方法。
- 希土類元素を溶媒で抽出した後に分離する方法が、イオンクロマト法である請求項6記載の蛍光体からの希土類元素の回収方法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003179215A Pending JP2004083869A (ja) | 2002-06-24 | 2003-06-24 | 蛍光体の分離方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004083869A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100945413B1 (ko) | 2009-07-15 | 2010-03-04 | (주)포스바이오 | 냉음극형광램프의 폐혼합형광체 분리 재생 방법 |
CN102828030A (zh) * | 2012-09-13 | 2012-12-19 | 北京工业大学 | 超声-亚熔盐法回收稀土荧光粉废料中稀土元素的方法 |
RU2481141C1 (ru) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Санкт-Петербургский государственный горный университет" | Способ извлечения катионов самария (iii) |
CN112646567A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-04-13 | 华南理工大学 | 一种有机发光材料的回收纯化方法 |
CN114774718A (zh) * | 2022-04-21 | 2022-07-22 | 江西理工大学 | 一种亚熔盐法回收稀土熔盐电解渣中稀土元素的方法 |
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2003
- 2003-06-24 JP JP2003179215A patent/JP2004083869A/ja active Pending
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