JP2004083565A - 防虫畳 - Google Patents

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荒川 民雄
Ikufumi Masumoto
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Abstract

【課題】本発明の課題は、人体に殆ど無害でダニの増殖抑制効果が高くて半永久的に持続する防虫畳を提供することにある。
【解決手段】畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質材料を介在させた防虫畳であり、繊維質材料として、厚さが0.5mm以上の繊維質シートを用いて、畳床の少なくとも表側、及び裏側、その中間に介在させるか、又は、直径が1〜6mmの紐状のものを用いて、畳床の藁に混合する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質材料を介在させた、ダニ類の生息、繁殖を抑制し、人体には害の無い防虫畳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
畳は、日本の伝統的な建築材料で、元来乾燥した藁を圧縮した畳床に畳表を縫いつけたものである。畳は天然植物素材としての風合いや調湿機能を持つ反面、しばしばダニやチャタテ虫などの害虫の温床になっている。特に夏期など、温度と湿度の条件が満たされると、チリダニやコナダニなどが大発生し、これらを捕食するツメダニが増える。住宅構造が密閉化するにつれ、最近では冬季のダニの増殖も問題になっている。チリダニ、コナダニの生体、死体、糞は、アレルゲンとして喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎等に関係し、ツメダニは刺咬症を起こす。
【0003】
このような畳の欠点を是正するために、ピレスロイド系等の殺虫剤を染み込ませた紙シートで畳床をくるんだ上に畳表を張って作っている。しかしながら、上記の殺虫剤は人体に悪影響があるうえに、半年以上経過すると効果が無くなる等の欠点がある。
【0004】
特公平2−13080号公報(ホウ素化合物含有紙)には、セルロース繊維を主体とする繊維質物質と無機物質からなる抄紙に、水難溶性または不溶性のホウ素化合物粉末を少なくとも5重量パーセント含むホウ素化合物含有紙が開示されている。しかしながら、このホウ素化合物は拡散性ではないので、空気中の水分を吸った藁、藺草やダニの餌等に拡散することがない。ホウ素化合物はダニに直接接触して殺害するのではなくて、ホウ素化合物を含んだ餌を食べさせることによって殺害するものなので、この種のものを例えば畳の下に敷き込んでも、効果が小さく、上記特許技術ではダニの増殖抑制効果が不充分である。
【0005】
また、特開平5−339114号(殺虫シートの製造方法)には、オルトホウ酸およびノニオン系バインダーの混合溶液を40〜90℃に保持し、布または不織布に塗布して乾燥し、ホウ素粒子を固着させる殺虫シートの製造方法が開示されている。しかしながら、オルトホウ酸は水に対する親和性が低く、空気中の水分を吸収して含水率が高まった藁、藺草やダニの餌となるふけ、垢、食物の屑等に拡散する性質が小さいために、ダニの増殖抑制効果が不充分である。また、水に難溶性で、常温(20℃)では4.8重量パーセントしか溶解しないので、加熱して布または不織布に塗布しなければならない。またオルトホウ酸は、局所的に集合して容易に白色の結晶を形成するため、乾燥すると粉末となって飛散し易い欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特公平2−13080号公報、第1頁
【0007】
【特許文献2】
特開平5−339114号公報、第1頁
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記欠点を解決するためになされたもので、常温で水によく溶解して高濃度の水溶液が可能で、空気中の水分を吸収して含水率が高まった植物組織に対する拡散性にすぐれ、乾燥しても粉末として飛散しにくいホウ素化合物を用いることにより、人体に殆ど無害でダニの増殖抑制効果が高くて半永久的に持続する防虫畳及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質材料を、畳床に介在させることを特徴とする防虫畳である。繊維質材料として、直径が1〜6mmの紐状のものを用いて、畳床の藁に混合するか、又は、厚さが0.5mm以上の繊維質シートを用いて、畳床の少なくとも表側、及び裏側、その中間に介在させる。
【0010】
天然素材である藁は、化学繊維と異なり、微生物にとってはとても住み心地の良い巣である。従って、ダニが生息し、よく繁茂する。ここに、本発明では、長年の経験と実測により、藁全体の重量に対してホウ素換算で0.05重量パーセント以上の拡散性ホウ酸塩を含有させれば、長年に亘りダニの繁茂を抑制できることを見出した。
【0011】
拡散性ホウ酸塩を用いるので、無害で、かつ含有を、例えば繊維質シートや紐状繊維質材料を用いて任意に種々の方式で行うことができる。
【0012】
本発明でいう拡散性ホウ酸塩とは、八ホウ酸ニナトリウム四水和物[Na13・4HO](以下DOTという)又は、水溶液中でホウ酸とホウ砂を1:1〜1:2で混合して生成するホウ素化合物である。この拡散性ホウ酸塩は、常温(20℃)で10重量パーセント、温水にすると30重量パーセント以上の高濃度の水溶液が可能である。また植物組織に対する拡散性にすぐれ、乾燥しても粉末として飛散しにくい。特に、梅雨期などの高湿度時には、動植物繊維や食物の含水率は20重量パーセント近くまで上昇するが、拡散性ホウ酸塩、特にDOTはこのような状態の組織中を、緩やかに拡散する性質がある。
【0013】
本発明でいう繊維質材料とは、セルロース系素材や蛋白質系素材からなる繊維質や、ポリエステル、アクリル、ナイロン等の合成繊維からなる紙若しくは不織布等のシート状のものや、これらの材料からなる紐状のものである。本発明でいう紐状のものとは、前記繊維質からなる紙若しくは不織布を細幅にスリットしたもの、前記繊維質からなるテープを撚糸したもの、前記繊維の長繊維束若しくは短繊維束を撚糸したものである。
【0014】
上記繊維質材料に、畳床を構成する藁の重量に対して拡散性ホウ酸塩をホウ素換算で0.05重量パーセント以上、好ましくは0.05〜 0.3重量パーセントを含有させる。畳床を構成する藁の重量に対して拡散性ホウ酸塩をホウ素換算で0.05重量パーセント未満の場合は、梅雨期などの高湿度時に拡散性ホウ酸塩が畳床に拡散しても、畳床全体にダニの増殖抑制効果に必要な量が行き渡らない。また、0.3重量パーセントを越えると、必要以上の拡散性ホウ酸塩を使用することになり、経済面や環境面より好ましいとは言えない。
【0015】
上記繊維質材料が紐状である場合は、畳床の藁全体にほぼ均一に混在せて用いるのがよい。このようにすると、空気中の湿度が80パーセント以上になると、繊維質シート中の拡散性ホウ酸塩は空気中の湿気を吸って緩やかではあるが畳床全体にほぼ均一に拡散する。コストを重要視する場合は、畳床の表側近傍若しくは表側近傍と裏側近傍の藁に多目に混在させて用いるとダニの増殖抑制効果が効率的となる。紐状繊維質材料の直径は1〜6mm、好ましくは2〜5mmにするのが取扱性からよいといえる。上記紐状繊維質材料の横断面が多角形の場合の直径は、その断面積に等しい円の直径とする。
【0016】
上記繊維質材料がシート状の場合は、1乃至3枚を少なくとも畳床の表側、及び裏側、その中間に用いる。特に畳床の表側、裏側とその中間に各1枚用いた場合、繊維質シート中の拡散性ホウ酸塩は空気中の湿気を吸って緩やかではあるが畳床全体に拡散しやすくなって好ましい。畳床全体にホウ酸塩を拡散させるためには、繊維質シートに拡散性ホウ酸塩をどの位含有させておけばよいかというと、例えば、畳が京間(長さ191cm)で畳1枚の重量が30kgとすると、繊維質シート1乃至3枚にホウ素換算で15〜90g含有させるのがよい。これを畳1枚に対して繊維質シートを表側と裏側各1枚用いる場合の単位面積当りに換算すると、繊維質シートにホウ素換算で4.1〜24.7g/m含有させるのが好ましいことになる。更にこれを厚さ2mmで目付け460g/mの繊維質シートでのホウ素換算含有率に換算すると0.89〜5.36重量パーセントとなる。この程度の量であれば、2枚の繊維質シートに含有させることは充分可能なので、中間の3枚目は不要となる。コストダウンを図るために、畳1枚に対して繊維質シート1枚用いる場合は、畳床の表側に用いるのが有効である。その場合の繊維質シートの拡散性ホウ酸塩含有量は、ホウ素換算で上記と同様4.1〜24.7g/m含有させればよい。
【0017】
上記の如く、コストダウンのために繊維質シートを1枚にして畳床の表側のみに用いた場合、拡散性ホウ酸塩が畳床の裏面まで拡散するのに相当な日数がかかるので、畳床の裏側に厚さ0.5mm未満の薄手の拡散性ホウ酸塩含有繊維質シートを、その下部にプラスチックシートを積層して併用するのが好ましい。この薄手の繊維質シートの拡散性ホウ酸塩は、プラスチックシートによって下部床面への拡散が抑制されるので、厚さが0.5mm未満でも充分な効果がある。
【0018】
繊維質シートの厚さは、0.5mm以上、好ましくは1.0〜3.0mm、更に好ましくは1.5〜2.0mmにする。繊維質シートの厚さが0.5mm未満になると、繊維質シート1〜3枚では、畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有させることが困難となる。一方、繊維質シートの厚さが上記の上限を越えると、拡散性ホウ酸塩の含有量の増加が容易となるが、抄紙性が悪くなる。
【0019】
本発明は、畳表又は及び畳床にも拡散性ホウ酸塩を含有させて併用することも含むものであるが、特に畳床や畳表にはホウ酸を直接含有させなくとも充分な効果を奏するよう構成されているので不必要である。畳表に拡散性ホウ酸塩を高濃度に含有させると家の中に拡散性ホウ酸塩を飛散する原因になるし、畳床に拡散性ホウ酸塩を含有させると拡散性ホウ酸塩の使用量や乾燥費用が増加し、コストアップとなる。
【0020】
一般に、ホウ酸塩を含有した繊維質シートや藁、藺草等の植物組織は、ホウ酸塩を含有しない植物組織と比較するとカビが生え難くなってはいるが、ホウ素換算で約0.5重量パーセント以上含有しないとカビを抑制する効果はない。本発明の畳床は、ホウ素換算で0.05〜0.3重量パーセント程度のホウ酸塩しか含有していないので、梅雨期などの高湿度期にカビが生えてくることがある。拡散性のホウ酸塩は空気中の水分を吸って生えたカビにも拡散する。この拡散性ホウ酸塩は無色無臭なので、ダニにこのカビを食べさせることを助長し、特に防ダニ効果に適したものである。また、畳に生んだダニの卵は拡散性ホウ酸塩が浸透して孵化しなくなる。
【0021】
本発明のホウ酸塩を含有した、繊維質シートを用いて防虫畳を製造する方法は、畳床の幅に合わせて定幅サイズに形成した厚さが0.5mm以上の繊維質シート素材に、予め濃度が10重量パーセント以上の拡散性ホウ酸塩水溶液を所定量含浸若しくは塗布し、これを畳床の少なくとも表側、及び裏側、その中間に、介在させて縫いつけることにより防虫畳を製造する。
【0022】
拡散性ホウ酸塩の水溶液濃度は10重量パーセント以上の高濃度のものを用いる。拡散性ホウ酸塩濃度が10重量パーセント未満になると、繊維質シートに拡散性ホウ酸塩を高濃度に含有させることが難しくなるし、含浸若しくは塗布した後の乾燥に時間がかかって好ましくない。
【0023】
以上の如き製法を採用することにより、繊維質シートに必要量の拡散性ホウ酸塩を含有させることができ、繊維質シートの無駄を省き、安価で且つ、ダニの増殖抑制効果に優れた、品質の安定した防虫畳を効率的に製造することができる。
【0024】
本発明は、昔からの藁100パーセントの本藁畳や発泡スチロール等のボード類を藁で挟んだ藁サンド畳の外に、藁を一部分でも用いた全ての畳に適用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を加えて本発明の実施の形態を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
本発明の防虫畳の好ましい製造例を示すと、パルプを叩解して抄造し、幅を畳床サイズとし、厚さが1.5〜2mmで見かけ比重を小さくした、弾力性や通気性のある吸水性繊維質シートを製造し、連続的に巻き取るか、又は巻き取らずに引き続いて、濃度が10重量パーセント以上の拡散性ホウ酸塩水溶液を、畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量を含浸若しくは塗布して、乾燥後ロール状に巻き取る。具体的な含浸若しくは塗布する方法としては、拡散性ホウ酸塩水溶液に浸漬走行させる方法、スプレーで噴霧する方法、一部浸漬したローラに接触塗布する方法等が採用される。この巻き取ったロール状の繊維質シートを、畳店で所定の長さに切断し、畳床の少なくとも表側、及び裏側に介在させて縫い付けて防虫畳を製造する。
【0027】
上記の量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質シートを畳床の表側に用いる場合、畳表とほぼ同じ長さに切断して、畳表の下に重ねて畳床の裏側縁まで延長して畳床に縫いつけると、ダニ増殖抑制効果が向上する。また、畳床作成時に畳床最上部、若しくは畳床の内側3〜10mm位の所に介在させて縫いつけてもよい。後者のように繊維質シートを畳床の内側3〜10mm位の所に介在させて縫いつけておくと、破れ難くなって畳表交換時に繊維質シートの交換が不要となるので経済的である。また、繊維質シートを畳床の裏側に用いる場合は、畳床の内側3〜10mm位の所に介在させて縫いつけてもよいが、補強と滑り性向上を兼ねて下表面にプラスチックシートを積層、好ましくはポリプロピレンのフラットヤーン織物を重ねるか又はラミネート加工して、畳床作成時に最下部に縫い付けるのがよい。上記のプラスチックシートは、繊維質シートに含有された拡散性ホウ酸塩の下部床面への拡散を抑制し、上部藁床への拡散を助長する効果がある。
【0028】
(実施例1)
試験サンプルの調整
製紙用パルプから製造した厚さ2.0mm、目付け460g/mの繊維質シートから、一辺30mmの正方形の試験片8枚を切り出し、80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。各試験片は、秤量後種々の濃度のDOT水溶液(比較用は水)に30分浸漬した後、取り出して表面の水分を市販のキッチンタオルで素早く拭き取って秤量し、80℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した。DOT処理試験片中のDOT含有量は、処理前の乾燥試験片重量、浸漬による重量増加及び処理液のDOT濃度から算出した。
【0029】
ダニ育成実験
所定のDOT含有率に調整した繊維質シート試験片のダニ増殖抑制効果は、次ぎのようにして評価した。
【0030】
DOT処理した試験片及び比較用試験片をそれぞれ内径40mmのガラスシャーレの底面に敷いた。密閉できるプラスチック容器(内寸400×500×250(深さ)mm)の底部に飽和食塩水2リットルを加え、水面から5cm上に200mm×400mmの合板を置き、該合板上に上記8個のガラスシャーレを並べた。容器を密閉後27±3℃に温度調整された室内に一晩放置し、試験片を調整した。
【0031】
次に各ガラスシャーレ中の試料表面に、生存ヤケヒョウヒダニ約100固体を含むダニ倍地500mgを投入し、プラスチック容器を密閉し、遮光下に4週間保存した。この間、飼育環境は相対湿度75%、温度27±3℃にコントロールされた。ダニ培地用飼料は、実験動物用粉末飼料と乾燥酵母を1:1の割合で混合、粉砕したものである。
【0032】
2週間後と4週間後に、次の方法で各シャーレ中の生存ダニ数を数えた。すなわち、シャーレ中のダニ培地を全量取りだし、飽和食塩水浮遊法で倍地から生存ダニを回収し、実体顕微鏡下で生存ダニ数を計数した。残りの試験片とシャーレは、高速水流で洗ってダニを分離し、実体顕微鏡下で生存ダニ数を計数した。この両者の計数値を合計して、全生存ダニ数とした。
【0033】
実験結果
2週間後、4週間後の全生存ダニ数を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004083565
表1から明らかなように、DOT含有率がホウ素換算で0.05重量%からダニ増殖抑制効果が認められ、0.1重量%になると高いダニ増殖抑制効果が認められた。
【0035】
(実施例2)
試験サンプルの調整
製紙用パルプから製造した厚さ2.0mm、目付け460g/m2の繊維質シートから、一辺20cmの正方形の試験片8枚を切り出し、80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。各繊維質シート片は、秤量後種々の濃度のDOT水溶液に30分浸漬した後、取り出して表面の水分を市販のキッチンタオルで素早く拭き取って秤量し、80℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した。DOT処理試験片中のDOT含有量は、処理前の乾燥試験片重量、浸漬による重量増加及び処理液のDOT濃度から算出した。
【0036】
市販の藁100パーセント畳床(厚さ5.5cm、幅95.5cm、長さ191.0cm、重量30kg)を一辺20cmの正方形に切り出した藁畳床片4枚と、市販の藺草畳表を一辺20cmの正方形に切り出した藺草畳表8枚を準備した。上記藁畳床片4枚と上記藺草畳表片8枚を、80℃の熱風乾燥機中で24時間乾燥した。次に、乾燥済の上記各藁畳床片の表裏に上記の各繊維質シート片を重ね、更にその上に、上記の各藺草畳表片を重ねて縫い付けた。
【0037】
このようにして作成した試験片4枚を、湿度95%、温度27±3℃にコントロールされた温調室で120日間調湿した後、5日間自然乾燥して畳床内のDOT拡散状況調査に供した。
【0038】
調湿した各試験片中のDOT拡散状態を、下記のIPC分光分析で調べた。
【0039】
IPC分光分析による測定法
試験片の中央部から、約5cm×5cmの角柱状の藁床を切り出し、表面からの距離がそれぞれ0〜5mm、10〜15mm、20〜25mmの部分の藁を採取、分析用サンプルとした。各サンプルは、80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥後、各々から藁1.00gを秤量した。サンプルを三角フラスコに移し、水200gを加え、ホットスタラー上で緩やかに攪拌しながら沸騰直前の温度で3時間抽出した。フラスコの内容が冷えてから、抽出時に蒸発して失われた水を補い、ICP発光分析法で水中のホウ素を分析し、藁中のホウ素含有率を算定した。
【0040】
実験結果
各試験片中のホウ素の濃度分布を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004083565
表2から明らかなように、畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセントに相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質シートを用いた畳床は、中心付近までホウ酸塩が拡散しており、ホウ素換算で0.1重量パーセントに相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質シートを用いた畳床は、中心付近まで相当量のホウ酸塩が拡散していることが分る。
【0042】
【発明の効果】
畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質材料を、少なくとも表側、及び裏側、その中間に介在させた本発明の防虫畳は、梅雨期などの高湿度時に拡散性ホウ酸塩が畳床内部に拡散して、ダニの繁殖に適する高温高湿条件下において十分な餌が存在していても、ダニ増殖抑制効果が認められる。本発明で用いるホウ酸塩は、水溶性ではあるが昇華性ではないので、水で濡れない限り半永久的に効果が持続する。
【0043】
また、畳床に厚さ0.5mm以上のホウ酸塩を含有した繊維質シートを介在させた畳を製造するに際し、畳床の幅に合わせて定幅サイズに形成した繊維質シート素材に、予め濃度が10重量パーセント以上の拡散性ホウ酸塩水溶液をホウ素換算で0.1重量パーセント以上含浸若しくは塗布して、畳材料として準備しておき、これを所定の長さに切断して、畳床の少なくとも表側、及び裏側、その中間に介在させて縫い付けて防虫畳を製造するので、特に品質が安定し、効果的で安価に製造できる。

Claims (3)

  1. 畳床を構成する藁の重量に対して、ホウ素換算で0.05重量パーセント以上に相当する量の拡散性ホウ酸塩を含有した繊維質材料を介在させることを特徴とする防虫畳。
  2. 繊維質材料が直径1〜6mmの紐状繊維質材料であることを特徴とする請求項1記載の防虫畳。
  3. 繊維質材料が厚さ0.5mm以上の繊維質シートであって、畳床の少なくとも表側、及び裏側、その中間に介在させることを特徴とする請求項1記載の防虫畳。
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