JP2004082965A - 連結型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】装輪車と装軌車の連結型車両において、連結運転の高速走行と、各々の単独運転を可能にする。
【解決手段】連結型車両1では、進行方向前方側に装輪車2を、後方側に装軌車3を配置している。装輪車と装軌車は2自由度を有する連結手段4で連結されている。装輪車はエンジン駆動車両であり、エンジンで発生した駆動力の一部はこのエンジンに直結した電動機で電力に変換され、伝送線及びコネクタを介して装軌車のバッテリに送られる。装軌車はバッテリで駆動される電動機を有する。連結手段で両車両を分離すると、各車両は独立に操舵走行可能となる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の車両を連結して走行可能な連結型車両に係り、特に装軌車と装輪車とを連結するときに好適な連結型車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の、連結型装軌車両の例が、特許文献1に記載されている。この文献においては多目的に消火用ロボットを使用するために、消火用ロボットを牽引車両とトレーラとで構成している。そして、トレーラには高圧放水砲が搭載されており、遠隔操作で制御可能になっている。連結型装軌車両の他の例が、特許文献2に開示されている。この公報では、履帯式牽引車が運搬車を牽引するようになっている。また、2台の装軌車を連結した車両の例として、HAAGLUNDS VEHICLE社のBV206車両が挙げられる。この車両では、進行方向前側に位置する車両がエンジンを有し、エンジンで発生した動力をプロペラシャフトを介して連結される車両に伝達している。
【特許文献1】
特開平11−197263号
【特許文献2】
特開平9−254806号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記両公報に記載の連結車両は、装軌式車両に牽引される車両を装軌式車両が使用場所まで移動させ、それにより消火や果樹の運搬を可能にしている。しかしながら、この連結車両では牽引される車両を使用場所付近まで移動させ、その後牽引される車両を独立で走行させることについては考慮されていない。そのため、牽引される車両は自律走行手段を備えていない。
【0004】
一方、公知の連結車両であるBV206車両では、牽引される車両と牽引する車両との連結を解除すると、牽引する車両は操向装置を備えておらず牽引される車両は動力装置と操向装置を備えていないので、各車両を独自に運用することができない。また、連結した装軌車を高速で走行させると、走行制御装置を備えていないので旋回走行時に車体が不安定になるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、装軌車と装輪車を連結した連結型の車両を、高速走行時にも安定に運転できるようにすることにある。本発明の他の目的は、装軌車と装輪車を連結した連結型の車両の連結を解除して、泥ねい地や積雪地、原野等において各車両を独自に走行させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、各々独立して操舵可能な装輪車と装軌車とを連結手段を用いて連結して連結型車両を構成することにある。そしてこの特徴において、装輪車を前方に装軌車を後方にそれぞれ配置し、装輪車はこの装輪車を駆動する原動機とこの原動機の回転軸に取付けられた発電機を有し、装軌車にこの発電機で発生した電力を蓄電するバッテリとこのバッテリで駆動される第2の原動機を搭載することが望ましい。
【0007】
また、上記特徴において、原動機は内燃機関であり、原動機と装軌車に発電機で発生した電力をバッテリに供給するためのコネクタを設けるのがよく、装輪車はこの装輪車を操舵する操舵手段を有し、装軌車は履帯に強制的に速度差を与える第2の操舵手段を有するのがよい。さらに、連結手段の連結部において装軌車は上下方向および左右方向に可動であり、連結型車両が不整地を走行する際に装輪車と装軌車の一方の走行を他方が阻害しないのがよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、連結型車両1の側面図である。進行方向前側に位置する前方車両2は、進行方向後ろ側に位置する後方車両3と、連結手段4及び図示しないコネクタで接続されている。前方車両2は装輪車であり、左右両側に設けられ前後に配置された2対の走行手段(タイヤ)8と、車体22aと車体22aの一部を形成し、操向・操舵を指示する運転部26aと、前方車両2を用いて建設・補修作業等が可能なようにその作業に要する機器を搭載した作業機部26b、牽引する後方車両を連結する連結手段4aとを有している。
【0009】
後方車両3は、前方車両2と連結するための連結手段4bと、装軌部を構成する左右両側の前方端近傍に設けられた1対の起動輪23と、複数対の転輪24と、後方端近傍に設けられた1対の誘導輪25と、これら起動輪23、転輪24、誘導輪25に装架され無端状に形成されたクローラ9と、装軌部が取付けられた台車部22bとを有している。台車部22bの上面には、後方車両3を用いた作業のための作業機27が搭載されている。このように、前方車両2と後方車両3に資材や作業機を搭載できるようにしたので、多種の作業を連結型車両1だけで実行できる。
【0010】
この図1では後方装軌車3の駆動方式を、前輪駆動としている。前輪駆動方式にすると、前方車両2と後方車両3の駆動源を繋ぐケーブル長を節約できる利点がある。なお、作業機27を搭載するのに大スペースが必要なときは、後輪駆動方式を用いるのがよい。また、前方車両2のけん引力を増すために、4輪駆動方式を用いてもよい。
【0011】
図2は連結型車両の側面図であり、連結型車両1の連結を解除して、それぞれの車両2、3を独立に走行させるときの状態を示したものである。高速走行を可能にするため装輪車2と装軌車3とを連結した図1の状態から、泥濘地や不整地での建設作業等の作業を実行するために、泥濘地や不整地での作業用に装軌車3を連結手段4a,4bにおいて切り離し単独で走行させる。作業機27は、台車部22bの後方端でヒンジ27bにより上下方向及び左右方向に回動可能に形成されている。
【0012】
図3に、作業機26b、27を取り除いた連結車両1の側面図(同図(a))と、上面断面図(同図(b))を、図4に図3のA矢視を示す。連結型車両1は、機関としてエンジン5を有している。このエンジン5で発生した動力は、エンジンの出力軸に取付けられた発電機6に導かれ、機械的エネルギが電気的エネルギに変換される。変換された電気的エネルギは、一部はケーブル29、30及びコネクタ31を介して後方装軌車側の蓄電池7に充電される。残りの電力は、前方装輪車2を制御する制御装置32aを介して前方車両2を駆動する電動機33aに導かれる。電動機33aで発生した動力は、変速機34aを経て前方車両の駆動部8に伝達される。後方車両3の蓄電池7に蓄えられた電力は、同様に、制御装置32bを介して後方車両3を駆動する電動機33bに導かれて動力を発生し、変速機34bを経て後方車両の駆動部9に伝達される。
【0013】
なお、後方車両3は装軌車なので、多数の転輪24や起動輪23、誘導輪25を有しているので、各輪毎または適宜に電動機34bを取付けて、駆動力を確保するようにしてもよい。本実施例による連結車両1では、前方装輪車2と後方装軌車3とを組み合わせたので、シリーズ型のハイブリッド電気駆動車両となる。機関5は最も効率的な回転数を保つことができ、排出ガスの低減が可能である。
【0014】
連結手段4、4a、4bは図3(a),(b)に矢印で示したように、車両のピッチング方向10とローリング方向11に回動可能であるから、凹凸の連続するような不整地を走行する場合においても常に駆動部8、9を接地させることができる。これにより、連結型車両1の不整地における機動性能を向上できる。
【0015】
このように構成した本実施例では、連結型車両1を以下のようにして旋回させる。前方装輪車2の駆動部である車輪8に舵角を与えるとともに、後方装軌車3の駆動部である左右両側に設けた履帯9に強制的に速度差を与える。このように後方装軌車3の履帯9に速度差を与えることができるので、一般的な装軌車では困難な高速での旋回が可能になる。また本実施例では、連結車両1をハイブリッド電気駆動としたので、前方車両2の駆動部8の車軸の回転速度や後方車両3の駆動部9の車軸の回転速度を容易に制御できる。さらに、図4において矢印で示した車両のヨーイング方向12の自由度を制限すれば、旋回時の姿勢制御がより容易になる。
【0016】
図5に、前方装輪車2の側面図(同図(a))と上面断面図(同図(b))とを示す。連結手段4a及びコネクタ31aの連結を解除した様子を示している。前方装輪車2では、この前方車両2に搭載された機関5を作動させて発電機6を駆動する。この発電機6は走行に必要な電気的エネルギを発生するので、前方車両2を単独で運用することができる。
【0017】
図6に、後方装軌車3の側面図(同図(a))及び上面断面図(同図(b))とを示す。連結手段4bとコネクタ31bの連結を解除して、後方車両3を蓄電池7に充電された電気的エネルギにより単独に運用する様子を示している。後方車両3は懸架装置が装軌式であるから、不整地での運用でも安定して運転できる。そこで、後方車両3を路外での単独作業に用いる。
【0018】
なお、この後方車両3は図示しない運転手段を用いて有人で運用してもよく、他の車両を指揮車両として無線または有線で運用するようにしてもよい。ここで、作業者に危険が及ぶような状況における作業の場合には、無人で遠隔指揮をすることにより、安全に作業を遂行できる。前方車両2の連結手段4aと後方車両3の連結手段4bの連結及び解除は、自動若しくは半自動で実行できるから、容易に分離結合できる。
【0019】
図7に、連結型車両1を半自動または自動で連結及び解除する具体的一例を示す。前方車両2の連結手段4aは、左右方向に延びる軸を端部近傍に有している。一方、後方車両3の連結手段4bは、円柱状の軸の両側をテーパ状に切断し左右に延びる軸42を有している。この軸42は先端部に行くほど左右の幅が狭くなっている。前方車両2の軸41に、長手方向両端部近傍に穴が形成された一対のプレート35の一方端の穴を差し込む。プレート35の他方端側が後方車両3の軸端部に接する状態まで、プレート35を斜めに位置させる。後方車両3を前方車両に近づけるとともに、プレート35を左右方向36に動かし(同図(a))て、このプレート35に形成された他の穴に軸42を差し込む(同図(b))。これにより、前後車両は固定される。
【0020】
本発明に係る連結型車両の他の実施例を、図8により説明する。同図(a)はその側面図であり、同図(b)はその上面断面図である。本実施例が、上記実施例と相違する点は、機関5aで発生した動力を直接前方車両の駆動力とすることと、発電機を電動発電機にして機関の補助動力として用いることにある。前方車両2aと後方車両3とは連結部4を介して連結されている。前方車両2aには、エンジンである機関5aが搭載されており、この機関5aで発生した動力は動力分配機41に導かれる。そしてその動力の一部は発電機電動機6aに導かれ、電気的エネルギに変換されて電力を発生する。この電力は、ケーブル29、30、およびコネクタ31を介して後方車両3の蓄電池7に蓄えられる。機関5aで発生した動力の残りは、変速機42を介して、直接駆動部8に伝達される。
【0021】
このように構成した本実施例によれば、通常運転時には前方車両2aの機関5aで発生した動力が直接前方車両2aを駆動するとともに、前方車両2aが後方車両3を牽引する。そして、高負荷時には蓄電池7に蓄えられた電気的エネルギを発電機電動機6aに供給して機関5aの補助駆動力に用いる。これにより、連結型車両1aは、前方車両2aと後方車両3が組み合わせられたパラレル型のハイブリッド電気駆動車両を形作る。このパラレル型のハイブリッド電気駆動車両では、各構成要素の設計自由度が上記実施例で示したシリーズ型ハイブリッド電気駆動車両よりは劣るものの、製作コストを低減可能である。なお、連結型車両1aを前記実施例と同様に、連結解除して個別に運用可能である。
【0022】
本発明のさらに他の実施例を、説明する。図9は、本発明に係る連結型車両の側面図である。本実施例が上記各実施例と異なるのは、前方車両を装軌車とし、後方車両を装輪車としたことにある。これにより、連結手段4c、4dは装軌車3dにおいては後方端部にあり、装輪車2dにおいては前方端部に位置する。その他の構成は、上記各実施例と同様である。本実施例によれば、前方装輪車と後方装軌車とをそれぞれ独立に運用できるのみならず、後方装軌車の後部に前方装輪車を連結したので、重度の土工作業を行う場合に前方装輪車をけん引力を増強するウェイトとして運用できる。
【0023】
上記各実施例においては、装輪車両のタイヤに舵角を与え、装軌車のスプロケット回転数に操向比を与えることにより、安定した高速走行性能を発揮できる。また、不整地において連結した状態で装輪車と装軌車の双方に駆動力を付与できるので、高い機動性能が得られる。さらに連結を解除しても各々の車両を各個独立して運用できるので、装輪車を運搬や指揮統制に、装軌車を路外活動にと、異なる種類の作業を割り当てて有機的に連結型車両を運用することができる。さらに、ハイブリッド電気駆動方式を採用すれば、機関の負荷を一定とすることができ、排出ガスを低減し燃費を向上させることが可能になる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、装輪車と装軌車とを連結して走行する連結型車両において、各車両を独立に操舵可能としたので、一般道の高速走行が可能になるとともに不整地での装軌車の単独走行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連結型車両の一実施例の連結時の側面図。
【図2】図1に示した連結型車両の分離時の側面図。
【図3】図1に示した連結型車両の側面図と上面図。
【図4】図3のA矢視図。
【図5】図1に示した連結型車両が備える装輪車の側面図と上面図。
【図6】図1に示した連結型車両が備える装軌車の側面図と上面図。
【図7】図1に示した連結車両が備える連結手段の動作を説明する図。
【図8】本発明に係る連結型車両の他の実施例の側面図と上面図。
【図9】本発明に係る連結型車両のさらに他の実施例の側面図。
【符号の説明】
1…連結型車両、2、2a…前方車両(装輪車)、2a…装輪車、3…後方車両(装軌車)、4、4a〜4d…連結手段、5…エンジン、6…発電機、7…バッテリ、29、30…伝送線、31…コネクタ、32…電動機。

Claims (5)

  1. 各々独立して操舵可能な装輪車と装軌車とを連結手段を用いて連結したことを特徴とする連結型車両。
  2. 前記装輪車を前方に前記装軌車を後方にそれぞれ配置し、装輪車はこの装輪車を駆動する原動機とこの原動機の回転軸に取付けられた発電機を有し、前記装軌車にこの発電機で発生した電力を蓄電するバッテリとこのバッテリで駆動される第2の原動機を搭載したことを特徴とする請求項1に記載の連結型車両。
  3. 前記原動機は内燃機関であり、前記原動機と装軌車に前記発電機で発生した電力をバッテリに供給するためのコネクタを設けたことを特徴とする請求項2に記載の連結型車両。
  4. 前記装輪車はこの装輪車を操舵する操舵手段を有し、前記装軌車は履帯に強制的に速度差を与える第2の操舵手段を有することを特徴とする請求項2に記載の連結型車両。
  5. 前記連結手段の連結部において上下方向および左右方向に前記装軌車が可動であり、連結型車両が不整地を走行する際に装輪車と装軌車の一方の走行を他方が阻害するのを防止可能である請求項2に記載の連結型車両。
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