JP2004082900A - 枠部材の折畳構造およびこれを用いた運搬用台車 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、不使用時には枠部材を保持部から引き上げて折畳み、使用時には保持部に下端を挿入して起立させる枠部材の折畳構造およびこれを用いた運搬用台車に関する。
【解決手段】台部に下方へ延びる挿入孔または筒状の保持部を設け、該保持部に先端が台部上に突出する固定片を固定し、該固定片に作動片を枢着し、該作動片と固定片とが同一直線状に延びた起立時に、該作動片および固定片に沿って外嵌し、先端が前記保持部内に突入する可動パイプ部を有する枠部材を設け、前記作動片と可動パイプ部とに、可動パイプ部の摺動ストロークを規制する規制手段を設けてなり、可動パイプ部を保持部から抜き出し、作動片と固定片との枢着点を支点として作動片と共に可動パイプ部を台部に沿って折り畳んでなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、台部に立設した枠部材の折畳構造およびこれを用いた運搬用台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カートラックその他の運搬用台車においては、キャスタを装備した荷台受部の前後に枠部材を立設した構造からなっており、不使用時には嵩張るため、枠部材を荷台受部から抜き取って外し、これをバンドや紐などで荷台受部と一体に結ぶなどして収納していた。
しかし、枠部材は荷台受部と分離しているため、不用意に抜け落ちて紛失したり、破損したりする虞れがあった。
そこで、枠部材を荷台受部に枢着して折畳自在とする構成が考えられるが、これでは枠部材を起立させた使用時に起立姿勢をロックする構造を設ける必要があるが、構造が複雑となるばかりか、十分な強度も得られないという問題があった。
上記問題点は運搬用台車に限らず、このような台部上に枠部材を立設した構造体に共通のものであり、この種の分野において解決が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、不使用時には枠部材を台部から分離することなく台部に設けた保持部から引き上げて折畳み、使用時には保持部に枠部材の下端を挿入して起立させるので、使用時の強度を損なうことがない枠部材の折畳構造およびこれを用いた運搬用台車を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
台部に立設した枠部材の折畳構造であって、
台部に下方へ延びる挿入孔または筒状の保持部を設け、該保持部に先端が台部上に突出する固定片を固定し、該固定片に屈曲自在に作動片を枢着し、該作動片と固定片とが同一直線状に延びた起立時に、該作動片および固定片に沿って外嵌し、先端が前記保持部内に突入する可動パイプ部を有する枠部材を設け、前記作動片と可動パイプ部とに、可動パイプ部の摺動ストロークを規制する規制手段を設け、
可動パイプ部を保持部から抜き出し、前記摺動ストロークの規制位置である作動片と固定片との枢着点を支点として作動片が屈曲可能な位置まで可動パイプ部を引き上げ、作動片と共に可動パイプ部を台部に沿って折り畳んでなる、という技術的手段を講じている。
また、請求項2の発明では、
前記規制手段が、作動片または可動パイプに設けられた長孔と、可動パイプまたは作動片に設けられて前記長孔に嵌合するピンとからなっている、という技術的手段を講じている。
請求項3の運搬用台車の発明では、
前記台部が、キャスタを装備した運搬用台車の荷台受部からなっており、枠部材が上記荷台受部の前後に一対に設けられている、という技術的手段を講じている。
また、請求項4の発明では、
前記枠部材が、その上部を折畳む折畳手段、または伸縮させる長さ調整手段を設けている、という技術的手段を講じている。
更に、請求項5の発明では、
前記枠部材の長さが、荷台受部の長さより長く設定されており、一対の枠部材のうちの下側に折畳まれる枠部材に前記折畳手段または長さ調整手段を設けて、枠部材を荷台受部の長さ以下にしうる、という技術的手段を講じている。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の枠部材の折畳構造を運搬台車に適用した好適実施例について図面を参照しながら説明する。
図3に示す運搬台車1は、キャスタ2、2’を装備した荷台受部となる台部3と、該台部3の進行方向の前後に立設した対向する一対の棚枠部材としての枠部材4、5とからなっている。
【0006】
台部3は、図示例の場合、矩形の盤体からなっており、その四隅部の底面に自在キャスタ2を取り付けると共に、ほぼ中央両側部の底面に固定キャスタ2’を取り付けた構成からなっている。
【0007】
前記台部3の前後両端側の隅部近傍には、図1に示すように、前記枠部材4、5の下端を嵌合するための穴を形成するための筒状の保持部6が、それぞれ台部3に固着されて下方へ突出している。
この保持部6は大径のパイプからなっており、下端に固定片7が固着されている。
【0008】
固定片7は、保持部6に略隙間無く嵌合するベース部8上に一体に立設しており、上端が内側の角部を湾曲形成し中央に枢着用の孔を設けたブラケット部7aに形成されている。
また、ベース部8にはネジ部9を固着し垂下させている。
そして、図2に示すように、上記ネジ部9を通した断面チャンネル状の底片10を前記保持部6の下端に溶着している。
そして、該底片10から突出したネジ部9をナット11で緊締して、固定片7を前記保持部6に固着し、上端を台部3上へ突出させている。
【0009】
固定片7の上には、作動片12が枢軸Pによって枢着されている。
この枢軸P位置は、図示例の場合、一方の枠部材4では、該枠部材4を折畳んだ際に枠部材4の下端が台部3上に接する位置に設定されており、他方の枠部材5では、該枠部材5を折畳んだ際に枠部材5の下端が前記先に折畳まれた枠部材4の上に接するよう上方位置に設定されている。
この場合、枠部材4、5の形状によって、折畳時に上下に折り重ねなくてもぶつからずに同一面上に折畳める場合には、枢軸Pの位置は同一高さ位置に設定される。
【0010】
次に、作動片12は、下端が薄肉となって前記ブラケット7aに差し込まれる突片12aとなっており、該突片12aは、図1中で下端の右側角部を湾曲形成し、中央に枢着用の孔を設けている。
また、作動片12には、後述の可動パイプ部の摺動ストロークを規制する規制手段の一方の構成として、長手方向に沿って延びる長孔13が穿設されている。
この長さは、作動片12が略直角に屈曲可能な位置まで可動パイプ部14を引き上げるための距離に対応している。
【0011】
上記作動片12と固定片7とが同一直線状に延びた起立時には、図1に示すように、該作動片12および固定片7に沿って枠部材の可動パイプ部14が外嵌しており、その下端は前記保持部6内に突入する構成となっている。
また、この可動パイプ部14には、前記規制手段の他方の構成として、前記作動片12の長孔13に嵌合し掛止められるピン15が一体に固着されており、可動パイプ部14の上下摺動範囲を規制している。
【0012】
また、この可動パイプ14は、図4に明瞭なように、その下端開口の折畳方向の角部が斜めに切欠かれて開口する切欠部14aとなり、その背面部14bはそのまま延びて側面を塞いでいる。
そこで、可動パイプ部14を引き上げた際に、上記切欠部14aの開口は枢軸P位置を超え、その背面部14bは枢軸P位置を超えない位置に設定されており、作動片12が折畳方向とは逆方向へ屈曲しないように規制しながら切欠部14aの開口により折畳方向への屈曲を可能としている。
これにより折畳時の強度を高めることができると共に横ブレを防ぐことができる。
【0013】
上記構成からなっているので、枠部材4、5は、使用時には図1、図2に示すように、可動パイプ14の下端を保持部6内に突入しており、横方向に力が加わっても保持部6によって強固に保持される。
また、不使用時や収納時には、図4に示すように、枠部材4、5の可動パイプ部14を上に引き上げて保持部6から枠部材4、5の可動パイプ14を抜き取って、台部3の上方で作動片12が枢軸Pによって折畳方向に屈曲可能な位置まで引き上げられる。
そして、図5に示すように、枠部材4、5の可動パイプ14を作動片12と共に屈曲して、台部3と略平行となる位置まで折り畳むことができる。
【0014】
ここで、図示例では、前記枠部材4、5の長さが、台部3の長さより長く設定されている(図3参照)。
この場合、一対の枠部材4、5は、一方の枠部材4が先に台部3上に折畳まれ、次いで、その上に他方の枠部材5が台部3上に折畳まれる。
従って、少なくとも下に折りたたまれる枠部材4に、折畳手段または長さ調整手段を設けることが好ましい。
折畳手段としては、前記枠部材に用いた折畳手段を用いてもよいし、公知の折畳手段を用いてもよい。
【0015】
図示例では、枠部材4に長さ調整手段20が設けられている。
この長さ調整手段は、図6に示すように、枠部材4が、下枠部4Aと上枠部4Bとに二分され、上枠部4Bの下端パイプ部が、下枠部4Aの上端パイプ部に摺動可能にはめ込まれる二重管構造となっている。
そして、下枠部4Aには、内管となる上枠部4Bの下端パイプ部に向かって突出可能なロックピン21が設けられている。
【0016】
そこで、上枠部4Bを実線で示す伸張位置と、破線で示す短縮位置とに変位すると、ロックピン21が、上枠部4Bの下端パイプ部で上記伸張位置または短縮位置で前記ロックピン21と整合する受孔22,23に突入して、伸縮調整しうる構成からなっている。
この長さ調整手段は一例であって、その他の伸縮可能な公知の調整手段を用いてもよい。
【0017】
これにより、図7で示すように、一方の枠部材4は、折畳時に短くなって台部3内に納まり、その上に他方の枠部材5が折畳まれる。
この際に、他方の枠部材5には、長さ調整手段を設けていないので、その上部は台部3より外方へ突出するが、その突出部分は把持部として利用することができる。
【0018】
なお、このように折畳まれた一対の枠部材4と5は、折畳位置で枠部材4と5相互が拘束され、あるいは台部3と共に枠部材4と5が拘束されることが好ましい。
拘束手段としては、例えば、バンドや紐、チェーンなどを用いて台部3と共に拘束し、あるいは一対の折畳まれた枠部材4、5を拘束してもよい。
【0019】
また、図8に示すように、いずれか一方の枠部材(図示例では4)に掛止方向に付勢されたフック25を枢着しておき、いずれか他方の枠部材(図示例では5)に、その折畳動作に追従して上記フック25を後退させて乗り越え、折畳位置で上記フック25に掛止められるピン26を固設する構成、あるいは図示しないが、台部3に一対のフックを設けておき、枠部材4と5が折畳まれる際に枠部材4と5にそれぞれ設けたピンに掛止められる構造など、公知構成を用いることができる。
【0020】
上記実施例では、運搬用台車に枠部材の折畳構造を適用した場合を例示したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、台部に立設される枠部材を備えた構造体に広く適用することができ、その用途は運搬用に限定されない。
また、枠部材は台部に1または複数設けられるものでもよく、例えば四周を覆う4つの枠部材を柵として使用するものでもよい。
【0021】
この場合も、枠部材を折り重ねていけるように、固定片と作動片の枢着位置を順次にずらして上方位置に設定すればよい。
また、前記実施例では、保持部が台部となる台部より垂下しキャスタで台部を支持しているが、台部を脚部で支持する構造でもよい。
あるいは、台部の厚みを厚くして保持部を内蔵する構造であってもよい。
また、保持部に代えて、台部に設けた挿入孔であってもよく、あるいは挿入孔と保持部の組合せであってもよい。
【0022】
更に、前記実施例では枠部材の一方に長さ調整手段を設けた例を示したが、他方の枠部材にも長さ調整手段を設け、折畳時に双方の枠部材が台部内に納まるようにすれば、一層コンパクトに収納することができる。
その他要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【0023】
【発明の効果】
この発明は上記構成からなっているので、枠部材が起立して使用される際には、枠部材の下端部分は、保持部内に嵌合しており、強固に保持されている。
そして、折畳時には、枠部材を保持部から引き上げて枠部材と保持部に内蔵された固定片と作動片の枢着点による屈曲で行うので、枠部材に折畳のための枢着構造を設ける必要がなく、枠部材の強度が損なわれることがなく、また、枠部材は台部上にスムーズに折畳むことができる。
更に、枠部材に折畳手段または長さ調整手段を設けることにより、枠部材が台部の長さよりも長く設定されていても、支障なく折畳むことができる。
このように枠部材は、従来のように台部から分離することなく、簡単な構造により折畳むことができ、且つ使用時にも強度を損なうことがないので極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】運搬用台車の枠部材の起立状態を示す側面から見た部分断面図である。
【図2】同正面から見た部分断面図である。
【図3】運搬用台車の側面図である。
【図4】枠部材を引き上げた状態を示す側面から見た部分断面図である。
【図5】枠部材を折畳んだ状態を示す側面から見た部分断面図である。
【図6】枠部材の長さ調整手段を示す運搬用台車の正面図である。
【図7】枠部材を折畳んだ状態を示す運搬用台車の側面図である。
【図8】枠部材に折畳んだ際の拘束手段を設けた場合の部分側面図である。
【符号の説明】
1  運搬台車
2、2’ キャスタ
3  台部
4、5  枠部材
4A 下枠部
4B 上枠部
6  保持部
7  固定片
7a ブラケット
8  ベース部
9  ネジ部
10  底片
11  ナット
12  作動片
13  長孔
14  可動パイプ
15  ピン
20  長さ調整手段
21  ロックピン
22、23 受孔
25  フック
26  ピン
P  枢軸

Claims (5)

  1. 台部に立設した枠部材の折畳構造であって、
    台部に下方へ延びる挿入孔または筒状の保持部を設け、該保持部に先端が台部上に突出する固定片を固定し、
    該固定片に屈曲自在に作動片を枢着し、
    該作動片と固定片とが同一直線状に延びた起立時に、該作動片および固定片に沿って外嵌し、先端が前記保持部内に突入する可動パイプ部を有する枠部材を設け、
    前記作動片と可動パイプ部とに、可動パイプ部の摺動ストロークを規制する規制手段を設け、
    可動パイプ部を保持部から抜き出し、前記摺動ストロークの規制位置である作動片と固定片との枢着点を支点として作動片が屈曲可能な位置まで可動パイプ部を引き上げ、
    作動片と共に可動パイプ部を台部に沿って折り畳んでなることを特徴とする枠部材の折畳構造。
  2. 規制手段が、作動片または可動パイプに設けられた長孔と、可動パイプまたは作動片に設けられて前記長孔に嵌合するピンとからなっていることを特徴とする請求項1に記載の枠部材の折畳構造。
  3. 前記台部が、キャスタを装備した運搬用台車の荷台受部からなっており、枠部材が上記荷台受部の前後に一対に設けられた棚枠部材からなることを特徴とした請求項1または2に記載の運搬用台車。
  4. 枠部材が、その上部を折畳む折畳手段、または伸縮させる長さ調整手段を設けていることを特徴とする請求項3に記載の運搬用台車。
  5. 枠部材の長さが、荷台受部の長さより長く設定されており、一対の枠部材のうちの下側に折畳まれる枠部材に前記折畳手段または長さ調整手段を設けて、枠部材を荷台受部の長さ以下にしうることを特徴とした請求項3または4に記載の運搬用台車。
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