JP2004082827A - 少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動車輪側を支点とする起立させることにより、少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両を提供する。
【解決手段】この小型乗用車両は、バッテリなどの車両搭載用電源25を動力源とするモータ22により駆動される左右1対の駆動車輪20と、搭乗者が着座するシート13を備えている。シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体10の前後部の何れか一方の位置に配置し、シートは車体の中央位置またはそれよりも駆動車輪から離れた位置に配置する。車体は駆動車輪側を支点にして起立可能であり、車体には起立により車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において地面と当接して小型乗用車両を起立状態に保持する起立ストッパ19を設ける。両駆動車輪は起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているようにすることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】この小型乗用車両は、バッテリなどの車両搭載用電源25を動力源とするモータ22により駆動される左右1対の駆動車輪20と、搭乗者が着座するシート13を備えている。シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体10の前後部の何れか一方の位置に配置し、シートは車体の中央位置またはそれよりも駆動車輪から離れた位置に配置する。車体は駆動車輪側を支点にして起立可能であり、車体には起立により車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において地面と当接して小型乗用車両を起立状態に保持する起立ストッパ19を設ける。両駆動車輪は起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているようにすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停車状態では駆動車輪側を支点にして起立可能とした少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型乗用車両でない折り畳み可能な台車には、例えば特開2001−180496号公報に開示されたように、駆動輪の接地点を支点として車体の前方端を起立可能として台車の収納に要する床面積を低減させたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述した従来技術の台車は、電動アシスト機能を有する駆動輪を備えてはいるが、人が押して使用する台車であるので人が乗るには小型すぎ、シートを備えていないので、小型乗用車両として使用することはできないという問題がある。また車体には駆動輪より後方に突出するスタンドが固定されており、車体の前方端を起立させる途中でこのスタンドの先端が地面に当接し、その後は駆動輪が地面から浮き上がり、このため台車を起立させる際の台車の重心の上昇量が大きくなるので、起立に要する力が車重の割りには大きくなる。このような構造のものは、台車のように小形軽量のものには適用可能であるが、それに比して重量が大きい小型乗用車両では起立させるために要する力が過大になるので実用性のあるものは得られなかった。
【0004】
本発明は車体にシートを設けることによりこのような問題を解決して、少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両を提供し、また駆動車輪側を支点とする起立に要する力を減少させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このために、本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、バッテリなどの車両搭載用電源を動力源とするモータにより駆動される左右1対の駆動車輪と、搭乗者が着座するシートを備えてなる小型乗用車両において、シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体の前部または後部の何れか一方の位置に配置し、比較的軽いシートは車体の前後方向中央位置またはそれよりも両駆動車輪から離れた他方の位置に配置してなり、車体は地面に接している両駆動車輪側を支点にして起立可能であるとともに車体には起立により小型乗用車両の車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において地面と当接して小型乗用車両を起立状態に保持する起立ストッパを一体的に設けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、両駆動車輪は車体の起立開始から起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているよう構成することが好ましい。
【0007】
また本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、各駆動車輪から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられる起立アームをさらに備えたものとすることが好ましい。
【0008】
また本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、各駆動車輪は互いに別個に制御されるモータによりそれぞれ駆動されるものとし、車体の両駆動車輪から離れた他方の位置は加わる力の方向に応じた任意の方向に移動する従動車輪を介して地面に支持されようにすることが好ましい。
【0009】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、小型乗用車両の駐車時には、地面に接している両駆動車輪側を支点にして車体を起立させ、小型乗用車両の車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において起立ストッパを地面に当接して小型乗用車両を起立状態に保持することが可能であるので、駐車に要するスペースを減少させることができる。この小型乗用車両は、シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体の前部または後部の何れか一方の位置に配置するとともに、比較的軽いシートは車体の前後方向中央位置またはそれよりも両駆動車輪から離れた他方の位置に配置しており、車輌の重心は起立の支点である駆動車輪側に近くなるので、起立開始時に要する力は比較的小さくなる。
【0010】
両駆動車輪は車体の起立開始から起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているよう構成した少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、起立の途中で駆動車輪が地面から浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪側を支点として容易に起立させることができる。
【0011】
各駆動車輪から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられる起立アームをさらに備えた少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、駆動車輪取り付けた起立アームが車体の前後方向中央方向に延びる位置から地面に向かって回動する向きに駆動車輪を駆動すれば、起立アームの先端は先ず地面に当接し、さらに駆動車輪を回転させれば起立アームの先端が地面を押す反力により、車体は駆動車輪の車軸を中心として回動されて起立される。従って人力を用いなくても、モータにより駆動車輪を回転させることにより車体を容易に起立させることができる。
【0012】
また各駆動車輪は互いに別個に制御されるモータによりそれぞれ駆動されるものとし、車体の両駆動車輪から離れた他方の位置は加わる力の方向に応じた任意の方向に移動する従動車輪を介して地面に支持されようにした少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、各駆動車輪を駆動する各モータ回転速度を別個に制御することにより、小型乗用車両の進行方向を変えることができ、従動車輪を操舵する操舵装置は不要となる。これにより車体の両駆動車輪から離れた他方の位置に操舵装置を設ける必要がなくなり、その部分の重量が軽くなるので、小型乗用車両の起立に要する力は一層小さくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
先ず図1〜図6に示す第1の実施の形態により、本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の説明をする。この実施の形態は2人乗りの小型乗用車両に本発明を適用したものである。
【0014】
主として図1〜図3に示すように、この実施の形態の小型乗用車両は、主として車体10と、その後部の両側に設けられた1対の駆動車輪20と、車体10の前部の下側に左右に間をおいて設けられた1対のキャスタ(従動車輪)17と、車体10の中央部上側に設けられたシート13よりなるものである。各駆動車輪20の間となる車体10の後部上には、各駆動車輪20をそれぞれ駆動する各モータ22の動力源となるバッテリ(車両搭載用電源)25が設けられている。
【0015】
主として図1〜図3に示すように、車体10はフレームとその上に固定した床板からなる平坦な形状のもので、その後部両側には各駆動車輪20を設けるためのL形の切欠き10aが形成されている(図3参照)。この左右の切欠き10aの多少内側には、車体10と一体的に連結されてそれより立ち上がる左右1対の起立フレーム11が互いに平行に設けられ、側面図において駆動車輪20からやや上方に突出して後方に延びる左右の起立フレーム11の各上部部材の後端は補強部材11aにより連結されている。この補強部材11aの後面の左右両端部にはゴム足などよりなる起立ストッパ19が設けられ、この起立ストッパ19の後端の前後方向位置は駆動車輪20の後端部の位置の前後方向位置とほゞ同じになっている。
【0016】
各起立フレーム11の外面に固定された板状の各支持ブラケット18にそれより外向きに突出するように固定された各駆動車輪20の車軸にはハブ21が回転自在に軸支され、このハブ21に駆動車輪20のリム20aがねじ止め固定されている。各駆動車輪20と反対側となる各支持ブラケット18の内側にはモータ22が取り付けられ、各モータ22のロータの回転速度を減速機構を介して減速させた出力軸に固定されたピニオンは車軸と偏心して支持ブラケット18に形成した孔からハブ21内に入り、このピニオンがハブ21の内周面に形成した内歯歯車と噛合することにより駆動車輪20はさらに減速されてモータ22により回転駆動されるようになっている。各モータ22の動力源であるバッテリ25は、両モータ22の間となる車体10上に設けられている。このように、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25は、車体10の後部上に配置されている。
【0017】
車体10の前部を支持する各キャスタ17は、加わる力の方向に応じて車輪を支持する部材が垂直軸線回りに回転して、地面S上を任意の方向に移動する従動車輪である。このような従動車輪は図示のキャスタ17に限らず、種々の形式のものが使用可能である。またこのキャスタ17は左右に間をおいて2個を配置する代わりに、車体10の前部の横幅方向中央に1個を配置してもよい。
【0018】
シート13は比較的軽いもので、4本の支持脚13bを介して車体10の中央部上に取り付けられたシート台枠13aを備えている。シート台枠13aの後部両側には、シートバック14のフレーム14aの両側部の下部が枢支され、シートバック14はそのフレーム14aの下端部に内側に突出して溶接した揺動ストッパ14bが、枢支部の前側となるシート台枠13aの下面に当接する起立位置(図1参照)と枢支部の後側となるシート台枠13aの下面に当接する前倒し位置(図4参照)の間で回動可能である。またシート台枠13aの前部両側には左右の支持リンク15の下端部が枢支され、この支持リンク15の上端部とシートバックフレーム14aの中間部には左右のアームレスト16の前後の端部が枢支されている。これらの各部材13,14a,15,16は平行四辺形の4節リンクを形成し、シートバック14を前倒し位置とした状態では、アームレスト16は車体10とほぼ平行な状態でシート13の前側位置に移動する(図4参照)。
【0019】
バッテリ25の近くの車体10上には、モータ22を含む小型乗用車両の作動を制御する制御装置26が設けられている。また搭乗者がシート13に着座した状態で右側となる一方のアームレスト16の前側には、この制御装置26を介して小型乗用車両を操縦するためのジョイスティックタイプの操作器27が、支持板28を介して取り付けられている。操作器27のジョイスティックを前または後側に倒せば各モータ22は左右の駆動車輪20を前または後向きに回転させるように作動して小型乗用車両を前進または後退させ、ジョイスティックを右または左側に倒せばその向きに応じて各モータ22は左右の駆動車輪20を互いに逆向きに回転させるように作動して小型乗用車両を右旋回または左旋回させ、これらを組み合わせて作動させることにより小型乗用車両は操縦される。車体10の前部を支持するキャスタ17は、加わる力の方向に応じて地面S上を任意の方向に移動するので、駆動車輪20による小型乗用車両の進行方向および速度の制御がキャスタ17により拘束を受けることはない。なお操作器27はジョイスティックタイプのものに限らず、十字形押しボタンタイプのものなど、その他の形式のものでもよい。
【0020】
前述のように、この小型乗用車両は、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25が、車体10の後部上に配置されているので、図1および図4に示すように、車両だけの重心Gcは駆動車輪20の車軸の近くに位置している。しかし搭乗者がシート13に着座した状態では、搭乗者の人数および体重により差はあるが、搭乗者を含む小型乗用車両全体の全体重心Gの位置は、車両重心Gcよりもシート13の中央付近となる乗員重心Gm側すなわち小型乗用車両の中央側に移動するので、駆動車輪20の分布荷重が減少し、従動車輪であるキャスタ17の分布荷重が増大して、各車輪の分布荷重の偏りが少なくなり、安定した走行状態が得られるようになる。
【0021】
この小型乗用車両は、停止させて搭乗者が降りてから、図4の二点鎖線に示すようにシートバック14を前に倒して、シートバック14、支持リンク15およびアームレスト16を折り畳めば、車両の全高は前後長の半分以下となる。このようにシートバック14などを折り畳んだ状態で車体10の前側に手を掛けて駆動車輪20の接地点を支点にして車体10を持ち上げる。前述のように駆動車輪20は相当に減速されてモータ22により駆動されているので、駆動車輪20が地面S側から逆駆動された場合には駆動車輪20には相当大きい抵抗トルクが生じる。従ってこのように車体10を持ち上げれば、駆動車輪20は車体10に対して殆ど回転することはなく、駆動車輪20は地面S上を転動して起立される。そして小型乗用車両の車両重心Gcが、両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えた後に車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接して、小型乗用車両は手を離しても起立状態に保持されるようになる。この小型乗用車両はこのように起立させて駐車することができ、その場合の地面Sに対し上側から投影されたこの小型乗用車両の寸法は、横幅は同じであるが前後幅となる車両の全高は前後長の半分以下となるので、駐車に必要なスペースは起立させることなく駐車させた場合に比して半分以下となり、大幅に減少される。
【0022】
前述のように、この小型乗用車両は、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25は、車体10の後部上に配置されており、車体10の中央部上に取り付けられたシート13は比較的軽いので、図4に示すように、車両重心Gcは起立の支点である駆動車輪20の接地点の近くになり、従って小型乗用車両の起立開始時に要する力は比較的小さくなる。これに加え、両駆動車輪20は車体10の起立開始から起立が完了するまでの間常に地面Sに接して転動し、途中で地面Sから浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができる。
【0023】
なおこの実施の形態では、小型乗用車両の起立に先立ちシートバック14などを折り畳んでいるが、小型乗用車両によっては、シートバックやアームレストがない構造のものもあり、その場合はシートバックなどを折り畳む必要はない。その場合でも、駐車に必要なスペースが大幅に減少され、また小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができるという効果は同様に得られる。
【0024】
この第1の実施の形態の小型乗用車両は、上述のように人が車体10の前側に手を掛けて駆動車輪20の接地点を支点にして車体10を起立させるものであるが、モータ22の動力を利用して起立させるようにすることも可能である。このために第1の実施の形態の各駆動車輪20には、半径方向に突出する起立アーム30を着脱可能に取り付け可能である。次にこのための構造を図1、図3、図5および図6により説明する。
【0025】
第1の実施の形態の各駆動車輪20のハブ21には、主として図5および図6に示すように、起立アーム30を取り付けるための4個のフック32が、車軸を中心とする円周に沿って等角度間隔で取り付けられている。各フック32は浅いZ形で駆動車輪20のリム20aの上に、リム20aから離れた突出部32aが駆動車輪20の前進方向回転の際に前側となるように、円周方向に沿って整列されてボルト33により固定されている。各起立アーム30は、鉄パイプなどよりなる本体の一端部に、ハブ21に設けられたフック32の直径方向に対向する1対のもの間の距離と同じ距離をおいて、1対のL字形の引掛け部31を互いに逆向きに溶接などにより固定したものである。この起立アーム30は、図6に示すように、各引掛け部31の先端部31aをフック32の突出部32aとリム20aの間の隙間に挿入することにより、他端側が駆動車輪20から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられるものである。この起立アーム30の他端側は段状に外向きに屈曲され(図3参照)、その先端には駆動車輪20に取り付けた状態において車軸と平行となるように長方形の当接板30aが斜めに溶接固定されている。
【0026】
図5に示すように、シートバック14などを折り畳んだ状態で左右の駆動車輪20に起立アーム30を取り付け、操作器27を操作して各モータ22により各駆動車輪20を矢印R1に示すように前進方向に回転すれば、取り付け時には地面Sから離れていた当接板30aは駆動車輪20の回転により地面Sに当接する。駆動車輪20をモータ22によりさらに回転すれば、地面Sに対する駆動車輪20の回転は起立アーム30先端の当接板30aが地面Sに当接することにより停止されるので、代わりに車体10およびこれに取り付けられた各部材が車軸を中心として矢印R2に示すように回転して起立し始める。そして小型乗用車両の車両重心Gcが両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えて、車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接したところで操作器27により各駆動車輪20の回転を停止すれば、小型乗用車両は起立状態に保持される。これにより人力を用いることなく小型乗用車両を駆動車輪20の車軸の回りに回転させて起立させることができる。なお起立アーム30の長さは、図1および図5に示す起立前の状態において、起立アーム30の前端の当接板30aが車両重心Gcよりも前方で地面Sに当接するように定める。
【0027】
次に、図7〜図9に示す第2の実施の形態の説明をする。前述した第1の実施の形態では後輪を駆動車輪20としたのに対し、この第2の実施の形態は前輪を駆動車輪20とした点が第1の実施の形態と異なっており、また風雨をしのぐための折り畳み式の簡単な上部カバー40を設けた点およびシート13およびシートバック14の構造が第1の実施の形態と異なっている。以下に主としてこれらの相違点につき説明する。
【0028】
主として図7および図8に示すように、この第2の実施の形態の車体10は、第1の実施の形態と同様、フレームとその上に固定した床板からなる平坦な形状で、その平面形状は単純な長方形である。車体10の前部の両側には、車体10と一体的に連結されてそれより立ち上がる左右1対の起立フレーム11がに設けられ、左右の起立フレーム11の間の部分は両側が各起立フレーム11の上縁に固定された前部カバー11bにより覆われている。各起立フレーム11に取り付けられた支持ブラケット18には、各駆動車輪20を支持するハブ21と、これを駆動するモータ22が支持されており、各モータ22の間にはバッテリ25および小型乗用車両の作動を制御する制御装置26が設けられて前部カバー11bにより覆われている。駆動車輪20と反対側となる車体10の後部はキャスタ17により支持され、また前部カバー11bの前面には、第1の実施の形態と同様な起立ストッパ19が設けられている。これらの構成は、第1の実施の形態と実質的に同じである。
【0029】
シート13は4本の支持脚を介して車体10の後部上に取り付けられており、シートバック14は両側の下部がシート13の後部に枢支されて、実線で示す起立位置と二点鎖線14Aで示す前倒し位置の間で回動可能である。アームレストは設けられていない。
【0030】
上部カバー40は、フロントシールド41とリヤピラー42とルーフ43により構成されている。フロントシールド41は四角い枠体の前側に透明なシールド板を設けたもので、両側の下端部が車体10の起立フレーム11に設けた前部支持板44により起倒可能に枢支されている。リヤピラー42も四角い枠体よりなり、両側の下端部は車体10の後端から起立された後部支持枠45の上端部に起倒可能に枢支されている。またルーフ43は四角い枠体の上側に耐候性のある布を設けたもので、両側の後端部がリヤピラー42の両側のパイプの上端部外側に枢支されている。この各部材41,42,43の各枠体は何れも角パイプにより構成されている。
【0031】
フロントシールド41の上縁とルーフ43の前縁は互いに連結可能であり、連結された状態では、図7の実線に示すように、各部材41,42,43によりシート13およびこれに着座した搭乗者を覆う上部カバー40が構成される。この第2の実施の形態の小型乗用車両を操縦する操作器は、手持ち式である点を除き第1の実施の形態の操作器27と同様なものである。この第2の実施の形態では、重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25が、車体10の前部上に配置されているのに対し、シート13はこれと反対側となる車体10の後部上に配置されているので、搭乗者がシート13に着座した状態では、搭乗者を含む小型乗用車両全体の全体重心Gの位置は、駆動車輪20と従動車輪であるキャスタ17の中央付近となる。従って駆動車輪20と従動車輪17の分布荷重の偏りが第1の実施の形態よりも少なくなるので、一層安定した走行状態が得られる。また前輪駆動であるので、段部などを乗り越える際の走破性も向上する。
【0032】
この第2の実施の形態の上部カバー40を折り畳むには、先ずシートバック14を前倒し位置としてから、フロントシールド41の上縁とルーフ43の前縁の連結を解除し、矢印Q1に示すようにルーフ43をリヤピラー42との枢支位置回りに回動してリヤピラー42の外側に被せる。次いで、この両者42,43を一体として、矢印Q2に示すように後部支持枠45とリヤピラー42の枢支位置回りに前に倒して、シート13とシートバック14の上に支持させる。次いでフロントシールド41を、矢印Q3に示すように前部支持板44との枢支位置回りに回動して、リヤピラー42およびルーフ43の外側に被せてそれらの上に支持させる。これにより上部カバー40の各部材41,42,43は、二点鎖線46に示すように折り畳まれてシート13の上に支持され、必要に応じて紐などによりシート13に結束される。
【0033】
このように折り畳んだ状態では、この小型乗用車両の全高は前後長の半分以下となる。そしてこの状態で車体10の後側に手を掛けて持ち上げれば、第1の実施の形態の場合と同様、駆動車輪20は地面S上を転動して次第に起立され、車両重心Gcが、両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えた後に車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接して、小型乗用車両は手を離しても起立状態に保持されるようになる。従ってこの第2の実施の形態の小型乗用車両も、第1の実施の形態と同様、駐車に必要なスペースは起立させることなく駐車させた場合に比して半分以下となり、大幅に減少される。
【0034】
そしてこの第2の実施の形態でも、車両重心Gcは起立の支点である駆動車輪20の接地点の近くであるので、小型乗用車両の起立開始時に要する力は比較的小さくなり、また両駆動車輪20は車体10の起立開始から起立が完了するまでの間常に地面Sに接して転動し、途中で地面Sから浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができる。
【0035】
なおこの第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、各駆動車輪20に半径方向に突出する起立アーム30を着脱可能に取り付けることにより、モータ22の動力を利用して起立させるようにすることも可能である。
【0036】
またモータ22の動力源である車両搭載用電源は、上述した各実施の形態ではバッテリ25としたが、これに限られるものではなく、本発明は燃料容器を含む燃料電池などを車両搭載用電源として実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の第1の実施形態の全体構造を示す側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】第1の実施形態の車両を起立させる場合の説明図である。
【図5】第1の実施形態の車両をモータを利用して起立させる場合の説明図である。
【図6】図5の5−5線に沿った部分拡大断面図である。
【図7】本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の第2の実施形態の全体構造を示す側面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】第2の実施形態の車両を起立させる場合の説明図である。
【符号の説明】
10…車体、13…シート、17…従動車輪(キャスタ)、19…起立ストッパ、20…駆動車輪、22…モータ、25…車両搭載用電源(バッテリ)、30…起立アーム。
【発明の属する技術分野】
本発明は、停車状態では駆動車輪側を支点にして起立可能とした少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型乗用車両でない折り畳み可能な台車には、例えば特開2001−180496号公報に開示されたように、駆動輪の接地点を支点として車体の前方端を起立可能として台車の収納に要する床面積を低減させたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述した従来技術の台車は、電動アシスト機能を有する駆動輪を備えてはいるが、人が押して使用する台車であるので人が乗るには小型すぎ、シートを備えていないので、小型乗用車両として使用することはできないという問題がある。また車体には駆動輪より後方に突出するスタンドが固定されており、車体の前方端を起立させる途中でこのスタンドの先端が地面に当接し、その後は駆動輪が地面から浮き上がり、このため台車を起立させる際の台車の重心の上昇量が大きくなるので、起立に要する力が車重の割りには大きくなる。このような構造のものは、台車のように小形軽量のものには適用可能であるが、それに比して重量が大きい小型乗用車両では起立させるために要する力が過大になるので実用性のあるものは得られなかった。
【0004】
本発明は車体にシートを設けることによりこのような問題を解決して、少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両を提供し、また駆動車輪側を支点とする起立に要する力を減少させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このために、本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、バッテリなどの車両搭載用電源を動力源とするモータにより駆動される左右1対の駆動車輪と、搭乗者が着座するシートを備えてなる小型乗用車両において、シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体の前部または後部の何れか一方の位置に配置し、比較的軽いシートは車体の前後方向中央位置またはそれよりも両駆動車輪から離れた他方の位置に配置してなり、車体は地面に接している両駆動車輪側を支点にして起立可能であるとともに車体には起立により小型乗用車両の車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において地面と当接して小型乗用車両を起立状態に保持する起立ストッパを一体的に設けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、両駆動車輪は車体の起立開始から起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているよう構成することが好ましい。
【0007】
また本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、各駆動車輪から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられる起立アームをさらに備えたものとすることが好ましい。
【0008】
また本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両は、各駆動車輪は互いに別個に制御されるモータによりそれぞれ駆動されるものとし、車体の両駆動車輪から離れた他方の位置は加わる力の方向に応じた任意の方向に移動する従動車輪を介して地面に支持されようにすることが好ましい。
【0009】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、小型乗用車両の駐車時には、地面に接している両駆動車輪側を支点にして車体を起立させ、小型乗用車両の車両重心が両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において起立ストッパを地面に当接して小型乗用車両を起立状態に保持することが可能であるので、駐車に要するスペースを減少させることができる。この小型乗用車両は、シートに比して重量が大きい駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体の前部または後部の何れか一方の位置に配置するとともに、比較的軽いシートは車体の前後方向中央位置またはそれよりも両駆動車輪から離れた他方の位置に配置しており、車輌の重心は起立の支点である駆動車輪側に近くなるので、起立開始時に要する力は比較的小さくなる。
【0010】
両駆動車輪は車体の起立開始から起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているよう構成した少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、起立の途中で駆動車輪が地面から浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪側を支点として容易に起立させることができる。
【0011】
各駆動車輪から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられる起立アームをさらに備えた少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、駆動車輪取り付けた起立アームが車体の前後方向中央方向に延びる位置から地面に向かって回動する向きに駆動車輪を駆動すれば、起立アームの先端は先ず地面に当接し、さらに駆動車輪を回転させれば起立アームの先端が地面を押す反力により、車体は駆動車輪の車軸を中心として回動されて起立される。従って人力を用いなくても、モータにより駆動車輪を回転させることにより車体を容易に起立させることができる。
【0012】
また各駆動車輪は互いに別個に制御されるモータによりそれぞれ駆動されるものとし、車体の両駆動車輪から離れた他方の位置は加わる力の方向に応じた任意の方向に移動する従動車輪を介して地面に支持されようにした少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両によれば、各駆動車輪を駆動する各モータ回転速度を別個に制御することにより、小型乗用車両の進行方向を変えることができ、従動車輪を操舵する操舵装置は不要となる。これにより車体の両駆動車輪から離れた他方の位置に操舵装置を設ける必要がなくなり、その部分の重量が軽くなるので、小型乗用車両の起立に要する力は一層小さくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
先ず図1〜図6に示す第1の実施の形態により、本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の説明をする。この実施の形態は2人乗りの小型乗用車両に本発明を適用したものである。
【0014】
主として図1〜図3に示すように、この実施の形態の小型乗用車両は、主として車体10と、その後部の両側に設けられた1対の駆動車輪20と、車体10の前部の下側に左右に間をおいて設けられた1対のキャスタ(従動車輪)17と、車体10の中央部上側に設けられたシート13よりなるものである。各駆動車輪20の間となる車体10の後部上には、各駆動車輪20をそれぞれ駆動する各モータ22の動力源となるバッテリ(車両搭載用電源)25が設けられている。
【0015】
主として図1〜図3に示すように、車体10はフレームとその上に固定した床板からなる平坦な形状のもので、その後部両側には各駆動車輪20を設けるためのL形の切欠き10aが形成されている(図3参照)。この左右の切欠き10aの多少内側には、車体10と一体的に連結されてそれより立ち上がる左右1対の起立フレーム11が互いに平行に設けられ、側面図において駆動車輪20からやや上方に突出して後方に延びる左右の起立フレーム11の各上部部材の後端は補強部材11aにより連結されている。この補強部材11aの後面の左右両端部にはゴム足などよりなる起立ストッパ19が設けられ、この起立ストッパ19の後端の前後方向位置は駆動車輪20の後端部の位置の前後方向位置とほゞ同じになっている。
【0016】
各起立フレーム11の外面に固定された板状の各支持ブラケット18にそれより外向きに突出するように固定された各駆動車輪20の車軸にはハブ21が回転自在に軸支され、このハブ21に駆動車輪20のリム20aがねじ止め固定されている。各駆動車輪20と反対側となる各支持ブラケット18の内側にはモータ22が取り付けられ、各モータ22のロータの回転速度を減速機構を介して減速させた出力軸に固定されたピニオンは車軸と偏心して支持ブラケット18に形成した孔からハブ21内に入り、このピニオンがハブ21の内周面に形成した内歯歯車と噛合することにより駆動車輪20はさらに減速されてモータ22により回転駆動されるようになっている。各モータ22の動力源であるバッテリ25は、両モータ22の間となる車体10上に設けられている。このように、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25は、車体10の後部上に配置されている。
【0017】
車体10の前部を支持する各キャスタ17は、加わる力の方向に応じて車輪を支持する部材が垂直軸線回りに回転して、地面S上を任意の方向に移動する従動車輪である。このような従動車輪は図示のキャスタ17に限らず、種々の形式のものが使用可能である。またこのキャスタ17は左右に間をおいて2個を配置する代わりに、車体10の前部の横幅方向中央に1個を配置してもよい。
【0018】
シート13は比較的軽いもので、4本の支持脚13bを介して車体10の中央部上に取り付けられたシート台枠13aを備えている。シート台枠13aの後部両側には、シートバック14のフレーム14aの両側部の下部が枢支され、シートバック14はそのフレーム14aの下端部に内側に突出して溶接した揺動ストッパ14bが、枢支部の前側となるシート台枠13aの下面に当接する起立位置(図1参照)と枢支部の後側となるシート台枠13aの下面に当接する前倒し位置(図4参照)の間で回動可能である。またシート台枠13aの前部両側には左右の支持リンク15の下端部が枢支され、この支持リンク15の上端部とシートバックフレーム14aの中間部には左右のアームレスト16の前後の端部が枢支されている。これらの各部材13,14a,15,16は平行四辺形の4節リンクを形成し、シートバック14を前倒し位置とした状態では、アームレスト16は車体10とほぼ平行な状態でシート13の前側位置に移動する(図4参照)。
【0019】
バッテリ25の近くの車体10上には、モータ22を含む小型乗用車両の作動を制御する制御装置26が設けられている。また搭乗者がシート13に着座した状態で右側となる一方のアームレスト16の前側には、この制御装置26を介して小型乗用車両を操縦するためのジョイスティックタイプの操作器27が、支持板28を介して取り付けられている。操作器27のジョイスティックを前または後側に倒せば各モータ22は左右の駆動車輪20を前または後向きに回転させるように作動して小型乗用車両を前進または後退させ、ジョイスティックを右または左側に倒せばその向きに応じて各モータ22は左右の駆動車輪20を互いに逆向きに回転させるように作動して小型乗用車両を右旋回または左旋回させ、これらを組み合わせて作動させることにより小型乗用車両は操縦される。車体10の前部を支持するキャスタ17は、加わる力の方向に応じて地面S上を任意の方向に移動するので、駆動車輪20による小型乗用車両の進行方向および速度の制御がキャスタ17により拘束を受けることはない。なお操作器27はジョイスティックタイプのものに限らず、十字形押しボタンタイプのものなど、その他の形式のものでもよい。
【0020】
前述のように、この小型乗用車両は、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25が、車体10の後部上に配置されているので、図1および図4に示すように、車両だけの重心Gcは駆動車輪20の車軸の近くに位置している。しかし搭乗者がシート13に着座した状態では、搭乗者の人数および体重により差はあるが、搭乗者を含む小型乗用車両全体の全体重心Gの位置は、車両重心Gcよりもシート13の中央付近となる乗員重心Gm側すなわち小型乗用車両の中央側に移動するので、駆動車輪20の分布荷重が減少し、従動車輪であるキャスタ17の分布荷重が増大して、各車輪の分布荷重の偏りが少なくなり、安定した走行状態が得られるようになる。
【0021】
この小型乗用車両は、停止させて搭乗者が降りてから、図4の二点鎖線に示すようにシートバック14を前に倒して、シートバック14、支持リンク15およびアームレスト16を折り畳めば、車両の全高は前後長の半分以下となる。このようにシートバック14などを折り畳んだ状態で車体10の前側に手を掛けて駆動車輪20の接地点を支点にして車体10を持ち上げる。前述のように駆動車輪20は相当に減速されてモータ22により駆動されているので、駆動車輪20が地面S側から逆駆動された場合には駆動車輪20には相当大きい抵抗トルクが生じる。従ってこのように車体10を持ち上げれば、駆動車輪20は車体10に対して殆ど回転することはなく、駆動車輪20は地面S上を転動して起立される。そして小型乗用車両の車両重心Gcが、両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えた後に車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接して、小型乗用車両は手を離しても起立状態に保持されるようになる。この小型乗用車両はこのように起立させて駐車することができ、その場合の地面Sに対し上側から投影されたこの小型乗用車両の寸法は、横幅は同じであるが前後幅となる車両の全高は前後長の半分以下となるので、駐車に必要なスペースは起立させることなく駐車させた場合に比して半分以下となり、大幅に減少される。
【0022】
前述のように、この小型乗用車両は、シート13に比して重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25は、車体10の後部上に配置されており、車体10の中央部上に取り付けられたシート13は比較的軽いので、図4に示すように、車両重心Gcは起立の支点である駆動車輪20の接地点の近くになり、従って小型乗用車両の起立開始時に要する力は比較的小さくなる。これに加え、両駆動車輪20は車体10の起立開始から起立が完了するまでの間常に地面Sに接して転動し、途中で地面Sから浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができる。
【0023】
なおこの実施の形態では、小型乗用車両の起立に先立ちシートバック14などを折り畳んでいるが、小型乗用車両によっては、シートバックやアームレストがない構造のものもあり、その場合はシートバックなどを折り畳む必要はない。その場合でも、駐車に必要なスペースが大幅に減少され、また小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができるという効果は同様に得られる。
【0024】
この第1の実施の形態の小型乗用車両は、上述のように人が車体10の前側に手を掛けて駆動車輪20の接地点を支点にして車体10を起立させるものであるが、モータ22の動力を利用して起立させるようにすることも可能である。このために第1の実施の形態の各駆動車輪20には、半径方向に突出する起立アーム30を着脱可能に取り付け可能である。次にこのための構造を図1、図3、図5および図6により説明する。
【0025】
第1の実施の形態の各駆動車輪20のハブ21には、主として図5および図6に示すように、起立アーム30を取り付けるための4個のフック32が、車軸を中心とする円周に沿って等角度間隔で取り付けられている。各フック32は浅いZ形で駆動車輪20のリム20aの上に、リム20aから離れた突出部32aが駆動車輪20の前進方向回転の際に前側となるように、円周方向に沿って整列されてボルト33により固定されている。各起立アーム30は、鉄パイプなどよりなる本体の一端部に、ハブ21に設けられたフック32の直径方向に対向する1対のもの間の距離と同じ距離をおいて、1対のL字形の引掛け部31を互いに逆向きに溶接などにより固定したものである。この起立アーム30は、図6に示すように、各引掛け部31の先端部31aをフック32の突出部32aとリム20aの間の隙間に挿入することにより、他端側が駆動車輪20から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられるものである。この起立アーム30の他端側は段状に外向きに屈曲され(図3参照)、その先端には駆動車輪20に取り付けた状態において車軸と平行となるように長方形の当接板30aが斜めに溶接固定されている。
【0026】
図5に示すように、シートバック14などを折り畳んだ状態で左右の駆動車輪20に起立アーム30を取り付け、操作器27を操作して各モータ22により各駆動車輪20を矢印R1に示すように前進方向に回転すれば、取り付け時には地面Sから離れていた当接板30aは駆動車輪20の回転により地面Sに当接する。駆動車輪20をモータ22によりさらに回転すれば、地面Sに対する駆動車輪20の回転は起立アーム30先端の当接板30aが地面Sに当接することにより停止されるので、代わりに車体10およびこれに取り付けられた各部材が車軸を中心として矢印R2に示すように回転して起立し始める。そして小型乗用車両の車両重心Gcが両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えて、車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接したところで操作器27により各駆動車輪20の回転を停止すれば、小型乗用車両は起立状態に保持される。これにより人力を用いることなく小型乗用車両を駆動車輪20の車軸の回りに回転させて起立させることができる。なお起立アーム30の長さは、図1および図5に示す起立前の状態において、起立アーム30の前端の当接板30aが車両重心Gcよりも前方で地面Sに当接するように定める。
【0027】
次に、図7〜図9に示す第2の実施の形態の説明をする。前述した第1の実施の形態では後輪を駆動車輪20としたのに対し、この第2の実施の形態は前輪を駆動車輪20とした点が第1の実施の形態と異なっており、また風雨をしのぐための折り畳み式の簡単な上部カバー40を設けた点およびシート13およびシートバック14の構造が第1の実施の形態と異なっている。以下に主としてこれらの相違点につき説明する。
【0028】
主として図7および図8に示すように、この第2の実施の形態の車体10は、第1の実施の形態と同様、フレームとその上に固定した床板からなる平坦な形状で、その平面形状は単純な長方形である。車体10の前部の両側には、車体10と一体的に連結されてそれより立ち上がる左右1対の起立フレーム11がに設けられ、左右の起立フレーム11の間の部分は両側が各起立フレーム11の上縁に固定された前部カバー11bにより覆われている。各起立フレーム11に取り付けられた支持ブラケット18には、各駆動車輪20を支持するハブ21と、これを駆動するモータ22が支持されており、各モータ22の間にはバッテリ25および小型乗用車両の作動を制御する制御装置26が設けられて前部カバー11bにより覆われている。駆動車輪20と反対側となる車体10の後部はキャスタ17により支持され、また前部カバー11bの前面には、第1の実施の形態と同様な起立ストッパ19が設けられている。これらの構成は、第1の実施の形態と実質的に同じである。
【0029】
シート13は4本の支持脚を介して車体10の後部上に取り付けられており、シートバック14は両側の下部がシート13の後部に枢支されて、実線で示す起立位置と二点鎖線14Aで示す前倒し位置の間で回動可能である。アームレストは設けられていない。
【0030】
上部カバー40は、フロントシールド41とリヤピラー42とルーフ43により構成されている。フロントシールド41は四角い枠体の前側に透明なシールド板を設けたもので、両側の下端部が車体10の起立フレーム11に設けた前部支持板44により起倒可能に枢支されている。リヤピラー42も四角い枠体よりなり、両側の下端部は車体10の後端から起立された後部支持枠45の上端部に起倒可能に枢支されている。またルーフ43は四角い枠体の上側に耐候性のある布を設けたもので、両側の後端部がリヤピラー42の両側のパイプの上端部外側に枢支されている。この各部材41,42,43の各枠体は何れも角パイプにより構成されている。
【0031】
フロントシールド41の上縁とルーフ43の前縁は互いに連結可能であり、連結された状態では、図7の実線に示すように、各部材41,42,43によりシート13およびこれに着座した搭乗者を覆う上部カバー40が構成される。この第2の実施の形態の小型乗用車両を操縦する操作器は、手持ち式である点を除き第1の実施の形態の操作器27と同様なものである。この第2の実施の形態では、重量が大きい駆動車輪20、モータ22およびバッテリ25が、車体10の前部上に配置されているのに対し、シート13はこれと反対側となる車体10の後部上に配置されているので、搭乗者がシート13に着座した状態では、搭乗者を含む小型乗用車両全体の全体重心Gの位置は、駆動車輪20と従動車輪であるキャスタ17の中央付近となる。従って駆動車輪20と従動車輪17の分布荷重の偏りが第1の実施の形態よりも少なくなるので、一層安定した走行状態が得られる。また前輪駆動であるので、段部などを乗り越える際の走破性も向上する。
【0032】
この第2の実施の形態の上部カバー40を折り畳むには、先ずシートバック14を前倒し位置としてから、フロントシールド41の上縁とルーフ43の前縁の連結を解除し、矢印Q1に示すようにルーフ43をリヤピラー42との枢支位置回りに回動してリヤピラー42の外側に被せる。次いで、この両者42,43を一体として、矢印Q2に示すように後部支持枠45とリヤピラー42の枢支位置回りに前に倒して、シート13とシートバック14の上に支持させる。次いでフロントシールド41を、矢印Q3に示すように前部支持板44との枢支位置回りに回動して、リヤピラー42およびルーフ43の外側に被せてそれらの上に支持させる。これにより上部カバー40の各部材41,42,43は、二点鎖線46に示すように折り畳まれてシート13の上に支持され、必要に応じて紐などによりシート13に結束される。
【0033】
このように折り畳んだ状態では、この小型乗用車両の全高は前後長の半分以下となる。そしてこの状態で車体10の後側に手を掛けて持ち上げれば、第1の実施の形態の場合と同様、駆動車輪20は地面S上を転動して次第に起立され、車両重心Gcが、両駆動車輪20の各接地点を結ぶ接地線の直上を越えた後に車体10の起立フレーム11の後端上部に設けた起立ストッパ19が地面Sに当接して、小型乗用車両は手を離しても起立状態に保持されるようになる。従ってこの第2の実施の形態の小型乗用車両も、第1の実施の形態と同様、駐車に必要なスペースは起立させることなく駐車させた場合に比して半分以下となり、大幅に減少される。
【0034】
そしてこの第2の実施の形態でも、車両重心Gcは起立の支点である駆動車輪20の接地点の近くであるので、小型乗用車両の起立開始時に要する力は比較的小さくなり、また両駆動車輪20は車体10の起立開始から起立が完了するまでの間常に地面Sに接して転動し、途中で地面Sから浮き上がることはないので、起立に要する力が途中で増大することはない。従って小型乗用車両の起立に要する力は車両の重量に比して小さくなるので、両駆動車輪20の接地点を支点として容易に起立させることができる。
【0035】
なおこの第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、各駆動車輪20に半径方向に突出する起立アーム30を着脱可能に取り付けることにより、モータ22の動力を利用して起立させるようにすることも可能である。
【0036】
またモータ22の動力源である車両搭載用電源は、上述した各実施の形態ではバッテリ25としたが、これに限られるものではなく、本発明は燃料容器を含む燃料電池などを車両搭載用電源として実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の第1の実施形態の全体構造を示す側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】第1の実施形態の車両を起立させる場合の説明図である。
【図5】第1の実施形態の車両をモータを利用して起立させる場合の説明図である。
【図6】図5の5−5線に沿った部分拡大断面図である。
【図7】本発明による少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両の第2の実施形態の全体構造を示す側面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】第2の実施形態の車両を起立させる場合の説明図である。
【符号の説明】
10…車体、13…シート、17…従動車輪(キャスタ)、19…起立ストッパ、20…駆動車輪、22…モータ、25…車両搭載用電源(バッテリ)、30…起立アーム。
Claims (4)
- バッテリなどの車両搭載用電源を動力源とするモータにより駆動される左右1対の駆動車輪と、搭乗者が着座するシートを備えてなる小型乗用車両において、前記シートに比して重量が大きい前記駆動車輪、モータおよび車両搭載用電源は車体の前部または後部の何れか一方の位置に配置し、比較的軽い前記シートは前記車体の前後方向中央位置またはそれよりも前記両駆動車輪から離れた他方の位置に配置してなり、前記車体は地面に接している前記両駆動車輪側を支点にして起立可能であるとともに前記車体には起立により前記小型乗用車両の車両重心が前記両駆動車輪の接地線の直上を越えた状態において地面と当接して前記小型乗用車両を起立状態に保持する起立ストッパを一体的に設けたことを特徴とする少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両。
- 請求項1に記載の少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両において、前記両駆動車輪は車体の起立開始から前記起立ストッパが地面に当接して起立が完了するまでの間、常に地面に接しているよう構成したことを特徴とする少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両。
- 請求項1または請求項2に記載の少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両において、前記各駆動車輪から半径方向に突出するように着脱可能に取り付けられる起立アームをさらに備えたことを特徴とする少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両。
- 請求項1または請求項2に記載の少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両において、前記各駆動車輪は互いに別個に制御されるモータによりそれぞれ駆動され、前記車体の前記両駆動車輪から離れた他方の位置は加わる力の方向に応じた任意の方向に移動する従動車輪を介して地面に支持されるようにしたことを特徴とする少ないスペースで駐車可能な小型乗用車両。
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