JP2004079903A - 基板乾燥方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】純水中よりの基板の露出の際に、上記基板の表面への異物付着量を低減させた良好な乾燥状態を得ることができる基板乾燥方法及び装置を提供する。
【解決手段】乾燥室201内の上記純水40の液面上の空間4内に不活性ガスを充填させ、基板とともに上記基板を浸漬している上記純水40を上昇させながら、上記純水40の液面において、上記純水40を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水40の液滴の付着を抑制するとともに、かつ、上記表面流れでもって上記純水40の液面に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記純水40から上記基板を露出させて、その後、上記空間4内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水40の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板を乾燥させる。
【選択図】図4
【解決手段】乾燥室201内の上記純水40の液面上の空間4内に不活性ガスを充填させ、基板とともに上記基板を浸漬している上記純水40を上昇させながら、上記純水40の液面において、上記純水40を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水40の液滴の付着を抑制するとともに、かつ、上記表面流れでもって上記純水40の液面に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記純水40から上記基板を露出させて、その後、上記空間4内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水40の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板を乾燥させる。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、純水中に浸漬されている基板を純水中から取り出すとき、酸素に触れさせることなく基板表面を乾燥させる基板乾燥方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板を純水中より順次露出させながら、基板の乾燥を行う基板乾燥装置として、例えば、特公平6−103686号公報に開示されるような乾燥装置が知られている。このような乾燥装置では、窒素ガスをキャリアとしてIPA(イソプロピルアルコール)を蒸気として、エッチング処理液で処理されたのち純水で洗浄されている基板の一例であるウェハの処理槽内の上部空間内に供給するようにしている。そして、処理槽の純水を処理槽底部から排水することにより、処理槽内でウェハを露出させ、処理槽の上部空間に供給されたIPA蒸気が露出したウェハの表面に付着した水滴と置換して、ウェハ表面が酸素に触れて自然酸化することなく、乾燥させるようにしている。
【0003】
また、処理槽の純水を処理槽底部から排水することにより、処理槽内でウェハを露出させる場合に代えて、ウェハを処理槽内より引き上げることにより、処理槽内でウェハを露出させ、処理槽の上部空間に供給されたIPA蒸気が露出したウェハの表面に付着した水滴と置換して乾燥させるようにしている乾燥装置もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造のものでは、ウェハの純水による洗浄の際に発生した異物が処理槽の純水液面付近に浮遊した状態となるが、処理槽内の純水を処理槽底部から排水することによって処理槽内でのウェハの露出を行うため、処理槽内における底部近傍の純水から順次排水が行われて、上記異物が浮遊している液面近傍の純水の排水は最後に行われることとなるため、上記液面よりウェハの露出の際に上記浮遊している異物がウェハの表面に付着し、異物の付着がない良好な乾燥状態を得ることが困難な場合があるという問題がある。
【0005】
また、処理槽内の上記純水液面よりの引き上げによるウェハの露出を行うような場合にあっても、同様に異物がウェハの表面に付着し、異物の付着がない良好な乾燥状態を得ることが困難な場合があるという問題点がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、純水中よりの基板の露出の際に、上記基板の表面への異物付着量を低減させた良好な乾燥状態を得ることができる基板乾燥方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0008】
本発明の第1態様によれば、夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室内の純水の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法を提供する。
【0009】
本発明の上記第2態様によれば、上記基板の露出の際における上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う第1態様に記載の基板乾燥方法を提供する。
【0010】
本発明の第3態様によれば、夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室内の純水の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記乾燥室を下降させて、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法を提供する。
【0011】
本発明の第4態様によれば、上記不活性ガスは、窒素ガスである第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0012】
本発明の第5態様によれば、上記基板の露出は、上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0013】
本発明の第6態様によれば、上記基板はウェハ又は液晶ガラス基板である第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0014】
本発明の第7態様によれば、互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水の液面と略直交するように配列された複数の基板を上記純水内に浸漬可能な乾燥室と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置と、
上記乾燥室内に昇降可能に備えられた可動床を上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置とを備えて、
上記排液装置により、上記可動床を上昇させて、上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により充填された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留した上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置を提供する。
【0015】
本発明の第8態様によれば、上記基板の露出の際における上記排液装置による上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の上記空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う第7態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0016】
本発明の第9態様によれば、上記可動床は上記乾燥室の底面であり、かつ上記排液装置は上記底面を昇降させる底面昇降装置であって、かつ上記基板を支持する基板支持機構をさらに備え、
上記底面昇降装置により上記乾燥室の上記底面を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる第7態様又は第8態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0017】
本発明の第10態様によれば、上記可動床は上記乾燥室において上記純水を上記液面側における上部純水槽と上記乾燥室の底面側における下部純水槽とに区分し、上記排液装置は上記可動床を昇降させる可動床昇降装置であって、
上記可動床に備えられかつ上記上部純水槽内において上記純水に浸漬された上記基板を支持する基板支持機構をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記上部純水槽における上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる第7態様又は第8態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0018】
本発明の第11態様によれば、上記乾燥室の上記下部純水槽に純水を供給する純水供給機構をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させるとともに、上記純水供給機構により上記区分位置の上昇に応じて純水を上記下部純水槽に供給させる第10態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0019】
本発明の第12態様によれば、互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水の液面と略直交するように配列された複数の基板を上記純水内に浸漬可能な乾燥室と、
上記基板を支持する基板支持機構と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置と、
上記乾燥室を下降させることにより、上記乾燥室内に上記乾燥室に対して相対的に昇降可能に備えられた液移動板を相対的に上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置とを備えて、
上記排液装置により、上記液移動板とともに上記基板支持機構により支持されている上記基板及び上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させて、上記基板とともに上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により供給された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置を提供する。
【0020】
本発明の第13態様によれば、上記不活性ガスは、窒素ガスである第7態様から第12態様のいずれか1つに記載の基板乾燥装置を提供する。
【0021】
本発明の第14態様によれば、上記空間内のガスを上記空間外へ排気する排気装置をさらに備え、
上記基板の露出は、上記不活性ガス供給装置により上記不活性ガスを上記空間内に供給するとともに、上記排気装置により上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排出しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる第7態様から第13態様のいずれか1つに記載の基板乾燥装置を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明にかかる実施の形態を説明するにあたり、本明細書で用いられる用語の定義について説明する。
【0023】
本明細書における用語「液滴」とは、物体の表面に付着した液体のうちの大略粒状の液体であって、かつ、目視にて確認できる程度の大きさのものをいうものとする。また、本明細書における用語「水分」とは、物体の表面に付着した液体のうちの目視にて確認できないような微細な大きさの液体、例えば、微細な径を有する大略粒状の液体のことをいう。なお、上記液体は純水のみにより構成される場合、さらに純水に、シリコン化合物等の異物が混合若しくは溶解されている場合も含む。
【0024】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる基板乾燥装置は、基板の一例としてウェハの乾燥を行うウェハ乾燥装置501であり、ウェハ乾燥装置501の縦断面図を図1に、図1におけるF−F断面図を図2に、図1におけるG−G断面図を図3に示す。また、ウェハ乾燥装置501の概略構成を示すフロー図を図4に示す。なお、本発明において用いられる基板には、上記ウェハの他に、液晶パネル基板等がある。
【0026】
図1、図2、図3、及び図4に示すように、ウェハ乾燥装置501は、上面全体が開放されかつ4つの側面及び底面を備えた略直方体状の箱体形状を有し、かつその内部に純水40を収容可能であって、かつ円盤状の複数のウェハ2を上記収容された純水40内に浸漬させて洗浄後に乾燥可能な乾燥室201と、略直方体状の箱体形状を有してその内部に密閉可能な空間4を有し、かつ乾燥室201がその内部に固定されて設置されている処理室212とを備えている。
【0027】
また、乾燥室201は、その内部に収容される純水40を上下方向に2つの純水槽に区分しかつ純水40の液面と略平行に備えられた可動床の一例である仕切り板250を備えている。乾燥室201内に収容された純水40は、この仕切り板250により、その上側を上部純水槽40a、その下側を下部純水槽40bとして2つの純水槽に区分されている。また、この仕切り板250は、その周部全体が乾燥室201の内側に接触しない程度かつ上記隙間を通して下部純水槽40bより上部純水槽40a内へ純水を供給することができるような隙間が設けられており、また、可動床昇降装置の一例である仕切り板昇降機構214により、仕切り板250は乾燥室201の内側に沿って昇降可能となっている。なお、この仕切り板昇降機構214の構造の詳細な説明については後述する。また、乾燥室201の上端、すなわち上記4つの側面の上端は夫々同じ高さ位置となるように形成されている。
【0028】
また、乾燥室201は、複数のウェハ2をその表面を鉛直方向に略平行かつ一定間隔でもって夫々の表面を略平行に配列させて支持する公知のウェハキャリア13を搬入可能とし、さらに搬入されたウェハキャリア13を乾燥室201内において解除可能に固定する基板支持機構の一例であるキャリア固定部9を備えている。ウェハキャリア13は、例えば、複数の固定ピンを備えており、また、上記各固定ピンと嵌め合い可能な固定ピン受部がキャリア固定部9に備えられて、夫々の上記固定ピンと上記固定ピン受部が嵌め合わさることにより、ウェハキャリア13がキャリア固定部9に固定される。なお、上記固定の機構については、公知の他の固定機構による場合であってもよく、ウェハキャリア13をキャリア固定部9に固定させた状態において、ウェハキャリア13とキャリア固定部9との間にガタツキ等が発生しなければよい。
【0029】
また、キャリア固定部9は乾燥室201の仕切り板250の上面に取り付けられており、乾燥室201に純水を注入して満水とした状態において、ウェハキャリア13に支持された全てのウェハ2が純水40中に一斉に浸漬可能(すなわち上部純水槽40a中に浸漬可能)となっている。なお、ウェハキャリア13を用いて複数のウェハ2を乾燥室201内に搬入する場合に代えて、ウェハキャリア13を用いずに直接ウェハ2を乾燥室201内に搬入し、乾燥室201内において仕切り板250に固定した基板支持機構により支持して支持位置を固定するような場合であってもよい。
【0030】
また、処理室212は、その上面に開閉可能な蓋211を有しており、蓋211を開けることによりウェハ2を多数収納したウェハキャリア13の供給取出し及び処理室212内部のメンテナンス等が可能となっており、蓋211を閉めることにより処理室212内部の空間4を密閉状態とすることが可能となっている。さらに、蓋211には、処理室212内における乾燥室201に収容された純水40の液面上における空間4内に不活性ガスの一例である窒素ガスを噴射させて、空間4内を窒素ガスで充填させる不活性ガス供給装置の一例である(窒素ガス供給装置の一例でもある)乾燥ノズル5が備えられている。なお、乾燥ノズル5は、空間4内に窒素ガスを噴射させる場合のみ限定されるものではなく、空間4内に窒素ガスを充填させることができるように供給することができればよい。なお、不活性ガスの一例としては、その取扱いの容易性により窒素ガスを用いることが好ましいが、この窒素ガスに代えて、その他の種類の不活性ガスを用いることも可能である。また、乾燥ノズル5は、例えば、複数の噴射孔を有し、夫々の噴射孔より、夫々のウェハ2の間の空間に向けて、窒素ガスが噴射されるような場合であってもよい。このように、夫々のウェハ2間の空間に向けて窒素ガスが噴射されることにより、ウェハ2の表面の乾燥を促進させることができるからである。
【0031】
また、乾燥室201内部における仕切り板250の下側の下部純水槽40bへ純水を供給する管状の純水供給機構の一例である純水供給部210が、乾燥室201の下部純水槽40b内に備えられている。また、乾燥室201内部の下部純水槽40bに均一に純水を供給可能なように、純水供給部210は下部純水槽40b内部においてその管状の外周に多数の純水の供給孔を有している。また、下部純水槽40b内に供給された純水が、仕切り板250が動かないときは、仕切り板250と乾燥室201の内面との間にある上記隙間を通して、上部純水槽40a内にも純水を供給することが可能となっている。なお、純水供給部210より下部側純水槽40bには、略常温の状態の純水が供給される。
【0032】
また、仕切り板250は、乾燥室201内部において純水40の液面と略平行な状態を保ちながら仕切り板昇降機構214により上記4つの側面沿いに平行移動可能となっている。仕切り板昇降機構214は、図1における処理室212の左側に備えられており、処理室212及び仕切り板昇降機構214はウェハ乾燥装置501の機台215上に固定されている。仕切り板昇降機構214は、回転軸回りに回転可能に機台215に上下方向に固定されたボールねじ軸部214aと、ボールねじ軸部214aを正逆回転させる駆動部214bと、ボールねじ軸部214aに螺合してボールねじ軸部214aが正逆回転されることによりボールねじ軸部214aに沿って昇降可能なナット部214cと、機台215に固定されかつ上記正逆回転の方向においてナット部214cを固定して上記昇降動作を案内するガイド214eと、複数の剛体により門型に形成されかつ一方の下端がナット部214cに固定されかつ他方の下端が処理室212の上面を貫通して、仕切り板250の図1における左側の上面端部に固定された昇降フレーム214dとにより構成されている。なお、駆動部214bの例としては、ボールねじ軸部214aの下端に固定されかつボールねじ軸部214aを直接的に正逆回転させるモータ、又は、ボールねじ軸部214aの下端の固定されたプーリーをベルト等を介してボールねじ軸部214aを間接的に正逆回転させるモータがある。仕切り板昇降機構214において駆動部214bによりボールねじ軸部214aを正逆回転させることにより昇降フレーム214dを昇降させて、仕切り板250を乾燥室201の上記各側面沿いに昇降させることが可能となっている。これにより、純水が供給されて上部純水槽40a及び下部純水槽40bが満水状態とされた乾燥室201において、ウェハキャリア13に支持された全てのウェハ2が上部純水槽40a内に浸漬される高さ位置に位置された状態の仕切り板250を、仕切り板昇降機構214により上昇させることにより、仕切り板250の上側に収容されている上部純水槽40aにおける純水40を仕切り板250とともに上昇させて、純水40の液面側純水を乾燥室201の上端よりオーバーフローさせることが可能となっている。また、仕切り板昇降機構214による仕切り板250の昇降範囲は、例えば、ウェハキャリア13に支持される全てのウェハ2の上端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって下方に位置する高さ位置(昇降動作の下端位置)から、上記すべてのウェハ2の下端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって上方に位置する高さ位置(昇降動作の上端位置)までの範囲である。
【0033】
なお、ここで液面側純水とは、純水40の液面を含む液面近傍の液体のことであり、例えば液面より20mm程度までの下方の液層における液体のことを示す。また、この液体が純水のみにより構成される場合、さらに純水に、シリコン化合物等の異物が混合(若しくは溶解)されている場合も含む。
【0034】
また、乾燥室201においては、上向きに開放部を有するコ字型断面形状の溝を有するオーバーフロー受部217が乾燥室201の4つの側面上部の外側沿いに設置され、乾燥室201の上部外周全体にオーバーフロー受部217の上記コ字型断面形状の溝が平面的にロ字型に一体として形成されている。また、オーバーフロー受部217の上記溝の乾燥室201側の側面は、乾燥室201の上部外側側面により形成されており、他方の側面はその上端の高さ位置が乾燥室201の上端よりも高くなるように形成されている。これにより、乾燥室201において純水がオーバーフローした際に、オーバーフローした純水をオーバーフロー受部217により受けることが可能となっている。また、オーバーフロー受部217の底面には排液口217aが設けられており、配管等を介して若しくは直接、処理室212の底部に設けられた排液口218より処理室212外へ上記オーバーフローした純水を排液可能となっている。なお、本第1実施形態においては、仕切り板昇降機構214が排液装置の一例となっている。
【0035】
ここでオーバーフロー受部217が備えられた乾燥室201の上部における拡大平面図を図5(A)に、図5(A)における乾燥室201のH−H断面図を図5(B)に示す。図5(A)及び(B)に示すように、上記ロ字型におけるオーバーフロー受部217の内側の縁、すなわち乾燥室201の上端には、V字型の切り込み形状を有する三角堰201aが、一例として一定の間隔でもって複数形成されており、上記純水40の液面側純水のオーバーフロー受部217の内への流入(すなわち、オーバーフロー)を行う場合において各三角堰201aよりオーバーフロー受部217内へ流入させることにより、流入流量の調整を容易に行い、かつ上記流入をスムーズに行うことができるようになっている。なお、三角堰201aの上記一定の間隔が、ウェハキャリア13により支持されている各ウェハ2の配置間隔と同じである場合であってもよい。
【0036】
処理室212の蓋211に設置されている乾燥ノズル5により、空間4内に窒素ガスが噴射されるが、窒素ガスは、常温若しくはウェハ2の温度で供給され、又は、常温より高い温度で供給される。また、図4に示すように、窒素ガスは、減圧弁29、第1エアーオペレートバルブ30、流量計31を介して、図2における処理室212の蓋211の略中央に配置された乾燥ノズル5に供給される。
第1エアーオペレートバルブ30は、流量計31で検出された窒素ガスの流量に基づき、窒素ガスの流量を自動的に調整することが好ましい。この結果、窒素ガスは乾燥ノズル5を通して、空間4内に、常温若しくはウェハ2の温度より高い温度で噴射されて供給される。このように空間4内に供給されて充填される窒素ガスは、乾燥室201内で純水40からウェハ2が液面より上方に露出されるときに、上記露出されたウェハ2の表面に付着した純水を蒸発させて、上記ウェハ2の表面の乾燥を促進させることができる。
【0037】
また、処理室212内の空間4の圧力が異常に高まらないようにするため、処理室212には排気通路43を設けて、排気流量を調整するための手動弁7と、排気の開始又は停止を行う第2エアーオペレートバルブ8とを設けている。なお、空間4内に圧力センサを配置して、圧力センサで検出された空間4内の圧力に応じて第2エアーオペレートバルブ8を自動的に開閉することもできる。さらに、乾燥ノズル5により空間4内に窒素ガスを供給するとともに、排気通路43より空間4内から窒素ガスを排気させながら、空間4内を、例えば、所定の圧力状態の窒素ガスで充填させることもできる。このような場合にあっては、空間4内において、上記ウェハ2の表面に付着した純水が蒸発された水蒸気を含む窒素ガスを排気通路43と通して排気させるとともに、空間4内に新たな窒素ガスを供給することができ、空間4内における窒素ガス中の水分の濃度を低く保つことができる。なお、本第1実施形態においては、排気通路43、手動弁7、及び第2エアーオペレートバルブ8が、排気装置の一例となっている。
【0038】
さらに、乾燥室201の底部の排液口219には、第3エアーオペレートバルブ35が設けられており、第3エアーオペレートバルブ35を開くことにより、乾燥室201内の純水の排液を行うことができる。さらに、処理室212の底部の排液口218に排液通路44を設けられており、処理室212内においてこの排液通路44にオーバーフロー受部217の排液口217aよりの排液通路が接続されて、処理室212内よりウェハ乾燥装置501外へ排液通路44を介しての排液が行われる。なお、図示しないが排液通路44上には、処理室212内の空間4の圧力を保持するために封水機構が設けられている。
【0039】
また、乾燥室201内における下部純水槽40b内において設置されている純水供給部210には純水供給通路45が接続されて設けられており、純水は、純水供給通路45の経路上に設けられた手動弁32、流量計33、第4エアーオペレートバルブ34を介して、純水供給部210に供給される。第4エアーオペレートバルブ34は、流量計33で検出された純水の流量に基づき、純水の流量を自動的に調整することが好ましい。
【0040】
上記第1エアーオペレートバルブ30、第2エアーオペレートバルブ8、第3エアーオペレートバルブ35、及び第4エアーオペレートバルブ34は、制御装置47に接続されて、所定のプログラムなどに基づいて、自動的に、処理室212内の空間4に供給する窒素ガスの流量、空間4内からの排気量、純水40の排液量などを動作制御できるようにしている。また、制御装置47は、仕切り板昇降機構214における各動作制御も行う。
【0041】
上記構成によるウェハ乾燥装置501においてウェハ2の乾燥処理を行う場合の手順について以下に説明する。
【0042】
まず、純水供給通路45の第4エアーオペレートバルブ34を開いて乾燥室201内に純水供給部210により略常温の状態の純水を供給し、下部純水槽40bを満水とさせた後、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間の隙間を通して下部純水槽40bより純水を供給して上部純水槽40aも満水とさせる。その後、蓋211を開放し、複数のウェハ2が支持されたウェハキャリア13を処理室212内に搬入し、乾燥室201内の純水40中にウェハキャリア13を浸漬させてキャリア固定部9により固定する。このとき、乾燥室201より純水をオーバーフロー受部217にオーバーフローさせることにより、ウェハ2が浸漬されている乾燥室201の上部純水槽40a内の異物を純水40の液面近傍に浮遊させて、これら異物をオーバーフローされる純水とともに乾燥室201外に排出させて洗浄を行う。
【0043】
次に、排気通路43を閉じた状態、すなわち処理室212の空間4が密閉された状態において、乾燥ノズル5から窒素ガスを噴射させて、空間4内を窒素ガスで充填させる(例えば、窒素ガスが略100%の状態となるように充填させる)。このとき、乾燥室201の空間4内の圧力が異常に高くなったときには、排気通路43を開いて圧力を低下させるようにするのが好ましい。また、乾燥ノズル5よりの窒素ガスの供給の際に、排気通路43を通して空間4内のガスを排気させることにより、空間4内を窒素ガスで容易に満たすことができる。
【0044】
次に、このように上記空間4内に窒素ガスが充填された状態で、制御装置47の制御により、仕切り板昇降機構214が制御されて、その昇降動作の下端位置に位置されている状態の仕切り板250を一定の速度でもって緩やかに上昇させていく。仕切り板250の上昇速度の例としては、1秒間に10mm程度以下の上昇速度、好ましくは、1秒間に1〜2mm程度の上昇速度とする。なお、このような上昇速度は、後述するように、ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上方に露出されるような場合であっても、目視で確認できるような上記液面の波立ち(あるいは揺れ)の発生を防止(あるいは低減)できるような上昇速度となっている。
【0045】
この仕切り板250の上昇開始にともない、乾燥室201の純水40における液面中央付近より乾燥室201の上端の全周部の方向への概ね放射状の流れを生じ、純水40の液面側純水が各三角堰201aを介してオーバーフロー受部217内に流入するとともに、オーバーフロー受部217における排液口217aよりオーバーフロー受部217内に流入した上記液面側純水が排液通路を通して排液される。
【0046】
上記純水供給部210により下部純水槽40bに供給されている上記純水の供給量は、仕切り板250の上昇に伴う上記液面側純水の排液量に応じて、制御装置47により流量計33を用いて第4エアーオペレートバルブ34を制御しながら下部純水槽40bに供給されている。すなわち、仕切り板250が上昇することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されている。従って、上記仕切り板250の上昇により上部純水槽40a内の純水を上昇させる場合、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間における上記隙間においては純水の流れがほとんど発生しない。これにより、上記仕切り板250の上昇によって上部純水槽40a内の純水のみを上昇させて排出させることが可能となっている。
【0047】
なお、仕切り板昇降機構214により仕切り板250の上昇動作を円滑に行うことができるように、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との上記隙間の大きさに応じて、上記純水供給部210より乾燥室201の下部純水槽40b内への純水の供給量が、仕切り板250の上昇に伴う下部純水槽40bの容積増加分よりも多く又は少なくするような場合であってもよい。
【0048】
よって、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記概ね放射状の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍において純水中に浮遊している異物等を上記表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0049】
その結果、仕切り板250の上昇に伴って上昇されているウェハ2の上部が純水40の液面から上に露出する、すなわち、空間4内に露出されることになるが、空間4内は窒素ガスが充填されているため、ウェハ2の表面が酸素に触れて自然酸化することなく、ウェハ2の表面に付着している純水が窒素ガス雰囲気中に蒸発されて、ウェハ2の表面が乾燥される。
【0050】
その後、仕切り板250がその昇降動作の上端位置まで上昇されると、すなわち、仕切り板250とともに上昇されているウェハキャリア13に支持されている各ウェハ2の下端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって上方に位置されるまで上昇されると仕切り板250の上昇が停止され、各ウェハ2が純水40から完全に露出された状態、すなわち、完全に空間4内に露出された状態となり、空間4内に充填されている窒素ガス雰囲気中に、各ウェハ2の表面に付着した純水が蒸発されて、各ウェハ2の表面が乾燥される。上記乾燥完了後、乾燥ノズル5よりの窒素ガスの噴射が停止されて、ウェハ2の乾燥処理が終了する。
【0051】
その後、処理室212の蓋211を開放し、キャリア固定部9によるウェハキャリア13の固定を解除して、処理室212よりウェハキャリア13毎各ウェハ2が上方に搬出される。
【0052】
なお、仕切り板250を上昇させて純水40の液面側純水の排液を行う場合において、さらに純水供給部210より純水を、下部純水槽40bの容量増加分を満たす量よりさらに、例えば30リットル/分以下程度、好ましくは4リットル/分程度多く、供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40中の異物等を余分に供給された純水により積極的に液面側へ押し上げて、液面側純水とともにより迅速かつより円滑に排出することができる。
【0053】
また、下部純水槽40bに備えられている純水供給部210とは別に、上部純水槽40aにおいても別の純水供給部がさらに備えられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、乾燥室201内に純水を満たす場合に、純水供給部210により下部純水槽40b内に純水を供給し、上部純水槽40a内には上記別の純水供給部により純水の供給を行うことができるため、乾燥室201への初期の純水供給に要する時間を短縮化することができる。また、純水が満水とされた状態の上部純水槽40aにおいて、さらに上記別の純水供給部より純水の供給を行い、上部純水槽40aより強制的に純水をオーバーフローさせることにより、上部純水槽40a内の異物等の除去をより容易に行うことができる。
【0054】
また、乾燥室201の上端に設けられた複数の三角堰201aが全て一定の配列間隔にて形成されている場合に代えて、ウェハキャリア13に支持されている各ウェハ2の表面沿いの方向における互いに対向する夫々の乾燥室201の側面の上端にはより短い配列間隔で、各ウェハ2の表面と直交する方向における互いに対向する夫々の乾燥室201の側面の上端にはより長い配列間隔で、複数の三角堰201aを形成する場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217に流入させる場合に生じていた液面中央付近より乾燥室201の上記4つ側面の上端全周の方向への上記概ね放射状の流れを、各ウェハ2の表面沿い方向に、強い流れとすることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記強い流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍における浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0055】
なお、乾燥室201よりの上記液面側純水の排液に際して排液流量の微小な調整が要求されないような場合にあっては、乾燥室201の上端において上記複数の三角堰201aが形成されている場合に代えて、上記三角堰201aが形成されていない場合であってもよい。
【0056】
また、上記三角堰201aが乾燥室201の4つの側面夫々に形成されている場合に限定されるものではない。例えば、上記4つの側面のうち、ウェハキャリア13により支持されている各ウェハ2の表面沿いの方向における互いに対向する夫々の側面沿いにのみ、上記三角堰201aを備えさせるような場合であってもよい。
【0057】
このような場合においては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217に流入させる場合に、液面中央付近より上記三角堰201aが形成されている乾燥室201の夫々の上端側へ液面上に各ウェハ2の表面沿い方向の流れ、つまり上記表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れを発生させることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記相反する2方向の表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0058】
また、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記2方向の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を上記2方向の表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0059】
また、上記三角堰201aが上記互いに対向する1組の夫々の上端にのみ備えられている場合に代えて、上記1組の夫々の上端のうちの1つの上端にのみ、三角堰201aが備えられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217内に流入させる場合に、液面上において上記1組の夫々の上端のうちの三角堰201aが備えられていない上端側から上記三角堰201aが備えられている上端側への各ウェハ2の表面沿い方向における一方向の表面流れを発生させることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記一方向の表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0060】
また、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記一方向の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を上記一方向の表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0061】
ここで、乾燥室201において、ウェハ2を純水40の液面より上方に露出させる場合における純水40の液面とウェハ2の表面に付着する純水との関係について詳細に説明する。このような場合の一例として、純水40の液面において上述したウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れが形成されているような場合において、ウェハ2を上記液面より上方に露出させる場合の模式説明図を図13(A)及び(B)に示す。図13において、(A)は、上部側純水槽40a内の純水40中に浸漬されている状態のウェハ2の上昇が開始されて、まだ、ウェハ2が完全に純水40内に浸漬されている状態を示しており、(B)は、その後、ウェハ2の上部が純水40の液面よりも上方に露出された状態を示している。
【0062】
まず、図13(A)に示すように、乾燥室201内において、仕切り板251の上昇が開始されるとともに、仕切り板251に固定されて支持された状態のウェハ2が速度ベクトルTでもって上昇されるとともに、上部側純水槽40a内の純水40が速度ベクトルSでもって上昇される。また、ウェハ2の速度ベクトルTと純水40の速度ベクトルSとは、その向き及び大きさ(長さ)が同じとなっている。すなわち、純水40内に浸漬されているウェハ2とその周囲の純水40とは、互いに相対的に静止した状態とされている。
【0063】
次に、図13(B)に示すように、乾燥室201において、さらに仕切り板251が上昇されると、速度ベクトルTでもって上昇されているウェハ2の上部が、純水40の液面より上方に露出される。また、図13(A)及び(B)に示すように、仕切り板251の上昇に伴い、上部側純水槽40a内の純水40が上昇されることにより、純水40の液面においては、ウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れF1(図示左向き)及びF2(図示右向き)が形成される。この夫々の表面流れF1及びF2により、純水40の液面近傍において、乾燥室201よりの液面側純水の排液が行われる。これにより、図13(B)に示すように、速度ベクトルSでもって純水40は上昇されるが、純水40の液面においては、上昇された純水40が上記液面側純水となって、連続的に排液されるため、純水40の液面高さは、上記液面側純水が排液されている間は、上昇されることなく、略一定の高さが保たれる。そのため、図13(B)に示す状態においては、ウェハ2と純水40との間には、相対的な速度差、すなわち、速度ベクトルTに相当する速度差が生じることとなる。
【0064】
ここで、図13(B)に示す状態における純水40の液面における純水40とウェハ2との境界面である界面Gの状態についてのさらに詳細な模式説明図を図6に示し、この界面Gの状態について詳細に説明する。図6において、(A)はウェハ2の表面に直交する方向よりの状態を示しており、(B)は(A)の側面よりの状態を示している。
【0065】
図6(A)及び(B)に示すように、ウェハ2は速度ベクトルTの方向に上昇されており、その上部側の略半分の部分が純水40の液面より露出されている状態となっている。ここで、純水40の液面とウェハ2との界面Gに注目すると、図6(A)及び(B)に示すように、この界面Gには、上記液面より上方に純水40が隆起された隆起純水部40c(図示斜線部分)が形成されている。この隆起純水部40cは、速度ベクトルT方向に上昇されるウェハ2の表面に純水を付着させて、ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡されていることにより、純水40とウェハ2との界面Gに形成されている。
【0066】
しかしながら、例えば、図14の模式説明図に示すように、純水40の液面において、目視で確認できるような波立ちが発生するような場合にあっては、界面Gにおいては、上記速度ベクトルT以外にも、さらに上記波立ちにより上記ウェハ2の上昇方向における速度ベクトルRが発生する。この速度ベクトルRは上記波立ちの状態により微小な時間においてその大きさが変位し、その向きが上昇方向となる場合、その逆方向となる場合がある。そのため、ウェハ2の表面に純水を付着させて、ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力との2つの力に、この速度ベクトルRによる力が加わることとなるが、速度ベクトルRは微小な時間とともに変位するため、夫々の力は均衡が保たれない状態となる。従って、ウェハ2の表面に付着される純水を上昇させようとする力を、上記引き戻そうとする力よりも大きくするような方向に上記速度ベクトルRによる力が加わるような場合にあっては、ウェハ2の表面に付着した純水の一部が、上記引き戻そうとする力により引き戻されることなく、一部の純水が隆起純水部40cより分離して、ウェハ2の表面に多数の純水の液滴40pとなって付着して残留したまま、ウェハ2が液面より露出されることになる。このように露出されたウェハ2の表面に多数の液滴40pが付着するような場合にあっては、これらの液滴40pを蒸発させるのに時間を要し、ウェハ2の乾燥効率も著しく低下することとなってしまう。
【0067】
一方、図6(A)及び(B)に示すように、純水40の液面において上記目視で確認できるような波立ちが発生しないような場合にあっては、上記ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡されているため、上記多数の液滴40pが露出されたウェハ2の表面に付着することを抑制し、微細な一部の液滴、すなわち、上記純水の水分が残留するのみとさせることができる。
【0068】
このような上記波立ちに関しては、図13(A)に示すように、ウェハ2とその周囲の純水40とが互いに相対的に静止された状態で上昇されること、及び、図13(B)に示すように、ウェハ2が純水40の液面より上方に露出された場合に、界面Gにおいてはウェハ2と純水との間に、速度ベクトルTに相当する相対的な速度差が生じることとなるが、この速度差が一定に保たれており、また、上記液面において上記波立ちが発生しないような十分に遅い速度であること(すなわち、速度ベクトルTの大きさが一定でありかつ上記十分に遅い速度であるように制御されていること)により、上記液面における上記波立ちの発生の防止が図られている。また、上記速度ベクトルTの大きさが一定でありかつ上記十分に遅い速度であることにより、純水40の速度ベクトルSも同様であるため、純水40の液面における表面流れF1及びF2も一定の速度でかつ安定した流れとなり、上記波立ちの発生を起因するものとなり得ない。
【0069】
従って、純水40の液面(すなわち、界面G)においては、上記波立ちが発生することもなく、安定した状態で隆起純水部40cを形成することができ、上記多数の液滴40pが露出されたウェハ2の表面に付着することを抑制し、微細な一部の液滴、すなわち、上記純水の水分が残留するのみとさせることができる。
よって、ウェハ2が露出されても、その表面には少量かつ微細な上記純水の水分が付着されて残留しているのみとさせることができ、この水分を空間4内に充填されている窒素ガスにより迅速に蒸発させることができる。
【0070】
なお、上記においては純水40の液面において、上記2方向の表面流れ(F1及びF2)が形成されている場合を一例として説明したが、このような場合に代えて、上記1方向の表面流れ、あるいは、上記放射状の表面流れが用いられるような場合であってもよい。
【0071】
また、ウェハキャリア13が上記公知のものである場合に代えて、図7に示すようなウェハ保持具213を用いる場合であってもよい。図7(A)及び(B)はウェハ保持具213の部分拡大側面図である。
【0072】
図7に示すように、ウェハ保持具213は、円盤状のウェハ2の下部におけるその面沿いに互いに対称な2箇所の位置にてウェハ2を支持可能なウェハ支持部213aが一定の間隔でもって複数形成されたフレーム213bを備えている。
また、図7(B)に示すように、夫々のウェハ支持部213aは、フレーム213b上に串歯状に形成されており、夫々のウェハ2の配列方向沿いにおいて、互いに隣接する夫々のウェハ支持部213aの間には一定の間隔でもって空間が確保されるように形成されている。これにより、隣接するウェハ2間において、ウェハ2の上端から下端まで、ウェハ2の表面沿いかつ純水40の上記液面沿いの方向に空間を確保することが可能となっている。
【0073】
このようなウェハ保持具213を用いることにより、純水40内に浸漬されたウェハ2を液面よりも上方に露出させる場合において、上記液面上かつウェハ2の表面沿いの方向に発生する上記表面流れにより、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍における浮遊している異物等の排出性をさらに良好とさせることができる。
【0074】
また、乾燥室201において、仕切り板250の周部全体と乾燥室201の内側との間に上記隙間が設けられているような場合に代えて、図12の乾燥室201の模式説明図において示すように、上記隙間が設けられずに、仕切り板251の周部全体と乾燥室201の内側との間にシール251aが設けられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、仕切り板昇降機構214により仕切り板251を上昇させるのではなく、純水供給部210により下部純水槽40b内に供給された純水の水圧により、仕切り板251を乾燥室201の内側に沿って上昇させることができる。従って、仕切り板251を昇降させる機械的な機構、すなわち仕切り板昇降機構214のような機構を不要とすることができ、ウェハ乾燥装置をコンパクトな装置とすることができるとともに、ウェハ乾燥装置のコストを削減することができる。
【0075】
なお、ウェハ乾燥装置501においては、イソプロピルアルコール(以下、単にIPAと記す。)を用いない場合について説明したが、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、空間4内にさらにIPA(液相又は気相)を供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、露出されたウェハ2の表面に付着された純水の微細な液滴をIPAと置換させて、上記置換されたIPAを蒸発させることにより、ウェハ2の乾燥処理を行うことができる。
【0076】
上記第1実施形態によれば、乾燥室201における純水40の上部純水槽40a内に浸漬されたウェハ2を純水40の液面より上に露出させる際に、乾燥室201の底面からのみの純水の排液、及びウェハ2自体の純水40からの引き上げによるものではなく、ウェハ2とともに上部純水槽40aにおける純水を上昇させることにより、液面側純水を乾燥室201の上部よりオーバーフロー受部217内に流入させて排液していくため、液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を液面側純水とともに排出することができる。これにより、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、上記異物等のウェハ2の表面への付着を防止(又は低減)することができる。
【0077】
また、このような液面側純水のオーバーフロー受部217への排液は、上記液面において形成される上記概ね放射状の流れ、ウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れ、又は1方向の表面流れが形成され、上記夫々の表面流れでもって行われ、特に、上記2方向又は1方向の表面流れが形成される場合にあっては、夫々の表面流れは各ウェハ2の表面沿いに形成されているため、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上方に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、上記異物等のウェハ2の表面への付着を防止することができ、乾燥されたウェハ2の表面を異物等の付着のない良好な状態とさせることができる。
【0078】
また、仕切り板251の上昇速度が、ウェハ2の一部が純水40の液面より上方に露出されたような場合であっても、目視で確認できるような上記液面の波立ちを防止できるようなゆっくりとした一定の速度に制御されていること、及び純水40に浸漬されているウェハ2がその周囲の純水とともに相対的に互いに静止した状態が保たれながら上昇されることにより、純水の液面におけるウェハ2と純水の界面Gを安定した状態(波立ち又は揺れの発生がない状態)とさせることができる。これにより、この界面Gに形成される隆起純水部40cの一部の純水が分離して、多数の液滴40pとなって露出されるウェハ2の表面に付着して残留することを抑制することができる。よって、ウェハ2が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、空間4内に充填されている窒素ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、IPAを用いて、ウェハ2の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような乾燥方式を用いなくても、純水から露出されたウェハ2の乾燥処理を行うことができる。
【0079】
また、ウェハ乾燥装置501においては、IPAを用いることなくウェハ2の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができる。
【0080】
また、乾燥室201内の純水40の排液の際に、ウェハ2とともにウェハ2を浸漬している上部純水槽40a内の純水40を上昇させて、乾燥室201の上端より上記液面側純水をオーバーフローさせることにより、純水40の排液を行うため、上記排液中においては、純水40の液面の位置と上記液面上方の空間4との位置が互いに固定されており、空間4の容積を一定に保つことができる。これにより、ウェハ2の上記液面よりの露出開始から露出完了まで(すなわち、ウェハ2の乾燥処理開始から終了まで)上記空間4内の窒素ガスの濃度を安定させることができ、ウェハ2の露出の際にウェハ2の表面に付着して残留している純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、ウェハ表面における乾燥むらの発生を防止することができる。
【0081】
また、仕切り板昇降機構214により仕切り板250が乾燥室201の内側に沿って上昇された場合に、この上昇量に応じて下部純水槽40bの容積増加分に見合った量の純水を純水供給部210より下部純水槽40bへ供給するため、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間には互いに接触しない程度の隙間を有している状態であっても、仕切り板250の上昇により上部純水槽40aにおける純水のみを上昇させて上記液面側純水の排液を行うことができる。これにより仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間の上記隙間を埋める(シールする)必要を無くすことができ、上記隙間を埋めた場合に発生するおそれのある摩擦による異物の発生を防止し、乾燥室201の純水40内での異物発生を防止することができる。
【0082】
また、上記仕切り板250の上昇に伴い、仕切り板250が上昇することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されるため、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間における上記隙間においては純水の流れをほとんど発生させないようにすることができる。従って、ウェハ2を浸漬している上部純水槽40aにおいては、純水の流れ込みによる渦流等の発生を無くすことができ、上記液面上における上記略放射状若しくは上記2方向若しくは上記1方向のスムーズな表面流れでもって、露出された各ウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等を排出させることができる。
【0083】
また、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、仕切り板250の上昇速度を一定とすることによっても、乾燥むらを無くすことができる。
【0084】
なお、本発明は上記第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0085】
(第2実施形態)
例えば、本発明の第2実施形態にかかる基板乾燥装置の一例であるウェハ乾燥装置502は、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501のように仕切り板250を設けて乾燥室201を上部純水槽40a及び下部純水槽40bの2つの層に区分して、仕切り板昇降機構214により仕切り板250を上昇させることによりウェハ2を浸漬している乾燥室201の上部純水槽40aにおける液面側純水の排液を行うのではなく、上記可動床の一例である乾燥室の底面自体を上昇させることにより上記液面側純水の排液を行うものであり、それ以外の構成は同様である。以下、この上記異なる部分ついてのみ説明するものとする。また、このウェハ乾燥装置502の縦断面図を図8に、図8におけるI−I断面図を図9に、図8におけるJ−J断面図を図10に示す。
【0086】
図8、図9及び図10に示すように、ウェハ乾燥装置502の乾燥室301においては、乾燥室301の底面である底部350が乾燥室301の各側面に沿って昇降可能に設置されている。この底部350と上記各側面との間にはシール350aが設けられており、底部350が昇降された場合であっても上記間より乾燥室301内の液体が漏れることはない。また、底部350の昇降動作を行う底面昇降装置の一例である底部昇降機構314が処理室312及びウェハ乾燥装置502の機台315上に備えられている。なお、上記シール350aは、例えば、耐IPA及び耐薬品性のフッ素系ゴムにより形成されたO−リング等が用いられる。
【0087】
底部昇降機構314は、エアシリンダを用いた機構により構成されており、乾燥室301の底部350の下面中央に固定されたエアシリンダ314aと、エアシリンダ314aを昇降可能に支持してかつ乾燥室301の機台315に固定されている昇降ガイド314b、及び図示しないがエアシリンダ314aへの圧縮空気の給気及び排気を行う圧縮空気供給部を備えている。また、底部昇降機構314は制御装置47により制御されており、上記圧縮空気供給部によりエアシリンダ314a内に圧縮空気が供給されることにより、エアシリンダ314aが昇降ガイド314bに沿って上昇され、底部350が乾燥室301の各側面の内側に沿って上昇される。また、エアシリンダ314a内に供給される圧縮空気の方向を切り換えることにより、エアシリンダ314aが昇降ガイド314bに沿って下降され、底部350が乾燥室301の各側面の内側に沿って下降される。また、上記エアシリンダ314aの上昇及び下降の速度は制御装置47により制御され、例えば、一定の上昇速度でもって上昇される。
【0088】
これにより、底部昇降機構314は、底部350の上面に固定されているキャリア固定部9及び純水供給部310、さらに、キャリア固定部9により固定されたウェハキャリア13、及び乾燥室301内に収容されている純水40を、底部350とともに昇降させることが可能となっている。なお、底部昇降機構314は、上記エアシリンダ314aを用いた機構により構成されている場合に代えて、その他の公知の昇降機構、例えば、油圧を用いた昇降機構やボールねじ軸を用いた昇降機構等により構成される場合であってもよい。なお、キャリア固定部9、ウェハキャリア13、及び純水供給部310は上記第1実施形態におけるキャリア固定部9、ウェハキャリア13若しくはウェハ保持具213、及び純水供給部210と同様な構成及び機能となっている。また、上記底部昇降機構314による底部350の上昇速度は、第1実施形態における仕切り板250の上昇速度と同様である。
【0089】
また、底部昇降機構314による底部350の昇降動作は、ウェハキャリア13に支持されてる全てのウェハ2の上端が多少の余裕をもって乾燥室301の上端よりも下方に位置するような高さ位置(昇降動作の下端位置)から上記全てのウェハ2の下端が多少の余裕をもって乾燥室301の上端よりも上方に位置するような高さ位置(昇降動作の上端位置)までの範囲において行われる。すなわち、乾燥室301に純水40が収容されて満水とされた状態において、上記昇降動作の下端位置においては、上記全てのウェハ2が純水40に浸漬された状態となり、上記昇降動作の上端位置においては上記全てのウェハ2が純水40より完全に露出された状態となるように底部昇降機構314による底面350の昇降動作が行われる。また、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501における乾燥室201の上端において形成されている複数の三角堰201aと同様な三角堰301aが、例えば一定の間隔でもって乾燥室301の上端全体に形成されており、また、ウェハ乾燥装置201におけるオーバーフロー受部217と同様なオーバーフロー受部317が、乾燥室301の上部外周に設けられている。また、ウェハ乾燥装置501の処理室212及び乾燥室201と同様に、乾燥室301の底部350には排液口319が、処理室312の底部には排液口318が設けられている。なお、本第2実施形態においては、底部昇降機構314が排液装置の一例となっている。
【0090】
このような構成のウェハ乾燥装置502において、乾燥室301内において満水状態とされた純水40に浸漬されている各ウェハ2を純水40の液面より露出させる方法について説明する。
【0091】
まず、乾燥室301においては底部350が底部昇降機構314による昇降動作の下端位置に位置された状態とされており、乾燥室301内には純水40が満水とされ、純水40内に各ウェハ2が浸漬されている。この状態より、制御装置47により底部昇降機構314が制御されて、底部昇降機構314により底部350の上昇動作が開始される。底部350が上記一定の速度でもって緩やかに上昇されると、純水40の液面側純水が乾燥室301の上端よりオーバーフローされてオーバーフロー受部317に流入する。このとき、上記液体は乾燥室301の上端に設けられている複数の三角堰301aを介してオーバーフロー受部317に流入される。オーバーフロー受部317に流入された上記液体は、排液口317a及び排液口318を介して排液通路44により処理室312外へ排液される。
【0092】
底部昇降機構314による底部350の上昇に伴い純水40の液面側純水が乾燥室301の上端よりオーバーフロー受部317へ流入されて排液されるとともに、底部350に固定されているキャリア固定部9に固定されているウェハキャリア13も上昇され、各ウェハ2が上記液面上に露出される。全てのウェハ2の下端が乾燥室301の上端よりも上に位置されたときに、制御装置47により底部昇降機構314による底部350の上昇が停止される。
【0093】
なお、上記液面側純水の排液の際に、さらに純水供給部310より純水を、例えば30リットル/分以下程度、好ましくは4リットル/分程度、供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40中の異物等を新たに供給された純水により積極的に液面側に押上げて、液面側純水とともに迅速かつ円滑に排出することができる。
【0094】
また、上記液面側純水の排液の際に、図4における第3エアーオペレートバルブ35を開けて乾燥室301(図4においては201)の底部の排液口319(図4においては219)より純水40の排液量を調整しながら排液を行うような場合であってもよい。この場合、底部350の上記一定の速度の上昇による上記液面側純水の排液動作を保つように(すなわち、上記液面側純水の排液量に変動が発生しないように)、排液口319よりの上記排液量の調整を行う。このような場合にあっては、上記液面における上記概ね放射状の流れ(第1実施形態と同様な流れ)を保持したまま純水40の排液速度を速めることができ、ウェハ2の乾燥処理時間の短縮化をすることができるとともに、純水40内における乾燥室301の底面側の異物等を乾燥室301外に排出することができる。
【0095】
また、上記液面に概ね放射状の表面流れ、あるいはこのような表面流れに代えて、上記第1実施形態と同様に上記2方向の表面流れや上記1方向の表面流れを形成することもできる。また、ウェハ2の上昇速度がゆっくりとした一定の速度となるように制御されていること、及び、ウェハ2とその周囲の純水40が互いに相対的に静止された状態を保ちながら上昇されることにより、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、上記液面に波立ち(又は揺れ)の発生を防止することができる。よって、上記第1実施形態と同様に、上記液面より上方に露出されるウェハ2の表面への純水の液滴の付着を抑制することができ、上記露出されたウェハ2の表面のは上記純水の水分だけが残留しているのみとさせることができる。従って、上記露出されたウェハ2の表面の水分を、空間4内に充填されている窒素ガスでもって迅速に蒸発させて乾燥させることができる。
【0096】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態におけるウェハ乾燥装置501のように乾燥室201内の純水40を仕切り板250により2つの層に分けるような場合でなくても、乾燥室301における底部350を昇降させる底部昇降機構314を備えさせることにより、乾燥室301の底部350を底部昇降機構314により上昇させることにより、純水40の液面側純水を乾燥室301の上端よりオーバーフローさせる形で排液することができ、上記第1実施形態による効果と同様な効果を得ることができる。
【0097】
さらに、付け加えて、底部昇降機構314を乾燥室301の下側における機台315上に設置することにより、ウェハ乾燥装置502をコンパクトな構成とすることができる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる基板乾燥装置の一例であるウェハ乾燥装置503は、上記第1実施形態における仕切り板250に相当する仕切り板450を備え、仕切り板450とこの仕切り板450の上面に固定されたウェハキャリア13によるウェハ2の支持位置を処理室に固定させた状態として、上記第2実施形態のウェハ乾燥装置502の底部昇降機構314と同様な昇降機構を用いて、乾燥室の底部だけでなく、乾燥室全体を下降させることにより、上記液面側純水の排液を行うものであり、それ以外の構成は同様である。以下、この上記異なる部分についてのみ説明するものとする。また、このウェハ乾燥装置503の縦断面図を図11に示す。
【0099】
図11に示すように、ウェハ乾燥装置503においては、処理室412内にて乾燥室401全体が昇降可能に設置されており、乾燥室401を昇降させる昇降装置の一例である乾燥室昇降機構414がウェハ乾燥装置503の機台415上に備えられている。また、乾燥室401内を上部純水槽40aと下部純水槽40bの2つの槽に区分する仕切り板450が備えられており、仕切り板450は、その周部全体が乾燥室401の内側に接触しない程度の隙間を有しておりかつ上記隙間を通して下部純水槽40bより上部純水槽40a内へ純水の供給が可能となっている。なお、上記仕切り板450は上記第1実施形態の可動床に相当する液移動板の一例となっている。また、基板支持機構の一例であるキャリア固定部409は、乾燥室401の底部ではなく、処理室412の上部内側に固定されており、キャリア固定部409にはウェハキャリア13を取り付け可能となっているとともに、仕切り板450を固定している。また、乾燥室401の底部には純水供給部410が固定されている。ウェハキャリア13と純水供給部410は上記第1実施形態におけるウェハキャリア13若しくはウェハ保持具213と純水供給部210と同様である。
【0100】
また、乾燥室昇降機構414は、上記第2実施形態における底部昇降機構314と同様な構成であり、乾燥室401の底部の下面中央に固定されたエアシリンダ414aが昇降ガイド414bに沿って昇降されることにより、仕切り板450及びウェハキャリア13を処理室412に対して固定させたまま、乾燥室401を昇降させることが可能となっている。すなわち、乾燥室401に対して仕切り板450及びウェハキャリア13を相対的に上昇させることが可能となっている。また、エアシリンダ414aの上昇及び下降の速度は制御装置47によって制御され、例えば、一定の下降速度でもって下降される。なお、この下降速度は、第1実施形態における仕切り板250の上昇速度と同様である。
【0101】
また、乾燥室昇降機構414による乾燥室401の昇降動作は、ウェハキャリア13に支持されている全てのウェハ2の上端が多少余裕をもって乾燥室401の上端よりも下方に位置するような高さ位置(昇降動作の上端位置)から、上記全てのウェハ2の下端が多少余裕をもって乾燥室401の上端よりも上方に位置するような高さ位置(昇降動作の下端位置)までの範囲において行われる。すなわち、乾燥室401内に純水40が収容されて満水状態とされた状態において、上記昇降動作の上端位置においては、上記全てのウェハ2が上部純水槽40aにおける純水40に浸漬された状態となり、上記昇降動作の下端位置においては、上記全てのウェハ2が上部純水槽40aにおける純水40より完全に露出された状態となるように乾燥室昇降機構414による乾燥室401の昇降動作が行われる。
【0102】
また、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501における乾燥室201の上端において形成されている複数の三角堰201aと同様な三角堰401aが、例えば一定の間隔でもって乾燥室401の上端全体に形成されており、また、ウェハ乾燥装置201におけるオーバーフロー受部217と同様なオーバーフロー受部417が、乾燥室401の上部外周に設けられている。また、ウェハ乾燥装置501の処理室212及び乾燥室201と同様に、乾燥室401の底部には排液口419が、処理室412の底部には排液口418が設けられている。
【0103】
このような構成のウェハ乾燥装置503において、乾燥室401内において満水状態とされた上部純水槽40aにおける純水40内に浸漬されている各ウェハ2を純水40の液面より露出させる方法について説明する。
【0104】
まず、ウェハ乾燥装置503においては、乾燥室401が乾燥室昇降機構414による昇降動作の上端位置に位置されており、かつ下部純水槽40bにおける純水供給部410より純水が下部純水槽40b内に供給されている状態となっており、乾燥室401内には純水40が満水とされ、上部純水槽40aの純水40内に各ウェハ2が浸漬されている。この状態より、制御装置47により乾燥室昇降機構414が制御されて、乾燥室昇降機構414により乾燥室401の下降動作が開始される。
【0105】
この乾燥室401の下降開始にともない、乾燥室401の純水40の液面側純水が各三角堰401aを介してオーバーフロー受部417内に流入するとともに、オーバーフロー受部417における排液口417aよりオーバーフロー受部417内に流入した上記液面側純水が排液通路を通して排液される。
【0106】
また、純水供給部410よりの純水の供給量は、乾燥室401の下降に伴う上記液面側純水の排液量に応じて、制御装置47により流量計33を用いて第4エアーオペレートバルブ34を制御しながら下部純水槽40bに供給されている。
すなわち、乾燥室401が下降することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されている。従って、上記仕切り板450の周部と乾燥室401の内側との間における上記隙間においては純水の流れがほとんど発生しない。従って、上記乾燥室401の下降によって、上部純水槽40a内の純水のみを乾燥室401に対して相対的に上昇させて排出させることが可能となる。
【0107】
乾燥室昇降機構414による乾燥室401の下降に伴い、上部純水槽40aにおける純水40の液面側純水が乾燥室401の上端よりオーバーフロー受部417へ流入されて排液されて乾燥室401の純水40の液面が下降され、それとともに、処理室412の上部内側に固定されているキャリア固定部409に取り付けられているウェハキャリア13に固定されている各ウェハ2が上記液面上に露出される。全てのウェハ2の下端が乾燥室401の上端よりも上方に位置されたときに、制御装置47により乾燥室昇降機構414による乾燥室401の下降が停止される。
【0108】
また、上記液面側純水の排液に際しては、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様に、上記液面に概ね放射状の表面流れ、あるいはこのような表面流れに代えて、同様に上記2方向の表面流れや上記1方向の表面流れを形成することもできる。また、ウェハ2の乾燥室401に対する相対的な上昇速度がゆっくりとした一定速度となるように制御されていること、及び、ウェハ2とその周囲の純水とが互いに静止した状態にてウェハ2の上記相対的な上昇が行われることにより、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、上記液面の波立ち(又は揺れ)の発生を防止することができる。よって、上記第1実施形態と同様に、上記液面より上方に露出されるウェハ2の表面への純水の液滴の付着を抑制することができ、上記露出されたウェハ2の表面のは上記純水の水分だけが残留しているのみとさせることができる。従って、上記露出されたウェハ2の表面の水分を、空間4内に充填されている窒素ガスでもって迅速に蒸発させて乾燥させることができる。
【0109】
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態におけるウェハ乾燥装置501のように仕切り板250を上昇させることにより上部純水槽40aの純水をウェハ2とともに上昇させて、上記液面側純水の排液を行うのではなく、仕切り板450及びキャリア固定部409を処理室412に固定させて、乾燥室401を下降させることにより、仕切り板450及びキャリア固定部409を乾燥室401に対して相対的に上昇させて、すなわち、上部純水槽40aの純水をウェハ2とともに乾燥室401に対して相対的に上昇させて、上記液面側純水の排液を行うことができる。従って、上記第1実施形態による効果と同様な効果を得ることができる。
【0110】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明の上記第1態様によれば、乾燥室における純水内に浸漬された基板を上記純水の液面より上に露出させる際に、上記乾燥室の底面からのみの上記純水の排液、及び上記基板自体の上記純水からの引き上げのいずれによるものではなく、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水における液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて行くことにより、上記基板の上記液面よりの露出を行うことができる。これにより、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記液面若しくは上記液面近傍に浮遊している異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0112】
また、このような上記液面側純水の排液は、上記液面において形成される上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れでもって行われ、この上記表面流れは上記基板の表面沿いに形成されているため、上記基板の一部が上記純水の液面よりも上方に露出された場合に、隣接する夫々の上記基板間の上記液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々の基板間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができ、乾燥された上記基板の表面を異物等の付着のない良好な乾燥状態とさせることができる。
【0113】
また、上記純水の液面より上方への上記基板の露出は、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水が上昇されることにより行われる、すなわち、上記基板と上記基板の周囲の上記純水とが互いに相対的に静止された状態において上記上昇が行われることにより、上記純水の液面に目視で確認できるような波立ち(あるいは揺れ)等の発生を防止することができる。さらに、上記基板の上昇速度をゆっくりとした一定の速度とすることにより、上記液面より上方に露出される際の上記基板と上記純水の液面と境界(すなわち界面)において、より効果的に上記波立ちの防止を図ることができる。これにより、上記界面において、上記基板とともに上記基板の表面に付着された純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡させることができ、上記露出される基板の表面に多数の純水の液滴が付着することを抑制することができる。よって、上記基板が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、上記空間内に充填されている不活性ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、従来のようにイソプロピルアルコール(以降、IPAという)を用いて、基板の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような乾燥方式を用いなくても、純水から露出された基板の乾燥処理を行うことができる。
【0114】
また、上記基板乾燥方法においては、上記IPAを用いることなく上記基板の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができ、環境の面からも好ましい基板乾燥方法を提供することができる。
【0115】
また、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させることにより、上記液面側純水の排液を行うため、上記純水中においては、上記純水中に浮遊している異物等を拡散するような流れ(すなわち、渦流等の乱流)の発生を防止することができる。従って、上記基板の露出の際に、上記異物等を拡散するような流れを防止した状態にて、上記液面側純水の排液を行うことができ、上記液面若しくは上記液面近傍において純水中に浮遊している異物等の排出性を良好とすることができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0116】
本発明の上記第2態様によれば、上記態様による効果に加えて、さらに、上記基板の露出の際における上記液面側純水の排液が、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行われることにより、上記基板の露出の際に上記空間の容積を一定に保つことができる。これにより、上記基板の露出開始から露出完了まで上記空間内の不活性ガスの濃度を安定させることができ、上記基板の表面に残留している上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【0117】
本発明の上記第3態様によれば、乾燥室を下降させることにより、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させる場合であっても、上記相対的な上昇を行いながら上記純水の液面もしくは液面近傍より液面側純水の排液を行うことができ、上記第1態様による効果と同様な効果を得ることが可能となる。
【0118】
本発明の上記第4態様によれば、上記不活性ガスとして窒素ガスを用いることにより、その取扱いを容易にすることができる。
【0119】
本発明の上記第5態様によれば、上記基板の露出は、上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われることにより、上記基板の表面に付着した純水(水分)が蒸発された水蒸気を含む上記不活性ガスを上記空間外へ排気させるとともに、上記空間内に新たな上記不活性ガスを供給することができ、上記空間内における上記不活性ガスの水分濃度を略一定に保つことができる。よって、上記露出された基板の表面よりの上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【0120】
本発明の上記第6態様によれば、上記基板がその表面における清浄性等が要求されるウェハ又は液晶ガラス基板である場合において、上記第1態様から第5態様の夫々における効果を得ることができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0121】
本発明の上記第7態様によれば、乾燥室における純水内に浸漬された基板を上記純水の液面より上に露出させる際に、上記乾燥室の底面からのみの上記純水の排液、及び上記基板自体の上記純水からの引き上げのいずれによるものではなく、上記排液装置により、上記可動床を上昇させて上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水における液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させ、上記基板の上記液面よりの露出を行うことができる。これにより、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記液面若しくは上記液面近傍に浮遊している異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0122】
また、このような上記液面側純水の排液は、上記液面において形成される上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れでもって行われ、この上記表面流れは上記基板の表面沿いに形成されているため、上記基板の一部が上記純水の液面よりも上方に露出された場合に、隣接する夫々の上記基板間の上記液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々の基板間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができ、乾燥された上記基板の表面を異物等の付着のない良好な乾燥状態とさせることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0123】
また、上記純水の液面より上方への上記基板の露出は、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水が上昇されることにより行われる、すなわち、上記基板と上記基板の周囲の上記純水とが互いに相対的に静止された状態において上記上昇が行われることにより、上記純水の液面に目視で確認できるような波立ち(あるいは揺れ)等の発生を防止することができる。さらに、上記基板の上昇速度をゆっくりとした一定の速度とすることにより、上記液面より上方に露出される際の上記基板と上記純水の液面と境界(すなわち界面)において、より効果的に上記波立ちの防止を図ることができる。これにより、上記界面において、上記基板とともに上記基板の表面に付着された純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡させることができ、上記露出される基板の表面に多数の純水の液滴が付着することを抑制することができる。よって、上記基板が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、上記空間内に充填されている不活性ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、従来のようにイソプロピルアルコール(以降、IPAという)を用いて、基板の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような基板の乾燥装置を用いなくても、純水から露出された基板の乾燥処理を行うことができる。
【0124】
また、上記第7態様の基板乾燥装置においては、上記IPAを用いることなく上記基板の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができ、環境の面からも好ましい基板乾燥装置を提供することができる。
【0125】
また、上記排液装置により、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させて上記液面側純水の排液を行うため、上記純水中においては、上記純水中に浮遊している異物等を拡散するような流れ(すなわち、渦流等の乱流)の発生を防止することができる。従って、上記基板の露出の際に、上記異物等を拡散するような流れを防止した状態にて、上記液面側純水の排液を行うことができ、上記液面若しくは上記液面近傍において上記純水中に浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0126】
本発明の上記第8態様によれば、上記態様による効果に加えて、さらに、上記基板の露出の際における上記排液装置による上記液面側純水の排液が、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行われることにより、上記基板の露出の際に上記空間の容積を一定に保つことができる。これにより、上記基板の露出開始から露出完了まで上記空間内の不活性ガスの濃度を安定させることができ、上記基板の表面に残留している上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる基板乾燥装置を提供することができる。
【0127】
本発明の上記第9態様によれば、上記乾燥室の底面に備えられかつ上記基板を支持する基板支持機構と、上記乾燥室の上記底面を昇降させる底面昇降装置とをさらに備え、上記底面昇降装置により上記乾燥室の上記底面を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記液面側純水をオーバーフローさせることにより上記表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記液面側純水を排液することができ、上記第7態様又は第8態様による効果を得ることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0128】
本発明の上記第10態様によれば、上記乾燥室において上記純水を上記液面側における上部純水槽と上記乾燥室の底面側における下部純水槽とに区分する可動床と、上記可動床に備えられかつ上記上部純水槽内において上記純水に浸漬された上記基板を支持する基板支持機構と、上記乾燥室の上記可動床を昇降させる可動床昇降装置とをさらに備え、上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記上部純水槽における上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記液面側純水をオーバーフローさせることにより上記表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記液面側純水を排液することができ、上記第7態様又は第8態様による効果を得ることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0129】
本発明の上記第11態様によれば、上記第10態様による効果に付け加えて、さらに、上記可動床昇降装置により上記可動床が上記乾燥室の内側に沿って上昇された場合に、この上昇量に応じて上記下部純水槽の容積増加分に見合った量の純水を純水供給部より上記下部純水槽へ供給するため、上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間には互いに接触しない程度の隙間を有している状態であっても、上記可動床の上昇により上記上部純水槽における上記純水を上昇させて上記液面側純水のみの排液を行うことができる。これにより上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間の上記隙間を埋める(シールする)必要を無くすことができ、上記隙間を埋めた場合に発生するおそれのある摩擦による異物の発生を防止することができ、上記乾燥室の上記純水内での異物発生を防止することができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0130】
さらに、上記可動床の上昇に伴い、上記可動床が上昇することにより上記下部純水槽における容積の増加分に見合った量の純水が、上記下部純水槽に供給されるため、上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間における上記隙間においては純水の流れをほとんど発生させないようにすることができる。従って、上記基板を浸漬している上記上部純水槽においては、上記純水の流れ込みによる渦流等の乱流の発生を無くすことができ、上記液面上における上記液面側純水の上記表面流れでもって、上記露出された上記各基板間の上記液面若しくは上記液面近傍において上記純水中に浮遊している異物等を良好な排出性でもって排出させることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0131】
本発明の上記第12態様によれば、上記排液機構により、上記乾燥室を下降させることにより上記液移動板を上記乾燥室に対して相対的に上昇させ、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させて、上記液面側純水の排液を行うような場合であっても、上記第7態様による効果と同様な効果を得ることが可能となる。
【0132】
本発明の上記第13態様によれば、上記不活性ガスとして窒素ガスを用いることにより、その取扱いを容易にすることができる。
【0133】
本発明の上記第14態様によれば、上記空間内のガスを上記空間外へ排気する排気装置がさらに備えられ、上記基板の露出は、上記不活性ガス供給装置により上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記排気装置により上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われることにより、上記基板の表面に付着した純水(水分)が蒸発された水蒸気を含む上記不活性ガスを上記空間外へ排気させるとともに、上記空間内に新たな上記不活性ガスを供給することができ、上記空間内における上記不活性ガスの水分濃度を略一定に保つことができる。よって、上記露出された基板の表面よりの上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図2】図1のウェハ乾燥装置のF−F断面図である。
【図3】図1のウェハ乾燥装置のG−G断面図である。
【図4】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置の概略構成を示すフロー図である。
【図5】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置の乾燥室上部における(A)は拡大平面図、(B)は(A)の乾燥室上部におけるH−H断面図である。
【図6】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置において、ウェハを液面より上方に露出させている状態の模式説明図であり、(A)はウェハの表面側よりみた状態図、(B)は(A)の側面図である。
【図7】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置におけるウェハ保持具の部分拡大図であり、(A)はウェハの表面側より見た図、(B)は(A)の側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図9】図8のウェハ乾燥装置のI−I断面図である。
【図10】図8のウェハ乾燥装置のJ−J断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態の変形例にかかるウェハ乾燥装置の乾燥室の模式説明図である。
【図13】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置において、ウェハの上昇を行っている状態の模式説明図であり、(A)はウェハ2がまだ完全に純水中に浸漬されている状態図、(B)はウェハ2の一部が純水の液面より上方に露出されている状態図である。
【図14】図6(A)において、純水の液面に波立ちが発生している場合を仮定した状態の模式説明図である。
【符号の説明】
2…ウェハ、4…空間、5…乾燥ノズル、7…手動弁、8…第2エアーオペレートバルブ、9…キャリア固定部、13…ウェハキャリア、29…減圧弁、30…第1エアーオペレートバルブ、31…流量計、32…手動弁、33…流量計、34…第4エアーオペレートバルブ、35…第3エアーオペレートバルブ、40…純水、40a…上部純水槽、40b…下部純水槽、40c…隆起純水部、40p…液滴、43…排気通路、44…排液通路、45…排液通路、46…排液通路、47…制御装置、201…乾燥室、201a…三角堰、210…純水供給部、211…蓋、212…処理室、213…ウェハ保持具、213a…ウェハ支持部、213b…フレーム、214…仕切り板昇降機構、214a…ボールねじ軸部、214b…駆動部、214c…ナット部、214d…昇降フレーム、214e…ガイド、215…機台、217…オーバーフロー受部、217a…排液口、218…排液口、219…排液口、250…仕切り板、251…仕切り板、251a…シール、301…乾燥室、301a…三角堰、310…純水供給部、311…蓋、312…処理室、314…底部昇降機構、314a…エアシリンダ、314b…昇降ガイド、315…機台、317…オーバーフロー受部、317a…排液口、318…排液口、319…排液口、350…底部、350a…シール、401…乾燥室、401a…三角堰、409…キャリア固定部、410…純水供給部、411…蓋、412…処理室、414…乾燥室昇降機構、414a…エアシリンダ、414b…昇降ガイド、415…機台、417…オーバーフロー受部、417a…排液口、418…排液口、419…排液口、450…仕切り板、501、502、503…ウェハ乾燥装置、T…ウェハの速度ベクトル、S…純水の速度ベクトル、R…波立ちによる速度ベクトル、G…界面、F1及びF2…表面流れ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、純水中に浸漬されている基板を純水中から取り出すとき、酸素に触れさせることなく基板表面を乾燥させる基板乾燥方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板を純水中より順次露出させながら、基板の乾燥を行う基板乾燥装置として、例えば、特公平6−103686号公報に開示されるような乾燥装置が知られている。このような乾燥装置では、窒素ガスをキャリアとしてIPA(イソプロピルアルコール)を蒸気として、エッチング処理液で処理されたのち純水で洗浄されている基板の一例であるウェハの処理槽内の上部空間内に供給するようにしている。そして、処理槽の純水を処理槽底部から排水することにより、処理槽内でウェハを露出させ、処理槽の上部空間に供給されたIPA蒸気が露出したウェハの表面に付着した水滴と置換して、ウェハ表面が酸素に触れて自然酸化することなく、乾燥させるようにしている。
【0003】
また、処理槽の純水を処理槽底部から排水することにより、処理槽内でウェハを露出させる場合に代えて、ウェハを処理槽内より引き上げることにより、処理槽内でウェハを露出させ、処理槽の上部空間に供給されたIPA蒸気が露出したウェハの表面に付着した水滴と置換して乾燥させるようにしている乾燥装置もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造のものでは、ウェハの純水による洗浄の際に発生した異物が処理槽の純水液面付近に浮遊した状態となるが、処理槽内の純水を処理槽底部から排水することによって処理槽内でのウェハの露出を行うため、処理槽内における底部近傍の純水から順次排水が行われて、上記異物が浮遊している液面近傍の純水の排水は最後に行われることとなるため、上記液面よりウェハの露出の際に上記浮遊している異物がウェハの表面に付着し、異物の付着がない良好な乾燥状態を得ることが困難な場合があるという問題がある。
【0005】
また、処理槽内の上記純水液面よりの引き上げによるウェハの露出を行うような場合にあっても、同様に異物がウェハの表面に付着し、異物の付着がない良好な乾燥状態を得ることが困難な場合があるという問題点がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、純水中よりの基板の露出の際に、上記基板の表面への異物付着量を低減させた良好な乾燥状態を得ることができる基板乾燥方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0008】
本発明の第1態様によれば、夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室内の純水の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法を提供する。
【0009】
本発明の上記第2態様によれば、上記基板の露出の際における上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う第1態様に記載の基板乾燥方法を提供する。
【0010】
本発明の第3態様によれば、夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室内の純水の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記乾燥室を下降させて、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法を提供する。
【0011】
本発明の第4態様によれば、上記不活性ガスは、窒素ガスである第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0012】
本発明の第5態様によれば、上記基板の露出は、上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0013】
本発明の第6態様によれば、上記基板はウェハ又は液晶ガラス基板である第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の基板乾燥方法を提供する。
【0014】
本発明の第7態様によれば、互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水の液面と略直交するように配列された複数の基板を上記純水内に浸漬可能な乾燥室と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置と、
上記乾燥室内に昇降可能に備えられた可動床を上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置とを備えて、
上記排液装置により、上記可動床を上昇させて、上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により充填された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留した上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置を提供する。
【0015】
本発明の第8態様によれば、上記基板の露出の際における上記排液装置による上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の上記空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う第7態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0016】
本発明の第9態様によれば、上記可動床は上記乾燥室の底面であり、かつ上記排液装置は上記底面を昇降させる底面昇降装置であって、かつ上記基板を支持する基板支持機構をさらに備え、
上記底面昇降装置により上記乾燥室の上記底面を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる第7態様又は第8態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0017】
本発明の第10態様によれば、上記可動床は上記乾燥室において上記純水を上記液面側における上部純水槽と上記乾燥室の底面側における下部純水槽とに区分し、上記排液装置は上記可動床を昇降させる可動床昇降装置であって、
上記可動床に備えられかつ上記上部純水槽内において上記純水に浸漬された上記基板を支持する基板支持機構をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記上部純水槽における上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる第7態様又は第8態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0018】
本発明の第11態様によれば、上記乾燥室の上記下部純水槽に純水を供給する純水供給機構をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させるとともに、上記純水供給機構により上記区分位置の上昇に応じて純水を上記下部純水槽に供給させる第10態様に記載の基板乾燥装置を提供する。
【0019】
本発明の第12態様によれば、互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水の液面と略直交するように配列された複数の基板を上記純水内に浸漬可能な乾燥室と、
上記基板を支持する基板支持機構と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置と、
上記乾燥室を下降させることにより、上記乾燥室内に上記乾燥室に対して相対的に昇降可能に備えられた液移動板を相対的に上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置とを備えて、
上記排液装置により、上記液移動板とともに上記基板支持機構により支持されている上記基板及び上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させて、上記基板とともに上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により供給された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置を提供する。
【0020】
本発明の第13態様によれば、上記不活性ガスは、窒素ガスである第7態様から第12態様のいずれか1つに記載の基板乾燥装置を提供する。
【0021】
本発明の第14態様によれば、上記空間内のガスを上記空間外へ排気する排気装置をさらに備え、
上記基板の露出は、上記不活性ガス供給装置により上記不活性ガスを上記空間内に供給するとともに、上記排気装置により上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排出しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる第7態様から第13態様のいずれか1つに記載の基板乾燥装置を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、本発明にかかる実施の形態を説明するにあたり、本明細書で用いられる用語の定義について説明する。
【0023】
本明細書における用語「液滴」とは、物体の表面に付着した液体のうちの大略粒状の液体であって、かつ、目視にて確認できる程度の大きさのものをいうものとする。また、本明細書における用語「水分」とは、物体の表面に付着した液体のうちの目視にて確認できないような微細な大きさの液体、例えば、微細な径を有する大略粒状の液体のことをいう。なお、上記液体は純水のみにより構成される場合、さらに純水に、シリコン化合物等の異物が混合若しくは溶解されている場合も含む。
【0024】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる基板乾燥装置は、基板の一例としてウェハの乾燥を行うウェハ乾燥装置501であり、ウェハ乾燥装置501の縦断面図を図1に、図1におけるF−F断面図を図2に、図1におけるG−G断面図を図3に示す。また、ウェハ乾燥装置501の概略構成を示すフロー図を図4に示す。なお、本発明において用いられる基板には、上記ウェハの他に、液晶パネル基板等がある。
【0026】
図1、図2、図3、及び図4に示すように、ウェハ乾燥装置501は、上面全体が開放されかつ4つの側面及び底面を備えた略直方体状の箱体形状を有し、かつその内部に純水40を収容可能であって、かつ円盤状の複数のウェハ2を上記収容された純水40内に浸漬させて洗浄後に乾燥可能な乾燥室201と、略直方体状の箱体形状を有してその内部に密閉可能な空間4を有し、かつ乾燥室201がその内部に固定されて設置されている処理室212とを備えている。
【0027】
また、乾燥室201は、その内部に収容される純水40を上下方向に2つの純水槽に区分しかつ純水40の液面と略平行に備えられた可動床の一例である仕切り板250を備えている。乾燥室201内に収容された純水40は、この仕切り板250により、その上側を上部純水槽40a、その下側を下部純水槽40bとして2つの純水槽に区分されている。また、この仕切り板250は、その周部全体が乾燥室201の内側に接触しない程度かつ上記隙間を通して下部純水槽40bより上部純水槽40a内へ純水を供給することができるような隙間が設けられており、また、可動床昇降装置の一例である仕切り板昇降機構214により、仕切り板250は乾燥室201の内側に沿って昇降可能となっている。なお、この仕切り板昇降機構214の構造の詳細な説明については後述する。また、乾燥室201の上端、すなわち上記4つの側面の上端は夫々同じ高さ位置となるように形成されている。
【0028】
また、乾燥室201は、複数のウェハ2をその表面を鉛直方向に略平行かつ一定間隔でもって夫々の表面を略平行に配列させて支持する公知のウェハキャリア13を搬入可能とし、さらに搬入されたウェハキャリア13を乾燥室201内において解除可能に固定する基板支持機構の一例であるキャリア固定部9を備えている。ウェハキャリア13は、例えば、複数の固定ピンを備えており、また、上記各固定ピンと嵌め合い可能な固定ピン受部がキャリア固定部9に備えられて、夫々の上記固定ピンと上記固定ピン受部が嵌め合わさることにより、ウェハキャリア13がキャリア固定部9に固定される。なお、上記固定の機構については、公知の他の固定機構による場合であってもよく、ウェハキャリア13をキャリア固定部9に固定させた状態において、ウェハキャリア13とキャリア固定部9との間にガタツキ等が発生しなければよい。
【0029】
また、キャリア固定部9は乾燥室201の仕切り板250の上面に取り付けられており、乾燥室201に純水を注入して満水とした状態において、ウェハキャリア13に支持された全てのウェハ2が純水40中に一斉に浸漬可能(すなわち上部純水槽40a中に浸漬可能)となっている。なお、ウェハキャリア13を用いて複数のウェハ2を乾燥室201内に搬入する場合に代えて、ウェハキャリア13を用いずに直接ウェハ2を乾燥室201内に搬入し、乾燥室201内において仕切り板250に固定した基板支持機構により支持して支持位置を固定するような場合であってもよい。
【0030】
また、処理室212は、その上面に開閉可能な蓋211を有しており、蓋211を開けることによりウェハ2を多数収納したウェハキャリア13の供給取出し及び処理室212内部のメンテナンス等が可能となっており、蓋211を閉めることにより処理室212内部の空間4を密閉状態とすることが可能となっている。さらに、蓋211には、処理室212内における乾燥室201に収容された純水40の液面上における空間4内に不活性ガスの一例である窒素ガスを噴射させて、空間4内を窒素ガスで充填させる不活性ガス供給装置の一例である(窒素ガス供給装置の一例でもある)乾燥ノズル5が備えられている。なお、乾燥ノズル5は、空間4内に窒素ガスを噴射させる場合のみ限定されるものではなく、空間4内に窒素ガスを充填させることができるように供給することができればよい。なお、不活性ガスの一例としては、その取扱いの容易性により窒素ガスを用いることが好ましいが、この窒素ガスに代えて、その他の種類の不活性ガスを用いることも可能である。また、乾燥ノズル5は、例えば、複数の噴射孔を有し、夫々の噴射孔より、夫々のウェハ2の間の空間に向けて、窒素ガスが噴射されるような場合であってもよい。このように、夫々のウェハ2間の空間に向けて窒素ガスが噴射されることにより、ウェハ2の表面の乾燥を促進させることができるからである。
【0031】
また、乾燥室201内部における仕切り板250の下側の下部純水槽40bへ純水を供給する管状の純水供給機構の一例である純水供給部210が、乾燥室201の下部純水槽40b内に備えられている。また、乾燥室201内部の下部純水槽40bに均一に純水を供給可能なように、純水供給部210は下部純水槽40b内部においてその管状の外周に多数の純水の供給孔を有している。また、下部純水槽40b内に供給された純水が、仕切り板250が動かないときは、仕切り板250と乾燥室201の内面との間にある上記隙間を通して、上部純水槽40a内にも純水を供給することが可能となっている。なお、純水供給部210より下部側純水槽40bには、略常温の状態の純水が供給される。
【0032】
また、仕切り板250は、乾燥室201内部において純水40の液面と略平行な状態を保ちながら仕切り板昇降機構214により上記4つの側面沿いに平行移動可能となっている。仕切り板昇降機構214は、図1における処理室212の左側に備えられており、処理室212及び仕切り板昇降機構214はウェハ乾燥装置501の機台215上に固定されている。仕切り板昇降機構214は、回転軸回りに回転可能に機台215に上下方向に固定されたボールねじ軸部214aと、ボールねじ軸部214aを正逆回転させる駆動部214bと、ボールねじ軸部214aに螺合してボールねじ軸部214aが正逆回転されることによりボールねじ軸部214aに沿って昇降可能なナット部214cと、機台215に固定されかつ上記正逆回転の方向においてナット部214cを固定して上記昇降動作を案内するガイド214eと、複数の剛体により門型に形成されかつ一方の下端がナット部214cに固定されかつ他方の下端が処理室212の上面を貫通して、仕切り板250の図1における左側の上面端部に固定された昇降フレーム214dとにより構成されている。なお、駆動部214bの例としては、ボールねじ軸部214aの下端に固定されかつボールねじ軸部214aを直接的に正逆回転させるモータ、又は、ボールねじ軸部214aの下端の固定されたプーリーをベルト等を介してボールねじ軸部214aを間接的に正逆回転させるモータがある。仕切り板昇降機構214において駆動部214bによりボールねじ軸部214aを正逆回転させることにより昇降フレーム214dを昇降させて、仕切り板250を乾燥室201の上記各側面沿いに昇降させることが可能となっている。これにより、純水が供給されて上部純水槽40a及び下部純水槽40bが満水状態とされた乾燥室201において、ウェハキャリア13に支持された全てのウェハ2が上部純水槽40a内に浸漬される高さ位置に位置された状態の仕切り板250を、仕切り板昇降機構214により上昇させることにより、仕切り板250の上側に収容されている上部純水槽40aにおける純水40を仕切り板250とともに上昇させて、純水40の液面側純水を乾燥室201の上端よりオーバーフローさせることが可能となっている。また、仕切り板昇降機構214による仕切り板250の昇降範囲は、例えば、ウェハキャリア13に支持される全てのウェハ2の上端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって下方に位置する高さ位置(昇降動作の下端位置)から、上記すべてのウェハ2の下端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって上方に位置する高さ位置(昇降動作の上端位置)までの範囲である。
【0033】
なお、ここで液面側純水とは、純水40の液面を含む液面近傍の液体のことであり、例えば液面より20mm程度までの下方の液層における液体のことを示す。また、この液体が純水のみにより構成される場合、さらに純水に、シリコン化合物等の異物が混合(若しくは溶解)されている場合も含む。
【0034】
また、乾燥室201においては、上向きに開放部を有するコ字型断面形状の溝を有するオーバーフロー受部217が乾燥室201の4つの側面上部の外側沿いに設置され、乾燥室201の上部外周全体にオーバーフロー受部217の上記コ字型断面形状の溝が平面的にロ字型に一体として形成されている。また、オーバーフロー受部217の上記溝の乾燥室201側の側面は、乾燥室201の上部外側側面により形成されており、他方の側面はその上端の高さ位置が乾燥室201の上端よりも高くなるように形成されている。これにより、乾燥室201において純水がオーバーフローした際に、オーバーフローした純水をオーバーフロー受部217により受けることが可能となっている。また、オーバーフロー受部217の底面には排液口217aが設けられており、配管等を介して若しくは直接、処理室212の底部に設けられた排液口218より処理室212外へ上記オーバーフローした純水を排液可能となっている。なお、本第1実施形態においては、仕切り板昇降機構214が排液装置の一例となっている。
【0035】
ここでオーバーフロー受部217が備えられた乾燥室201の上部における拡大平面図を図5(A)に、図5(A)における乾燥室201のH−H断面図を図5(B)に示す。図5(A)及び(B)に示すように、上記ロ字型におけるオーバーフロー受部217の内側の縁、すなわち乾燥室201の上端には、V字型の切り込み形状を有する三角堰201aが、一例として一定の間隔でもって複数形成されており、上記純水40の液面側純水のオーバーフロー受部217の内への流入(すなわち、オーバーフロー)を行う場合において各三角堰201aよりオーバーフロー受部217内へ流入させることにより、流入流量の調整を容易に行い、かつ上記流入をスムーズに行うことができるようになっている。なお、三角堰201aの上記一定の間隔が、ウェハキャリア13により支持されている各ウェハ2の配置間隔と同じである場合であってもよい。
【0036】
処理室212の蓋211に設置されている乾燥ノズル5により、空間4内に窒素ガスが噴射されるが、窒素ガスは、常温若しくはウェハ2の温度で供給され、又は、常温より高い温度で供給される。また、図4に示すように、窒素ガスは、減圧弁29、第1エアーオペレートバルブ30、流量計31を介して、図2における処理室212の蓋211の略中央に配置された乾燥ノズル5に供給される。
第1エアーオペレートバルブ30は、流量計31で検出された窒素ガスの流量に基づき、窒素ガスの流量を自動的に調整することが好ましい。この結果、窒素ガスは乾燥ノズル5を通して、空間4内に、常温若しくはウェハ2の温度より高い温度で噴射されて供給される。このように空間4内に供給されて充填される窒素ガスは、乾燥室201内で純水40からウェハ2が液面より上方に露出されるときに、上記露出されたウェハ2の表面に付着した純水を蒸発させて、上記ウェハ2の表面の乾燥を促進させることができる。
【0037】
また、処理室212内の空間4の圧力が異常に高まらないようにするため、処理室212には排気通路43を設けて、排気流量を調整するための手動弁7と、排気の開始又は停止を行う第2エアーオペレートバルブ8とを設けている。なお、空間4内に圧力センサを配置して、圧力センサで検出された空間4内の圧力に応じて第2エアーオペレートバルブ8を自動的に開閉することもできる。さらに、乾燥ノズル5により空間4内に窒素ガスを供給するとともに、排気通路43より空間4内から窒素ガスを排気させながら、空間4内を、例えば、所定の圧力状態の窒素ガスで充填させることもできる。このような場合にあっては、空間4内において、上記ウェハ2の表面に付着した純水が蒸発された水蒸気を含む窒素ガスを排気通路43と通して排気させるとともに、空間4内に新たな窒素ガスを供給することができ、空間4内における窒素ガス中の水分の濃度を低く保つことができる。なお、本第1実施形態においては、排気通路43、手動弁7、及び第2エアーオペレートバルブ8が、排気装置の一例となっている。
【0038】
さらに、乾燥室201の底部の排液口219には、第3エアーオペレートバルブ35が設けられており、第3エアーオペレートバルブ35を開くことにより、乾燥室201内の純水の排液を行うことができる。さらに、処理室212の底部の排液口218に排液通路44を設けられており、処理室212内においてこの排液通路44にオーバーフロー受部217の排液口217aよりの排液通路が接続されて、処理室212内よりウェハ乾燥装置501外へ排液通路44を介しての排液が行われる。なお、図示しないが排液通路44上には、処理室212内の空間4の圧力を保持するために封水機構が設けられている。
【0039】
また、乾燥室201内における下部純水槽40b内において設置されている純水供給部210には純水供給通路45が接続されて設けられており、純水は、純水供給通路45の経路上に設けられた手動弁32、流量計33、第4エアーオペレートバルブ34を介して、純水供給部210に供給される。第4エアーオペレートバルブ34は、流量計33で検出された純水の流量に基づき、純水の流量を自動的に調整することが好ましい。
【0040】
上記第1エアーオペレートバルブ30、第2エアーオペレートバルブ8、第3エアーオペレートバルブ35、及び第4エアーオペレートバルブ34は、制御装置47に接続されて、所定のプログラムなどに基づいて、自動的に、処理室212内の空間4に供給する窒素ガスの流量、空間4内からの排気量、純水40の排液量などを動作制御できるようにしている。また、制御装置47は、仕切り板昇降機構214における各動作制御も行う。
【0041】
上記構成によるウェハ乾燥装置501においてウェハ2の乾燥処理を行う場合の手順について以下に説明する。
【0042】
まず、純水供給通路45の第4エアーオペレートバルブ34を開いて乾燥室201内に純水供給部210により略常温の状態の純水を供給し、下部純水槽40bを満水とさせた後、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間の隙間を通して下部純水槽40bより純水を供給して上部純水槽40aも満水とさせる。その後、蓋211を開放し、複数のウェハ2が支持されたウェハキャリア13を処理室212内に搬入し、乾燥室201内の純水40中にウェハキャリア13を浸漬させてキャリア固定部9により固定する。このとき、乾燥室201より純水をオーバーフロー受部217にオーバーフローさせることにより、ウェハ2が浸漬されている乾燥室201の上部純水槽40a内の異物を純水40の液面近傍に浮遊させて、これら異物をオーバーフローされる純水とともに乾燥室201外に排出させて洗浄を行う。
【0043】
次に、排気通路43を閉じた状態、すなわち処理室212の空間4が密閉された状態において、乾燥ノズル5から窒素ガスを噴射させて、空間4内を窒素ガスで充填させる(例えば、窒素ガスが略100%の状態となるように充填させる)。このとき、乾燥室201の空間4内の圧力が異常に高くなったときには、排気通路43を開いて圧力を低下させるようにするのが好ましい。また、乾燥ノズル5よりの窒素ガスの供給の際に、排気通路43を通して空間4内のガスを排気させることにより、空間4内を窒素ガスで容易に満たすことができる。
【0044】
次に、このように上記空間4内に窒素ガスが充填された状態で、制御装置47の制御により、仕切り板昇降機構214が制御されて、その昇降動作の下端位置に位置されている状態の仕切り板250を一定の速度でもって緩やかに上昇させていく。仕切り板250の上昇速度の例としては、1秒間に10mm程度以下の上昇速度、好ましくは、1秒間に1〜2mm程度の上昇速度とする。なお、このような上昇速度は、後述するように、ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上方に露出されるような場合であっても、目視で確認できるような上記液面の波立ち(あるいは揺れ)の発生を防止(あるいは低減)できるような上昇速度となっている。
【0045】
この仕切り板250の上昇開始にともない、乾燥室201の純水40における液面中央付近より乾燥室201の上端の全周部の方向への概ね放射状の流れを生じ、純水40の液面側純水が各三角堰201aを介してオーバーフロー受部217内に流入するとともに、オーバーフロー受部217における排液口217aよりオーバーフロー受部217内に流入した上記液面側純水が排液通路を通して排液される。
【0046】
上記純水供給部210により下部純水槽40bに供給されている上記純水の供給量は、仕切り板250の上昇に伴う上記液面側純水の排液量に応じて、制御装置47により流量計33を用いて第4エアーオペレートバルブ34を制御しながら下部純水槽40bに供給されている。すなわち、仕切り板250が上昇することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されている。従って、上記仕切り板250の上昇により上部純水槽40a内の純水を上昇させる場合、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間における上記隙間においては純水の流れがほとんど発生しない。これにより、上記仕切り板250の上昇によって上部純水槽40a内の純水のみを上昇させて排出させることが可能となっている。
【0047】
なお、仕切り板昇降機構214により仕切り板250の上昇動作を円滑に行うことができるように、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との上記隙間の大きさに応じて、上記純水供給部210より乾燥室201の下部純水槽40b内への純水の供給量が、仕切り板250の上昇に伴う下部純水槽40bの容積増加分よりも多く又は少なくするような場合であってもよい。
【0048】
よって、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記概ね放射状の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍において純水中に浮遊している異物等を上記表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0049】
その結果、仕切り板250の上昇に伴って上昇されているウェハ2の上部が純水40の液面から上に露出する、すなわち、空間4内に露出されることになるが、空間4内は窒素ガスが充填されているため、ウェハ2の表面が酸素に触れて自然酸化することなく、ウェハ2の表面に付着している純水が窒素ガス雰囲気中に蒸発されて、ウェハ2の表面が乾燥される。
【0050】
その後、仕切り板250がその昇降動作の上端位置まで上昇されると、すなわち、仕切り板250とともに上昇されているウェハキャリア13に支持されている各ウェハ2の下端が乾燥室201の上端よりも多少の余裕をもって上方に位置されるまで上昇されると仕切り板250の上昇が停止され、各ウェハ2が純水40から完全に露出された状態、すなわち、完全に空間4内に露出された状態となり、空間4内に充填されている窒素ガス雰囲気中に、各ウェハ2の表面に付着した純水が蒸発されて、各ウェハ2の表面が乾燥される。上記乾燥完了後、乾燥ノズル5よりの窒素ガスの噴射が停止されて、ウェハ2の乾燥処理が終了する。
【0051】
その後、処理室212の蓋211を開放し、キャリア固定部9によるウェハキャリア13の固定を解除して、処理室212よりウェハキャリア13毎各ウェハ2が上方に搬出される。
【0052】
なお、仕切り板250を上昇させて純水40の液面側純水の排液を行う場合において、さらに純水供給部210より純水を、下部純水槽40bの容量増加分を満たす量よりさらに、例えば30リットル/分以下程度、好ましくは4リットル/分程度多く、供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40中の異物等を余分に供給された純水により積極的に液面側へ押し上げて、液面側純水とともにより迅速かつより円滑に排出することができる。
【0053】
また、下部純水槽40bに備えられている純水供給部210とは別に、上部純水槽40aにおいても別の純水供給部がさらに備えられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、乾燥室201内に純水を満たす場合に、純水供給部210により下部純水槽40b内に純水を供給し、上部純水槽40a内には上記別の純水供給部により純水の供給を行うことができるため、乾燥室201への初期の純水供給に要する時間を短縮化することができる。また、純水が満水とされた状態の上部純水槽40aにおいて、さらに上記別の純水供給部より純水の供給を行い、上部純水槽40aより強制的に純水をオーバーフローさせることにより、上部純水槽40a内の異物等の除去をより容易に行うことができる。
【0054】
また、乾燥室201の上端に設けられた複数の三角堰201aが全て一定の配列間隔にて形成されている場合に代えて、ウェハキャリア13に支持されている各ウェハ2の表面沿いの方向における互いに対向する夫々の乾燥室201の側面の上端にはより短い配列間隔で、各ウェハ2の表面と直交する方向における互いに対向する夫々の乾燥室201の側面の上端にはより長い配列間隔で、複数の三角堰201aを形成する場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217に流入させる場合に生じていた液面中央付近より乾燥室201の上記4つ側面の上端全周の方向への上記概ね放射状の流れを、各ウェハ2の表面沿い方向に、強い流れとすることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記強い流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍における浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0055】
なお、乾燥室201よりの上記液面側純水の排液に際して排液流量の微小な調整が要求されないような場合にあっては、乾燥室201の上端において上記複数の三角堰201aが形成されている場合に代えて、上記三角堰201aが形成されていない場合であってもよい。
【0056】
また、上記三角堰201aが乾燥室201の4つの側面夫々に形成されている場合に限定されるものではない。例えば、上記4つの側面のうち、ウェハキャリア13により支持されている各ウェハ2の表面沿いの方向における互いに対向する夫々の側面沿いにのみ、上記三角堰201aを備えさせるような場合であってもよい。
【0057】
このような場合においては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217に流入させる場合に、液面中央付近より上記三角堰201aが形成されている乾燥室201の夫々の上端側へ液面上に各ウェハ2の表面沿い方向の流れ、つまり上記表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れを発生させることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記相反する2方向の表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0058】
また、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記2方向の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を上記2方向の表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0059】
また、上記三角堰201aが上記互いに対向する1組の夫々の上端にのみ備えられている場合に代えて、上記1組の夫々の上端のうちの1つの上端にのみ、三角堰201aが備えられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40の液面側純水をオーバーフロー受部217内に流入させる場合に、液面上において上記1組の夫々の上端のうちの三角堰201aが備えられていない上端側から上記三角堰201aが備えられている上端側への各ウェハ2の表面沿い方向における一方向の表面流れを発生させることができ、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水を上記一方向の表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。
【0060】
また、上記液面側純水を排液する際に、液面上において上記一方向の表面流れを生じさせることができるような上昇速度でもって仕切り板250を上昇させる。これにより、純水40の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を上記一方向の表面流れでもって上記液面側純水とともにオーバーフロー受部217内に流入させて排出させることができる。
【0061】
ここで、乾燥室201において、ウェハ2を純水40の液面より上方に露出させる場合における純水40の液面とウェハ2の表面に付着する純水との関係について詳細に説明する。このような場合の一例として、純水40の液面において上述したウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れが形成されているような場合において、ウェハ2を上記液面より上方に露出させる場合の模式説明図を図13(A)及び(B)に示す。図13において、(A)は、上部側純水槽40a内の純水40中に浸漬されている状態のウェハ2の上昇が開始されて、まだ、ウェハ2が完全に純水40内に浸漬されている状態を示しており、(B)は、その後、ウェハ2の上部が純水40の液面よりも上方に露出された状態を示している。
【0062】
まず、図13(A)に示すように、乾燥室201内において、仕切り板251の上昇が開始されるとともに、仕切り板251に固定されて支持された状態のウェハ2が速度ベクトルTでもって上昇されるとともに、上部側純水槽40a内の純水40が速度ベクトルSでもって上昇される。また、ウェハ2の速度ベクトルTと純水40の速度ベクトルSとは、その向き及び大きさ(長さ)が同じとなっている。すなわち、純水40内に浸漬されているウェハ2とその周囲の純水40とは、互いに相対的に静止した状態とされている。
【0063】
次に、図13(B)に示すように、乾燥室201において、さらに仕切り板251が上昇されると、速度ベクトルTでもって上昇されているウェハ2の上部が、純水40の液面より上方に露出される。また、図13(A)及び(B)に示すように、仕切り板251の上昇に伴い、上部側純水槽40a内の純水40が上昇されることにより、純水40の液面においては、ウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れF1(図示左向き)及びF2(図示右向き)が形成される。この夫々の表面流れF1及びF2により、純水40の液面近傍において、乾燥室201よりの液面側純水の排液が行われる。これにより、図13(B)に示すように、速度ベクトルSでもって純水40は上昇されるが、純水40の液面においては、上昇された純水40が上記液面側純水となって、連続的に排液されるため、純水40の液面高さは、上記液面側純水が排液されている間は、上昇されることなく、略一定の高さが保たれる。そのため、図13(B)に示す状態においては、ウェハ2と純水40との間には、相対的な速度差、すなわち、速度ベクトルTに相当する速度差が生じることとなる。
【0064】
ここで、図13(B)に示す状態における純水40の液面における純水40とウェハ2との境界面である界面Gの状態についてのさらに詳細な模式説明図を図6に示し、この界面Gの状態について詳細に説明する。図6において、(A)はウェハ2の表面に直交する方向よりの状態を示しており、(B)は(A)の側面よりの状態を示している。
【0065】
図6(A)及び(B)に示すように、ウェハ2は速度ベクトルTの方向に上昇されており、その上部側の略半分の部分が純水40の液面より露出されている状態となっている。ここで、純水40の液面とウェハ2との界面Gに注目すると、図6(A)及び(B)に示すように、この界面Gには、上記液面より上方に純水40が隆起された隆起純水部40c(図示斜線部分)が形成されている。この隆起純水部40cは、速度ベクトルT方向に上昇されるウェハ2の表面に純水を付着させて、ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡されていることにより、純水40とウェハ2との界面Gに形成されている。
【0066】
しかしながら、例えば、図14の模式説明図に示すように、純水40の液面において、目視で確認できるような波立ちが発生するような場合にあっては、界面Gにおいては、上記速度ベクトルT以外にも、さらに上記波立ちにより上記ウェハ2の上昇方向における速度ベクトルRが発生する。この速度ベクトルRは上記波立ちの状態により微小な時間においてその大きさが変位し、その向きが上昇方向となる場合、その逆方向となる場合がある。そのため、ウェハ2の表面に純水を付着させて、ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力との2つの力に、この速度ベクトルRによる力が加わることとなるが、速度ベクトルRは微小な時間とともに変位するため、夫々の力は均衡が保たれない状態となる。従って、ウェハ2の表面に付着される純水を上昇させようとする力を、上記引き戻そうとする力よりも大きくするような方向に上記速度ベクトルRによる力が加わるような場合にあっては、ウェハ2の表面に付着した純水の一部が、上記引き戻そうとする力により引き戻されることなく、一部の純水が隆起純水部40cより分離して、ウェハ2の表面に多数の純水の液滴40pとなって付着して残留したまま、ウェハ2が液面より露出されることになる。このように露出されたウェハ2の表面に多数の液滴40pが付着するような場合にあっては、これらの液滴40pを蒸発させるのに時間を要し、ウェハ2の乾燥効率も著しく低下することとなってしまう。
【0067】
一方、図6(A)及び(B)に示すように、純水40の液面において上記目視で確認できるような波立ちが発生しないような場合にあっては、上記ウェハ2とともに上記表面に付着される純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡されているため、上記多数の液滴40pが露出されたウェハ2の表面に付着することを抑制し、微細な一部の液滴、すなわち、上記純水の水分が残留するのみとさせることができる。
【0068】
このような上記波立ちに関しては、図13(A)に示すように、ウェハ2とその周囲の純水40とが互いに相対的に静止された状態で上昇されること、及び、図13(B)に示すように、ウェハ2が純水40の液面より上方に露出された場合に、界面Gにおいてはウェハ2と純水との間に、速度ベクトルTに相当する相対的な速度差が生じることとなるが、この速度差が一定に保たれており、また、上記液面において上記波立ちが発生しないような十分に遅い速度であること(すなわち、速度ベクトルTの大きさが一定でありかつ上記十分に遅い速度であるように制御されていること)により、上記液面における上記波立ちの発生の防止が図られている。また、上記速度ベクトルTの大きさが一定でありかつ上記十分に遅い速度であることにより、純水40の速度ベクトルSも同様であるため、純水40の液面における表面流れF1及びF2も一定の速度でかつ安定した流れとなり、上記波立ちの発生を起因するものとなり得ない。
【0069】
従って、純水40の液面(すなわち、界面G)においては、上記波立ちが発生することもなく、安定した状態で隆起純水部40cを形成することができ、上記多数の液滴40pが露出されたウェハ2の表面に付着することを抑制し、微細な一部の液滴、すなわち、上記純水の水分が残留するのみとさせることができる。
よって、ウェハ2が露出されても、その表面には少量かつ微細な上記純水の水分が付着されて残留しているのみとさせることができ、この水分を空間4内に充填されている窒素ガスにより迅速に蒸発させることができる。
【0070】
なお、上記においては純水40の液面において、上記2方向の表面流れ(F1及びF2)が形成されている場合を一例として説明したが、このような場合に代えて、上記1方向の表面流れ、あるいは、上記放射状の表面流れが用いられるような場合であってもよい。
【0071】
また、ウェハキャリア13が上記公知のものである場合に代えて、図7に示すようなウェハ保持具213を用いる場合であってもよい。図7(A)及び(B)はウェハ保持具213の部分拡大側面図である。
【0072】
図7に示すように、ウェハ保持具213は、円盤状のウェハ2の下部におけるその面沿いに互いに対称な2箇所の位置にてウェハ2を支持可能なウェハ支持部213aが一定の間隔でもって複数形成されたフレーム213bを備えている。
また、図7(B)に示すように、夫々のウェハ支持部213aは、フレーム213b上に串歯状に形成されており、夫々のウェハ2の配列方向沿いにおいて、互いに隣接する夫々のウェハ支持部213aの間には一定の間隔でもって空間が確保されるように形成されている。これにより、隣接するウェハ2間において、ウェハ2の上端から下端まで、ウェハ2の表面沿いかつ純水40の上記液面沿いの方向に空間を確保することが可能となっている。
【0073】
このようなウェハ保持具213を用いることにより、純水40内に浸漬されたウェハ2を液面よりも上方に露出させる場合において、上記液面上かつウェハ2の表面沿いの方向に発生する上記表面流れにより、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍における浮遊している異物等の排出性をさらに良好とさせることができる。
【0074】
また、乾燥室201において、仕切り板250の周部全体と乾燥室201の内側との間に上記隙間が設けられているような場合に代えて、図12の乾燥室201の模式説明図において示すように、上記隙間が設けられずに、仕切り板251の周部全体と乾燥室201の内側との間にシール251aが設けられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、仕切り板昇降機構214により仕切り板251を上昇させるのではなく、純水供給部210により下部純水槽40b内に供給された純水の水圧により、仕切り板251を乾燥室201の内側に沿って上昇させることができる。従って、仕切り板251を昇降させる機械的な機構、すなわち仕切り板昇降機構214のような機構を不要とすることができ、ウェハ乾燥装置をコンパクトな装置とすることができるとともに、ウェハ乾燥装置のコストを削減することができる。
【0075】
なお、ウェハ乾燥装置501においては、イソプロピルアルコール(以下、単にIPAと記す。)を用いない場合について説明したが、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、空間4内にさらにIPA(液相又は気相)を供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、露出されたウェハ2の表面に付着された純水の微細な液滴をIPAと置換させて、上記置換されたIPAを蒸発させることにより、ウェハ2の乾燥処理を行うことができる。
【0076】
上記第1実施形態によれば、乾燥室201における純水40の上部純水槽40a内に浸漬されたウェハ2を純水40の液面より上に露出させる際に、乾燥室201の底面からのみの純水の排液、及びウェハ2自体の純水40からの引き上げによるものではなく、ウェハ2とともに上部純水槽40aにおける純水を上昇させることにより、液面側純水を乾燥室201の上部よりオーバーフロー受部217内に流入させて排液していくため、液面若しくは液面近傍に浮遊している異物等を液面側純水とともに排出することができる。これにより、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、上記異物等のウェハ2の表面への付着を防止(又は低減)することができる。
【0077】
また、このような液面側純水のオーバーフロー受部217への排液は、上記液面において形成される上記概ね放射状の流れ、ウェハ2の表面沿いの方向における相反する2方向の表面流れ、又は1方向の表面流れが形成され、上記夫々の表面流れでもって行われ、特に、上記2方向又は1方向の表面流れが形成される場合にあっては、夫々の表面流れは各ウェハ2の表面沿いに形成されているため、各ウェハ2の一部が純水40の液面よりも上方に露出した場合に、隣接する夫々のウェハ2間の液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々のウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、上記異物等のウェハ2の表面への付着を防止することができ、乾燥されたウェハ2の表面を異物等の付着のない良好な状態とさせることができる。
【0078】
また、仕切り板251の上昇速度が、ウェハ2の一部が純水40の液面より上方に露出されたような場合であっても、目視で確認できるような上記液面の波立ちを防止できるようなゆっくりとした一定の速度に制御されていること、及び純水40に浸漬されているウェハ2がその周囲の純水とともに相対的に互いに静止した状態が保たれながら上昇されることにより、純水の液面におけるウェハ2と純水の界面Gを安定した状態(波立ち又は揺れの発生がない状態)とさせることができる。これにより、この界面Gに形成される隆起純水部40cの一部の純水が分離して、多数の液滴40pとなって露出されるウェハ2の表面に付着して残留することを抑制することができる。よって、ウェハ2が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、空間4内に充填されている窒素ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、IPAを用いて、ウェハ2の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような乾燥方式を用いなくても、純水から露出されたウェハ2の乾燥処理を行うことができる。
【0079】
また、ウェハ乾燥装置501においては、IPAを用いることなくウェハ2の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができる。
【0080】
また、乾燥室201内の純水40の排液の際に、ウェハ2とともにウェハ2を浸漬している上部純水槽40a内の純水40を上昇させて、乾燥室201の上端より上記液面側純水をオーバーフローさせることにより、純水40の排液を行うため、上記排液中においては、純水40の液面の位置と上記液面上方の空間4との位置が互いに固定されており、空間4の容積を一定に保つことができる。これにより、ウェハ2の上記液面よりの露出開始から露出完了まで(すなわち、ウェハ2の乾燥処理開始から終了まで)上記空間4内の窒素ガスの濃度を安定させることができ、ウェハ2の露出の際にウェハ2の表面に付着して残留している純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、ウェハ表面における乾燥むらの発生を防止することができる。
【0081】
また、仕切り板昇降機構214により仕切り板250が乾燥室201の内側に沿って上昇された場合に、この上昇量に応じて下部純水槽40bの容積増加分に見合った量の純水を純水供給部210より下部純水槽40bへ供給するため、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間には互いに接触しない程度の隙間を有している状態であっても、仕切り板250の上昇により上部純水槽40aにおける純水のみを上昇させて上記液面側純水の排液を行うことができる。これにより仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間の上記隙間を埋める(シールする)必要を無くすことができ、上記隙間を埋めた場合に発生するおそれのある摩擦による異物の発生を防止し、乾燥室201の純水40内での異物発生を防止することができる。
【0082】
また、上記仕切り板250の上昇に伴い、仕切り板250が上昇することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されるため、仕切り板250の周部と乾燥室201の内側との間における上記隙間においては純水の流れをほとんど発生させないようにすることができる。従って、ウェハ2を浸漬している上部純水槽40aにおいては、純水の流れ込みによる渦流等の発生を無くすことができ、上記液面上における上記略放射状若しくは上記2方向若しくは上記1方向のスムーズな表面流れでもって、露出された各ウェハ2間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等を排出させることができる。
【0083】
また、上記ウェハ2の液面よりの露出の際に、仕切り板250の上昇速度を一定とすることによっても、乾燥むらを無くすことができる。
【0084】
なお、本発明は上記第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0085】
(第2実施形態)
例えば、本発明の第2実施形態にかかる基板乾燥装置の一例であるウェハ乾燥装置502は、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501のように仕切り板250を設けて乾燥室201を上部純水槽40a及び下部純水槽40bの2つの層に区分して、仕切り板昇降機構214により仕切り板250を上昇させることによりウェハ2を浸漬している乾燥室201の上部純水槽40aにおける液面側純水の排液を行うのではなく、上記可動床の一例である乾燥室の底面自体を上昇させることにより上記液面側純水の排液を行うものであり、それ以外の構成は同様である。以下、この上記異なる部分ついてのみ説明するものとする。また、このウェハ乾燥装置502の縦断面図を図8に、図8におけるI−I断面図を図9に、図8におけるJ−J断面図を図10に示す。
【0086】
図8、図9及び図10に示すように、ウェハ乾燥装置502の乾燥室301においては、乾燥室301の底面である底部350が乾燥室301の各側面に沿って昇降可能に設置されている。この底部350と上記各側面との間にはシール350aが設けられており、底部350が昇降された場合であっても上記間より乾燥室301内の液体が漏れることはない。また、底部350の昇降動作を行う底面昇降装置の一例である底部昇降機構314が処理室312及びウェハ乾燥装置502の機台315上に備えられている。なお、上記シール350aは、例えば、耐IPA及び耐薬品性のフッ素系ゴムにより形成されたO−リング等が用いられる。
【0087】
底部昇降機構314は、エアシリンダを用いた機構により構成されており、乾燥室301の底部350の下面中央に固定されたエアシリンダ314aと、エアシリンダ314aを昇降可能に支持してかつ乾燥室301の機台315に固定されている昇降ガイド314b、及び図示しないがエアシリンダ314aへの圧縮空気の給気及び排気を行う圧縮空気供給部を備えている。また、底部昇降機構314は制御装置47により制御されており、上記圧縮空気供給部によりエアシリンダ314a内に圧縮空気が供給されることにより、エアシリンダ314aが昇降ガイド314bに沿って上昇され、底部350が乾燥室301の各側面の内側に沿って上昇される。また、エアシリンダ314a内に供給される圧縮空気の方向を切り換えることにより、エアシリンダ314aが昇降ガイド314bに沿って下降され、底部350が乾燥室301の各側面の内側に沿って下降される。また、上記エアシリンダ314aの上昇及び下降の速度は制御装置47により制御され、例えば、一定の上昇速度でもって上昇される。
【0088】
これにより、底部昇降機構314は、底部350の上面に固定されているキャリア固定部9及び純水供給部310、さらに、キャリア固定部9により固定されたウェハキャリア13、及び乾燥室301内に収容されている純水40を、底部350とともに昇降させることが可能となっている。なお、底部昇降機構314は、上記エアシリンダ314aを用いた機構により構成されている場合に代えて、その他の公知の昇降機構、例えば、油圧を用いた昇降機構やボールねじ軸を用いた昇降機構等により構成される場合であってもよい。なお、キャリア固定部9、ウェハキャリア13、及び純水供給部310は上記第1実施形態におけるキャリア固定部9、ウェハキャリア13若しくはウェハ保持具213、及び純水供給部210と同様な構成及び機能となっている。また、上記底部昇降機構314による底部350の上昇速度は、第1実施形態における仕切り板250の上昇速度と同様である。
【0089】
また、底部昇降機構314による底部350の昇降動作は、ウェハキャリア13に支持されてる全てのウェハ2の上端が多少の余裕をもって乾燥室301の上端よりも下方に位置するような高さ位置(昇降動作の下端位置)から上記全てのウェハ2の下端が多少の余裕をもって乾燥室301の上端よりも上方に位置するような高さ位置(昇降動作の上端位置)までの範囲において行われる。すなわち、乾燥室301に純水40が収容されて満水とされた状態において、上記昇降動作の下端位置においては、上記全てのウェハ2が純水40に浸漬された状態となり、上記昇降動作の上端位置においては上記全てのウェハ2が純水40より完全に露出された状態となるように底部昇降機構314による底面350の昇降動作が行われる。また、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501における乾燥室201の上端において形成されている複数の三角堰201aと同様な三角堰301aが、例えば一定の間隔でもって乾燥室301の上端全体に形成されており、また、ウェハ乾燥装置201におけるオーバーフロー受部217と同様なオーバーフロー受部317が、乾燥室301の上部外周に設けられている。また、ウェハ乾燥装置501の処理室212及び乾燥室201と同様に、乾燥室301の底部350には排液口319が、処理室312の底部には排液口318が設けられている。なお、本第2実施形態においては、底部昇降機構314が排液装置の一例となっている。
【0090】
このような構成のウェハ乾燥装置502において、乾燥室301内において満水状態とされた純水40に浸漬されている各ウェハ2を純水40の液面より露出させる方法について説明する。
【0091】
まず、乾燥室301においては底部350が底部昇降機構314による昇降動作の下端位置に位置された状態とされており、乾燥室301内には純水40が満水とされ、純水40内に各ウェハ2が浸漬されている。この状態より、制御装置47により底部昇降機構314が制御されて、底部昇降機構314により底部350の上昇動作が開始される。底部350が上記一定の速度でもって緩やかに上昇されると、純水40の液面側純水が乾燥室301の上端よりオーバーフローされてオーバーフロー受部317に流入する。このとき、上記液体は乾燥室301の上端に設けられている複数の三角堰301aを介してオーバーフロー受部317に流入される。オーバーフロー受部317に流入された上記液体は、排液口317a及び排液口318を介して排液通路44により処理室312外へ排液される。
【0092】
底部昇降機構314による底部350の上昇に伴い純水40の液面側純水が乾燥室301の上端よりオーバーフロー受部317へ流入されて排液されるとともに、底部350に固定されているキャリア固定部9に固定されているウェハキャリア13も上昇され、各ウェハ2が上記液面上に露出される。全てのウェハ2の下端が乾燥室301の上端よりも上に位置されたときに、制御装置47により底部昇降機構314による底部350の上昇が停止される。
【0093】
なお、上記液面側純水の排液の際に、さらに純水供給部310より純水を、例えば30リットル/分以下程度、好ましくは4リットル/分程度、供給するような場合であってもよい。このような場合にあっては、純水40中の異物等を新たに供給された純水により積極的に液面側に押上げて、液面側純水とともに迅速かつ円滑に排出することができる。
【0094】
また、上記液面側純水の排液の際に、図4における第3エアーオペレートバルブ35を開けて乾燥室301(図4においては201)の底部の排液口319(図4においては219)より純水40の排液量を調整しながら排液を行うような場合であってもよい。この場合、底部350の上記一定の速度の上昇による上記液面側純水の排液動作を保つように(すなわち、上記液面側純水の排液量に変動が発生しないように)、排液口319よりの上記排液量の調整を行う。このような場合にあっては、上記液面における上記概ね放射状の流れ(第1実施形態と同様な流れ)を保持したまま純水40の排液速度を速めることができ、ウェハ2の乾燥処理時間の短縮化をすることができるとともに、純水40内における乾燥室301の底面側の異物等を乾燥室301外に排出することができる。
【0095】
また、上記液面に概ね放射状の表面流れ、あるいはこのような表面流れに代えて、上記第1実施形態と同様に上記2方向の表面流れや上記1方向の表面流れを形成することもできる。また、ウェハ2の上昇速度がゆっくりとした一定の速度となるように制御されていること、及び、ウェハ2とその周囲の純水40が互いに相対的に静止された状態を保ちながら上昇されることにより、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、上記液面に波立ち(又は揺れ)の発生を防止することができる。よって、上記第1実施形態と同様に、上記液面より上方に露出されるウェハ2の表面への純水の液滴の付着を抑制することができ、上記露出されたウェハ2の表面のは上記純水の水分だけが残留しているのみとさせることができる。従って、上記露出されたウェハ2の表面の水分を、空間4内に充填されている窒素ガスでもって迅速に蒸発させて乾燥させることができる。
【0096】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態におけるウェハ乾燥装置501のように乾燥室201内の純水40を仕切り板250により2つの層に分けるような場合でなくても、乾燥室301における底部350を昇降させる底部昇降機構314を備えさせることにより、乾燥室301の底部350を底部昇降機構314により上昇させることにより、純水40の液面側純水を乾燥室301の上端よりオーバーフローさせる形で排液することができ、上記第1実施形態による効果と同様な効果を得ることができる。
【0097】
さらに、付け加えて、底部昇降機構314を乾燥室301の下側における機台315上に設置することにより、ウェハ乾燥装置502をコンパクトな構成とすることができる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる基板乾燥装置の一例であるウェハ乾燥装置503は、上記第1実施形態における仕切り板250に相当する仕切り板450を備え、仕切り板450とこの仕切り板450の上面に固定されたウェハキャリア13によるウェハ2の支持位置を処理室に固定させた状態として、上記第2実施形態のウェハ乾燥装置502の底部昇降機構314と同様な昇降機構を用いて、乾燥室の底部だけでなく、乾燥室全体を下降させることにより、上記液面側純水の排液を行うものであり、それ以外の構成は同様である。以下、この上記異なる部分についてのみ説明するものとする。また、このウェハ乾燥装置503の縦断面図を図11に示す。
【0099】
図11に示すように、ウェハ乾燥装置503においては、処理室412内にて乾燥室401全体が昇降可能に設置されており、乾燥室401を昇降させる昇降装置の一例である乾燥室昇降機構414がウェハ乾燥装置503の機台415上に備えられている。また、乾燥室401内を上部純水槽40aと下部純水槽40bの2つの槽に区分する仕切り板450が備えられており、仕切り板450は、その周部全体が乾燥室401の内側に接触しない程度の隙間を有しておりかつ上記隙間を通して下部純水槽40bより上部純水槽40a内へ純水の供給が可能となっている。なお、上記仕切り板450は上記第1実施形態の可動床に相当する液移動板の一例となっている。また、基板支持機構の一例であるキャリア固定部409は、乾燥室401の底部ではなく、処理室412の上部内側に固定されており、キャリア固定部409にはウェハキャリア13を取り付け可能となっているとともに、仕切り板450を固定している。また、乾燥室401の底部には純水供給部410が固定されている。ウェハキャリア13と純水供給部410は上記第1実施形態におけるウェハキャリア13若しくはウェハ保持具213と純水供給部210と同様である。
【0100】
また、乾燥室昇降機構414は、上記第2実施形態における底部昇降機構314と同様な構成であり、乾燥室401の底部の下面中央に固定されたエアシリンダ414aが昇降ガイド414bに沿って昇降されることにより、仕切り板450及びウェハキャリア13を処理室412に対して固定させたまま、乾燥室401を昇降させることが可能となっている。すなわち、乾燥室401に対して仕切り板450及びウェハキャリア13を相対的に上昇させることが可能となっている。また、エアシリンダ414aの上昇及び下降の速度は制御装置47によって制御され、例えば、一定の下降速度でもって下降される。なお、この下降速度は、第1実施形態における仕切り板250の上昇速度と同様である。
【0101】
また、乾燥室昇降機構414による乾燥室401の昇降動作は、ウェハキャリア13に支持されている全てのウェハ2の上端が多少余裕をもって乾燥室401の上端よりも下方に位置するような高さ位置(昇降動作の上端位置)から、上記全てのウェハ2の下端が多少余裕をもって乾燥室401の上端よりも上方に位置するような高さ位置(昇降動作の下端位置)までの範囲において行われる。すなわち、乾燥室401内に純水40が収容されて満水状態とされた状態において、上記昇降動作の上端位置においては、上記全てのウェハ2が上部純水槽40aにおける純水40に浸漬された状態となり、上記昇降動作の下端位置においては、上記全てのウェハ2が上部純水槽40aにおける純水40より完全に露出された状態となるように乾燥室昇降機構414による乾燥室401の昇降動作が行われる。
【0102】
また、上記第1実施形態のウェハ乾燥装置501における乾燥室201の上端において形成されている複数の三角堰201aと同様な三角堰401aが、例えば一定の間隔でもって乾燥室401の上端全体に形成されており、また、ウェハ乾燥装置201におけるオーバーフロー受部217と同様なオーバーフロー受部417が、乾燥室401の上部外周に設けられている。また、ウェハ乾燥装置501の処理室212及び乾燥室201と同様に、乾燥室401の底部には排液口419が、処理室412の底部には排液口418が設けられている。
【0103】
このような構成のウェハ乾燥装置503において、乾燥室401内において満水状態とされた上部純水槽40aにおける純水40内に浸漬されている各ウェハ2を純水40の液面より露出させる方法について説明する。
【0104】
まず、ウェハ乾燥装置503においては、乾燥室401が乾燥室昇降機構414による昇降動作の上端位置に位置されており、かつ下部純水槽40bにおける純水供給部410より純水が下部純水槽40b内に供給されている状態となっており、乾燥室401内には純水40が満水とされ、上部純水槽40aの純水40内に各ウェハ2が浸漬されている。この状態より、制御装置47により乾燥室昇降機構414が制御されて、乾燥室昇降機構414により乾燥室401の下降動作が開始される。
【0105】
この乾燥室401の下降開始にともない、乾燥室401の純水40の液面側純水が各三角堰401aを介してオーバーフロー受部417内に流入するとともに、オーバーフロー受部417における排液口417aよりオーバーフロー受部417内に流入した上記液面側純水が排液通路を通して排液される。
【0106】
また、純水供給部410よりの純水の供給量は、乾燥室401の下降に伴う上記液面側純水の排液量に応じて、制御装置47により流量計33を用いて第4エアーオペレートバルブ34を制御しながら下部純水槽40bに供給されている。
すなわち、乾燥室401が下降することにより下部純水槽40bにおける容積の増加分に見合った量の純水が、下部純水槽40bに供給されている。従って、上記仕切り板450の周部と乾燥室401の内側との間における上記隙間においては純水の流れがほとんど発生しない。従って、上記乾燥室401の下降によって、上部純水槽40a内の純水のみを乾燥室401に対して相対的に上昇させて排出させることが可能となる。
【0107】
乾燥室昇降機構414による乾燥室401の下降に伴い、上部純水槽40aにおける純水40の液面側純水が乾燥室401の上端よりオーバーフロー受部417へ流入されて排液されて乾燥室401の純水40の液面が下降され、それとともに、処理室412の上部内側に固定されているキャリア固定部409に取り付けられているウェハキャリア13に固定されている各ウェハ2が上記液面上に露出される。全てのウェハ2の下端が乾燥室401の上端よりも上方に位置されたときに、制御装置47により乾燥室昇降機構414による乾燥室401の下降が停止される。
【0108】
また、上記液面側純水の排液に際しては、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様に、上記液面に概ね放射状の表面流れ、あるいはこのような表面流れに代えて、同様に上記2方向の表面流れや上記1方向の表面流れを形成することもできる。また、ウェハ2の乾燥室401に対する相対的な上昇速度がゆっくりとした一定速度となるように制御されていること、及び、ウェハ2とその周囲の純水とが互いに静止した状態にてウェハ2の上記相対的な上昇が行われることにより、ウェハ2の上記液面より上方への露出の際に、上記液面の波立ち(又は揺れ)の発生を防止することができる。よって、上記第1実施形態と同様に、上記液面より上方に露出されるウェハ2の表面への純水の液滴の付着を抑制することができ、上記露出されたウェハ2の表面のは上記純水の水分だけが残留しているのみとさせることができる。従って、上記露出されたウェハ2の表面の水分を、空間4内に充填されている窒素ガスでもって迅速に蒸発させて乾燥させることができる。
【0109】
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態におけるウェハ乾燥装置501のように仕切り板250を上昇させることにより上部純水槽40aの純水をウェハ2とともに上昇させて、上記液面側純水の排液を行うのではなく、仕切り板450及びキャリア固定部409を処理室412に固定させて、乾燥室401を下降させることにより、仕切り板450及びキャリア固定部409を乾燥室401に対して相対的に上昇させて、すなわち、上部純水槽40aの純水をウェハ2とともに乾燥室401に対して相対的に上昇させて、上記液面側純水の排液を行うことができる。従って、上記第1実施形態による効果と同様な効果を得ることができる。
【0110】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明の上記第1態様によれば、乾燥室における純水内に浸漬された基板を上記純水の液面より上に露出させる際に、上記乾燥室の底面からのみの上記純水の排液、及び上記基板自体の上記純水からの引き上げのいずれによるものではなく、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水における液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて行くことにより、上記基板の上記液面よりの露出を行うことができる。これにより、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記液面若しくは上記液面近傍に浮遊している異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0112】
また、このような上記液面側純水の排液は、上記液面において形成される上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れでもって行われ、この上記表面流れは上記基板の表面沿いに形成されているため、上記基板の一部が上記純水の液面よりも上方に露出された場合に、隣接する夫々の上記基板間の上記液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々の基板間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができ、乾燥された上記基板の表面を異物等の付着のない良好な乾燥状態とさせることができる。
【0113】
また、上記純水の液面より上方への上記基板の露出は、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水が上昇されることにより行われる、すなわち、上記基板と上記基板の周囲の上記純水とが互いに相対的に静止された状態において上記上昇が行われることにより、上記純水の液面に目視で確認できるような波立ち(あるいは揺れ)等の発生を防止することができる。さらに、上記基板の上昇速度をゆっくりとした一定の速度とすることにより、上記液面より上方に露出される際の上記基板と上記純水の液面と境界(すなわち界面)において、より効果的に上記波立ちの防止を図ることができる。これにより、上記界面において、上記基板とともに上記基板の表面に付着された純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡させることができ、上記露出される基板の表面に多数の純水の液滴が付着することを抑制することができる。よって、上記基板が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、上記空間内に充填されている不活性ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、従来のようにイソプロピルアルコール(以降、IPAという)を用いて、基板の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような乾燥方式を用いなくても、純水から露出された基板の乾燥処理を行うことができる。
【0114】
また、上記基板乾燥方法においては、上記IPAを用いることなく上記基板の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができ、環境の面からも好ましい基板乾燥方法を提供することができる。
【0115】
また、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させることにより、上記液面側純水の排液を行うため、上記純水中においては、上記純水中に浮遊している異物等を拡散するような流れ(すなわち、渦流等の乱流)の発生を防止することができる。従って、上記基板の露出の際に、上記異物等を拡散するような流れを防止した状態にて、上記液面側純水の排液を行うことができ、上記液面若しくは上記液面近傍において純水中に浮遊している異物等の排出性を良好とすることができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0116】
本発明の上記第2態様によれば、上記態様による効果に加えて、さらに、上記基板の露出の際における上記液面側純水の排液が、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行われることにより、上記基板の露出の際に上記空間の容積を一定に保つことができる。これにより、上記基板の露出開始から露出完了まで上記空間内の不活性ガスの濃度を安定させることができ、上記基板の表面に残留している上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【0117】
本発明の上記第3態様によれば、乾燥室を下降させることにより、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させる場合であっても、上記相対的な上昇を行いながら上記純水の液面もしくは液面近傍より液面側純水の排液を行うことができ、上記第1態様による効果と同様な効果を得ることが可能となる。
【0118】
本発明の上記第4態様によれば、上記不活性ガスとして窒素ガスを用いることにより、その取扱いを容易にすることができる。
【0119】
本発明の上記第5態様によれば、上記基板の露出は、上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われることにより、上記基板の表面に付着した純水(水分)が蒸発された水蒸気を含む上記不活性ガスを上記空間外へ排気させるとともに、上記空間内に新たな上記不活性ガスを供給することができ、上記空間内における上記不活性ガスの水分濃度を略一定に保つことができる。よって、上記露出された基板の表面よりの上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【0120】
本発明の上記第6態様によれば、上記基板がその表面における清浄性等が要求されるウェハ又は液晶ガラス基板である場合において、上記第1態様から第5態様の夫々における効果を得ることができる基板乾燥方法を提供することが可能となる。
【0121】
本発明の上記第7態様によれば、乾燥室における純水内に浸漬された基板を上記純水の液面より上に露出させる際に、上記乾燥室の底面からのみの上記純水の排液、及び上記基板自体の上記純水からの引き上げのいずれによるものではなく、上記排液装置により、上記可動床を上昇させて上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水における液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させ、上記基板の上記液面よりの露出を行うことができる。これにより、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記液面若しくは上記液面近傍に浮遊している異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0122】
また、このような上記液面側純水の排液は、上記液面において形成される上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れでもって行われ、この上記表面流れは上記基板の表面沿いに形成されているため、上記基板の一部が上記純水の液面よりも上方に露出された場合に、隣接する夫々の上記基板間の上記液面側純水の上記表面流れでもって排液することができ、上記夫々の基板間の液面若しくは液面近傍において浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる。従って、上記基板の上記液面よりの露出の際に、上記異物等の上記基板の表面への付着を防止する(又は低減させる)ことができ、乾燥された上記基板の表面を異物等の付着のない良好な乾燥状態とさせることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0123】
また、上記純水の液面より上方への上記基板の露出は、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水が上昇されることにより行われる、すなわち、上記基板と上記基板の周囲の上記純水とが互いに相対的に静止された状態において上記上昇が行われることにより、上記純水の液面に目視で確認できるような波立ち(あるいは揺れ)等の発生を防止することができる。さらに、上記基板の上昇速度をゆっくりとした一定の速度とすることにより、上記液面より上方に露出される際の上記基板と上記純水の液面と境界(すなわち界面)において、より効果的に上記波立ちの防止を図ることができる。これにより、上記界面において、上記基板とともに上記基板の表面に付着された純水を上昇させようとする力と、上記表面に付着される純水を重力及び純水の表面張力により引き戻そうとする力とが均衡させることができ、上記露出される基板の表面に多数の純水の液滴が付着することを抑制することができる。よって、上記基板が露出されても、その表面には少量かつ微細な純水の水分が付着されているのみとさせることができ、上記空間内に充填されている不活性ガスによりこれら微細な純水の水分を迅速に蒸発させることができる。従って、従来のようにイソプロピルアルコール(以降、IPAという)を用いて、基板の表面に付着された純水の液滴を上記IPAに置換させるような基板の乾燥装置を用いなくても、純水から露出された基板の乾燥処理を行うことができる。
【0124】
また、上記第7態様の基板乾燥装置においては、上記IPAを用いることなく上記基板の乾燥処理を行うことができる。従って、これまでIPAを用いるような場合に発生していた問題、つまり、IPAを含んだ排液の処理に多大な労力と費用が費やされるとともに、環境の面からもこのようなIPAを用いることは好ましくないというような問題を解消することができ、環境の面からも好ましい基板乾燥装置を提供することができる。
【0125】
また、上記排液装置により、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させて上記液面側純水の排液を行うため、上記純水中においては、上記純水中に浮遊している異物等を拡散するような流れ(すなわち、渦流等の乱流)の発生を防止することができる。従って、上記基板の露出の際に、上記異物等を拡散するような流れを防止した状態にて、上記液面側純水の排液を行うことができ、上記液面若しくは上記液面近傍において上記純水中に浮遊している異物等の排出性を良好とさせることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0126】
本発明の上記第8態様によれば、上記態様による効果に加えて、さらに、上記基板の露出の際における上記排液装置による上記液面側純水の排液が、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行われることにより、上記基板の露出の際に上記空間の容積を一定に保つことができる。これにより、上記基板の露出開始から露出完了まで上記空間内の不活性ガスの濃度を安定させることができ、上記基板の表面に残留している上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる基板乾燥装置を提供することができる。
【0127】
本発明の上記第9態様によれば、上記乾燥室の底面に備えられかつ上記基板を支持する基板支持機構と、上記乾燥室の上記底面を昇降させる底面昇降装置とをさらに備え、上記底面昇降装置により上記乾燥室の上記底面を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記液面側純水をオーバーフローさせることにより上記表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記液面側純水を排液することができ、上記第7態様又は第8態様による効果を得ることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0128】
本発明の上記第10態様によれば、上記乾燥室において上記純水を上記液面側における上部純水槽と上記乾燥室の底面側における下部純水槽とに区分する可動床と、上記可動床に備えられかつ上記上部純水槽内において上記純水に浸漬された上記基板を支持する基板支持機構と、上記乾燥室の上記可動床を昇降させる可動床昇降装置とをさらに備え、上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記上部純水槽における上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記液面側純水をオーバーフローさせることにより上記表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記液面側純水を排液することができ、上記第7態様又は第8態様による効果を得ることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0129】
本発明の上記第11態様によれば、上記第10態様による効果に付け加えて、さらに、上記可動床昇降装置により上記可動床が上記乾燥室の内側に沿って上昇された場合に、この上昇量に応じて上記下部純水槽の容積増加分に見合った量の純水を純水供給部より上記下部純水槽へ供給するため、上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間には互いに接触しない程度の隙間を有している状態であっても、上記可動床の上昇により上記上部純水槽における上記純水を上昇させて上記液面側純水のみの排液を行うことができる。これにより上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間の上記隙間を埋める(シールする)必要を無くすことができ、上記隙間を埋めた場合に発生するおそれのある摩擦による異物の発生を防止することができ、上記乾燥室の上記純水内での異物発生を防止することができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0130】
さらに、上記可動床の上昇に伴い、上記可動床が上昇することにより上記下部純水槽における容積の増加分に見合った量の純水が、上記下部純水槽に供給されるため、上記可動床の周部と上記乾燥室の内側との間における上記隙間においては純水の流れをほとんど発生させないようにすることができる。従って、上記基板を浸漬している上記上部純水槽においては、上記純水の流れ込みによる渦流等の乱流の発生を無くすことができ、上記液面上における上記液面側純水の上記表面流れでもって、上記露出された上記各基板間の上記液面若しくは上記液面近傍において上記純水中に浮遊している異物等を良好な排出性でもって排出させることができる基板乾燥装置を提供することが可能となる。
【0131】
本発明の上記第12態様によれば、上記排液機構により、上記乾燥室を下降させることにより上記液移動板を上記乾燥室に対して相対的に上昇させ、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させて、上記液面側純水の排液を行うような場合であっても、上記第7態様による効果と同様な効果を得ることが可能となる。
【0132】
本発明の上記第13態様によれば、上記不活性ガスとして窒素ガスを用いることにより、その取扱いを容易にすることができる。
【0133】
本発明の上記第14態様によれば、上記空間内のガスを上記空間外へ排気する排気装置がさらに備えられ、上記基板の露出は、上記不活性ガス供給装置により上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記排気装置により上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われることにより、上記基板の表面に付着した純水(水分)が蒸発された水蒸気を含む上記不活性ガスを上記空間外へ排気させるとともに、上記空間内に新たな上記不活性ガスを供給することができ、上記空間内における上記不活性ガスの水分濃度を略一定に保つことができる。よって、上記露出された基板の表面よりの上記純水の水分の蒸発効率(乾燥効率)を安定化させることができ、上記基板の表面における乾燥むらを防止して、良好な乾燥状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図2】図1のウェハ乾燥装置のF−F断面図である。
【図3】図1のウェハ乾燥装置のG−G断面図である。
【図4】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置の概略構成を示すフロー図である。
【図5】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置の乾燥室上部における(A)は拡大平面図、(B)は(A)の乾燥室上部におけるH−H断面図である。
【図6】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置において、ウェハを液面より上方に露出させている状態の模式説明図であり、(A)はウェハの表面側よりみた状態図、(B)は(A)の側面図である。
【図7】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置におけるウェハ保持具の部分拡大図であり、(A)はウェハの表面側より見た図、(B)は(A)の側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図9】図8のウェハ乾燥装置のI−I断面図である。
【図10】図8のウェハ乾燥装置のJ−J断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態にかかるウェハ乾燥装置の縦断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態の変形例にかかるウェハ乾燥装置の乾燥室の模式説明図である。
【図13】上記第1実施形態のウェハ乾燥装置において、ウェハの上昇を行っている状態の模式説明図であり、(A)はウェハ2がまだ完全に純水中に浸漬されている状態図、(B)はウェハ2の一部が純水の液面より上方に露出されている状態図である。
【図14】図6(A)において、純水の液面に波立ちが発生している場合を仮定した状態の模式説明図である。
【符号の説明】
2…ウェハ、4…空間、5…乾燥ノズル、7…手動弁、8…第2エアーオペレートバルブ、9…キャリア固定部、13…ウェハキャリア、29…減圧弁、30…第1エアーオペレートバルブ、31…流量計、32…手動弁、33…流量計、34…第4エアーオペレートバルブ、35…第3エアーオペレートバルブ、40…純水、40a…上部純水槽、40b…下部純水槽、40c…隆起純水部、40p…液滴、43…排気通路、44…排液通路、45…排液通路、46…排液通路、47…制御装置、201…乾燥室、201a…三角堰、210…純水供給部、211…蓋、212…処理室、213…ウェハ保持具、213a…ウェハ支持部、213b…フレーム、214…仕切り板昇降機構、214a…ボールねじ軸部、214b…駆動部、214c…ナット部、214d…昇降フレーム、214e…ガイド、215…機台、217…オーバーフロー受部、217a…排液口、218…排液口、219…排液口、250…仕切り板、251…仕切り板、251a…シール、301…乾燥室、301a…三角堰、310…純水供給部、311…蓋、312…処理室、314…底部昇降機構、314a…エアシリンダ、314b…昇降ガイド、315…機台、317…オーバーフロー受部、317a…排液口、318…排液口、319…排液口、350…底部、350a…シール、401…乾燥室、401a…三角堰、409…キャリア固定部、410…純水供給部、411…蓋、412…処理室、414…乾燥室昇降機構、414a…エアシリンダ、414b…昇降ガイド、415…機台、417…オーバーフロー受部、417a…排液口、418…排液口、419…排液口、450…仕切り板、501、502、503…ウェハ乾燥装置、T…ウェハの速度ベクトル、S…純水の速度ベクトル、R…波立ちによる速度ベクトル、G…界面、F1及びF2…表面流れ。
Claims (14)
- 夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室(201、301)内の純水(40)の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板(2)を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間(4)内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法。 - 上記基板の露出の際における上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う請求項1に記載の基板乾燥方法。
- 夫々の表面を互いに略平行にかつ乾燥室(401)内の純水(40)の液面と略直交するように配列されて上記純水内に浸漬された複数の基板(2)を上記純水内より露出させて乾燥させる基板乾燥方法において、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間(4)内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させ、
上記乾燥室を下降させて、上記基板とともに上記基板が浸漬されている上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記純水を排液して上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成し、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、
その後、上記空間内において上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を上記不活性ガスにより蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥方法。 - 上記不活性ガスは、窒素ガスである請求項1から3のいずれか1つに記載の基板乾燥方法。
- 上記基板の露出は、上記空間内に上記不活性ガスを供給するとともに、上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排気しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる請求項1から4のいずれか1つに記載の基板乾燥方法。
- 上記基板はウェハ(2)又は液晶ガラス基板である請求項1から5のいずれか1つに記載の基板乾燥方法。
- 互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水(40)の液面と略直交するように配列された複数の基板(2)を上記純水内に浸漬可能な乾燥室(201、301)と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間(4)内に不活性ガスを供給して、上記空間内に不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置(5)と、
上記乾燥室内に昇降可能に備えられた可動床(250、350)を上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置(214、314)とを備えて、
上記排液装置により、上記可動床を上昇させて、上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により充填された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留した上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置。 - 上記基板の露出の際における上記排液装置による上記液面側純水の排液は、上記乾燥室内の上記純水の液面上の上記空間に対する上記液面の高さ位置を固定させた状態にて行う請求項7に記載の基板乾燥装置。
- 上記可動床は上記乾燥室の底面(350)であり、かつ上記排液装置は上記底面を昇降させる底面昇降装置(314)であって、かつ上記基板を支持する基板支持機構(9)をさらに備え、
上記底面昇降装置により上記乾燥室の上記底面を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる請求項7又は8に記載の基板乾燥装置。 - 上記可動床(250)は上記乾燥室において上記純水を上記液面側における上部純水槽(40a)と上記乾燥室の底面側における下部純水槽(40b)とに区分し、上記排液装置は上記可動床を昇降させる可動床昇降装置(214)であって、
上記可動床に備えられかつ上記上部純水槽内において上記純水に浸漬された上記基板を支持する基板支持機構(9)をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させて、上記基板支持機構により支持されている上記基板とともに上記上部純水槽における上記純水を上昇させながら、上記乾燥室の上部において上記表面流れでもって上記液面側純水をオーバーフローさせることにより排液させる請求項7又は8に記載の基板乾燥装置。 - 上記乾燥室の上記下部純水槽に純水を供給する純水供給機構(210)をさらに備え、
上記可動床昇降装置により上記乾燥室の上記可動床を上昇させて上記上部純水槽と上記下部純水槽との区分位置を上昇させるとともに、上記純水供給機構により上記区分位置の上昇に応じて純水を上記下部純水槽に供給させる請求項10に記載の基板乾燥装置。 - 互いに対向する側面を備え、かつ、夫々の表面を互いに略平行にかつ純水(40)の液面と略直交するように配列された複数の基板(2)を上記純水内に浸漬可能な乾燥室(401)と、
上記基板を支持する基板支持機構(409)と、
上記乾燥室内の上記純水の液面上の空間(4)内に不活性ガスを供給して、上記空間内に上記不活性ガスを充填させる不活性ガス供給装置(5)と、
上記乾燥室を下降させることにより、上記乾燥室内に上記乾燥室に対して相対的に昇降可能に備えられた液移動板(450)を相対的に上昇させて、上記基板とともに上記基板を浸漬している上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記純水の液面において、上記液面沿いかつ上記基板の表面沿いの表面流れを形成して、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍より液面側純水を排液させる排液装置(414)とを備えて、
上記排液装置により、上記液移動板とともに上記基板支持機構により支持されている上記基板及び上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させて、上記基板とともに上記純水を上記乾燥室に対して相対的に上昇させながら、上記液面側純水を排液させて、上記基板の表面への上記純水の液滴の付着を抑制するとともに、上記表面流れでもって上記純水の液面若しくは液面近傍に浮遊している異物の上記基板の表面への付着を低減させながら、上記乾燥室内で上記純水から上記基板を上記液面より上方に露出させて、その後、上記不活性ガス供給装置により供給された上記不活性ガスにより、上記空間内に上記露出された基板の表面に残留している上記純水の水分を蒸発させて、上記基板が乾燥されるようにしたことを特徴とする基板乾燥装置。 - 上記不活性ガスは、窒素ガスである請求項7から12のいずれか1つに記載の基板乾燥装置。
- 上記空間内のガスを上記空間外へ排気する排気装置(7、8、及び43)をさらに備え、
上記基板の露出は、上記不活性ガス供給装置により上記不活性ガスを上記空間内に供給するとともに、上記排気装置により上記供給された不活性ガスを上記空間外へ排出しながら、上記空間内に上記不活性ガスを充填させた状態で行われる請求項7から13のいずれか1つに記載の基板乾燥装置。
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