JP2004079317A - 有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の有機電界発光素子の製造方法は、仮支持体上に有機層が形成された転写材料を用い、有機層側が基板の被成膜面に対面するように転写材料を基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより有機層を基板の被成膜面に転写する工程を有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水分及び酸素による影響を受けにくく、発光効率、発光輝度及び耐久性に優れ、かつ製造コストの低減が可能な有機電界発光素子の製造方法、及びそれにより作製された有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電界発光(EL)素子等の有機発光素子は容易に面状発光素子に適用し得るため、新たな光デバイスとして注目されている。具体的には、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視され、多くの開発が行われている。
【0003】
有機電界発光(EL)素子の有機層の多くは蒸着法により製造されている。特開平9−167684号及び特開2000−195665号は、マイカ又はフイルムの仮基板上に予め有機層を均一に蒸着法により形成し、次いで基板と有機層を近接させ、加熱蒸着する方法を提案している。しかしながらこれらの方法には、蒸着法を用いるために製造効率が悪いという問題がある。また蒸着法を用いるために、有機電界発光(EL)用に低分子有機化合物しか使用できないため、フレキシブルなディスプレイ等に用いると耐屈曲性や膜強度等の耐久性が不十分であるという問題があり、特に大面積化した場合に問題になる。
【0004】
低分子化合物をバインダー樹脂に分散させた発光薄膜を用いた高分子型の有機EL素子も知られている。これらの高分子型素子は大面積化にも有利であり、フレキシブルなディスプレイ用途として期待されているが、有機発光薄膜の形成に蒸着法を適応できないため、湿式法により基板上に直接薄膜を形成している。
【0005】
しかし湿式法では、溶液の表面張力により有機薄膜の膜厚均一性が不十分になることや、有機層を積層する場合に各有機層が界面で溶解してしまうという問題がある。このため、この方法により得られた有機電界発光素子には発光効率や素子耐久性に劣るという問題があった。
【0006】
WO 00/41893号は、有機薄膜と光熱変換層を有するドナーシートを用いて、レーザにより熱転写する方法を提案している。ところがWO 00/41893号のような熱転写の場合、有機層の接合界面に気体が巻き込まれ、素子機能が悪化するという問題がある。また有機層の界面の状態に応じて、有機EL素子の発光効率や耐久性、更に発光面の均一性が異なるという問題もある。
【0007】
またプリント技術分野で利用されている熱ヘッドやレーザを用いたパターン状の熱書き込みの場合、熱拡散性によりパターンの周辺に温度分布が生じて、有機薄膜パターンの輪郭がきれいにドナー側から切断されない。このため発光量のばらつきが生じたり、また電気的不良や薄膜破片による欠陥が起こり、更に耐久性も悪くなるという問題がある。また基板と熱ヘッドやレーザとの位置合わせの不良により、歩留まり低下の問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、有機層を簡便に基板上に形成できるとともに、均一性及び良好な接合界面を有する有機電界発光素子を製造する方法及びそれにより作製された有機電界発光素子を提供することであり、特に発光効率、発光輝度及び耐久性に優れた有機EL素子等の有機電界発光素子を効率良く製造する方法、及びそれにより作製された有機電界発光素子を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、下記手段により有機電界発光素子の発光効率、発光輝度及び耐久性が向上することを発見し、本発明に想到した。
【0010】
(1) 仮支持体上に有機層が形成された転写材料を用い、前記有機層側が基板の被成膜面に対面するように前記転写材料を前記基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥がすことにより前記有機層を前記基板の被成膜面に転写する工程を有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
(2) 有機層を有する基板を用い、前記有機層が形成された被成膜面と電極及び/又は有機層が形成された基板を貼り合せる工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
(3) 仮支持体上に有機層が形成された転写材料を用い、前記有機層側が基板の被成膜面に対面するように前記転写材料を前記基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥がすことにより前記有機層を前記基板の被成膜面に転写する工程と、前記有機層が転写された前記被成膜面と電極及び/又は有機層が形成された基板を貼り合せる工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【0011】
(4) 前記貼り合せる工程に用いる2つの基板の少なくとも一方の基板の一部又は全面に、透明又は不透明の導電層を形成することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の方法で作製した有機電界発光素子。
(6) 水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で仮支持体上に有機層を形成することを特徴とする有機電界発光素子用転写材料の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1] 有機電界発光素子(有機EL素子)の製造方法
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、転写工程及び貼り合わせ工程の少なくとも一つの工程を有し、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする。各工程における水分濃度は好ましくは50 ppm以下であり、最も好ましくは30 ppm以下である。また酸素濃度は好ましくは50 ppm以下であり、最も好ましくは10 ppm以下である。本発明に用いる有機電界発光素子用転写材料の製造も上記水分濃度及び酸素濃度と同じ範囲で行うのが好ましい。
【0013】
各工程において水分濃度及び酸素濃度を上記範囲に保つことにより、発光素子内部に残留する水分及び酸素を極力低減することができる。有機電界発光素子は水分により容易に影響を受け耐久性が悪化する。また発光性化合物として燐光発光性化合物を用いる場合には、水分のみならず酸素によっても容易に影響を受け、消光現象により発光効率が低下する。このため、各工程の水分及び酸素濃度を上記範囲内にすることにより有機電界発光素子の発光輝度、発光効率及び耐久性を大幅に向上させることができる。
【0014】
本発明では剥離転写法及び/又は貼り合わせ法を用いて有機電界発光素子を製造する。剥離転写法は、転写材料を加熱及び/又は加圧することにより有機層を軟化させて、基板の被成膜面に接着させた後、仮支持体を剥離することにより有機層だけを被成膜面に残留させる転写方法である。また貼り合せ法は、少なくとも2つの面の界面同士を密着、圧着、融着等により接合する方法である。具体的には被成膜面に転写された有機層と、電極及び/又は有機層が形成された基板とを重ね合せた後、加熱及び/又は加圧することにより有機層を軟化させて、基板上の電極及び/又は有機層に接着させる方法である。本発明に用いる転写方法及び貼合せ方法は、加熱と加圧をそれぞれ単独で使用してもこれらを組み合せて使用してもよい。
【0015】
加熱手段としては、一般に公知の方法を用いることができ、例えばラミネータ、赤外線ヒータ、ローラーヒーター、レーザ、熱ヘッド等を用いることができる。大面積の転写を行う場合、面状加熱手段が好ましく、ラミネータ、赤外線ヒーター、ローラーヒーター等がより好ましい。転写用の温度は特に限定的でなく、有機層の材質や加熱部材によって変更することができるが、一般に40〜250℃が好ましく、更に50〜200℃が好ましく、特に60〜180℃が好ましい。ただし転写用の温度の好ましい範囲は、加熱部材、転写材料及び基板の耐熱性に関係しており、耐熱性が向上すればそれにともなって変化する。加圧手段は特に限定されないが、ガラス等の歪により破壊されやすい基板を用いる場合は、均一に加圧できるものが好ましい。例えば、片方又は両方をゴムにした対ローラーを用いるのが好ましく、具体的にはラミネータ(ファーストラミネータVA−400III(大成ラミネータ(株)製)等)、熱転写プリント用の熱ヘッド等を用いることができる。加圧する場合、界面が均一に接しているのがよい。圧力は特に限定されないが、一般に0.1〜100 MPaが好ましく、更に0.1〜30 MPaが好ましく、特に0.1〜10 MPaが好ましい。
【0016】
有機層は公知の方法を適宜用いて形成することができるが、生産性の観点から湿式法を用いるのが好ましい。湿式法の場合、有機層を転写法により形成しても塗布法、印刷法等により基板上に直接形成してもよく、これらを適宜組合せてもよい。塗布法としては、有機層の乾燥膜厚が200 nm以下で均一な膜厚分布が得られれば特に制限はなく、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルージェンコート法、インクジェット塗布法等が挙げられる。
【0017】
転写法を用いる場合、転写・剥離工程を繰返し行い、複数の有機層を基板上に積層することもできる。複数の有機層は同一の組成であっても異なっていてもよい。同一組成の場合、転写不良や剥離不良による層の抜けを防止することができるという利点がある。また異なる層を設ける場合、機能を分離して発光効率を向上する設計とすることができ、例えば、転写法により被成膜面に、透明又は不透明の導電層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明導電層/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明又は不透明の背面電極を積層することができる。
【0018】
基板に転写した有機層に対して、あるいは先に転写した有機層に転写した新たな有機層に対して、必要に応じて再加熱するのが好ましい。再加熱により有機層は基板又は先に転写した有機層にいっそう密着する。再加熱時に必要に応じて加圧するのが好ましい。再加熱温度は転写温度±50℃の範囲であるのが好ましい。
【0019】
先の転写層が次の転写層に逆転写されないように、先の転写工程と次の転写工程の間で、被成膜面に密着力を向上するような表面処理を施してもよい。このような表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理が挙げられる。表面処理を併用する場合、逆転写しなければ、先の転写材料の転写温度が次の転写材料の転写温度未満であってもよい。
【0020】
転写法に用いる製造装置としては、仮支持体上に有機層を形成した転写材料を送給する装置と、転写材料を加熱しながら基板の被成膜面に押し当てることにより、有機層を基板の被成膜面に転写する装置と、転写後に仮支持体を有機層から引き剥がす装置とを有する装置を用いることができる。製造装置は、転写装置に送給する前に転写材料及び/又は基板を予熱する手段を有するのが好ましい。また転写装置の後段に冷却装置を有するのが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法に用いる装置は特に限定されず、一連の工程において水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気に保つことができる装置であればよい。例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換したグローブボックスと背面電極を形成するための蒸着装置、スパッタ装置等が連結した装置であって、形成した積層体を大気中に暴露せずに次工程に移せるものが好ましい。
【0022】
本発明の製造方法の具体例として、有機層を剥離転写法により形成する場合を説明する。まず、水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の不活性ガス(窒素、アルゴン等)で置換したグローブボックス内で有機層の材料を溶解して塗布液を調製した後、グローブボックス内でスピンコータ等により仮支持体上に塗布し、製膜した有機層を乾燥して転写材料を作製する。一方、グローブボックスに連結した蒸着機の真空チャンバー内に基板支持体を置き、基板支持体上に透明又は不透明の電極を形成する。次に透明又は不透明の電極を形成した基板をグローブボックス内に移す。次いで転写材料の有機層側が基板の被成膜面に対面するように転写材料を基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより有機層を基板の被成膜面に転写する。次に透明又は不透明の背面電極を形成するために基板をグローブボックスに連結した蒸着機に移し、透明又は不透明の背面電極を形成する。得られた積層体を再びグローブボックス内に戻して電極及び背面電極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線し、さらに封止材により封止することにより有機電界発光素子を作製する。
【0023】
[2] 転写材料
(1) 構成
転写材料は仮支持体上に有機層を形成することにより作製する。転写材料は公知の方法を適宜用いて作製することができるが、生産性の観点から湿式法を用いるのが好ましい。有機層を設けた転写材料は、個々独立した転写材料として作製してもよいし、面順次に設けてもよい。すなわち、複数の有機層を1枚の仮支持体に設けてもよい。この転写材料を使用すれば、転写材料の交換の必要なしに、複数の有機層を連続的に形成することができる。
【0024】
また仮支持体上に2層以上の有機層を予め積層した転写材料を使用すれば、1回の転写工程で基板の被成膜面に多層膜を積層することができる。仮支持体上に予め積層する場合、積層される各有機層の界面が均一でないと正孔や電子の移動にムラが生じてしまうので、界面を均一にするために溶剤を慎重に選ぶ必要があり、またその溶剤に可溶な有機層用の有機化合物を選択する必要がある。
【0025】
(2) 仮支持体
本発明に使用する仮支持体は、化学的及び熱的に安定であって、可撓性を有する材料により構成されるべきであり、具体的にはフッ素樹脂[例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)]、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエーテルスルホン(PES)等の薄いシート、又はこれらの積層体が好ましい。仮支持体の厚さは1μm〜300μmが適当であり、更に3μm〜200μmが好ましく、特に3μm〜50μmであるのが好ましい。
【0026】
(3) 仮支持体への有機層の形成
バインダーとして高分子化合物を含む有機層は、湿式法により仮支持体に形成するのが好ましい。これには、有機層用材料を有機溶剤に所望の濃度に溶解し、得られた溶液を仮支持体に塗布する。塗布法としては、有機層の乾燥膜厚が200 nm以下で均一な膜厚分布が得られれば特に制限はなく、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルージェンコート法、インクジェット塗布法等が挙げられる。中でも、ロールツーロールによる生産性の高いエクストルージェンコート法が好ましい。
【0027】
(4) 有機層
有機層は有機EL素子を構成する層であり、有機EL素子に用いることのできる層を意味する。具体的にはそれぞれの特質から発光層、電子輸送層、ホール輸送層、電子注入層、ホール注入層等が挙げられる。有機層は光熱変換層(レーザによる光熱変換が可能となる層)を有しない。また発色性を向上するための種々の層を挙げることができる。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
【0028】
有機層自体又はその中の成分のガラス転移温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ましく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ましく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。また転写材料の有機層自体又はその中の成分の流動開始温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ましく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ましく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。また流動開始温度は、例えば島津製作所(株)製のフローテスターCFT−500を用いて測定することができる。
【0029】
(a) 発光層
発光層は少なくとも一種の発光性化合物を含有する。発光性化合物は特に限定的ではなく、蛍光発光性化合物であっても燐光発光性化合物であってもよい。また蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。本発明においては、発光輝度及び発光効率の点から燐光発光性化合物を用いるのが好ましい。なお、以下「誘導体」という用語はその化合物自身及びその誘導体を意味する。
【0030】
蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、金属錯体(8−キノリノール誘導体の金属錯体、希土類錯体等)、高分子発光性化合物(ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等)等が使用できる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
燐光発光性化合物は、好ましくは三重項励起子から発光することができる化合物であり、オルトメタル化錯体及びポルフィリン錯体が好ましい。ポルフィリン錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。燐光発光性化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明でいうオルトメタル化錯体とは、山本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」,150頁及び232頁,裳華房社(1982年)、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」,71〜77頁及び135〜146頁,Springer−Verlag社(1987年)等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタル化錯体を形成する配位子は特に限定されないが、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体又は2−フェニルキノリン誘導体であるのが好ましい。これら誘導体は置換基を有してもよい。またこれらのオルトメタル化錯体形成に必須の配位子以外に他の配位子を有していてもよい。オルトメタル化錯体を形成する中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用可能であり、本発明ではロジウム、白金、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることができる。このようなオルトメタル化錯体を含む有機薄膜層は、発光輝度及び発光効率に優れている。オルトメタル化錯体については、特願2000−254171号に具体例が記載されている。
【0033】
本発明で用いるオルトメタル化錯体は、Inorg.Chem.1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁、同1994年, 33号, 545頁、Inorg. Chim. Acta 1991年, 181号, 245頁、J.Organomet.Chem.1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等に記載の公知の方法により合成することができる。
【0034】
発光層中の発光性化合物の含有量は特に制限されないが、例えば0.1〜70質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。発光性化合物の含有量が0.1質量%未満であるか又は70質量%を超えると、その効果が十分に発揮されないことがある。
【0035】
発光層は必要に応じてホスト化合物、ホール輸送材料、電子輸送材料、電気的に不活性なポリマーバインダー等を含有してもよい。なおこれらの材料の機能は1つの化合物により同時に達成できることがある。例えば、カルバゾール誘導体はホスト化合物として機能するのみならず、ホール輸送材料としても機能する。
【0036】
ホスト化合物とは、その励起状態から発光性化合物へエネルギー移動が起こり、その結果その発光性化合物を発光させる化合物である。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、ポリシラン化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。ホスト化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。発光層におけるホスト化合物の含有量は0〜99.9質量%が好ましく、0〜99.0質量%がより好ましい。
【0037】
ホール輸送材料は、陽極からホールを注入する機能、ホールを輸送する機能、及び陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されず、低分子材料であっても高分子材料であってもよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、ポリシラン化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。発光層におけるホール輸送材料の含有量は0〜99.9質量%が好ましく、0〜80.0質量%がより好ましい。
【0038】
電子輸送材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入されたホールを障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。発光層における電子輸送材料の含有量は0〜99.9質量%が好ましく、0〜80.0質量%がより好ましい。
【0039】
ポリマーバインダーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が使用可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。ポリマーバインダーを含有する発光層は、湿式製膜法により容易に大面積に塗布形成することができる。
【0040】
発光層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがある。一方10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
【0041】
(b) ホール輸送層
有機電界発光素子は、必要に応じて上記ホール輸送材料からなるホール輸送層を有してよい。ホール輸送層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。ホール輸送層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
【0042】
(c) 電子輸送層
有機電界発光素子は、必要に応じて上記電子輸送材料からなる電子輸送層を有してもよい。電子輸送層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。電子輸送層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
【0043】
有機層を湿式製膜法により塗布形成する場合、有機層の材料を溶解して塗布液を調製するのに用いる溶剤は特に制限はなく、ホール輸送材料、オルトメタル化錯体、ホスト化合物、ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、ハロゲン系溶剤(クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等)、エーテル系溶剤(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。有機層用塗布液における固形分量は特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0044】
複数の有機層を形成する場合、転写法以外に蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法、印刷法等を併用することもできる。
【0045】
[3] 有機電界発光素子
(1) 構成
有機電界発光素子の全体構成は、基板支持体に透明又は不透明の導電層/発光層/背面電極、透明導電層/発光層/電子輸送層/透明又は不透明の背面電極、透明又は不透明の導電層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/透明又は不透明の背面電極、透明又は不透明の導電層/ホール輸送層/発光層/透明又は不透明の背面電極、透明又は不透明の導電層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明又は不透明の背面電極、透明又は不透明の導電層/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明又は不透明の背面電極等をこの順に積層した構成、これらを逆に積層した構成等であってよい。発光層は蛍光発光性化合物及び/又は燐光発光性化合物を含有し、通常透明導電層から発光が取り出される。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
【0046】
(2) 基板支持体
基板支持体は、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子材料、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔やポリイミド、液晶性ポリマーのプラスチックシート等からなるものであってよい。本発明では壊れにくさ、折り曲げやすさ、軽さ等の観点から、可撓性のある基板支持体を用いるのが好ましい。このような基板支持体を形成する材料としては、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性及び加工性に優れ、且つ低通気性及び低吸湿性であるポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、金属箔(アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等)、液晶性ポリマーのプラスチックシート、フッ素原子を含む高分子材料(ポリクロロトリフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等)等が好ましい。
【0047】
基板支持体の電極側の面、電極と反対側の面又はその両方に透湿防止層(ガスバリア層)を設けてもよい。透湿防止層を構成する材料としては窒化ケイ素、酸化ケイ素等の無機物を用いるのが好ましい。透湿防止層は高周波スパッタリング法等により成膜できる。また基板支持体には必要に応じてハードコート層やアンダーコート層を設けてもよい。
【0048】
また、金属箔の片面又は両面に絶縁層を設けた基板が好ましい。金属箔は特に限定されず、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いることができる。中でも加工の容易さ及びコストの観点からアルミニウム箔又は銅箔が好ましい。絶縁層は特に限定的でなく、例えば無機酸化物や無機窒化物等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコ−ルカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリイミド、等のプラスチックにより形成することができる。
【0049】
基板支持体の水分透過率は0.1 g/m2・day以下であるのが好ましく、0.05 g/m2・day以下であるのがより好ましく、0.01 g/m2・day以下であるのが特に好ましい。また、酸素透過率は0.1 ml/m2・day・atm以下であるのが好ましく、0.05 ml/m2・day・atm以下であるのがより好ましく、0.01 ml/m2・day・atm以下であるのが特に好ましい。水分透過率はJIS K7129B;1992法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。酸素透過率はJIS K7126B;1987法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。このようにすることにより、有機電界発光素子内に耐久性悪化の原因となる水分や酸素の侵入を防ぐことが可能となる。
【0050】
(3) 電極(陰極又は陽極)
透明導電層も背面電極もどちらでも陰極又は陽極として用いることができ、いずれかは有機電界発光素子を構成する組成によって決まる。
【0051】
(a) 陽極
陽極は、通常有機化合物層に正孔を供給する機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的等に応じて公知の電極から適宜選択することができる。
【0052】
陽極を形成する材料としては、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、これらの混合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4.0 eV以上の材料を用いる。具体例としては、アンチモン、フッ素等をドープした酸化スズ(ATO、FTO)、半導性金属酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等)、金属(金、銀、クロム、ニッケル等)、これら金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、無機導電性物質(ヨウ化銅、硫化銅等)、有機導電性材料(ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等)及びこれとITOとの積層物等が挙げられる。
【0053】
陽極は印刷法、コーティング法等の湿式方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方法、CVD法、プラズマCVD法等の化学的方法等によって基板支持体上に形成することができる。形成方法は陽極材料との適性を考慮して適宜選択すればよい。例えば、陽極の材料としてITOを用いる場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を用いればよい。また陽極の材料として有機導電性化合物を用いる場合には、湿式製膜法を用いてよい。
【0054】
陽極の形成位置は有機電界発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択してよいが、基板支持体上に形成するのが好ましい。このとき陽極は基板支持体の表面全体に形成しても一部のみに形成してもよい。
【0055】
陽極のパターニングはフォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザ等を用いた物理的エッチング等により行うことができる。またマスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法、リフトオフ法、印刷法等によりパターニングしてもよい。
【0056】
陽極の厚さはその材料に応じて適宜選択すればよいが、通常10 nm〜50μmであり、好ましくは50 nm〜20μmである。陽極の抵抗値は103Ω/□以下とするのが好ましく、102Ω/□以下とするのがより好ましい。陽極は無色透明であっても有色透明であってもよい。陽極側から発光を取り出すためには、その透過率は60%以上とするのが好ましく、70%以上とするのがより好ましい。透過率は分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0057】
また「透明導電膜の新展開」(沢田豊監修、シーエムシー刊、1999年)等に詳細に記載されている電極も本発明に適用できる。特に耐熱性の低いプラスチック基板支持体を用いる場合は、陽極としてITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜するのが好ましい。
【0058】
(b) 陰極
陰極を形成する材料としては、金属単体や、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4.5eV以下の材料を用いる。具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、希土類金属(イッテルビウム等)等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点から2種以上を併用するのが好ましい。
【0059】
これらの中でも、電子注入性の観点からはアルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性の観点からはアルミニウムを主体とする材料が好ましい。ここでアルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独のみならず、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金(例えばリチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金等)又は混合物を指す。
【0060】
陰極側から光を取り出す場合、透明陰極を使用する必要がある。透明陰極は光に対して実質的に透明であればよい。電子注入性及び透明性を両立させるためには、薄膜の金属層と透明な導電層の2層構造とすることもできる。なお、薄膜金属層の材料については、特開平2−15595号、特開平5−121172号に詳述されている。薄膜の金属層の厚さは1〜50 nmであることが好ましい。1nm以下であると、均一に薄膜層を製膜することが混難になる。また50 nmよりも厚いと光に対する透明性が悪くなる。
【0061】
透明導電層に用いる材料としては、導電性又は半導性を有する透明材料であれば特に限定されず、上記陽極に使用した材料を好ましく用いることができる。好ましい材料としては、アンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等を挙げることができる。透明導電層の厚さは30〜500 nmであるのが好ましい。透明導電層が30 nmより薄いと導電性又は半導性が劣り、また500nmより厚いと生産性が悪い。
【0062】
陰極の形成法は限定的ではなく、公知の方法を採用することができるが、真空機器内で行うのが好ましい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等から陰極の材料との適性を考慮して適宜選択する。例えば、陰極の材料として金属等を選択する場合、1種又は2種以上の金属を同時に又は順次スパッタ法等に従って行うことができる。また、有機伝導性材料を用いる場合、湿式製膜法を用いてもよい。
【0063】
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザー等を用いた物理的エッチング、マスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法、又はリフトオフ法や印刷法により行うことができる。
【0064】
陰極と有機層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚さで挿入してもよい。誘電体層は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0065】
(4) パターニング
微細パターン状有機層の形成には、微細パターン状の開口部を有するマスク(微細マスク)を使用する。マスクの材質は限定的でないが、金属、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂等の耐久性があって安価なものが好ましい。またこれらの材料を組み合わせて使用することもできる。また機械的強度及び有機層の転写精度の観点から、マスクの厚さは2〜100μmであるのが好ましく、5〜60μmであるのがより好ましい。
【0066】
転写材料の有機層が正確にマスクの開口部の形状通りに下地の透明導電層又は他の有機層に接着するように、マスク開口部は基板側より転写材料側の方が大きくなるようにテーパしているのが好ましい。
【0067】
また、凹凸パターンが形成された転写材料の表面を基板に重ね合わせ、転写材料の凸部に形成された有機層を基板上に転写するパターニング方法も好ましい。転写材料の仮支持体の上に形成された有機層の表面に所定のパターンの凹凸が形成された押圧部材を押圧することにより、押圧部材の凹凸に対応するパターンを転写材料の表面に形成することができる。転写材料は異なる組成の有機層により複数の転写材料を形成してもよい。従って、基板上に複数の転写材料を用いて転写を繰り返すことにより、複数の異なる組成の有機層が形成されたパターン状有機層を作製することができる。
【0068】
(5) その他の層
有機電界発光素子を構成する層として、発光性能の劣化を防止するために保護層や封止層を設けるのが好ましい。さらに転写材料においては発光性能に影響しなければ、転写性を向上するために仮支持体と有機層の間に剥離層を設けたり、有機層と被成膜面の間に接着層を設けてもよい。
【0069】
(a) 保護層
有機電界発光素子は、特開平7−85974号、同7−192866号、同8−22891号、同10−275682号、同10−106746号等に記載の保護層を有していてもよい。保護層は有機電界発光素子の最上面に形成する。ここで最上面とは、例えば基板支持体、透明導電層、有機層及び背面電極をこの順に積層する場合には背面電極の外側表面を指し、また例えば基板支持体、背面電極、有機層及び透明導電層をこの順に積層する場合には透明導電層の外側表面を指す。保護層の形状、大きさ、厚さ等は特に限定的でない。保護層をなす材料は、水分や酸素等の有機電界発光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透過するのを抑制する機能を有しているものであれば特に限定されず、例えば一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム等が使用できる。
【0070】
保護層の形成方法は特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等が適用できる。
【0071】
(b) 封止層
有機電界発光素子には水分や酸素の侵入を防止するための封止層を設けるのが好ましい。封止層を形成する材料としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン又はジクロロジフルオロエチレンと他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金属(In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等)、金属酸化物(MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等)、金属フッ化物(MgF2、LiF、AlF3、CaF2等)、液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、液状フッ素化炭素に水分や酸素の吸着剤を分散させたもの等が使用可能である。
【0072】
外部からの水分や酸素を遮断する目的で、有機層を封止板、封止容器等の封止部材により封止するのが好ましい。封止部材を背面電極側のみに設置しても、発光積層体全体を封止部材で覆ってもよい。有機層を封止でき外部の空気を遮断することができれば、封止部材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されない。封止部材に用いる材料としては、ガラス、ステンレススチール、金属(アルミニウム等)、プラスチック(ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート等)、セラミック等が使用できる。
【0073】
封止部材を発光積層体に設置する際には、適宜封止剤(接着剤)を用いてもよい。発光積層体全体を封止部材で覆う場合は、封止剤を用いずに封止部材同士を熱融着してもよい。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
【0074】
さらに封止容器と有機電界発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を挿入してもよい。水分吸収剤は特に限定されず、具体例としては酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体としてはパラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶剤(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル類等が使用可能である。
【0075】
有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流電圧(必要に応じて交流成分を含んでもよい)(通常2〜40V)、又は直流電流を印加することにより、発光させることができる。有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号等に記載の方法を利用することができる。
【0076】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
実施例1
(1) 基板Aの作製
基板支持体として厚さが0.5 mmのガラス板を2.5 cm角に切断し、蒸着機の真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板支持体温度100℃、酸素圧1×10−3 Pa)により、厚さ0.2μmのITO薄膜からなる透明電極(陽極)を形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10 Ω/□であった。
【0078】
次に、透明電極を形成したガラス板を蒸着機に連結したグローブボックス(水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスで置換したもの)に移し、透明電極(ITO)よりアルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極を形成したガラス板を洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコール(IPA)により洗浄した後、酸素プラズマ処理を行った。処理した透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、連結した真空チャンバー内に移し、150℃で2時間真空乾燥して厚さ100 nmのホール輸送層を形成した。
【0079】
(2) 転写材料Mの作製
上記グローブボックス内で、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製)からなる仮支持体の片面上に、下記組成:
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
を有する発光層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ40 nmの発光層を仮支持体上に形成した。
【0080】
(3) 有機電界発光素子の作製
ホール輸送層を形成した基板Aをグローブボックス内に戻し、基板Aのホール輸送層の上面に転写材料Mの発光層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05 m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、ホール輸送層の上面に発光層を形成した基板MAを作製した。ハンディータイプのUVランプ(フナコシ(株)製、UVGL−25)により254 nmの紫外線を照射し、発光層が均一に形成されていることを目視で確認した。
【0081】
発光層が形成された基板MAを連結した蒸着機に移し、発光層に電子輸送剤として下記構造の化合物Aを1nm/秒の速度で蒸着し、0.036μmの電子輸送層を設けた。さらにこの上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着法によりLiFを3nm製膜した(電子注入層)。さらにAlを0.3μm蒸着して背面電極(陰極)を形成し、積層構造体を得た。
【0082】
化合物A
【化1】
【0083】
得られた積層構造体を蒸着機に連結したグローブボックス内に戻し、背面電極よりアルミニウムのリード線を結線した。さらに紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ(株)製、XNR5493)を用い、ガラス製の封止容器で封止して有機EL素子を作製した。
【0084】
得られた有機EL素子を以下の方法により評価した。東洋テクニカ(株)製ソースメジャーユニット2400型を用い、有機EL素子に直流電圧を印加して発光させた。その時の最高輝度をLmax、Lmaxが得られた時の電圧をVmaxとした。また、200 Cd/m2時の発光効率を外部量子効率(η200)、2000 Cd/m2時の発光効率を外部量子効率(η2000)とした。さらに、保存耐久性を評価する目的で、85℃、95%RHの条件下で30日保存し、30日保存後のLmax(30)、Vmax(30)、η200(30)及びη2000(30)を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
実施例2
グローブボックス内を、水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスの代わりに水分濃度70 ppm及び酸素濃度80 ppmのアルゴンガスで置換した以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0086】
実施例3
グローブボックス内を、水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスの代わりに水分濃度100 ppm及び酸素濃度100 ppmのアルゴンガスで置換した以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0087】
実施例4
(1) 基板Bの作製
厚さ30μmのアルミニウム箔の両面にポリイミドシート(ユーピレックス50S、厚さ50μm、宇部興産(株)製)を接着剤を用いてラミネートし、グローブボックス(水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスで置換したもの)内で洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコール(IPA)により洗浄した後、酸素プラズマ処理を行った。処理した基板を連結した蒸着機に移し、酸素プラズマ処理を行った片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1 mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの背面電極(陰極)を形成した。更に電子注入層として、膜厚3nmのLiFをAl層と同パターンで蒸着した。電極及び電子注入層を形成した基板をグローブボックス内に移し、Al電極よりアルミニウムのリード線を結線した。基板を再度蒸着機に移し、LiF上に電子輸送材として上記化合物Aを1nm/秒の速度で蒸着して厚さ0.036μmの電子輸送層を設けた。
【0088】
(2) 基板MAの作製
実施例1と同様にして発光層を形成した基板MAを作製した。
【0089】
(3) 有機電界発光素子の作製
上記グローブボックス内で基板MAの発光層が転写された被成膜面と基板Bの電子輸送層が対面するように基板MAと基板Bを重ね合わせ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05 m/minで加熱・加圧し、貼り合せた。次いで背面電極よりアルミニウムのリード線を結線して積層構造体を作製した。さらに紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ(株)製、XNR5493)を用い、ガラス製の封止容器で封止して有機EL素子を作製した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0090】
実施例5
(1) 基板Cの作製
グローブボックス(水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスで置換したもの)内で実施例1と同様にしてホール輸送層を形成した基板Aを作製した。得られた基板Aのホール輸送層上に下記組成:
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
を有する発光層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13 nmの発光層を形成した。
【0091】
(3) 有機電界発光素子の作製
上記グローブボックス及びそれに連結した蒸着機で実施例4と同様にして基板Bを作製した。次に得られた基板Bを蒸着機からグローブボックス内に戻し、基板Cの発光層が形成された被成膜面と基板Bの電子輸送層が対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3 MPa、0.05 m/minで加熱・加圧し、貼り合せた。次いで透明電極及び背面電極よりそれぞれアルミニウムのリード線を結線して積層構造体を作製した。得られた積層構造体を紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ(株)製、XNR5493)を用い、ガラス製の封止容器で封止して有機EL素子を作製した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0092】
比較例1
グローブボックス内を、水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスの代わりに水分濃度200 ppm及び酸素濃度30 ppmのアルゴンガスで置換した以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0093】
比較例2
グローブボックス内を、水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスの代わりに水分濃度30 ppm及び酸素濃度200 ppmのアルゴンガスで置換した以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0094】
比較例3
転写材料Mの作製工程及び転写工程をグローブボックス(水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスで置換したもの)内で行う代わりに空気中で行った以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0095】
比較例4
封止工程をグローブボックス(水分濃度30 ppm及び酸素濃度30 ppmの窒素ガスで置換したもの)内で行う代わりに空気中で行った以外実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
実施例1〜5で作製した有機EL素子は、比較例1〜4で作製した有機EL素子に比べ最高輝度をLmax及び外部量子効率(η200、η2000)が高く、30日後においてもこれらの低下が小さかった。このため、本発明の方法で作製した有機電界発光素子は発光効率、発光輝度及び耐久性に優れていることがわかる。
【0098】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の有機電界発光素子は、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことにより、優れた発光効率、発光輝度及び耐久性を有する。また剥離転写法及び/又は貼り合わせ法を用いることにより生産性よく、低コストで製造できる。本発明では転写材料を用いて有機層を形成するため、基板や有機層に欠陥等(表面の平滑性等の物理的欠陥)が存在しても欠陥の影響が低減され、面状発光が良好になる等の効果を有する。さらに、貼り合わせ法を用いることにより層同士の密着性がよく、欠陥が少なく、耐久性に優れる。
Claims (5)
- 仮支持体上に有機層が形成された転写材料を用い、前記有機層側が基板の被成膜面に対面するように前記転写材料を前記基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥がすことにより前記有機層を前記基板の被成膜面に転写する工程を有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
- 有機層を有する基板を用い、前記有機層が形成された被成膜面と電極及び/又は有機層が形成された基板を貼り合せる工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
- 仮支持体上に有機層が形成された転写材料を用い、前記有機層側が基板の被成膜面に対面するように前記転写材料を前記基板に重ねて加熱及び/又は加圧し、前記仮支持体を引き剥がすことにより前記有機層を前記基板の被成膜面に転写する工程と、前記有機層が転写された前記被成膜面と電極及び/又は有機層が形成された基板を貼り合せる工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、各工程を水分濃度100 ppm以下、かつ酸素濃度100 ppm以下の雰囲気中で行うことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記貼り合せる工程に用いる2つの基板の少なくとも一方の基板の一部又は全面に、透明又は不透明の導電層を形成することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で作製した有機電界発光素子。
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2002
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