JP2004077327A - 流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断面形状が種々形状の細管2に測定する流体を流通させ、流体を層流状態に保持する。細管2の両端に発生した差圧を差圧検出手段3によって計測する。非定常流量算出手段41には、予め測定された単位ステップ差圧入力に対する流量応答と検出された差圧との畳み込み積分を行う演算式が設定されており、この演算式によって流量を算出する。層流助走区間による補正を考慮する必要がないので、簡単な構成で応答性よく非定常流の流体の流量を測定することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流量を計測する流量計に関する。より詳しくは、気体や液体などの流体の非定常流の流量を、差圧を利用して計測する流量計に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、定常流の流体の流量を計測する流量計に、差圧式流量計がある。これは、流体が流通する管路内に絞りや細管などの抵抗を設けて差圧を発生させ、その差圧から流体の流量を計算するものである。流量を計算する際には、絞りや細管内を流体が層流状態で流れているという条件下で、ハーゲン・ポワズイユの法則を利用する。つまり、このような条件下では流量と差圧とは比例関係にあるので、差圧を計測すれば流量を算出することができる。
【0003】
このような流量計では、絞りや細管内での流体の流速分布は、全長にわたって放物線状になるポワズイユ流れであることが前提となっている。ところが、実際には絞りや細管内に流体が導入される最初の部分では流速分布が十分に発達せず、放物線状とならない層流助走区間がある。そこで、定常流の流量計ではこの層流助走区間を考慮に入れて補正値を定め、流量の計算値を補正している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、流体の流れが非定常流の場合には、流量が刻一刻と変化するので層流助走区間が一定とならない。したがって、従来のような定常流用の流量計では補正値を一定に定めることができず、計算値の補正をすることができないので、非定常流の流量を計測することができない。
厳密に層流助走区間での差圧と流量との関係を数値計算により求め、この関係を用いて演算を行うことも考えられる。しかしながら、この方法では、演算が複雑になってしまい、応答性に問題が生じる可能性があり、実用的でない。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成で非定常流の流体の流量を測定できる流量計を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明の流量計は、流体の流路の途中に設けられ、流体の流れを層流状態に保つ少なくとも一つの層流形成流路と、層流形成流路の両端における流体の差圧を検出する差圧検出手段と、差圧検出手段によって検出された差圧から流体の流量を求める演算手段とを備え、演算手段は、予め測定された基準差圧入力に対する流体の挙動応答に基づいて、差圧検出手段によって検出された差圧から非定常流の流体の流量を算出する非定常流量算出手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成の流量計では、層流形成流路を少なくとも一つ設けているので、層流形成流路内の流体の流れが層流状態に保たれ、差圧検出手段で検出された差圧と流量との間にハーゲン・ポワズイユの法則が適用可能となる。よって、検出が簡単な差圧から流量を算出することが可能となり、流量計の構成が簡単になる。
また、この構成の流量計では、非定常流量算出手段が、予め測定された基準差圧入力に対する流体の挙動応答に基づいて、非定常流の流量を算出する。つまり、予め基準差圧入力に対する流体の挙動応答を測定しておけば、任意の層流助走区間を有する発達していない流れにおける差圧から、層流形成流路内の全長において流速分布が放物線状となる発達した流れにおける流体の流量が算出される。これにより、簡単な構成で非定常流の流体の流量が測定可能となる。
【0008】
この時、層流形成流路は、細管状に構成されていることが望ましい。
この構成の流量計では、層流形成流路が細管状に構成されているので、内部を流れる流体がより簡単かつ確実に層流状態に保たれる。また、これにより、流体を層流状態に保つことが容易なので様々な種類の流体に適用可能となり、流量計の適用範囲が広くなる。
【0009】
そして、層流形成流路が一つの場合には、その断面形状は、円形、六角形、四角形および三角形のいずれかであり、層流形成流路が複数の場合には、その断面形状は円形、六角形、四角形および三角形のいずれかか、これらの形状の組み合わせであることが望ましい。
この構成の流量計では、層流形成流路の断面形状が適切に設定されているので、内部を流通する流体の層流状態が確実に保持される。したがって、本発明の流量計は様々な種類の流体に適用可能となり、適用範囲が広くなる。
【0010】
本発明の流量計の非定常流量算出手段は、予め測定された単位ステップ差圧入力に対する流体の流量応答と、差圧検出手段により検出された層流形成流路両端の流体の差圧との畳み込み積分を行うことによって非定常流の流体の流量を算出することが望ましい。
この構成の流量計では、予め単位ステップ差圧入力に対する流体の流量応答を測定しておけば、畳み込み積分を行うことによって任意に変化する差圧入力に対する流量が算出される。よって、流体の流れが非定常流であっても流量の計測が簡単かつ高精度に実現される。また、非定常流量算出手段が畳み込み積分によって流量を算出するので、演算が簡単となり、演算手段の処理能力が問題となることなく、応答性が良好となる。
【0011】
あるいは、本発明の流量計の非定常流量算出手段は、差圧検出手段より検出された流体の差圧から、予め測定され設定された一次遅れ要素を介して非定常流の流体の流量を算出することが望ましい。
この構成の流量計では、予め単位ステップ差圧入力に対する流量の挙動応答から、一次遅れ要素の伝達関数を設定しておく。これにより、非定常流量算出手段が畳み込み積分を行う場合と同様に、任意に変化する差圧入力に対する流量が算出される。よって、流体の流れが非定常流であっても流量の計測が簡単かつ高精度に測定される。また、非定常流量算出手段が一次遅れ要素を介して流量を算出するので、演算が簡単となり、演算手段の処理能力が問題となることなく、応答性が良好となる。さらに、一次遅れ要素を含んだ制御系は、前述の畳み込み積分を用いて算出する場合に比べてさらに簡単な制御系なので、より実現が簡単である。
【0012】
本発明の流量計は、流体の温度を検出する温度検出手段と、流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、演算手段は、温度検出手段より検出された流体の温度と、圧力検出手段より検出された流体の圧力とから流体の粘度を算出し、粘度の変化による流量への影響を補正する粘度補正手段を備えていることが望ましい。
この構成の流量計では、粘度補正手段が流体の温度および圧力から流体の粘度を計算して逐次補正するので、粘度の変化による流量への影響が除去される。したがって、流量の計測がより正確になる。
【0013】
また、本発明の流量計は、流体の温度を検出する温度検出手段と、流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、演算手段は、温度検出手段より検出された流体の温度と、圧力検出手段より検出された流体の圧力とから、流体の質量流量あるいは所定の基準状態における体積流量を算出する基準流量算出手段を備えていることが望ましい。
この構成の流量計では、基準流量算出手段が非定常流量算出手段により算出された体積流量を質量流量あるいは所望の基準状態における体積流量に換算する。よって、予め所定の基準状態を設定しておけば流量の計測と同時に所望の条件での流量が算出されるので、計測された流量からの換算の作業が省略され、測定が簡略化される。
【0014】
さらに、本発明の流量計は、実流校正によって流量の校正係数が調整されていることが望ましい。
この構成の流量計では、製造工程などで生じる個々の計測誤差を予め実流校正によって調整しているので、流量計自身が有する計測誤差が最小限に抑えられ、より精度の高い計測が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第二実施形態以降において、以下に説明する第一実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
【0016】
〔第一実施形態〕
図1には、第一実施形態の流量計1の概略図が示されている。
この図1において、流量計1は、内部を流体が層流状態で流通する層流形成流路としての細管2と、この細管2の両端に生じる差圧を検出する差圧検出手段3と、差圧検出手段3によって検出された差圧から非定常流の流量を算出する演算手段4とを備えている。また、流量計1は、細管2に流通する前の流体の圧力を検出する圧力検出手段5と、圧力検出手段5の圧力検出位置と同じ位置における流体の温度を検出する温度検出手段6とを備えている。
【0017】
細管2は、断面円形のチューブ状部材で構成され、互いに平行に複数個設けられている。これらの細管2は、千鳥状に組み合わされ、かつそれぞれの隙間が埋め合わされて、全体として円柱の外形形状となっている。細管2の両端は、管21および管22に嵌入され、それぞれの接続部分が密封されている。管21および管22の細管2と接続していない側の端部には、例えばフランジ部分などが形成されており、これらのフランジ部分において測定対象の流体が流通する流路としての管などに接続可能となっている。したがって、管21に流入した流体は細管2で流路が分散され、管22において合流した後に反対側に流出するようになっている。
【0018】
ここで、細管2の断面寸法や長さ寸法は、内部を流体が層流状態で流通するように設定されており、本実施形態では次のようにして設定される。
流量計1の応答性を特徴づける時定数パラメータTν であるフーリエ数は、次の式で表される。
【0019】
【数1】
【0020】
ここで、ν は流体の動粘度、Rは細管の半径である。
この式において、測定する流体の動粘度νと、目標とする流量計1の応答性とが決定されれば、細管2の半径が定まる。例えば、流体として空気の流量を測定する場合を考えた場合では、Tνが5msの応答を目標とし、空気の動粘度νを0.15とすると、この式より細管2の断面形状が円形である場合の半径Rは約3mmと決定される。
また、細管2の長さ寸法は、流体の物理的性質や、流体の変動周波数、検出差圧範囲、測定流量範囲等を勘案して、適宜決定される。
【0021】
差圧検出手段3は、一端の圧力導入口が細管2の上流である管21に設けられ、また他端の圧力導入口は細管2の下流の管22に設けられている。これにより差圧検出手段3は、管21内の流体の圧力と、管22内の流体の圧力との差圧、つまり細管2の両端に発生する差圧を検出する。この差圧検出手段3は、演算手段4と電気的に接続されており、細管2を挟んで発生した差圧を検出して、圧力信号を演算手段4に送信している。
なお、差圧検出手段3としては、液柱差式や、弾性式、沈鐘式、環状天秤式などの任意の測定原理を用いたものが採用できる。
【0022】
圧力検出手段5は、管21に設けられ、演算手段4に電気的に接続されている。この圧力検出手段5は、管21を流れる流体の圧力、つまり、細管2上流の流体の圧力を検出し、その圧力信号を演算手段4に送信している。
また、温度検出手段6は、管21の、圧力検出手段5が設けられている場所とほぼ同じ位置に設けられ、演算手段4に電気的に接続されている。この温度検出手段6は、管21を流れる流体の温度を検出し、その温度信号を演算手段4に送信している。
【0023】
演算手段4は、細管2両端の流体の差圧から非定常流の流量を算出する非定常流量算出手段41と、流体の粘度変動による流量への影響を補正する粘度補正手段42と、算出された流量を所望の基準状態における流量に換算する基準流量算出手段43とを備えている。
【0024】
非定常流量算出手段41は、差圧検出手段3によって検出された差圧の信号を受信し、この差圧の信号から流量を算出する。この際、非定常流量算出手段41は、検出された差圧と、予め測定された単位ステップ差圧入力に対する流量応答との畳み込み積分を行う。単位ステップ差圧入力に対する流量応答は、等温チャンバーを備えた非定常流発生装置を用いて実験によって求められる。
【0025】
ここで、非定常流発生装置は、等温チャンバー内の圧力を半導体式圧力センサで測定し、圧力変化を空気圧サーボ弁で制御することによって任意の基準となる非定常振動流が発生可能となっている。この非定常流発生装置を用いて測定する流体が流通する細管2に単位ステップ差圧を発生させる。この時の細管2内での圧力の時間変化は、図2に示されるようになる。本実施形態では、直径 0.6mm、長さ2 0mmの細管2において、流体の入口側に単位ステップ圧力を導入し、この時に細管2の流体の入口側から 2mm、10mm、18mmの距離Xにおける圧力の時間変化を図2に示す。この図2の圧力応答から、検出される差圧に対する流量は、高次遅れの伝達関数を有する関係式で表されることがわかる。よって、検出される差圧ΔPと流量Qとの関係は、次のように表される。
【0026】
【数2】
【0027】
この式において、sはラプラス演算子、K1およびT11,T12,…は係数である。これらの係数K1,T11,T12,…は、図2の流量応答から求めることができる。このように、係数K1,T11,T12,…が予め測定され設定された演算式が、非定常流量算出手段41に予め設定されている。
【0028】
粘度補正手段42は、圧力検出手段5および温度検出手段6から流体の圧力および温度の信号を受信する。そして、これらの温度および圧力の信号から流体の粘度を算出し、この粘度変化による流量Qへの影響を考慮して補正値を求め、非定常流量算出手段41に出力する。
【0029】
基準流量算出手段43は、非定常流量算出手段41から演算された流量の信号を受信する。基準流量算出手段43には、流体の物理的性質の情報が予め入力され、また、任意の体積流量から質量流量を算出する計算式が設定されている。あるいは、任意の体積流量から別の任意の体積流量を算出できるように、計算式および所望の流体の条件が設定されている。
【0030】
このような流量計1では、細管2内に流体が流通して細管2両端で差圧ΔPが発生すると、差圧検出手段3が細管2両端の差圧ΔPを検出して非定常流量算出手段41へ送信する。この時、検出された差圧ΔPは、細管2内の流体の流速分布が全長にわたって放物線状とならない層流助走区間を含んだ差圧となっている。非定常流量算出手段41は、この差圧ΔPを予め設定された演算式へ入力することによって流量Qを算出する。これにより、非定常流量算出手段41は、差圧ΔPと予め測定した単位ステップ差圧入力に対する流量応答との畳み込み積分を行うことによって、流速分布が全長にわたって放物線状となる発達した流体の流量Qを算出することとなる。算出された流量Qの信号は、計測値として外部へ出力され、あるいは、基準流量算出手段43へ送信される。
【0031】
この時、非定常流量算出手段41で算出された流量Qは、差圧検出手段3による差圧の検出時における流体の条件下、つまり圧力検出手段5および温度検出手段6で検出された圧力および温度における体積流量となっている。そこで、基準流量算出手段43では、算出された体積流量から、流体の質量流量や、予め設定された所望の基準状態である流体の条件における体積流量を算出し、出力する。
また、流体の圧力や温度に変化があった場合には、圧力検出手段5や温度検出手段6がその変化を検出し、粘度補正手段42に送信する。粘度補正手段42では、検出された圧力および温度から流体の粘度の変化を算出し、この粘度の変化による流量への影響を除去するように補正値を設定する。そして非定常流量算出手段41へ送信する。非定常流量算出手段41では、この補正値を演算式に適用することによって、逐次演算式の補正を行う。
【0032】
本実施形態の流量計1は、製造後、あるいは使用前に予め実流校正がされている。実流校正は、非定常流量算出手段の伝達関数の係数K1,T11,T12,…を決定するのに使用した非定常流発生装置を用いて行う。まず、非定常流発生装置に製造された流量計1を接続し、測定する流体を流通させる。等温チャンバーから放出される流体が等温であることから、圧力の微分値と流量との間には比例関係が成り立つ。これによって、任意の基準流量を流した時の流量計1が示す流量を計測し、計測値が基準流量となるように実流係数を定める。この実流係数を非定常流量算出手段41に予め組み込んでおくことによって、流量計1の製造工程などで生じる個々の測定誤差が除去される。
【0033】
従って、このような第一実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1) 非定常流量算出手段41が、予め測定された単位ステップ差圧入力に対する流量応答と、検出された差圧ΔPとの畳み込み積分によって流量Qを算出する。これにより、任意の層流助走区間を含んだ差圧ΔPから層流助走区間を含まない流れにおける流量を算出することができるので、従来の定常流流量計のような層流助走区間を考慮した補正値が必要ない。したがって、従来測定できなかった非定常流量を精度よく測定できる。
【0034】
(2) また、非定常流量算出手段41が、畳み込み積分を行うことによって流量を算出しているので、複雑な演算を施す必要がなく、非定常流の流量計1が簡単かつ高精度に実現できる。また、演算が簡単であるから、演算手段4における処理速度に影響がなく、応答性よく流量を測定できる。
【0035】
(3) 細管2が流体の流通を層流状態に保持するから、流量の算出にあたってハーゲン・ポワズイユの法則が利用でき、これにより非定常流量を測定することができる。また、細管2の断面形状が円形なので、細管2内の流体を確実に層流状態に保つことができる。
【0036】
(4) 粘度補正手段42が、刻一刻と変化する流体の粘度を圧力と温度から算出して、非定常流量算出手段41に粘度補正を行うので、粘度の変化による流量への影響を除去できる。よって、より高精度に非定常流量を測定できる。
【0037】
(5) 基準流量算出手段43が、非定常流量算出手段41で算出された体積流量から質量流量あるいは所望の基準状態における体積流量を換算してから出力するので、測定者が換算する必要がなく、測定を簡略化できる。したがって、これは連続して大量のデータを取る時等に有用である。また、質量流量や、任意の基準状態における体積流量を算出できるので、流体を所望の基準状態にすることが難しい場合等に有用である。
【0038】
(6) 流量計1は、予め実流校正が行われているので、流量計1の製造工程などで発生する個々の測定誤差を除去できる。よって、流量計1が個々に有する測定誤差を最小限に抑制でき、より精度の高い流量測定ができる。
【0039】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態における非定常流量算出手段41が、畳み込み積分によって流量Qを算出する代わりに、一次遅れ要素によって差圧ΔPと流量Qとの関係を表し、これによって流量を算出する。
【0040】
非定常流量算出手段41は、一次遅れ要素を用いた演算式を予め備えており、この演算式による差圧ΔPと流量Qとの関係は、次の式のようになる。
【0041】
【数3】
【0042】
ここで、sはラプラス演算子、K2およびT21は係数である。伝達関数の係数K2およびT21は、図3に示される流速の時間変化の図から求められる。この図3は第一実施形態と同様に非定常流発生装置を用いて実験によって得られる。この図3より、流速の時間変化は、細管2の流体入口からの距離Xに関わらず全長にわたってほぼ同じであることがわかる。この関係より、例えば時定数T21は、応答流速が目標値の63.2%となった時点での時間として設定されるなど、適宜決定される。これにより、非定常流量算出手段41は、差圧検出手段3で検出された差圧ΔPを式に代入することにより流量Qを算出する。
【0043】
このような第二実施形態によれば、第一実施形態における(3)、(4)、(5)および(6)の効果と同様な効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(7) 非定常流量算出手段41に、一次遅れ要素で表された演算式が予め設定されており、この演算式によって非定常流の流量Qを算出する。よって、第一実施形態と同様に、任意の層流助走区間を含んだ差圧ΔPから層流助走区間を含まない流れにおける流量を算出することができるので、従来の定常流流量計のような層流助走区間を考慮した補正値が必要ない。したがって、従来測定できなかった非定常流量を精度よく測定することができる。
【0044】
(8) 一次遅れ要素を用いた演算式は、畳み込み積分を用いたものよりもさらに簡単な制御系であるから、演算手段4における演算が簡単となり、さらに応答性を向上できる。また、これにより流量計1を容易かつ安価に製造できる。
【0045】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、細管2の断面形状は各実施形態では円形であったが、これに限らず例えば三角形、四角形、六角形などでもよく、あるいはこれらの組み合わせでもよい。つまり、細管2の断面形状は、細管2内を流れる流体が層流状態に保たれる断面形状であれば任意である。また、細管2は各実施形態では複数個平行に設けられていたが、これに限らず一本のみ設けられていてもよい。さらに、細管2は各実施形態では円形のチューブ状部材を組み合わせて形成されていたが、これに限らず円柱状の部材に円形の孔を穿設することによって形成するなど、細管状に形成されていればよい。また、層流形成流路は、細管2や細管状の構成に限らず、内部を流れる流体が層流状態に保たれる構成であれば任意である。
細管2の両端に設けられた管21,22は必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、流体が流通する流路に直接細管2を取り付けた構成とし、細管2両端の流路内の差圧を測定することによって流量を計測してもよい。
【0046】
差圧検出手段3は、細管2両端の圧力の差を直接計測する差圧計が用いられていたが、これに限らず、例えば細管2の両端に圧力検出手段をそれぞれ設け、これらから得た圧力を引き算することによって求めてもよい。また、この時、細管2の上流側の圧力検出手段を各実施形態に用いられた圧力検出手段5と兼用させてもよい。
【0047】
基準流量算出手段43は、必ずしも設けられていなくてもよい。つまり、例えば測定時点の流体の状態での流量のみを必要とする場合などでは、基準流量算出手段43がなくても、非定常流量算出手段41が備えられていればよい。また、同様に粘度補正手段42も、必ずしも設けられていなくてもよい。例えば流量計1が定温室に設置されて流量が測定される場合などでは、粘度が変化しないので、補正する必要がない。基準流量算出手段43や粘度補正手段42が設けられていない場合には、温度検出手段6や圧力検出手段5を設けなくてもよい。
【0048】
制御要素は、第一実施形態では高次遅れ要素で表される畳み込み積分、第二実施形態では一次遅れ要素であったが、これに限らず基準状態の流体の挙動に基づいて、発達していない流れにおける差圧から発達した流れにおける流量が求められるように制御要素を任意に定めてよい。
【0049】
制御要素の伝達関数の係数は、各実施形態においては非定常流発生装置を用いて実験によって求めたが、これに限らず計算によって求めてもよい。
【0050】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0051】
【発明の効果】
このような本発明によれば、流体に差圧を発生させる抵抗要素として細管を用い、予め測定された差圧と流量との関係を用いて流量を計算するので、従来十分正確に測定することができなかった非定常流の流体の流量を算出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる流量計を示す概略図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる細管内の圧力変化を示す図である。
【図3】本発明の第二実施形態にかかる細管内の流速変化を示す図である。
【符号の説明】
1…流量計、2…層流形成流路としての細管、3…差圧検出手段、4…演算手段、5…圧力検出手段、6…温度検出手段、41…非定常流量算出手段、42…粘度補正手段、43…基準流量算出手段。
Claims (8)
- 流体の流路の途中に設けられ、前記流体の流れを層流状態に保つ少なくとも一つの層流形成流路と、
前記層流形成流路の両端における前記流体の差圧を検出する差圧検出手段と、
前記差圧検出手段によって検出された差圧から流体の流量を求める演算手段とを備え、
前記演算手段は、予め測定された基準差圧入力に対する流体の挙動応答に基づいて、前記差圧検出手段によって検出された差圧から非定常流の流体の流量を算出する非定常流量算出手段を備えている
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1に記載の流量計において、
前記層流形成流路は、細管状に構成されている
ことを特徴とする流量計。 - 請求項2に記載の流量計において、
前記層流形成流路が一つの場合には、その断面形状は、円形、六角形、四角形および三角形のいずれかであり、前記層流形成流路が複数の場合には、その断面形状は円形、六角形、四角形および三角形のいずれかか、またはこれらの形状の組み合わせである
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量計において、
前記非定常流量算出手段は、予め測定された単位ステップ差圧入力に対する流体の流量応答と、前記差圧検出手段により検出された前記層流形成流路両端の流体の差圧との畳み込み積分を行うことによって非定常流の流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量計において、
前記非定常流量算出手段は、前記差圧検出手段より検出された前記流体の差圧から、予め測定され設定された一次遅れ要素を介して非定常流の流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の流量計において、
前記流体の温度を検出する温度検出手段と、
前記流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、
前記演算手段は、前記温度検出手段より検出された前記流体の温度と、前記圧力検出手段より検出された前記流体の圧力とから前記流体の粘度を算出し、前記粘度の変化による流量への影響を補正する粘度補正手段を備えている
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の流量計において、
前記流体の温度を検出する温度検出手段と、
前記流体の圧力を検出する圧力検出手段とを備え、
前記演算手段は、前記温度検出手段より検出された前記流体の温度と、前記圧力検出手段より検出された前記流体の圧力とから、前記流体の質量流量あるいは所定の基準状態における体積流量を算出する基準流量算出手段を備えている
ことを特徴とする流量計。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の流量計において、
実流校正によって流量の校正係数が調整されている
ことを特徴とする流量計。
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