JP2004075852A - 炭素質資源のガス化方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素質資源のガスエネルギーへの高効率な転換を可能とすることを目的とする。
【解決手段】炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させた後、生成物を昇圧し、ガス化炉で炭素質資源を酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化したガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方で改質炉にて改質する。タールトラブルがある場合には、熱分解タールを分離する。昇圧は、0.1〜1.0MPa未満の熱分解炉圧力から、1.0〜5.0MPaのガス化炉・改質炉圧力まで昇圧する。
【選択図】 図1
【解決手段】炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させた後、生成物を昇圧し、ガス化炉で炭素質資源を酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化したガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方で改質炉にて改質する。タールトラブルがある場合には、熱分解タールを分離する。昇圧は、0.1〜1.0MPa未満の熱分解炉圧力から、1.0〜5.0MPaのガス化炉・改質炉圧力まで昇圧する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種炭素質資源を効率よく原燃料ガスに転換する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、3R(reduce:削減、reuse:再使用、recycle:再利用)の考え方が、政策の後押しもあり、共通概念として認知され初めている。使用後または故障・破壊後の製品や製品製造時の副生品等のいわゆる廃棄物は、焼却あるいは埋め立てが主な処理方法であり、最終処分場の逼迫と相まって、それらを有効に利用することは、地球温暖化問題への一つの解答となるであろう。しかしながら廃棄物は、種々雑多な性状を有しており、エネルギーが低いものが多く含まれる、処理後のガス精製負担が大きい等の理由で、作業、設備に手間とコストが掛かり、特に小規模で経済的に自立可能なプロセスは少ない。
【0003】
廃棄物の多くは炭素を含んでおり、発熱量は一般的には低いものの、石炭、石油、天然ガス等と変わりないエネルギー資源と見ることができる。
【0004】
廃棄物の処理は、自治体から排出される一般廃棄物ゴミ焼却に蒸気発電を組み合わせて電力として回収するゴミ焼却発電方式が一般的であり、従来の10〜15%の送電端効率から、ボイラ材質改良や原料調整(RDF化)、外部燃料使用による効率向上(スーパーゴミ発電)等により、30%近い送電端効率に向上している焼却炉もある。ただしこれらは、廃棄物の事前処理やボイラ材質、外部燃料導入が必要であり、コスト面、適用面からは特殊解であり、一般化していない。
【0005】
最終処分場の逼迫やダイオキシン規制により自治体での実機採用が増加しつつある処理方法としては、灰分の減容・無害化処理やダイオキシン低減を狙い、高温でガス化溶融して灰分を溶融・スラグ化し、発電まで持ってゆくいわゆる廃棄物ガス化溶融技術がある。この技術は種類が多く、大きく▲1▼直接溶融型(シャフト炉等を使い、熱分解、ガス化、燃焼・溶融を前段の反応器で行い、後段では燃焼してボイラ、蒸気タービンでエネルギー回収を行うものが主。)、▲2▼熱分解+燃焼・溶融型(低温熱分解して生成したガス、タール、チャーを充分な空気で高温燃焼し、ボイラ、蒸気タービンでエネルギー回収。)、▲3▼熱分解+ガス化型(低温熱分解して生成したガス、チャーを高温ガス化し、可燃性ガスを発生させ、ガスタービン、ガスエンジンによる発電または化学原料としてガスを利用。)に分けられる。▲1▼及び▲2▼の燃焼−蒸気発電方式では、廃棄物中に含まれる塩素等による腐食のために回収する蒸気条件に制約があることから、発電効率に限界がある。▲3▼のクリーンアップしたガスを用いる発電では、一般的に発電効率を高められる可能性が高い。例えば石炭利用発電に例を取ると、燃焼ボイラでの送電端効率(38−39%、USCタイプで39−41%)より、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電(IGCC)において、高い送電端効率が得られる(通常タイプで43−44%、高温型ガスタービンで46−48%)。さらに、ガス化を燃料電池と組み合わせる次世代技術では、50%を超える送電端効率が見込まれるなど、高効率エネルギー転換方法への展開が見込める等のメリットがあり、今後は廃棄物の分野でもガス化を中心とした技術がさらに広く展開すると予測される。
【0006】
本発明は、廃棄物を含む炭素質原料の高効率エネルギー転換を指向しており、主に前述▲3▼の技術範疇に属する。ガス化を使用した廃棄物利用分野を見ると、特許提案技術としては、特開平10−81885号公報では、低温流動層ガス化炉と高温溶融ガス化炉を組み合わせ、廃棄物からアンモニア合成用原料ガス(水素)を製造する方法及び装置が、また特開平10−310783号公報では、内部循環式流動層炉と高温ガス化炉を組み合わせ、廃棄物をガス化して原燃料ガスを製造する方法及び装置が、特開平11−294726号公報では、廃棄物を熱分解し、熱分解チャーの部分酸化ガスで熱分解タールを改質して可燃ガスを製造する方法及び装置が提案されている。実機化されているものとしては、低温熱分解技術として外熱式のロータリーキルンを用い、生成した熱分解ガスおよびタールを空気で高温改質し、1000kcal/Nm3程度の低カロリーガスを得てこれをガスエンジンで発電するプロセスや、低温熱分解技術として、廃棄物を圧密し、プッシャー方式の外熱式熱分解炉で生成した熱分解ガス、タールおよび熱分解残渣を酸素でガス化および改質し、2000kcal/Nm3程度の中カロリーガスを得るプロセスがある。これらの技術は、発電を対象とした場合、送電端効率は7〜12%であり、熱効率は高くない。
【0007】
本発明者らも、特願2002−200001号に提案した「炭素質資源のガス化方法及びその装置」において、高効率エネルギー転換方法として、ガス化炉、熱分解炉、改質炉を組み合わせ、高効率化した方式の方法及び装置を提案しているが、今後、更に炭素質資源を利用したエネルギー転換方法の普及とさらなる高効率化ニーズが見込まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記廃棄物のガス化を中心とした従来技術においては、効率向上を阻害する要因がいくつかある。前述特開平10−81885号公報、特開平10−310783号公報の技術では、熱分解(低温ガス化)に流動層方式を用いている。流動層では、適する流動層状態の維持のため流動ガスが必要であり、一般的には空気、酸素、水蒸気等が用いられる。これらのガスは、反応に関与しないものが大部分であり、高温ガス化炉における不要な加熱(必要酸素量の増加)、熱回収時の効率損等が生じて効率が低くなるという構造的な課題を持つ。現在、実機稼働しているロータリーキルンやプッシャー方式のプロセスは、ガスシール性の点から基本的に加圧ができないこと、低温熱分解炉が外熱方式であるために、設備のコンパクト化が困難でかつ発電には生成ガスの圧縮工程が必要となること、またプロセス熱効率が低いことが課題である。
【0009】
本発明者らの特願2001−200001号における提案では、以上の点を踏まえ、従来法に比較して高効率のエネルギー転換を実現しているが、プロセスを構成する各炉での反応条件の最適化や、後段でのガス利用条件に合わせた設備条件の最適化等、さらに高効率化の可能性を持っている。
【0010】
本発明は、炭素質資源のガスエネルギーへの高効率な転換を可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の課題を解決するに有効な方法であり、
(1) 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させた後、熱分解ガス及び熱分解タールを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、熱分解タール及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガス及び熱分解タールを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法、
(2) 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させ、熱分解タールを分離した後、熱分解ガスを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガスを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法、
(3) ガス化炉及び改質炉の圧力を1〜5[MPa]とし、かつ熱分解炉の圧力を0.1〜1[MPa]未満とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の炭素質資源のガス化方法、
(4) 熱分解ガスを0.1〜1[MPa]未満の圧力から1〜5[MPa]に昇圧することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(5) 分離した熱分解タールを、昇圧した熱分解ガス、及びガス化ガス、並びに酸素、水蒸気のいずれか又は双方と共に改質炉に投入して改質することを特徴とする(2)〜(4)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(6) 分離した熱分解タールから水分を減じて改質炉に投入することを特徴とする(5)記載の炭素質資源のガス化方法、
(7) 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化することを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(8) 炭素質資源を熱分解する際に、反応部温度を300℃〜800℃とすることを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(9) 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に部分酸化する際に、反応部温度を1200℃〜1600℃とし、さらに熱分解ガス及び熱分解タールを改質する際に、反応部温度を900℃〜1200℃とすることを特徴とする(7)又は(8)記載の炭素質資源のガス化方法、
(10) 前記熱分解に必要な熱を、熱分解される炭素質資源自身の燃焼熱でまかなうことを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(11) 炭素質資源として、シュレッダーダスト、軟質プラスチック、生木、一般廃棄物ゴミのうちいずれか一つ以上を熱分解し、更に木材、硬質プラスチックのいずれか又は双方を部分酸化することを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(12) 炭素質資源を熱分解する熱分解炉と、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化するガス化炉と、該熱分解炉で生成した熱分解ガスを昇圧する昇圧設備と、昇圧された熱分解ガス、該ガス化炉で発生したガス化ガス、及び酸素、水蒸気の何れか又は双方を導入して該熱分解ガスを改質する改質炉を有することを特徴とする炭素質資源のガス化利用装置、
(13) 熱分解炉と昇圧設備の間に熱分解タール分離設備を有することを特徴とする(12)記載の炭素質資源のガス化装置、
(14)熱分解タール分離設備で分離した熱分解タールを改質炉へ投入するタール投入設備を有することを特徴とする(13)記載の炭素質資源のガス化装置、
(15) 改質炉で改質された生成ガスを処理するガス精製装置を有することを特徴とする(12)〜(14)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
(16) ガス化炉と改質炉が連接することを特徴とする(12)〜(15)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
(17) 熱分解炉で生成した熱分解残渣を破砕する破砕機と、該熱分解残渣から金属を分離する装置と、金属が分離された炭素質残渣をガス化炉へ供給する供給装置を有することを特徴とする(12)〜(16)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
からなる。
【0012】
尚、本発明における炭素質資源とは、バイオマスやプラスチック、一般廃棄物ゴミ等を指し、具体的には、農業系バイオマス(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系バイオマス(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系バイオマス(家畜廃棄物)、水産系バイオマス(水産加工残滓)、廃棄物系バイオマス(生ゴミ、RDF:ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel、庭木、建設廃材、下水汚泥)、硬質プラスチック、軟質プラスチック、シュレッダーダスト等を指す。特に木材に関しては、製材廃材、建設廃材、木製電柱、木製枕木等、一度乾燥工程を経た、比較的水分が少ない目の(3〜20質量%)ものを指し、草木、除間伐材に代表される生木類と区別される。プラスチックに関しては、通常曲げ弾性率が定常状態で7000kg/cm2以上を硬質プラスチック、700kg/cm2以下を軟質プラスチックと区別される(その間の性状のものは半硬質プラスチックとされる)。本発明では、曲げ弾性率のみでは破砕特性が決まらないこともあり、実施経験上から、熱硬化性プラスチック、スチロール樹脂、ポリプロピレン、アクリル樹脂、硬質塩ビ樹脂等の破砕時に溶融、融着を示しにくいものを硬質プラスチックとし、ポリエチレン、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、発泡スチロール等の、主に溶融性を持つことで破砕に向かないものを軟質プラスチックとする。また一般廃棄物ゴミとは産廃指定19種類以外のゴミのことで、自治体単位で収集する家庭系ゴミや事業者から出る紙類を多く含む事業系ゴミである。ただし、本発明は炭素質のエネルギー転換に関するものであるため、炭素質をほとんど含まないもの、すなわち分別された金属、ガラス類等は対象とはしない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の基本的プロセスフロー及び設備構成を、図1に示した。前記(1)、(12)及び(15)に係る発明にあたる。図中、□は装置、○は原料、中間生成物、最終生成物等を指す。炭素質資源1は、ガス化炉2と熱分解炉3の2箇所に供給される。ガス化炉2では、炭素質資源1は、酸素4又は酸素4及び水蒸気5で部分酸化され、ガス化ガス6を生成する。炭素質資源1中の灰分は、ガス化炉2で溶融して、スラグ7としてガス化炉2の下部から排出される。熱分解炉3では、熱分解によって炭素質資源1が熱分解ガス・熱分解タール8と熱分解残渣9に分けられ、熱分解ガス・熱分解タール8は昇圧設備16で昇圧後、ガス化炉2で発生するガス化ガス6と共に改質炉10に導入され、水蒸気5、酸素4の何れか又は双方によって改質される。熱分解残渣9は金属11を分離して炭素質残渣12となる。炭素質残渣12は、ガス化炉2で部分酸化しても、炭材として系外で利用しても良い。改質炉10で改質された生成ガス13は、必要に応じガス精製設備14で精製され、精製ガス15となる。本発明のポイントは、熱分解炉3と改質炉10の間に昇圧設備16を設け、熱分解ガス・熱分解タール8を意図的に昇圧して改質炉10に導入することにある。反応に悪い影響がない範囲で系の圧力を高くして設備をコンパクト化することは、放散熱の低減、生産性向上等のメリットがあるが、その一方、高圧設備はハンドリング性に代表される安全性の課題と、常圧設備より高価でありメンテナンス費用が高い、といった経済的課題を持つ。本発明では、ガス化と改質は噴流床または気流床中で行われる。噴流床や気流床では、加圧によるコンパクト化、すなわち炉を小さくできることによる放散熱低減効果と、反応場での原料密度が高くなることで反応性、生産性が大幅に向上する効果が期待できるため、ガス化炉2、改質炉10、ガス精製設備14を高圧系の設備とすることが好ましい。ガス精製設備14まで高圧系の設備とするのは、設備のコンパクト化効果が大きいことと、精製ガス15利用の際、発電や化学合成時に高い圧力を必要とする場合がほとんどであるためである。熱分解炉3に関しては、反応が終了しても固体分である熱分解残渣9が残る気固相の系であり、高圧コンパクト化の効果が小さいことや、熱分解ガス・熱分解タール8が生成してタール凝縮・通気トラブルが発生すること等の高圧によるデメリットが生じることが想定されるため、低圧系での操業が望ましい。各設備での効率的な条件を満たすために、昇圧設備16を設置した。
【0014】
前記(2)及び(13)に係る発明では、熱分解により生成した熱分解タール18を分離した後、熱分解ガスを昇圧する。熱分解タール18はミスト状の形態をしているものも多く、昇圧時に昇圧設備16でのタール凝縮が起きる場合がある。タール凝縮を放置すると、昇圧方式にも因るが、流体抵抗増による昇圧設備16の設備負荷増やコーキングによる故障等のトラブルが予測されるため、タール分離設備17で昇圧設備16の前で分離する。分離方法としては、冷却して凝縮、圧縮して凝縮、衝突板や充填物による物理衝突等で析出、等の方法が考えられるが、冷却による熱ロス(すなわちプロセス全体でもエネルギーをロスする)を避けるため、複雑な設備を避ける観点から、衝突板等での簡易タール分離が好ましい。
【0015】
前記(3)に係る発明では、反応器の圧力について規定した。前述の通り、ガス化炉2、改質炉10は高圧系で、熱分解炉3は低圧系で操業することが望ましい。
【0016】
「高圧系」が望ましいとしたガス化、改質では、精製ガス15の利用で想定される発電、すなわち、ガスエンジン発電やガスタービン発電等で通常設備化されている圧力(分散型発電で1MPa以上、石炭ガス化等での大型発電では2.5MPa程度)を元に1MPa以上とした。また上限は5MPaとした。5MPaを超える圧力では、ガス化反応時の原料ガス(酸素4や水蒸気5)や生成ガスの移動速度の影響が大きくなるため反応率が低下する傾向があり好ましくないからである。さらに、気流床・噴流床での大型設備の実績の少ない3MPa以上で設備的な開発要素が大きいことや、高額になる設備費の点で現実性が乏しいため、最も好ましいのは1MPa〜3MPaである。
【0017】
「低圧系」が望ましいとした熱分解炉3での圧力は、前記の高圧デメリットや、高い設備費、定常メンテナンス(1MPa以上は第一種高圧設備)負荷等の要因があるため低圧が望ましいが、設備コンパクト化による放散熱低減、昇圧設備16の昇圧動力低減、昇圧設備16でのタール凝縮トラブル回避(昇圧時に凝集しやすい)等の圧力を上げるメリットも考慮し、上限は1MPa未満(第一種高圧設備回避)とした。下限は特にないが、常圧状態からの炭素質資源1投入時のトラブル防止(圧力変動トラブル)や、系内に可燃ガスがあり、想定外の部分での空気吸引による爆発等、安全性を考慮して、常圧(0.1MPa)近傍の正圧を一つの操業・設備基準とする。従って、低圧系の圧力は0.1〜1.0MPa未満とした。
【0018】
前記(4)に係る発明では、熱分解ガスあるいは熱分解ガス及び熱分解タールを(3)に係る発明で示した低圧系に適した圧力から、高圧系に適した圧力に昇圧設備16で昇圧することを特徴とする。
【0019】
前記(5)及び(14)に係る発明では、図3に示したとおり、(2)及び(13)に係る発明で分離した熱分解タールをタール投入設備19で改質炉10に投入する。もともと熱分解タール自体は高い発熱量を持っており、昇圧設備16のトラブルがなければ改質により精製ガス15として熱量を有効に回収することの可能な良質の炭素質資源である。熱分解タール18は、液状になったことで、低動力で容易にタール投入設備19から高圧の改質炉10へ投入・吹き込みができる。
【0020】
前記(6)に係る発明では、図4に示したとおり、熱分解タール18から水分分離設備20により水分21を分離して、タール投入設備19で改質炉10へ投入する。これは、タール分離設備17でのタール分離の際に、冷却した場合は当然のことながら、熱分解ガス中の水蒸気も同時に液化して熱分解タール18に同伴するためで、改質炉10への投入時の熱量ロス(水の顕熱、蒸発熱)を防ぎ、プロセス全体の転換効率を上昇させることを目的とする。
【0021】
前記(7)及び(17)に係る発明では、図5に示すとおり、熱分解残渣9が、還元状態で原料として使いやすい金属11と、熱分解されることで炭化して破砕性が改善された炭素質残渣12からなることを利用する。熱分解残渣9を熱分解残渣破砕機22で破砕し、金属分離装置23で金属11を分離して炭素質残渣12を炭素質残渣供給装置24でガス化炉2に供給して部分酸化ガス化する。炭素質残渣12は、炭素質資源1に含有されている灰分が濃縮されているが、酸素や水素が少なく炭素の多い、いわゆる炭の状態になっており、ガス化原料として優れた炭材である。図5では、打ち込まれた釘や電気配線等の、熱分解前には分離しにくい金属を想定して熱分解残渣破砕機22の後に金属分離装置23を設置しているが、空き缶や抜け落ちた釘、金具等の既に炭素質と分離している金属の混入が想定される場合には、熱分解残渣破砕機22の破砕動力低減のために、熱分解残渣破砕機22の前にも別の金属分離装置を設置しても良い。
【0022】
前記(8)に係る発明では、熱分解炉3での熱分解に適した反応部温度範囲を規定した。本発明では、鉄鋼業の高炉で使用されているシャフト型の炉を使用した。熱分解炉3の下部は、炭素質資源1の燃焼を主体としたゾーンとし、上部は炭素質資源1の乾燥、昇温、熱分解を主体としたゾーンとすることが好ましい。炭素質資源1は熱分解炉3上部に投入され、下部で発生したガスにより暖められながら徐々に下降することが好ましい。下部では酸素、空気、水蒸気などの酸化剤により、下降してきた炭素質資源1の一部が燃焼して熱を発生する。熱分解炉3下部の反応温度は、燃焼反応が起きているため、400℃〜800℃であり、上部の反応温度は、乾燥、昇温、熱分解に燃焼ガスの熱が使われて下がり、300℃〜500℃であることから、熱分解炉3の反応部温度は300〜800℃とする。上部の反応温度が300℃未満のときには、熱分解があまり進まず、また生成した熱分解タールが再凝縮して通気障害等のトラブルを起こすため、操業温度として望ましくない。下部の反応温度は、直接加熱であるため、800℃までで充分上部ゾーンを加熱できる。800℃を越える温度は熱的に不要であり、放熱量が増加する等のデメリットが生じるため好ましくない。
【0023】
前記(9)に係る発明では、ガス化炉の反応部温度範囲と、改質炉の反応部温度範囲を規定した。ガス化では、含有灰分をスラグ化して溶融させるために、1200℃〜1600℃の温度が必要で、例えば代表的な例を示すと、稲藁に例を見る農業系バイオマスの場合、反応部温度は1200℃〜1400℃程度、プラスチックでは1300℃〜1500℃、石炭では1400℃〜1600℃と、ガス化対象によって異なる。各物質の灰分溶流点が異なるためであり、使用原料に合わせて酸素4、水蒸気5の量を調整してガス化炉温制御を実施する。1200℃未満の温度では、灰の溶流点が低い農業系バイオマスでも溶融せず、フライアッシュとして後段の工程に流出し、ガス精製設備14のダスト除去設備負荷の増加、精製ガス15の純度低下が起こる。1600℃を越える温度では、放熱の増加や炉壁構造の変更(通常の耐火・断熱材質では長期間の炉壁維持は困難)により、熱効率の悪化と設備費の増大が見込まれ、実用的ではない。
【0024】
改質炉10では、ガス化炉2からのガス化ガス6の温度により改質温度を確保し、ガス化ガス6中の水蒸気と、追加して添加する酸素4、水蒸気5のいずれか一つ以上によって熱分解ガス・熱分解タール8を改質する。改質炉10の温度は900℃〜1200℃が適しており、900℃未満では、分解しきれないタールが後段のガス精製設備14で付着トラブルをおこしたり、発生が懸念されるダイオキシンが分解せずに後段工程まで残存したりする。一方、1200℃を越えると改質炉からの飛灰の後段の精製設備14への融着・付着が顕著になるスス発生が多くなるため、好ましくない。温度調整は酸素4の量と水蒸気5の量で調整する。原料中に明らかに塩素が含まれており、特にダイオキシンの生成をほぼ0にしたい場合は、改質炉10の温度範囲の中でも、ほぼ全量分解可能な1000℃〜1200℃で操業することが望ましい。また、改質反応には、ガス化炉2のガス化ガス6の顕熱を利用している。従来技術では、熱分解後の炭化物は多くとも熱分解原料の10質量%程度しか生成しないため、改質反応のための熱源としては貧弱であり、改質炉10に酸素を大量に投入して燃焼反応熱を生成させる必要がある。本発明では投入量は任意に規定可能であり、最小限の酸素投入で済む(実施例では、熱分解:ガス化=1:1で運転)。
【0025】
また、前記(10)に係る発明で示した熱分解用の熱に関しては、熱分解炉3の下部より酸化剤を導入し、炭素質資源1や熱分解残渣9を一部燃焼して熱源とする。自燃による直接熱交換であり、キルン等での間接加熱方式と比較しても効率が高く、追加燃料を必要としない。
【0026】
炭素質資源のガスへの転換という観点からは、原料の転換率の高さ、熱効率の高さや、反応時間が短時間であることによるコンパクトな設備であることと、それに基づく生産性の高さを考えると、気流層でのガス化が最も有利であり、可能ならば全量をこの方法で処理することが好ましい。ところが、一般廃棄物的なゴミに例を見るように、形状、性状が雑多な炭素質資源を、気流搬送向けに均一に乾燥、微粉砕することは技術的には可能であるが、経済的に現実的ではない。従って、現在の主流技術には、形状、性状の許容度が大きいキルンや流動層を使用したものが多い。
【0027】
前記(11)に係る発明では、炭素質資源として木材や硬質プラスチック等の、粉砕性がよく、数mmサイズに加工しやすい炭素質資源は直接ガス化炉で高効率ガス化を実施し、シュレッダーダスト、軟質プラスチック等の、熱を受けると溶融して付着性を発現するものや、除間伐材を含む生木等のように繊維方向に強度・靱性が高く、粉砕時に長径と短径の差が大きくて貯留・搬送トラブルを誘発するもの、またシュレッダーダストのように、金属(特に配線)を含むために気流搬送に向かないもの、一般廃棄物ゴミのように水分が多く雑多な性状の集合であり、均一な破砕に向かないものの何れか一つ以上を熱分解する。これらは、熱分解炉で熱分解ガス・熱分解タールと熱分解残渣を分離して熱分解ガス・熱分解タールは改質工程を経て原燃料として使い、熱分解によって粉砕性等が改善した炭素質残渣は、金属を分離の上、そのまま炭素材料として使用するか、粉砕してガス化炉で原料として利用することが好ましい。多種多様な混合物である、いわゆる一般ゴミも、熱分解炉での処理が好ましい。
【0028】
また、前記(11)に係る発明では木材、硬質プラスチックの何れか又は双方を部分酸化することを特徴とする。ここで言う木材とは、乾燥工程を経ている木々を指し、生木と区別している。上記のように炭素質資源毎に最適利用方法を選ぶことで、従来技術の持つ課題である、不必要な加熱や過剰の酸化剤は不要となり、純粋にガスに転換するためのエネルギーだけの使用で済む。
【0029】
前記(16)に係る発明では、ガス化炉2と改質炉10の最適配置について示した。基本的には高温のガス化ガス6の顕熱が改質の熱エネルギーになることが必須の要件であるが、最も熱ロスを防ぎ、ガス化炉2で生成した溶融スラグ7によるスラッギングトラブルを防ぐには、ガス化炉2のすぐ後段に改質炉10が連接することが望ましい。
【0030】
【実施例】
図1で示される本発明の設備において、ガス化炉に木材破砕品(平均粒度数mm)を、熱分解炉にプラスチック(PEフィルム・シート、PPシート等混合・造粒品:粒度100mm以下)を使用した試験を実施した。各炉温は、熱分解炉最高温度600℃、ガス化炉温度1300℃、改質炉温度1100℃の温度条件、ガス化炉及び改質炉1.1MPa、熱分解炉0.2MPaの圧力条件で操業した。従って、熱分解ガス・熱分解タールの圧力上昇(昇圧)は0.2MPaから1.1MPaである。
【0031】
表−1に、従来法と併記して操業条件、効率を示した。比較例として、現在稼働している廃棄物ガス化による発電の例を従来法−1に、また、本発明者らが先に提案した特願2001−200001号において、熱分解ガス及び熱分解タールを昇圧せずに、熱分解炉、ガス化炉及び改質炉とも全系常圧(操業上、〜0.2MPa程度の若干の正圧)操業を行い、ガスを発電に適用した場合の例を従来法−2に示した。従来法−1は、従来技術で示した例であり、低温熱分解技術として外熱式のロータリーキルンを用い、生成した熱分解ガスおよびタールを空気で高温改質し、1000kcal/Nm3程度の低カロリーガスを得てこれをガスエンジンで発電するプロセスである。従来法−2は、昇圧による効果を見るために昇圧設備がない点を除き本発明と同じ設備を使用して試験を実施した。
【0032】
原料が木材及びプラスチック(本法及び従来法−2)、廃棄物(産廃、一廃混合物:従来法−1)と異なるものの、類似ガス化エネルギー転換技術である従来法−1に比べ、従来法−2、本法とも非常に効率(送電端効率)が高いことが分かる。更に、全系常圧の従来法−2に比べて、ガス化炉、改質炉が高圧の本法は送電端効率において数%の優位性を示した。ガス化炉、改質炉以降の系を加圧、コンパクト化したことにより、生産性の向上と放散熱の低減、発電工程への接続時の昇圧エネルギー(従来法−2)等が主な要因である。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明により、熱分解炉、ガス化炉、改質炉を組み合わせた廃棄物のエネルギー転換方法において、気流床、噴流床部分の加圧による効率向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的プロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図2】タール分離設備による熱分解タール分離するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図3】熱分解タールの改質炉へ投入するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図4】水分分離した熱分解タールの改質炉への投入するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図5】熱分解残渣利用工程を備えたプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【符号の説明】
1:炭素質資源
2:ガス化炉
3:熱分解炉
4:酸素
5:水蒸気
6:ガス化ガス
7:スラグ
8:熱分解ガス・熱分解タール
9:熱分解残渣
10:改質炉
11:金属
12:炭素質残渣
13:生成ガス
14:ガス精製設備
15:精製ガス
16:昇圧設備
17:タール分離設備
18:熱分解タール
19:タール投入設備
20:水分分離設備
21:水分
22:熱分解残渣破砕機
23:金属分離装置
24:炭素質残渣供給装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種炭素質資源を効率よく原燃料ガスに転換する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、3R(reduce:削減、reuse:再使用、recycle:再利用)の考え方が、政策の後押しもあり、共通概念として認知され初めている。使用後または故障・破壊後の製品や製品製造時の副生品等のいわゆる廃棄物は、焼却あるいは埋め立てが主な処理方法であり、最終処分場の逼迫と相まって、それらを有効に利用することは、地球温暖化問題への一つの解答となるであろう。しかしながら廃棄物は、種々雑多な性状を有しており、エネルギーが低いものが多く含まれる、処理後のガス精製負担が大きい等の理由で、作業、設備に手間とコストが掛かり、特に小規模で経済的に自立可能なプロセスは少ない。
【0003】
廃棄物の多くは炭素を含んでおり、発熱量は一般的には低いものの、石炭、石油、天然ガス等と変わりないエネルギー資源と見ることができる。
【0004】
廃棄物の処理は、自治体から排出される一般廃棄物ゴミ焼却に蒸気発電を組み合わせて電力として回収するゴミ焼却発電方式が一般的であり、従来の10〜15%の送電端効率から、ボイラ材質改良や原料調整(RDF化)、外部燃料使用による効率向上(スーパーゴミ発電)等により、30%近い送電端効率に向上している焼却炉もある。ただしこれらは、廃棄物の事前処理やボイラ材質、外部燃料導入が必要であり、コスト面、適用面からは特殊解であり、一般化していない。
【0005】
最終処分場の逼迫やダイオキシン規制により自治体での実機採用が増加しつつある処理方法としては、灰分の減容・無害化処理やダイオキシン低減を狙い、高温でガス化溶融して灰分を溶融・スラグ化し、発電まで持ってゆくいわゆる廃棄物ガス化溶融技術がある。この技術は種類が多く、大きく▲1▼直接溶融型(シャフト炉等を使い、熱分解、ガス化、燃焼・溶融を前段の反応器で行い、後段では燃焼してボイラ、蒸気タービンでエネルギー回収を行うものが主。)、▲2▼熱分解+燃焼・溶融型(低温熱分解して生成したガス、タール、チャーを充分な空気で高温燃焼し、ボイラ、蒸気タービンでエネルギー回収。)、▲3▼熱分解+ガス化型(低温熱分解して生成したガス、チャーを高温ガス化し、可燃性ガスを発生させ、ガスタービン、ガスエンジンによる発電または化学原料としてガスを利用。)に分けられる。▲1▼及び▲2▼の燃焼−蒸気発電方式では、廃棄物中に含まれる塩素等による腐食のために回収する蒸気条件に制約があることから、発電効率に限界がある。▲3▼のクリーンアップしたガスを用いる発電では、一般的に発電効率を高められる可能性が高い。例えば石炭利用発電に例を取ると、燃焼ボイラでの送電端効率(38−39%、USCタイプで39−41%)より、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電(IGCC)において、高い送電端効率が得られる(通常タイプで43−44%、高温型ガスタービンで46−48%)。さらに、ガス化を燃料電池と組み合わせる次世代技術では、50%を超える送電端効率が見込まれるなど、高効率エネルギー転換方法への展開が見込める等のメリットがあり、今後は廃棄物の分野でもガス化を中心とした技術がさらに広く展開すると予測される。
【0006】
本発明は、廃棄物を含む炭素質原料の高効率エネルギー転換を指向しており、主に前述▲3▼の技術範疇に属する。ガス化を使用した廃棄物利用分野を見ると、特許提案技術としては、特開平10−81885号公報では、低温流動層ガス化炉と高温溶融ガス化炉を組み合わせ、廃棄物からアンモニア合成用原料ガス(水素)を製造する方法及び装置が、また特開平10−310783号公報では、内部循環式流動層炉と高温ガス化炉を組み合わせ、廃棄物をガス化して原燃料ガスを製造する方法及び装置が、特開平11−294726号公報では、廃棄物を熱分解し、熱分解チャーの部分酸化ガスで熱分解タールを改質して可燃ガスを製造する方法及び装置が提案されている。実機化されているものとしては、低温熱分解技術として外熱式のロータリーキルンを用い、生成した熱分解ガスおよびタールを空気で高温改質し、1000kcal/Nm3程度の低カロリーガスを得てこれをガスエンジンで発電するプロセスや、低温熱分解技術として、廃棄物を圧密し、プッシャー方式の外熱式熱分解炉で生成した熱分解ガス、タールおよび熱分解残渣を酸素でガス化および改質し、2000kcal/Nm3程度の中カロリーガスを得るプロセスがある。これらの技術は、発電を対象とした場合、送電端効率は7〜12%であり、熱効率は高くない。
【0007】
本発明者らも、特願2002−200001号に提案した「炭素質資源のガス化方法及びその装置」において、高効率エネルギー転換方法として、ガス化炉、熱分解炉、改質炉を組み合わせ、高効率化した方式の方法及び装置を提案しているが、今後、更に炭素質資源を利用したエネルギー転換方法の普及とさらなる高効率化ニーズが見込まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記廃棄物のガス化を中心とした従来技術においては、効率向上を阻害する要因がいくつかある。前述特開平10−81885号公報、特開平10−310783号公報の技術では、熱分解(低温ガス化)に流動層方式を用いている。流動層では、適する流動層状態の維持のため流動ガスが必要であり、一般的には空気、酸素、水蒸気等が用いられる。これらのガスは、反応に関与しないものが大部分であり、高温ガス化炉における不要な加熱(必要酸素量の増加)、熱回収時の効率損等が生じて効率が低くなるという構造的な課題を持つ。現在、実機稼働しているロータリーキルンやプッシャー方式のプロセスは、ガスシール性の点から基本的に加圧ができないこと、低温熱分解炉が外熱方式であるために、設備のコンパクト化が困難でかつ発電には生成ガスの圧縮工程が必要となること、またプロセス熱効率が低いことが課題である。
【0009】
本発明者らの特願2001−200001号における提案では、以上の点を踏まえ、従来法に比較して高効率のエネルギー転換を実現しているが、プロセスを構成する各炉での反応条件の最適化や、後段でのガス利用条件に合わせた設備条件の最適化等、さらに高効率化の可能性を持っている。
【0010】
本発明は、炭素質資源のガスエネルギーへの高効率な転換を可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の課題を解決するに有効な方法であり、
(1) 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させた後、熱分解ガス及び熱分解タールを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、熱分解タール及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガス及び熱分解タールを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法、
(2) 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させ、熱分解タールを分離した後、熱分解ガスを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガスを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法、
(3) ガス化炉及び改質炉の圧力を1〜5[MPa]とし、かつ熱分解炉の圧力を0.1〜1[MPa]未満とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の炭素質資源のガス化方法、
(4) 熱分解ガスを0.1〜1[MPa]未満の圧力から1〜5[MPa]に昇圧することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(5) 分離した熱分解タールを、昇圧した熱分解ガス、及びガス化ガス、並びに酸素、水蒸気のいずれか又は双方と共に改質炉に投入して改質することを特徴とする(2)〜(4)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(6) 分離した熱分解タールから水分を減じて改質炉に投入することを特徴とする(5)記載の炭素質資源のガス化方法、
(7) 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化することを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(8) 炭素質資源を熱分解する際に、反応部温度を300℃〜800℃とすることを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(9) 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に部分酸化する際に、反応部温度を1200℃〜1600℃とし、さらに熱分解ガス及び熱分解タールを改質する際に、反応部温度を900℃〜1200℃とすることを特徴とする(7)又は(8)記載の炭素質資源のガス化方法、
(10) 前記熱分解に必要な熱を、熱分解される炭素質資源自身の燃焼熱でまかなうことを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(11) 炭素質資源として、シュレッダーダスト、軟質プラスチック、生木、一般廃棄物ゴミのうちいずれか一つ以上を熱分解し、更に木材、硬質プラスチックのいずれか又は双方を部分酸化することを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法、
(12) 炭素質資源を熱分解する熱分解炉と、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化するガス化炉と、該熱分解炉で生成した熱分解ガスを昇圧する昇圧設備と、昇圧された熱分解ガス、該ガス化炉で発生したガス化ガス、及び酸素、水蒸気の何れか又は双方を導入して該熱分解ガスを改質する改質炉を有することを特徴とする炭素質資源のガス化利用装置、
(13) 熱分解炉と昇圧設備の間に熱分解タール分離設備を有することを特徴とする(12)記載の炭素質資源のガス化装置、
(14)熱分解タール分離設備で分離した熱分解タールを改質炉へ投入するタール投入設備を有することを特徴とする(13)記載の炭素質資源のガス化装置、
(15) 改質炉で改質された生成ガスを処理するガス精製装置を有することを特徴とする(12)〜(14)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
(16) ガス化炉と改質炉が連接することを特徴とする(12)〜(15)の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
(17) 熱分解炉で生成した熱分解残渣を破砕する破砕機と、該熱分解残渣から金属を分離する装置と、金属が分離された炭素質残渣をガス化炉へ供給する供給装置を有することを特徴とする(12)〜(16)のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化装置、
からなる。
【0012】
尚、本発明における炭素質資源とは、バイオマスやプラスチック、一般廃棄物ゴミ等を指し、具体的には、農業系バイオマス(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系バイオマス(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系バイオマス(家畜廃棄物)、水産系バイオマス(水産加工残滓)、廃棄物系バイオマス(生ゴミ、RDF:ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel、庭木、建設廃材、下水汚泥)、硬質プラスチック、軟質プラスチック、シュレッダーダスト等を指す。特に木材に関しては、製材廃材、建設廃材、木製電柱、木製枕木等、一度乾燥工程を経た、比較的水分が少ない目の(3〜20質量%)ものを指し、草木、除間伐材に代表される生木類と区別される。プラスチックに関しては、通常曲げ弾性率が定常状態で7000kg/cm2以上を硬質プラスチック、700kg/cm2以下を軟質プラスチックと区別される(その間の性状のものは半硬質プラスチックとされる)。本発明では、曲げ弾性率のみでは破砕特性が決まらないこともあり、実施経験上から、熱硬化性プラスチック、スチロール樹脂、ポリプロピレン、アクリル樹脂、硬質塩ビ樹脂等の破砕時に溶融、融着を示しにくいものを硬質プラスチックとし、ポリエチレン、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、発泡スチロール等の、主に溶融性を持つことで破砕に向かないものを軟質プラスチックとする。また一般廃棄物ゴミとは産廃指定19種類以外のゴミのことで、自治体単位で収集する家庭系ゴミや事業者から出る紙類を多く含む事業系ゴミである。ただし、本発明は炭素質のエネルギー転換に関するものであるため、炭素質をほとんど含まないもの、すなわち分別された金属、ガラス類等は対象とはしない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の基本的プロセスフロー及び設備構成を、図1に示した。前記(1)、(12)及び(15)に係る発明にあたる。図中、□は装置、○は原料、中間生成物、最終生成物等を指す。炭素質資源1は、ガス化炉2と熱分解炉3の2箇所に供給される。ガス化炉2では、炭素質資源1は、酸素4又は酸素4及び水蒸気5で部分酸化され、ガス化ガス6を生成する。炭素質資源1中の灰分は、ガス化炉2で溶融して、スラグ7としてガス化炉2の下部から排出される。熱分解炉3では、熱分解によって炭素質資源1が熱分解ガス・熱分解タール8と熱分解残渣9に分けられ、熱分解ガス・熱分解タール8は昇圧設備16で昇圧後、ガス化炉2で発生するガス化ガス6と共に改質炉10に導入され、水蒸気5、酸素4の何れか又は双方によって改質される。熱分解残渣9は金属11を分離して炭素質残渣12となる。炭素質残渣12は、ガス化炉2で部分酸化しても、炭材として系外で利用しても良い。改質炉10で改質された生成ガス13は、必要に応じガス精製設備14で精製され、精製ガス15となる。本発明のポイントは、熱分解炉3と改質炉10の間に昇圧設備16を設け、熱分解ガス・熱分解タール8を意図的に昇圧して改質炉10に導入することにある。反応に悪い影響がない範囲で系の圧力を高くして設備をコンパクト化することは、放散熱の低減、生産性向上等のメリットがあるが、その一方、高圧設備はハンドリング性に代表される安全性の課題と、常圧設備より高価でありメンテナンス費用が高い、といった経済的課題を持つ。本発明では、ガス化と改質は噴流床または気流床中で行われる。噴流床や気流床では、加圧によるコンパクト化、すなわち炉を小さくできることによる放散熱低減効果と、反応場での原料密度が高くなることで反応性、生産性が大幅に向上する効果が期待できるため、ガス化炉2、改質炉10、ガス精製設備14を高圧系の設備とすることが好ましい。ガス精製設備14まで高圧系の設備とするのは、設備のコンパクト化効果が大きいことと、精製ガス15利用の際、発電や化学合成時に高い圧力を必要とする場合がほとんどであるためである。熱分解炉3に関しては、反応が終了しても固体分である熱分解残渣9が残る気固相の系であり、高圧コンパクト化の効果が小さいことや、熱分解ガス・熱分解タール8が生成してタール凝縮・通気トラブルが発生すること等の高圧によるデメリットが生じることが想定されるため、低圧系での操業が望ましい。各設備での効率的な条件を満たすために、昇圧設備16を設置した。
【0014】
前記(2)及び(13)に係る発明では、熱分解により生成した熱分解タール18を分離した後、熱分解ガスを昇圧する。熱分解タール18はミスト状の形態をしているものも多く、昇圧時に昇圧設備16でのタール凝縮が起きる場合がある。タール凝縮を放置すると、昇圧方式にも因るが、流体抵抗増による昇圧設備16の設備負荷増やコーキングによる故障等のトラブルが予測されるため、タール分離設備17で昇圧設備16の前で分離する。分離方法としては、冷却して凝縮、圧縮して凝縮、衝突板や充填物による物理衝突等で析出、等の方法が考えられるが、冷却による熱ロス(すなわちプロセス全体でもエネルギーをロスする)を避けるため、複雑な設備を避ける観点から、衝突板等での簡易タール分離が好ましい。
【0015】
前記(3)に係る発明では、反応器の圧力について規定した。前述の通り、ガス化炉2、改質炉10は高圧系で、熱分解炉3は低圧系で操業することが望ましい。
【0016】
「高圧系」が望ましいとしたガス化、改質では、精製ガス15の利用で想定される発電、すなわち、ガスエンジン発電やガスタービン発電等で通常設備化されている圧力(分散型発電で1MPa以上、石炭ガス化等での大型発電では2.5MPa程度)を元に1MPa以上とした。また上限は5MPaとした。5MPaを超える圧力では、ガス化反応時の原料ガス(酸素4や水蒸気5)や生成ガスの移動速度の影響が大きくなるため反応率が低下する傾向があり好ましくないからである。さらに、気流床・噴流床での大型設備の実績の少ない3MPa以上で設備的な開発要素が大きいことや、高額になる設備費の点で現実性が乏しいため、最も好ましいのは1MPa〜3MPaである。
【0017】
「低圧系」が望ましいとした熱分解炉3での圧力は、前記の高圧デメリットや、高い設備費、定常メンテナンス(1MPa以上は第一種高圧設備)負荷等の要因があるため低圧が望ましいが、設備コンパクト化による放散熱低減、昇圧設備16の昇圧動力低減、昇圧設備16でのタール凝縮トラブル回避(昇圧時に凝集しやすい)等の圧力を上げるメリットも考慮し、上限は1MPa未満(第一種高圧設備回避)とした。下限は特にないが、常圧状態からの炭素質資源1投入時のトラブル防止(圧力変動トラブル)や、系内に可燃ガスがあり、想定外の部分での空気吸引による爆発等、安全性を考慮して、常圧(0.1MPa)近傍の正圧を一つの操業・設備基準とする。従って、低圧系の圧力は0.1〜1.0MPa未満とした。
【0018】
前記(4)に係る発明では、熱分解ガスあるいは熱分解ガス及び熱分解タールを(3)に係る発明で示した低圧系に適した圧力から、高圧系に適した圧力に昇圧設備16で昇圧することを特徴とする。
【0019】
前記(5)及び(14)に係る発明では、図3に示したとおり、(2)及び(13)に係る発明で分離した熱分解タールをタール投入設備19で改質炉10に投入する。もともと熱分解タール自体は高い発熱量を持っており、昇圧設備16のトラブルがなければ改質により精製ガス15として熱量を有効に回収することの可能な良質の炭素質資源である。熱分解タール18は、液状になったことで、低動力で容易にタール投入設備19から高圧の改質炉10へ投入・吹き込みができる。
【0020】
前記(6)に係る発明では、図4に示したとおり、熱分解タール18から水分分離設備20により水分21を分離して、タール投入設備19で改質炉10へ投入する。これは、タール分離設備17でのタール分離の際に、冷却した場合は当然のことながら、熱分解ガス中の水蒸気も同時に液化して熱分解タール18に同伴するためで、改質炉10への投入時の熱量ロス(水の顕熱、蒸発熱)を防ぎ、プロセス全体の転換効率を上昇させることを目的とする。
【0021】
前記(7)及び(17)に係る発明では、図5に示すとおり、熱分解残渣9が、還元状態で原料として使いやすい金属11と、熱分解されることで炭化して破砕性が改善された炭素質残渣12からなることを利用する。熱分解残渣9を熱分解残渣破砕機22で破砕し、金属分離装置23で金属11を分離して炭素質残渣12を炭素質残渣供給装置24でガス化炉2に供給して部分酸化ガス化する。炭素質残渣12は、炭素質資源1に含有されている灰分が濃縮されているが、酸素や水素が少なく炭素の多い、いわゆる炭の状態になっており、ガス化原料として優れた炭材である。図5では、打ち込まれた釘や電気配線等の、熱分解前には分離しにくい金属を想定して熱分解残渣破砕機22の後に金属分離装置23を設置しているが、空き缶や抜け落ちた釘、金具等の既に炭素質と分離している金属の混入が想定される場合には、熱分解残渣破砕機22の破砕動力低減のために、熱分解残渣破砕機22の前にも別の金属分離装置を設置しても良い。
【0022】
前記(8)に係る発明では、熱分解炉3での熱分解に適した反応部温度範囲を規定した。本発明では、鉄鋼業の高炉で使用されているシャフト型の炉を使用した。熱分解炉3の下部は、炭素質資源1の燃焼を主体としたゾーンとし、上部は炭素質資源1の乾燥、昇温、熱分解を主体としたゾーンとすることが好ましい。炭素質資源1は熱分解炉3上部に投入され、下部で発生したガスにより暖められながら徐々に下降することが好ましい。下部では酸素、空気、水蒸気などの酸化剤により、下降してきた炭素質資源1の一部が燃焼して熱を発生する。熱分解炉3下部の反応温度は、燃焼反応が起きているため、400℃〜800℃であり、上部の反応温度は、乾燥、昇温、熱分解に燃焼ガスの熱が使われて下がり、300℃〜500℃であることから、熱分解炉3の反応部温度は300〜800℃とする。上部の反応温度が300℃未満のときには、熱分解があまり進まず、また生成した熱分解タールが再凝縮して通気障害等のトラブルを起こすため、操業温度として望ましくない。下部の反応温度は、直接加熱であるため、800℃までで充分上部ゾーンを加熱できる。800℃を越える温度は熱的に不要であり、放熱量が増加する等のデメリットが生じるため好ましくない。
【0023】
前記(9)に係る発明では、ガス化炉の反応部温度範囲と、改質炉の反応部温度範囲を規定した。ガス化では、含有灰分をスラグ化して溶融させるために、1200℃〜1600℃の温度が必要で、例えば代表的な例を示すと、稲藁に例を見る農業系バイオマスの場合、反応部温度は1200℃〜1400℃程度、プラスチックでは1300℃〜1500℃、石炭では1400℃〜1600℃と、ガス化対象によって異なる。各物質の灰分溶流点が異なるためであり、使用原料に合わせて酸素4、水蒸気5の量を調整してガス化炉温制御を実施する。1200℃未満の温度では、灰の溶流点が低い農業系バイオマスでも溶融せず、フライアッシュとして後段の工程に流出し、ガス精製設備14のダスト除去設備負荷の増加、精製ガス15の純度低下が起こる。1600℃を越える温度では、放熱の増加や炉壁構造の変更(通常の耐火・断熱材質では長期間の炉壁維持は困難)により、熱効率の悪化と設備費の増大が見込まれ、実用的ではない。
【0024】
改質炉10では、ガス化炉2からのガス化ガス6の温度により改質温度を確保し、ガス化ガス6中の水蒸気と、追加して添加する酸素4、水蒸気5のいずれか一つ以上によって熱分解ガス・熱分解タール8を改質する。改質炉10の温度は900℃〜1200℃が適しており、900℃未満では、分解しきれないタールが後段のガス精製設備14で付着トラブルをおこしたり、発生が懸念されるダイオキシンが分解せずに後段工程まで残存したりする。一方、1200℃を越えると改質炉からの飛灰の後段の精製設備14への融着・付着が顕著になるスス発生が多くなるため、好ましくない。温度調整は酸素4の量と水蒸気5の量で調整する。原料中に明らかに塩素が含まれており、特にダイオキシンの生成をほぼ0にしたい場合は、改質炉10の温度範囲の中でも、ほぼ全量分解可能な1000℃〜1200℃で操業することが望ましい。また、改質反応には、ガス化炉2のガス化ガス6の顕熱を利用している。従来技術では、熱分解後の炭化物は多くとも熱分解原料の10質量%程度しか生成しないため、改質反応のための熱源としては貧弱であり、改質炉10に酸素を大量に投入して燃焼反応熱を生成させる必要がある。本発明では投入量は任意に規定可能であり、最小限の酸素投入で済む(実施例では、熱分解:ガス化=1:1で運転)。
【0025】
また、前記(10)に係る発明で示した熱分解用の熱に関しては、熱分解炉3の下部より酸化剤を導入し、炭素質資源1や熱分解残渣9を一部燃焼して熱源とする。自燃による直接熱交換であり、キルン等での間接加熱方式と比較しても効率が高く、追加燃料を必要としない。
【0026】
炭素質資源のガスへの転換という観点からは、原料の転換率の高さ、熱効率の高さや、反応時間が短時間であることによるコンパクトな設備であることと、それに基づく生産性の高さを考えると、気流層でのガス化が最も有利であり、可能ならば全量をこの方法で処理することが好ましい。ところが、一般廃棄物的なゴミに例を見るように、形状、性状が雑多な炭素質資源を、気流搬送向けに均一に乾燥、微粉砕することは技術的には可能であるが、経済的に現実的ではない。従って、現在の主流技術には、形状、性状の許容度が大きいキルンや流動層を使用したものが多い。
【0027】
前記(11)に係る発明では、炭素質資源として木材や硬質プラスチック等の、粉砕性がよく、数mmサイズに加工しやすい炭素質資源は直接ガス化炉で高効率ガス化を実施し、シュレッダーダスト、軟質プラスチック等の、熱を受けると溶融して付着性を発現するものや、除間伐材を含む生木等のように繊維方向に強度・靱性が高く、粉砕時に長径と短径の差が大きくて貯留・搬送トラブルを誘発するもの、またシュレッダーダストのように、金属(特に配線)を含むために気流搬送に向かないもの、一般廃棄物ゴミのように水分が多く雑多な性状の集合であり、均一な破砕に向かないものの何れか一つ以上を熱分解する。これらは、熱分解炉で熱分解ガス・熱分解タールと熱分解残渣を分離して熱分解ガス・熱分解タールは改質工程を経て原燃料として使い、熱分解によって粉砕性等が改善した炭素質残渣は、金属を分離の上、そのまま炭素材料として使用するか、粉砕してガス化炉で原料として利用することが好ましい。多種多様な混合物である、いわゆる一般ゴミも、熱分解炉での処理が好ましい。
【0028】
また、前記(11)に係る発明では木材、硬質プラスチックの何れか又は双方を部分酸化することを特徴とする。ここで言う木材とは、乾燥工程を経ている木々を指し、生木と区別している。上記のように炭素質資源毎に最適利用方法を選ぶことで、従来技術の持つ課題である、不必要な加熱や過剰の酸化剤は不要となり、純粋にガスに転換するためのエネルギーだけの使用で済む。
【0029】
前記(16)に係る発明では、ガス化炉2と改質炉10の最適配置について示した。基本的には高温のガス化ガス6の顕熱が改質の熱エネルギーになることが必須の要件であるが、最も熱ロスを防ぎ、ガス化炉2で生成した溶融スラグ7によるスラッギングトラブルを防ぐには、ガス化炉2のすぐ後段に改質炉10が連接することが望ましい。
【0030】
【実施例】
図1で示される本発明の設備において、ガス化炉に木材破砕品(平均粒度数mm)を、熱分解炉にプラスチック(PEフィルム・シート、PPシート等混合・造粒品:粒度100mm以下)を使用した試験を実施した。各炉温は、熱分解炉最高温度600℃、ガス化炉温度1300℃、改質炉温度1100℃の温度条件、ガス化炉及び改質炉1.1MPa、熱分解炉0.2MPaの圧力条件で操業した。従って、熱分解ガス・熱分解タールの圧力上昇(昇圧)は0.2MPaから1.1MPaである。
【0031】
表−1に、従来法と併記して操業条件、効率を示した。比較例として、現在稼働している廃棄物ガス化による発電の例を従来法−1に、また、本発明者らが先に提案した特願2001−200001号において、熱分解ガス及び熱分解タールを昇圧せずに、熱分解炉、ガス化炉及び改質炉とも全系常圧(操業上、〜0.2MPa程度の若干の正圧)操業を行い、ガスを発電に適用した場合の例を従来法−2に示した。従来法−1は、従来技術で示した例であり、低温熱分解技術として外熱式のロータリーキルンを用い、生成した熱分解ガスおよびタールを空気で高温改質し、1000kcal/Nm3程度の低カロリーガスを得てこれをガスエンジンで発電するプロセスである。従来法−2は、昇圧による効果を見るために昇圧設備がない点を除き本発明と同じ設備を使用して試験を実施した。
【0032】
原料が木材及びプラスチック(本法及び従来法−2)、廃棄物(産廃、一廃混合物:従来法−1)と異なるものの、類似ガス化エネルギー転換技術である従来法−1に比べ、従来法−2、本法とも非常に効率(送電端効率)が高いことが分かる。更に、全系常圧の従来法−2に比べて、ガス化炉、改質炉が高圧の本法は送電端効率において数%の優位性を示した。ガス化炉、改質炉以降の系を加圧、コンパクト化したことにより、生産性の向上と放散熱の低減、発電工程への接続時の昇圧エネルギー(従来法−2)等が主な要因である。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明により、熱分解炉、ガス化炉、改質炉を組み合わせた廃棄物のエネルギー転換方法において、気流床、噴流床部分の加圧による効率向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的プロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図2】タール分離設備による熱分解タール分離するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図3】熱分解タールの改質炉へ投入するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図4】水分分離した熱分解タールの改質炉への投入するプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【図5】熱分解残渣利用工程を備えたプロセスフロー及び設備構成を示す図面である。
【符号の説明】
1:炭素質資源
2:ガス化炉
3:熱分解炉
4:酸素
5:水蒸気
6:ガス化ガス
7:スラグ
8:熱分解ガス・熱分解タール
9:熱分解残渣
10:改質炉
11:金属
12:炭素質残渣
13:生成ガス
14:ガス精製設備
15:精製ガス
16:昇圧設備
17:タール分離設備
18:熱分解タール
19:タール投入設備
20:水分分離設備
21:水分
22:熱分解残渣破砕機
23:金属分離装置
24:炭素質残渣供給装置
Claims (17)
- 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させた後、熱分解ガス及び熱分解タールを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、熱分解タール及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガス及び熱分解タールを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源を熱分解炉で熱分解して熱分解ガス及び熱分解タールを生成させ、熱分解タールを分離した後、熱分解ガスを昇圧し、炭素質資源をガス化炉で酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化しガス化ガスを発生させ、該昇圧した熱分解ガス、及び該ガス化ガスと共に、酸素、水蒸気のいずれか又は双方を改質炉に導入して該熱分解ガスを改質することを特徴とする炭素質資源のガス化方法。
- ガス化炉及び改質炉の圧力を1〜5[MPa]とし、かつ熱分解炉の圧力を0.1〜1[MPa]未満とすることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素質資源のガス化方法。
- 熱分解ガスを0.1〜1[MPa]未満の圧力から1〜5[MPa]に昇圧することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 分離した熱分解タールを、昇圧した熱分解ガス、及びガス化ガス、並びに酸素、水蒸気のいずれか又は双方と共に改質炉に投入して改質することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 分離した熱分解タールから水分を減じて改質炉に投入することを特徴とする請求項5記載の炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源を熱分解する際に、反応部温度を300℃〜800℃とすることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源を熱分解して生成した熱分解残渣から金属を分離した炭素質残渣を、炭素質資源と共に部分酸化する際に、反応部温度を1200℃〜1600℃とし、さらに熱分解ガス及び熱分解タールを改質する際に、反応部温度を900℃〜1200℃とすることを特徴とする請求項7又は8記載の炭素質資源のガス化方法。
- 前記熱分解に必要な熱を、熱分解される炭素質資源自身の燃焼熱でまかなうことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源として、シュレッダーダスト、軟質プラスチック、生木、一般廃棄物ゴミのうちいずれか一つ以上を熱分解し、更に木材、硬質プラスチックのいずれか又は双方を部分酸化することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化方法。
- 炭素質資源を熱分解する熱分解炉と、炭素質資源と共に酸素、又は酸素及び水蒸気で部分酸化するガス化炉と、該熱分解炉で生成した熱分解ガスを昇圧する昇圧設備と、昇圧された熱分解ガス、該ガス化炉で発生したガス化ガス、及び酸素、水蒸気の何れか又は双方を導入して該熱分解ガスを改質する改質炉を有することを特徴とする炭素質資源のガス化利用装置
- 熱分解炉と昇圧設備の間に熱分解タール分離設備を有することを特徴とする請求項12記載の炭素質資源のガス化装置。
- 熱分解タール分離設備で分離した熱分解タールを改質炉へ投入するタール投入設備を有することを特徴とする請求項13記載の炭素質資源のガス化装置。
- 改質炉で改質された生成ガスを処理するガス精製装置を有することを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置。
- ガス化炉と改質炉が連接することを特徴とする請求項12〜15の何れか1項に記載の炭素質資源のガス化装置。
- 熱分解炉で生成した熱分解残渣を破砕する破砕機と、該熱分解残渣から金属を分離する装置と、金属が分離された炭素質残渣をガス化炉へ供給する供給装置を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の炭素質資源のガス化装置。
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2002
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